説明

天然ゲル含有固形化粧品並びにその製造方法及び天然ゲル含有液状化粧品

【課題】天然ゲル含有美容液、天然ゲル含有化粧水等の天然ゲル含有液状化粧品の流通過程における保存、輸送等の負担を軽減し、購入後の液化を容易にし、消費者のニーズに対応し易くする。
【解決手段】天然ゲル含有液状化粧品を真空凍結乾燥法により水分を除去して、多孔性の天然ゲル含有固形物にする。そして、使用時にはその天然ゲル含有固形物に除去した水分とほぼ同量の水を加えて、天然ゲル含有液状化粧品に戻す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の天然ゲルを含有する美容液、化粧水等の液状化粧品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、肌にやさしい低刺激性の成分として、各種の有機物、無機物等の天然ゲルを含有する美容液、化粧水等の液状化粧品が使用されるようになった。何故なら、従来から使用されているオイル、クリーム(オイルと水とがほぼ半々の混合物)を用いると、オイルで皮膚を覆うことによって、外部の刺激から皮膚を守ることができても、一般的にオイルは通気性や皮膚への浸透性が劣り、べたつき易く、洗い残すと皮膚を傷める等の不具合があるからである。この点、天然ゲル含有液状化粧品を用いると、そのような不具合が無く、肌の細胞を形成しているゲルと水分を補って張りと艶のある肌を保つことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような天然ゲル含有液状化粧品には、一般に美容液では90〜95%程、又化粧水では99%程の多量の水が含まれている。そこで、通常は液状化粧品をガラスビン、ペットボトル等の容器に入れて使用する。このため、天然ゲル含有液状化粧品の流通にとって、その化粧品に含まれる多量の水を保存し、輸送するための負担が大きく問題がある。
【0004】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、天然ゲル含有液状化粧品の流通過程における保存、輸送等の負担の軽減と、購入後の液化が容易で、消費者のニーズに対応し易い天然ゲル含有固形化粧品並びにその製造方法及び天然ゲル含有液状化粧品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明による天然ゲル含有固形化粧品は、天然ゲル含有液状化粧品の水分を除去して多孔性の天然ゲル含有固形物にしたものである。
【0006】
そして、本発明による上記天然ゲル含有固形化粧品の製造方法として、水分の除去を真空凍結乾燥法によって行うと好ましくなる。
又、本発明による天然ゲル含有液状化粧品は上記天然ゲル含有固形化粧品に水を加えて液化したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の天然ゲル含有固形化粧品は、天然ゲル含有液状化粧品から水分を除去することによって、原料の天然ゲル含有美容液、化粧水等に比べて大幅の軽量化、減容積化を行える。それ故、天然ゲル含有液状化粧品をそのままガラスビン、ペットボトル等の容器に入れて流通させる場合と比べ、プラスチック製袋等に入れて密封するだけでよく、流通過程における保存、輸送等に必要な負担を大きく軽減させることができる。しかも、天然ゲル含有固形化粧品は形態が多孔性固形物であるので、親液性化構造を有し、容易に溶解する性質を備えている。
【0008】
そして、本発明の天然ゲル含有固形化粧品の製造方法では、水分の除去を真空凍結乾燥法によって行うことにより、天然ゲル含有液状化粧品の水分を凍結状態で低温のまま昇華して除去できる。それ故、加熱により揮発成分が失われると破壊される材料や、凝固点以上の温度で破壊される材料の乾燥に適し、材料の収縮を最小限にして残留物を多孔性の天然ゲル含有固形物にできる。
【0009】
又、本発明の天然ゲル含有液状化粧品は、使用者等が天然ゲル含有固形化粧品に水を加えて簡単に液化できるので、手軽に使用できる。しかも、加える水の量を調整することによって自分に適した濃度の美容液又は化粧水にして使用できるので好都合である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の最良形態を説明する。
本発明適用の天然ゲル含有固形化粧品の原料として天然ゲル含有液状化粧品、例えば天然ゲル含有美容液を用いる。この天然ゲル含有美容液には製造時に天然由来の材料として、例えば海洋・淡水由来の材料、陸上植物由来の材料、更にエッセンス機能を高める材料等を多数配合する。そこで、海洋・淡水由来の材料として、例えば海洋深層水、褐藻エキス、クロレラエキス、スクワラン、海塩等を用いる。
【0011】
又、陸上植物由来の材料として、タイムエキス、リンゴエキス、ヒノキエッセンシャルオイル、ノバラエキス、ツルレイシ果実エキス、ソウハクヒエキス、オタネニンジンエキス、アロエベラエキス、カッコンエキス、オリーブ葉エキス、甘草エキス、生コーヒー豆エキス等を用いる。
