説明

大地帰路搬送システム

【課題】搬送通信の信頼性を向上させ、搬送異常の状態を判定することが可能な大地帰路搬送システムを提供する。
【解決手段】大地帰路搬送システム1のデマンド検出器50は1つの情報に対し複数の周波数信号を第1接地線31に注入し、受信器70は、それぞれの周波数信号の受信結果に基づいて、その情報が正常に受信されたか否かを判断する。このように、複数の周波数信号を送信するため、ノイズ耐性が高まる。また、複数の周波数信号の受信結果を比較することにより、比較結果から情報が正常に受信できたか否かを判断することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、大地帰路搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送信情報をデジタル符号化する送信器と、デジタル符号化(コード化)された信号を受信する受信器とを備え、受信器側でデジタル符号化された信号のハイレベルおよびローレベルを検出することにより、送信情報の内容を認識する大地帰路搬送システムが知られている。このシステムでは、デジタル符号化された信号は、例えば1477Hzなど1周波の信号とされる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−8711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の大地帰路搬送システムでは、デジタル符号化された信号にノイズが重畳してしまうため、受信器が特定周波数(例えば1477Hz)の信号のみを抽出するフィルタを備えている。このため、特定周波数と異なる周波数のノイズがデジタル符号化された信号に重畳してもノイズは除去され、いわゆる搬送異常が発生しないこととなる。
【0004】
しかしながら、従来システムにおいて、特定周波数およびその近傍周波数のノイズが信号に重畳してしまうと、受信器側で信号のハイレベルおよびローレベルを判別できなくなり、搬送異常となってしまう可能性がある。
【0005】
さらに、従来システムでは、搬送異常が起こり、他の機器(例えば管理センタや警報機)に送信すべき情報を送信できなくなっている状態であっても、その状態を受信器が判定することができなくなってしまう。
【0006】
この発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、搬送通信の信頼性を向上させ、搬送異常の状態を判定することが可能な大地帰路搬送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の請求項1に係る大地帰路搬送システムは、搬送波をデジタル信号で変調した送信信号を、変圧器の低圧側電路を伝搬させるためB種接地線に注入して送信する送信部と、前記変圧器の低圧側電路の接地相−大地間から前記送信信号を受信し、この受信信号を復調して前記デジタル信号を得る受信部とを備えた大地帰路搬送システムにおいて、前記送信部は、周波数が所要間隔離れた少なくとも2つの搬送波を前記デジタル信号でそれぞれ変調して前記送信信号を生成し、前記受信部は、前記受信信号を前記各搬送波ごとにそれぞれ復調する、ことを特徴とする。
【0008】
この発明の請求項2に係る大地帰路搬送システムは、請求項1記載の大地帰路搬送システムにおいて、前記各搬送波は、おのおの重畳する周波数ノイズの影響を互いに無視し合うことが可能なだけ少なくとも離れた周波数に設定されることを特徴とする。
【0009】
この発明の請求項3に係る大地帰路搬送システムは、送信信号を変圧器のB種接地線に注入して送信し、前記変圧器の低圧側電路の接地相−大地間から前記送信信号を受信する大地帰路搬送システムにおいて、周波数が異なる複数の搬送波を、nビットのデータパルスでそれぞれ変調した複数の周波数信号を送信信号として送信する送信器と、前記送信信号を受信し、複数の前記搬送波を各別に通す複数のフィルタをそれぞれ通過した複数の前記周波数信号を各別に復調して、前記データパルスを発生する受信器と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明の請求項4に係る大地帰路搬送システムは、請求項3記載の大地帰路搬送システムにおいて、前記送信器は、複数の前記搬送波を2つずつ組分けし、各組の一方の搬送波を前記データパルスで変調した一方の周波数信号と、前記データパルスをレベル反転した反転データパルスで他方の搬送波を変調した他方の周波数信号とを、互いに同期させ重ね合わせて合成信号とし、各組の前記合成信号を時間的に並べて前記送信信号を生成することを特徴とする。
【0011】
この発明の請求項5に係る大地帰路搬送システムは、送信信号を変圧器のB種接地線に注入して送信し、前記変圧器の低圧側電路の接地相−大地間から前記送信信号を受信する大地帰路搬送システムにおいて、周波数が異なる2つの搬送波のうち第1の搬送波を、ハイレベルのパターンの有無に情報が付与された第1のパルス列からなるnビットのデータパルスで変調した第1の周波数信号と、第2の搬送波を、前記第1のパルス列をレベル反転することでローレベルのパターンの有無に情報が付与された第2のパルス列からなるnビットの反転データパルスで変調した第2の周波数信号とを、互いに同期させ、かつ、前記第1の周波数信号のハイレベル相当領域、ローレベル相当領域と、前記第2の周波数信号のローレベル相当領域、ハイレベル相当領域とをそれぞれ重ね合わせた合成信号を、送信信号として送信する送信器と、前記送信信号を受信し、前記第1の搬送波を通す第1のフィルタおよび前記第2の搬送波を通す第2のフィルタをそれぞれ通過した前記第1の周波数信号および前記第2の周波数信号を各別に復調して、得られた前記第1のパルス列または前記第2のパルス列の少なくとも一方に基づいて前記データパルスを発生する受信器と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
この発明の請求項6に係る大地帰路搬送システムは、請求項5記載の大地帰路搬送システムにおいて、前記送信器は、デマンド監視装置、絶縁監視装置等の情報出力手段から出力される情報に基づき、当該情報を所定のフォーマットに変換して前記データパルスを生成することを特徴とする。
【0013】
この発明の請求項7に係る大地帰路搬送システムは、請求項5または請求項6記載の大地帰路搬送システムにおいて、前記受信器は、前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタをそれぞれ通過した前記第1の周波数信号および前記第2の周波数信号を各別に復調する際、前記第1の周波数信号および前記第2の周波数信号をそれぞれ包絡線検波することを特徴とする。
【0014】
この発明の請求項8に係る大地帰路搬送システムは、請求項5〜7のいずれか1項記載の大地帰路搬送システムにおいて、前記受信器は、前記第1の周波数信号および前記第2の周波数信号を各別に復調してその復調出力のハイ/ローレベルを判別する際、ハイレベルとローレベルとの差異に応じて前記判別のためのスレショールドレベルを可変することを特徴とする。
【0015】
この発明の請求項9に係る大地帰路搬送システムは、請求項5〜8のいずれか1項記載の大地帰路搬送システムにおいて、前記受信器は、前記第1の周波数信号を復調して得られた前記第1のパルス列に相当するパルス列、および、前記第2の周波数信号を復調して得られた前記第2のパルス列に相当するパルス列を、所定のサンプリング周期で解析し、いずれか一方のパルス列でヘッダが確認されると、前記第1のパルス列に相当するパルス列および前記第2のパルス列に相当するパルス列の双方でデータの採取を開始することを特徴とする。
