天井用目地装置
【課題】地震の揺れ動きを確実に吸収することができる構造が簡単で、安全に使用することができるとともに、揺れ動きが停止すると確実に元の状態へ戻すことができる天井用目地装置を提供する。
【解決手段】一方の目地部側天井躯体に後端部がヒンジ部材4を介して取付けられたほぼ水平に位置する一方の天井目地プレート5と、後端部がヒンジ部材6で取付けられたほぼ水平に位置する他方の天井目地プレート7と、地震で目地部が狭くなると該他方の天井目地プレート7の先端部を上方へ回動させるガイド手段11と、他方の天井目地プレート7の先端部が、上方へ回動すると一方の天井目地プレート5の先端部を上方へ回動させるとともに、停止すると元の位置へ戻すことができる他方の天井目地プレート7の回動規制手段12とで天井用目地装置を構成している。
【解決手段】一方の目地部側天井躯体に後端部がヒンジ部材4を介して取付けられたほぼ水平に位置する一方の天井目地プレート5と、後端部がヒンジ部材6で取付けられたほぼ水平に位置する他方の天井目地プレート7と、地震で目地部が狭くなると該他方の天井目地プレート7の先端部を上方へ回動させるガイド手段11と、他方の天井目地プレート7の先端部が、上方へ回動すると一方の天井目地プレート5の先端部を上方へ回動させるとともに、停止すると元の位置へ戻すことができる他方の天井目地プレート7の回動規制手段12とで天井用目地装置を構成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は目地部を介して設けられた左右の建物の天井部分の目地部を覆う天井用目地装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の天井用目地装置は地震により目地部が狭くなると、天井目地プレートを室内側に突出させて、その揺れ動きを吸収したり、吊り上げ機構を用いて天井目地プレートを上方へ回動させて、その揺れ動きを吸収している。
【0003】
しかしながら、室内側に天井目地プレートを突出させる天井用目地装置は室内側へ突出するため見苦しくなったり、危険になったりするという欠点があった。
また、吊り上げ機構を用いる天井用目地装置は吊り上げ機構が複雑で、コスト高になるとともに、急激な揺れ動きには追従しきれず、損傷してしまうという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3854924号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、地震の揺れ動きを確実に吸収することができる構造が簡単で、安全に使用することができるとともに、揺れ動きが停止すると確実に元の状態へ戻すことができる天井用目地装置を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は目地部を介して設けられた左右の建物の一方の目地部側天井躯体に、前記目地部のほぼ中央部に位置する先端部を上方へ回動できるように後端部がヒンジ部材を介して取付けられたほぼ水平に位置する一方の天井目地プレートと、この一方の天井目地プレートの先端部に先端部が上方へ回動できるように後端部がヒンジ部材で取付けられたほぼ水平に位置する他方の天井目地プレートと、この他方の天井目地プレートの先端部および、この先端部と対応する前記左右の建物の他方の目地部側天井躯体に設けられた、地震で目地部が狭くなると該他方の天井目地プレートの先端部を上方へ回動させるガイド手段と、前記他方の天井目地プレートの先端部が地震で所定量以上、上方へ回動すると前記一方の天井目地プレートの先端部を上方へ回動させるとともに、地震の揺れ動きが停止すると該他方の天井目地プレートを一方の天井目地プレートに重なることなく元の位置へ戻すことができる一方の天井目地プレートに設けられた他方の天井目地プレートの回動規制手段とで天井用目地装置を構成している。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
【0009】
(1)地震で目地部が狭くなると、ガイド手段によって他方の天井目地プレートの先端部を上方へ回動させるとともに、所定量以上、上方へ回動すると他方の天井目地プレートの回動規制手段によって、一方の天井目地プレートの先端部を上方へ回動させて、その揺れ動きを吸収することができる。
したがって、室内側へ天井目地プレートが突出したりすることがなく、見苦しくなったり、危険になったりするのを確実に防止することができる。
