説明

大きな開口を有する時計の表示装置

【課題】 時計の時間又は日にちに関連する数字を大きく表示する。
【解決手段】 本発明の時計は、第1表示(3)と第2表示(4)がそれぞれ形成された第1リング(1)と第2リング(2)を有する。前記第1と第2の表示(3,4)を組み合わせて、時計の文字板に形成された開口(6)を介して、時間又は日にちに関連する数字(5)を表示する。前記第1と第2のリング(1,2)は、同一の寸法であり、前記第1リング(1)が前記第2リング(2)の上に回転中心をずらして配置される。前記開口(6)の垂直方向において、前記第1リング(1)の外側エッジと、前記第2リング(2)の内側エッジとが隣接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1表示部と第2表示部がそれぞれ形成された第1リングと第2リングを有する時計に関する。この第1表示部と第2表示部を組み合わせて、大きな開口に時間あるいは日にちに関連した表示を示す。
【背景技術】
【0002】
大部分の場合、日にちを表す時計は、0−31の数字を周囲に有する1枚のディスクあるいはリングを具備している。これらの数字は、時計の文字板に形成された開口内に表れる。従って、開口が小さいと、日にち表示は小さくなり見づらくなる。これを改善するために、大きな開口の日付け表示を有する時計を提供する必要がある。これは、10個の数字が形成された第1表示部と、同じく10個の数字が形成された第2表示部を有する時計である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ヨーロッパ特許第1184751A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のタイプのシステムは、特許文献1に開示されている。同文献において、インジケータは、異なる寸法のリングであり、一方のリングは他方のリングの内側で同軸に配置されている。その結果、表示は大きな開口に同一レベルで表れる。特許文献1は、日にち又は西暦の下2桁を、これらの表示手段を用いて表示することを提案している。西暦の下2桁の表示は、2個のリングの使用が前提であり、0−9の10個の数字がそれらに取り付けられる。大きな開口に表れる値は、100個である。この場合、内側リングの数字は、外側リングの数字に比べると小さくなる。数字の大きさを合わせるために、外側リングの数字のサイズを小さくし、内側リングの数字に合わせることが行われている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような欠点は、一方のリングを他方のリングの内側に配置すると、使用される数字の大きさを小さくすることになる。この欠点を解決するために、本明細書の前半に一般的な定義を行い、本発明は、特許請求の範囲に記載されている。第1リングと第2リングは、ほぼ同一の寸法を有し、第1リングが第2リングの上部に配置にされる。第1リングは、第2リングに対し中心から外れており、その結果、大きな開口の垂直方向においては、第1リングの外側エッジは、第2リングの内側エッジと境を成す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明のディスプレイの上面図で、インジケータ・リンクの配置を表す図。
【図2】図1のディスプレイの底面図。
【図3】図1のディスプレイの分解斜視図。
【図4】本発明の組立ステップを表す図。
【図5】本発明の組立ステップを表す図。
【図6】本発明の組立ステップを表す図。
【図7】本発明の組立ステップを表す図。
【図8】本発明の組立ステップを表す図。
【図9】本発明の組立ステップを表す図。
【図10】本発明の組立ステップを表す図。
【図11】本発明の組立ステップを表す図。
【図12】本発明の組立ステップを表す図。
【図13】本発明の組立ステップを表す図。
【図14】本発明の組立ステップを表す図。
【図15】図14の上面図。
【図16】図15のラインXVI−XVIに沿った断面図。
【図17】図15のラインXVII−XVIIに沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1において、本発明の時計は、第1と第2のリング1、2を有する。これらのリングは、ワッシャ(washer)のように平坦な形状をしており、それぞれ第1と第2の表示3、4が記載されている。これらの表示は、互いに組み合わされて、時間又は日にち関連数字5が文字板に形成された大きな開口6内に見えるようにする。
【0008】
特許文献1の大開口のディスプレイと比較すると、本発明のディスプレイは、いくつかの優れたかつ独創性のある配列を有する。
第1の利点として、第1と第2のリング1、2は、ほぼ等しい寸法であり、その結果、1個のリングのみを製造すればよく、そのリングの製造工程が簡単となる。
第2の利点として、第1のリング1は、第2のリング2の上に配置できる。
第3の利点として、第1のリング1は、第2のリング2に対し中心を外して配置され、その結果、図1、3に示すように、大開口6の垂直方向で、第1のリング1の外側エッジ7は、第2のリング2の内側エッジ8に隣接する。
【0009】
一般的に、リングに形成される表示は、時間(日にち)関連であるが、必ずしもアラビア数字である必要はない。例えば、これらの表示は、アジアの文字のサインでもよい。
