説明

大型建造物の診断データ収集システムおよび方法

【課題】大型建造物、特に橋梁の維持管理、診断方法に用いることができる客観的且つ定量的な大型建造物の診断データ収集システム等を提供する。
【解決手段】橋梁1fの診断データ収集システム1は、無線付橋梁センサモジュール1a、データ記録装置1b、走行車両1eに搭載されたデータ収集装置1c、橋梁診断装置1dから構成される。診断のためのデータ(センサ情報)は定期的に無線付橋梁センサ1aで計測され、その結果は無線付橋梁センサ1aの無線によりデータ記録装置1bに格納される。りデータ記録装置1bに格納されたデータは、定期的に橋梁1fを走行するデータ収集装置1cを搭載した走行車両1eに転送される。データ収集装置1cに収集されたデータは、橋梁診断装置1dに入力され、橋梁1fの劣化及び/又は健全度が診断される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型建造物の診断データ収集システム等に関し、特に、橋梁等の大型建造物の劣化および健全度を診断する大型建造物の診断データ収集システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
社会資本、特に、橋梁、道路、港湾および教育施設等の大型建造物は、建造および整備されてから年数を経ると老朽化、陳腐化していくことは免れない。近い将来、これらの大型建造物に対する維持補修および更新等の費用は、建造等に対する全投資額の半分を超えるものと言われている。このため、上記大型建造物については、壊して新規に造る方法から既存の大型建造物に予防的な補修を行って、耐用年数の延長、すなわち長寿命化を図る方法に変更することにより、財政負担の軽減を図る必要性が高まってきている。
【0003】
社会資本の中でも橋梁は大規模建造物であるだけでなく、一旦、橋梁に不具合が起こったときのインパクトは交通網の遮断に繋がるため、経済的、社会的にも非常に大きい。橋梁は、ほとんどが鉄筋コンクリート製または鉄骨製であり、その設計耐用年数は50年〜60年である。2010年頃には半数以上の橋梁が架設後40年以上経過することになり、2020〜2030年頃には耐用年数50年を越える橋梁が急増することとなるため、これらの橋梁を更新しなければならないと言われている。本来、コンクリートは耐久性に富んだ材料であるため、良質な材料および高度な技術を適用すれば、1000年コンクリートの製造も不可能ではないと考えられている。その一方で、橋梁建設後20年も経たないうちに橋梁に劣化が顕在化する等といった事例があることも事実である。これらの事例の原因は、建設当時には知られていなかった劣化現象、過去の設計技術レベルが現在の状況に対応していなかったこと等が考えられている。車の大型化、交通量の増大に伴って、過去の設計時に想定した橋梁の積載重量に対して過積載となってしまっていること、大半の橋梁で採用されている鉄筋コンクリート構造には一時期塩分を規定値以上に含む砂利が使用されていたこと、橋梁の設置場所が海岸に近い場合は潮風にさらされること等を考慮すると、橋梁の耐用年数は過去の設計値よりも短縮される可能性がある。河川に架かる橋梁の場合、橋脚部分の基礎を川底に埋設して固定することにより全体の強度を出している。しかし、河川流域の開発等により森林の保水力が減少することに伴って、河川流域に降雨後の河川流速が上がるため、橋脚基礎部分の潜掘が進みやすくなっている。このため、橋梁の強度劣化を早めているケースも生じている。以上より明らかなように、今後、維持管理し補修を要する橋梁の数は急激に増大していくものと考えられる。
【0004】
従来から実施されている、橋梁、トンネル、ダム、擁壁等道路構造物、樋門・樋管等河川構造物、港湾構造物、上下水道施設等のコンクリート構造物の維持管理および診断方法は、管理者によって異なるものの、一般には以下のような方法が採用されている(非特許文献1〜5参照)。
1.定期点検・調査(一次検査):劣化程度の把握、劣化原因の推定
調査・検査方法を列挙すると、損傷・変状調査、構造物調査・点検、外観変状調査、健全度調査、外観目視検査、打音検査、赤外線法、X線法、非破壊検査、腐食調査、耐荷力調査、ひび割れ調査、コア採取、シュミットハンマー等がある。
2.劣化試験・評価・予測(二次検査):劣化の経時変化の予測、要求性能と比較して評価
(1)試験・測定方法を列挙すると、静的載荷試験、耐久性試験、応力頻度測定、材料試験、圧縮強度試験、劣化試験、非破壊試験、変位測定、疲労試験等がある。
(2)評価・判定方法を列挙すると、健全度診断(ひび割れの発生原因究明と対策の検討)、耐久性評価(中性化、塩害、アルカリ骨材反応、錆・腐食)、耐荷力評価(活荷重、疲労、温度、地震)、変位・変形検討(基礎沈下・傾斜、クリープ、側方流動、振動)等がある。
(3)予測方法を列挙すると、劣化予測(コンクリート片落下の可能性)、ライフサイクルコスト予測、耐用年数予測等がある。
3.対策の判定・選定: 補修工法、補強工法
(1)補修工法を列挙すると、表面塗布、ひび割れ注入・充填、断面修復、表面被覆、電気防食等がある。
(2)補強工法を列挙すると、打ち換え、コンクリート巻立て、鋼板接着、支持点増設等がある。
【0005】
まず、定期点検・調査の一次検査が行われ、その結果に基づき、更に詳細な二次検査を行うか否かを決める。二次検査を行う場合、劣化試験・評価・予測等を含めた破壊試験(コンクリートコアの切り出しによる断面検査等)、非破壊試験(橋脚基礎部分の洗掘の進み方の推定に用いられる衝撃振動法等)も併用される。その結果、補修、補強を施すほうが良いかどうかという判定が行われる。補修・補強を施すと判定された場合、どのような補修工法、補強工法を選定するべきかを決める。