【0010】
(2)一方の天井目地プレートの先端部が上方へ回動しても、他方の天井目地プレートの回動規制手段によって、他方の天井目地プレートが一方の天井目地プレートに重なることなく、一方の天井目地プレートが元の状態へ戻ると、他方の天井目地プレートも自動的に元の状態へ戻すことができる。
【0011】
(3)一方の天井目地プレートの先端部に、先端部がガイド手段で上方へ回動する他方の天井目地プレートをヒンジ部材で接続するとともに、一方の天井目地プレートに他方の天井目地プレートの回動規制手段を設けるだけでよいので、構造が簡単で、低コストで容易に設置することができる。
【0012】
(4)目地部が狭くなる揺れ動きによって、他方の天井目地プレートがガイド手段によって上方へ回動させるとともに、さらなる回動は他方の天井目地プレートの回動規制手段によって、他方の天井目地プレートと一方の天井目地プレートが一体となって回動するため、急激な揺れ動きが生じても確実に他方の天井目地プレートおよび一方の天井目地プレートを回動させ、その揺れ動きを吸収することができる。
【0013】
(5)請求項2は前記(1)〜(4)と同様な効果が得られるとともに、一方の天井目地プレートと他方の天井目地プレートを確実に水平状態に維持させることができる。
【0014】
(6)請求項3は前記(1)〜(4)と同様な効果が得られるとともに、スムーズに他方の天井目地プレートを上方へ回動させることができる。
【0015】
(7)請求項4は前記(1)〜(4)と同様な効果が得られるとともに、他方の天井目地プレートの回動規制手段の構造が簡単で、安価に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を実施するための第1の形態の平面図。
【図2】図1の2−2線に沿う断面図。
【図3】本発明を実施するための第1の形態の一方の天井目地プレートの説明図。
【図4】本発明を実施するための第1の形態の他方の天井目地プレートの説明図。
【図5】本発明を実施するための第1の形態のガイド手段の説明図。
【図6】本発明を実施するための第1の形態の他方の天井目地プレートの回動規制手段の説明図。
【図7】本発明を実施するための第1の形態の目地部が所定量狭くなった状態の動作説明図。
【図8】本発明を実施するための第1の形態の目地部が所定量以上狭くなった状態の動作説明図。
【図9】本発明を実施するための第1の形態の一方の目地プレートが元に戻る状態の説明図。
【図10】本発明を実施するための第1の形態の目地部が広くなった動作説明図。
【図11】本発明を実施するための第2の形態の平面図。
【図12】図11の12−12線に沿う断面図。
【図13】本発明を実施するための第2の形態の目地部が狭くなった動作説明図。
【図14】本発明を実施するための第2の形態の目地部が広くなった動作説明図。
【図15】本発明を実施するための第3の形態の平面図。
【図16】図15の16−16線に沿う断面図。
【図17】本発明を実施するための第3の形態の目地部が狭くなった動作説明図。
【図18】本発明を実施するための第4の形態の平面図。
【図19】図18の19−19線に沿う断面図。
【図20】本発明を実施するための第4の形態の吊り下げレールの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0018】
図1ないし図10に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は目地部2を介して設けられた左右の建物3、3の天井目地部を覆う本発明の天井用目地装置で、この天井用目地装置1は前記左右の建物3、3の一方の目地部側天井躯体3aに、前記目地部2のほぼ中央部に位置する先端部を上方へ回動できるように後端部を、ヒンジ部材4を介して取付けられたほぼ水平に位置する一方の天井目地プレート5と、この一方の天井目地プレート5の先端部に先端部が上方へ回動できるように後端部がヒンジ部材6で取付けられたほぼ水平に位置する他方の天井目地プレート7と、この他方の天井目地プレート7の先端部に形成した傾斜面8および、この先端部の傾斜面8と対応する前記左右の建物3、3の他方の目地部側天井躯体3aに設けられた、地震で目地部2が狭くなると該他方の天井目地プレート7の先端部を上方へ回動させる上面が曲面9に形成されたガイド片10とからなるガイド手段11と、前記他方の天井目地プレート7の先端部が地震で所定量以上、上方へ回動すると前記一方の天井目地プレート5の先端部を上方へ回動させるとともに、地震の揺れ動きが停止すると、該他方の天井目地プレート7を一方の天井目地プレート5に重なることなく元の位置へ戻すことができる一方の天井目地プレート5に設けられた他方の天井目地プレートの回動規制手段12とで構成されている。