【0012】
更に、エッセンス機能を高める材料として、ローヤルゼリーエキス、グリチルリチル酸2K、加水分解コラーゲン、加水分解酵母エキス、PCA−NA、イノシトール、アミノカプロン酸、コメヌカスフインゴ糖脂質、ベントナイト、アミノ酸18種類、BG(ブチレングリコール)、グリセリン、ソルビトール、デキストリン、アライトイン、水添レシチン、リゾレシチン、クエン酸、カラギーナン、ケイ酸(Na/Mg)、ペンチレングリコール、フェノキシエタノール等を用いる。
【0013】
そして、このような数十種類の材料を容量%で、例えば海洋深層水95%、BG、グリセリン、デキストリン、カラギーナンをいずれも1%、褐藻エキス、ベントナイトをいずれも0.1%、クロレラエキス、スクワラン、海塩、ツルレイシ果実エキス、ソウハクヒエキス、オタネニンジンエキス、アロエベラエキス、カッコンエキス、オリーブ葉エキス、甘草エキス、生コーヒー豆エキス、ローヤルゼリーエキス、グリチルリチル酸2K、加水分解コラーゲン、加水分解酵母エキス、PCA−NA、イノシトール、アミノカプロン酸、コメヌカスフインゴ糖脂質、タイムエキス、リンゴエキス、ノバラエキス、ヒノキエッセンシャルオイルをいずれも0.01%、その他の材料を0.57%配合する。
【0014】
すると、各種の植物エキス等の植物のゲル、スクワラン、加水分解コラーゲン等の動物のゲル、ベントナイト等の無機物のゲルを天然ゲルとして含み、更にカラギーナン等のカンテン類を増粘材(粘着力の大きな粘質物)として含んだ天然ゲル含有美容液が得られる。そこで、この天然ゲル含有美容液を真空凍結乾燥機を用いて、その美容液から水分を除去する。すると、天然ゲル含有美容液を凍結状態で乾燥し、氷を昇華して水分を除去できる。それ故、揮発成分が失われると破壊される材料や、凝固点以上の温度で破壊される材料の乾燥に適し、材料の収縮を最小限にして残留物を多孔性の固形物にでき、重量を5〜10%程にする軽量化と、容積を10%程にする減容積化を行える。それ故、例えば50mlの天然ゲル含有美容液を2.5g程、5立方cm程の多孔性固形物にして、郵送に適する重量と大きさにできる。
【0015】
このため、天然ゲル含有美容液をそのままガラスビン、ペットボトル等の容器に入れて流通させる場合と比べ、プラスチック製袋等に入れて密封するだけでよく、流通過程における保存、輸送等に必要な負担を大幅に軽減できる。例えば、(1)安定した輸送を行えて、輸送コストが安くなる。(2)BG等の防腐剤等の薬剤使用量を少なくできる。(3)冷蔵又は冷凍すると、鮮度を保持したままで、保存、輸送等を行える。(4)冷蔵又は冷凍すれば、使用期限、保存期限を延長できる。なお、従来では例えば100gの天然ゲル含有美容液を100gのガラスビンに入れて流通させていた。
【0016】
そして、使用者等が購入した天然ゲル含有固形化粧品は形態が多孔性固形物となっているので、親液性化構造を有し、容易に溶解する性質を備えている。このため、使用者等が真空凍結乾燥法によって除去した水とほぼ同量の水を加えるだけでよく、簡単に天然ゲル含有美容液に戻して使用できる。その際、加える水の量を調整すると、自分に適した濃度にして使用できるので、消費者ニーズの変化に対応できる。又、使用者が旅行等で外出する場合等でも、美容液のビンを持ち歩く必要がなく、天然ゲル含有固形化粧品を小分けし、軽量、コンパクトにして持参すると、使用時に簡単に美容液に戻して使用できる。なお、多孔性の天然ゲル含有固形化粧品にすると、天然系色素を使った場合、液状のままでは時間の経過と共に色合いが悪くなる等の径時変換があるが、そのような径時変化を小さくすることができる。
【0017】
なお、上記の実施形態では天然ゲル含有固形化粧品の原材料として天然ゲル含有美容液を用いる場合について説明したが、天然ゲル含有化粧水についても、真空凍結乾燥機を用いる等、同様にして天然ゲル含有固形化粧品を製造し、又その天然ゲル含有固形化粧品に除去した水とほぼ同量の水を加え、天然ゲル含有化粧水に戻して使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ゲル含有液状化粧品の水分を除去して多孔性の天然ゲル含有固形物にしたことを特徴とする天然ゲル含有固形化粧品。
【請求項2】
水分の除去を真空凍結乾燥法によって行うことを特徴とする請求項1記載の天然ゲル含有固形化粧品の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の天然ゲル含有固形化粧品に水を加えて液化したことを特徴とする天然ゲル含有液状化粧品。

【公開番号】特開2007−314481(P2007−314481A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−147515(P2006−147515)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(506118744)ユーストーリー株式会社 (2)
【Fターム(参考)】