【0016】
この発明の請求項10に係る大地帰路搬送システムは、絶縁監視装置と、周波数が異なる2つの搬送波を、前記絶縁監視装置の出力信号に基づくnビットのデータパルスでそれぞれ変調した送信信号を、変圧器の低圧側電路を伝搬させるためB種接地線に注入して送信する送信器と、前記変圧器の低圧側電路の接地相−大地間から前記送信信号を受信し、この受信信号を前記2つの搬送波の各別に復調して前記データパルスを発生する受信器と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
この発明の請求項11に係る大地帰路搬送システムは、デマンド監視装置と、周波数が異なる2つの搬送波を、前記デマンド監視装置の出力信号に基づくmビットのデータパルスでそれぞれ変調した送信信号を、変圧器の低圧側電路を伝搬させるためB種接地線に注入して送信する送信器と、前記変圧器の低圧側電路の接地相−大地間から前記送信信号を受信し、この受信信号を前記2つの搬送波の各別に復調して前記データパルスを発生する受信器と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
この発明の請求項12に係る大地帰路搬送システムは、絶縁監視装置と、周波数が異なる2つの搬送波を、前記絶縁監視装置の出力信号に基づくnビットのデータパルスでそれぞれ変調した絶縁監視用送信信号を、変圧器の低圧側電路を伝搬させるためB種接地線に注入して送信する絶縁監視用送信部と、前記変圧器の低圧側電路の接地相−大地間から前記絶縁監視用送信信号を受信し、この受信信号を前記2つの搬送波の各別に復調して前記nビットのデータパルスを発生する絶縁監視用受信部と、デマンド監視装置と、前記絶縁監視用送信部が用いる前記両搬送波の外側に周波数選択された2つの搬送波を、前記デマンド監視装置の出力信号に基づくmビットのデータパルスでそれぞれ変調したデマンド監視用送信信号を、変圧器の低圧側電路を伝搬させるためB種接地線に注入して送信するデマンド監視用送信部と、前記変圧器の低圧側電路の接地相−大地間から前記デマンド監視用送信信号を受信し、この受信信号を前記2つの搬送波の各別に復調して前記mビットのデータパルスを発生するデマンド監視用受信部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
この発明は以上のように、搬送波をデジタル信号で変調した送信信号を、変圧器の低圧側電路を伝搬させるためB種接地線に注入して送信する送信部と、前記変圧器の低圧側電路の接地相−大地間から前記送信信号を受信し、この受信信号を復調して前記デジタル信号を得る受信部とを備えた大地帰路搬送システムにおいて、前記送信部は、周波数が所要間隔離れた少なくとも2つの搬送波を前記デジタル信号でそれぞれ変調して前記送信信号を生成し、前記受信部は、前記受信信号を前記各搬送波ごとにそれぞれ復調するように構成したので、或る搬送波を変調した信号は特定周波数のノイズにより受信異常となってしまう可能性があるが、他の搬送波を変調した信号については特定周波数のノイズにより受信異常となり難く、いずれかの信号は受信器によって正常に受信され易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0021】
[第1実施形態]
図1は、この発明の第1実施形態に係る大地帰路搬送システムの構成図である。図1に示すように、この大地帰路搬送システム1は、デマンド監視装置に適用したものであり、高圧電路10と、変圧器Tと、低圧電路20と、第1接地線31および第2接地線32と、電力量計40と、デマンド検出器(送信器)50と、トランス60と、受信器70と、警報機80とを備えている。
【0022】
高圧電路10は、例えば6600V(ボルト)などの高圧電圧(第1電圧)が給電されるものである。変圧器Tは、高圧電路10の高圧電圧を、該高圧電圧よりも低圧な、例えば100Vなどの電圧(第2電圧)に変成するものである。
【0023】
低圧電路20は、変圧器Tによって変成された低圧電圧が給電されるものである。この低圧電路20は、単相3線式の電路であって、接地電路21と、非接地電路22とを備えている。この低圧電路20の接地電路21と非接地電路22には、図示しない負荷が接続され、負荷には低圧電路20の電圧が給電される。
【0024】
第1接地線31および第2接地線32は、低圧電路20から大地までを電気的に接続するものである。具体的に第1接地線31および第2接地線32は、一端が低圧電路20の接地電路21に接続され、他端が大地に接続されている。電力量計40は、負荷によって使用された電力量を演算するものである。
【0025】
デマンド検出器50は、最大需要電力(デマンド)を監視制御するものである。高圧電力・業務用電力で契約する大口需要家が支払う電気料金は、基本料金と電力量料金とがあり、このうち、基本料金は最大需要電力により決定される。この最大需要電力は、取引用デマンドメータが計量して30分単位で平均値(平均電力)を算出し、1ヶ月のうち最大の値をその月の最大需要電力(デマンド)としている。この最大需要電力で一年間の基本料金が決定されるため、最大需要電力を下げることで、基本料金の低減が可能となる。そこで、デマンドを監視制御するデマンド検出器50が設置される。
【0026】
また、デマンド検出器50は、電力量計40から送信される各種情報(特定情報)を入力し、その情報をデジタル符合化した周波数信号とし、その周波数信号をトランス60を介して第1接地線31に注入して低圧電路20の接地電路21に送信する構成となっている。
【0027】
受信器70は、低圧電路20の接地電路21から第2接地線32まで到達した周波数信号を受信するものである。受信器70は、受信した周波数信号を解析し、デマンド検出器50から送信された情報の内容を認識し、その内容に応じた出力を行う。
【0028】
警報機80は、受信器70の出力に応じて警報動作等を行うものである。例えば警報機80は、使用電力量がデマンドに近づいた場合に注意警報を発し、使用電力量がデマンドを超えた場合に警戒警報を発する。警報動作は、出力音など音声によるものであっても、ランプ点灯など視覚によるものであってもよい。
【0029】
図2は、図1のデマンド検出器50の詳細構成図である。デマンド検出器50は、入力インターフェイス(I/F)部51と、第1水晶発振器52aおよび第2水晶発振器52bと、CPU(Central Processing Unit)53と、第1変調部54aおよび第2変調部54bと、合成部55と、電力増幅部56とを備えている。
【0030】
入力インターフェイス部51は、電力量計40から送信される5ビットのデータを入力するものである。なお、電力量計40からの情報は5ビットのデータに限らず、同様に入力インターフェイス部51についても5ビットのデータに限らず、5ビット未満または5ビットを超えるデータを入力する構成であってもよい。
【0031】
第1水晶発振器52aおよび第2水晶発振器52bは、所定間隔でクロックを発生させるものである。CPU53は、デマンド検出器50の全体を制御するための制御プログラムおよび制御データを有するものであり、入力された5ビットの情報内容に応じたデジタル符合化を行う構成となっている。
【0032】
第1変調部54aは、CPU53によりデジタル符号化された信号を、第1水晶発振器52aによって発生されたクロックに応じた周波数信号とするものである。具体的に、第1変調部54aは、第1水晶発振器52aの発信周波数を基本周波数として発振させ、この基本周波数を所定の分周比により1075Hz(ヘルツ)前後の搬送キャリア周波数に分周する。この後、第1変調部54aは、CPU53から送信されるデジタル符号化された信号にキャリア周波を重畳して1075Hzの周波数信号を生成する構成となっている。なお、第1変調部54aが生成する周波数信号は1075Hzに限らず、他の周波数であってもよい。