【0006】
【非特許文献1】谷川恭雄著、「コンクリート構造物の非破壊検査・診断方法」、セメントジャーナル社、2004年9月17日発行。
【非特許文献2】小林一輔著、「コア採取によるコンクリート構造物の劣化診断法」、森北出版株式会社、2001年12月28日発行。
【非特許文献3】鈴木一孝、野尻陽一、松岡康訓共著、「コンクリートの組織構造の診断」、森北出版株式会社、1003年9月30日発行。
【非特許文献4】片脇清士著、「最新のコンクリート防食と補修技術」、山海堂株式会社、1999年9月16日発行。
【非特許文献5】魚本健人監修、「コンクリート構造物の検査・診断−非破壊検査ガイドブック」、理工図書株式会社、2003年8月11日。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
鉄筋コンクリート製橋梁に対する従来の維持管理、診断方法では、上述した打音検査または外観目視検査という非破壊検査、コンクリートコアの切り出しによる断面検査等という破壊検査が1〜2年に1回程度実施されていた。しかし、打音検査または外観目視検査等は官能検査であるため定性的であり且つ精度が低いという問題があった。検査は5年に1回程度の実施であったため、暴風雨等の緊急時に必要と考えられるリアルタイムな検査には対応できるものではないという問題があった。例えば、橋脚基礎部分の洗掘の進み方の推定は上述の衝撃振動法を用いるが、この方法は大掛かりな方法であるため日常的に橋梁の健全度データを収集できるものではないだけでなく、通常の振動以外の振動を必要とするものであるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記問題を解決するためになされたものであり、大型建造物の維持管理、診断方法に用いることができる客観的且つ定量的な大型建造物の診断データ収集システム等を提供することにある。
【0009】
本発明の第二の目的は、大型建造物の維持管理、診断方法に用いることができる日常的且つリアルタイムで常時監視可能な大型建造物の診断データ収集システム等を提供することにある。
【0010】
本発明の第三の目的は、大型建造物の維持管理、診断方法に用いることができる通常の振動を用いた大型建造物の診断データ収集システム等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の大型建造物の診断データ収集システムは、大型建造物の劣化及び/又は健全度を診断する大型建造物の診断データ収集システムであって、大型建造物の所定の部位に配置された複数の無線付橋梁センサと、複数の前記無線付橋梁センサにより計測され該無線付橋梁センサの無線機により送信されたセンサ情報を記録するデータ記録装置と、前記データ記録装置に記録され該データ記録装置の無線機により転送されたセンサ情報を収集する走行車両に搭載されたデータ収集装置と、前記データ収集装置に収集され該データ収集装置の無線機により転送されたセンサ情報に基づき大型建造物の劣化及び/又は健全度を診断する診断装置とを備え、前記無線付橋梁センサの計測は所定の測定モードにより行われることを特徴とする。
【0012】
ここで、この発明の大型建造物の診断データ収集システムにおいて、前記無線付橋梁センサは、大型建造物の外部に設置された複数の加速度センサ及び単数のひずみセンサと、大型建造物の内部に設置された単数の加速度センサ及び単数の温度センサとを備えることができる。
【0013】
ここで、この発明の大型建造物の診断データ収集システムにおいて、前記無線付橋梁センサは、大型建造物の外部に設置された複数のひずみセンサと、大型建造物の内部に設置された単数の加速度センサ及び単数の温度センサとを備えることができる。
【0014】
ここで、この発明の大型建造物の診断データ収集システムにおいて、前記無線付橋梁センサモジュールと前記データ記録装置との間の通信は微弱無線又は特定小電力無線を用いることができる。
【0015】
ここで、この発明の大型建造物の診断データ収集システムにおいて、前記データ記録装置と前記データ収集装置との間の通信は無線LANを用いることができる。
【0016】
ここで、この発明の大型建造物の診断データ収集システムにおいて、前記データ収集装置と前記診断装置の間の通信は携帯電話回線又はPHS回線を用いることができる。
【0017】
ここで、この発明の大型建造物の診断データ収集システムにおいて、前記所定の測定モードは、定期的な測定モード、連続測定モード、所定の事象発生時の振動により起動される測定モードのいずれかとすることができる。
【0018】
ここで、この発明の大型建造物の診断データ収集システムにおいて、前記大型建造物は橋梁であり、前記所定の部位は橋梁の橋脚、桁又は床版のいずれか1以上とすることができる。
【0019】
この発明の大型建造物の診断データ収集方法は、大型建造物の劣化及び/又は健全度を診断する大型建造物の診断データ収集方法であって、大型建造物の所定の部位に配置された複数の無線付橋梁センサによりセンサ情報を計測し、計測された該センサ情報を該無線付橋梁センサの無線機によりデータ記録装置へ送信し、送信された該センサ情報を前記データ記録装置により記録し、記録された該センサ情報を該データ記録装置の無線機によりセンサ情報を収集する走行車両に搭載されたデータ収集装置へ転送し、転送された該センサ情報を前記データ収集装置により収集し、収集された該センサ情報を該データ収集装置の無線機により大型建造物の劣化及び/又は健全度を診断する診断装置へ送信し、送信された該センサ情報に基づき該診断装置により大型建造物の劣化及び/又は健全度を診断するものであり、前記無線付橋梁センサの計測は所定の測定モードにより行われることを特徴とする。