【0019】
前記一方の天井目地プレート5は長方形枠状のフレーム13と、このフレーム13の上下部を覆うように固定された上・下カバー板14、15とで構成され、後端部は一方の目地部側天井躯体3aに面接触して、ほぼ水平状態になるようにヒンジ部材4を介して取付けられている。
【0020】
前記他方の天井目地プレート7は先端部が傾斜面8に形成された長方形枠状のフレーム16と、このフレーム16の上下部を覆うように固定された上・下カバー板17、18とで構成され、前記一方の天井目地プレート5の先端部にほぼ水平状態で停止するように後端部がヒンジ部材6を介して取付けられている。
【0021】
前記他方の天井目地プレートの回動規制手段12は一方の天井目地プレート5の先端部寄りの部位に固定されたストッパー片19と、他方の天井目地プレート7の後端部寄りの部位に固定された、該他方の天井目地プレート7が回動しても確実に元の位置へ自動的に戻すことができる位置で、前記ストッパー片19と当接するストッパー20とで構成されている。
なお、他方の天井目地プレート7が約22度回動した所で、ストッパー20がストッパー片19に当接するように設定することにより、他方の天井目地プレート7および一方の天井目地プレート5の一体としての回動が、よりスムーズで、かつ元に戻る時の他方の天井目地プレート7の回動が、よりスムーズに行なうことができる。
【0022】
上記構成の天井用目地装置1は、地震で目地部2が狭くなると、図7に示すように他方の天井目地プレート7の先端部がガイド手段11によって上方へ回動して、その揺れ動きを吸収する。
さらに、目地部2が狭くなるような揺れ動きの場合には、図8に示すように他方の天井目地プレートの回動規制手段12のストッパー20がストッパー片19に当接し、他方の天井目地プレート7と一方の天井目地プレート5とが一体となって回動し、その揺れ動きを吸収する。
本実施の形態では他方の天井目地プレート7が約22度以上回動した所で一方の天井目地プレート5と一体となって回動する。
このため、一方の天井目地プレート5に対し、他方の天井目地プレート7が約22度回動した状態での幅寸法分が、目地部2が最大に狭くなった状態となるように設計することにより、最大の揺れ動きを吸収できる。
一方の天井目地プレート5がほぼ水平状態となるように、自重で自動的に戻ってくると、図9に示すように他方の天井目地プレート7は一方の天井目地プレート5の先端部の外方に位置するため、自重により自動的に元の位置へ戻る。
【0023】
地震で目地部2が広くなると、図10に示すように一方の目地部側天井躯体3aに取付けられている一方の天井目地プレート5と他方の天井目地プレート7がほぼ水平状態になっていて、他方の目地部側天井躯体3aのガイド片10が離れていく状態となって、その揺れ動きを吸収する。
なお、地震の揺れ動きが停止すると、自動的に元の状態へ戻る。
[発明を実施するための異なる形態]
【0024】
次に、図11ないし図20に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0025】
図11ないし図14に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、一方の天井目地プレート5の上部位置の目地部側天井躯体3aに、一方の天井目地プレート5および他方の天井目地プレート7を水平状態に位置させるとともに、該一方の天井目地プレート5と他方の天井目地プレート7の上方への回動を可能とする一方の天井目地プレート支持ワイヤー21および他方の天井目地プレート支持ワイヤー22を用いるとともに、ストッパー片19とストッパー20に反発する磁石23、24を設けた点で、このように構成した天井用目地装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0026】
