説明

大腸菌O157:H7の検出及びキャラクタリゼーションのための配列並びにそれらの使用

本発明は、核酸配列の存在に基づいての大腸菌細菌血清型O157:H7の検出及びキャラクタリゼーションの迅速な方法、特に、PCRに基づく検出方法、並びにそれに有用なオリゴヌクレオチド分子及び試薬及びキットに関する。この方法は、好ましくは、ビーフエンリッチメントなどの、食物又は水サンプル中の大腸菌O157:H7を検出するために用いられる。本発明は、さらに、本発明の方法を行うための複製組成物及びキットに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本件出願は、2009年7月22日に出願された米国仮出願第61/227,622号の利益を請求するものであり、これは、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の分野
発明の分野は、核酸配列の存在に基づく大腸菌(Escherichia coli)細菌血清型O157:H7の検出及びキャラクタリゼーションのための方法、好ましくは、PCRに基づく検出方法、並びにそれに有用なオリゴヌクレオチド分子及び試薬及びキットに関する。
【0003】
政府利益
本発明は、Agricultural Research Serviceとの共同研究開発契約(契約番号58-3K95-8-1254-M)の下で行われた。政府は、本発明において一定の権利を有し得る。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
大腸菌(E. coli)は、グラム陰性桿菌である。大腸菌の大部分の株は、良性であり、ヒト及び他の動物の通常の腸内細菌叢として見られるが、一部の株は、病原性であり、時には致死的疾患をもたらし得る。病原性大腸菌の様々な株は、それらの疫学、臨床経過、及び疾患の集団発生を引き起こす可能性の点で相違する。疾患の移動は、一般的に糞便/経口経路によってである。
【0005】
病原性は、O及びH抗原によって定義されるようないくつかの血清型に関連付けられた。異なる病原性血清型は、異なる臨床疾患経過と関連し、公衆衛生の観点から異なるレベルの懸念と関連した。疾患のいくつかの集団発生は、病原性大腸菌の食物及び水媒介供給源が原因であると突きとめられた。
【0006】
大腸菌のある血清型、特に、血清型O157:H7は、いくつかの食物及び水媒介集団発生と関連し、ゼロ容認基準で米国農務省(USDA)によって牛挽肉中の不純物として規制される。大腸菌のこの血清型は、O157-rfb遺伝子群並びにいくらかの追加の遺伝情報を含有した、大型病原性プラスミドpO157が祖先O55:H7ゲノム中へ導入された時にO55からO157へ変わった、O55:H7親株から発生したと考えられている(例えば非特許文献1を参照のこと)。
【0007】
大腸菌は遍在するので、また、血清型O157:H7は高病原性であり厳しく規制されるので、他の大腸菌血清型の存在下であっても、サンプル中の大腸菌血清型O157:H7を特異的に検出及びキャラクタライズする能力は、有用である。
【0008】
従って、サンプル中の大腸菌O157:H7の正確な検出及びキャラクタリゼーションのための検査を有することが望ましい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Lukas M. Wick, et al., Evolution of Genomic Content in the Stepwise Emergence of Escherichia coli O157:H7, Journal of Bacteriology 187:1783-91 (2005)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の概要
一局面は、サンプル中の大腸菌O157:H7の存在を検出するための方法であって、該サンプルが核酸を含み、該方法が:
(a)
(i)大腸菌O157:H7ゲノムのpO157部分の中の1つ又はそれ以上の大腸菌O157:H7ゲノムDNA領域、及び
(ii)大腸菌O157:H7ゲノムのpO157部分の外側の1つ又はそれ以上の大腸菌O157:H7ゲノムDNA領域
の少なくとも一部分を増幅するのに適したプライマー対を含む反応混合物を備える工程;
(b)工程(a)の反応混合物を使用して該サンプルの該核酸のPCR増幅を行う工程;並びに
(c)工程(b)の増幅を検出する工程であって、それによって増幅の陽性検出がサンプル中の大腸菌O157:H7の存在を示す、該工程
を含む方法についてである。
【0011】
別の局面は、配列番号4、配列番号7、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号24、配列番号25、又は配列番号26を含む、単離ポリヌクレオチドについてである。
【0012】
さらなる局面は、PCRの実行における使用のための複製組成物であって、
(a)核酸配列 配列番号4及び配列番号5を含むプライマー対;
(b)
(i)配列番号10及び配列番号12;
(ii)配列番号15及び配列番号16;及び
(iii)それらの組み合わせ
からなる群より選択される核酸配列を含む1つ又はそれ以上のプライマー対;並びに
(b)耐熱性DNAポリメラーゼ
を含んでなる、複製組成物についてである。
【0013】
さらなる局面は、PCRの実行における使用のための複製組成物であって、
(a)核酸配列 配列番号5及び配列番号6を含むプライマー対;
(b)
(i)配列番号12及び配列番号13;
(ii)配列番号16及び配列番号17;及び
(iii)それらの組み合わせ
からなる群より選択される核酸配列を含む1つ又はそれ以上のプライマー対;並びに
(b)耐熱性DNAポリメラーゼ
を含む複製組成物についてである。
【0014】
他の目的及び利点は、以下に続く詳細な説明を参照して、当業者に明らかとなる。
【0015】
配列の概要
配列番号1は、大腸菌血清型O157:H7ゲノムのpO157部分の外側の領域のヌクレオチド配列であり、この検出は、その細菌血清型の存在を特異的に示す。配列番号1又はその逆相補的配列は、以下についての結合部位を含有するか又はこれを含有するか、これと接し、配列番号4又は配列番号6と共の配列番号5又は配列番号8の使用によって増幅され得る。この領域はまた、オリゴヌクレオチド配列番号7又は配列番号9についての結合部位を含有する。
【0016】
配列番号2は、大腸菌血清型O157:H7ゲノムのpO157部分の中の領域のヌクレオチド配列であり、この検出は、その細菌血清型の存在を特異的に示す。配列番号2又はその逆相補的配列は、以下についての結合部位を含有するか又はこれを含有するか、これと接し、配列番号10又は配列番号13と共の配列番号12の使用によって増幅され得、プローブ配列番号14についての結合部位をさらに含有する。
【0017】
配列番号3は、大腸菌血清型O157:H7ゲノムのpO157部分の中の領域のヌクレオチド配列であり、この検出は、その細菌血清型の存在を特異的に示す。配列番号3又はその逆相補的配列は、以下についての結合部位を含有するか又はこれを含有するか、これと接し、配列番号15、配列番号17又は配列番号19と共の配列番号16の使用によって増幅され得、配列番号18及び配列番号20についての結合部位をさらに含有する。
【0018】
配列番号4は、大腸菌血清型O157:H7、具体的には配列番号1によって同定されるゲノムの領域の検出のためのプライマー-プローブ複合体のヌクレオチド配列である。このプライマー-プローブ複合体の3'部分は、配列番号5などの好適な3'プライマーをさらに用いる増幅反応の間などに、配列番号1又はその逆相補的配列へハイブリダイズし5'プライマーとして作用することができる。このプライマー-プローブ複合体の5'部分は、プライマー-プローブ複合体のプライマー部分の結合位置から下流(即ち、3'方向)の、かつ増幅反応において用いられる任意の3'プライマーの結合位置の上流(即ち、5'方向)の位置で、配列番号1又はその逆相補的配列へハイブリダイズすることができるセグメントを含有する。このプライマー-プローブ複合体の5'部分はまた、自己ハイブリダイズしてステム-ループ構造を形成することができる2つの自己相補的セグメント(ヌクレオチド1〜9及び38〜46)を含有する。このプライマー-プローブ複合体の5’及び3’部分は、ヌクレオチド46(「T」)とヌクレオチド47(「G」)との間で非増幅性リンカーによって分離される。この非増幅性リンカーは、このプライマー-プローブ複合体への相補鎖の伸長をブロックすることができる。
【0019】
配列番号5は、配列番号1の存在の検出及び大腸菌O157:H7の存在の続いての検出におけるプローブ又はプライマーとしての使用が可能な大腸菌血清型O157:H7のゲノムの領域のヌクレオチド配列である。この配列は、配列番号4又は配列番号6などの、好適な5'プライマーと共に3'プライマーとして使用された場合に細菌DNAとのポリメラーゼ連鎖反応においてその細菌血清型のDNAを特異的に増幅するプライマーとして好ましくは使用される。
【0020】
配列番号6は、配列番号1の存在の検出及び大腸菌O157:H7の存在の続いての検出におけるプローブ又はプライマーとしての使用が可能な大腸菌血清型O157:H7のゲノムの領域のヌクレオチド配列である。この配列は、配列番号5などの、好適な3'プライマーと共に5'プライマーとして使用された場合に細菌DNAとのポリメラーゼ連鎖反応においてその細菌血清型のDNAを特異的に増幅するプライマーとして好ましくは使用される。
【0021】
配列番号7は、配列番号1の存在の検出及び大腸菌O157:H7の存在の続いての検出におけるプローブ又はプライマーとしての使用が可能な大腸菌血清型O157:H7のゲノムの領域のヌクレオチド配列である。この配列は、配列番号6などの、好適な5'プライマー、及び配列番号5などの、好適な3'プライマーと共に使用された場合に細菌DNAとのポリメラーゼ連鎖反応においてその細菌血清型のDNAにハイブリダイズしその検出を可能にするプローブとして好ましくは使用される。
【0022】
配列番号8は、配列番号1の存在の検出及び大腸菌O157:H7の存在の続いての検出におけるプローブ又はプライマーとしての使用が可能な大腸菌血清型O157:H7のゲノムの領域のヌクレオチド配列である。この配列は、配列番号4又は配列番号6などの、好適な5'プライマーと共に3'プライマーとして使用された場合に細菌DNAとのポリメラーゼ連鎖反応においてその細菌血清型のDNAを特異的に増幅するプライマーとして好ましくは使用される。
【0023】
配列番号9は、配列番号1の存在の検出及び大腸菌O157:H7の存在の続いての検出におけるプローブ又はプライマーとしての使用が可能な大腸菌血清型O157:H7のゲノムの領域のヌクレオチド配列である。この配列は、好適な3'プライマーと共に5'プライマーとして使用された場合に細菌DNAとのポリメラーゼ連鎖反応においてその細菌血清型のDNAを特異的に増幅するプライマーとして好ましくは使用される。
【0024】
配列番号10は、大腸菌血清型O157:H7、具体的には配列番号2によって同定されるゲノムの領域の検出のためのプライマー-プローブ複合体のヌクレオチド配列である。このプライマー-プローブ複合体の3'部分は、配列番号12などの好適な3'プライマーをさらに用いる増幅反応の間などに、配列番号2又はその逆相補的配列へハイブリダイズし5'プライマーとして作用することができる。このプライマー-プローブ複合体の5'部分は、プライマー-プローブ複合体のプライマー部分の結合位置から下流(即ち、3'方向)の、かつ増幅反応において用いられる任意の3'プライマーの結合位置の好ましくは上流(即ち、5'方向)の位置で、配列番号2又はその逆相補的配列へハイブリダイズすることができるセグメントを含有する。このプライマー-プローブ複合体の5’及び3’部分は、ヌクレオチド34(「G」)とヌクレオチド35(「C」)との間で非増幅性リンカーによって分離される。この非増幅性リンカーは、このプライマー-プローブ複合体への相補鎖の伸長をブロックすることができる。
【0025】
配列番号11は、配列番号10プローブ-プライマー複合体のプローブ部分へハイブリダイズすることができるブロッキングオリゴヌクレオチドである。
【0026】
配列番号12は、配列番号2の存在の検出及び大腸菌O157:H7の存在の続いての検出におけるプローブ又はプライマーとしての使用が可能な大腸菌血清型O157:H7のゲノムの領域のヌクレオチド配列である。この配列は、配列番号10又は配列番号13などの、好適な5'プライマーと共に3'プライマーとして使用された場合に細菌DNAとのポリメラーゼ連鎖反応においてその細菌血清型のDNAを特異的に増幅するプライマーとして好ましくは使用される。
【0027】
配列番号13は、配列番号2の存在の検出及び大腸菌O157:H7の存在の続いての検出におけるプローブ又はプライマーとしての使用が可能な大腸菌血清型O157:H7のゲノムの領域のヌクレオチド配列である。この配列は、配列番号12などの、好適な3'プライマーと共に5'プライマーとして使用された場合に細菌DNAとのポリメラーゼ連鎖反応においてその細菌血清型のDNAを特異的に増幅するプライマーとして好ましくは使用される。
【0028】
配列番号14は、配列番号2の存在の検出及び大腸菌O157:H7の存在の続いての検出におけるプローブ又はプライマーとしての使用が可能な大腸菌血清型O157:H7のゲノムの領域のヌクレオチド配列である。この配列は、配列番号13などの、好適な5'プライマー、及び配列番号12などの、好適な3'プライマーと共に使用された場合に細菌DNAとのポリメラーゼ連鎖反応においてその細菌血清型のDNAにハイブリダイズしその検出を可能にするプローブとして好ましくは使用される。
【0029】
配列番号15は、大腸菌血清型O157:H7、具体的には配列番号3によって同定されるゲノムの領域の検出のためのプライマー-プローブ複合体のヌクレオチド配列である。このプライマー-プローブ複合体の3'部分は、配列番号16などの好適な3'プライマーをさらに用いる増幅反応の間などに、配列番号3又はその逆相補的配列へハイブリダイズし5'プライマーとして作用することができる。このプライマー-プローブ複合体の5'部分は、プライマー-プローブ複合体のプライマー部分の結合位置から下流(即ち、3'方向)の、かつ増幅反応において用いられる任意の3'プライマーの結合位置の好ましくは上流(即ち、5'方向)の位置で、配列番号3又はその逆相補的配列へハイブリダイズすることができるセグメントを含有する。このプライマー-プローブ複合体の5'部分はまた、自己ハイブリダイズしてステム-ループ構造を形成することができる2つの自己相補的セグメント(ヌクレオチド1〜9及び37〜45)を含有する。このプライマー-プローブ複合体の5’及び3’部分は、ヌクレオチド45(「T」)とヌクレオチド46(「A」)との間で非増幅性リンカーによって分離される。この非増幅性リンカーは、このプライマー-プローブ複合体への相補鎖の伸長をブロックすることができる。
