説明

天井目地材

【課題】本発明は、浴室ユニットの天井パネルと壁パネルの隙間を塞ぐ天井目地材の幅を狭くし、隙間のばらつきに追随し固定できて、確実な防水性能を有し、外観が良くスマートな天井目地材を提供する。
【解決手段】本発明は、浴室ユニットの天井パネル2と壁パネル3との隙間を塞ぐ天井目地材において、一端が前記天井パネル2と、他端が前記壁パネル3とそれぞれ当接し、前記隙間を止水する頭部と、前記頭部から突出した差込部を有し、前記差込部の端部に前記壁パネルの上端部の奥側端と係合する係合ヒレを備えことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室ユニットの天井パネルと壁パネルとの隙間を塞ぐ天井目地材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室ユニットの天井パネルと壁パネルには接続方法や組立逃げ寸法上隙間を設ける必要があり、その隙間を塞ぎ外観の向上と防水性能を得るために、隙間にコーキング材の充填や目地材の打込み等を行なっている。
【0003】
浴室ユニットの天井パネルと壁パネルの隙間を塞ぐ方法として、シリコン等のコーキング材を使用する場合には、マスキング作業、充填作業、仕上げ作業及び充填後の養生期間が必要であり、完了するまでに多くの工程と時間が必要であり、施工者の熟練度合いにより仕上がりや防水性能にばらつきがでる等の問題点があった。
【0004】
また、この種、天井パネルと壁パネルの接合構造として、天井パネルと壁パネルが構成する凹所の底部側にネジ具を固定し、凹所内にネジ具により結合片を固定し、凹所の開口部側に結合片の頭部に嵌め込み支持されるように横断面コ字型の樹脂製の天井廻し縁を嵌め込み、この天井廻し縁に隙間シールのための軟質のヒレ片を一体成形した構造が提案されている。(特許文献1、図1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−291613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
シリコン等のコーキング方法の問題を解決するために、特許文献1の図1に開示されている技術では、天井目地材を固定するための結合片を設け、さらにその結合片を天井パネルと壁パネルの隙間に装着させることにより、結合片に天井目地材を含めた隙間幅が必要となり、天井目地の幅が広くなり、当然天井目地材の浴室ユニット側の幅はそれ以上広がり、外観をスマートに見せることができないばかりか、部材点数及び使用材料量が増加するなどの問題点があった。
【0007】
また、特許文献1の図4には、天井パネルと壁パネルが構成する凹所に嵌り込む幅広の天井回し縁が記載されている。
特許文献1の図4に開示されている技術では、天井目地材の固定力が天井パネルと壁パネルとの摩擦力によるものであり、隙間幅のばらつきによっては固定力が発揮できず打込みの反発力や使用中の衝撃、振動等により天井目地材の緩みや浮きが発生する。また、隙間に打込む力にばらつきが起きることにより、外観に波打ちなどが現れ、美観が損なわれるなどの問題があった。
即ち、一例として図5に示す如く、壁パネル5と天井パネル6との接合部分である目地部7の凹所7aに弾性樹脂からなる目地材8を嵌め込むことにより目地を形成することができる。この目地材8には弾性ヒレ8aが上面側と下面側に複数突出させて形成されている。目地材8は、弾性ヒレ8aを弾性変形させて目地部7の凹所7aに嵌め込むことで抜け止めした構造を実現することができる。
しかし、図5に示す抜け止め構造とした目地材8にあっても、壁パネル5と天井パネル6の上下位置のばらつきにより、目地部7の隙間幅にばらつきが生じると、目地材8の抜け止め力が減少するので、使用中の衝撃、振動等により天井目地材の緩みや浮きが発生する問題がある。
【0008】
本発明は前記の従来の問題点に鑑みてなされたものであって、天井パネルと壁パネルの隙間を狭くし外観をスマートに見せる天井目地材を、新たに設けた固定部材を使用することなく確実に天井パネルと壁パネルの隙間に固定できて、確実な止水性能を有する天井目地材を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、天井パネルと壁パネルの隙間のばらつきがあっても、確実に天井パネルと壁パネルの隙間に固定できて、天井目地材の緩みや浮きがなく、外観の美観を確保し、確実な止水性能を有する天井目地材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を有する。