【0020】
ここで、この発明の大型建造物の診断データ収集方法において、前記無線付橋梁センサは、大型建造物の外部に設置された複数の加速度センサ及び単数のひずみセンサと、大型建造物の内部に設置された単数の加速度センサ及び単数の温度センサとを備えることができる。
【0021】
ここで、この発明の大型建造物の診断データ収集方法において、前記無線付橋梁センサは、大型建造物の外部に設置された複数のひずみセンサと、大型建造物の内部に設置された単数の加速度センサ及び単数の温度センサとを備えることができる。
【0022】
ここで、この発明の大型建造物の診断データ収集方法において、前記無線付橋梁センサモジュールと前記データ記録装置との間の通信は微弱無線又は特定小電力無線を用いることができる。
【0023】
ここで、この発明の大型建造物の診断データ収集方法において、前記データ記録装置と前記データ収集装置との間の通信は無線LANを用いることができる。
【0024】
ここで、この発明の大型建造物の診断データ収集方法において、前記データ収集装置と前記診断装置の間の通信は携帯電話回線又はPHS回線を用いることができる。
【0025】
ここで、この発明の大型建造物の診断データ収集方法において、前記所定の測定モードは、定期的な測定モード、連続測定モード、所定の事象発生時の振動により起動される測定モードのいずれかとすることができる。
【0026】
ここで、この発明の大型建造物の診断データ収集方法において、前記大型建造物は橋梁であり、前記所定の部位は橋梁の橋脚、桁又は床版のいずれか1以上とすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の大型建造物の診断データ収集システム等によれば、橋梁の橋脚、桁または床版の複数位置に無線付き橋梁センサモジュールを配置し、各橋梁センサモジュールで診断に使用する加速度データ、ひずみデータおよび温度データを同時計測する。これらの橋梁データは、センサモジュール毎に無線通信によってデータ記録装置に記録することができる。また走行車両に搭載したデータ収集装置にデータ記録装置に記録されたデータを転送して橋梁データを収集することができる。収集されたデータを劣化診断装置に入力し診断することができる。この結果、大型建造物またはその構成要素の維持管理、診断方法に用いることができる客観的かつ定量的で、日常的且つリアルタイムで常時監視可能であり、大型建造物の劣化・健全度診断方法等を提供することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、各実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0029】
以下の実施例1では、大型建造物として橋梁を例にとり説明する。しかし、本発明の大型建造物の診断データ収集システム等は橋梁以外の大型建造物に対して適用可能であることは勿論である。図1は、本発明の橋梁の診断データ収集システム1の概略図を示す。図1に示されるように、橋梁1fの診断データ収集システム1は、無線付橋梁センサモジュール1a(加速度センサ、ひずみセンサまたは温度センサ等。以下では、いずれか特定のセンサを指す場合、「無線付橋梁センサ1a」とも言う。)、データ記録装置(記録装置)1b、およびデータ収集装置1c(走行車両1eに搭載)および橋梁診断装置1dから構成される。診断のためのデータ(センサ情報)は定期的に無線付橋梁センサ1aで計測され、その結果は無線付橋梁センサ1aの無線(後述)によりデータ記録装置1bに格納される。その格納データは、定期的に橋梁1fを走行するデータ収集装置1cを搭載した走行車両1eに転送される。収集されたデータは、橋梁診断装置(診断装置)1dに入力され、橋梁1fの劣化及び/又は健全度が診断される。
【0030】
無線付橋梁センサ1aを用いた橋梁1fの劣化・健全度診断では、橋梁1fを対象として橋梁1fに加える車両の振動、風圧、河川の流速圧等の外力によって生じる床版の微小変位量、振動、橋脚の振動等の橋梁1f全体の振動情報やひずみ情報をリアルタイムで計測し、その測定したデータに基づいて橋梁1fの健全状態を評価し、補修・補強工事の検査等を行う。また、橋梁1fに加えられた外力によって生じる橋梁1f全体の振動情報やひずみ情報を無線付橋梁センサモジュール1aを用いて計測し、橋梁1fの健全度を日常的、あるいは、地震等の異常事態の発生時や台風、大雨後に迅速に評価・管理を行う。
【0031】
橋梁の診断データ収集システム1における橋梁診断データ収集方法の流れは、以下のようになる。
【0032】
(1)橋梁1fの複数点に設置された無線付橋梁センサモジュール1aで橋梁1fの振動情報やひずみ情報を計測して、無線でデータ記録装置1bへ転送し診断用データの蓄積を行う。
(2)データ記録装置に蓄積された橋梁1fの振動情報やひずみ情報を走行車両1eに搭載されたデータ収集装置1bへ送信することにより、診断用データを収集する。
(3)収集した診断用データを独立成分分析等で分析し、橋梁1fの健全度を把握することにより、橋梁1fの健全度診断を行う。
【0033】
本発明の橋梁の診断データ収集システム1のデータ収集部は、図1の3つの部分で構成され、それぞれは無線橋梁センサモジュール1a、データ記録装置1b及びデータ収集装置1cである。次に、各部分について詳しく説明する。