【0030】
配列番号16は、配列番号3の存在の検出及び大腸菌O157:H7の存在の続いての検出におけるプローブ又はプライマーとしての使用が可能な大腸菌血清型O157:H7のゲノムの領域のヌクレオチド配列である。この配列は、配列番号15又は配列番号17などの、好適な5'プライマーと共に3'プライマーとして使用された場合に細菌DNAとのポリメラーゼ連鎖反応においてその細菌血清型のDNAを特異的に増幅するプライマーとして好ましくは使用される。
【0031】
配列番号17は、配列番号3の存在の検出及び大腸菌O157:H7の存在の続いての検出におけるプローブ又はプライマーとしての使用が可能な大腸菌血清型O157:H7のゲノムの領域のヌクレオチド配列である。この配列は、配列番号16などの、好適な3'プライマーと共に5'プライマーとして使用された場合に細菌DNAとのポリメラーゼ連鎖反応においてその細菌血清型のDNAを特異的に増幅するプライマーとして好ましくは使用される。
【0032】
配列番号18は、配列番号3の存在の検出及び大腸菌O157:H7の存在の続いての検出におけるプローブ又はプライマーとしての使用が可能な大腸菌血清型O157:H7のゲノムの領域のヌクレオチド配列である。この配列は、配列番号17などの、好適な5'プライマー、及び配列番号16などの、好適な3'プライマーと共に使用された場合に細菌DNAとのポリメラーゼ連鎖反応においてその細菌血清型のDNAにハイブリダイズしその検出を可能にするプローブとして好ましくは使用される。
【0033】
配列番号19は、配列番号3の存在の検出及び大腸菌O157:H7の存在の続いての検出におけるプローブ又はプライマーとしての使用が可能な大腸菌血清型O157:H7のゲノムの領域のヌクレオチド配列である。この配列は、配列番号16などの、好適な3'プライマーと共に5'プライマーとして使用された場合に細菌DNAとのポリメラーゼ連鎖反応においてその細菌血清型のDNAを特異的に増幅するプライマーとして好ましくは使用される。
【0034】
配列番号20は、配列番号3の存在の検出及び大腸菌O157:H7の存在の続いての検出におけるプローブ又はプライマーとしての使用が可能な大腸菌血清型O157:H7のゲノムの領域のヌクレオチド配列である。この配列は、好適な5'プライマーと共に3'プライマーとして使用された場合に細菌DNAとのポリメラーゼ連鎖反応においてその細菌血清型のDNAを特異的に増幅するプライマーとして好ましくは使用される。
【0035】
配列番号21は、内部コントロールプライマーとしての使用が可能なヌクレオチド配列である。この配列は、配列番号22などの、好適な3'プライマーと共に5'プライマーとして使用された場合にコントロール鋳型DNAとのポリメラーゼ連鎖反応においてDNAを特異的に増幅するプライマーとして好ましくは使用される。
【0036】
配列番号22は、内部コントロールプライマーとしての使用が可能なヌクレオチド配列である。この配列は、配列番号21などの、好適な5'プライマーと共に3'プライマーとして使用された場合にコントロール鋳型DNAとのポリメラーゼ連鎖反応においてDNAを特異的に増幅するプライマーとして好ましくは使用される。
【0037】
配列番号23は、内部コントロールTaqman(登録商標)プローブのヌクレオチド配列である。
【0038】
配列番号24は、大腸菌血清型O157:H7、具体的には配列番号2によって同定されるゲノムの領域の検出のためのTaqman(登録商標)プローブのヌクレオチド配列である。
【0039】
配列番号25は、大腸菌血清型O157:H7、具体的には配列番号1によって同定されるゲノムの領域の検出のためのTaqman(登録商標)プローブのヌクレオチド配列である。
【0040】
配列番号26は、大腸菌血清型O157:H7、具体的には配列番号3によって同定されるゲノムの領域の検出のためのTaqman(登録商標)プローブのヌクレオチド配列である。
【0041】
配列番号27は、内部コントロールプライマーとしての使用が可能なヌクレオチド配列である。この配列は、配列番号28などの、好適な3'プライマーと共に5'プライマーとして使用された場合にコントロール鋳型DNAとのポリメラーゼ連鎖反応においてDNAを特異的に増幅するプライマーとして好ましくは使用される。
【0042】
配列番号28は、内部コントロールプライマーとしての使用が可能なヌクレオチド配列である。この配列は、配列番号27などの、好適な5'プライマーと共に3'プライマーとして使用された場合にコントロール鋳型DNAとのポリメラーゼ連鎖反応においてDNAを特異的に増幅するプライマーとして好ましくは使用される。
【0043】
配列番号29は、内部コントロールスコーピオン(scorpion)プローブのヌクレオチド配列である。
【0044】
配列は、37 C.F.R. §§ 1.821-1.825(“Requirements for Patent Applications Containing Nucleotide Sequences and/or Amino Acid Sequence Disclosures - the Sequence Rules”)に従い、世界知的所有権機関(WIPO)Standard ST.25 (1998)並びにEPO及びPCTの配列表要件(規則5.2及び49.5(a-bis)、並びにAdministrative InstructionsのSection 208及びAnnex C)に一致する。ヌクレオチド及びアミノ酸配列データについて使用した記号及び形式は、37 C.F.R. § 1.822に記載される規則に従う。
【発明を実施するための形態】
【0045】
好ましい実施態様の詳細な説明
出願人は、本開示における全ての引用される参考文献の全内容を具体的に組み入れる。さらに、量、濃度、又は他の値若しくはパラメータが範囲、好ましい範囲、又は好ましい上限値及び好ましい下限値のリストとして与えられる場合、これは、範囲が別々に開示されているかどうかにかかわらず、任意の範囲上限値又は好ましい値と任意の範囲下限値又は好ましい値との任意の一対から形成される全ての範囲を具体的に開示すると理解される。数値の範囲が本明細書において記載される場合、特に記載されない限り、その範囲は、その終点、並びにその範囲内の全ての整数及び分数を含むように意図される。本発明の範囲が、範囲を定義する場合に記載される特定の値に限定されるようには、意図されない。
【0046】
定義
本開示において、多数の用語及び略語が使用される。以下の定義を提供する。
【0047】
本明細書において使用される場合、用語「約」又は「およそ」は、所定の値又は範囲の20%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内を意味する。
【0048】
用語「含む」は、用語「から本質的になる」及び「からなる」によって包含される実施態様を含むように意図される。同様に、用語「から本質的になる」は、用語「からなる」によって包含される実施態様を含むように意図される。
【0049】
用語「pO157部分」は、O55:H7祖先株とは異なるとして、また、祖先株中へ導入されO157:H7大腸菌血清型が作られたとして、例えば、Lukas M. Wick, et al., Evolution of Genomic Content in the Stepwise Emergence of Escherichia coli O157:H7, Journal of Bacteriology 187:1783-91 (2005) において同定される大腸菌O157:H7ゲノムの領域を指す。この領域は、特に、O157-rfb遺伝子群、結腸酸生合成遺伝子、及び推定1型線毛タンパク質遺伝子を含む。
【0050】
「ポリメラーゼ連鎖反応」はPCRと略される。
【0051】
用語「単離された」は、自然環境において通常はその物質を伴うか又はその物質と相互作用する成分を実質的に含まないか又はそうでなければそれらから除去されている物質、例えば、核酸分子及び/又はタンパク質を指す。単離ポリヌクレオチドは、それらが天然に生じる宿主細胞から精製され得る。当業者に公知の従来の核酸精製法が、単離ポリヌクレオチドを得るために使用され得る。用語はまた、組換えポリヌクレオチド及び化学合成されたポリヌクレオチドを包含する。
【0052】
用語「ポリヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド配列」、「核酸配列」、及び「核酸断片」は、本明細書において交換可能に使用される。これらの用語は、ヌクレオチド配列などを包含する。ポリヌクレオチドは、合成、非天然、又は改変ヌクレオチド塩基を場合により含有する、一本鎖又は二本鎖であるRNA又はDNAのポリマーであり得る。DNAのポリマーの形態のポリヌクレオチドは、cDNA、ゲノムDNA、合成DNA、又はそれらの混合物の1つ又はそれ以上の鎖から構成され得る。
【0053】
用語「増幅産物」は、プライマー指向性増幅反応の間に生成される核酸断片を指す。プライマー指向性増幅の典型的な方法としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、又は鎖置換増幅(SDA)が挙げられる。PCR法が選択される場合、複製組成物は、核酸複製のための成分、例えば:ヌクレオチド三リン酸、適切な配列を有する2つ(又はそれ以上)のプライマー、耐熱性ポリメラーゼ、バッファー、溶質、及びタンパク質を含み得る。これらの試薬、及び核酸増幅におけるそれらの使用についての手順を説明する詳細は、米国特許第4,683,202号(1987, Mullisら)及び米国特許第4,683,195号(1986, Mullisら)に提供されている。LCR法が選択される場合、核酸複製組成物は、例えば:耐熱性リガーゼ(例えば、サーマス・アクアティクス(Thermus aquaticus)リガーゼ)、隣接オリゴヌクレオチド2セット(ここで、各セットの1メンバーは、標的鎖の各々に対して相補的である)、Tris-HClバッファー、KCl、EDTA、NAD、ジチオトレイトール、及びサケ精子DNAを含み得る。例えば、Tabor et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 82:1074-1078 (1985)を参照のこと。
【0054】
用語「プライマー」は、相補鎖の合成がポリメラーゼによって触媒される条件下に置かれると相補鎖に沿っての核酸合成又は複製の開始点として作用することができるオリゴヌクレオチド(合成又は天然)を指す。プライマーは、検出可能な標識、例えば5’末端標識をさらに含有し得る。
【0055】
用語「プローブ」は、関心対象のポリヌクレオチドに対して相補的であり(しかし必ずしも完全に相補的ではない)、関心対象のポリヌクレオチドの少なくとも1つの鎖とのハイブリダイゼーションによって二本鎖構造を形成する、オリゴヌクレオチド(合成又は天然)を指す。プローブ又はプライマー-プローブ複合体は、検出可能な標識をさらに含有し得る。
【0056】
プローブは、独立したエンティティーであり得るか、又はプライマーと複合体化され得るか又はそうでなければプライマーへ結合され得、例えば、ここでは、プローブがその3'末端を介してプライマーの5'末端へリンカーによって連結され、これはヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカーであり得、、これは非増幅性リンカー、例えば、ヘキサエチレングリコール(hexethylene glycol)(HEG)又は18-炭素リンカーであり得る。このような場合において、これは、「プライマー-プローブ複合体」と呼ばれる。このようなプライマー-プローブ複合体の一例は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、米国特許第6,326,145号において見られ得、これらは、「スコーピオンプローブ」又は「スコーピオンプライマー」としばしば呼ばれる。
【0057】
本明細書において使用される場合、用語「標識」及び「検出可能な標識」は、放射性同位体、蛍光剤(fluorescer)、化学発光剤(chemiluminescer)、酵素、酵素基質、酵素補因子、酵素阻害剤、発色団、色素、金属イオン、金属ゾル、半導体ナノ結晶、リガンド(例えば、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、又はハプテン)などを含むが、これらに限定されない、検出可能な分子を指す。検出可能な標識としてはまた、レポーター及びクエンチャーの組み合わせが挙げられ得る。
【0058】
用語「レポーター」は、シグナルがクエンチャーによって抑制され得る、検出可能なシグナルを示すことができる物質又はその部分を指す。レポーターの検出可能なシグナルは、例えば、検出可能な範囲内の蛍光である。用語「クエンチャー」は、レポーターによってもたらされる検出可能なシグナルを抑制、低減、阻止などすることが可能である物質又はその部分を指す。
【0059】
本明細書において使用される場合、用語「クエンチング」及び「蛍光エネルギー移動」は、レポーター及びクエンチャーが接近しており、レポーターがエネルギー源によって励起される場合、励起状態のエネルギーの実質的な部分は非発光的に(nonradiatively)クエンチャーへ移動し、ここで、それは非発光的に消えるか又はレポーターのそれとは異なる発光波長で放出される、プロセスを指す。
【0060】
好ましくは、レポーターは、オリゴヌクレオチドへの、例えば、末端3'炭素又は末端5'炭素への、結合のための適切な連結基で修飾された蛍光性有機色素より選択され得る。クエンチャーもまた、本発明の実施態様に応じて、蛍光性であってもなくてもよい、有機色素より選択され得る。一般的に、クエンチャーが蛍光性であるか又はレポーターからの移動されたエネルギーを非放射崩壊によって単に放出するどうかに関わらず、クエンチャーの吸収バンドは、クエンチングを最適化するためにレポーターの蛍光発光バンドと少なくとも実質的に重複するべきである。非蛍光性クエンチャー又はダーククエンチャーは、励起されたレポーターからのエネルギーを吸収することによって通常機能するが、発光によってエネルギーを放出しない。
【0061】