【0010】
本発明の場合、0から9のアラビア数字(即ち第1と第2の表示部3、4)が、第1と第2のリング1、2に形成されている。これらの数字の組み合わせにより、100個の数字が、大開口6内に表示される。
【0011】
一方のリングを他方のリングと同軸で内側に配置した場合には、数字のサイズを約15%大きくできる。
【0012】
この実施例においては、リングであるディスクが、本発明により形成され配置された場合には、数字の高さは3.35mmであり、その幅は2.37mmである。
これに対し、2枚のディスクが、同軸に配置された場合には、数字の高さは2.95mmであり、その幅は2.08mmである。
本発明により複数のリングを配置する利点は、明らかである。そしてスペースの要件と数字のサイズの要件が大きくなればなるほど、明らかである。
【0013】
複数のリングを駆動するには様々な方法がある。一実施例において、第1と第2のリング1、2は、内側エッジ11、8に形成された第1と第2の歯列9、10により、それぞれ回転駆動される。機構チェーン(図示せず)は、第1と第2の歯列9、10を接続し、その結果、第1のリング1は、第2のリング2が、10ステップ動く毎に1ステップ前進する。図に示すように、第1と第2の歯列9、10は、それぞれ第1と第2の歯車セット12、13と噛み合う。第1と第2の歯車セット12、13は、それぞれ第1と第2のモータ14、15と噛み合う。
【0014】
本発明は、様々な時計に適用されるが、その本発明の目的は、2個のリングを用いて、100個の数字を表示することである。これは、西暦の下2桁を用いて年を表示する場合、あるいはストップ・ウォッチ(chronograph)の1/10秒と1/100秒の表示の場合である。
【0015】
時計がストップ・ウォッチ(chronograph)機能付き時計の場合は、第1と第2のリングは、それぞれ1/10秒と1/100秒を表す。時計が通常の時計モードで動作する場合は、日にちあるいは西暦も表示できる。この実施例は、複数のリングの中心を外して配置し、その駆動はある構造(図示せず)に依存する。
【0016】
図4−14に示す実施例は、ストップ・ウォッチ(chronograph)機能付き時計の本質的部分を構成する一連のステップを表し、図16、17は、図15のラインXVI−XVIとラインXVII−XVIIに沿った断面図である。
【0017】
図4は基本的な時計のモジュールを表す。時間歯車のパイプ30の上に、時針が取り付けられる。キャノン−ピニオン31の上に、分針(図示せず)が取り付けられ、両歯車の軸心32に分針(図示せず)が取り付けられる。これらの指針は、モータ33により駆動される。そしてスタッド35、36により、第1熱シール・ユニット34を形成する。第2ユニット37が、第1熱シール・ユニット34に関連して配置される(図5)。
第2ユニット37はベース・プレート38を有する。このベース・プレート38の上に、ステータ39、40が配置される。それらは、開口41、42が開けられ、それらの中にロータ43、44が収納される(図6)。
図6によれば、コイル45、46は、ステータ39、40に搭載され、各コイルにコア47、48が取り付けられて、第1と第2のモータ14、15を形成する。
更にロータ43、44にはピニオン49、50が取り付けられる。支持部材51がユニット34、37の間の配置される。ユニット34、37と支持部材51は、時計の底部プレート(図示せず)の上に搭載される。第1と第2の歯車セット12、13は、それぞれホイール52、53とピニオン54、55を有し、支持部材51上に搭載される(図7)。ホイール52は第1のモータ15のピニオン49と噛み合い、ホイール53は第1のモータ14のピニオン50と噛み合う。
図8に示すように、プレート56は第2ユニット37の上に配置される。このプレート56は、ロータ43、44から突出した軸真57、58のベアリングとして、かつ第1と第2の歯車セット12、13の軸真59,60のベアリングとして機能する。スタッド61、62、63、64は、ベース・プレート38から突出し、このベース・プレート38は、熱シールにより第2ユニット37を保持する。
【0018】
底プレート17は、本発明により配置された第1と第2のリング1、2を収納し、上記のユニット上に配置される。図9に示すように、ピニオン54、55と、時針と分針と秒針を搭載するユニット70は、底プレート17から突出する。
第2のリング2は、図9に示すハウジング16内に配置される。ハウジング16は、円形周囲19と第2歯列10とを有する。この円形周囲19は、第2のリング2の外側エッジ18のガイドとして機能する。第2歯列10は、第2のモータ15のピニオン54と噛み合う。(図10)
【0019】
図11において、第1の保持プレート20は、第2のリング2の第2歯列10上に配置され、前記第2のリング2を保持する。円形スペーサ21は、保持プレート20上に配置される(図12)。
図13において、円形スペーサ21の円形エッジ22は、第1のリング1の第1歯列9を介して第1のリング1のガイドとして機能し、第1のモータ14のピニオン55と噛み合う。
図14において、第2保持プレート23は、第1のリング1の第1歯列9の上に配置され、前記リング1を保持する。熱シールされたリベット24、25は、第1と第2の保持プレート20,23と円形スペーサ21を、底プレート17に固定する。底プレート17から前記リベット24,25が突出する。
