天板自動供給装置
【課題】天板ラックを床面より上方に移動させる手段が必要になる。
【解決手段】ラックアンローダー3の後面側に、天板ラック1に収容状態の天板P、Pa…をラックアンローダー3に押し込むプッシャー4を設け、上記ラックアンローダー3の前面に、該ラックアンローダー3に移載された天板P、Pa…の搬出コンベヤ5を配設し、上記ラックアンローダー3の昇降コンベヤにおける支持片22、22a …の対向垂直部位での個数は、搬出コンベヤ5の搬送面より上方に、移載される天板P、Pa…の枚数以上が存在する様に設定し、上記搬出コンベヤ5は、ラックアンローダー3の前面外部に垂下状態で設置され、上方揺動状態で一対の昇降コンベヤ21、21a 間に水平に配置可能にし、ラックアンローダー3への天板P、Pa…の移載後、該ラックアンローダー3により天板P、Pa…を搬出コンベヤ5の搬送面より上方まで上昇させ、その後搬出コンベヤ5を上方揺動させる。
【解決手段】ラックアンローダー3の後面側に、天板ラック1に収容状態の天板P、Pa…をラックアンローダー3に押し込むプッシャー4を設け、上記ラックアンローダー3の前面に、該ラックアンローダー3に移載された天板P、Pa…の搬出コンベヤ5を配設し、上記ラックアンローダー3の昇降コンベヤにおける支持片22、22a …の対向垂直部位での個数は、搬出コンベヤ5の搬送面より上方に、移載される天板P、Pa…の枚数以上が存在する様に設定し、上記搬出コンベヤ5は、ラックアンローダー3の前面外部に垂下状態で設置され、上方揺動状態で一対の昇降コンベヤ21、21a 間に水平に配置可能にし、ラックアンローダー3への天板P、Pa…の移載後、該ラックアンローダー3により天板P、Pa…を搬出コンベヤ5の搬送面より上方まで上昇させ、その後搬出コンベヤ5を上方揺動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生地が収容された天板を段積み可能な天板ラックから天板を1枚毎にして次工程へ送出可能にした天板自動供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発酵済みの複数のパン生地が配列収容された天板を段積み可能でキャスターを有する天板ラック用の天板自動供給装置にあっては、天板を段積みした天板ラックが、ラックアンローダの後方の所定位置に到達すると、搬入状態の天板ラックにおける天板載置棚と、ラックアンローダの支持片とを対応する位置にセッティングされることから、天板ラックに段積み状態の天板の全てをプッシャーで同時に押し出すと、全ての天板が天板ラックからラックアンローダに移載され、該ラックアンローダにより移載された全ての天板を下降させて、一対の昇降コンベヤ間に始端側を位置させ、且つ最下段の天板受け片と対応する位置にセットされたオーブン接続コンベアに順次移載し、該オーブン接続コンベアにより次工程の焼成工程に移動する様な構成のものが見受けられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4227850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術にあっては、オーブン接続コンベアの搬送面が床面より高所に設定されているのに対し、天板ラックの最下段の天板載置棚は、積載量を増やすべく床面に近い位置に設定されていることから、ラックアンローダにおけるオーブン接続コンベアの搬送面より上方に天板ラックの最下段の天板載置棚を配置させる必要があるため、その位置まで天板ラックを移動させる手段が必要になるなど、解決せねばならない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記従来技術に基づく、天板ラックを床面より上方に移動させる手段が必要になる課題に鑑み、後面に入口を、前面に出口を有し、内部に対向配設された一対の昇降コンベヤを有し、各昇降コンベヤに複数の支持片を、天板ラックにおける天板載置棚の上下間隔と同間隔に設けたラックアンローダーと、該ラックアンローダーの後面側に配置して、天板ラックに収容状態の天板をラックアンローダーに押し込むプッシャーと、上記ラックアンローダーの前面に配設された、該ラックアンローダーに移載された天板を搬出するコンベヤとを有し、上記昇降コンベヤにおける支持片の対向垂直部位での個数は、搬出コンベヤの搬送面より上方に、移載される天板の枚数以上が存在する様に設定し、上記搬出コンベヤは、ラックアンローダーの前面外部に垂下状態で設置され、上端側を中心に上下方向に揺動自在で、上方揺動状態で一対の昇降コンベヤ間に水平に配置可能にし、天板ラックからラックアンローダーに天板を移載した後、該ラックアンローダーにより全ての天板を、上記搬出コンベヤが邪魔にならずに該搬出コンベヤの上方まで持ち上げ、その後搬出コンベヤを上方揺動させることによって、搬入状態の天板ラックにおける天板載置棚の最下段が、搬出コンベヤ及びオーブン接続コンベアの搬送面より低い位置に有っても対応可能として、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
