説明

大規模集積回路

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は大規模集積回路に関し、特にその実装構造に関する。
【0002】
【従来の技術】図3は従来の大規模集積回路の一例を示す断面図で、(a)は基板にLSIチップを搭載した状態を示す断面図、(b)はLSIチップを搭載した基板にキャップを結合して封止した状態を示す断面図である。
【0003】従来の大規模集積回路(LSI)の実装構造は、図3(a)に示すように、基板26にLSIチップ24をフェイスダウンで搭載して接続端子を接続した後、基板26とLSIチップ24との間に緩衝材30を挟み、次に、図3(b)に示すように、基板26の上にキャップ21を搭載してLSIチップ24の裏面とキャップ21の内面とをダイボンディングによって接着し、キャップ21と基板26とをはんだ付けまたはシーム溶接等で密封して封止するように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来のLSIの実装構造は、LSIチップから発生する熱を外部に放散させるため、LSIチップを搭載して接続した基板とキャップとをダイボンディングによって接着しなければならないが、このダイボンディングのために必要な荷重は、基板とLSIチップとの間に挿入した緩衝材の反揆力にによっている。このため、基板とLSIチップとの接着を確実に行うことは困難であり、また、LSIチップと基板のリードとがエッジタッチを起し易く、更に、不良の解析のとき、LSIチップの回路面を確認できないという欠点を有している。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の大規模集積回路は、内面に配線パーターンを有しテーパーの開口面に接続用端子を有し外周面に第一の金属製リングを有するキャップと、前記キャップの前記内面の中央部に搭載されて前記配線パーターンとワイヤボンディングによって接続されたLSIチップと、前記キャップの前記開口面に対応するテーパー面に接続用端子を有し外周面に前記キャップの前記第一の金属製リングに対応する第二の金属製リングを有する基板とを備え、前記キャップの前記開口面と前記基板のテーパー面とを接触させて前記キャップの前記第一の金属製リングと前記基板の前記第二の金属製リングとを封止したものである。
【0006】また、本発明の大規模集積回路は、内面に配線パーターンを有しテーパーの開口面に接続用端子を有し外周面に第一の金属製リングを有するキャップと、前記キャップの前記内面の中央部に搭載されて前記配線パーターンとTABテープによって接続されたLSIチップと、前記キャップの前記開口面に対応するテーパー面に接続用端子を有し外周面に前記キャップの前記第一の金属製リングに対応する第二の金属製リングを有する基板とを備え、前記キャップの前記開口面と前記基板のテーパー面とを接触させて前記キャップの前記第一の金属製リングと前記基板の前記第二の金属製リングとを封止したものである。
【0007】
【実施例】次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0008】図1は本発明のの第一の実施例を示す断面図で、(a−1)および(a−2)はLSIチップを搭載したキャップの平面図およびA−A線断面図、(b)はキャップと基板とを結合する前の状態を示す断面図、(c)はキャップと基板とを結合した後の状態を示す断面図である。
【0009】図1(a−1)および(a−2)に示すように、セラミック製のキャップ1の内面には、スパッタ法またはめっき法によって配線パーターン2およびその先端部のLSI接続端子5が形成されている。また、キャップ1のテーパーの開口面にも、基板6と接続するために、キャップ側接続用端子3が形成されている。LSIチップ4は、キャップ1の内面に中央部に搭載されて、熱伝導性エポキシ樹脂等でダイボンディングによって接着されて固定されている。LSIチップ4の端子とLSI接続端子5とは、ワイヤボンディングによって接続されている。従って、LSIチップ4からの電気信号は、キャップ1の内面の配線パーターン2を通って開口面のキャップ側接続用端子3に導かれるため、キャップ1にLSIチップ4を固定した状態でLSIチップ4を検査することができる。
【0010】図1(b)に示すように、基板6は、キャップ1のテーパーの開口面に対応するテーパー面に基板側接続用端子7を有しており、図1(c)に示すように、キャップ1の開口面と基板6のテーパー面とを接触させ、キャップ1を基板6に対して押圧しながら加熱することにより、キャップ側接続用端子3と基板側接続用端子7とを熱圧着によって接続することができる。
【0011】キャップ1の開口面のキャップ側接続用端子3の外側の外周面には、図1(b)に示すように、金属製リング9が蝋付け等によって接着されており、これに対応する基板6のテーパー面の基板側接続用端子7の外側の外周面には、金属製リング10が蝋付け等によって接着されている。これらの金属製リング9および10は、キャップ1た基板6とを結合した後、はんだ付け等によって結合することにより、LSIチップ4を密封して封止することができる。
【0012】キャップ1と基板6との結合面を共にテーパー面とすることにより、キャップ1を基板6に対して取付けるときの位置決めを容易にし、しかもキャップ1を基板6に対する結合強度を向上させることができる。
【0013】図2は本発明の第二の実施例を示す断面図で、(a−1)および(a−2)はLSIチップを搭載したキャップの平面図およびA−A線断面図、(b)はキャップと基板とを結合する前の状態を示す断面図、(c)はキャップと基板とを結合した後の状態を示す断面図である。
【0014】本実施例は、LSIチップ14とキャップ11の配線パーターン12の先端部のLSI接続端子15との接続をテープオートメイテッドボンディング用テープ(TABテープ)を用いて接続したものであり、その他の構成および作用・効果は、図1の実施例と同じである。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の大規模集積回路は、内面に配線パーターンを形成したキャップにLSIチップをあらかじめ固定してその端子を配線パーターンに接続しておき、キャップ側接続用端子を設けたキャップのテーパーの開口面を基板側接続用端子を設けた基板のテーパー面に接触させてキャップ側接続用端子と基板側接続用端子とを熱圧着によって接続し、それらの外周面を金属製リングによって封止することにより、キャップとLSIチップとの接着を確実に行うことができ、しかも、キャップにLSIチップを固定した状態でLSIチップの回路面を確認することができるため、LSIチップに不良が発生したとき、その不良の解析を容易に行うことができるという効果がある。更に、キャップのの開口面のキャップ側接続用端子を利用してLSIチップの検査を容易に行うことができるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例を示す断面図で、(a−1)および(a−2)はLSIチップを搭載したキャップの平面図およびA−A線断面図、(b)はキャップと基板とを結合する前の状態を示す断面図、(c)はキャップと基板とを結合した後の状態を示す断面図である。
【図2】本発明の第二の実施例を示す断面図で、(a−1)および(a−2)はLSIチップを搭載したキャップの平面図およびA−A線断面図、(b)はキャップと基板とを結合する前の状態を示す断面図、(c)はキャップと基板とを結合した後の状態を示す断面図である。
【図3】従来の大規模集積回路の一例を示す断面図で、(a)は基板にLSIチップを搭載した状態を示す断面図、(b)はLSIチップを搭載した基板にキャップを結合して封止した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 キャップ
2 配線パーターン
3 キャップ側接続用端子
4 LSIチップ
5 LSI接続端子
6 基板
7 基板側接続用端子
9 金属製リング
10 金属製リング
11 キャップ
12 配線パーターン
14 LSIチップ
15 LSI接続端子
21 キャップ
24 LSIチップ
26 基板
30 緩衝材