特定のプローブについての適切なレポーター-クエンチャー対の選択は、公知の技術に従って行われ得る。蛍光性クエンチャー及びダーククエンチャー、並びに典型的なレポーター-クエンチャー対が選択され得るそれらの関連のある光学特性は、例えば、Berlman, Handbook of Fluorescence Spectra of Aromatic Molecules, 2nd ed., Academic Press, New York, 1971に列挙及び説明されており、この内容は参照により本明細書に組み入れられる。本発明におけるオリゴヌクレオチドへ付加され得る一般的な反応基による共有結合のためにレポーター及びクエンチャーを修飾する例は、例えば、Haugland, Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals, Molecular Probes of Eugene, Oreg., 1992において見られ得、この内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【0062】
好ましいレポーター-クエンチャー対は、フルオレセイン及びローダミン色素を含むキサンテン色素より選択され得る。これらの化合物の多くの適切な形態は、オリゴヌクレオチドへの結合のための結合官能性として又は結合部位として使用され得る、フェニル基上の置換基を伴って市販されている。レポーターとしての使用のための蛍光性化合物の別の好ましい群は、α又はβ位にアミノ基を有する、ナフチルアミンである。このようなナフチルアミノ化合物の中には、1-ジメチルアミノナフチル-5スルホナート、1-アニリノ-8-ナフタレンスルホナート及び2-p-トルイジニル(touidinyl)-6-ナフタレンスルホナートが含まれる。他の色素としては、3-フェニル-7-イソシアナトクマリン;アクリジン、例えば、9-イソチオシアナトアクリジン;N-(p-(2-ベンゾオキサゾリル)フェニル)マレイミド;ベンゾオキサジアゾール;スチルベン;ピレンなどが挙げられる。
【0063】
最も好ましくは、レポーター及びクエンチャーは、フルオレセイン及びローダミン色素より選択される。これらの色素及びオリゴヌクレオチドへの結合のための適切な連結法は、当技術分野において周知である。
【0064】
クエンチャーの適切な例は、6-カルボキシ-テトラメチル-ローダミン、4-(4-ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABYL)、テトラメチルローダミン(TAMRA)、各々がBiosearch Technologies, Inc., Novato, Calif.より入手可能であるBHQ-0(商標)、BHQ-1(商標)、BHQ-2(商標)、及びBHQ-3(商標)、各々がMolecular Probes, Inc.より入手可能であるQSY-7(商標)、QSY-9(商標)、QSY-21(商標)及びQSY-35(商標)などより選択され得る。
【0065】
レポーターの適切な例は、色素、例えば、SYBRグリーン、5-カルボキシフルオレセイン(Applied Biosystems, Foster City, Calif.より入手可能な5-FAM(商標))、6-カルボキシフルオレセイン(6-FAM)、テトラクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(TET)、2,7-ジメトキシ-4,5-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン、ヘキサクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(HEX)、6-カルボキシ-2',4,7,7'-テトラクロロフルオレセイン(Applied Biosystemsより入手可能な6-TET(商標))、カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、6-カルボキシ-4',5'-ジクロロ-2',7'-ジメトキシフルオレセイン(Applied Biosystemsより入手可能な6-JOE(商標))、Molecular Probes, Inc.より入手可能なVIC(商標)色素製品、Applied Biosystemsより入手可能なNED(商標)色素製品などより選択され得る。
【0066】
レポーター及びクエンチャーを含有するプローブの一例は、一分子又は二分子構造のスコーピオンプローブである。一分子スコーピオンにおいて、プライマー-プローブ複合体のプローブ部分は、プローブがその標的DNAから解放される場合に、プローブがステム-ループ構造を形成することを可能にする、自己相補的領域によって隣接されている。このような自己相補的領域の例は、配列番号4及び配列番号15において見られ得る。さらに、一分子スコーピオンにおいて、レポーターは、自己相補的領域の一方で又は付近で、例えば、スコーピオンプローブの5'末端で、通常結合されており、クエンチャーは、他方の自己相補的領域で又は付近で、例えば、非増幅性リンカーの5'に接して結合されており、その結果、クエンチャーは、プローブがそのステム-ループ構造である場合に、クエンチングを引き起こすに十分にレポーターへ接近している。二分子スコーピオンにおいて、自己相補的隣接領域は、通常、用いられず、しかしむしろ、別の「ブロッキングオリゴヌクレオチド」がスコーピオンプローブと共に用いられる。このブロッキングオリゴヌクレオチドは、プローブがその標的DNAから解放される場合、スコーピオンプローブのプローブ領域へハイブリダイズすることができる。二分子スコーピオン対の例は、配列番号10(スコーピオンプローブ)及び配列番号11(ブロッキングオリゴヌクレオチド)である。さらに、二分子スコーピオンにおいて、レポーターは、スコーピオンプローブのプローブ領域へ、例えば、スコーピオンプローブの5'末端で、通常結合されており、一方、クエンチャーは、ブロッキングオリゴヌクレオチドへ、例えば、ブロッキングオリゴヌクレオチドの3'末端で、結合されており、その結果、クエンチャーは、プローブがその標的DNAから解放されておりかつその代わりにブロッキングオリゴヌクレオチドへハイブリダイズされている場合に、クエンチングを引き起こすに十分にレポーターへ接近している。
【0067】
レポーター及びクエンチャーを含有するプローブの別の例は、Taqman(登録商標)リアルタイムPCR技術などの、5'-エキソヌクレアーゼアッセイにおいて使用されるプローブである。この文脈において、オリゴヌクレオチドプローブは、その5'末端へ隣接する十分な数のホスホジエステル結合を有し、その結果、用いられる5'→3'ヌクレアーゼ活性が、結合されたプローブを効率的に分解し、レポーター及びクエンチャーを分離させ得る。レポーター及びクエンチャーを含有するプローブのさらに別の例は、Molecular Beacon型プローブであり、これは、プローブの標的配列から解放される場合に、プローブがステム-ループ構造を形成することを可能にする自己相補的領域によって隣接されたプローブ領域を含有する。このようなプローブは、一方の末端で又は付近で結合されたレポーターと他方の末端で又は付近で結合されたクエンチャーとを通常有し、その結果、クエンチャーは、プローブがその解放形態、従ってステム-ループ形態である場合、クエンチングを引き起こすに十分にレポーターへ接近している。
【0068】
用語「複製インヒビター部分」は、核酸鎖の複製のための鎖伸長の開始をブロックするオリゴヌクレオチドの3'末端ヒドロキシル基へ結合されている、任意の原子、分子又は化学基を指す。例としては、3'-デオキシヌクレオチド(例えば、コルジセピン)、ジデオキシヌクレオチド、ホスフェート、リガンド(例えば、ビオチン及びジニトロフェノール)、レポーター分子(例えば、フルオレセイン及びローダミン)、炭素鎖(例えば、プロパノール)、ミスマッチのヌクレオチド又はポリヌクレオチド、又はペプチド核酸単位が挙げられるが、これらに限定されない。用語「非参加的な(non-participatory)」は、核酸分子の増幅についての反応におけるプローブ又はプライマーの参加の欠如を指す。具体的には、非参加的なプローブ又はプライマーは、DNA又はRNAポリメラーゼについての基質として役立たないか、又はDNA又はRNAポリメラーゼによって伸長されないものである。「非参加的なプローブ」は、本質的にポリメラーゼによって鎖伸長され得ない。それは、複製インヒビター部分を有していてもいなくてもよい。
【0069】
核酸分子は、核酸分子の一本鎖形態が温度及び溶液イオン強度の適切な条件下で他の核酸分子へアニールし得る場合、cDNA、ゲノムDNA、又はRNAなどの、別の核酸分子へ「ハイブリダイズ可能」である。ハイブリダイゼーション及び洗浄条件は、周知であり、例えば、Sambrook, J., Fritsch, E. F. and Maniatis, T., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory: Cold Spring Harbor, NY (1989)、特に第11章及びその中の表11.1(参照により本明細書に完全に組み入れられる)に例示されている。温度及びイオン強度の条件が、ハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」を決定する。相同核酸についての予備スクリーニングについて、55℃のTmに対応する低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件が使用され得る;例えば、5X SSC、0.1% SDS、0.25%ミルク、及びホルムアミド無し;又は30%ホルムアミド、5X SSC、0.5% SDS。中程度のストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、より高いTm、例えば、40%ホルムアミド、5X又は6X SSCに対応する。ハイブリダイゼーションは、2つの核酸が相補的配列を含有することを必要とするが、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに依存して、塩基間のミスマッチが可能である。核酸をハイブリダイズさせるための適切なストリンジェンシーは、当技術分野において周知の変数、核酸の長さ及び相補性の程度に依存する。2つのヌクレオチド配列間の類似性又は相同性の程度が高いほど、それらの配列を有する核酸のハイブリッドについてのTmの値は大きくなる。核酸ハイブリダイゼーションの相対的安定性(より高いTmに対応する)は、以下の順序で減少する:RNA:RNA、DNA:RNA、DNA:DNA。長さが100ヌクレオチドを超えるハイブリッドについて、Tmを計算するための等式が誘導された(Sambrook et al., 上記参照, 9.50-9.51を参照のこと)。より短い核酸、即ち、オリゴヌクレオチドを用いるハイブリダイゼーションについて、ミスマッチの位置はより重要となり、オリゴヌクレオチドの長さはその特異性を決定する(Sambrook et al., 上記参照, 11.7-11.8を参照のこと)。一つの好ましい実施態様において、ハイブリダイズ可能な核酸についての長さは、少なくとも約10ヌクレオチドである。より好ましくは、ハイブリダイズ可能な核酸についての最小の長さは、少なくとも約11ヌクレオチド、少なくとも約12ヌクレオチド、少なくとも約13ヌクレオチド、少なくとも約14ヌクレオチド、少なくとも約15ヌクレオチド、少なくとも約16ヌクレオチド、少なくとも約17ヌクレオチド、少なくとも約18ヌクレオチド、少なくとも約19ヌクレオチド、少なくとも約20ヌクレオチド、少なくとも約21ヌクレオチド、少なくとも約22ヌクレオチド、少なくとも約23ヌクレオチド、少なくとも約24ヌクレオチド、少なくとも約25ヌクレオチド、少なくとも約26ヌクレオチド、少なくとも約27ヌクレオチド、少なくとも約28ヌクレオチド、少なくとも約29ヌクレオチド、又は最も好ましくは、少なくとも30ヌクレオチドである。さらに、当業者は、温度及び洗浄溶液塩濃度は、プローブの長さなどの因子に従って必要に応じて調節され得ることを認識する。
【0070】
本明細書において使用される標準的な組換えDNA及び分子クローニング技術は、当技術分野において周知であり、例えば、Sambrook et al. (上記参照);及びAusubel, F. M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Assoc. and Wiley-Interscienceによって出版 (1987) によって記載されている。
【0071】
ゲノム検出領域
上記で議論したように、大腸菌O157:H7は、O55:H7祖先株中へのpO157プラスミドの導入によって生じた。従って、大腸菌O157:H7は、細菌ゲノム内にpO157部分を有する。大腸菌O157:H7ゲノムのこのpO157部分の内側及び外側の両方の領域の組み合わせの検出が、大腸菌の他の血清型のバックグラウンドにおいてでさえも、大腸菌O157:H7を検出する高感度かつ正確な方法をもたらすことが見出された。
【0072】
従って、本発明は、ゲノムのpO157部分の外側の1つ又はそれ以上の大腸菌O157:H7ゲノムDNA領域の存在の検出と共の、ゲノムのpO157部分の中の1つ又はそれ以上の大腸菌O157:H7ゲノムDNA領域の存在の検出による、大腸菌O157:H7の検出及び同定に関する。好ましくは、大腸菌O157:H7の検出は、配列番号2及び3のうちの1つ又はそれ以上、より好ましくは両方と共に配列番号1の存在を検出するための方法の使用によって行われる。本発明の検出方法は、任意のタイプのサンプル中の、例えば、食物検査、環境検査、又はヒト若しくは動物の診断検査について適切なサンプル中の、大腸菌O157:H7の検出において有用である。これらの領域を検出するための適切な方法の例が本明細書に含まれているが、本発明は、記載される方法に限定されないことが理解される。むしろ任意の適切な方法が、これらのDNA領域及び続いて大腸菌自体を検出するために用いられ得る。
【0073】
オリゴヌクレオチド
大腸菌DNA領域 配列番号1〜3並びに大腸菌血清型O157:H7の続いての検出及び同定のために、オリゴヌクレオチドを開発した。本発明のオリゴヌクレオチドは、配列番号4〜20及び24〜26に記載される。
【0074】
本発明のオリゴヌクレオチドは、PCR増幅のためのプライマーとして使用され得る。プライマーとしての使用について好ましいオリゴヌクレオチドは、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号19、及び配列番号20である。特に好ましいプライマー対、並びにそれらの対応の標的、ブロッキングオリゴヌクレオチド、及びプローを、表1に示す。
【0075】
【表1】