(1)本発明の天井目地材は、浴室ユニットの天井パネルと壁パネルとの隙間を塞ぐ天井目地材において、一端が前記天井パネルと、他端が前記壁パネルとそれぞれ当接し、前記隙間を止水する頭部と、前記頭部から突出した差込部を有し、前記差込部の端部に前記壁パネルの上端部奥側端と係合する係合ヒレを備えことを特徴とする。
この構造により、目地材本体の厚みを低減でき、狭い隙間でも対応可能になり意匠面が向上する。
(2)本発明の天井目地材は、(1)に記載の差込部の前記頭部と前記係合ヒレとの間に、前記係合ヒレ突出方向と反対方向に、1以上の押さえヒレを有することを特徴とする。
この構造により、挿入時前記押さえヒレの反発力にて係合ヒレが押され、係合ヒレと壁パネルの上端部を確実に係合させることにより、目地材取り付け時の衝撃・使用時の振動等による目地材の浮き・外れを防ぎ、十分な止水性を確保することができる。
(3)本発明の天井目地材は、(1)、(2)のいずれかにおいて前記差込部の前記頭部と前記係合ヒレとの間に、前記係合ヒレ突出方向に、1以上の止水ヒレと、前記止水ヒレの一部若しくは全てを収納するための凹部を差込部に有することを特徴とする。
この構造により、天井目地を係合する壁パネル上端部に凹凸や変形が有っても前記係合ヒレと前記止水ヒレが前記天井パネルと前記壁パネルに追随することができ、又前記止水ヒレの一部若しくは全てを収納するための凹部により、目地材底面に凹凸の発生を抑制し、係合ヒレと壁パネル上端部の係合を確実にする構造となっている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、天井パネルと壁パネルの隙間に天井目地材を固定させる部材を設けないことで、天井パネルと壁パネルの隙間を狭くすることにより、天井目地材の浴室側止水部の幅を狭くし、よりスマートな外観を提供すると共に、壁パネルに天井目地材の係合ヒレを係合させることにより、より確実に天井目地材を固定することで確実に止水機能を確保出来る。
【0011】
又、壁パネルに天井目地材の係合ヒレを係合させて天井目地材を固定する為、天井パネルと壁パネルの摩擦力を利用する固定方法に対して、天井パネルと壁パネルの隙間のばらつきに追随することができ、また、壁パネル上端部の変形に追随するヒレを有することにより、打込み作業性の向上を図ると共に、緩みや浮きがない美観を確保した外観を提供することが出来る。
天井パネルと壁パネルの隙間が左右で相違し、天井目地材の係合ヒレと係合する壁パネル上端部の寸法が変化しても、同じ外観幅の天井目地材とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る天井目地材の第1実施形態を示す図である。
【図2】本発明に係る天井目地材の通常使用状態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る天井目地材の通常使用状態を示す断面図である。
【図4】本発明に係る天井目地材の差込部の寸法変化時仕様状態を示す断面図である。
【図5】天井目地材の従来品の使用状態を示す断面図である。
【図6】本発明に係る天井目地材の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明に係る浴室ユニットの天井パネルと壁パネルとの隙間を塞ぐ天井目地材の第1実施形態について説明する。なお、この第1実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
図1は、本発明に係わる天井目地材1の一実施形態を示す断面図である。本実施形態の天井目地材1の材質は、塩化ビニール、ABS樹脂、ポリプロピレン、エラストマー等の熱可塑性樹脂からなり、押出し成形方法によって成形される。
【0014】