図15ないし図17に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、他方の天井目地プレート7が約22度回動すると、該他方の天井目地プレート7と当接して、一方の天井目地プレート5と一体となって回動できるように、該一方の天井目地プレート5にストッパー片19Aを固定した他方の天井目地プレートの回動規制手段12Aを用いた点で、このような他方の天井目地プレートの回動規制手段12Aを用いた天井用目地装置1Bにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
なお、ストッパー片19Aを他方の天井目地プレート7に設けても同様な作用効果が得られる。
【0027】
図18ないし図20に示す本発明を実施するための第4の形態において、前記本発明を実施するための第2の形態と主に異なる点は、一方の天井目地プレート5を一方の目地部側天井躯体3aに取付けられた前後方向にスライド移動可能な吊り下げレール25にヒンジ部材4を介して取付けた点で、このような吊り下げレール25に一方の天井目地プレート5を取付けることにより、前後方向の揺れ動きも効率よく吸収することができる。
なお、吊り下げレール25は一方の目地部側天井躯体3aにほぼ水平となるように固定されたガイドレール26と、このガイドレール26にローラ27を介して前後方向にスライド移動する、該ガイドレール26より下端部が下方に位置する吊り下げレール本体28と、この吊り下げレール本体28の下部寄りの部位に取付けられた、前記一方の目地部側天井躯体3aを転動する支持ローラ29とで構成されている。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は天井用目地装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0029】
1、1A、1B:天井用目地装置、
2:目地部、 3:建物、
4:ヒンジ部材、 5:一方の天井目地プレート、
6:ヒンジ部材、 7:他方の天井目地プレート、
8:傾斜面、 9:曲面、
10:ガイド片、 11:ガイド手段、
12、12A:他方の天井目地プレートの回動規制手段、
13:フレーム、 14:上カバー板、
15:下カバー板、 16:フレーム、
17:上カバー板、 18:下カバー板、
19、19A:ストッパー片、 20:ストッパー、
21:一方の天井目地プレート支持ワイヤー、
22:他方の天井目地プレート支持ワイヤー、
23、24:磁石、 25:吊り下げレール、
26:ガイドレール、 27:ローラ、
28:吊り下げレール本体、 29:支持ローラ。
【技術分野】
【0001】
本発明は目地部を介して設けられた左右の建物の天井部分の目地部を覆う天井用目地装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の天井用目地装置は地震により目地部が狭くなると、天井目地プレートを室内側に突出させて、その揺れ動きを吸収したり、吊り上げ機構を用いて天井目地プレートを上方へ回動させて、その揺れ動きを吸収している。
【0003】
しかしながら、室内側に天井目地プレートを突出させる天井用目地装置は室内側へ突出するため見苦しくなったり、危険になったりするという欠点があった。
また、吊り上げ機構を用いる天井用目地装置は吊り上げ機構が複雑で、コスト高になるとともに、急激な揺れ動きには追従しきれず、損傷してしまうという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3854924号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、地震の揺れ動きを確実に吸収することができる構造が簡単で、安全に使用することができるとともに、揺れ動きが停止すると確実に元の状態へ戻すことができる天井用目地装置を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は目地部を介して設けられた左右の建物の一方の目地部側天井躯体に、前記目地部のほぼ中央部に位置する先端部を上方へ回動できるように後端部がヒンジ部材を介して取付けられたほぼ水平に位置する一方の天井目地プレートと、この一方の天井目地プレートの先端部に先端部が上方へ回動できるように後端部がヒンジ部材で取付けられたほぼ水平に位置する他方の天井目地プレートと、この他方の天井目地プレートの先端部および、この先端部と対応する前記左右の建物の他方の目地部側天井躯体に設けられた、地震で目地部が狭くなると該他方の天井目地プレートの先端部を上方へ回動させるガイド手段と、前記他方の天井目地プレートの先端部が地震で所定量以上、上方へ回動すると前記一方の天井目地プレートの先端部を上方へ回動させるとともに、地震の揺れ動きが停止すると該他方の天井目地プレートを一方の天井目地プレートに重なることなく元の位置へ戻すことができる一方の天井目地プレートに設けられた他方の天井目地プレートの回動規制手段とで天井用目地装置を構成している。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