【0034】
無線付橋梁センサモジュール1aは、外力により生じる橋梁1fの振動情報やひずみ情報を測定する装置である。無線付橋梁センサモジュール1aでは、加速度センサ、ひずみセンサ、そして温度センサの3種類のセンサ情報を橋梁センサIF(インタフェース)部に入力して、信号振幅、ブリッジによるひずみ量変換、ノイズカット(フィルタリング)等のアナログ処理を行う。また、処理された橋梁1fの振動情報やひずみ情報は、無線モジュールのA/D変換ポートにより入力され微弱無線や特定小電力無線等の無線によりデータ記録装置1bへ送信される。特定小電力無線とは、免許を必要としない無線であり、アンテナ電力が10mW以下の近距離用の無線である。通信可能な距離は約50m程度であるが、見通しが立たないような状況でも通信可能である。
【0035】
本発明では、2種類の無線付橋梁センサモジュール1aを開発した。図2および図3は、無線付橋梁センサモジュール1aの構成を示すブロック図であり、図2がタイプ1の無線付橋梁センサモジュール1aの構成を示し、図3がタイプ2の無線付橋梁センサモジュール1aの構成を示す。図2に示される無線付橋梁センサモジュール1aのタイプ1は、主に、地震、台風等の災害時における橋脚の振動測定をするため開発した。図2に示されるように、タイプ1の構成としては、外部加速度センサ2cを3式、外部ひずみセンサ3cを1式設置し、そして橋梁センサIFボード2aの中に内部加速度センサ2a−1と温度センサ2a−2とが各一式ずつ設置されるように構成されている。そして、(新)無線モジュール2bが加速度センサ2cおよび2a−1とひずみセンサ3cと温度センサ2a−2との3種類のセンサによって測定した橋梁1fの振動情報やひずみ情報や温度情報の送受信の役割を演じる。
【0036】
ここで、タイプ1の構成の考え方は、以下のようになる。外部加速度センサ2cが3式がある理由は、加速度センサの同時計測を行うために用意した。ひずみセンサ3cが1式だけある理由は、橋梁1fの上に車両が走行したのかを判定するために用意した。外部加速度センサ2cと内部加速度センサ2a−1とを分けて設定した理由は、設置点の環境やノイズの違いを把握・調査するために設定した。また、内部加速度センサ2aー1は橋梁1fに固定して1点のみ測定するために用意した。外部加速度センサは橋梁1fの同時測定したい部分を測定するために用意した。
【0037】
図3に示されるように、無線付橋梁センサモジュール1aのタイプ2は、橋梁1fのひび割れ箇所や亀裂等の劣化状況をひずみの変化で測定するために開発された。図3で図2と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため説明は省略する。タイプ2の構成は、外部に4つのひずみセンサ3cで構成されており、他の部分(内部)はタイプ1と同じ構成になっている。
【0038】
センサ3種類の決定の考え方は以下のようになる。加速度センサ2cまたは2a−1は、外力による橋梁1fの振動特性を測定する。ひずみセンサ3cは、外力による橋梁伸縮(ひずみ)を測定する。温度センサ2a−2は、環境変化(気温)によるセンサの設置状態(故障・正常等)の把握を行う。さらに、気温に対する橋梁1fの振動変化とひずみ変化を同時計測し、温度に対してデータの校正に用いる。
【0039】
橋梁1fの振動測定に適切な加速度センサ2cまたは2a−1を決定するために以下の条件を設定して選定した。加速度センサ2cまたは2a−1の条件仕様は、以下の通りである。
(1)使用温度の範囲:−25℃〜50℃
(2)応答周波数の範囲:0Hz〜500Hz
(3)3軸測定可能(3軸の中で3軸を選択)
【0040】
この条件仕様に適用できるセンサを比較して選定した。条件仕様に合い、消費電流も一番小さくてコスト安価なAnalog Devices(登録商標)社製のADXL330を選定した。加速度センサ2cまたは2a−1の感度調査のために、決定した加速度センサADXL330を用いて実験を行った。この実験は無線モジュールを用いてデータ収集間隔は10msで収集した。図4は、測定した結果データを示す。図4に示されるように、X軸方向に振ると電圧の変化が検出できた。
【0041】
ひずみセンサ3cは、長期モニタリングを目的にしているので、無線付橋梁センサモジュール1aが橋梁1fに設置する期間として5年間を想定した。そのため、外部環境に直接さらされるひずみセンサ3cは、防水が必要となる。そこで、ひずみセンサ3cの条件仕様としては、防水ができる防水型、また温度補償ができる3線式がある。この条件仕様を適用して選定したひずみセンサ3cは東京測器研究所(登録商標)のWFLMシリーズである。図5は、当該ひずみセンサ3cを示す。このひずみセンサ3cの仕様を以下に示す。
【0042】
(1)使用温度範囲:−20℃〜80℃
(2)3線式(温度補償が可能)
(3)ゲージ率(K):2.0
(4)ゲージの抵抗値:120Ω
【0043】
ゲージ率(K)とひずみ(ε)との関係は式1のように示している。式1、Lはゲージの長さ、Rはゲージの抵抗値である。
【0044】
【数1】

【0045】
ひずみセンサ3cの特性を調査するために、次のような実験を行った。この実験もデータ収集間隔は10msで設定した。ひずみセンサ3cを鉄板に貼り付けて実験を行った。図6は、ひずみセンサ3cの特性を調査した実験の結果を示す。鉄板の両端は固定して、手で鉄板に衝撃を加えると、図6に示されるような信号が得られた。
【0046】
温度センサ2a−2も加速度センサ2c等のように条件仕様を想定した。この条件仕様としては以下のようになる。
(1)安価なセンサ
(2)小消費電流
(3)小さいサイズ
【0047】
この条件仕様に適用できるセンサとして、セイコーインスツル株式会社(登録商標)(旧セイコーインスツルメント株式会社(登録商標))製のS−8110/8120Cを選定した。
【0048】
図7および図8は以上の条件に合わせて製作した無線付橋梁センサモジュール1aを示す。図7は、タイプ1、図8はタイプ2を示す。この無線付橋梁センサモジュール1aの基本仕様は以下に示す。
(1)電源電圧:+6〜12V
(2)新無線モジュール2bの電源:+3.3V
(3)消費電流:200mA以内
(4)回路内電源:3.3〜5V
(5)センサ情報出力部:マイコンのA/D変換ポート入力へ8ポート出力
(6)電源ON/OFF制御部:マイコンから1ポート入力
【0049】
データ記録装置1bは無線付橋梁センサモジュール1aに含まれている3種類のセンサ(加速度センサ2cまたは2a−1、ひずみセンサ3c、温度センサ2a−2)によって測定されたデータを記録するものである。測定されたデータは新無線モジュール2bを用いて送受信を行う。また、走行車両1eによってデータ収集するとき、走行車両1eに搭載されたデータ収集装置1c(PC)の無線LANを用いてデータ記録装置1bに記憶されたデータが受信される。
【0050】
図9はデータ記録装置1bの概要図を示す。図9に示されるように、データ記録装置1bは、無線モジュール6b、無線LAN搭載小型CPUボード6a、コンパクトディスク(測定したデータを保存する空間。不図示)で構成される。無線LAN搭載小型CPUボード6aは無線LAN(802.11b)により、走行車両1eに搭載されたデータ収集装置1c(PC)へデータアクセスを行う。
【0051】
データ記録装置1bの無線部の適用規格は、IEEE Std 802.11b、11gに準拠している。無線周波数は2.4GHz帯ISMバンドを使用する。この無線部の環境条件は、常温(10〜40℃)の周囲温度で動作する。露結や水侵入の対策として、防水筐体の中に収納する。
【0052】
図10は、データ記録装置1bの構成を示す。図10に示されるように、内部に無線LANが内蔵されている。また無線モジュール6bとの接続は外付けのUSB−RS232C変換によりシリアル通信により行う。図11はデータ記録装置1bの外形寸法を示す。
【0053】
図12はデータ記録装置1cの電源部の構成を示す。図13はデータ記録装置1cの電源部の外形寸法を示す。データ記録装置1cの電気性能は以下のようになる。
出力電圧、電流:
(1)DC 12V±0.5V、1.5A
(2)DC 5V±0.5V、0.5A
充電電圧、電流:
DC +19V、0.8Atyp.
【0054】
走行車両1eに搭載されたデータ収集装置1cは、データ記録装置1bでその記録したデータを走行車両1eによって走行しながらデータを収集する。このデータ収集装置1cは無線LANとPCとで構成される。
【0055】
図14は無線モジュール6bの構成ブロック図を示す。図14に示されるように、無線モジュール6bは、無線部14a、マイコン部14bおよび電源部14cから構成される。全体構造は、マイコン部14bと無線部14Aとの2枚の基板から構成される2層構造である。マイコン部14bは演算と入出力を担い、無線部14aは送受信のみを扱う。無線部14aに接続するアンテナ14dは、棒状アンテナを使用することが好適である。
【0056】
マイコン部14bの入出力は、アナログ信号8ch、A/D変換機能およびシリアル通信機能から構成されている。動作電圧は、3.0V付近で動作する部品が多く、またトータルの消費電力量を抑えるために3.3Vにした。データ記録装置1bと診断装置1dとの間の通信は携帯電話回線またはPHS回線を用いることができる。
【0057】
本発明の無線付橋梁センサモジュール1aを用いた橋梁診断データ収集システム1の測定条件については、次のような3つの測定モードを用意している。この3つのモードの測定条件とは、以下のとおりである。
モード1:定期測定モード
モード2:連続測定モード
モード3:異常発生時に測定モード
【0058】
ここで、モード1は定期測定モードであり、1日に1回の測定を行い、1回に5分間の測定を行うものである。モード2は連続測定モードで、ある時間と閾値を超えたデータのみを記録するものである。そしてモード3は地震または災害等の異常発生時(所定の事象発生時)に測定を行うものであり、発電用デバイスによる自発的測定を行う。そして、消費電力を節約するために、測定を行わない他の時間帯はスリープモードに設定する。
【0059】
図15は、上述した各種3つの測定モードの詳細な流れを説明する。
(1)測定モード1(定期測定)は1日1回、1回5分間(朝:7時〜8時、夕:18時等)測定する。
【0060】
無線付橋梁センサモジュール1aの動作シーケンスは以下の通りである。
1)無線モジュールIIIによって測定モードを無線モジュールIIが受信する。
2)無線モジュールIIによって橋梁センサIFボード2aの電源をオンする。
3)センサが安定してからデータを測定する。
4)同時にデータ記録装置1cに送信する。
5)5分間が経ったら電源をオフにする。
【0061】
データ記録装置1cの動作シーケンスは以下の通りである。
1)無線モジュールIIIがデータ記録装置1c内のPCから測定モードを受け取る。
2)無線モジュールIIIが新無線モジュールIIに測定モードを送信する。
3)無線付橋梁センサモジュール1aからのデータの受信を待つ。データが来ると受信してRS232CポートからCPUボードへ伝送する。
4)データを受け取ってファイルに書き込む。(データの変換)
【0062】
(2)測定モード2(連続測定)は所定の時間、閾値を超えたデータのみを記録する。
【0063】
無線付橋梁センサモジュール1aの動作シーケンスは以下の通りである。
1)新無線モジュールIIIによって測定モードを新無線モジュールIIが受信する。
2)測定モードを読んでモード2の場合、橋梁センサIFボード2aの電源をオンにする。
3)センサが安定してからデータを測定する。
4)同時にデータ記録装置に送信する。
5)測定モードがモード2以外になったら、橋梁センサIFボード2aの電源をオフにする。
【0064】
データ記録装置1cの動作シーケンスは以下の通りである。
1)新無線モジュールIIIがデータ記録装置1c内のPCポートから測定モードを受け取る。
2)新無線モジュールIIIが新無線モジュールIIに測定モードを送信する。
3)無線付橋梁センサモジュール1aからのデータの受信を待つ。
4)データが来ると受け取ってPCボードへデータを伝送する。
5)データを受け取ってファイルに書き込む。
6)閾値を超えたか否かを判定して、閾値を超えたものだけを書く。
【0065】
(3)測定モード3:異常発生時に測定する。
【0066】
無線付橋梁センサモジュール1aの動作シーケンスは以下の通りである。
1)発電用振動デバイス(不図示)によって橋梁センサIFボード2aの電源がオンになる。
2)それによって、測定条件がモード3になる。
3)安定になってからデータを測定する。
4)同時にデータ記録装置に送信する。
5)5分間が経ったら電源をオフにする。
【0067】
データ記録装置1cの動作シーケンスは以下の通りである。
1)測定モード3の場合、
2)データの受信を待つ。データが来ると受信してPCへRS2323Cポートから伝送する。
3)データを受け取ってファイルに書き込む。(データの変換)
【0068】
データ収集装置1cは、道路や橋梁1fを定期的に点検する走行車両1eに搭載され、橋梁1fを走行するだけで、自動的にデータ記録装置に蓄積されたデータを回収する。
【0069】
データ記録装置1b(サーバと呼称する)とデータ収集装置1c(以下クライアントと呼称する)とはそれぞれ無線LANのアダプタを持っている.これを利用することでデータの集積を行う。具体的にはデータ記録装置1bは簡易型のFTPソフトを起動する.そして移動体に搭載されているPC(データ収集装置1c)からのコネクションを受け付け、データを転送する。
【0070】
図16は、上述のデータ集積手順をフローチャートで示す。図16に示されるように、クライアント1cがサーバ1bに対して接続要求のコマンドを送信すると、サーバ1bから応答があり、サーバ1bとクライアント1cはコマンドとデータの二つの接続を確立する(ステップS10)。クライアント1cから転送可能なファイルのリスト要求があると、サーバ1bから転送可能な収集した橋梁データの一例であるファイルの一覧がコマンドコネクションで返される(ステップS12)。クライアント1cがその中から必要なデータを要求し、サーバ1bはデータをデータコネクションで返信する(ステップS14)。すべての送信が終わったら終了する。以上の接続はスレッドで行われ、複数の接続が同時に行える。複数のサーバ1bが存在する場合、命名規則によって分類される。
【0071】
図17は、公道でのデータ収集実験結果を示す。図17(A)は車の移動図、図17(B)は受信強度と送受信のレートとを示す。
【0072】
図18は、収集した橋梁データの一例を示す。図18(A)は主桁に設置したひずみセンサ3c、図18(B)は主桁に設置した外部加速度センサ2c、図18(C)は橋脚に設置した外部加速度センサ2cの各収集結果を示す。
【0073】
橋梁1fの劣化・健全度診断では、データ収集装置1cで収集した橋梁1fの振動データ等を用いて橋梁診断する。利用する信号処理方法は独立成分分析(ICA)やスペクトル解析等である。橋脚の診断を例に説明する。図19は橋梁診断の流れをフローチャートで示す。図19に示されるように、無線付橋梁センサモジュール1aからデータを収集する(ステップS20)。当該データを用いて独立成分分析を行い、微細信号を取り出す(ステップS22)。スペクトル解析を行って橋梁の固有振動数を抽出する(ステップS24)。すなわち、得られた橋脚の振動情報に基づいて信号処理を行う。それによって、橋脚の固有振動数を求める。橋梁1fの健全度を判定する(ステップS26)。その結果、橋梁が健全である場合、対応した処理を行い(ステップS28)、健全でない場合、維持補修を行う(ステップS30)。
【0074】
外力による橋脚の振動を測定する部位は、橋脚の複数箇所である。図20は橋脚の各部位の測定信号を示す。次に、測定して得られた橋脚の複数箇所の振動情報を独立成分分析によって、独立な振動情報を分離する。図21(A)は、独立成分分析によって抽出された独立な信号情報を示し、図21(B)はそのスペクトル解析結果示す。この結果から、橋脚の固有振動数を算定する。これによって求めた固有振動数と標準値(既存の測定データから設定した固有振動数)あるいは設計上の固有振動数とを対比することにより、橋脚の健全度を判定する。橋梁1fの健全度の判定では、式2に示すように「実測固有振動数」と「固有振動数の標準値」との比を健全度指標(α)と呼び、判定の目安は表1に示すように「建造物保守管理の標準」(鉄道総合技術研究所:建造物保守管理の標準参照)に示されている判定ランクに対応させて区分している。