【0076】
これらのプライマー及びプローブの各々を、大腸菌O157:H7ゲノムのその対応の領域の配列分析に基づいて設計した。プライマー設計をソフトウェアプログラムによって助けなかった。
【0077】
これらのオリゴヌクレオチドプライマーはまた、リガーゼ連鎖反応(LCR)(Backman et al., 1989, EP 0 320 308;Carrino et al., 1995, J. Microbiol. Methods 23: 3-20);核酸配列ベース増幅(NASBA)(Carrino et al., 1995, 上記参照);及び自家持続配列複製(3SR)及び「Qレプリカーゼ増幅」(Pfeffer et al., 1995 Veterinary Res. Comm. 19: 375-407)などの、他の核酸増幅法について有用であり得る。
【0078】
本発明のオリゴヌクレオチドプライマーはまた、検出可能な標識、例えば5'末端標識をさらに含有し得る。
【0079】
さらに、本発明のオリゴヌクレオチドはまた、ハイブリダイゼーションプローブとして使用され得る。好ましいハイブリダイゼーションプローブは、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号14、配列番号15、配列番号18、配列番号24、配列番号25、及び配列番号26である。DNAプローブを使用するハイブリダイゼーションは、食物、臨床及び環境サンプル中の病原体の検出のためにしばしば使用され、方法は、当業者に一般的に知られている。プローブハイブリダイゼーションの感度及び特異性の程度は、以前に記載された増幅技術によって行われるものよりも低いことが一般的に認識されている。本発明の核酸プローブはまた、検出可能な標識、例えば、スコーピオンプローブアッセイにおいて又は5'-エキソヌクレアーゼ検出アッセイ、例えば、Taqman(登録商標)アッセイにおいて用いられるようなレポーター-クエンチャー組み合わせを有し得る。
【0080】
核酸プローブの3'末端ヌクレオチドは、本発明の一実施態様において、核酸ポリメラーゼによる伸長が不可能にされ得る。このようなブロッキングは、例えば、連結部分による核酸プローブの末端3'炭素へのレポーター又はクエンチャーなどの複製インヒビター部分の結合によって、又は3'-末端ヌクレオチドをジデオキシヌクレオチドにすることによって、行われ得る。あるいは、核酸プローブの3'末端は、オリゴヌクレオチドの3'末端上へ1つ又はそれ以上の修飾ヌクレオチド間結合を組み入れることによって、ポリメラーゼの3'→5'伸長活性に対して鈍感にされ得る。最小限には、3'末端ヌクレオチド間結合は修飾されなければならず、しかし、さらなるヌクレオチド間結合が修飾されてもよい。核酸プローブの3'末端からの伸長を妨げる及び/又はPCRの間DNAポリメラーゼの3'→5'エキソヌクレアーゼ活性をブロックするヌクレオチド間修飾としては、ホスホロチオエート結合、メチルホスホネート結合、ボラノホスフェート結合、及び他の同様のポリメラーゼ耐性ヌクレオチド間結合が挙げられ得る。プローブの3'伸長をブロックする代替法は、Basu et al., Biochemistry 32:4708-4718, 1993に記載されるような、マイトマイシンC又は他の同様の抗腫瘍性抗生物質を使用してプローブの3'末端で付加物を形成することである。従って、核酸プローブの3'末端が切断から保護される正確なメカニズムは、クエンチャーが核酸プローブから切断されない限り、重要でなはい。
【0081】
核酸プローブ配列はまた、増幅に基づく検出技術において、例えば3'-エキソヌクレアーゼアッセイにおいて、本発明のプライマー配列対と共に、場合により用いられ得る。好ましいプライマー/プローブ組み合わせを表1に示す。
【0082】
本発明のあるオリゴヌクレオチドは、プライマー領域及びプローブ領域の両方を含有し、従って、スコーピオンプローブアッセイなどの適切なアッセイにおいてプライマー-プローブ複合体として用いられ得る。本発明のこのようなプライマー-プローブ複合体の例としては、配列番号4、配列番号10、及び配列番号15が挙げられる。本発明のこれらのプライマープローブ複合体は、プローブ領域の3'末端をプライマー領域の5'末端へ連結する非増幅性リンカーを含有する。この非増幅性リンカーは、相補鎖の伸長がプライマー-プローブ複合体のプローブ領域中へ進むことを妨げる。このような非増幅性結合の例としては、ヘキサエチレングリコール(HEG)、及び、好ましくは、18-炭素リンカーが挙げられる。本発明のプライマー-プローブ複合体はまた、プローブがその標的DNAから解放される場合にプライマー-プローブ複合体がステム-ループ構造を形成することを可能にする自己相補的領域を含有し得、これは、例えば、レポーターシグナルをクエンチさせるに十分に互いへレポーター及びクエンチャーを接近させることにおいて、有用であり得る。自己相補的領域を有するこのようなプライマー-プローブ複合体の例としては、配列番号4及び配列番号15が挙げられる。好ましくは、配列番号4は、Quasar670レポーターで5'末端標識されており、さらに、このプライマー-プローブ複合体のプローブ領域の3'末端で又は付近でBHQ2クエンチャーを有する(例えば、ヌクレオチド46へ結合されている)。好ましくは、配列番号15は、Calfluor Orange 560レポーターで5'末端標識されており、さらに、このプライマー-プローブ複合体のプローブ領域の3'末端で又は付近でBHQ1クエンチャーを有する(例えば、ヌクレオチド45へ結合されている)。ある場合において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、プライマー-プローブ複合体と共に用いられ得、このブロッキングオリゴヌクレオチドは、プローブ領域がその標的DNAから解放される場合、プライマー-プローブ複合体のプローブ領域へハイブリダイズすることができる。レポーターがプライマー-プローブ複合体へ結合されており、クエンチャーがブロッキングオリゴヌクレオチドへ結合されている場合、これは、クエンチングを生じさせるに十分に互いへレポーター及びクエンチャーを接近させ得る。例えば、配列番号11は、プライマー-プローブ複合体配列番号10へハイブリダイズすることができるブロッキングオリゴヌクレオチドである。好ましくは、配列番号10は、6FAMレポーターで3'末端標識されており、一方、配列番号11は、BHQ1クエンチャーで5'末端標識されている。
【0083】
アッセイ方法
配列番号1〜3によって同定される大腸菌O157:H7ゲノムDNA領域の検出、及び大腸菌O157:H7自体の存在の続いての検出は、任意の適切な様式で行われ得る。好ましい方法は、プライマー指向性増幅法及び核酸ハイブリダイゼーション法である。これらの方法は、例えば、汚染が疑われる動物、環境、又は食物供給源由来の、複雑なマトリックス又は精製培養物であるサンプル中の大腸菌O157:H7を検出するために使用され得る。
【0084】
本発明の好ましい実施態様は、(1)非選択的増殖培地において複雑なサンプル混合物を培養し、標的細菌を蘇生させること、(2)トータル標的細菌DNAを放出させること、及び(3)本発明のプライマー対を用いての、及び検出可能な標識を含む核酸プローブを場合により用いての、増幅プロトコルへ、トータルDNAを供することを含む。
【0085】
プライマー指向性増幅アッセイ方法
熱サイクル法(例えば、PCR、RT-PCR、及びLCR)、並びに等温法及び鎖置換増幅(SDA)を含む、本発明において用いられ得る様々なプライマー指示核酸増幅法が、当技術分野において公知である。好ましい方法はPCRである。一つの好ましい実施態様において、表1に列挙されるプライマー対が、配列番号1〜3の検出並びに続いて大腸菌O157:H7の検出及び同定のためのプライマー指示核酸増幅における使用のためのプライマーとして使用され得る。
【0086】
サンプル調製:
本発明に従うオリゴヌクレオチド及び方法は、サンプル調製の必要なしに、任意の適切な臨床又は環境サンプルを用いて直接使用され得る。より高い感度を達成するために、及び時間が制限因子ではない状況においては、サンプルを前処理し、プレ増幅富化を行うことが好ましい。
【0087】
食物媒介性細菌病原体の検出についての最低限度の業界基準は、Andrews et al., 1984, “Food Sample and Preparation of Sample Homogenate”, Chapter 1 in Bacteriological Analytical Manual, 8th Edition, Revision A, Association of Official Analytical Chemists, Arlington, VAに記載されるように、食物マトリックス25 g中1つの病原体細胞の存在を確実に検出する方法である。この厳しい基準を満たすために、富化法及び培地が開発され、生化学的、免疫学的又は核酸ハイブリダイゼーション手段によるその検出を容易にするために、標的病原体細胞の増殖が増強された。典型的な富化手順は、標的細菌の増殖及び健康を増強させ、さらに存在するバックグラウンドあるいは非標的微生物の増殖を阻害する培地を用いる。例えば、USDAは、病原性大腸菌について検査される牛挽肉のサンプルの富化のためのプロトコルを記載した(米国食品医薬品局, Bacterial Analytical Manual)。
【0088】
選択培地が様々な細菌病原体について開発され、当業者は、富化される特定の生物、例えば大腸菌O157:H7について適切な培地を選択することを知っている。非選択的培地の全般的な議論及びレシピは、Association of Analytical Chemists, Suite 400, 2200 Wilson Blvd, Arlington, VA 22201-3301によって出版及び供給されたFDA Bacteriological Analytical Manual. (1998)に記載されている。
【0089】
選択的増殖後、複雑な混合物のサンプルをさらなる分析のために取り出す。このサンプリング手順は、当業者に周知の様々な手段によって行われ得る。好ましい実施態様において、富化培養物5μlを取り出し、プロテアーゼを含有する溶解溶液200μlへ添加する。BAX(登録商標)System User's Guide, DuPont Qualicon, Inc., Wilmington, DEに記載される通りに、溶解溶液を37℃で20分間加熱し、続いて95℃で10分間プロテアーゼ不活性化を行う。
【0090】
PCRアッセイ法:
サンプル中において配列番号1〜3及び続いて大腸菌O157:H7の存在を検出するための好ましい方法は、(a)表1に列挙されるプライマー対を使用して、配列番号1〜3のうちの2つ又はそれ以上、好ましくは3つ全てのPCR増幅を行い、PCR増幅結果を作る工程:並びに(b)増幅を検出し、それによって、増幅の陽性検出がサンプル中の大腸菌O157:H7の存在を示す工程を含む。
【0091】
別の好ましい実施態様において、PCR増幅を行う前に、サンプルを調製する工程が行われ得る。調製工程は、以下のプロセスの少なくとも1つを含み得る:(1)細菌富化、(2)サンプルからの細菌細胞の分離、(3)細胞溶解、及び(4)トータルDNA抽出。
【0092】
増幅条件:
当業者は、一般的に受け入れられているPCR条件が、本発明のオリゴヌクレオチドを使用して、配列番号1〜3及び標的大腸菌O157:H7細菌を首尾よく検出するために使用され得、検査されるサンプル及び他の実験条件に応じて、PCR条件の型通りの最適化が、最適な感度及び特異性を達成するために必要であり得ることを理解する。最適には、それらは、他の非標的種についてはPCR結果を提供しない一方、意図した特定の標的の全てからPCR増幅結果を達成する。
【0093】
検出/検査/分析:
配列番号1〜3のプライマー指向性増幅産物は、様々な方法を使用して分析され得る。均一系検出は、テンプレート又はプライマーからの増幅産物の(例えば、ゲル電気泳動による)分離が必要でない、増幅産物の検出のための好ましい方法を指す。均一系検出は、増幅の間又は増殖の直後に反応混合物の蛍光のレベルを測定することによって、通常行われる。さらに、検出の間又は前に増幅産物の分離を必要とする、不均一系検出法が、本発明において用いられ得る。
【0094】
均一系検出は、本発明のプライマー対を使用して、「リアルタイム」プライマー指示核酸増幅及び検出を行うために用いられ得る(例えば、「リアルタイム」PCR及び「リアルタイム」RT-PCR)。好ましい「リアルタイム」法は、米国特許第6,171,785号、第5,994,056号、第6,326,145号、第5,804,375号、第5,538,848号、第5,487,972号、及び第5,210,015号に記載されており、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0095】
特に好ましい「リアルタイム」検出法は、米国特許第6,326,145号に記載されるようなスコーピオンプローブアッセイであり、これは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。スコーピオンプローブアッセイにおいて、PCR増幅は、プライマー-プローブ複合体としてスコーピオンプローブ(一分子又は二分子のいずれか)を使用して行われ、スコーピオンプローブは、レポーターの検出可能なシグナルがプライマーの伸長の前にはクエンチされることを可能にする適切なレポーター-クエンチャー対を有する。伸長後、クエンチング効果は除去され、存在するシグナルの量が定量化される。増幅産物の量が増加するにつれて、検出可能なシグナルの等価な増加が観察され、従って、存在する増幅産物の量が、測定される検出可能なシグナルの量の関数として測定されることが可能となる。1つを超えるスコーピオンプローブ、例えば、関心対象の3つのDNA領域(配列番号1〜3)の各々に対して向けられるものが、本発明のスコーピオンプローブアッセイにおいて用いられる場合、各プローブは、結合された異なる検出可能な標識(例えば、レポーター-クエンチャー対)を有し得、従って、各プローブが他のプローブと独立して検出されることが可能である。
【0096】
本発明の好ましい実施態様において、配列番号1〜3の3つ全ての増幅及び検出が、区別をつけて標識されたスコーピオンプローブを使用して行われる。配列番号1は、配列番号5と共に配列番号4を使用して好ましくは増幅及び検出され、配列番号4は、5'末端で結合されたQuasar 670レポーター、及び非増幅性リンカー、好ましくは18-炭素リンカーの直ぐ上流に(即ち、5’方向に)結合されたBHQ2クエンチャーを有する。配列番号2は、配列番号11及び配列番号12と共に配列番号10を使用して好ましくは増幅及び検出され、配列番号10は、5'末端で結合された6FAMレポーターを有し、配列番号11は、その3'末端で結合されたBHQ1クエンチャーを有する。配列番号3は、配列番号16と共に配列番号15を使用して好ましくは増幅及び検出され、配列番号15は、5'末端で結合されたCalfluor Orange 560レポーター、及び非増幅性リンカー、好ましくは18-炭素リンカーの直ぐ上流に(即ち、5’方向に)結合されたBHQ1クエンチャーを有する。
【0097】