【0009】
(1)地震で目地部が狭くなると、ガイド手段によって他方の天井目地プレートの先端部を上方へ回動させるとともに、所定量以上、上方へ回動すると他方の天井目地プレートの回動規制手段によって、一方の天井目地プレートの先端部を上方へ回動させて、その揺れ動きを吸収することができる。
したがって、室内側へ天井目地プレートが突出したりすることがなく、見苦しくなったり、危険になったりするのを確実に防止することができる。
【0010】
(2)一方の天井目地プレートの先端部が上方へ回動しても、他方の天井目地プレートの回動規制手段によって、他方の天井目地プレートが一方の天井目地プレートに重なることなく、一方の天井目地プレートが元の状態へ戻ると、他方の天井目地プレートも自動的に元の状態へ戻すことができる。
【0011】
(3)一方の天井目地プレートの先端部に、先端部がガイド手段で上方へ回動する他方の天井目地プレートをヒンジ部材で接続するとともに、一方の天井目地プレートに他方の天井目地プレートの回動規制手段を設けるだけでよいので、構造が簡単で、低コストで容易に設置することができる。
【0012】
(4)目地部が狭くなる揺れ動きによって、他方の天井目地プレートがガイド手段によって上方へ回動させるとともに、さらなる回動は他方の天井目地プレートの回動規制手段によって、他方の天井目地プレートと一方の天井目地プレートが一体となって回動するため、急激な揺れ動きが生じても確実に他方の天井目地プレートおよび一方の天井目地プレートを回動させ、その揺れ動きを吸収することができる。
【0013】
(5)請求項2は前記(1)〜(4)と同様な効果が得られるとともに、一方の天井目地プレートと他方の天井目地プレートを確実に水平状態に維持させることができる。
【0014】
(6)請求項3は前記(1)〜(4)と同様な効果が得られるとともに、スムーズに他方の天井目地プレートを上方へ回動させることができる。
【0015】
(7)請求項4は前記(1)〜(4)と同様な効果が得られるとともに、他方の天井目地プレートの回動規制手段の構造が簡単で、安価に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を実施するための第1の形態の平面図。
【図2】図1の2−2線に沿う断面図。
【図3】本発明を実施するための第1の形態の一方の天井目地プレートの説明図。
【図4】本発明を実施するための第1の形態の他方の天井目地プレートの説明図。
【図5】本発明を実施するための第1の形態のガイド手段の説明図。
【図6】本発明を実施するための第1の形態の他方の天井目地プレートの回動規制手段の説明図。
【図7】本発明を実施するための第1の形態の目地部が所定量狭くなった状態の動作説明図。
【図8】本発明を実施するための第1の形態の目地部が所定量以上狭くなった状態の動作説明図。
【図9】本発明を実施するための第1の形態の一方の目地プレートが元に戻る状態の説明図。
【図10】本発明を実施するための第1の形態の目地部が広くなった動作説明図。
【図11】本発明を実施するための第2の形態の平面図。
【図12】図11の12−12線に沿う断面図。
【図13】本発明を実施するための第2の形態の目地部が狭くなった動作説明図。
【図14】本発明を実施するための第2の形態の目地部が広くなった動作説明図。
【図15】本発明を実施するための第3の形態の平面図。
【図16】図15の16−16線に沿う断面図。
【図17】本発明を実施するための第3の形態の目地部が狭くなった動作説明図。
【図18】本発明を実施するための第4の形態の平面図。
【図19】図18の19−19線に沿う断面図。
【図20】本発明を実施するための第4の形態の吊り下げレールの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0018】