【0075】
【数2】

【0076】
【表1】

【0077】
以上より、本発明の橋梁の診断データ収集システム1は、無線付橋梁センサモジュール1a、データ記録装置(記録装置)1b、データ収集装置1c(走行車両1eに搭載)、橋梁診断装置1dから構成される。診断のためのデータ(センサ情報)は定期的に無線付橋梁センサ1aで計測され、その結果は無線付橋梁センサ1aの無線によりデータ記録装置1bに格納される。その格納データは、定期的に橋梁1fを走行するデータ収集装置1cを搭載した走行車両1eに転送される。収集されたデータは、橋梁診断装置(診断装置)1dに入力され、橋梁1fの劣化及び/又は健全度が診断される。本発明の橋梁診断データ収集システム1によれば、橋梁1fの橋脚、桁または床版の複数位置に無線付き橋梁センサモジュール1aを配置し、各橋梁センサモジュール1aで診断に使用する加速度データ、ひずみデータおよび温度データを同時計測する。これらの橋梁データは、センサモジュール1a毎に無線通信によってデータ記録装置1bに記録することができる。また走行車両1eに搭載したデータ収集装置1cにデータ記録装置1bに記録されたデータを転送して橋梁データを収集することができる。収集されたデータを橋梁診断装置1dに入力し診断することができる。この結果、大型建造物またはその構成要素の維持管理、診断方法に用いることができる客観的かつ定量的で、日常的且つリアルタイムで常時監視可能であり、大型建造物の劣化・健全度診断データ収集システム等を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の活用例として、大型構造物、例えば橋梁、ビル、トンネル、ダム、擁壁等道路構造物、桶門・桶管等河川構造物、港湾構造物、上下水道施設等自体およびこれらの構成要素への適用が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の橋梁診断データ収集システム1を示す概略図である。
【図2】無線付橋梁センサモジュール1aの構成を示すブロック図である。
【図3】無線付橋梁センサモジュール1aの構成を示すブロック図である。
【図4】測定した結果データを示す図である。
【図5】ひずみセンサ3cを示す図である。
【図6】ひずみセンサ3cの特性を調査した実験の結果を示す図である。
【図7】製作した無線付橋梁センサモジュール1aを示す図である。
【図8】製作した無線付橋梁センサモジュール1aを示す図である。
【図9】データ記録装置1bの概要図である。
【図10】データ記録装置1bの構成を示す図である。
【図11】データ記録装置1bの外形寸法を示す図である。
【図12】データ記録装置1cの電源部の構成を示す図である。
【図13】データ記録装置1cの電源部の外形寸法を示す図である。
【図14】無線モジュール6bの構成ブロック図である。
【図15】各種3つの測定モードの詳細な流れを説明する図である。
【図16】データ集積手順を示すフローチャートである。
【図17】公道でのデータ収集実験結果を示す図である。
【図18】収集した橋梁データの一例を示す図である。
【図19】橋梁診断の流れを示すフローチャートである。
【図20】橋脚の各部位の測定信号を示す図である。
【図21】独立成分分析によって抽出された独立な信号情報とそのスペクトル解析結果とを示す図である。
【符号の説明】
【0080】
1 橋梁の診断データ収集システム、 1a 無線付き橋梁センサ、 1b データ記録装置、 1c データ収集装置、 1d 橋梁診断装置、 1e 走行車両、 1f 橋梁、 2a 橋梁センサIFボード、 2a−1 内部加速度センタ、 2a−2 温度センサ、 2b 無線モジュール、 2c 外部加速度センサ、 3c ひずみセンサ、 6a 無線LAN搭載小型CPUボード、 6b 無線モジュール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大型建造物の劣化及び/又は健全度を診断する大型建造物の診断データ収集システムであって、
大型建造物の所定の部位に配置された複数の無線付橋梁センサと、
複数の前記無線付橋梁センサにより計測され該無線付橋梁センサの無線機により送信されたセンサ情報を記録するデータ記録装置と、
前記データ記録装置に記録され該データ記録装置の無線機により転送されたセンサ情報を収集する走行車両に搭載されたデータ収集装置と、
前記データ収集装置に収集され該データ収集装置の無線機により転送されたセンサ情報に基づき大型建造物の劣化及び/又は健全度を診断する診断装置とを備え、
前記無線付橋梁センサの計測は所定の測定モードにより行われることを特徴とする大型建造物の診断データ収集システム。
【請求項2】
請求項1記載の大型建造物の診断データ収集システムにおいて、前記無線付橋梁センサは、大型建造物の外部に設置された複数の加速度センサ及び単数のひずみセンサと、大型建造物の内部に設置された単数の加速度センサ及び単数の温度センサとを備えたことを特徴とする大型建造物の診断データ収集システム。
【請求項3】
