説明

天体走行車両用車輪

【課題】構造が比較的簡単であること、軽量であること、及び摺動部分が少ないことを前提に、十分な接地長を確保して車両本来の走行性能を十分に発揮させることが可能な天体走行車両用車輪を提供する。
【解決手段】天体の表面上を走行する車両に装着される天体走行車両用車輪1であり、回転軸心周りに回転するハブ体2と、ハブ体2に対して半径方向外方に配置され、天体の表面と接触する、回転軸心周りに回転する接地体9と、半径方向に延びるとともに周方向に並べられ、ハブ体2及び接地体9を互いに連結するとともに半径方向の荷重を支持する荷重支持手段7と、を具える。荷重支持手段7は、半径方向の荷重に基づいてハブ体2と接地体9とでなす距離を縮めつつ幅方向外方に弾性的に突出変形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、惑星及び衛星等の天体の表面上を走行する天体走行車両に装着される車輪に関し、特に、かかる車両本来の走行性能を十分に発揮させる車輪に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、惑星及び衛星といった地球とは異なる周囲環境下で走行する車両に装着される車輪としては、特許文献1に記載されたものが知られている。この文献に記載の車輪は、車軸に接続される内輪と、天体の表面に接触する外輪とがスポークを介して互いに連結されており、これら外輪及びスポークには剛体が用いられていることから、車両からの荷重(半径方向の圧縮力)に対して車輪は極僅かに弾性変形するのみである。このような車輪は、地球と同等若しくはそれ以上の重力を有し、かつ比較的固い表面を有する天体にて使用される場合には走行性能に悪影響を及ぼすおそれは少ない。
【特許文献1】特開平08−002204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、例えば月面のように地上よりも重力が極端に小さく、なおかつその表面が非常に粒径の小さい砂地等で形成されている天体にて使用される場合には、車輪の弾性変形が小さいことに起因して接地長が十分に確保されず車輪の接地圧が局所的に増大する。接地圧の局所的な増大は、車輪の空転を誘発し、ひいては車両を走行不能にするおそれがある。特に、車輪の踏込み端側では接地圧の極大化により砂地が掘削され、車輪が砂地に潜り込んでしまう傾向にある。このようなことは、遠隔操作にて走行する車両にとっては走行不能状態から脱出する手段を備えていない限り致命的な問題となる。
【0004】
これに対して、低重力環境及び砂地表面を有する天体にて使用される場合でも十分な接地長を確保して上述したような問題を回避可能な駆動系としてクローラが考えられる。クローラは、その特性から安定な走行を確実にもたらすが、多数の摺動部分を有することから新たな問題を誘発する。すなわち、走行に伴い舞い上がった砂が確実に摺動部分に侵入しかかる部分が早期に損傷するという問題である。特に、上述したような低重力環境下では、一旦舞い上がった砂は長時間浮遊することから浮遊した砂は摺動部分に一層侵入し易くなる。各部品が複雑であることも故障の可能性を増大させる一つの要因である。また、宇宙機器では軽量化が重要な課題の一つであるが、クローラの場合部品点数が多く重量が増大しかかる課題が達成できないという問題もある。これら損傷や故障、重量増大への懸念により、クローラが天体走行車両に適用された実績はあまりない。
【0005】
それゆえこの発明は、これらの問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、構造が比較的簡単であること、軽量であること、及び摺動部分が少ないことを前提に、十分な接地長を確保して車両本来の走行性能を十分に発揮させることが可能な天体走行車両用車輪を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、この発明は、天体の表面上を走行する車両に装着される天体走行車両用車輪において、回転軸心周りに回転するハブ体と、前記ハブ体に対して半径方向外方に配置され、前記表面と接触する、前記回転軸心周りに回転する接地体と、半径方向に延びるとともに周方向に複数並べられ、前記ハブ体及び前記接地体を互いに連結するとともに半径方向の荷重を支持する荷重支持手段と、を具え、前記荷重支持手段は、前記荷重に基づいて前記ハブ体と前記接地体とでなす距離を縮めつつ幅方向外方に弾性的に突出変形することを特徴とする天体走行車両用車輪である。なお、ここでいう「天体」とは、衛星、惑星、小惑星及び彗星を含むものとする。また、ここでいう「半径方向」とは車輪の半径方向を意味し、「幅方向」とは車輪の幅方向を意味し、「周方向」とは車輪の周方向を意味する。さらに、ここでいう「ハブ体」は車両の車軸に直接的に接続されていても良く、ホイールやスポークといった他の部材を介して車両の車軸に間接的に接続されていても良い。