【0020】
図4−14に基づいて本発明の実施例を示した。、図16、17の断面図は、図15の面に沿ってとられたものであり、同一の部品は同一の参照番号を付す。
【0021】
上記のモータは、ステッピング・モータであり、集積回路により制御され、この集積回路は、プッシュボタンあるいは竜頭により制御される。これに関しては、特許文献1に開示されている。同図において、ステッピング・モータは、ラベット・モータ(Lavet motors)である。他のタイプのモータ、例えば、多極モータ、ピエゾ電子モータの使用も可能である。
【0022】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。用語「又は」に関して、例えば「A又はB」は、「Aのみ」、「Bのみ」ならず、「AとBの両方」を選択することも含む。特に記載のない限り、装置又は手段の数は、単数か複数かを問わない。
【符号の説明】
【0023】
1,2 第1と第2のリング
1 第1リング
2 第2リング
3,4 第1と第2の表示部
3 第1表示部
4 第2表示部
5 時間又は日にち関連数字
6 開口
7 外側エッジ
8 内側エッジ
9,10 第1と第2の歯列
9 第1歯列
10 第2歯列
12,13 第1と第2の歯車セット
12 第1歯車セット
13 第2歯車セット
14,15 第1と第2のモータ
16 ハウジング
17 底プレート
18 外側エッジ
19 円形周囲
20 第1保持プレート
21 円形スペーサ
22 円形エッジ
23 第2保持プレート
24,25 熱シールされたリベット
20,23 第1と第2の保持プレート
30 パイプ
31 キャノン−ピニオン
32 軸真
33 モータ
34,37 ユニット
34 第1熱シール・ユニット
35,36 スタッド
37 第2熱シール・ユニット
38 ベース・プレート
39,40 ステータ
41,42 開口
43,44 ロータ
45,46 コイル
47,48 コア
49,50 ピニオン
52,53 ホイール
54,55 ピニオン
51 支持部材
56 プレート
57,58 軸真
59,60 軸真
61,62,63,64 スタッド
70 ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表示(3)と第2表示(4)がそれぞれ形成された第1リング(1)と第2リング(2)を有する時計において、
前記第1と第2の表示(3,4)を組み合わせて、時計の文字板に形成された開口(6)を介して、時間又は日にちに関連する数字(5)を表示し、
前記第1と第2のリング(1,2)は、同一の寸法であり、前記第1リング(1)が前記第2リング(2)の上に回転中心をずらして配置され、
前記開口(6)の垂直方向において、前記第1リング(1)の外側エッジと、前記第2リング(2)の内側エッジとが隣接する
ことを特徴とする時計。
【請求項2】
0から9までの10個の数字(3,4)が、それぞれ前記第1と第2のリング(1,2)に配置され、これにより前記開口(6)内に100個の時間又は日にち関連数字(5)を表示する
ことを特徴とする請求項1記載の時計。
【請求項3】
前記第1と第2のリング(1,2)が、ストップ・ウォッチ機能付き時計に搭載され、
これにより、前記時計が通常の時計モードとして機能した場合、1/10秒と、1/100秒をそれぞれ表す
ことを特徴とする請求項2記載の時計。
【請求項4】
前記第1と第2のリング(1,2)は、ストップ・ウォッチ機能付き時計に搭載され、
これにより、前記時計がストップ・ウォッチとして機能した場合、前記第1と第2のリング(1,2)の表示が組み合わされ、日にちを表す
ことを特徴とする請求項2記載の時計。
【請求項5】
前記第1リング(1)は、その内側エッジ(11)に形成された第1歯列(9)により、回転駆動され、
前記第2リング(2)は、その内側エッジ(8)に形成された第2歯列(10)により、回転駆動される
ことを特徴とする請求項1記載の時計。
【請求項6】
前記第1歯列(9)は、第1歯車セット(12)と噛み合い、
前記第1歯車セット(12)は、第1モータ(14)により駆動され、
前記第2歯列(10)は、第2歯車セット(13)と噛み合い、
前記第2歯車セット(13)は、第2モータ(15)により駆動され、
ことを特徴とする請求項1記載の時計。
【請求項7】
前記第2リング(2)は、時計の一部を形成する底プレート(17)に形成されたハウジング(16)内に収納され、
前記ハウジング(16)は、前記第2リング(2)の前記外側エッジ(18)のガイドとして機能する円形の周囲(19)を有し、
前記第2のリング(2)の第2歯列(10)上に、第1保持プレート(20)が配置され、
前記第1保持プレート(20)の上に、円形スペーサ(21)が配置され、
前記円形スペーサ(21)の円形エッジ(22)は、前記第1の歯列(9)を介して前記第1リング(1)のガイドとして機能し、
前記第1リング(1)の前記第1の歯列(9)の上に、第2保持プレート(23)が配置され、
前記第1保持プレート(20)と前記第2保持プレート(23)と前記円形スペーサ(21)は、前記底プレート(17)に、熱シール・リベット(24,25)の手段により取り付けられる
ことを特徴とする請求項1記載の時計。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate