説明

天然ヒト白血球抗原に対する抗体を検出するための組成物および方法

天然ヒト白血球抗原および変性ヒト白血球抗原(HLA)を含む組成物、および当該組成物を作製するための方法が、本明細書中で提供される。天然HLAに対する抗体を検出するための方法およびキットも、本明細書中で提供される。天然HLAは、その組成物の大部分を占める主成分であり、それは選択的酵素反応によって、混合組成物中の天然HLAを濃縮することによって作製される。一局面において、本発明の組成物は、少なくとも90%の天然ヒト白血球抗原および多くても10%の変性ヒト白血球抗原を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願への相互参照
この出願は、米国仮出願第61/338,258号(この内容は、その全体が参考として本明細書に援用される)の優先権の利益を主張する。
【0002】
2.本発明の分野
本明細書中で提供される組成物および方法は一般的に、例えば天然ヒト白血球抗原(HLA)に対する抗体の検出において有用である組成物、およびその調製方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
3.背景
ヒト白血球抗原(HLA)は、ヒト細胞の表面の抗原に結合し、そしてエフェクターT細胞に対してそれを提示し得る。2つの主なHLAのクラス、クラスI HLAおよびクラスII HLAが、外来性抗原および天然抗原の両方を提示する。クラスI HLAは、ウイルスおよび腫瘍特異的タンパク質を含む、細胞内で産生されたペプチド抗原に結合し、そしてCD8+エフェクターT細胞(例えば細胞傷害性T細胞(CTL))に提示し得る。クラスI HLAを有する細胞によって提示された外来性抗原に反応して、CD8+エフェクターT細胞は、その外来性抗原を提示している細胞を破壊し得る。クラスII HLAは、細胞外由来のペプチド抗原に結合し、そしてCD4+T細胞(例えばヘルパーT細胞)に提示し得る。クラスII HLAを有する細胞によって提示された外来性抗原に反応して、CD4+エフェクターT細胞は、体液性免疫反応を確立(mount)し得る。HLAは、ある癌および自己免疫疾患、および移植片拒絶において役割を果たすと考えられる。
【0004】
HLAに対する抗体は、通常輸血、妊娠または移植から起こる同種免疫化によって産生される。それらはまた、非同種免疫化個体においても見出された。非特許文献1。移植レシピエントにおいて見出されたHLAに対する抗体は、急性および慢性移植片拒絶反応の原因であることが示された。従って、レシピエントがドナーのHLAに対する抗体を有しているかどうかを決定することが、レシピエントにおける移植片拒絶反応のリスクの決定において重要であり得る。
【0005】
現在まで、HLAに結合した担体が、HLAに対する抗体の検出において有用であった。レシピエント由来のサンプルを担体と接触させ、そしてその担体に結合する抗体を、続いて従来の技術を用いて検出し得る。しかし、従来の担体は、典型的には天然HLAおよび変性HLAの両方に結合する。従って、これらの担体は、天然HLAに対する抗体および変性HLAに対する抗体を区別する能力が限られる。
【0006】
いくつかの例において、天然HLAに対する抗体は、移植の失敗を予測するが、変性HLAに対する抗体は移植の失敗を予測しない。非特許文献2。従って、変性HLAに対する抗体の干渉無しに、天然HLAに対する抗体を検出し得る組成物および方法への必要性が存在する。そのような組成物および方法を、偽陽性のシグナルに起因して、例えばドナーHLAに対する抗体に関してレシピエントをスクリーニングするアッセイが、代わりに変性HLAを検出する場合に、見込みのあるドナーが除外されることを防止するために使用し得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Morales−Buenrostroら、Transplantation(2008)86:1111〜15
【非特許文献2】Caiら、Transplantation(2009)88(2):226〜31
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
4.要旨
例えば、天然HLAに対する抗体を検出し得る組成物および方法が、本明細書中で提供される。最初の局面において、天然HLAおよび変性HLAを含む組成物が本明細書中で提供され、ここでその天然HLAは、相当量存在する。いくつかの実施形態において、HLAのうちの少なくとも90%が天然のものであり、そしてHLAのうちの多くても10%が変性している。いくつかの実施形態において、HLAのうちの少なくとも95%が天然のものであり、そしてHLAのうちの多くても5%が変性している。いくつかの実施形態において、HLAのうちの少なくとも99%が天然のものであり、そしてHLAのうちの多くても1%が変性している。
【0009】
いくつかの実施形態において、天然HLAおよび変性HLAを、クラスI HLA、クラスII HLA、およびそれらの組み合わせからなる群より選択する。いくつかの実施形態において、そのHLAはクラスI HLAである。いくつかの実施形態において、そのHLAは、クラスII HLAである。いくつかの実施形態において、そのHLAは、クラスI HLAおよびクラスII HLAの組み合わせである。
【0010】
天然HLAおよび変性HLAは、同じ対立遺伝子、または2つ以上の異なる対立遺伝子のものであり得る。いくつかの実施形態において、HLAのうちの少なくとも90%が同じ対立遺伝子のものである。いくつかの実施形態において、HLAのうちの少なくとも95%が同じ対立遺伝子のものである。他の実施形態において、HLAのうちの少なくとも99%が同じ対立遺伝子のものである。
【0011】
いくつかの実施形態において、天然HLAおよび変性HLAは、固体担体(solid substrate)に結合する。そのHLAを、当業者に公知のあらゆる技術によって、その固体担体に結合し得る。いくつかの実施形態において、そのHLAをその固体担体に直接結合する。他の実施形態において、そのHLAをその固体担体に間接的に結合する。
【0012】
その固体担体は、当業者に公知のあらゆる適当な材料から作製され得る。いくつかの実施形態において、その固体担体は、シリカ、金、ラテックス、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリスルホン、ヒドロゲル、ポリ塩化ビニル、ガラス、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される材料を含む。
【0013】
さらに、その固体担体の形態は、当業者によって適当とみなされる任意の形態であり得る。いくつかの実施形態において、その固体担体は、複数のビーズ、複数のマイクロビーズ、複数の微粒子(microparticle)、複数のマイクロスフィア、ウェル、膜、ポリマー、フィルター、マイクロアレイおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、その固体担体は、複数のマイクロビーズである。
【0014】
いくつかの実施形態において、その固体担体は、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態において、その検出可能な標識は、蛍光色素、放射性標識、磁気標識、またはバーコードを含む。ある実施形態において、その検出可能な標識は、蛍光色素である。
【0015】
別の局面において、複数の固体担体を含むパネルが本明細書中で提供され、ここでその複数の固体担体のうちの各固体担体が、HLAに結合している、ここでHLAのうちの少なくとも90%が天然のものであり、そしてHLAのうちの多くても10%が変性している、ここで複数の固体担体のうち特定の固体担体に結合したHLAの少なくとも90%が同じ対立遺伝子のものであり、そしてここで複数の固体担体のうちの各固体担体が、複数の固体担体のうちの他の固体担体に関して、異なるHLAに結合している。いくつかの実施形態において、そのHLAは、クラスI HLA、クラスII HLA、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるHLAを含む。いくつかの実施形態において、その複数の固体担体は、4個の固体担体、8個の固体担体、16個の固体担体、または32個の固体担体を含む。
【0016】
別の局面において、少なくとも90%の天然HLAおよび多くても10%の変性HLAを含む組成物を作製するための方法が本明細書中で提供される。その方法は、a)天然HLAおよび変性HLAを含む第1の組成物を、セリンプロテアーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、またはアミダーゼと、そのセリンプロテアーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、またはアミダーゼが変性HLAを切断する条件下で接触させる工程;ならびにb)そのセリンプロテアーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、またはアミダーゼを中和して、結果としてできる、少なくとも90%の天然HLAおよび多くても10%の変性HLAを含む組成物を生じる工程を包含する。ある実施形態において、そのHLAは、溶液中に懸濁している。ある実施形態において、そのHLAは1つ以上の固体担体に結合している。特定の実施形態において、そのHLAは、複数のマイクロビーズまたは微粒子に結合している。
【0017】
その方法のいくつかの実施形態において、そのHLAを、セリンプロテアーゼと接触させる。特定の実施形態において、そのセリンプロテアーゼはトリプシンである。いくつかの実施形態において、そのHLAを、リパーゼと接触させる。特定の実施形態において、そのリパーゼはホスホリパーゼである。いくつかの実施形態において、そのHLAを、エステラーゼと接触させる。特定の実施形態において、そのエステラーゼは、アセチルコリンエステラーゼである。他の実施形態において、そのエステラーゼは、チオエステラーゼである。いくつかの実施形態において、そのHLAをアミダーゼと接触させる。
【0018】
別の局面において、天然HLAに対する抗体をスクリーニングする方法が、本明細書中で提供される。この方法は、a)サンプルを、固体担体に結合したHLAを含む組成物と接触させる工程であって、ここでHLAのうちの少なくとも90%が天然のものであり、そしてHLAのうちの多くても10%が変性している、工程;ならびにb)抗体の組成物に対する結合を検出する工程を含み、ここで抗体の組成物への結合は、天然HLAに対する抗体を示す。
【0019】
いくつかの実施形態において、そのサンプルは生物学的サンプルである。いくつかの実施形態において、そのサンプルを、ヒト被験体から採取する。いくつかの実施形態において、そのサンプルは、ヒト被験体から採取した血液サンプルである。
【0020】
その組成物に対する抗体の結合の検出を、当業者に公知のあらゆる技術によって行い得る。いくつかの実施形態において、抗体の結合の検出を、フローサイトメトリーを用いて行う。いくつかの実施形態において、抗体の結合の検出を、二次抗体を用いて行う。特定の実施形態において、その二次抗体は、放射性標識、蛍光標識、酵素標識、アビジン標識、ビオチン標識、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される標識を含む。
【0021】
別の局面において、天然HLAに対する抗体を検出するためのキットが、本明細書中で提供される。これらのキットは、a)固体担体に結合したHLAを含む組成物であって、ここでHLAのうちの少なくとも90%が天然のものであり、そしてHLAのうちの多くても10%が変性している、組成物、ならびにb)その組成物に対する抗体の結合を検出するための試薬を含む。いくつかの実施形態において、その試薬は、二次抗体を含む。ある実施形態において、その二次抗体は、放射性標識、蛍光標識、酵素標識、アビジン標識、ビオチン標識、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、検出可能な標識を含む。
【0022】
本明細書中で提供される組成物および方法は、変性HLAに対する抗体の望ましくない検出無しに、天然HLAに対する抗体の検出を有利に可能にする。天然HLAに特異的な抗体の検出は、ある例において、例えば変性ではなく天然HLAに対する抗体の存在が、移植の失敗を予測する場合、有用である。これらの状況下で、本明細書中で提供される組成物および方法は、見込みのあるドナーが、レシピエントにおける変性HLAに対する抗体の検出によって引き起こされる、偽陽性のシグナルに起因して除外されることを防止することを助け得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1A】図1A〜図1Cは、A−遺伝子座(図1A)、B−遺伝子座(図1B)、およびC−遺伝子座(図1C)クラスI HLAに関する、LABScreen Single Antigen Beads(LSAB)との、天然クラスI HLA(W6/32)および変性クラスI HLA(HC10)に特異的な抗体の反応性を示すグラフを提供する。それらは、W6/32およびHC10両方のLSABとの反応性を示す。
【図1B】図1A〜図1Cは、A−遺伝子座(図1A)、B−遺伝子座(図1B)、およびC−遺伝子座(図1C)クラスI HLAに関する、LABScreen Single Antigen Beads(LSAB)との、天然クラスI HLA(W6/32)および変性クラスI HLA(HC10)に特異的な抗体の反応性を示すグラフを提供する。それらは、W6/32およびHC10両方のLSABとの反応性を示す。
【図1C】図1A〜図1Cは、A−遺伝子座(図1A)、B−遺伝子座(図1B)、およびC−遺伝子座(図1C)クラスI HLAに関する、LABScreen Single Antigen Beads(LSAB)との、天然クラスI HLA(W6/32)および変性クラスI HLA(HC10)に特異的な抗体の反応性を示すグラフを提供する。それらは、W6/32およびHC10両方のLSABとの反応性を示す。
【図2A】図2A〜図2Cは、W6/32およびFC10の、A−遺伝子座(図2A)、B−遺伝子座(図2B)およびC−遺伝子座(図2C)クラスI HLAに関する、組成物(「天然ビーズ」)との反応性を示すグラフを提供する。これらの研究において使用した担体は、マイクロビーズである。これらのグラフは、LSABと比較して、組成物とのHC10の低い反応性を示す。
【図2B】図2A〜図2Cは、W6/32およびFC10の、A−遺伝子座(図2A)、B−遺伝子座(図2B)およびC−遺伝子座(図2C)クラスI HLAに関する、組成物(「天然ビーズ」)との反応性を示すグラフを提供する。これらの研究において使用した担体は、マイクロビーズである。これらのグラフは、LSABと比較して、組成物とのHC10の低い反応性を示す。
【図2C】図2A〜図2Cは、W6/32およびFC10の、A−遺伝子座(図2A)、B−遺伝子座(図2B)およびC−遺伝子座(図2C)クラスI HLAに関する、組成物(「天然ビーズ」)との反応性を示すグラフを提供する。これらの研究において使用した担体は、マイクロビーズである。これらのグラフは、LSABと比較して、組成物とのHC10の低い反応性を示す。
【図3A】図3A〜図3Cは、A−遺伝子座(図3A)、B−遺伝子座(図3B)、およびC−遺伝子座(図3C)HLA対立遺伝子に関する、3人の非同種免疫化男性血清のLSABおよび組成物(「天然ビーズ」)との反応性を示すグラフを提供する。これらの研究において使用した担体は、マイクロビーズである。これらのグラフは、LSABと比較して、組成物の改善された精度を示す。
【図3B】図3A〜図3Cは、A−遺伝子座(図3A)、B−遺伝子座(図3B)、およびC−遺伝子座(図3C)HLA対立遺伝子に関する、3人の非同種免疫化男性血清のLSABおよび組成物(「天然ビーズ」)との反応性を示すグラフを提供する。これらの研究において使用した担体は、マイクロビーズである。これらのグラフは、LSABと比較して、組成物の改善された精度を示す。
【図3C】図3A〜図3Cは、A−遺伝子座(図3A)、B−遺伝子座(図3B)、およびC−遺伝子座(図3C)HLA対立遺伝子に関する、3人の非同種免疫化男性血清のLSABおよび組成物(「天然ビーズ」)との反応性を示すグラフを提供する。これらの研究において使用した担体は、マイクロビーズである。これらのグラフは、LSABと比較して、組成物の改善された精度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
6.実施形態の詳細な説明
6.1 定義
本明細書中で使用される場合、「天然」、「天然ヒト白血球抗原」および「天然HLA」という用語は、その天然の状態で、HLAの細胞外部分の構造的および抗原的特性を維持する、HLAまたはその断片を指す。
【0025】
本明細書中で使用される場合、「天然クラスIヒト白血球抗原」および「天然クラスI HLA」という用語は、重鎖またはその断片に非共有結合したβ2ミクログロブリンドメインを含む、その天然の状態でクラスI HLAの細胞外部分の構造的および抗原的完全性を維持する、クラスIヒト白血球抗原またはその断片を指す。いくつかの実施形態において、天然クラスI HLAは、W6/32およびBIH抗体(One Lambda,Inc.)に結合し得る。
【0026】
本明細書中で使用される場合、「天然クラスIIヒト白血球抗原」および「天然クラスII HLA」という用語は、お互いに非共有結合した2つのグリコシル化ポリペプチド鎖を含むヘテロダイマーを含む、その天然の状態でクラスII HLAの細胞外部分の構造的および抗原的完全性を維持する、クラスIIヒト白血球抗原またはその断片を指す。いくつかの実施形態において、天然クラスII HLAは、HB−145抗体(HLA−DP、HLA−DQ、HLA−DRに対する)、およびHB−180抗体(HLA−DQおよびHLA DRに対する)(American Type Cultural Collection(ATCC))に結合し得る。
【0027】
本明細書中で使用される場合、「変性」、「変性ヒト白血球抗原」、および「変性HLA」という用語は、天然のコンフォメーション(confirmation)ではない細胞外ドメインを含むHLAを指す。
【0028】
本明細書中で使用される場合、「変性クラスIヒト白血球抗原」および「変性クラスI HLA」という用語は、β2ミクログロブリンドメインを欠くクラスIヒト白血球抗原またはその断片を指す。いくつかの実施形態において、変性クラスI HLAは、HC10抗体(One Lambda,Inc.)およびHB296抗体(ATCC)に結合し得る。
【0029】
本明細書中で使用される場合、「変性クラスIIヒト白血球抗原」および「変性クラスII HLA」という用語は、モノマーコンフォメーション(confirmation)のクラスIIヒト白血球抗原またはその断片を指す。いくつかの実施形態において、変性クラスII HLAは、HB−298(HLA−DRα鎖に対する)抗体(ATCC)に結合し得る。
【0030】
本明細書中で使用される場合、「固体担体」という用語は、HLAを結合し得、そして本明細書中で提供される方法と適合性である、あらゆる固体担体を指す。固体担体の例は、複数のビーズ、複数のマイクロビーズ、複数の微粒子、複数のマイクロスフィア、ウェル、膜、ポリマー、フィルター、マイクロアレイおよびそれらの組み合わせを含む。
【0031】
本明細書中で使用される場合、「同じHLA対立遺伝子」という用語は、同様の構造および抗原的特性を共有し、そして同じHLA遺伝子座および対立遺伝子由来である、2つ以上のHLA分子またはその断片を指す。
【0032】
本明細書中で使用される場合、「異なるHLA対立遺伝子」という用語は、異なる構造および抗原的特性を有し、そして異なるHLA遺伝子座および対立遺伝子由来である、HLA分子またはその断片を指す。
【0033】
6.2 天然HLAに対する抗体を検出するための組成物
少なくとも90%の天然HLAおよび多くても10%の変性HLAを含む組成物が、本明細書中で提供される。ある実施形態において、その組成物を、天然HLAに対する抗体を検出するために使用し得る。天然HLAに対する抗体の検出は、例えば移植片拒絶反応の可能性の決定において有用であり得る。ある実施形態において、その組成物はまた、HLAワクチンの開発、およびエフェクターT細胞結合アッセイにおいて有用であり得る。
【0034】
その組成物を、本明細書中で記載される方法を含む、当業者に明らかであるあらゆる技術によって作製し得る。その組成物の各要素を、下記でさらに詳細に議論する。
【0035】
6.2.1.天然HLA
いくつかの実施形態において、本明細書中で提供される組成物は、少なくとも90%の天然HLAおよび多くても10%の変性HLAを含む。いくつかの実施形態において、そのHLAは固体支持体に結合している。他の実施形態において、そのHLAは溶液中である。
【0036】
天然クラスI HLAは、ほとんどの有核ヒト細胞に存在する、57kDaの糖タンパク質である。天然クラスI HLAは、典型的には12kDaのβ2ミクログロブリンドメインを含む軽鎖に結合した、45kDaのポリペプチド重鎖を含む。ある実施形態において、その重鎖は、軽鎖に非共有結合している。その重鎖は、典型的には3つのαサブユニット、膜貫通ドメイン、および細胞質尾部を含む。α1およびα2サブユニットが、ペプチドリガンド結合のための結合溝を形成する。対照的に、変性クラスI HLAは、β2ミクログロブリンドメインを欠く。
【0037】
クラスI HLA重鎖は、3つの主要な遺伝子(HLA−A、HLA−B、およびHLA−C)のうちの1つ、または3つのマイナーな遺伝子(HLA−E、HLA−F、およびHLA−G)のうちの1つによってコードされる。これらの遺伝子座のそれぞれにおける対立遺伝子バリエーションが、クラスI HLAによって示される多型に寄与することを助ける。特定のクラスI HLAを、遺伝子座、およびそのクラスI HLAが発現する特定の対立遺伝子によって分類し得る。例示的なクラスI HLA対立遺伝子を、表1(HLA−A対立遺伝子)、表2(HLA−B対立遺伝子)、および表3(HLA−C対立遺伝子)に列挙する。
【0038】
天然クラスII HLAは、専門化抗原提示細胞(例えばBリンパ球、樹状細胞、およびマクロファージ)の表面に存在する、多型性の61kDaヘテロダイマータンパク質である。クラスII HLAは、3つのサブクラス:HLA−DP、HLA−DQ、およびHLA−DRに分けられる。天然クラスII HLAは、典型的にはお互いに結合したα鎖およびβ鎖を含む。ある実施形態において、そのα鎖およびβ鎖は、お互いに非共有結合している。対照的に、変性クラスII HLAは、モノマータンパク質である。
【0039】
クラスII HLAの各鎖は、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質尾部を含む。6個の主なクラスII HLA遺伝子(HLA−DPA1、HLA−PB1、HLA−DQA1、HLA−DQB1、HLA−DRAおよびHLA−DRB1)が存在し、それぞれの遺伝子はα鎖またはβ鎖のいずれかをコードする。クラスI HLA遺伝子と同様、各クラスII HLA遺伝子は、多くの対立遺伝子を含む。クラスI HLAおよびクラスII HLAを、Peiら、Transplantation 75(1):43−49(2003)において記載されたような組換えDNA技術を含む、当業者に公知のあらゆる技術を用いて作製し得る。