別の好ましい「リアルタイム」検出法は、米国特許第5,804,375号、第5,538,848号、第5,487,972号、及び第5,210,015号に記載されるような、5'-エキソヌクレアーゼ検出法であり、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。5'-エキソヌクレアーゼ検出アッセイにおいて、修飾されたプローブがPCRの間に用いられ、これは、増幅プライマー対の2つのメンバーの間又は中間に(intermediate to)結合する。修飾されたプローブは、レポーター及びクエンチャーを有し、PCRの間にそれが標的核酸配列とハイブリダイズしたことを示すための検出可能なシグナルを発するように設計される。レポーター及びクエンチャーの両方がプローブ上にある限り、クエンチャーは、レポーターが検出可能なシグナルを放出することを妨げる。しかし、ポリメラーゼが増幅の間プライマーを伸長するにつれて、ポリメラーゼの内因性5'→3'ヌクレアーゼ活性はプローブを分解し、クエンチャーからレポーターを分離し、検出可能なシグナルが放出されることが可能になる。一般的に、増幅サイクルの間に発生される検出可能なシグナルの量は、各サイクルにおいて生成される生成物の量に比例する。
【0098】
クエンチングの効率はレポーター及びクエンチャーの近接の強い関数である、即ち、2つの分子がより接近するほど、クエンチング効率は増加することが周知である。クエンチングはレポーター及びクエンチャーの物理的近接に強く依存するので、レポーター及びクエンチャーは、好ましくは、互いの数個のヌクレオチド以内に、通常、互いの30ヌクレオチド以内に、より好ましくは約6〜16ヌクレオチド離れて、プローブへ結合されている。通常、この分離は、レポーター-クエンチャー対の一方のメンバーをプローブの5'末端へ、他方のメンバーを約6〜16ヌクレオチド離れたヌクレオチドへ結合することによって達成される。
【0099】
再び、1つを超えるTaqman(登録商標)プローブ、例えば、関心対象の3つのDNA領域(配列番号1〜3)の各々に対して向けられるものが、本発明の5'-エキソヌクレアーゼ検出アッセイにおいて用いられる場合、各プローブは、結合された異なる検出可能な標識(例えば、レポーター-クエンチャー対)を有し得、従って、各プローブが他のプローブと独立して検出されることが可能である。本発明の好ましいTaqman(登録商標)プローブとしては、配列番号2、配列番号1、及び配列番号3をそれぞれ検出する、配列番号24〜26が挙げられる。
【0100】
均一系検出の別の好ましい方法は、特にDuPont Qualicon Inc.製のBAX(登録商標)Systemハードウェア及び試薬錠剤を用いての、DNA融解曲線分析の使用を必要とする。システムの詳細は、米国特許第6,312,930号及びPCT公開公報第WO 97/11197号及び第WO 00/66777号に提供されており、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0101】
融解曲線分析は、選択された時点で各増幅サイクルの間、標的増幅産物(「標的アンプリコン」)の蛍光をモニタリングすることによって二本鎖核酸分子(「dsDNA」又は「標的」)を検出及び定量化する。
【0102】
当業者に周知であるように、温度がその融解温度よりも高い場合、dsDNAの2つの鎖は分離又は融解する。dsDNA分子の融解はプロセスであり、所定の溶液条件下で、融解がある温度(以後TMSと記載)で始まり、別の温度(以後TMEと記載)で完了する。よく知られている用語であるTmは、融解の50%が完了する温度を示す。
【0103】
典型的なPCRサイクルは、標的dsDNAが融解する変性段階と、プライマーが現在一本鎖の標的へ結合するために温度が最適であるプライマーアニーリング段階と、DNAポリメラーゼが機能するために温度が最適である鎖伸長段階(温度TEで)とを含む。
【0104】
本発明によれば、TMSはTEよりも高いべきであり、TMEは、DNAポリメラーゼが熱不活性化される温度よりも低い(しばしば実質的に低い)べきである。融解特性は、所定のdsDNA分子の固有特性、例えば、デオキシヌクレオチド組成及びdsDNAの長さによって影響される。
【0105】
インターカレーティング色素は、二本鎖DNAへ結合する。色素/dsDNA複合体は、色素に依存する光の適切な励起波長へ曝されると蛍光を発し、蛍光の強度は、dsDNAの濃度に比例し得る。dsDNAを検出及び定量化するためのDNAインターカレーティング色素を利用する方法は、当技術分野において公知である。多くの色素が、これらの目的について当技術分野において公知であり使用されている。本方法はまた、このような関係を利用する。
【0106】
このようなインターカレーティング色素の例としては、SYBR Green-I(登録商標)、臭化エチジウム、ヨウ化プロピジウム、TOTO(登録商標)-1{キノリニウム, 1-1'-[1,3-プロパンジイルビス[(ジメチルイミノ(dimethyliminio))-3,1-プロパンジイル]]ビス[4-[(3-メチル-2(3H)-ベンゾチアゾリリデン)メチル]]-, テトラヨージド}、及びYoPro(登録商標){キノリニウム, 4-[(3-メチル-2(3H)-ベンゾオキサゾリリデン)メチル]-1-[3-(トリメチルアンモニオ)-プロピル]-, ジヨード}が挙げられるが、これらに限定されない。本発明について最も好ましいのは、Molecular Probes, Inc. (Eugene, OR)製の、SYBR Green-I(登録商標)などの非非対称シアニド色素である。
【0107】
温度を増加させながら蛍光の変化をモニタリングすることによって、融解曲線分析は達成される。温度が標的アンプリコンに特異的なTMSに達すると、dsDNAは変性し始める。dsDNAが変性すると、インターカレーティング色素はDNAから解離し、蛍光が減少する。温度に対してプロットされた温度の変化で除した、蛍光の対数の変化の負の数学的解析から、融解曲線として公知のグラフピークが得られる。
【0108】
本発明は、これらの技術の組み合わせを使用して、例えば、スコーピオンプローブをある標的領域へ向けさせ、Taqman(登録商標)プローブを第2の標的領域へ向けさせることによって、操作され得ることが理解されるべきである。本発明は上述の技術に限定されないことがまた理解されるべきである。むしろ、当業者は、当技術分野において公知であるような増幅を検出するための他の技術も使用され得ることを認識する。例えば、PCRに基づく定量的配列検出(QSD)などの技術は、核酸プローブを使用して行われ得、これは、溶液中において一本鎖状態で存在する場合、レポーター及びクエンチャーがレポーターの発光を実質的にクエンチするに十分に接近するように、構成されている。しかし、インタクトなレポーター-クエンチャー核酸プローブと増幅された標的核酸配列とのハイブリダイゼーション時に、レポーター及びクエンチャーは互いに十分に離れる。結果として、クエンチングは実質的に弱められ、検出される蛍光発光の増加を引き起こす。
【0109】
均一系検出法に加えて、本発明において用いられ得る様々な他の不均一系検出法が当技術分野において公知であり、これらとしては、標準非変性ゲル電気泳動(例えば、アクリルアミド又はアガロース)、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動、及び温度勾配ゲル電気泳動が挙げられる。標準非変性ゲル電気泳動は、シンプルかつ迅速なPCR検出法であるが、全ての適用について適切ではない場合がある。
【0110】
変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)は、小さなDNA断片(200〜700 bp)の変性挙動の差異を検出する分離法である。分離の原理は、断片長及びヌクレオチド配列の両方に基づく。同一の長さである断片において、1つの塩基対ほどの僅かな差異も検出することができる。これは、DNA断片がサイズによってのみ分離される非変性ゲル電気泳動とは対照的である。DNA分子間の電荷密度の差異がほぼ中性であり、それらの分離においてほとんど役割を果たさないために、非変性ゲル電気泳動のこの制限が生じる。DNA断片のサイズが増大するにつれて、ゲルを通るその速度は減少する。
【0111】
DGGEは、それらの変性プロフィール及び配列に基づいて同一サイズのDNA断片を分離するために主として使用される。DGGEを使用して、熱又は化学的変性剤が適用されると、DNA分子の2つの鎖は、分離するか、又は融解する。DNA二本鎖の変性は2つの因子によって影響を受ける:1)相補塩基対(complimentary base pair)間に形成される水素結合(何故ならば、GCリッチ領域は、ATリッチである領域よりも高い変性条件で融解するため);及び2)同一鎖の隣接する塩基間の引力、又は「スタッキング」。従って、DNA分子は、それらのヌクレオチド配列によって決定されるそれらの個々の特徴的な変性条件の各々でいくつかの融解ドメインを有し得る。DGGEは、特定の変性ドメイン内のたった1つのヌクレオチドを除いては、同一の長さ及びDNA配列を有する他の点では同一のDNA分子が、異なる温度又はTmで変性するという事実を利用する。従って、二本鎖(ds)DNA断片が、漸増する化学的変性剤の勾配を通って電気泳動される場合、それは、変性し始め、構造変化及び流動性変化の両方を受ける。dsDNA断片は、変性された一本鎖(ss)DNA断片よりも速く移動し、何故ならば、分子の一本鎖部分の分岐構造は、ゲルマトリックス中において絡まるためである。変性環境が増加するにつれ、dsDNA断片は完全に解離し、ゲルを通る分子の流動性は、DNA鎖の特定の低変性ドメインが解離する変性剤濃度で妨害される。実際には、電気泳動は、一定の温度(約60℃)で行われ、化学的変性剤は、DNA分子の100%を変性させる濃度(即ち、40%ホルムアミド及び7M尿素)で使用される。この可変の変性勾配は、各DGGEゲルの組成が0%変性剤から100%変性剤へ徐々に変化するように、勾配メーカーを使用して作られる。当然ながら、縮小した範囲の変性剤(例えば、35%〜60%)を含有する勾配もまた、DNAの増加した分離について注がれ得る。
【0112】
DGGEにおいて使用される原理はまた、化学的変性剤勾配の代わりに温度勾配を使用する第2法へ適用され得る。この方法は、温度勾配ゲル電気泳動(TGGE)として公知である。この方法は温度勾配を使用し、dsDNAからssDNAへの構造変化を誘発し、異なる配列を有する等しいサイズの断片を分離する。DGGEにおけるように、異なるヌクレオチド配列を有するDNA断片は、ゲル中の異なる位置で不動となる。プライマー設計のバリエーションは、PCR産物のキャラクタリゼーション及び同定についてDGGEの有用性を増加させることにおいて利益を得るために使用され得る。プライマー設計バリエーションを使用するこれらの方法及び原理は、PCR Technology Principles and Applications, Henry A. Erlich Ed., M. Stockton Press, NY, pages 71 to 88 (1988) に記載されている。
【0113】
器械使用:
均一系検出が用いられる場合、蛍光のレベルは、例えば、ABI Prism Model 7500 Fast Sequence Detectorなどの、レーザー蛍光光度計を使用して、好ましくは測定される。しかし、サンプル中の蛍光のレベルを測定するための同様の検出システムが、本発明に含まれる。
【0114】
試薬及びキット:
任意の形式の任意の適切な核酸複製組成物(「複製組成物」)が使用され得る。PCR増幅のための典型的な複製組成物は、例えば、dATP、dCTP、dGTP、dTTP、標的特異的プライマー、及び適切なポリメラーゼを含み得る。
【0115】
複製組成物が液体形態である場合、当技術分野において公知の適切なバッファーが使用され得る(Sambrook, J. et al., 上記参照)。
【0116】
あるいは、複製組成物が錠剤形態で含有される場合、安定剤及び結合剤などの典型的な錠剤化試薬が含まれ得る。好ましい錠剤化技術は、米国特許第4,762,857号及び第4,678,812号に記載されており、これらの各々は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0117】
本発明の好ましい複製組成物は、表1より選択される(a)少なくとも1つのプライマー対、及び(b)耐熱性DNAポリメラーゼを含む。別の好ましい複製組成物は、(a)異なる標的DNA領域へ各々が向けられた、表1より選択される少なくとも2つのプライマー対;及び(b)耐熱性DNAポリメラーゼを含む。より好ましいのは、配列番号1〜3の3つ全てへ向けられたプライマー対を含むことである。
【0118】
本発明のより好ましい複製組成物は、(a)表1より選択される少なくとも2つのプライマー対及び任意の対応のプローブ又はブロッキングオリゴヌクレオチド、ここで、用いられる各核酸プローブ又はプライマー-プローブ複合体は、検出可能な標識を含む;及び(b)耐熱性DNAポリメラーゼを含む。好ましくは、検出可能な標識は、検出可能なシグナルを放出することができるレポーターと、レポーター及びクエンチャーが互いに十分に接近している場合、レポーターを実質的にクエンチし、検出可能なシグナルの放出を妨げることができる、クエンチャーとを含む。
【0119】
本発明の好ましいキットは、上記の複製組成物のいずれか1つを含む。本発明の好ましい錠剤は、上記の複製組成物のいずれか1つを含む。より好ましくは、本発明のキットは、上述の好ましい錠剤を含む。
【0120】
ある場合において、内部ポジティブコントロールが、反応に含まれ得る。内部ポジティブコントロールは、コントロール鋳型核酸(例えば、DNA又はRNA)、コントロールプライマー、及びコントロール核酸プローブを含み得る。PCR反応内に含まれる内部ポジティブコントロールの利点は、以前に記載されており(米国特許第6,312,930号及びPCT出願第WO 97/11197号;これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)、以下を含む:(i)コントロールは、単一のプライマーを使用して増幅され得る;(ii)コントロール増幅産物の量は、サンプル中に含有される標的DNA又はRNAから独立している;(iii)コントロールDNAは、手動及び自動テスト手順の両方における使い容易さ及び高度の再現性のために他の増幅試薬と共に錠剤化され得る;(iv)コントロールは、均一系検出で、即ち、反応物から生成物DNAを分離することなく、使用され得る;並びに(v)内部コントロールは、反応中の他の可能性のある増幅産物とは異なる融解プロフィール、及び/又は、標的へ向けられた核酸プローブ上の検出可能な標識とは異なるコントロール核酸上の検出可能な標識を有する。
【0121】
コントロールDNAは、プライマー指向性増幅反応において増幅を可能にするための適切なサイズ及び塩基組成のものである。コントロール鋳型DNA配列は、大腸菌ゲノムから、又は他の供給源から得られ得るが、標的増幅産物の増幅を可能にする同一条件下で再現性良く増幅されなければならない。
【0122】
好ましいコントロール配列としては、例えば、Taqman(登録商標)アッセイについての、コントロールプライマーSV4219(配列番号21)及びSV4313(配列番号22)及びプローブSV40Probe3(配列番号23)、並びにスコーピオンアッセイについての、コントロールプライマーSV40-33-4312(配列番号27)及びSV40-29-4222(配列番号28)及びコントロールプローブSV40スコーピオン1(配列番号29)が挙げられる。
【0123】