【0033】
第2変調部54bは、CPU53によりデジタル符号化された信号を、第2水晶発振器52bによって発生されたクロックに応じた周波数信号とするものである。具体的に、第2変調部54bは、第2水晶発振器52bの発信周波数を基本周波数として発振させ、この基本周波数を所定の分周比により1770Hz(ヘルツ)前後の搬送キャリア周波数に分周する。この後、第2変調部54b、CPU53から送信されるデジタル符号化された信号をキャリア周波を重畳して1770Hzの周波数信号を生成する構成となっている。なお、第2変調部54bが生成する周波数信号は1770Hzに限らず、他の周波数であってもよい。
【0034】
合成部55は、第1変調部54aにより生成された周波数信号と、第2変調部54bにより生成された周波数信号とを合成するものである。電力増幅部56は、合成部55により合成されて出力された信号の電力増幅を行う電力アンプである。
【0035】
図3は、図1の受信器70の詳細構成図である。受信器70は、受信部71と、入力部72と、第1バンドパスフィルタ73aおよび第2バンドパスフィルタ73bと、復調部74と、CPU75と、出力インターフェイス部76とを備えている。
【0036】
受信部71は、第1接地線31に搬送されて第2接地線32まで到達したデマンド検出器50からの周波数信号を受信して入力部72に引き渡すものである。入力部72は、低圧電路20を通過することにより減衰された周波数信号を増幅するためのアンプである。
【0037】
第1バンドパスフィルタ73aは、1075Hz前後の周波数を有する信号を通過させ、他の周波数の信号をカットするものである。すなわち、第1バンドパスフィルタ73aは、第1変調部54aにより生成された1075Hzの周波数信号を通過させ、他の周波数のノイズや第2変調部54bにより変調された1770Hzの周波数信号をカットするものである。なお、第1バンドパスフィルタ73aは、第1変調部54aが生成する周波数信号の周波数が変更されると、その変更に応じて通過させる周波数が変更されることは言うまでもない。
【0038】
第2バンドパスフィルタ73bは、1770Hz前後の周波数を有する信号を通過させ、他の周波数の信号をカットするものである。すなわち、第2バンドパスフィルタ73bは、第2変調部54bにより生成された1770Hzの周波数信号を通過させ、他の周波数のノイズや第1変調部54aにより変調された1075Hzの周波数信号をカットするものである。なお、第2バンドパスフィルタ73bは、第2変調部54bが生成する周波数信号の周波数が変更されると、その変更に応じて通過させる周波数が変更されることは言うまでもない。
【0039】
復調部74は、第1バンドパスフィルタ73aおよび第2バンドパスフィルタ73bを通過した信号から搬送キャリアを除去して、デジタル符号化された信号に復調するものである。CPU75は、受信器70の全体を制御するための制御プログラムおよび制御データを有するものであり、デジタル符号化された信号の内容に応じた5ビットの信号を生成する構成となっている。出力インターフェイス部76は、CPU75により生成された5ビットの信号に応じて出力を行うものである。
【0040】
図4は、図2のCPU53によるデジタル符号化を説明する図である。なお、図4では23ビットのデータに応じたデジタル符号化を例に説明する。CPU53は、電力量計40から23ビットの情報を入力すると、図4に示すようなデジタル信号を生成する。すなわち、CPU53は、まず約1秒程度Hレベルの信号を生成する。このHレベルの信号がヘッダーとなる。次いで、CPU53は約0.25秒のLレベル信号を生成し、さらにCPU53は電力量計40からの1ビット目の情報に応じて約0.5秒のHレベルまたはLレベルの信号を生成する。次に、CPU53は、約0.25秒のLレベル信号、電力量計40からの2ビット目の情報に応じた約0.5秒のHレベルまたはLレベルの信号、約0.25秒のLレベル信号、電力量計40からの3ビット目の情報に応じた約0.5秒のHレベルまたはLレベルの信号、および約0.25秒のLレベル信号の順に生成を行う。
【0041】
その後、CPU53は、電力量計40からの4〜8ビット目の情報に応じた約3.5秒のHレベルまたはLレベルの信号、および約0.25秒のLレベル信号の順に生成を行う。そして、CPU53は、電力量計40からの9〜22ビット目の情報に応じた約10.25秒のHレベルまたはLレベルの信号、および約0.25秒のLレベル信号の順に生成を行う。
【0042】
次に、CPU53は、パリティビットに応じて約0.5秒のHレベルまたはLレベルの信号、約0.25秒のLレベル信号および約1秒程度Hレベルの信号を生成する。なお、最後のHレベルの信号はヘッダーである。
【0043】
ここで、1〜3ビット目は電力量計40の電力使用量とデマンドとの関係を示す情報であり、4〜8ビット目はデマンド計測時間の情報であり、9〜22ビット目は予測電力値の情報である。
【0044】
図5は、電力使用量に応じたデジタル符号化の様子を示す図であり、(a)は使用電力量がデマンドに対して余裕があるときのデジタル符号化の様子を示し、(b)は使用電力量がデマンドに近づいたときのデジタル符号化の様子を示し、(c)は使用電力量がデマンドを超えたときのデジタル符号化の様子を示している。
【0045】
図5(a)に示すように、使用電力量がデマンドに対して余裕がある場合、デマンド検出器50のCPU53は、正常状態信号を出力する。すなわち、CPU53は、Hレベルのヘッダーの後、約0.25秒のLレベルの信号を出力し、さらに約0.5秒のHレベルの信号を出力する。その後、CPU53は、4〜8ビット目の情報に至るまでの間、Lレベルの信号を出力する。
【0046】
また、図5(b)に示すように、使用電力量がデマンドに近づいた場合、CPU53は注意警報信号を出力する。すなわち、CPU53は、Hレベルのヘッダーの後、約0.25秒のLレベルの信号を出力し、さらに約0.5秒のHレベルの信号を出力する。その後、CPU53は、約0.25秒のLレベルの信号を出力し、さらに約0.5秒のHレベルの信号を出力する。そして、4〜8ビット目の情報に至るまでの間、Lレベルの信号を出力する。
【0047】
さらに、図5(c)に示すように、使用電力量がデマンドを超えた場合、CPU53は警戒警報信号を出力する。すなわち、CPU53は、Hレベルのヘッダーの後、約0.25秒のLレベルの信号を出力し、さらに約0.5秒のHレベルの信号を出力する。その後、CPU53は、約0.25秒のLレベルの信号を出力し、さらに約0.5秒のHレベルの信号を出力する。そして、CPU53は、約0.25秒のLレベルの信号、約0.5秒のHレベルの信号および約0.25秒のLレベルの信号の順に出力する。その後、4〜8ビット目の情報に応じた信号を出力する。
【0048】
なお、図5(a)〜図5(c)に示す各信号は、使用電力量の変化に応じてリアルタイムに生成されており、デマンド検出器50からは、そのときの使用電力量に応じた信号が常時連続して送信されている。
【0049】
図6は、図2の第1変調部54aおよび第2変調部54bによる変調の様子を示す図であり、(a)はCPU53によるデジタル符号化された信号を示し、(b)はキャリア周波を示し、(c)は(a)の信号で(b)のキャリア周波を変調した後の周波数信号を示している。なお、図6では5ビットのデータを例に説明する。
【0050】