【0007】
かかる天体走行車両用車輪にあっては、車輪が接地面に接地すると、接地領域内の、ハブ体と接地体とを連結する荷重支持手段は、車両の荷重に基づいてハブ体と接地体との距離を縮めつつ幅方向外方に弾性的に突出変形する。その結果、接地領域内にある接地体は接地面の形状に対応して変形し、接地体の接地長は長くなり接地圧は低減される。これは、距離的制限のあまりない、車輪の幅方向への荷重支持手段の弾性変化によりもたらされるものであり、すなわち、このように荷重支持手段を幅方向外方に弾性変形させ荷重を支持させる構成としたことにより、低荷重でも確実かつ十分に弾性変形するよう荷重支持手段の弾性係数を比較的小さくすることができるからである。
【0008】
この発明の天体走行車両用車輪によれば、低重力環境及び砂地表面を有する天体にて使用される場合でも車輪は大きく弾性変形し、十分な接地長を確保することができ、すなわち車輪の接地圧を低減することができるので、車輪が空転したり砂地内に沈下したりするおそれがなく、それゆえ車両は、本来の走行性能を十分に発揮することが可能である。また、この発明の車輪は、クローラ等に比べて構造が極めて単純であるとともに摺動部分がなく砂や塵の侵入のおそれがないことから損傷や故障の可能性は低く、しかも部品点数が少ないことから軽量である。
【0009】
このようにこの発明の天体車両用車輪は、低重力環境及び砂地表面を有する天体にて使用される場合に特に効果的に用いることができることから、地上よりも低重力環境であるとともにその表面が砂地等で形成されている月面にて使用される月面走行車両用車輪として用いることが好適である。
【0010】
なお、この発明の天体走行車両用車輪においては、前記荷重支持手段は、半径方向の荷重に基づいて幅方向外方に弾性的に突出変形するよう予め屈曲又は湾曲した板ばねであることが好ましい。かかる板ばねは、幅方向に互いに対向するよう配置することがさらに好ましく、さらに、幅方向に互いに対向する板ばねを一体成形することがより好ましい。
【0011】
また、この発明の天体走行車両用車輪においては、接地体に周方向の張力を付与する張力付与手段をさらに具えることが好ましく、かかる張力付与手段を、U字形状の板ばねで構成することがより好ましい。
【0012】
さらに、この発明の天体走行車両用車輪においては、接地体を、周方向に連続して延びる無端ベルトで構成することが好ましい。
【0013】
あるいは、この発明の天体走行車両用車輪においては、接地体を、周方向に分割された分割セグメントで構成することが好ましく、かかる分割セグメントは、幅方向に直線状に延びることがより好ましい。
【0014】
また、この発明の天体走行車両用車輪においては、接地体は、天体の表面と接触する面に幅方向に延びる段差部を有することが好ましい。
【0015】
加えて、この発明の天体走行車両用車輪においては、接地体は、天体の表面と接触する面に金属繊維を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
この発明の天体走行車両用車輪によれば、摺動部分及び複雑な部品が少ないことを前提に、十分な接地長を確保し得て車両本来の走行性能を十分に発揮させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の天体走行車両用車輪の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ここで、図1は、車両に装着する前の状態の、この発明に従う実施形態の天体走行車両用車輪(以下、単に「車輪」という。)を、一部を実線で示すとともに残余の部分を仮想線で省略して示す概略斜視図である。図2は、図1に示す車輪の幅方向断面の一部をそれぞれ概略して示す幅方向断面図であり、(a)は、接地前の状態を、(b)は、接地後の状態を示すものである。図3は、図1に示す車輪の概略側面図であり、(a)は、接地前の状態を、(b)は、接地後の状態をそれぞれ示すものである。図4は、この発明に従う他の実施形態の車輪の一部を、図2(a)と同様の断面で概略して示す幅方向断面図である。図5は、この発明に従う他の実施形態の車輪の一部を概略してそれぞれ示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は、図5(a)のA−A線に沿う幅方向断面図である。図6は、接地体にバックリングが生じた状態を示す車輪側面輪郭図である。図7は、車両に装着する前の状態の、この発明に従う他の実施形体の車輪を、一部を実線で示すとともに残余の部分を仮想線で省略して示す概略斜視図である。