要するに本発明は、後面に入口を、前面に出口を有し、内部に対向配設された一対の昇降コンベヤを有し、各昇降コンベヤに複数の支持片を、天板ラックにおける天板載置棚の上下間隔と同間隔に設けたラックアンローダーと、該ラックアンローダーの後面側に配置して、天板ラックに収容状態の天板をラックアンローダーに押し込むプッシャーと、上記ラックアンローダーの前面に配設された、該ラックアンローダーに移載された天板を搬出するコンベヤとを有しているので、上記ラックアンローダーと上記プッシャー間の所定位置に上記天板ラックを配置すれば、プッシャーにより天板ラックに収容状態の天板をラックアンローダーに移載することが出来、而もラックアンローダーにより天板を降下させれば、上記搬出コンベヤ上に天板を1枚毎に移載し搬出することが出来るため、天板ラックに収容状態の天板を作業員によらず自動的に1枚毎にばらして次工程へ送り出すことが出来る。
而も、一般的には搬入状態の天板ラックにおける天板載置棚の最下段が、搬出コンベヤ及びオーブン接続コンベアの搬送面より低いが、上記昇降コンベヤにおける支持片の対向垂直部位での個数は、搬出コンベヤの搬送面より上方に、移載される天板の枚数以上が存在する様に設定したので、搬入された天板ラックをその状態のままで、プッシャーにより天板をラックアンローダーに移載しても、該ラックアンローダーにより全ての天板を搬出コンベヤの搬送面より上方に上昇させることが出来、更に、上記搬出コンベヤは、ラックアンローダーの前面外部に垂下状態で設置され、上端側を中心に上下方向に揺動自在で、上方揺動状態で一対の昇降コンベヤ間に水平に配置可能にしたので、ラックアンローダーによる天板の上昇工程後に搬出コンベヤを上方揺動させれば、上昇工程時に搬出コンベヤが邪魔にならないため、天板ラックを床面より上方に移動させる手段を不要にすることが出来る。
【0007】
上記天板ラックは、内部を長手方向に複数に区切って複数の収容列を形成し、各収容列に天板載置棚を形成したものとし、上記ラックアンローダーと上記プッシャーとの間に、天板ラックの送り装置を設け、該天板ラック送り装置は、両側方に設けた搬入出口と、上部に往復動自在に設けた移動体と、該移動体の下部に設けた天板ラックの上部を挟むクランプとを有しているので、天板ラックを、各収容列が上記プッシャーの前方に位置させる様に段階的に移動させることが出来、天板ラックを搬入後、全ての収容列の天板を順次自動的に移載させることが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る天板自動供給装置の側面図である。
【図2】図1の天板自動供給装置の正面(前面)図である。
【図3(a)】天板ラックの正面図である。
【図3(b)】図3(a)の天板ラックの平面図である。
【図4(a)】天板ラック送り装置により天板ラックの第1収容列を移載位置に移動させた状態の要部概略正面(前面)図である。
【図4(b)】天板ラック送り装置により天板ラックの第2収容列を移載位置に移動させた状態の要部概略正面(前面)図である。
【図4(c)】天板ラック送り装置により天板ラックの第3収容列を移載位置に移動させた状態の要部概略正面(前面)図である。
【図5(a)】天板ラック送り装置により天板ラックの第1収容列を移載位置に移動させた状態の要部概略水平断面図である。
【図5(b)】天板ラック送り装置により天板ラックの第2収容列を移載位置に移動させた状態の要部概略水平断面図である。
【図5(c)】天板ラック送り装置により天板ラックの第3収容列を移載位置に移動させた状態の要部概略水平断面図である。
【図6】天板ラックからラックアンローダーへ天板を移載した状態の天板自動供給装置の概略断面図である。
【図7】天板ラックを上昇させて搬出コンベヤを上方揺動させた状態の天板自動供給装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。
本発明に係る天板自動供給装置にあっては、図1、2に示す様に、天板ラック1の送り装置2と、該天板ラック送り装置2の前面側に配置したラックアンローダー3と、天板ラック送り装置2の後面側に配置して、天板ラック1に収容状態の天板P、Pa…をラックアンローダー3に押し込むプッッシャー4と、ラックアンローダー3の前面に配設された、該ラックアンローダー3に移載された天板P、Pa…を1枚毎に搬出するコンベヤ5とを有している。
以下、具体的に説明する。
【0010】
上記天板ラック1は、図3、4に示す様に、横長矩形状の上下部フレーム6、6aの四隅部を縦フレーム7、7a、7b、7cで連結すると共に、下部フレーム6aの下面四隅部にキャスター8、8a、8b、8cを設けて移動可能にし、内部を長手方向に複数に区切って複数の収容列9、9a…を形成し、各収容列9、9a…は上下方向に複数の天板載置棚10、10a …を有し、各天板載置棚10、10a …の棚板は、各収容列9、9a…の両内側面より内方突出した一対の載置板11、11a で構成され、該載置板11、11a 上に天板P、Pa…の両側部を載置する様にしている。
【0011】
上記天板ラック送り装置2は、天板ラック1を、図5(a)〜(c)、図6(a)〜(c)に示す様に、各収容列9、9a…の位置が所定の移載位置、即ち後述するプッッシャー4の押圧板23の前方で停止する様に段階的に移動させる様にしたものである。
具体的には、天板ラック1の送り方向に長い矩形状の上部フレーム12の四隅部に支持フレーム13、13b 、13c 、13d を設けて、両側端部の開口部を天板ラック1の搬入出口14、14a とし、前後面側を、後述するプッッシャー4の押圧板23が通過可能にしている。
上記搬入口14の両側部の下方部に一対のガイドローラー15、15a を、上記搬出口14a の両側部の下方部に一対のガイドローラー16、16a を配設し、前方の一対の支持フレーム13、13a の下端側間及び後方の一対の支持フレーム13c 、13d の下端側間にガイドレール17、17a を架設している。
上記上部フレーム12にその長手方向に往復動自在な移動手段18を設け、該移動手段18の下部にクランプ19を配設し、該クランプ19で天板ラック1の上部を挟み、移動手段18により天板ラック1を段階的に走行可能にしている。
【0012】
尚、上記移動手段18は、その上面に設けたガイドブッシュに、上部フレーム12側に取り付けた一対の水平なガイドシャフトを挿通し、移動手段18の上面に設けたラックに、上部フレーム12側に設置したモーターに装着したピニオンを噛合して、該ピニオンの正逆駆動により移動手段18を往復移動させる様にしている。
又、上記クランプ19は、上下揺動自在な一対のクランプ爪を有し、該クランプ爪の中心軸の中央に設けた突片に、基端部を移動手段18に軸着したシリンダのロッドを軸着して、該ロッドの進退によりクランプ爪を上下揺動させる様にしている。
【0013】
上記ラックアンローダー3は、図1、2に示す様に、後面に天板ラック1における各収容列9、9a…の天板P、Pa…の全てが同時に通過可能な入口20と、前面に少なくとも1個の天板が通過可能で、上記搬出コンベヤ5の上下揺動を可能にする出口20a が有り、内部に対称に対向配設された一対の昇降コンベヤ21、21a を有し、各昇降コンベヤ21、21a に複数の支持片22、22a …を、天板ラック1における天板載置棚10、10a …の上下間隔と同間隔に設け、一方の昇降コンベヤ21の支持片22、22a …と、他方の昇降コンベヤ21a の支持片22、22a …の上に天板P、Pa…の両側部を載置する様にしている。
又、搬入状態の天板ラック1における天板載置棚10、10a …は、ラックアンローダ3の支持片22、22a …における昇降コンベヤ21、21a の対向部位に存在するものと対応する位置にセッティングされ、つまり支持片22、22a …における昇降コンベヤ21、21a の対向部位に存在するもので而も最も下段のものが、天板ラック1における天板載置棚10、10a …の最下段に対し同レベル又は下方に位置している。
更に、昇降コンベヤ21、21a における支持片22、22a …の対向垂直部位での個数は、搬出コンベヤ5の搬送面より上方に、移載される天板天板P、Pa…の枚数以上が存在する様に設定されている。
【0014】
上記プッッシャー4は、ラックアンローダー3の出入口20、20a の延長線上に位置し、幅が天板ラック1における一対の載置板11、11a の先端間の寸法より狭く、長さが天板ラック1における上下部フレーム6、6aの間より短い押圧板23を平行運動機構24を介して、上下端を天板ラック送り装置2の上部フレーム12及びガイドレール17a に固定した縦フレーム25の前面に進退自在に設置されている。
尚、上記平行運動機構24は、中央で軸着してX状にしたリンクの一方の下端を縦フレームに枢着し、リンクの他方の下端を押圧板23の後面下方部に枢着し、リンクの上端に回動自在に設けたローラーを縦フレーム25の前面及び押圧板23の後面の両側上方部に設けた縦レールに嵌め込み、縦フレーム25に下端が枢着されたリンクの枢軸をモーターで正逆回転させることで、押圧板23を進退させる様にしている。
【0015】
上記搬出コンベヤ5は、ラックアンローダー3の前面に設置され、上下方向に揺動自在で、使用時には水平状態で一対の昇降コンベヤ21、21a 間に位置させて、移載された天板P、Pa…をオーブン接続コンベア31へ移送し、それ以外では稼働中の一対の昇降コンベヤ21、21a の邪魔にならない様に、90度下方揺動させた状態でラックアンローダー3の外部に待機している。
具体的には、ラックアンローダー3の前面に固定された平面視門型状の取付枠32の両側の縦部材の上部に、搬出コンベヤ5の基端側の駆動軸の軸受33、33a を設け、上記縦部材の先端間の横部材にシリンダ34の基端部を上下揺動可能に取り付け、該シリンダ34のロッド35の先端を搬出コンベヤ5の先端側下部に自在継手36を介して連結して、シリンダ34の伸縮により搬出コンベヤ5を上下揺動させる様にしている。
【0016】
次に、本発明に係る天板自動供給装置の作用について説明する。
(1)複数のパン生地が配列収容された天板P、Pa…を天板ラック1に段積みした状態で発酵室(図示せず)内に納めパン生地を発酵させた後、天板ラック1を発酵室から搬出して、天板ラック1の一側端を天板ラック送り装置2の搬入口14から搬入すると、クランプ19により天板ラック1の上部を挟み、移動手段18で天板ラック1を第1収容列9が、図4(a)、図5(a)に示す様に、移載位置に至るまで移動させる。
(2)天板ラック1の第1収容列9に段積みされた天板P、Pa…をプッシャー4の押圧板23を前進させ押し出して、ラックアンローダ3に移載し(図6参照)、その後押圧板23を後退させる。
(3)ラックアンローダ3により天板P、Pa…を搬出コンベヤ5及びオーブン接続コンベア31の搬送面に対し同レベル又は上方まで上昇させ、待機状態の搬出コンベヤ5を上方揺動させて、ラックアンローダ3内の昇降コンベヤ21、21a 間で水平状態とした後(図7参照)、ラックアンローダ3により全ての天板P、Pa…を下降させて順次搬出コンベヤ5に移載し(図7参照)、該搬出コンベヤ5によりラックアンローダ3から天板P、Pa…を1個ずつ搬出しオーブン接続コンベア31へ移送して、該オーブン接続コンベア31により次の艶出し液塗布工程又は焼成工程に移送する。
【0017】
又、天板P、Pa…をラックアンローダ3に移載し、プッシャー4の押圧板23を後退させた後、移動手段18で天板ラック1を第2収容列9aが、図4(b)、図5(b)に示す様に、移載位置に至るまで移動させて、上記(2)〜(3)工程を実施し、プッシャー4の押圧板23を後退させた後、移動手段18で天板ラック1を、第3収容列9cが、図4(c)、図5(c)に示す様に、移載位置に至るまで移動させて、上記(2)〜(3)工程を実施した後、クランプ19を解除して、搬出口14a から空の天板ラック1を引き出す。
【符号の説明】
【0018】
1 天板ラック
2 天板ラック送り装置
3 ラックアンローダー
4 プッシャー
5 搬出コンベヤ
9、9a… 収容列
10、10a … 天板載置棚
14、14a 搬入出口
18 移動手段
19 クランプ
20 入口
20a 出口
21、21a 昇降コンベヤ
22、22a … 支持片
P、Pa… 天板
【技術分野】
【0001】
本発明は、生地が収容された天板を段積み可能な天板ラックから天板を1枚毎にして次工程へ送出可能にした天板自動供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発酵済みの複数のパン生地が配列収容された天板を段積み可能でキャスターを有する天板ラック用の天板自動供給装置にあっては、天板を段積みした天板ラックが、ラックアンローダの後方の所定位置に到達すると、搬入状態の天板ラックにおける天板載置棚と、ラックアンローダの支持片とを対応する位置にセッティングされることから、天板ラックに段積み状態の天板の全てをプッシャーで同時に押し出すと、全ての天板が天板ラックからラックアンローダに移載され、該ラックアンローダにより移載された全ての天板を下降させて、一対の昇降コンベヤ間に始端側を位置させ、且つ最下段の天板受け片と対応する位置にセットされたオーブン接続コンベアに順次移載し、該オーブン接続コンベアにより次工程の焼成工程に移動する様な構成のものが見受けられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4227850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術にあっては、オーブン接続コンベアの搬送面が床面より高所に設定されているのに対し、天板ラックの最下段の天板載置棚は、積載量を増やすべく床面に近い位置に設定されていることから、ラックアンローダにおけるオーブン接続コンベアの搬送面より上方に天板ラックの最下段の天板載置棚を配置させる必要があるため、その位置まで天板ラックを移動させる手段が必要になるなど、解決せねばならない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記従来技術に基づく、天板ラックを床面より上方に移動させる手段が必要になる課題に鑑み、後面に入口を、前面に出口を有し、内部に対向配設された一対の昇降コンベヤを有し、各昇降コンベヤに複数の支持片を、天板ラックにおける天板載置棚の上下間隔と同間隔に設けたラックアンローダーと、該ラックアンローダーの後面側に配置して、天板ラックに収容状態の天板をラックアンローダーに押し込むプッシャーと、上記ラックアンローダーの前面に配設された、該ラックアンローダーに移載された天板を搬出するコンベヤとを有し、上記昇降コンベヤにおける支持片の対向垂直部位での個数は、搬出コンベヤの搬送面より上方に、移載される天板の枚数以上が存在する様に設定し、上記搬出コンベヤは、ラックアンローダーの前面外部に垂下状態で設置され、上端側を中心に上下方向に揺動自在で、上方揺動状態で一対の昇降コンベヤ間に水平に配置可能にし、天板ラックからラックアンローダーに天板を移載した後、該ラックアンローダーにより全ての天板を、上記搬出コンベヤが邪魔にならずに該搬出コンベヤの上方まで持ち上げ、その後搬出コンベヤを上方揺動させることによって、搬入状態の天板ラックにおける天板載置棚の最下段が、搬出コンベヤ及びオーブン接続コンベアの搬送面より低い位置に有っても対応可能として、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
要するに本発明は、後面に入口を、前面に出口を有し、内部に対向配設された一対の昇降コンベヤを有し、各昇降コンベヤに複数の支持片を、天板ラックにおける天板載置棚の上下間隔と同間隔に設けたラックアンローダーと、該ラックアンローダーの後面側に配置して、天板ラックに収容状態の天板をラックアンローダーに押し込むプッシャーと、上記ラックアンローダーの前面に配設された、該ラックアンローダーに移載された天板を搬出するコンベヤとを有しているので、上記ラックアンローダーと上記プッシャー間の所定位置に上記天板ラックを配置すれば、プッシャーにより天板ラックに収容状態の天板をラックアンローダーに移載することが出来、而もラックアンローダーにより天板を降下させれば、上記搬出コンベヤ上に天板を1枚毎に移載し搬出することが出来るため、天板ラックに収容状態の天板を作業員によらず自動的に1枚毎にばらして次工程へ送り出すことが出来る。
而も、一般的には搬入状態の天板ラックにおける天板載置棚の最下段が、搬出コンベヤ及びオーブン接続コンベアの搬送面より低いが、上記昇降コンベヤにおける支持片の対向垂直部位での個数は、搬出コンベヤの搬送面より上方に、移載される天板の枚数以上が存在する様に設定したので、搬入された天板ラックをその状態のままで、プッシャーにより天板をラックアンローダーに移載しても、該ラックアンローダーにより全ての天板を搬出コンベヤの搬送面より上方に上昇させることが出来、更に、上記搬出コンベヤは、ラックアンローダーの前面外部に垂下状態で設置され、上端側を中心に上下方向に揺動自在で、上方揺動状態で一対の昇降コンベヤ間に水平に配置可能にしたので、ラックアンローダーによる天板の上昇工程後に搬出コンベヤを上方揺動させれば、上昇工程時に搬出コンベヤが邪魔にならないため、天板ラックを床面より上方に移動させる手段を不要にすることが出来る。
【0007】
上記天板ラックは、内部を長手方向に複数に区切って複数の収容列を形成し、各収容列に天板載置棚を形成したものとし、上記ラックアンローダーと上記プッシャーとの間に、天板ラックの送り装置を設け、該天板ラック送り装置は、両側方に設けた搬入出口と、上部に往復動自在に設けた移動体と、該移動体の下部に設けた天板ラックの上部を挟むクランプとを有しているので、天板ラックを、各収容列が上記プッシャーの前方に位置させる様に段階的に移動させることが出来、天板ラックを搬入後、全ての収容列の天板を順次自動的に移載させることが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る天板自動供給装置の側面図である。
【図2】図1の天板自動供給装置の正面(前面)図である。
【図3(a)】天板ラックの正面図である。
【図3(b)】図3(a)の天板ラックの平面図である。
【図4(a)】天板ラック送り装置により天板ラックの第1収容列を移載位置に移動させた状態の要部概略正面(前面)図である。
【図4(b)】天板ラック送り装置により天板ラックの第2収容列を移載位置に移動させた状態の要部概略正面(前面)図である。
【図4(c)】天板ラック送り装置により天板ラックの第3収容列を移載位置に移動させた状態の要部概略正面(前面)図である。
【図5(a)】天板ラック送り装置により天板ラックの第1収容列を移載位置に移動させた状態の要部概略水平断面図である。
【図5(b)】天板ラック送り装置により天板ラックの第2収容列を移載位置に移動させた状態の要部概略水平断面図である。
【図5(c)】天板ラック送り装置により天板ラックの第3収容列を移載位置に移動させた状態の要部概略水平断面図である。
【図6】天板ラックからラックアンローダーへ天板を移載した状態の天板自動供給装置の概略断面図である。
【図7】天板ラックを上昇させて搬出コンベヤを上方揺動させた状態の天板自動供給装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。
本発明に係る天板自動供給装置にあっては、図1、2に示す様に、天板ラック1の送り装置2と、該天板ラック送り装置2の前面側に配置したラックアンローダー3と、天板ラック送り装置2の後面側に配置して、天板ラック1に収容状態の天板P、Pa…をラックアンローダー3に押し込むプッッシャー4と、ラックアンローダー3の前面に配設された、該ラックアンローダー3に移載された天板P、Pa…を1枚毎に搬出するコンベヤ5とを有している。
以下、具体的に説明する。
【0010】
上記天板ラック1は、図3、4に示す様に、横長矩形状の上下部フレーム6、6aの四隅部を縦フレーム7、7a、7b、7cで連結すると共に、下部フレーム6aの下面四隅部にキャスター8、8a、8b、8cを設けて移動可能にし、内部を長手方向に複数に区切って複数の収容列9、9a…を形成し、各収容列9、9a…は上下方向に複数の天板載置棚10、10a …を有し、各天板載置棚10、10a …の棚板は、各収容列9、9a…の両内側面より内方突出した一対の載置板11、11a で構成され、該載置板11、11a 上に天板P、Pa…の両側部を載置する様にしている。
【0011】
上記天板ラック送り装置2は、天板ラック1を、図5(a)〜(c)、図6(a)〜(c)に示す様に、各収容列9、9a…の位置が所定の移載位置、即ち後述するプッッシャー4の押圧板23の前方で停止する様に段階的に移動させる様にしたものである。
具体的には、天板ラック1の送り方向に長い矩形状の上部フレーム12の四隅部に支持フレーム13、13b 、13c 、13d を設けて、両側端部の開口部を天板ラック1の搬入出口14、14a とし、前後面側を、後述するプッッシャー4の押圧板23が通過可能にしている。
上記搬入口14の両側部の下方部に一対のガイドローラー15、15a を、上記搬出口14a の両側部の下方部に一対のガイドローラー16、16a を配設し、前方の一対の支持フレーム13、13a の下端側間及び後方の一対の支持フレーム13c 、13d の下端側間にガイドレール17、17a を架設している。
上記上部フレーム12にその長手方向に往復動自在な移動手段18を設け、該移動手段18の下部にクランプ19を配設し、該クランプ19で天板ラック1の上部を挟み、移動手段18により天板ラック1を段階的に走行可能にしている。
【0012】
尚、上記移動手段18は、その上面に設けたガイドブッシュに、上部フレーム12側に取り付けた一対の水平なガイドシャフトを挿通し、移動手段18の上面に設けたラックに、上部フレーム12側に設置したモーターに装着したピニオンを噛合して、該ピニオンの正逆駆動により移動手段18を往復移動させる様にしている。
又、上記クランプ19は、上下揺動自在な一対のクランプ爪を有し、該クランプ爪の中心軸の中央に設けた突片に、基端部を移動手段18に軸着したシリンダのロッドを軸着して、該ロッドの進退によりクランプ爪を上下揺動させる様にしている。
【0013】