図6(a)に示すように、CPU53がヘッダーおよび5ビットのHレベルの信号を出力したとする。また、第1水晶発振器52aおよび第2水晶発振器52bにより図5(b)に示すようなキャリア周波が発生したとする。このとき、第1変調部54aおよび第2変調部54bは、ヘッダーおよび5ビットのHレベルの信号にキャリア周波を重畳して、図5(c)に示すような周波数信号を生成する。
【0051】
図7は、図3の復調部74による復調の様子を示す図であり、(a)は周波数信号1を示し、(b)は周波数信号1を復調した後の信号を示し、(c)は周波数信号2を示し、(d)は周波数信号2を復調した後の信号を示し、(e)は周波数信号3を示し、(f)は周波数信号3を復調した後の信号を示している。なお、図7では5ビットのデータを例に説明する。
【0052】
図7(a)に示すように、ヘッダーおよび5ビットのHレベル信号にキャリア周波を重畳した周波数信号1を入力すると、復調部74は、キャリア周波を除去し、図7(b)に示すように5ビットのHレベル信号からなるデジタル形式のデータを作成する。
【0053】
また、図7(b)に示すように、ヘッダー、1ビットのHレベル信号および4ビットのLレベル信号にキャリア周波を重畳した周波数信号2を入力すると、復調部74は、キャリア周波を除去し、図7(d)に示すように1ビットのHレベル信号および4ビットのLレベル信号からなるデジタル形式のデータを作成する。
【0054】
さらに、図7(e)に示すように、ヘッダー、2ビットのHレベル信号および3ビットのLレベル信号にキャリア周波を重畳した周波数信号3を入力すると、復調部74は、キャリア周波を除去し、図7(f)に示すように2ビットのHレベル信号および3ビットのLレベル信号からなるデジタル形式のデータを作成する。
【0055】
次に、図1〜図3を参照しながら、本実施形態に係る大地帰路搬送システム1の動作を説明する。
【0056】
まず、デマンド検出器50の入力インターフェイス部51は、電力量計40から情報を入力する。その後、CPU53は、電力量計40から入力した情報に応じてデジタル符号化を行う。
【0057】
次に、第1変調部54aおよび第2変調部54bは、周波数信号を生成する。このとき、第1変調部54aは、例えばCPU53によりデジタル符号化された信号に1075Hzのキャリア周波を重畳して、1075Hzの周波数信号を生成する。また、第2変調部54bは、例えばCPU53によりデジタル符号化された信号に1770Hzのキャリア周波を重畳して、1770Hzの周波数信号を生成する。次いで、合成部55は2つの周波数信号を合成する。そして、電力増幅部56は、合成された周波数信号を増幅する。
【0058】
次に、デマンド検出器50は、電力増幅部56により増幅された周波数信号をトランス60を介して第1接地線31に注入する。このように、デマンド検出器50は、電力量計40から送信された1つの情報に対して、複数の周波数信号を注入することとなる。
【0059】
その後、第1接地線31に注入された周波数信号は、低圧電路20の接地電路21を介して第2接地線32に至り、受信器70の受信部71に入力する。そして、周波数信号は受信部71を通過して入力部72に至る。入力部72は、低圧電路20を通過することにより減衰した周波数信号を増幅し、増幅後の周波数信号を第1および第2バンドパスフィルタ73a,73bに渡す。
【0060】
次いで、第1バンドパスフィルタ73aは、例えば1075Hz前後の周波数の信号のみを通過させ、他の周波数の信号をカットする。これにより、合成され且つノイズが重畳した信号から1075Hz前後の周波数の信号のみを抽出する。また、第2バンドパスフィルタ73bは、例えば1770Hz前後の周波数の信号のみを通過させ、他の周波数の信号をカットする。これにより、合成され且つノイズが重畳した信号から1770Hz前後の周波数の信号のみを抽出する。
【0061】
その後、復調部74は、第1バンドパスフィルタ73aおよび第2バンドパスフィルタ73bを通過した周波数信号を復調する。このとき、復調部74は、周波数信号からキャリア周波を除去する。そして、復調部74は、キャリア周波を除去した信号をCPU75に送信する。次に、CPU75は、キャリア周波が除去された信号を解析し、デマンド検出器50から送信された情報の内容を読み取り、読み取った内容の情報に即した信号を出力インターフェイス部76を介して警報機80に送信する。
【0062】
これにより、警報機80は待機状態となったり、警報動作を行ったりする。例えば、デマンド検出器50から正常状態信号が出力された場合、警報機80は警報動作を行わず待機状態となる。また、デマンド検出器50から注意警報信号が出力された場合、警報機80は電力使用量がデマンドに近づいている旨の警報動作を行い、警戒警報信号が出力された場合、警報機80は電力使用量がデマンドを超えた旨の警報動作を行う。
【0063】
以上説明したように、本実施形態に係る大地帰路搬送システム1では、複数の周波数信号を送信する構成となっている。これにより、本実施形態に係る大地帰路搬送システム1では、搬送通信の信頼性を向上させることとなる。すなわち、受信器70における受信異常は、デマンド検出器50から送信された信号の周波数と同じまたは近傍の周波数を有するノイズにより引き起こされやすくなる。このため、複数の周波数信号を第1接地線31に注入することにより、或る周波数信号は特定周波数のノイズにより受信異常となってしまう可能性があるが、他の周波数信号については特定周波数のノイズにより受信異常となり難くなる。すなわち、複数の周波数信号を第1接地線31に注入することにより、いずれかの周波数信号は受信器70によって正常に受信され易くなる。このため、本実施形態に係る大地帰路搬送システム1では、搬送通信の信頼性を向上させることができる。
【0064】
図8は、本実施形態に係る大地帰路搬送システム1の耐ノイズ特性を示すグラフであり、図9は、周波数信号の受信結果を示す図である。なお、図8のグラフにおいて縦軸はノイズの耐量であり、横軸はノイズの周波数である。
【0065】
図8に示すように、1075Hzの周波数信号は、1075Hzのノイズに弱いことが分かる。1075Hzのノイズが重畳すると、第1バンドパスフィルタ73aがノイズを除去できなくなるからである。また、同様に、1770Hzの周波数信号は、1770Hzのノイズが重畳すると、第2バンドパスフィルタ7baによりノイズ除去できなくなるため、1770Hzのノイズに弱いことが分かる。
【0066】
ところが、図8に示すように、一方の周波数信号がノイズに弱い領域(すなわち耐量が約89dB未満となる領域)は、他方の周波数信号がノイズに強い領域(すなわち耐量が約89dBである領域)となっている。このため、図9に示すように、搬送通信は良好となる。
【0067】
すなわち、図8に示すように、例えば約975Hzのノイズが75dBであったとすると(点a)、図9に示すように、1075Hzおよび1770Hzの双方の周波数信号は良好に受信され、2周波による通信結果は「良」となる。また、例えば約1400Hzのノイズが75dBであった場合(点c)も同様に、2周波による通信結果は「良」となる。
【0068】
また、例えば約1100Hzのノイズが85dBであった場合(点b)、図9に示すように、1075Hzの周波数信号は良好に受信されないものの、1770Hzの周波数信号は良好に受信される。このため、2周波による通信結果は「良」となる。さらに、例えば約1800Hzのノイズが85dBであった場合(点d)、図9に示すように、1770Hzの周波数信号は良好に受信されないものの、1075Hzの周波数信号は良好に受信される。このため、2周波による通信結果は「良」となる。