コントロール反応は、増幅反応を確認するために有用である。コントロールDNAの増幅は、試験されるサンプルと同一の反応管内で起こり、従って、サンプルが標的陰性である場合、即ち、標的増幅産物が産生されない場合、首尾よい増幅反応を示す。増幅反応の顕著な確認を達成するために、コントロールDNA鋳型の適切な数のコピーが、各増幅反応に含まれなければならない。
【0124】
ある場合、追加のネガティブコントロール複製組成物を含むことが有用であり得る。ネガティブコントロール複製組成物は、複製組成物と同一の試薬を含有するが、ポリメラーゼを含有しない。このようなコントロールの主な機能は、方法が蛍光検出手段を用いる場合に、均質形式での擬似バックグラウンド蛍光をモニタリングすることである。
【0125】
複製組成物は、それらが標的DNA又はコントロールDNAを増幅するために使用されるように設計されるかどうかに応じて、修飾され得る。標的DNAを増幅する複製組成物(テスト複製組成物)は、(i)ポリメラーゼ(一般的に耐熱性)、(ii)標的DNAへハイブリダイズすることができるプライマー対、及び(iii)増幅反応が進行するために必要なバッファーを含み得る。コントロールDNAを増幅する複製組成物(ポジティブコントロール又はポジティブ複製組成物)は、(i)ポリメラーゼ(一般的に耐熱性);(ii)コントロールDNA;(iii)コントロールDNAへハイブリダイズすることができる少なくとも1つのプライマー;及び(iv)増幅反応が進行するために必要なバッファーを含み得る。さらに、標的DNA又はコントロールDNA増幅のための複製組成物は、検出可能な標識を好ましくは有する、核酸プローブを含有し得る。
【0126】
核酸ハイブリダイゼーション法
プライマー指向性増幅アッセイ法に加えて、核酸ハイブリダイゼーションアッセイ法が、大腸菌O157:H7の検出のために本発明において用いられ得る。核酸ハイブリダイゼーションテストの基本成分は、プローブ、大腸菌O157:H7を含有することが疑われるサンプル、及び特定のハイブリダイゼーション法を含む。通常、プローブ長は、僅か5塩基から大腸菌診断配列の全長まで変化し得、行われる特定のテストに依存する。プローブ分子の一部だけが、検出される核酸配列に対して相補的である必要がある。さらに、プローブと標的配列との相補性は完全である必要はない。ハイブリダイゼーションは、不完全に相補的な分子間で生じ、ハイブリダイズされた領域中のある一部の塩基が適切な相補的塩基と対形成されていないという結果を伴う。
【0127】
核酸ハイブリダイゼーション法において特に有用なプローブは、配列番号4〜20又は24〜26、又はそれらから誘導される配列のいずれかである。
【0128】
サンプルは、大腸菌O157:H7を含有してもしなくてもよい。サンプルは、様々な形態をとり得るが、一般的に、汚染が疑われる動物、環境又は食物供給源から抽出される。DNAは直接検出され得るが、最も好ましくは、プローブ及び標的分子のハイブリダイゼーションが生じ得る前に、サンプル核酸は、プローブと接触するために利用可能にされなければならない。従って、生物のDNAは、好ましくは、細胞を含まず、ハイブリダイゼーションが生じ得る前に適切な条件下に置かれる。溶液内ハイブリダイゼーションの方法は、サンプルDNAとプローブとのハイブリダイゼーションを得ることができるために、DNAの精製を必要とする。これは、サンプル中の標的配列の溶液内検出法の利用が、サンプルの核酸が、タンパク質、脂質、及び他の細胞成分を除去するために先ず精製され、次いでハイブリダイゼーション条件下でプローブと接触されなければならないことを必要とすることを意味した。サンプル核酸の精製法は、一般的であり、当技術分野において周知である(Sambrook et al., 上記参照)。
【0129】
一つの好ましい実施態様において、ハイブリダイゼーションアッセイは、核酸を抽出する必要性無しに、細胞溶解物に対して直接行われ得る。これは、サンプル取り扱いプロセスからいくつかの工程を省き、アッセイを迅速化する。粗製細胞溶解物に対してこのようなアッセイを行うために、カオトロピック剤が、上述のように調製された細胞溶解物へ通常添加される。カオトロピック剤は、ヌクレアーゼ活性を阻害することによって核酸を安定させる。さらに、カオトロピック剤は、室温でのDNAへの短いオリゴヌクレオチドプローブの高感度かつストリンジェントなハイブリダイゼーションを可能にする(Van Ness and Chen, Nucl. Acids Res. 19:5143-5151 (1991))。適切なカオトロピック剤としては、特に、塩化グアニジウム、チオシアン酸グアニジウム、チオシアン酸ナトリウム、テトラクロロ酢酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、テトラクロロ酢酸ルビジウム、ヨウ化カリウム、及びトリフルオロ酢酸セシウムが、挙げられる。通常、カオトロピック剤は、約3Mの最終濃度で存在する。必要に応じて、ホルムアミドが、通常30-50% (v/v)で、ハイブリダイゼーション混合物へ添加され得る。
【0130】
あるいは、プローブハイブリダイゼーション前に、サンプル核酸は精製され得る。様々な方法が当業者に公知である(例えば、フェノール-クロロホルム抽出、IsoQuick抽出(MicroProbe Corp., Bothell, WA)など)。プレハイブリダイゼーション精製が、標準フィルターハイブリダイゼーションアッセイについて特に有用である。さらに、精製は、自家持続配列複製(例えば、Fahy et al., PCR Methods and Applications, Cold Spring Harbor Laboratory: Cold Spring Harbor, NY (1991), pp. 25-33を参照のこと)又は逆転写酵素PCR(Kawasaki, PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications, M. A. Innis et al., Eds., (1990), pp. 21-27)などの、インビトロRNA増幅法を組み入れることによって、アッセイ感度を増加させる手段を容易にする。
【0131】
DNAが放出されると、それは任意の様々な方法によって検出され得る。しかし、最も有用な実施態様は、速度、利便性、感度及び特異性の少なくともいくつかの特徴を有する。
【0132】
ハイブリダイゼーション法は、当技術分野において周知である。通常、プローブ及びサンプルは、核酸ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で混合されなければならない。これは、適切な濃度及び温度条件下で、無機塩又は有機塩の存在下において、プローブ及びサンプルを接触させることを含む。プローブ及びサンプル核酸は、プローブ及びサンプル核酸間の可能性のあるハイブリダイゼーションが生じ得る十分に長い時間接触されなければならない。混合物中のプローブ又は標的の濃度は、ハイブリダイゼーションが生じるために必要な時間を決定する。プローブ又は標的濃度が高くなるほど、必要とされるハイブリダイゼーションインキュベーション時間は短くなる。
【0133】
様々なハイブリダイゼーション溶液が用いられ得る。通常、これらは、極性有機溶媒の、約20〜60%体積、好ましくは30%を構成する。一般的なハイブリダイゼーション溶液は、約30〜50% v/vホルムアミド、約0.15〜1M塩化ナトリウム、約0.05〜0.1M緩衝剤、例えば、クエン酸ナトリウム、Tris-HCl、PIPES又はHEPES(pH範囲約6〜9)、約0.05〜0.2%界面活性剤、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、又は0.5〜20 mM EDTA、FICOLL (Pharmacia Inc.)(約300〜500キロダルトン)、ポリビニルピロリドン(約250〜500 kdal)、及び血清アルブミンを用いる。さらに、典型的なハイブリダイゼーション溶液中には、非標識担体核酸約0.1〜5 mg/mL、断片化核DNA(例えば、ウシ胸腺又はサケ精子DNA、又は酵母RNA)、及び場合により約0.5〜2% wt/volグリシンが含まれる。様々な極性水溶性又は膨潤性の薬剤を含む体積排除剤(volume exclusion agent)(例えば、ポリエチレングリコール)、アニオン性ポリマー(例えば、ポリアクリレート又はポリメチルアクリレート)、及びアニオン性糖ポリマー(例えば、硫酸デキストラン)などの、他の添加剤もまた含まれ得る。
【0134】
核酸ハイブリダイゼーションは、様々なアッセイ形式へ適合可能である。最も適切なものの1つは、サンドイッチアッセイ形式である。サンドイッチアッセイは、非変性条件下でのハイブリダイゼーションへ特に適合可能である。サンドイッチタイプアッセイの主成分は、固体支持体である。固体支持体は、標識されておらずかつDNA配列のある部分に対して相補的である、それへ吸着されているか又はそれへ共有結合されている固定核酸プローブを有する。
【0135】
サンドイッチアッセイは、アッセイキットに含まれ得る。このキットは、汚染が疑われるサンプルの収集のための第1成分、並びにサンプルの分配及び溶解のためのバッファーを含む。第2成分は、標的及びプローブポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションのための、並びに洗浄による望ましくなくかつ二本鎖でない形態の除去のための、乾燥又は液体形態の媒体を含む。第3成分は、配列番号1〜3のうちの1つ又はそれ以上に対して相補的である非標識核酸プローブが、その上に固定されている(又はそれへ結合されている)固体支持体(ディップスティック)を含む。第4成分は、第3成分の固定化非標識核酸プローブがハイブリダイズされる同一のDNA鎖の第2及び異なる領域に対して相補的である標識プローブを含有する。
【0136】
好ましい実施態様において、配列番号4〜20又はその誘導体は、均質又は不均質アッセイ形式で、3'ブロックされた検出プローブとして使用され得る。例えば、これらの配列から作製されたプローブは、3'ブロックされているか又は非参加的であり得、核酸増幅反応によって伸長されないか、又は核酸増幅反応に関与しない。従って、プローブは、検出可能なシグナルを生じるレポーターとして又はプローブ/分析物ハイブリッドの固定のための結合点として機能する反応性リガンドとして役立ち得る標識を組み入れる。従って、大腸菌汚染が疑われるサンプルから単離されたゲノム又はcDNAは、増幅産物を産生するために過剰の3'ブロックされた検出プローブの存在下で標準プライマー指向性増幅プロトコルによって増幅される。プローブは3'ブロックされているので、それは、標的の増幅に関与も干渉もしない。最終増幅サイクル後、検出プローブは、増幅されたDNAの関連部分へアニールし、アニールされた複合体は、次いで、反応性リガンドによって支持体上に捕らえられる。
【0137】
ある場合において、支持体上でのPCR反応産物の固定、次いで標識プローブ試薬による固定産物の検出を容易にするための複製組成物中の標識プローブと共に、リガンド標識dNTPを組み入れることが望ましい。例えば、ビオチン、ジゴキシゲニン、又はジゴキシン標識dNTPが、PCR反応組成物へ添加され得る。PCR産物中に組み入れられたビオチン、ジゴキシゲニン、又はジゴキシンは、次いで、ストレプトアビジン(strepavidin)、抗ジゴキシン抗体又は抗ジゴキシゲニン抗体支持体上にそれぞれ固定され得る。固定されたPCR産物は、次いで、プローブ標識の存在によって検出され得る。
【実施例】
【0138】
実施例
本発明を下記の実施例においてさらに説明する。これらの実施例は、本発明の好ましい実施態様を示す一方、例示のためにのみ与えられることが、理解されるべきである。
【0139】
実施例において使用される一般的な方法及び材料
細菌培養物の維持及び増殖に適した材料及び方法は、当技術分野において周知である。下記の実施例における使用に適した技術は、Manual of Methods for Genus Bacteriology (Phillipp Gerhardt, R. G. E. Murray, Ralph N. Costilow, Eugene W. Nester, Willis A. Wood, Noel R. Krieg and G. Briggs Phillips, eds), American Society for Microbiology, Washington, DC (1994)又はThomas D. Brock in Biotechnology: A Textbook of Industrial Microbiology, Second Edition (1989) Sinauer Associates, Inc., Sunderland, MA又はBacteriological Analytical Manual. 6th Edition, Association of Official Analytical Chemists, Arlington, VA (1984)において見られ得る。
【0140】
病原性大腸菌株及び比較上の非標的株を増殖するために使用した培地は、BBL(Becton-Dickenson)から得られたブレインハートインフージョンブロス(BHI)であった。病原性大腸菌株のサンプルを、BHIブロス中において一晩増殖させた培養物から得、次いで0.1%ペプトン水中およそ106 cfu/mlへ希釈した。比較上の非標的株のサンプルをおよそ109 cfu/mlでBHIにおいて富化した。
【0141】
プライマー及びプローブ(配列番号4〜29)は、Sigma-Genosys, Woodlands, TXによって作製された。
【0142】
全てのPCR反応を、標準BAX(登録商標)System (DuPont Qualicon, Wilmington, DE)を使用して行った。
【0143】
略語の意味は以下の通りである:「h」は時間を意味し、「min」は分を意味し、「sec」は秒を意味し、「d」は日を意味し、「ml」はミリリットルを意味し、「μl」はマイクロリットルを意味し、「cfu」は、コロニー形成単位を意味する。
【0144】
実施例1
Taqman(登録商標)アッセイによる個々の標的の包含性/排他性の測定
生物のサンプルを分析し、本発明の個々のTaqman(登録商標)プローブの包含性及び排他性を確立した。一晩増殖させた純粋な培養物は、8X108〜2X109 cfu/mlの細胞密度を達成した。包含性については、独立した真正の大腸菌O157:H7分離株を使用し;排他性については、非O157:H7大腸菌を使用し、アッセイが標的生物(O157:H7)と他の大腸菌とを識別することを確実にした。
【0145】
DNA溶解物調製
試験した材料は、食品エンリッチメント(BAX(登録商標)MPアッセイについてのBAX(登録商標)システムユーザーガイドに記載されるように調製した牛挽肉エンリッチメント)又はBHI培地中37℃での大腸菌O157:H7分離株の一晩増殖物のいずれかであった。試験される材料20μlを、BAX(登録商標)溶解試薬200μl(DuPont Qualicon, Wilmington, DE)へ添加した。混合物を37℃で20分間インキュベートし、次いで95℃で10分間インキュベートし、最後に5℃へ冷却した。
【0146】
PCR条件
上記で調製したDNA溶解物30μlを使用し、凍結乾燥PCR反応成分を水和し、表2に列挙されるプライマー及びプローブを含有するDNA溶解物/PCR反応成分混合物を得た。
【0147】
【表2】