上記ラックアンローダー3は、図1、2に示す様に、後面に天板ラック1における各収容列9、9a…の天板P、Pa…の全てが同時に通過可能な入口20と、前面に少なくとも1個の天板が通過可能で、上記搬出コンベヤ5の上下揺動を可能にする出口20a が有り、内部に対称に対向配設された一対の昇降コンベヤ21、21a を有し、各昇降コンベヤ21、21a に複数の支持片22、22a …を、天板ラック1における天板載置棚10、10a …の上下間隔と同間隔に設け、一方の昇降コンベヤ21の支持片22、22a …と、他方の昇降コンベヤ21a の支持片22、22a …の上に天板P、Pa…の両側部を載置する様にしている。
又、搬入状態の天板ラック1における天板載置棚10、10a …は、ラックアンローダ3の支持片22、22a …における昇降コンベヤ21、21a の対向部位に存在するものと対応する位置にセッティングされ、つまり支持片22、22a …における昇降コンベヤ21、21a の対向部位に存在するもので而も最も下段のものが、天板ラック1における天板載置棚10、10a …の最下段に対し同レベル又は下方に位置している。
更に、昇降コンベヤ21、21a における支持片22、22a …の対向垂直部位での個数は、搬出コンベヤ5の搬送面より上方に、移載される天板天板P、Pa…の枚数以上が存在する様に設定されている。
【0014】
上記プッッシャー4は、ラックアンローダー3の出入口20、20a の延長線上に位置し、幅が天板ラック1における一対の載置板11、11a の先端間の寸法より狭く、長さが天板ラック1における上下部フレーム6、6aの間より短い押圧板23を平行運動機構24を介して、上下端を天板ラック送り装置2の上部フレーム12及びガイドレール17a に固定した縦フレーム25の前面に進退自在に設置されている。
尚、上記平行運動機構24は、中央で軸着してX状にしたリンクの一方の下端を縦フレームに枢着し、リンクの他方の下端を押圧板23の後面下方部に枢着し、リンクの上端に回動自在に設けたローラーを縦フレーム25の前面及び押圧板23の後面の両側上方部に設けた縦レールに嵌め込み、縦フレーム25に下端が枢着されたリンクの枢軸をモーターで正逆回転させることで、押圧板23を進退させる様にしている。
【0015】
上記搬出コンベヤ5は、ラックアンローダー3の前面に設置され、上下方向に揺動自在で、使用時には水平状態で一対の昇降コンベヤ21、21a 間に位置させて、移載された天板P、Pa…をオーブン接続コンベア31へ移送し、それ以外では稼働中の一対の昇降コンベヤ21、21a の邪魔にならない様に、90度下方揺動させた状態でラックアンローダー3の外部に待機している。
具体的には、ラックアンローダー3の前面に固定された平面視門型状の取付枠32の両側の縦部材の上部に、搬出コンベヤ5の基端側の駆動軸の軸受33、33a を設け、上記縦部材の先端間の横部材にシリンダ34の基端部を上下揺動可能に取り付け、該シリンダ34のロッド35の先端を搬出コンベヤ5の先端側下部に自在継手36を介して連結して、シリンダ34の伸縮により搬出コンベヤ5を上下揺動させる様にしている。
【0016】
次に、本発明に係る天板自動供給装置の作用について説明する。
(1)複数のパン生地が配列収容された天板P、Pa…を天板ラック1に段積みした状態で発酵室(図示せず)内に納めパン生地を発酵させた後、天板ラック1を発酵室から搬出して、天板ラック1の一側端を天板ラック送り装置2の搬入口14から搬入すると、クランプ19により天板ラック1の上部を挟み、移動手段18で天板ラック1を第1収容列9が、図4(a)、図5(a)に示す様に、移載位置に至るまで移動させる。
(2)天板ラック1の第1収容列9に段積みされた天板P、Pa…をプッシャー4の押圧板23を前進させ押し出して、ラックアンローダ3に移載し(図6参照)、その後押圧板23を後退させる。
(3)ラックアンローダ3により天板P、Pa…を搬出コンベヤ5及びオーブン接続コンベア31の搬送面に対し同レベル又は上方まで上昇させ、待機状態の搬出コンベヤ5を上方揺動させて、ラックアンローダ3内の昇降コンベヤ21、21a 間で水平状態とした後(図7参照)、ラックアンローダ3により全ての天板P、Pa…を下降させて順次搬出コンベヤ5に移載し(図7参照)、該搬出コンベヤ5によりラックアンローダ3から天板P、Pa…を1個ずつ搬出しオーブン接続コンベア31へ移送して、該オーブン接続コンベア31により次の艶出し液塗布工程又は焼成工程に移送する。
【0017】
又、天板P、Pa…をラックアンローダ3に移載し、プッシャー4の押圧板23を後退させた後、移動手段18で天板ラック1を第2収容列9aが、図4(b)、図5(b)に示す様に、移載位置に至るまで移動させて、上記(2)〜(3)工程を実施し、プッシャー4の押圧板23を後退させた後、移動手段18で天板ラック1を、第3収容列9cが、図4(c)、図5(c)に示す様に、移載位置に至るまで移動させて、上記(2)〜(3)工程を実施した後、クランプ19を解除して、搬出口14a から空の天板ラック1を引き出す。