図1ないし図10に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は目地部2を介して設けられた左右の建物3、3の天井目地部を覆う本発明の天井用目地装置で、この天井用目地装置1は前記左右の建物3、3の一方の目地部側天井躯体3aに、前記目地部2のほぼ中央部に位置する先端部を上方へ回動できるように後端部を、ヒンジ部材4を介して取付けられたほぼ水平に位置する一方の天井目地プレート5と、この一方の天井目地プレート5の先端部に先端部が上方へ回動できるように後端部がヒンジ部材6で取付けられたほぼ水平に位置する他方の天井目地プレート7と、この他方の天井目地プレート7の先端部に形成した傾斜面8および、この先端部の傾斜面8と対応する前記左右の建物3、3の他方の目地部側天井躯体3aに設けられた、地震で目地部2が狭くなると該他方の天井目地プレート7の先端部を上方へ回動させる上面が曲面9に形成されたガイド片10とからなるガイド手段11と、前記他方の天井目地プレート7の先端部が地震で所定量以上、上方へ回動すると前記一方の天井目地プレート5の先端部を上方へ回動させるとともに、地震の揺れ動きが停止すると、該他方の天井目地プレート7を一方の天井目地プレート5に重なることなく元の位置へ戻すことができる一方の天井目地プレート5に設けられた他方の天井目地プレートの回動規制手段12とで構成されている。
【0019】
前記一方の天井目地プレート5は長方形枠状のフレーム13と、このフレーム13の上下部を覆うように固定された上・下カバー板14、15とで構成され、後端部は一方の目地部側天井躯体3aに面接触して、ほぼ水平状態になるようにヒンジ部材4を介して取付けられている。
【0020】
前記他方の天井目地プレート7は先端部が傾斜面8に形成された長方形枠状のフレーム16と、このフレーム16の上下部を覆うように固定された上・下カバー板17、18とで構成され、前記一方の天井目地プレート5の先端部にほぼ水平状態で停止するように後端部がヒンジ部材6を介して取付けられている。
【0021】
前記他方の天井目地プレートの回動規制手段12は一方の天井目地プレート5の先端部寄りの部位に固定されたストッパー片19と、他方の天井目地プレート7の後端部寄りの部位に固定された、該他方の天井目地プレート7が回動しても確実に元の位置へ自動的に戻すことができる位置で、前記ストッパー片19と当接するストッパー20とで構成されている。
なお、他方の天井目地プレート7が約22度回動した所で、ストッパー20がストッパー片19に当接するように設定することにより、他方の天井目地プレート7および一方の天井目地プレート5の一体としての回動が、よりスムーズで、かつ元に戻る時の他方の天井目地プレート7の回動が、よりスムーズに行なうことができる。
【0022】
上記構成の天井用目地装置1は、地震で目地部2が狭くなると、図7に示すように他方の天井目地プレート7の先端部がガイド手段11によって上方へ回動して、その揺れ動きを吸収する。
さらに、目地部2が狭くなるような揺れ動きの場合には、図8に示すように他方の天井目地プレートの回動規制手段12のストッパー20がストッパー片19に当接し、他方の天井目地プレート7と一方の天井目地プレート5とが一体となって回動し、その揺れ動きを吸収する。
本実施の形態では他方の天井目地プレート7が約22度以上回動した所で一方の天井目地プレート5と一体となって回動する。
このため、一方の天井目地プレート5に対し、他方の天井目地プレート7が約22度回動した状態での幅寸法分が、目地部2が最大に狭くなった状態となるように設計することにより、最大の揺れ動きを吸収できる。
一方の天井目地プレート5がほぼ水平状態となるように、自重で自動的に戻ってくると、図9に示すように他方の天井目地プレート7は一方の天井目地プレート5の先端部の外方に位置するため、自重により自動的に元の位置へ戻る。
【0023】
地震で目地部2が広くなると、図10に示すように一方の目地部側天井躯体3aに取付けられている一方の天井目地プレート5と他方の天井目地プレート7がほぼ水平状態になっていて、他方の目地部側天井躯体3aのガイド片10が離れていく状態となって、その揺れ動きを吸収する。
なお、地震の揺れ動きが停止すると、自動的に元の状態へ戻る。
[発明を実施するための異なる形態]
【0024】