請求項1記載の大型建造物の診断データ収集システムにおいて、前記無線付橋梁センサは、大型建造物の外部に設置された複数のひずみセンサと、大型建造物の内部に設置された単数の加速度センサ及び単数の温度センサとを備えたことを特徴とする大型建造物の診断データ収集システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の大型建造物の診断データ収集システムにおいて、前記無線付橋梁センサモジュールと前記データ記録装置との間の通信は微弱無線又は特定小電力無線を用いることを特徴とする大型建造物の診断データ収集システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の大型建造物の診断データ収集システムにおいて、前記データ記録装置と前記データ収集装置との間の通信は無線LANを用いることを特徴とする大型建造物の診断データ収集システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の大型建造物の診断データ収集システムにおいて、前記データ収集装置と前記診断装置の間の通信は携帯電話回線又はPHS回線を用いることを特徴とする大型建造物の診断データ収集システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の大型建造物の診断データ収集システムにおいて、前記所定の測定モードは、定期的な測定モード、連続測定モード、所定の事象発生時の振動により起動される測定モードのいずれかであることを特徴とする大型建造物の診断データ収集システム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の大型建造物の診断データ収集システムにおいて、前記大型建造物は橋梁であり、前記所定の部位は橋梁の橋脚、桁又は床版のいずれか1以上であることを特徴とする大型建造物の診断データ収集システム。
【請求項9】
大型建造物の劣化及び/又は健全度を診断する大型建造物の診断データ収集方法であって、
大型建造物の所定の部位に配置された複数の無線付橋梁センサによりセンサ情報を計測し、計測された該センサ情報を該無線付橋梁センサの無線機によりデータ記録装置へ送信し、送信された該センサ情報を前記データ記録装置により記録し、記録された該センサ情報を該データ記録装置の無線機によりセンサ情報を収集する走行車両に搭載されたデータ収集装置へ転送し、転送された該センサ情報を前記データ収集装置により収集し、収集された該センサ情報を該データ収集装置の無線機により大型建造物の劣化及び/又は健全度を診断する診断装置へ送信し、送信された該センサ情報に基づき該診断装置により大型建造物の劣化及び/又は健全度を診断するものであり、前記無線付橋梁センサの計測は所定の測定モードにより行われることを特徴とする大型建造物の診断データ収集方法。
【請求項10】
請求項9記載の大型建造物の診断データ収集方法において、前記無線付橋梁センサは、大型建造物の外部に設置された複数の加速度センサ及び単数のひずみセンサと、大型建造物の内部に設置された単数の加速度センサ及び単数の温度センサとを備えたことを特徴とする大型建造物の診断データ収集方法。
【請求項11】
請求項9記載の大型建造物の診断データ収集方法において、前記無線付橋梁センサは、大型建造物の外部に設置された複数のひずみセンサと、大型建造物の内部に設置された単数の加速度センサ及び単数の温度センサとを備えたことを特徴とする大型建造物の診断データ収集方法。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれかに記載の大型建造物の診断データ収集方法において、前記無線付橋梁センサモジュールと前記データ記録装置との間の通信は微弱無線又は特定小電力無線を用いることを特徴とする大型建造物の診断データ収集方法。
【請求項13】
請求項9乃至12のいずれかに記載の大型建造物の診断データ収集方法において、前記データ記録装置と前記データ収集装置との間の通信は無線LANを用いることを特徴とする大型建造物の診断データ収集方法。
【請求項14】
請求項9乃至13のいずれかに記載の大型建造物の診断データ収集方法において、前記データ収集装置と前記診断装置の間の通信は携帯電話回線又はPHS回線を用いることを特徴とする大型建造物の診断データ収集方法。
【請求項15】
請求項9乃至14のいずれかに記載の大型建造物の診断データ収集方法において、前記所定の測定モードは、定期的な測定モード、連続測定モード、所定の事象発生時の振動により起動される測定モードのいずれかであることを特徴とする大型建造物の診断データ収集方法。
【請求項16】
請求項9乃至14のいずれかに記載の大型建造物の診断データ収集方法において、前記大型建造物は橋梁であり、前記所定の部位は橋梁の橋脚、桁又は床版のいずれか1以上であることを特徴とする大型建造物の診断データ収集方法。

【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図14】
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【図16】
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【図19】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【図13】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−255570(P2008−255570A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−95819(P2007−95819)
【出願日】平成19年3月31日(2007.3.31)
【出願人】(899000068)学校法人早稲田大学 (602)
【Fターム(参考)】