【符号の説明】
【0018】
1 天板ラック
2 天板ラック送り装置
3 ラックアンローダー
4 プッシャー
5 搬出コンベヤ
9、9a… 収容列
10、10a … 天板載置棚
14、14a 搬入出口
18 移動手段
19 クランプ
20 入口
20a 出口
21、21a 昇降コンベヤ
22、22a … 支持片
P、Pa… 天板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後面に入口を、前面に出口を有し、内部に対向配設された一対の昇降コンベヤを有し、各昇降コンベヤに複数の支持片を、天板ラックにおける天板載置棚の上下間隔と同間隔に設けたラックアンローダーと、該ラックアンローダーの後面側に配置して、天板ラックに収容状態の天板をラックアンローダーに押し込むプッシャーと、上記ラックアンローダーの前面に配設された、該ラックアンローダーに移載された天板を搬出するコンベヤとを有し、該搬出コンベヤは、ラックアンローダーの前面外部に垂下状態で設置され、上端側を中心に上下方向に揺動自在で、上方揺動状態で一対の昇降コンベヤ間に水平に配置可能にし、上記昇降コンベヤにおける支持片の対向垂直部位での個数は、搬出コンベヤの搬送面より上方に、移載される天板の枚数以上が存在する様に設定したことを特徴とする天板自動供給装置。
【請求項2】
上記天板ラックは、内部を長手方向に複数に区切って複数の収容列を形成し、各収容列に天板載置棚を形成したものとし、上記ラックアンローダーと上記プッシャーとの間に、天板ラックの送り装置を設け、該天板ラック送り装置は、両側方に設けた搬入出口と、上部に往復動自在に設けた移動体と、該移動体の下部に設けた天板ラックの上部を挟むクランプとを有したことを特徴とする請求項1記載の天板自動供給装置。
【請求項1】
後面に入口を、前面に出口を有し、内部に対向配設された一対の昇降コンベヤを有し、各昇降コンベヤに複数の支持片を、天板ラックにおける天板載置棚の上下間隔と同間隔に設けたラックアンローダーと、該ラックアンローダーの後面側に配置して、天板ラックに収容状態の天板をラックアンローダーに押し込むプッシャーと、上記ラックアンローダーの前面に配設された、該ラックアンローダーに移載された天板を搬出するコンベヤとを有し、該搬出コンベヤは、ラックアンローダーの前面外部に垂下状態で設置され、上端側を中心に上下方向に揺動自在で、上方揺動状態で一対の昇降コンベヤ間に水平に配置可能にし、上記昇降コンベヤにおける支持片の対向垂直部位での個数は、搬出コンベヤの搬送面より上方に、移載される天板の枚数以上が存在する様に設定したことを特徴とする天板自動供給装置。
【請求項2】
上記天板ラックは、内部を長手方向に複数に区切って複数の収容列を形成し、各収容列に天板載置棚を形成したものとし、上記ラックアンローダーと上記プッシャーとの間に、天板ラックの送り装置を設け、該天板ラック送り装置は、両側方に設けた搬入出口と、上部に往復動自在に設けた移動体と、該移動体の下部に設けた天板ラックの上部を挟むクランプとを有したことを特徴とする請求項1記載の天板自動供給装置。
【図1】
【図2】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図4(c)】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図5(c)】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図4(c)】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図5(c)】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2012−152129(P2012−152129A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13672(P2011−13672)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(511005332)岩瀬プラント工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(511005332)岩瀬プラント工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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