次に、図11ないし図20に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0025】
図11ないし図14に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、一方の天井目地プレート5の上部位置の目地部側天井躯体3aに、一方の天井目地プレート5および他方の天井目地プレート7を水平状態に位置させるとともに、該一方の天井目地プレート5と他方の天井目地プレート7の上方への回動を可能とする一方の天井目地プレート支持ワイヤー21および他方の天井目地プレート支持ワイヤー22を用いるとともに、ストッパー片19とストッパー20に反発する磁石23、24を設けた点で、このように構成した天井用目地装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0026】
図15ないし図17に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、他方の天井目地プレート7が約22度回動すると、該他方の天井目地プレート7と当接して、一方の天井目地プレート5と一体となって回動できるように、該一方の天井目地プレート5にストッパー片19Aを固定した他方の天井目地プレートの回動規制手段12Aを用いた点で、このような他方の天井目地プレートの回動規制手段12Aを用いた天井用目地装置1Bにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
なお、ストッパー片19Aを他方の天井目地プレート7に設けても同様な作用効果が得られる。
【0027】
図18ないし図20に示す本発明を実施するための第4の形態において、前記本発明を実施するための第2の形態と主に異なる点は、一方の天井目地プレート5を一方の目地部側天井躯体3aに取付けられた前後方向にスライド移動可能な吊り下げレール25にヒンジ部材4を介して取付けた点で、このような吊り下げレール25に一方の天井目地プレート5を取付けることにより、前後方向の揺れ動きも効率よく吸収することができる。
なお、吊り下げレール25は一方の目地部側天井躯体3aにほぼ水平となるように固定されたガイドレール26と、このガイドレール26にローラ27を介して前後方向にスライド移動する、該ガイドレール26より下端部が下方に位置する吊り下げレール本体28と、この吊り下げレール本体28の下部寄りの部位に取付けられた、前記一方の目地部側天井躯体3aを転動する支持ローラ29とで構成されている。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は天井用目地装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0029】
1、1A、1B:天井用目地装置、
2:目地部、 3:建物、
4:ヒンジ部材、 5:一方の天井目地プレート、
6:ヒンジ部材、 7:他方の天井目地プレート、
8:傾斜面、 9:曲面、
10:ガイド片、 11:ガイド手段、
12、12A:他方の天井目地プレートの回動規制手段、
13:フレーム、 14:上カバー板、
15:下カバー板、 16:フレーム、
17:上カバー板、 18:下カバー板、
19、19A:ストッパー片、 20:ストッパー、
21:一方の天井目地プレート支持ワイヤー、
22:他方の天井目地プレート支持ワイヤー、
23、24:磁石、 25:吊り下げレール、
26:ガイドレール、 27:ローラ、
28:吊り下げレール本体、 29:支持ローラ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目地部を介して設けられた左右の建物の一方の目地部側天井躯体に、前記目地部のほぼ中央部に位置する先端部を上方へ回動できるように後端部がヒンジ部材を介して取付けられたほぼ水平に位置する一方の天井目地プレートと、この一方の天井目地プレートの先端部に先端部が上方へ回動できるように後端部がヒンジ部材で取付けられたほぼ水平に位置する他方の天井目地プレートと、この他方の天井目地プレートの先端部および、この先端部と対応する前記左右の建物の他方の目地部側天井躯体に設けられた、地震で目地部が狭くなると該他方の天井目地プレートの先端部を上方へ回動させるガイド手段と、前記他方の天井目地プレートの先端部が地震で所定量以上、上方へ回動すると前記一方の天井目地プレートの先端部を上方へ回動させるとともに、地震の揺れ動きが停止すると該他方の天井目地プレートを一方の天井目地プレートに重なることなく元の位置へ戻すことができる一方の天井目地プレートに設けられた他方の天井目地プレートの回動規制手段とで構成したことを特徴とする天井用目地装置。