【特許請求の範囲】
【請求項1】 内面に配線パーターンを有しテーパーの開口面に接続用端子を有し外周面に第一の金属製リングを有するキャップと、前記キャップの前記内面の中央部に搭載されて前記配線パーターンとワイヤボンディングによって接続されたLSIチップと、前記キャップの前記開口面に対応するテーパー面に接続用端子を有し外周面に前記キャップの前記第一の金属製リングに対応する第二の金属製リングを有する基板とを備え、前記キャップの前記開口面と前記基板のテーパー面とを接触させて前記キャップの前記第一の金属製リングと前記基板の前記第二の金属製リングとを封止したことを特徴とする大規模集積回路。
【請求項2】 内面に配線パーターンを有しテーパーの開口面に接続用端子を有し外周面に第一の金属製リングを有するキャップと、前記キャップの前記内面の中央部に搭載されて前記配線パーターンとTABテープによって接続されたLSIチップと、前記キャップの前記開口面に対応するテーパー面に接続用端子を有し外周面に前記キャップの前記第一の金属製リングに対応する第二の金属製リングを有する基板とを備え、前記キャップの前記開口面と前記基板のテーパー面とを接触させて前記キャップの前記第一の金属製リングと前記基板の前記第二の金属製リングとを封止したことを特徴とする大規模集積回路。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【特許番号】第2718299号
【登録日】平成9年(1997)11月14日
【発行日】平成10年(1998)2月25日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−234263
【出願日】平成3年(1991)9月13日
【公開番号】特開平5−90430
【公開日】平成5年(1993)4月9日
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【参考文献】
【文献】特開 平1−136358(JP,A)