【0018】
図1において、車輪1は、車両の車軸(図示省略)に接続されるハブ体2を具える。ハブ体2は、円盤形状をなす円盤部3と、該円盤部3の外周に設けられた環状部5とを有する。この実施形態では、円盤部3と環状部5とは一体成形されてなるが、これらを別個に成形し事後的にボルト等の固定具で互いに固定しても良く、また、円盤部に代えて、半径方向に延びる剛性スポークを用いても良い。
【0019】
ハブ体2の外周面上の幅方向両端部付近には、半径方向外方にそれぞれ延びるとともに全周に亘って複数並べられた荷重支持手段としての薄い板ばね7が配置されている。板ばね7は、周方向に適宜のピッチで配置することができるが、走行時に周方向に隣接する板ばね7同士が接触して板ばね7の弾性変形を阻害しないよう留意する必要がある。この実施形態では、ハブ体2と板ばね7とは、ネジ8にて固定されているが、これに代えてリベット等の固定具を用いても良く、互いに溶着しても良い。板ばね7は、半径方向の荷重に基づいて幅方向外方に突出変形するよう、図2(a)に示すように、その途中が幅方向外方に凸に予め湾曲している。従って、板ばね7は、ハブ体2と後述する接地体としての無端ベルト9とを互いに連結するとともに半径方向の荷重を支持する。なお、図示例では予め湾曲した板ばね7を示したが、荷重負荷時(接地時)に幅方向外方へ弾性的に屈曲するよう予め屈曲した板ばね(図示省略)を用いても良い。また、幅方向における一側の板ばね7と他側の板ばね7とは、図示のように周方向位置が同じとなるよう幅方向に対向させて配置しても良く、図示は省略するが周方向位置を異ならせて配置しても良い。後述する、接地体としての無端ベルト9を板ばね7の復元力にて接地面に対して均等に押圧するという観点からいえば、これら板ばね7は周方向位置を等しくすることが好ましい。また、幅方向に互いに対向する板ばね7は別体としても良いが、さらなる部品点数削減の観点からいえば図4に示すように一体成形することが好ましい。この場合、一枚の板ばねの端部はハブ体側でも接地体側でも良い。
【0020】
また、図1に示すように、各板ばね7の半径方向の外端部には、周方向に連続して延びる、例えば無限軌道に用いられるような無端ベルト9が掛け渡されており、かかる無端ベルト9は、車両走行時に接地面と接触するとともに上記ハブ体2と同一軸心で回転する接地体を構成するものである。無端ベルト9は、図示のように、複数のピースを互いにピン(図示省略)で結合し一本の無端ベルトとしてなるものでも良く、図示を省略するが連続した薄いシート状の部材(例えば金属帯)で構成しても良い。この実施形態では、板ばね7と無端ベルト9とは、互いにネジ固定されているが、これに代えてリベット等の他の固定具を用いても良く、互いに溶着しても良い。また、走行時における接地面とのスリップをさらに抑制すべく、無端ベルト9の外周面上に幅方向に延びる段差部10を設けることが好ましく、同様の観点から、かかる表面上に金属繊維(図示省略)を設けることが好ましい。
【0021】
図2(b)及び図3(b)に示すように、この実施形態の車輪1を車両に装着し接地面Gに接地させると、接地領域内の、ハブ体2と無端ベルト9とを互いに連結する板ばね7は、車両からの荷重により押し潰され、湾曲状に撓む。このとき板ばね7は、予め幅方向外方に突出した湾曲形状を有しているので、車両の荷重に基づき幅方向外方に弾性的に突出変形する。すなわち、図2(a)及び図3(a)に示すような接面領域に入る前の、ハブ体と無端ベルト9との間の板ばね7は、接面領域に入ると図2(b)及び図3(b)のように半径方向に圧縮されて湾曲状に撓みを発生し幅方向外方に大きく突出変形する。この結果、接地領域内にある無端ベルト9は接地面Gの形状に対応して変形し、無端ベルト9の接地長は長くなり接地圧は低減される。従って、低重力環境及び砂地表面を有する天体にて使用される場合でも車輪1は大きく弾性変形し、十分な接地長を確保することができ、すなわち車輪1の接地圧を低減することができるので、車輪1が空転したり砂地内に沈下したりするおそれがなく、それゆえ車両は、本来の走行性能を十分に発揮することが可能である。また、この発明の車輪1は、クローラ等に比べて構造が極めて単純であるとともに摺動部分がなく砂や塵の侵入のおそれがないことから損傷や故障の可能性は低く、しかも部品点数が少ないことから軽量である。