【0069】
図10は、本実施形態に係る大地帰路搬送システム1の耐ノイズ特性を示す第2のグラフである。なお、図10のグラフにおいて縦軸はノイズの耐量であり、横軸はノイズの周波数である。
【0070】
図10に示すように、デマンド検出器50が送信する周波数信号の周波数は、図10に示すような関係にあることが望ましい。具体的には、2つの周波数信号は、ノイズの周波数と周波数信号のノイズ耐性との相関を示す相関関係(すなわち図10に示すような相関関係)において、各周波数信号のノイズ耐性が89デシベル未満となるノイズ周波数の重複部分が600ヘルツ未満であることが望ましい。これにより、回路の複雑化を抑制し機器のコスト低減を図ることができるからである。すなわち、上記のように周波数差が600Hz未満となると、2つの周波数信号は周波数差が小さくなる。ここで、周波数差をむやみに大きくすると受信器70において定格や種類の異なる部品を多く使用することとなり、回路が複雑化してしまい高価な機器になってしまう可能性がある。ところが、2つの周波数信号は周波数差が小さいので、回路の複雑化を抑制し機器のコスト低減を図ることができる。
【0071】
さらに、2つの周波数信号は、ノイズの周波数と周波数信号のノイズ耐性との相関を示す相関関係において、一方の周波数信号のノイズ耐性が80デシベル未満となるノイズ周波数について、他方の周波数信号のノイズ耐性が80デシベル以上となることが望ましい。
【0072】
これにより、ノイズ耐性は少なくとも80デシベル以上となり、通信の信頼性を向上させることができるからである。
【0073】
また、受信器70は、それぞれの周波数信号の受信結果に基づいて、デマンド検出器50からの情報が正常に受信されたか否かを判断する機能を備えている。以下、この機能について説明する。
【0074】
図11は、デマンド検出器50からの情報が正常に受信されたか否かを判断するときの一例を示す図であり、(a)は第1の例を示し、(b)は第2の例を示し、(c)は第3の例を示している。
【0075】
図11(a)に示すように、例えば受信器70は、1075Hzの周波数信号を受信し解析した結果、その情報が警戒警報の情報であると判断したとする。また、受信器70は、1770Hzの周波数信号を受信し解析した結果、その情報が同様に警戒警報の情報であると判断したとする。この場合、受信器70のCPU75は、デマンド検出器50からの情報、すなわち警戒警報の情報が正常に受信されたと判定する。
【0076】
また、図11(b)に示すように、受信器70は、1075Hzの周波数信号を受信し解析した結果、その情報が警戒警報の情報であると判断したとする。一方、受信器70は、1770Hzの周波数信号を受信し解析した結果、その情報が何の情報であるか不明であったとする。この場合、受信器70は、デマンド検出器50からの警戒警報の情報が正常に受信されていないと判断する。
【0077】
その後、デマンド検出器50から再度周波数信号が送信され、受信器70は、1075Hzの周波数信号を受信し解析した結果、その情報が警戒警報の情報であると判断したとする。一方、受信器70は、1770Hzの周波数信号を受信し解析した結果、その情報が何の情報であるか不明であったとする。この場合、受信器70のCPU75は、1770Hzの周波数信号がノイズにより受信不可の状態であるが、1075Hzの周波数信号が連続して警戒警報の情報を示していることから、警戒警報の情報が正常に受信されたと判定する。
【0078】
また、図11(c)に示すように、受信器70は、1075Hzの周波数信号を受信し解析した結果、その情報が警戒警報の情報であると判断したとする。一方、受信器70は、1770Hzの周波数信号を受信し解析した結果、その情報が何の情報であるか不明であったとする。この場合、受信器70は、デマンド検出器50からの警戒警報の情報が正常に受信されていないと判断する。
【0079】
その後、デマンド検出器50から再度周波数信号が送信され、受信器70は、1075Hzの周波数信号を受信し解析した結果、その情報が何の情報であるか不明であったとする。一方、受信器70は、1770Hzの周波数信号を受信し解析した結果、その情報が警戒警報の情報であると判断したとする。この場合、受信器70のCPU75は、1回目の受信時に1075Hzの周波数信号が警戒警報の情報を示し、2回目の受信時に1770Hzの周波数信号が警戒警報の情報を示してていることから、警戒警報の情報が正常に受信されたと確認する。なお、図11(c)のような場合は、ノイズ周波数が何らかの原因により変動した場合に起こる。
【0080】
このように、受信器70は、2つの周波数信号の受信結果から、情報が正常に受信されたか否かを判断することとなる。なお、受信器70は、正常に受信できないと判断した場合、搬送異常を示すランプ等を点灯させるなど、搬送異常の旨を報知することが望ましい。
【0081】
このようにして、第1実施形態に係る大地帰路搬送システム1によれば、デマンド検出器50が1つの情報に対して複数の周波数信号を注入する。ここで、受信器70における受信異常は、デマンド検出器50から送信された信号の周波数と同じまたは近傍の周波数を有するノイズにより引き起こされやすくなる。このため、複数の周波数信号を第1接地線31に注入することにより、或る周波数信号は特定周波数のノイズにより受信異常となってしまう可能性があるが、他の周波数信号については特定周波数のノイズにより受信異常となり難く、いずれかの周波数信号は受信器70によって正常に受信され易くなる。
【0082】
さらに、受信器70はそれぞれの周波数信号の受信結果に基づいて、情報が正常に受信されたか否かを判断する。このため、例えば、或る周波数信号については受信できないが、他の周波数信号については受信できる場合、受信器は特定周波数のノイズにより或る周波数信号についてのみ受信できない状態であり、他の周波数信号が示す情報を正常に受信できると判断することができることから、搬送異常でないと判定することができる。
【0083】
以上の点は、連続的かつ定期的に情報を正確に伝達し、それら複数の情報を集計して使用するデマンド検出器のような機器の場合に、連続的かつ定期的に安定して情報の送受信ができる点で特に効果を発揮するものである。
【0084】
従って、搬送通信の信頼性を向上させ、搬送異常の状態を判定することができる。
【0085】
また、第1実施形態によれば、各周波数信号のノイズ耐性が89デシベル未満となるノイズ周波数の重複部分が600ヘルツ未満となっている。このように重複部分が600ヘルツ未満であるため、2つの周波数信号は周波数差が小さくなっている。ここで、周波数差をむやみに大きくすると受信器70において定格や種類の異なる部品を多く使用することとなり、回路が複雑化してしまい高価な機器になってしまう可能性がある。ところが、第1実施形態では、2つの周波数信号は周波数差が小さくされているので、回路の複雑化を抑制し機器のコスト低減を図ることができる。
【0086】
また、第1実施形態によれば、一方の周波数信号のノイズ耐性が80デシベル未満となるノイズ周波数について、他方の周波数信号のノイズ耐性が80デシベル以上となる。このため、ノイズ耐性はいずれかの周波数信号について少なくとも80デシベル以上となり、通信の信頼性を向上させることができる。
【0087】
[第2実施形態]
次に、この発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係る大地帰路搬送システム2の構成は第1実施形態(図1〜図3)と同様であるが、処理内容が異なっている。以下、第1実施形態と共通する部分の説明を省略し、相違点について説明する。
【0088】