図1において本実施形態の天井目地材1は、一端が天井パネル2に他端が壁パネル3に当接するための頭部1Aを有し、頭部1Aから右側に差込部1bが延出形成され、差込部1bにおいて、左端部一側に表面上部止水ヒレ1aが一体形成され、左端部の他側(底面側)に表面下部止水ヒレ1fが一体成形されるとともに、差込部1bの上面部に中央上面ヒレ(押さえヒレ)1dが一体成形され、差込部1bの右端部一側に先端上面ヒレ(押さえヒレ)1gが一体成形され、差込部1bの底面中央部に中央底面ヒレ(止水ヒレ)1eが一体成形され、差込部1bの右端部底面側に係合ヒレ1cが一体成形されている。
本実施形態の天井目地材1において、表面上部止水ヒレ1aと表面下部止水ヒレ1fにより頭部1Aが形成されている。また、中央底面ヒレ(押さえヒレ)1eの基端部側に位置する差込部1bの底面部分には溝型の中央底面ヒレ収納部1hが形成されている。
【0015】
本実施形態の天井目地材1において、その全体を硬質及び、半硬質、軟質になるように樹脂で成形でき、また、目地中央部の差込部1bを硬質及び、半硬質とし、係合ヒレ1c、表面上部止水ヒレ1a、表面下部止水ヒレ1f、中央上面ヒレ1d、先端上面ヒレ1g、中央底面ヒレ1eを軟質とするなど、異素材・異硬度の樹脂を組合せて成形することができる。
【0016】
図1は、天井目地材1をその一部で横断面視した状態を示すので、図1の紙面垂直方向に差込部1は延在されており、この差込部1を設置環境に合わせて必要な長さに切断する(図1の紙面に平行な面で切断する)ことで実際の設置位置に対応する長さに天井目地材1が形成される。差込部1に形成されている各ヒレについても図1の紙面垂直方向の長さは、差込部1と基本的に同等長さに切断して使用される。
また、差込部1bは後述する如く天井パネル2と壁パネル3の隙間の部分に嵌め込まれるので、この隙間よりも薄い板状に形成されている。表面上部止水ヒレ1aと中央上面ヒレ1dと先端上面ヒレ1gは、いずれも、差込部1bの上面に対し傾斜するように立設され、差込部1bの先端側(図1の右端側)から後端側(左端側)に傾斜するように配置されている。表面下部止水ヒレ1fは差込部1bの左端部底面から下方に向いて傾斜するように立設され、差込部1bの先端側に向いて湾曲する(横断面視円弧状に下向きの凸型に湾曲する)ように延出されている。係合ヒレ1cと中央底面ヒレ1eは、差込部1bの底面側において差込部1bの先端側から後端側に向いて傾斜するように下向きに立設されている。表面上部止水ヒレ1aと中央上面ヒレ1dと先端上面ヒレ1gと表面下部止水ヒレ1fは、いずれも、係合ヒレ1cと中央底面ヒレ1eよりも長く形成されている。
【0017】
本実施形態の天井目地材1の通常使用状態を図2に示す。
図2に示す如く浴室ユニットAにおいて、天井目地材1は天井パネル2と壁パネル3、3Aとの隙間に使用し、壁パネル3、3Aの上部と天井パネル2との隙間を埋める構造となる。壁パネル3、3Aは特に規定されないが、図2の例では壁パネル3側に洗面台10や鏡体11が設置されており、壁パネル3A側に窓部12が設置され、壁パネル3と壁パネル3Aとのコーナー部分に沿って浴槽13が配置されている。従って、図2の例では窓側の壁パネル3Aと天井パネル2との隙間部分に天井目地材1が配置され、洗面台10側の壁パネル3と天井パネル2との隙間部分に天井目地材1が配置されている。
【0018】
本実施形態の天井目地材1の通常使用状態断面図を図3に示す。
図3に示す如く天井目地材1を適当な長さ(設置するべき壁パネル3あるいは壁パネル3Aの幅に合わせた長さ)に切断し、天井目地材1の先端の差込部1bより、壁パネル3の上部へ挿入することにより固定される。壁パネル3は、この実施形態では前面板3bとその裏面側に設置された壁フレーム3cとを具備してなり、前面板3bの上端部3dが表面側から裏面側に回り込むように湾曲されて壁パネル3の上面を構成している。この上端部3dに沿って図3に示す如く差込部1bを天井パネル2と壁パネル3の間に差し込んでゆくと、係合ヒレ1cが壁パネル3の上端部3dの奥側端を通過してその裏側に回り込むので、上端部3dの上面に沿って天井パネル2との間に天井目地材1を設置することができる。
なお、図3において符号3fは壁パネル3の壁フレーム3cに対して支持枠片3gを固定したネジ部材であり、このネジ部材3fにより壁フレーム3cに固定した支持枠片3gを壁パネル3cの上方に延在するように配置することにより、天井パネル2の端部を受けるための受部3hが形成されている。