【0022】
なお、この発明では、図5(a)、(b)に示すように、U字状の板ばね11を、無端ベルト9の内周面上にその開口が該内周面を向くように複数配置することが好ましい。U字状の板ばね11は、車輪幅方向にみて板ばね7と該板ばね7の周方向に隣接する他の板ばね7との間に配設されている。これにより、無端ベルト9に周方向の張力が付加され、接地領域における無端ベルト9のバックリング(座屈現象)が抑制されるので、接地面Gに対する無端ベルト9のスリップが一層抑制され、より安定した走行を車両に与えることが可能となる。特にこれは、車輪1が登坂状態にある場合に有利な形態である。なお、ここでいうバックリングとは、図6の車輪側面輪郭図にて示すように、走行時に接地体(例えば、無端ベルト9)の踏み込み部及び蹴り出し部が荷重を支える一方で、接地体の、踏み込み部及び蹴り出し部の間の区間が座屈し接地面Gから浮き上がる現象である。このU字状の板ばね11は、無端ベルト9に周方向の張力を付与する張力付与手段を構成する。
【0023】
ところで、接地体は、上述した無端ベルト9に代えて、図7に示すような、周方向に分割された分割セグメント13としても良い。分割セグメント13は、ハブ体2から半径方向外方に延びる湾曲状の板ばね7の一端にネジやリベット等の固定具で固定できる他、溶着により固定できる。また、この実施形態では、U字状の板ばね15を、周方向に隣接する分割セグメント13間に、その開口が半径方向外方へ向くよう配置することが好ましい。このようにすれば、車輪1の形状を確実に保持することができるとともに走行時における周方向に隣接する分割セグメント13同士の過剰な接近又は接触を防止することができ、また、このU字状の板ばね15を先の実施形態で説明した張力付与手段(U字状の板ばね11)として機能させ、走行時における分割セグメント13のバックリングを防止することができる。U字状の板ばね15の配設位置及び個数は、この発明を限定するものではなく、例えば、ハブ体2から半径方向外方に延びる板ばね7間に設けても良く、分割セグメント13の幅方向中央部に設けても良い。車輪1の形状をより安定して保持し、かつ張力付与手段としての機能をより高めるという観点からいえば、図示例のように幅方向両端部近傍にそれぞれ設けることが好ましい。また、各分割セグメント13は、幅方向に沿って配置することが、接地面とのグリップ力を向上させるという観点から好ましく、また、接地面とのスリップをより抑制するため、分割セグメント13の、接地面に接触する側の表面に幅方向に延びる例えば爪状の段差部17を設けることが好ましく、同様の観点から、かかる表面上に金属繊維(図示省略)を設けることが好ましい。これによれば、車両は本体の走行性能をさらに発揮することが可能となる。
【0024】
なお、この発明に従う天体走行車両用車輪を構成する各部品の寸法及び材質並びに弾性体(板ばね7及びU字状の板ばね11、15)の弾性係数等を適宜選択することにより、かかる車輪を使用される天体の環境(温度や重力、表面状態等)及び車両の形態並びに用途に適合させることができる。
【0025】
また、上述したところは、この発明の実施形態の一部を示したにすぎず、この発明の趣旨を逸脱しない限り、これらの構成を相互に組み合わせたり、種々の変更を加えたりすることができる。例えば、この発明の天体走行車両用車輪に適用可能な荷重支持手段は、図8(a)、(b)に示すように、半径方向に延びるとともに幅方向に互いに対向する、3つの枢軸部19を有する板部材21を周方向に複数並べ、さらに幅方向に対向する板部材21間に、該板部材21同士を幅方向内方に付勢するコイルばね23を設けることで構成しても良い。だだし、軽量化及び部品点数の削減という観点からは、荷重支持手段として、上述した実施形態の板ばね7を用いることが好ましい。また、接地体に周方向の張力を付与する張力付与手段として、U字状の板ばね11、15に代えてコイルばね等を用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0026】