図12は、この発明の第2実施形態に係る大地帰路搬送システム2のデマンド検出器50の処理を示す図であり、(a)は第1実施形態に係るCPU53の符号化の第1の例を示し、(b)は第1実施形態に係るCPU53の符号化の第2の例を示し、(c)は第1実施形態に係る合成部55の合成結果を示している。また、(d)は第2実施形態に係るCPU53の符号化の第1の例を示し、(e)は第2実施形態に係るCPU53の符号化の第2の例を示し、(f)は第2実施形態に係る合成部55の合成結果を示している。なお、合成部55は周波数信号を合成するが、図12(c)および(f)では説明をわかりやすくするため、周波数信号をデジタル形式で示すものとする。
【0089】
第1実施形態において、例えば使用電力量がデマンドに対して余裕がある場合、デマンド検出器50は、ヘッダーおよび1つのHレベルの信号を生成している(図12(a)および(b))。そして、デマンド検出器50の合成部55は、これらの2つを合成している。このため、図12(c)に示すように、ヘッダーおよびHレベルの信号は電圧値が2倍となり、その2倍の電圧を出力可能な電源が必要となってしまう。
【0090】
一方、第2実施形態においては、例えば使用電力量がデマンドに対して余裕がある場合、デマンド検出器50は、ヘッダーおよび1つのHレベルの信号を生成する(図12(d))。しかし、その一方で、デマンド検出器50は、図12(d)のデジタル符号化された信号を反転させた信号を生成するようにしている(図12(e))。すなわち、一方の周波数信号がハイレベル時に他方の周波数信号がローレベルとされる。このため、図12(f)に示すように、双方の周波数信号を合成すると、電圧値は2倍とならず2倍の電圧を出力可能な電源が必要とならない。これにより、コスト低減を図ることができる。
【0091】
このようにして、第2実施形態に係る大地帰路搬送システム2によれば、第1実施形態と同様に、搬送通信の信頼性を向上させ、搬送異常の状態を判定することができる。また、回路の複雑化を抑制し機器のコスト低減を図ることができる。また、通信の信頼性を向上させることができる。
【0092】
さらに、第2実施形態によれば、1つの情報について一方の周波数信号がハイレベル時に他方の周波数信号がローレベルとされる。ここで、一方の周波数信号がハイレベル時に他方の周波数信号がハイレベルである場合、双方の信号を合成して出力すると電圧は2倍となってしまい、その2倍の電圧を出力可能な電源が必要となってしまう。ところが、一方の周波数信号がハイレベル時に他方の周波数信号がローレベルとされるため、双方の信号を合成して出力しても電圧は2倍とならず2倍の電圧を出力可能な電源が必要とならず、コスト低減を図ることができる。
【0093】
[第3実施形態]
次に、この発明の第3実施形態を説明する。図13に示すように、この大地帰路搬送システム101は、絶縁監視装置に適用したものであり、絶縁監視装置(Igr検出器)140と、重畳トランス150と、零相変流器(ZCT)160と、受信器170と、警報器180とを備えている。その他は、図1に示す第1実施形態とほぼ同様のものであるので、各部に図1で用いた符号に100を加えた符号を付けて示すことで、重複する説明は省略する。
【0094】
絶縁監視装置(Igr検出器)140は、一般的なものである。すなわち、監視信号を重畳トランス150により第1接地線(B種接地線)131を介して設備に重畳し、重畳された監視信号を第1接地線131から入力し、設備全体から第1接地線131に流れる電流を零相変流器(ZCT)160により検出し、その中に含まれる監視信号に基づく電流を測定する。
【0095】
この絶縁監視装置140の場合、監視信号だけでなく、絶縁監視に基づく電流測定結果も、重畳トランス150を介して第1接地線(B種接地線)131に注入する。すなわち、絶縁監視装置140は、絶縁監視により得られた電流測定結果をデジタル信号で出力する一方、この出力信号に基づくnビットのデータパルスで、周波数が異なる2つの搬送波をそれぞれ変調した送信信号を、変圧器Tの低圧側電路120を伝搬させるためB種接地線(第1接地線)131に注入して送信する送信器として機能する。
【0096】
つまり、この絶縁監視装置140は、一般的なIgr検出器として機能するIgr検出器部と、周波数A,Bの2つの搬送波を、Igr検出器部からの出力信号(電流測定結果)に基づくnビットのデータパルスでそれぞれ変調した送信信号を、重畳トランス150を介して第1接地線(B種接地線)131に注入する送信器部とで構成される。
【0097】
ここで、絶縁監視装置140の送信器部について説明する。
【0098】
送信器部が、Igr検出器部からの出力信号(電流測定結果)に基づくnビットのデータパルスでそれぞれ変調する2つの搬送波は、おのおの重畳する周波数ノイズの影響を互いに無視し合うことが可能なだけ少なくとも離れた周波数に設定される。すなわち、第1実施形態で説明した図8に示すように、いずれか一方の搬送波の周波数AまたはBにノイズがのった場合でも、他方の搬送波はその周波数ノイズの影響を全く受けないか、少なくとも実質的に受けないで済む周波数BまたはAに設定される。
【0099】
また、送信器部は、図14に示すように、周波数A,Bの2つの搬送波のうち第1の搬送波A((a)参照)を、ハイレベルのパターンの有無に情報が付与された第1のパルス列((b)参照)からなるnビットのデータパルスで変調した第1の周波数信号((c)参照)と、図15に示すように、第2の搬送波((d)参照)を、第1のパルス列((b)参照)をレベル反転することでローレベルのパターンの有無に情報が付与された第2のパルス列((e)参照)からなるnビットの反転データパルスで変調した第2の周波数信号((f)参照)とを、図16に示すように、互いに同期させ、かつ、第1の周波数信号((c)参照)のハイレベル相当領域、ローレベル相当領域と、第2の周波数信号((f)参照)のローレベル相当領域、ハイレベル相当領域とをそれぞれ重ね合わせた合成信号((g)参照)を、送信信号として送信する。
【0100】
すなわち、この大地帰路搬送システム101の場合、第2実施形態の場合と同様に、第1の周波数信号のハイレベル相当領域と、第2の周波数信号のローレベル相当領域とを重ね合わせ、かつ、第1の周波数信号のローレベル相当領域と、第2の周波数信号のハイレベル相当領域とを重ね合わせた合成信号を、送信信号として送信するので、合成信号の出力電圧、したがって送信信号の出力電圧は、第1の周波数信号単独または第2の周波数信号単独の場合の出力電圧から増加することがなく、出力電圧の増加にともなうコスト増加を未然に回避することができる。
【0101】
受信器170は、図17に示すように送信信号を受信し、図18に示すように、第1の搬送波を通す第1のフィルタおよび第2の搬送波を通す第2のフィルタをそれぞれ通過した第1の周波数信号((a)参照)および第2の周波数信号((b)参照)を各別に復調して、図19に示すように、得られた第1のパルス列((a)参照)または第2のパルス列((b)参照)の少なくとも一方に基づいてnビットのデータパルスを発生するものである。
【0102】
また、受信器170は、第1のフィルタおよび第2のフィルタをそれぞれ通過した第1の周波数信号および第2の周波数信号を各別に復調する際、第1の周波数信号および第2の周波数信号をそれぞれ包絡線検波するようになっている。
【0103】
また、受信器170は、第1の周波数信号および第2の周波数信号を各別に復調、包絡線検波してその復調出力のハイ/ローレベルを判別する際、ハイレベルとローレベルとの差異に応じて判別のためのスレショールドレベルを可変するようになっている。
【0104】