【0019】
天井目地材1の係合ヒレ1cと壁パネル3の上端部3dにより天井目地材1を係合すると中央上面ヒレ1d、先端上面ヒレ1gの変形反発力にて差込部1bが、壁パネル3の上端部3dに押しつけられ、係合ヒレ1cが壁パネル上端部3dの奥側端に係合固定される。この係合で、壁が衝撃・荷重により動いても天井目地材1が壁パネル3と同調し簡単に外れることはない。
表面上部止水ヒレ1aは、天井パネル2に接することで止水を行う。表面下部止水ヒレ1fは、壁パネル3の前面板3bの表面に接することで、止水を行う。
中央底面ヒレ1eは、図3に示す如く壁パネル3の上端部3dに追随することで、二次止水機能を有している。壁パネル3の上端部3dに波打ちが発生した場合でも、中央底面ヒレ1eが差込部1bの底面側から突出して壁パネル3の上端部3dの波打ち部の低い部分にも高い部分にも追随することで良好な止水性を確保できる。また、差込時に中央底面ヒレ1eにより差込部1bに段差が発生すると、係合ヒレ1cが、壁パネル3の上端部3dと係合しにくい場合がある為、中央底面ヒレ収納部1hを設けて、差込部1bに段差が発生しないように、中央底面ヒレ1eを収納することができるようになっている。
【0020】
天井目地材1の差込部1bの寸法が変化した状態の断面図を図4に示す。この例の場合、壁パネル4の前面板4bの前後位置や壁フレーム4cの寸法変化で壁パネル4と天井パネル2の隙間が変化しても、表面上部止水ヒレ1a、中央上面ヒレ1d、先端上面ヒレ1gが変形することにより天井パネル2に追随し対応できる。また、壁パネル4の上端部4dが成形時に寸法が変化し系合位置が前後しても、表面下部止水ヒレ1fが壁パネル4側方向に曲線形状となっている為、表面下部止水ヒレ1fが壁パネル4の前面板4bに追随して確実に密着し、良好な止水性を確保できる。
【0021】
図6は、本発明に係わる天井目地材の第2実施形態を示すもので、この第2実施形態の天井目地材20は、壁パネル3の上端部3dの形状に大きな変形が無い場合は、図6に示す通りであり、図1に示す実施形態に設けられていた中央底面ヒレ1eと中央底面ヒレ収納部1hを無くすことにより、差込部20bの係合性を向上させることも可能である。
なお、この実施形態の天井目地材20において、表面上部止水ヒレ20aと中央上面ヒレ20dと先端上面ヒレ20gと係合ヒレ20cと表面下部止水ヒレ20fが形成されている点は先の天井目地材1と同等である。
【符号の説明】
【0022】
1…天井目地材、1A…頭部、1a…表面上部止水ヒレ、1b…差込部、1c…係合ヒレ、1d…中央表面ヒレ(止水押さえヒレ)、1e…中央底面ヒレ(止水ヒレ)、1f…表面下部止水ヒレ、1g…先端上面ヒレ(止水押さえヒレ)、20…天井目地材、20a…表面上部止水ヒレ、20b…差込部、20c…係合ヒレ、20d…中央上面ヒレ、20f…表面下部止水ヒレ、20g…先端上面ヒレ、3…壁パネル、3b…前面板、3c…壁フレーム、3d…上端部、3g…支持枠片、3h…受部、4…壁パネル、4b…前面板、4c…壁フレーム、4d…上端部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室ユニットの天井パネルと壁パネルとの隙間を塞ぐ天井目地材において、一端が前記天井パネルと、他端が前記壁パネルとそれぞれ当接し、前記隙間を止水する頭部と、前記頭部から突出した差込部を有し、前記差込部の端部に前記壁パネルの上端部の奥側端と係合する係合ヒレを備えことを特徴とする天井目地材。
【請求項2】
前記差込部の前記頭部と前記係合ヒレとの間に、前記係合ヒレ突出方向と反対方向に、1以上の押さえヒレを有することを特徴とする請求項1記載の天井目地材。
【請求項3】
前記差込部の前記頭部と前記係合ヒレとの間に、前記係合ヒレ突出方向に、1以上の止水ヒレと、前記止水ヒレの一部若しくは全てを収納するための凹部を差込部に有することを特徴とする請求項1乃至請求項2記載の天井目地材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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