【請求項2】
一方の天井目地プレートおよび他方の天井目地プレートは、通常時には水平状態を保ち、目地部が狭くなっても先端部側が上方への回動を可能に支持する一方の天井目地プレートの上部の、一方の目地部側天井躯体に取付けられた一方の天井目地プレート支持ワイヤーおよび、他方の天井目地プレート支持ワイヤーで支持されていることを特徴とする請求項1記載の天井用目地装置。
【請求項3】
ガイド手段は他方の目地部側天井躯体に固定された上面が曲面に形成されたガイド片と、このガイド片の曲面に沿ってスライド移動する他方の天井目地プレートの先端部に形成された傾斜面あるいは曲面であることを特徴とする請求項1記載の天井用目地装置。
【請求項4】
他方の天井目地プレートの回動規制手段は一方の天井目地プレートの先端部寄りの部位に固定されたストッパー片と、他方の天井目地プレートの先端部寄りの部位に固定された、該他方の天井目地プレートが回動しても確実に元の位置へ自動的に戻すことができる位置で、前記ストッパー片と当接するストッパーとで構成されていることを特徴とする請求項1記載の天井用目地装置。
【請求項1】
目地部を介して設けられた左右の建物の一方の目地部側天井躯体に、前記目地部のほぼ中央部に位置する先端部を上方へ回動できるように後端部がヒンジ部材を介して取付けられたほぼ水平に位置する一方の天井目地プレートと、この一方の天井目地プレートの先端部に先端部が上方へ回動できるように後端部がヒンジ部材で取付けられたほぼ水平に位置する他方の天井目地プレートと、この他方の天井目地プレートの先端部および、この先端部と対応する前記左右の建物の他方の目地部側天井躯体に設けられた、地震で目地部が狭くなると該他方の天井目地プレートの先端部を上方へ回動させるガイド手段と、前記他方の天井目地プレートの先端部が地震で所定量以上、上方へ回動すると前記一方の天井目地プレートの先端部を上方へ回動させるとともに、地震の揺れ動きが停止すると該他方の天井目地プレートを一方の天井目地プレートに重なることなく元の位置へ戻すことができる一方の天井目地プレートに設けられた他方の天井目地プレートの回動規制手段とで構成したことを特徴とする天井用目地装置。
【請求項2】
一方の天井目地プレートおよび他方の天井目地プレートは、通常時には水平状態を保ち、目地部が狭くなっても先端部側が上方への回動を可能に支持する一方の天井目地プレートの上部の、一方の目地部側天井躯体に取付けられた一方の天井目地プレート支持ワイヤーおよび、他方の天井目地プレート支持ワイヤーで支持されていることを特徴とする請求項1記載の天井用目地装置。
【請求項3】
ガイド手段は他方の目地部側天井躯体に固定された上面が曲面に形成されたガイド片と、このガイド片の曲面に沿ってスライド移動する他方の天井目地プレートの先端部に形成された傾斜面あるいは曲面であることを特徴とする請求項1記載の天井用目地装置。
【請求項4】
他方の天井目地プレートの回動規制手段は一方の天井目地プレートの先端部寄りの部位に固定されたストッパー片と、他方の天井目地プレートの先端部寄りの部位に固定された、該他方の天井目地プレートが回動しても確実に元の位置へ自動的に戻すことができる位置で、前記ストッパー片と当接するストッパーとで構成されていることを特徴とする請求項1記載の天井用目地装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−222822(P2010−222822A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−70458(P2009−70458)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000110365)ドーエイ外装有限会社 (152)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000110365)ドーエイ外装有限会社 (152)
【Fターム(参考)】
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