この発明により、摺動部分及び複雑な部品が少ないことを前提に、十分な接地長を確保し得て車両本来の走行性能を十分に発揮させることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】車両に装着する前の状態の、この発明に従う実施形態の天体走行車両用車輪を、一部を実線で示すとともに残余の部分を仮想線で省略して示す概略斜視図である。
【図2】図1に示す天体走行車両用車輪の幅方向断面の一部をそれぞれ概略して示す幅方向断面図であり、(a)は、接地前の状態を、(b)は、接地後の状態を示すものである。
【図3】図1に示す天体走行車両用車輪を概略してそれぞれ示す側面図であり、(a)は、接地前の状態を、(b)は、接地後の状態を示すものである。
【図4】この発明に従う他の実施形態の天体走行車両用車輪の一部を図2(a)と同様の断面で概略して示す幅方向断面図である。
【図5】この発明に従う他の実施形態の天体走行車両用車輪の一部を概略してそれぞれ示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は、図5(a)のA−A線に沿う幅方向断面図である。
【図6】接地体にバックリングが生じた状態を示す天体走行車両用車輪側面輪郭図である。
【図7】車両に装着する前の状態の、この発明に従う他の実施形体の天体走行車両用車輪を、一部を実線で示すとともに残余の部分を仮想線で省略して示す概略斜視図である。
【図8】接地状態にある、この発明に従う他の実施形態の天体走行車両用車輪を概略して示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は、図8(a)のB−B線に沿う幅方向断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 車輪
2 ハブ体
3 円盤部
5 環状部
7 板ばね
9 無端ベルト
11 U字状の板ばね
13 分割セグメント
15 U字状の板ばね
17 段差部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天体の表面上を走行する車両に装着される天体走行車両用車輪において、
回転軸心周りに回転するハブ体と、
前記ハブ体に対して半径方向外方に配置され、前記表面と接触する、前記回転軸心周りに回転する接地体と、
半径方向に延びるとともに周方向に複数並べられ、前記ハブ体及び前記接地体を互いに連結するとともに半径方向の荷重を支持する荷重支持手段と、を具え、
前記荷重支持手段は、前記荷重に基づいて前記ハブ体と前記接地体とでなす距離を縮めつつ幅方向外方に弾性的に突出変形することを特徴とする天体走行車両用車輪。
【請求項2】
前記荷重支持手段は、前記荷重に基づいて幅方向外方に突出変形するよう予め屈曲又は湾曲した板ばねである、請求項1に記載の天体走行車両用車輪。
【請求項3】
前記板ばねは、幅方向に互いに対向するよう配置されている、請求項2に記載の天体走行車両用車輪。
【請求項4】
幅方向に互いに対向する前記板ばねは、一体成形されてなる、請求項3に記載の天体走行車両用車輪。
【請求項5】
前記接地体に周方向の張力を付与する張力付与手段をさらに具える、請求項1〜4の何れか一項に記載の天体走行車両用車輪。
【請求項6】
前記張力付与手段は、U字形状の板ばねである、請求項5に記載の天体走行車両用車輪。
【請求項7】
前記接地体は、周方向に連続して延びる無端ベルトである、請求項1〜6の何れか一項に記載の天体走行車両用車輪。
【請求項8】
前記接地体は、周方向に分割された分割セグメントである、請求項1〜6の何れか一項に記載の天体走行車両用車輪。
【請求項9】
前記分割セグメントは、幅方向に直線状に延びる、請求項8に記載の天体走行車両用車輪。
【請求項10】
前記接地体は、前記表面と接触する面に前記幅方向に延びる段差部を有する、請求項1〜9の何れか一項に記載の天体走行車両用車輪。
【請求項11】
前記接地体は、前記表面と接触する面上に金属繊維を有する、請求項1〜10の何れか一項に記載の天体走行車両用車輪。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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