【0148】
このDNA溶解物/PCR反応成分混合物をPCR反応混合物へ添加した。PCR増幅反応において使用した試薬は、BAX(登録商標)System Reagent Tablet Kits (DuPont Qualicon, Wilmington, DE)からであり、SYBR(登録商標)Green (Molecular Probes, Eugene, OR)、Taq DNAポリメラーゼ(Applied Biosystems, Foster City, CA)、デオキシヌクレオチド(Roche Diagnostics, Indianapolis, IN)、及びバッファー(EM Science, New Jersey)を含んだ。
【0149】
増幅及び試験をBAX(登録商標)Q7機(DuPont Qualicon, Wilmington, DE)において行った。熱サイクル条件は以下であった:94℃で2分、続いて94℃で10秒及び60℃で30秒を40サイクル;各サイクルでの60℃工程の間に蛍光シグナルをキャプチャーした。
【0150】
結果
下記の表3において見られ得るように、個々のTaqman(登録商標)プローブを使用して、本発明の方法は、O157:H7大腸菌株と非O157:H7大腸菌株とをほぼ完全に識別することができた。
【0151】
【表3】

【0152】
【表4】

【0153】
【表5】

【0154】
【表6】

【0155】
実施例2
スコーピオンアッセイによる個々の標的の包含性/排他性の測定
生物のサンプルを分析し、本発明の個々のスコーピオンプローブの包含性及び排他性を確立した。一晩増殖させた純粋な培養物は、8X108〜2X109 cfu/mlの細胞密度を達成した。包含性については、独立した真正の大腸菌O157:H7分離株を使用し;排他性については、非O157:H7大腸菌を使用し、アッセイが標的生物(O157:H7)と他の大腸菌とを識別することを確実にした。
【0156】
DNA溶解物調製
試験した材料は、食品エンリッチメント(BAX(登録商標)MPアッセイについてのBAX(登録商標)システムユーザーガイドに記載されるように調製した牛挽肉エンリッチメント)又はBHI培地中37℃での大腸菌O157:H7分離株の一晩増殖物のいずれかであった。試験される材料20μlを、BAX(登録商標)溶解試薬200μl(DuPont Qualicon, Wilmington, DE)へ添加した。混合物を37℃で20分間インキュベートし、次いで95℃で10分間インキュベートし、最後に5℃へ冷却した。
【0157】
PCR条件
上記で調製したDNA溶解物30μlを使用し、凍結乾燥PCR反応成分を水和し、表5に列挙されるプライマー及びプローブを含有するDNA溶解物/PCR反応成分混合物を得た。
【0158】
【表7】

【0159】
配列番号15(WBDRスコーピオン1プローブ)を、修飾を含まない全配列として配列表に示す。この実施例について、WBDRスコーピオンプローブは、配列番号15中のヌクレオチド番号45の後に、内部BHQ1クエンチャー及びSP-18ブロッカー、続いて残りの42ヌクレオチドを有する。同様に、配列番号4(SIS1スコーピオン1プローブ)を、修飾を含まない全配列として配列表に示す。この実施例について、SIS1スコーピオンプローブは、配列番号4中のヌクレオチド番号46の後に、内部BHQ2クエンチャー及びSP-18ブロッカー、続いて残りの40ヌクレオチドを有する。さらに、配列番号29(SV40スコーピオン1プローブ)を、修飾を含まない全配列として配列表に示す。この実施例について、SV40スコーピオンプローブは、配列番号29中のヌクレオチド番号52の後に、内部BHQ2クエンチャー及びSP-18ブロッカー、続いて残りの26ヌクレオチドを有する。
【0160】
DNA溶解物/PCR反応成分混合物をPCR反応混合物へ添加した。PCR増幅反応において使用した試薬は、BAX(登録商標)System Reagent Tablet Kits (DuPont Qualicon, Wilmington, DE)からであり、SYBR(登録商標)Green (Molecular Probes, Eugene, OR)、Taq DNAポリメラーゼ(Applied Biosystems, Foster City, CA)、デオキシヌクレオチド(Roche Diagnostics, Indianapolis, IN)、及びバッファー(EM Science, New Jersey)を含んだ。
【0161】
増幅及び試験をBAX(登録商標)Q7機(DuPont Qualicon, Wilmington, DE)において行った。熱サイクル条件は以下であった:94℃で2分、続いて94℃で10秒及び63℃で40秒を40サイクル;各サイクルでの63℃工程の間に蛍光シグナルをキャプチャーした。
【0162】
結果
下記の表6において見られ得るように、個々のスコーピオンプローブを使用して、本発明の方法は、O157:H7大腸菌株と非O157:H7大腸菌株とをほぼ完全に識別することができた。
【0163】
【表8】

【0164】
【表9】

【0165】
【表10】

【0166】
【表11】

【0167】
実施例3
スコーピオンアッセイによるSIS1及びwbdr標的の組み合わせの包含性/排他性の測定
生物のサンプルを分析し、本発明の多数のスコーピオンプローブの組み合わせの包含性及び排他性を確立した。包含性については、独立した真正の大腸菌O157:H7分離株を使用し;排他性については、非O157:H7大腸菌を使用し、アッセイが標的生物(O157:H7)と他の大腸菌とを識別することを確実にした。包含性及び排他性試験を、上述のようにBAX(登録商標)Q7機において行った。
【0168】
テストパネル
包含性パネルを、Pennsylvania State University Department of Veterinary Science E.coli Reference Center及びDuPont Qualicon培養物コレクションから大部分得た。分離株は、広範囲の診断及び非診断サンプルに由来した。包含性株(n=61)は、遺伝的にはO157:H7であったO157:H-非運動性の株5つ、マイナージェネティッククレード「クラスターA」を1つ、及び遺伝的にはO157:H7であるO-ラフ表現型1つを含んだ。非大腸菌、大腸菌非O157:H7及び大腸菌O157非H7株の排他性パネル(n=72)をDuPont Qualicon培養物コレクションから選択した。これらの分離株の大部分は、自然に汚染された食物サンプルから又は動物供給源からもとは得られ、必要に応じて、全てのアイデンティフィケーションを生化学的に及び/又は血清学的に確認した。
【0169】
DNA溶解物調製
培養物をBHI寒天上に純度のために置いた。各株について、1つのコロニーを、BHIブロス(排他性試験)又はテストブロスエンリッチメント(包含性試験)を含有するチューブへ接種した。培養物を35℃で一晩インキュベートし、およそ109細菌細胞/mLの細胞密度に達した。排他性試験について、培養物を希釈せずに試験した。包含性試験について、培養物を、アッセイの要求される感度を約1 log超える105 cfu/mLへ希釈した。試験される材料20μlを、BAX(登録商標)溶解試薬200μl(DuPont Qualicon, Wilmington, DE)へ添加した。混合物を37℃で20分間インキュベートし、次いで95℃で10分間さらにインキュベートし、最後に5℃へ冷却した。
【0170】
PCR条件
上記で調製したDNA溶解物30μlを使用し、凍結乾燥PCR反応成分を水和し、表8に列挙されるプライマー及びプローブを含有するDNA溶解物/PCR反応成分混合物を得た。
【0171】
【表12】

【0172】
配列番号15(WBDRスコーピオン1プローブ)を、修飾を含まない全配列として配列表に示す。この実施例について、WBDRスコーピオンプローブは、配列番号15中のヌクレオチド番号45の後に、内部BHQ1クエンチャー及びSP-18ブロッカー、続いて残りの42ヌクレオチドを有する。同様に、配列番号4(SIS1スコーピオン1プローブ)を、修飾を含まない全配列として配列表に示す。この実施例について、SIS1スコーピオンプローブは、配列番号4中のヌクレオチド番号46の後に、内部BHQ2クエンチャー及びSP-18ブロッカー、続いて残りの40ヌクレオチドを有する。さらに、配列番号29(SV40スコーピオン1プローブ)を、修飾を含まない全配列として配列表に示す。この実施例について、SV40スコーピオンプローブは、配列番号29中のヌクレオチド番号52の後に、内部BHQ2クエンチャー及びSP-18ブロッカー、続いて残りの26ヌクレオチドを有する。
【0173】
DNA溶解物/PCR反応成分混合物を、ヌクレオチド、Taqポリメラーゼ及び反応バッファーを含む典型的なPCR成分を含むPCR反応混合物へ添加し、PCRを行った。
【0174】
増幅及び試験をBAX(登録商標)Q7機(DuPont Qualicon, Wilmington, DE)において行った。熱サイクル条件は以下であった:94℃で2分、続いて94℃で10秒及び63℃で40秒を40サイクル;各サイクルでの63℃工程の間に蛍光シグナルをキャプチャーした。
【0175】
結果
下記の表9及び10に示されるように、大腸菌O157:H7の分離株は全て、陽性結果を与え、一方、非大腸菌及びO157:H7ではない大腸菌は全て、陰性と判定された。
【0176】
【表13】

【0177】
【表14】

【0178】
【表15】

【0179】
【表16】

【0180】
【表17】

【0181】
実施例4
ビーフトリム(beef trim)サンプル中での本発明の検出法対USDA標準法の比較感度
1:5のサンプル対培地比を使用してのビーフトリムサンプル375グラム中の1-3 CFUの大腸菌O157:H7を一貫して検出する本発明のO157:H7検出テスト及び方法の能力を検証するために、この研究を行った。
【0182】
材料及び方法:
3つのアッセイ実行の各々において、25個の375gビーフトリムサンプルに、大腸菌O157:H7(DuPontコレクションからのDD1450株)を、サンプル375g当たり1.5 CFUの標的でスパイクした。スパイクされていない培地コントロールを各実行において同様に実行した。各実行を異なる日に行った。United States Department of Agriculture's Microbiology Laboratory Guidebook (USDAMLG)に記載されるように、確認プロセス(CT-SMAC上での平板培養)を簡単にするために、大腸菌O157:H7においてより一般的に見られる表現型(亜テルル酸塩耐性、ソルビトール非発酵性、及び平板培養前にIMSによってルーチン的に検出可能とそれをするに十分なO抗原の発現)を示す大腸菌O157:H7の単一の分離株を使用して、スパイキングを行った。
【0183】
使用される株について単一のコロニーをストリークプレートから選び出し、ブレインハートインフージョン(BHI)培地10 mLに接種するために使用し、37℃で24±2hインキュベートした。この一晩増殖物を使用まで(24〜48時間)5℃で保存し、一方、連続希釈をペプトン水中において行い、37℃で24±2時間インキュベートされたBHI寒天プレート上において希釈物を平板培養することによって、コロニー形成単位の数を測定した。30〜300コロニーを有する希釈物からのプレートを、培養物のCFU/mL測定のために使用した。次いで、培養物を連続的に希釈し、10〜1000μLの接種物体積を有する接種物体積当たり1.5 CFUの標的接種物を作製した。BHI寒天プレート上において使用した各培養物についてのサンプル接種物体積の三重の平板培養、続いての37℃での18〜24時間のインキュベーション及びコロニーのカウンティングによって、接種時にスパイクレベルを確認した。
【0184】
n=60表面サンプル分析についてのトリムカットの375グラムアリコートを、接種前の12〜14時間2〜8℃で維持した。さらに、培養物を24時間2〜8℃で維持し、その後、ビーフサンプルをスパイクするために使用した。スパイキングに続いて、細菌に2〜8℃で18〜24時間肉の上で冷却ストレスを加え、その後、富化を開始した。スパイクされたビーフサンプルを冷蔵から取り出し、室温で5分だけ維持し、その後、45±2℃へ予熱したBAX(登録商標)MP培地1.5リットルを添加した。培地の添加後、サンプルをハンドマッサージし、トリム断片を分散させ、培養物を、42±2℃で維持されたインキュベーター中へ移した。試験について示される時間で、サンプルを取り出した。
【0185】
インキュベーション9時間で、サンプルを試験のために取り出した。エンリッチメントブロスの溶解物を調製し、下記の新しいアッセイ及び標準United States Department of Agriculture Microbiology Laboratory Guidebook (USDAMLG) PCR法(BAX(登録商標)MP法)の両方を使用して、試験した。
【0186】
細胞をBHI培地中において一晩増殖させた。細胞溶解物をBAX(登録商標)システム大腸菌多重(MP)テストについて調製した(BAX(登録商標)ユーザーガイド, E.I. du Pont de Nemours & Co., Wilmington, DEに説明される通り)。次いで、PCRを行うために適した耐熱性ポリメラーゼ、dNTP、バッファー、並びに塩及び賦形剤を含有する錠剤を水和するために、溶解物を使用した。本特許における標的の検出に特異的な試薬並びにサイクル条件を、下記の表11(Taqman(登録商標)アッセイ)及び表12(スコーピオンアッセイ)に示す。
【0187】
【表18】

【0188】
表8について、熱サイクル条件は以下であった:94℃で2分、続いて94℃で15秒及び60℃で60秒を40サイクル;各サイクルでの60℃工程の間に蛍光シグナルをキャプチャーした。
【0189】
【表19】

【0190】
表9について、熱サイクル条件は以下であった:94℃で2分、続いて94℃で15秒及び60℃で40秒を40サイクル;各サイクルでの60℃工程の間に蛍光シグナルをキャプチャーした。
【0191】
インキュベーション24時間で、USDAMLG法又は本発明の方法によって陰性と判定された全てのエンリッチメントを、インキュベーターから除去し、USDA MLGに記載される手順を使用して培養確認のためにサンプリングした。
【0192】
結果:
各サンプルを、実行(A、B又はC)続いてその実行についてのサンプル数によって同定する。各実行について、番号1〜25は、接種物を受容したサンプルを示し、番号26は培地コントロールブランクであった。各実行についての標的とされたスパイクレベルは、1.5 CFU/375gビーフサンプルであった。このレベルで、全てのサンプルが、ポアソン分布に起因して接種物細胞を実際に受容したと予想されるとは限らなかった。これは下記の表13において確認され、これは、その日に牛肉をスパイクするために使用された接種物1Xで各々接種されたレプリケートプレート上のコロニー数、及び実行において陽性であったエンリッチメントの数を提供する。
【0193】
【表20】

