説明

大量培養用の酸素吸収効率の高い振とう容器

【課題】高剪断場でも酸素吸収律速の場であれば有用である大量培養用の酸素吸収効率の高い振とう容器を提供する。
【解決手段】フラスコの底面を平底から球底としたことにより、容器内に発生する液膜の面積が大きくなり、酸素を吸収するための液自由表面積が増加した。また、上部は円筒型とすることにより、仕込み液量を従来の丸底フラスコより増やすことが出来、大量の処理が可能となる。バッフル形状を半円筒型とすることにより、容器内に発生する旋回流を阻害することなく、良好な液混合を保っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大量培養用の酸素吸収効率の高い振とう容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術はほとんどなく、三角フラスコ、丸底フラスコ、坂口フラスコ、バッフル付き三角フラスコを経験に基づいて使用していたのみである。また、新技術としては以下の文献にあるような容器の上部構造を改良して容器内への空気交換量を大きくしたものが発表されている。
【非特許文献1】Kato, I. and H.Tanaka;“Development of a Novel Box-Shaped Shake Flask with Efficient Gas Exchange Capacity,” J. Ferment. Bioeng., 85, 404-409(1998)
【非特許文献2】Kato,Y., Y.Tada, E.Iwanaga, Y.Nagatsu, S.Iwata, Y.S Lee and S.T Koh ;”Effects of Liquid Film formed on Flask Surface on Oxygen Transfer Rate in Shaking Flask and Development of Baffled Shaking Vessel by Optical Method Based on Sulfite Oxidation,” J. Chem. Eng. Japan, 38(11), 873-877(2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本容器の使用用途は多くは微生物や動植物細胞の培養に使用されるが、バッフルを使用しているため高所要動力となり、高剪断場とならざるを得ないところが問題点である。
【0004】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、高剪断場でも酸素吸収律速の場であれば有用であることを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
容器内の酸素吸収速度を上げるために以下の諸策を施した。
【0006】
(1)フラスコの底面を平底から球底とし、上部は円筒型とした。
フラスコの底面を平底から球底としたことにより、容器内に発生する液膜の面積が大きくなり、酸素を吸収するための液自由表面積が増加した。また、上部は円筒型とすることにより、仕込み液量を従来の丸底フラスコより増やすことが出来、大量の処理が可能となる。
【0007】
(2)バッフル形状を半円筒型とした。
バッフル形状を半円筒型とすることにより、容器内に発生する旋回流を阻害することなく、良好な液混合を保っている。
【発明の効果】
【0008】
例えば、何も対策を施していない、平底円筒容器に対してその酸素吸収速度は、仕込み液量により差はあるが、8倍〜15倍の酸素移動容量係数の増加が見込まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
底面に関しては丸底フラスコを使用し、仕込み液量を少なくすればよい。
バッフルに関してはバッフル付きフラスコを用いる方法があるがこれも三角フラスコのため処理量が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は半円筒バッフル付丸底円筒槽の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラスコの底面を平底から球底とし、上部は円筒型にすることを特徴とする大量培養用の酸素吸収効率の高い振とう容器。
【請求項2】
バッフル形状を半円筒型にすることを特徴とする大量培養用の酸素吸収効率の高い振とう容器。

【図1】
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【公開番号】特開2007−209920(P2007−209920A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−33706(P2006−33706)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(304021277)国立大学法人 名古屋工業大学 (784)
【Fターム(参考)】