さらに、受信器170は、図20に示すように、第1の周波数信号を復調、包絡線検波して得られた第1のパルス列に相当するパルス列((a)参照)、および、第2の周波数信号を復調、包絡線検波して得られた第2のパルス列に相当するパルス列((b)参照)を、所定のサンプリング周期で解析し、いずれか一方のパルス列でヘッダが確認されると、第1のパルス列に相当するパルス列および第2のパルス列に相当するパルス列の双方でデータの採取を開始するようになっている。
【0105】
[第4実施形態]
次に、この発明の第4実施形態を説明する。この大地帰路搬送システム102は、2つより多い搬送波を用いる場合のものである。この場合、送信器は、複数の搬送波を2つずつ組分けし、各組の一方の搬送波をnビットのデータパルスで変調した一方の周波数信号と、nビットのデータパルスをレベル反転した反転データパルスで他方の搬送波を変調した他方の周波数信号とを、互いに同期させ重ね合わせて合成信号とし、各組の合成信号を時間的に並べて送信信号を生成するものである。
【0106】
図21に示すように、例えば、互いに異なる4つの周波数A,B,C,Dの搬送波を用いる場合、第1の搬送波をデータパルスで変調した第1の周波数信号Aと、データパルスをレベル反転した反転データパルスで第2の搬送波を変調した第2の周波数信号Bとを、互いに同期させ重ね合わせて合成信号A+Bとする。同様に、第3の搬送波をデータパルスで変調した第3の周波数信号Cと、データパルスをレベル反転した反転データパルスで第4の搬送波を変調した第4の周波数信号Dとを、互いに同期させ重ね合わせて合成信号C+Dとする。そして、合成信号A+Bと合成信号C+Dとを、時間的に並べて送信信号を生成する。
【0107】
なお、絶縁監視装置(Igr検出器)140およびデマンド監視装置50の双方を用いる場合は、絶縁監視装置(Igr検出器)140の送信部が用いる2つの搬送波の外側に、デマンド監視装置50の送信部が用いる2つの搬送波の周波数を設定することが好ましい。
【0108】
この場合の大地帰路搬送システムは、絶縁監視装置140と、周波数が異なる2つの搬送波を、絶縁監視装置140の出力信号に基づくnビットのデータパルスでそれぞれ変調した絶縁監視用送信信号を、変圧器TのB種接地線131に注入して送信する絶縁監視用送信部と、変圧器Tの低圧側電路の接地相−大地間から絶縁監視用送信信号を受信し、この受信信号を2つの搬送波の各別に復調してnビットのデータパルスを発生する絶縁監視用受信部と、デマンド監視装置50と、絶縁監視用送信部が用いる両搬送波の外側に周波数選択された2つの搬送波を、デマンド監視装置50の出力信号に基づくmビットのデータパルスでそれぞれ変調したデマンド監視用送信信号を、変圧器TのB種接地線31に注入して送信するデマンド監視用送信部と、変圧器Tの低圧側電路の接地相−大地間からデマンド監視用送信信号を受信し、この受信信号を2つの搬送波の各別に復調してmビットのデータパルスを発生するデマンド監視用受信部と、で構成される。
【0109】
以上、実施形態に基づきこの発明を説明したが、この発明は上記実施形態に限られるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、各実施形態を組み合わせるようにしてもよい。
【0110】
例えば、上記実施形態では、デマンド検出器50は2つの周波数信号を第1接地線31に注入しているが、これに限らず、3つ以上の周波数信号を注入するようにしてもよい。
【0111】
また、上記実施形態では、5ビットまたは23ビットのデータを例に説明したが、情報量は5ビットや23ビットに限らず、適宜ビット数を変更するようにしてもよい。さらに、上記実施形態では、図11に搬送異常か否かの判定例を示したが、搬送異常の判定は図11に示す例に限らず、図11に示す例以外の条件で搬送異常か否かの判定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】この発明による大地帰路搬送システムの第1実施形態を示す構成図である。
【図2】図1のデマンド検出器の詳細構成図である。
【図3】図1の受信器の詳細構成図である。
【図4】図2のCPUによるデジタル符号化を説明する図である。
【図5】電力使用量に応じたデジタル符号化の様子を示す図であり、(a)は使用電力量がデマンドに対して余裕があるときデジタル符号化の様子を示し、(b)は使用電力量がデマンドに近づいたときデジタル符号化の様子を示し、(c)は使用電力量がデマンドを超えたときデジタル符号化の様子を示している。
【図6】図2の第1変調部および第2変調部による変調の様子を示す図であり、(a)はCPUによるデジタル符号化された信号を示し、(b)はキャリア周波を示し、(c)は(a)の信号を変調した後の周波数信号を示している。
【図7】図3の復調部による復調の様子を示す図であり、(a)は周波数信号1を示し、(b)は周波数信号1を復調した後の信号を示し、(c)は周波数信号2を示し、(d)は周波数信号2を復調した後の信号を示し、(e)は周波数信号3を示し、(f)は周波数信号3を復調した後の信号を示している。
【図8】本実施形態に係る大地帰路搬送システムの耐ノイズ特性を示すグラフである。
【図9】周波数信号の受信結果を示す図である。
【図10】本実施形態に係る大地帰路搬送システムの耐ノイズ特性を示す第2のグラフである。
【図11】デマンド検出器からの情報が正常に受信されたか否かを判断するときの一例を示す図であり、(a)は第1の例を示し、(b)は第2の例を示し、(c)は第3の例を示している。
【図12】この発明による大地帰路搬送システムの第2実施形態のデマンド検出器の処理を示す図であり、(a)は第1実施形態に係るCPUの符号化の第1の例を示し、(b)は第1実施形態に係るCPUの符号化の第2の例を示し、(c)は第1実施形態に係る合成部の合成結果を示し、(d)は第2実施形態に係るCPUの符号化の第1の例を示し、(e)は第2実施形態に係るCPUの符号化の第2の例を示し、(f)は第2実施形態に係る合成部の合成結果を示している。
【図13】この発明による大地帰路搬送システムの第3実施形態を示す構成図である。
【図14】送信器側の(a)第1の搬送波、(b)第1のパルス列、(c)第1の周波数信号を示す図である。
【図15】送信器側の(d)第2の搬送波、(b)第1のパルス列、(e)第2のパルス列、(f)第2の周波数信号を示す図である。
【図16】送信器側の(c)第1の周波数信号、(f)第2の周波数信号、(g)合成信号を示す図である。
【図17】受信器側が受信する送信信号を示す図である。
【図18】受信器側の(a)第1のフィルタを通過した第1の周波数信号、(b)第2のフィルタを通過した第2の周波数信号を示す図である。
【図19】受信器側の(a)第1の周波数信号を復調、包絡線検波して得られた第1のパルス列、(b)第2の周波数信号を復調、包絡線検波して得られた第2のパルス列を示す図である。
【図20】受信器側の(a)第1のパルス列に相当するパルス列および(b)第2のパルス列に相当するパルス列のサンプリングについての説明図である。
【図21】周波数が互いに異なる4つの搬送波を用いて合成信号を生成し、送信信号を生成する説明図である。
【符号の説明】
【0113】
1,2,101,102 大地帰路搬送システム
10,110 高圧電路
20,120 低圧電路
21,121 接地電路
22,122 非接地電路
31,131 第1接地線
32,132 第2接地線
40 電力量計
50 デマンド検出器(デマンド監視装置)
51 入力インターフェイス部
52a 第1水晶発振器
52b 第2水晶発振器
53 CPU
54a 第1変調部
54b 第2変調部
55 合成部