【0194】
このデータを使用し、下記の表14に示されるように、95%信頼区間で各実行についてCFU/375gサンプルにおける最確数(MPN)を計算した。
【0195】
【表21】

【0196】
この試験の全ての結果を下記の表15に提供する。
【0197】
【表22】

【0198】
【表23】

【0199】
本発明の方法について、「陽性」サンプルは、使用した3つ全てのマーカーが、機器によってコールされる場合に陽性結果を生じたものであった。「不確定」結果は、3つのマーカーのうちの2つが、機器によって陽性コールを生じさせたものであった。1つが陽性コールを生じさせたか又はいずれも陽性コールを生じさせなかった標的は、陰性であった。*は、最初は不確定コールを示し、これを再試験すると、報告された再試験の結果を伴った。1つのサンプル、C1、は、最初及び再試験時に不確定であった。これは、USDAMLG法との唯一の不一致であった。
【0200】
結論:本発明の方法は、375 gビーフトリムサンプル中の単一の大腸菌O157:H7汚染物でさえ、確実に検出することができた。
【0201】
実施例5
生産するサンプル中の本発明の検出法対USDA標準法の比較感度
レタス又はホウレンソウサンプル中の1-3 CFUの大腸菌O157:H7を一貫して検出する本発明のO157:H7検出テスト及び方法の能力を検証するために、この研究を行った。
【0202】
サンプル調製
大腸菌O157:H7株を、単一のコロニーが接種されたBHIブロス中において一晩増殖させた。ホウレンソウサンプル試験について、用いた株は、ヒト臨床サンプルから単離されたDuPont Qualicon培養物コレクション内の大腸菌O157:H7株である、DD1450であった。レタス試験について、用いた株は、Pennsylvania State University Department of Veterinary Science E.coli Reference Centerから得られた大腸菌O157:H7株である、DD12835であった。
【0203】
全ての試験及び最確数(MPN)分析を行うために十分な量のサンプルに、滅菌0.1%ペプトン水中に希釈された標的を接種した。スパイクレベルを、僅かな陽性結果を与える可能性の高いレベル(一般的に分析部分当たり1〜3 cfu)に設定し、一晩BHI培養物の適切な希釈物から平板培養すること及びサンプルエンリッチメントを開始した日でのMPN分析によって確認した。
【0204】
接種前に、十分な部分を取り出し、全ての必要なネガティブコントロールを行った。大腸菌O157:H7の自然発生率は、試験した全てのマトリックスにおいて現在非常に低いので、マトリックスのプレスクリーニングは行わなかった。10個のスパイクされていないコントロールサンプルは、各レプリケートが標的は天然には存在しないことを実証するためであった(5個のテスト方法サンプル及び5個の参照方法サンプル)。これらのスパイクされていないサンプルはいずれも陽性と判定されなかった。
【0205】
レタス及びホウレンソウを地方の食料品店で購入した。農産物を、チャレンジ生物での接種のための部分と、ネガティブコントロールのための追加の部分とへ、無菌的に分割した。40個の25 gテスト部分並びにMPNによって試験される追加の材料に約1-3 cfu / 25 gで表面接種し、再結合し、マスターサンプルを形成し、これを十分に混合した。25 gの分析単位をこのマスターサンプルから取り出し、ストマッカーバッグ中へ置いた。接種後、サンプルを4℃で2〜3日保存し、生物を農産物に順応させた。接種されたサンプルの追加部分を使用し、最確数(MPN)分析を使用して接種レベルを測定した(3 X 100g、3 X 10g及び3 X 1g)。未接種農産物の25 g部分10個を、ネガティブコントロールとして調製した。
【0206】
比較法:
比較テスト(FDA-BAM)について、農産物サンプル(25g)をEEBで1:10に希釈した。短時間(10〜30秒)ストマック処理する(stomach)ことによって内容物を混合し、24 ±2時間振とうしながら37±0.5℃でインキュベートした。富化されたサンプルを、TCSMACプレート上へ希釈されていないエンリッチメントの10-uLアリコートで、及び単離用の別のTCSMACプレート上へ1:10希釈の0.1 mLアリコートで広げた。全てのTCSMACプレートを35〜37℃で18〜24時間インキュベートし、その後、プレートを、大腸菌O157:H7の典型的な特徴を有するコロニーについて検査した。疑わしいコロニー(存在する場合1プレート当たり5個まで)を、FDA-BAMに記載の生化学的及び血清学的方法を使用して確認した。
【0207】
試験方法
本発明の方法について、農産物サンプル(25g)を予め加温されたBAX(登録商標)System大腸菌O157:H7 MPブロス225 mLで希釈し、42℃ ±2℃で24時間インキュベートし、BAX(登録商標)Systemアッセイを用いて8、10及び24時間でサンプリングした。全てのサンプルを、推定の結果を考慮せずに、参照方法におけるような培養確認へ供した。
【0208】
培養物をBHI寒天上に純度のために置いた。各株について、1つのコロニーを、BHIブロス(排他性試験)又はテストブロスエンリッチメント(包含性試験)を含有するチューブへ接種した。培養物を35℃で一晩インキュベートし、およそ109細菌細胞/mLの細胞密度に達した。排他性試験について、培養物を希釈せずに試験した。包含性試験について、培養物を、アッセイの要求される感度を約1 log超える105 cfu/mLへ希釈した。試験される材料20μlを、BAX(登録商標)溶解試薬200μl(DuPont Qualicon, Wilmington, DE)へ添加した。混合物を37℃で20分間インキュベートし、次いで95℃で10分間さらにインキュベートし、最後に5℃へ冷却した。
【0209】
上記で調製したDNA溶解物30μlを使用し、凍結乾燥PCR反応成分を水和し、表16に列挙されるプライマー及びプローブを含有するDNA溶解物/PCR反応成分混合物を得た。
【0210】
【表24】

【0211】
配列番号15(WBDRスコーピオン1プローブ)を、修飾を含まない全配列として配列表に示す。この実施例について、WBDRスコーピオンプローブは、配列番号15中のヌクレオチド番号45の後に、内部BHQ1クエンチャー及びSP-18ブロッカー、続いて残りの42ヌクレオチドを有する。同様に、配列番号4(SIS1スコーピオン1プローブ)を、修飾を含まない全配列として配列表に示す。この実施例について、SIS1スコーピオンプローブは、配列番号4中のヌクレオチド番号46の後に、内部BHQ2クエンチャー及びSP-18ブロッカー、続いて残りの40ヌクレオチドを有する。さらに、配列番号29(SV40スコーピオン1プローブ)を、修飾を含まない全配列として配列表に示す。この実施例について、SV40スコーピオンプローブは、配列番号29中のヌクレオチド番号52の後に、内部BHQ2クエンチャー及びSP-18ブロッカー、続いて残りの26ヌクレオチドを有する。
【0212】
DNA溶解物/PCR反応成分混合物を、PCRを行うためのヌクレオチド、Taqポリメラーゼ及び反応バッファーを含む典型的なPCR成分を含むPCR反応混合物へ添加した。
【0213】
増幅及び試験をBAX(登録商標)Q7機(DuPont Qualicon, Wilmington, DE)において行った。熱サイクル条件は以下であった:94℃で2分、続いて94℃で10秒及び63℃で40秒を40サイクル;各サイクルでの63℃工程の間に蛍光シグナルをキャプチャーした。
【0214】
インキュベーション24時間で、USDA MLG法又は本発明の方法によって陰性と判定された全てのエンリッチメントを、インキュベーターから除去し、USDA MLGに記載される手順を使用して培養確認のためにサンプリングした。
【0215】
データ分析:
微生物学的方法確認についてのAOACガイドラインに従って、データ分析を行った。テスト部分当たりのコロニー形成単位の最確数(MPN)を、参照方法を使用して試験日に行った。FDA-BAMに見られる表を使用して、MPN値を計算した。マスターサンプルへの導入日に各マトリックスをスパイクするために希釈されたインシデントな培養物に対してスタンダードプレートカウントを行うことによって、スパイクレベルを決定した。100×真の推定陽性結果の数÷スパイクされたサンプルのエンリッチメントから確認された全ての真の陽性結果として、感度率を計算した。偽陰性率を100−感度率として計算した。100×アッセイ陰性結果の数÷スパイクされていないサンプルを含む真の陰性結果の総数として、特異性率を計算した。偽陽性率を100−特異性率として計算した。有意差についてのカイ二乗検定を、McNemar式:(|a-b|-1)2/(a+b)を使用して行い、式中、a=BAXによって陽性でありかつ参照方法によって陰性であった結果、b=不対サンプルについてのMantel Haenszel、対サンプルについて使用された、BAXによって陰性でありかつ参照方法によって陽性であった結果である。3.84未満のカイ二乗値は、2つの方法間で、95%信頼水準で、有意差を示さず、一方、3.84を超えるカイ二乗値は、テスト方法と参照方法との間で有意差を示す。
【0216】
結果及び結論
下記の表17及び18に示されるように、サンプルとして農産物エンリッチメント(レタス及びホウレンソウ)を使用して、試験法は、参照方法と比べて等価の又は優れた性能を示した。
【0217】
【表25】

【0218】
【表26】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中の大腸菌O157:H7の存在を検出するための方法であって、該サンプルが核酸を含み、該方法が:
(a)
(i) 大腸菌O157:H7ゲノムのpO157部分の中の1つ又はそれ以上の大腸菌O157:H7ゲノムDNA領域、及び
(ii) 大腸菌O157:H7ゲノムのpO157部分の外側の1つ又はそれ以上の大腸菌O157:H7ゲノムDNA領域
の少なくとも一部分を増幅するのに適したプライマー対を含む反応混合物を備える工程;
(b) 工程(a)の反応混合物を使用して該サンプルの該核酸のPCR増幅を行う工程;並びに
(c) 工程(b)の増幅を検出する工程であって、それによって増幅の陽性検出がサンプル中の大腸菌O157:H7の存在を示す、該工程
を含む、上記方法。
【請求項2】
工程(a)が、配列番号1、並びに配列番号2及び配列番号3のうちの1つ又はそれ以上を、増幅するのに適したプライマー対を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(a)が、核酸領域配列番号1、配列番号2、及び配列番号3の3つの全てについての適したプライマーを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
配列番号1の核酸領域を増幅するための前記プライマー対が、配列番号5及び配列番号6〜なる群より選択される第1の核酸配列、及び配列番号6及び配列番号8〜なる群より選択される第2の核酸配列を含み;配列番号2の核酸領域を増幅するための前記プライマー対が、配列番号12及び配列番号13を含み;そして配列番号3の核酸領域を増幅するための前記プライマー対が、配列番号16及び配列番号17を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記反応混合物が、選択された各核酸領域のための1つの核酸プローブをさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記核酸プローブが、配列番号7、配列番号14、及び配列番号18のうちの1つ又はそれ以上を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
配列番号1の核酸領域を増幅するための前記プライマー対が、配列番号4及び配列番号5を含み;配列番号2の核酸領域を増幅するための前記プライマー対が、配列番号10及び配列番号12を含み;配列番号3の核酸領域を増幅するための前記プライマー対が、配列番号15及び配列番号16を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
配列番号4、配列番号10、及び配列番号15を含む前記プライマーの各々が、検出可能な標識をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記反応混合物が、配列番号10を含む前記プライマーの前記検出可能な標識をクエンチすることができるブロッキングオリゴヌクレオチドをさらに含み、該ブロッキングオリゴヌクレオチドが配列番号11を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
サンプルが食品サンプル又は水サンプルを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
配列番号4、配列番号7、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号24、配列番号25、又は配列番号26を含む、単離ポリヌクレオチド。
【請求項12】
前記ポリヌクレオチドがプライマー領域及びプローブ領域を含み、該ポリヌクレオチドが、該プライマー領域を該プローブ領域に連結する18炭素非増幅性リンカーをさらに含み、該ポリヌクレオチドが検出可能な標識をさらに含む、請求項11に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項13】
PCRの実行における使用のための複製組成物であって、
(a) 核酸配列 配列番号4及び配列番号5を含むプライマー対;
(b)
(i) 配列番号10及び配列番号12;
(ii) 配列番号15及び配列番号16;及び
(iii) それらの組み合わせ
からなる群より選択される核酸配列を含む1つ又はそれ以上のプライマー対;並びに
(b) 耐熱性DNAポリメラーゼ
を含んでなる、上記複製組成物。
【請求項14】
ブロッキングオリゴヌクレオチド配列番号11をさらに含んでなる、請求項13に記載の複製組成物。
【請求項15】
PCRの実行における使用のための複製組成物であって、
(a) 核酸配列 配列番号5及び配列番号6を含むプライマー対;
(b)
(i) 配列番号12及び配列番号13;
(ii) 配列番号16及び配列番号17;及び
(iii) それらの組み合わせ
からなる群より選択される核酸配列を含む1つ又はそれ以上のプライマー対;並びに
(b) 耐熱性DNAポリメラーゼ
を含んでなる、上記複製組成物。
【請求項16】
成分(b)が、プライマー対(i)配列番号12及び配列番号13、並びに(ii)配列番号16及び配列番号17の両方を含んでなる、請求項15に記載の複製組成物。
【請求項17】
選択された各プライマー対のための1つの核酸プローブをさらに含んでなり、該核酸プローブが、配列番号7、配列番号14、及び配列番号18を含む、請求項15に記載の複製組成物。
【請求項18】
請求項13〜17のいずれか1項に記載の複製組成物を含んでなる、サンプル中の大腸菌O157:H7の検出のためのキット。
【請求項19】
請求項13〜17のいずれか1項に記載の複製組成物を含んでなる錠剤。

【公表番号】特表2013−500008(P2013−500008A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521726(P2012−521726)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/042570
【国際公開番号】WO2011/011391
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】