56 電力増幅部
60 トランス
70,170 受信器
71 受信部
72 入力部
73a 第1バンドパスフィルタ
73b 第2バンドパスフィルタ
74 復調部
75 CPU
76 出力インターフェイス部
80,180 警報器
140 絶縁監視装置(Igr検出器)
150 重畳トランス
160 零相変流器(ZCT)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送波をデジタル信号で変調した送信信号を、変圧器の低圧側電路を伝搬させるためB種接地線に注入して送信する送信部と、前記変圧器の低圧側電路の接地相−大地間から前記送信信号を受信し、この受信信号を復調して前記デジタル信号を得る受信部とを備えた大地帰路搬送システムにおいて、
前記送信部は、周波数が所要間隔離れた少なくとも2つの搬送波を前記デジタル信号でそれぞれ変調して前記送信信号を生成し、
前記受信部は、前記受信信号を前記各搬送波ごとにそれぞれ復調する、
ことを特徴とする大地帰路搬送システム。
【請求項2】
前記各搬送波は、おのおの重畳する周波数ノイズの影響を互いに無視し合うことが可能なだけ少なくとも離れた周波数に設定されることを特徴とする請求項1記載の大地帰路搬送システム。
【請求項3】
送信信号を変圧器のB種接地線に注入して送信し、前記変圧器の低圧側電路の接地相−大地間から前記送信信号を受信する大地帰路搬送システムにおいて、
周波数が異なる複数の搬送波を、nビットのデータパルスでそれぞれ変調した複数の周波数信号を送信信号として送信する送信器と、
前記送信信号を受信し、複数の前記搬送波を各別に通す複数のフィルタをそれぞれ通過した複数の前記周波数信号を各別に復調して、前記データパルスを発生する受信器と、
を備えたことを特徴とする大地帰路搬送システム。
【請求項4】
前記送信器は、複数の前記搬送波を2つずつ組分けし、各組の一方の搬送波を前記データパルスで変調した一方の周波数信号と、前記データパルスをレベル反転した反転データパルスで他方の搬送波を変調した他方の周波数信号とを、互いに同期させ重ね合わせて合成信号とし、各組の前記合成信号を時間的に並べて前記送信信号を生成することを特徴とする請求項3記載の大地帰路搬送システム。
【請求項5】
送信信号を変圧器のB種接地線に注入して送信し、前記変圧器の低圧側電路の接地相−大地間から前記送信信号を受信する大地帰路搬送システムにおいて、
周波数が異なる2つの搬送波のうち第1の搬送波を、ハイレベルのパターンの有無に情報が付与された第1のパルス列からなるnビットのデータパルスで変調した第1の周波数信号と、第2の搬送波を、前記第1のパルス列をレベル反転することでローレベルのパターンの有無に情報が付与された第2のパルス列からなるnビットの反転データパルスで変調した第2の周波数信号とを、互いに同期させ、かつ、前記第1の周波数信号のハイレベル相当領域、ローレベル相当領域と、前記第2の周波数信号のローレベル相当領域、ハイレベル相当領域とをそれぞれ重ね合わせた合成信号を、送信信号として送信する送信器と、
前記送信信号を受信し、前記第1の搬送波を通す第1のフィルタおよび前記第2の搬送波を通す第2のフィルタをそれぞれ通過した前記第1の周波数信号および前記第2の周波数信号を各別に復調して、得られた前記第1のパルス列または前記第2のパルス列の少なくとも一方に基づいて前記データパルスを発生する受信器と、
を備えたことを特徴とする大地帰路搬送システム。
【請求項6】
前記送信器は、デマンド監視装置、絶縁監視装置等の情報出力手段から出力される情報に基づき、当該情報を所定のフォーマットに変換して前記データパルスを生成することを特徴とする請求項5記載の大地帰路搬送システム。
【請求項7】
前記受信器は、前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタをそれぞれ通過した前記第1の周波数信号および前記第2の周波数信号を各別に復調する際、前記第1の周波数信号および前記第2の周波数信号をそれぞれ包絡線検波することを特徴とする請求項5または請求項6記載の大地帰路搬送システム。
【請求項8】
前記受信器は、前記第1の周波数信号および前記第2の周波数信号を各別に復調してその復調出力のハイ/ローレベルを判別する際、ハイレベルとローレベルとの差異に応じて前記判別のためのスレショールドレベルを可変することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項記載の大地帰路搬送システム。
【請求項9】
前記受信器は、前記第1の周波数信号を復調して得られた前記第1のパルス列に相当するパルス列、および、前記第2の周波数信号を復調して得られた前記第2のパルス列に相当するパルス列を、所定のサンプリング周期で解析し、いずれか一方のパルス列でヘッダが確認されると、前記第1のパルス列に相当するパルス列および前記第2のパルス列に相当するパルス列の双方でデータの採取を開始することを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項記載の大地帰路搬送システム。
【請求項10】
絶縁監視装置と、
周波数が異なる2つの搬送波を、前記絶縁監視装置の出力信号に基づくnビットのデータパルスでそれぞれ変調した送信信号を、変圧器の低圧側電路を伝搬させるためB種接地線に注入して送信する送信器と、
前記変圧器の低圧側電路の接地相−大地間から前記送信信号を受信し、この受信信号を前記2つの搬送波の各別に復調して前記データパルスを発生する受信器と、
を備えたことを特徴とする大地帰路搬送システム。
【請求項11】
デマンド監視装置と、
周波数が異なる2つの搬送波を、前記デマンド監視装置の出力信号に基づくmビットのデータパルスでそれぞれ変調した送信信号を、変圧器の低圧側電路を伝搬させるためB種接地線に注入して送信する送信器と、
前記変圧器の低圧側電路の接地相−大地間から前記送信信号を受信し、この受信信号を前記2つの搬送波の各別に復調して前記データパルスを発生する受信器と、
を備えたことを特徴とする大地帰路搬送システム。
【請求項12】
絶縁監視装置と、
周波数が異なる2つの搬送波を、前記絶縁監視装置の出力信号に基づくnビットのデータパルスでそれぞれ変調した絶縁監視用送信信号を、変圧器の低圧側電路を伝搬させるためB種接地線に注入して送信する絶縁監視用送信部と、
前記変圧器の低圧側電路の接地相−大地間から前記絶縁監視用送信信号を受信し、この受信信号を前記2つの搬送波の各別に復調して前記nビットのデータパルスを発生する絶縁監視用受信部と、
デマンド監視装置と、
前記絶縁監視用送信部が用いる前記両搬送波の外側に周波数選択された2つの搬送波を、前記デマンド監視装置の出力信号に基づくmビットのデータパルスでそれぞれ変調したデマンド監視用送信信号を、変圧器の低圧側電路を伝搬させるためB種接地線に注入して送信するデマンド監視用送信部と、
前記変圧器の低圧側電路の接地相−大地間から前記デマンド監視用送信信号を受信し、この受信信号を前記2つの搬送波の各別に復調して前記mビットのデータパルスを発生するデマンド監視用受信部と、
を備えたことを特徴とする大地帰路搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−113408(P2008−113408A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141016(P2007−141016)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000114189)ミドリ電子株式会社 (5)
【Fターム(参考)】