【0040】
いくつかの実施形態において、その組成物は、相当量の天然HLAを含む。いくつかの実施形態において、HLAのうちの少なくとも90%が天然のものであり、そしてHLAのうちの多くても10%が変性している。いくつかの実施形態において、HLAのうちの少なくとも95%が天然のものであり、そしてHLAのうちの多くても5%が変性している。いくつかの実施形態において、HLAのうちの少なくとも99%が天然のものであり、そしてHLAのうちの多くても1%が変性している。いくつかの実施形態において、HLAのうちの少なくとも99.5%が天然のものであり、そしてHLAのうちの多くても0.5%のHLAが変性している。これらの組成物を作製するための技術を、下記で記載する。
【0041】
いくつかの実施形態において、その組成物は、クラスI HLA、クラスII HLA、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるHLAを含む。いくつかの実施形態において、その組成物はクラスI HLAを含む。いくつかの実施形態において、その組成物はクラスII HLAを含む。いくつかの実施形態において、その組成物は、クラスI HLAおよびクラスII HLAの組み合わせを含む。
【0042】
その組成物は、全長天然HLA、またはその断片を含み得る。いくつかの実施形態において、その組成物は、全長天然クラスI HLAを含み、各クラスI HLAは、β2ミクログロブリン鎖に非共有結合した重鎖を含む。いくつかの実施形態において、その組成物は、全長クラスII HLAを含み、各クラスII HLAは、β鎖に非共有結合したα鎖を含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、各HLAは、天然HLA細胞外ドメインの構造上のおよび抗原的完全性を破壊しない、欠失、付加、またはアミノ酸置換のような修飾を含む。いくつかの実施形態において、各HLAは、天然クラスI HLAの細胞外ドメインを含むクラスI HLAである。いくつかの実施形態において、各HLAは、天然クラスI HLAの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインの断片を含むクラスI HLAである。いくつかの実施形態において、各HLAは、天然クラスI HLAの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含むクラスI HLAである。いくつかの実施形態において、各HLAは、天然クラスI HLAの細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞質尾部の断片を含むクラスI HLAである。
【0044】
いくつかの実施形態において、各HLAは、天然クラスII HLAの細胞外ドメインを含むクラスII HLAである。いくつかの実施形態において、各HLAは、天然クラスII HLAの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインの断片を含むクラスII HLAである。いくつかの実施形態において、各HLAは、天然クラスII HLAの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含むクラスII HLAである。いくつかの実施形態において、各HLAは、天然クラスII HLAの細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞質尾部の断片を含むクラスII HLAである。
【0045】
本明細書中で提供される組成物は、同じ対立遺伝子または2つ以上の異なる対立遺伝子のHLAを含み得る。同じ対立遺伝子のHLAは、同じ構造および抗原的特性を共有し、そして同じHLA遺伝子座および対立遺伝子由来である。
【0046】
いくつかの実施形態において、HLAのうちの少なくとも90%が同じ対立遺伝子のものである。いくつかの実施形態において、HLAのうちの少なくとも95%が同じ対立遺伝子のものである。他の実施形態において、HLAのうちの少なくとも99%が同じ対立遺伝子のものである。
【0047】
いくつかの実施形態において、HLAのうちの少なくとも90%が、同じ対立遺伝子のものであり、そしてHLA−AクラスI HLAを含む。いくつかの実施形態において、HLAのうちの少なくとも90%が、同じ対立遺伝子のものであり、そして表1に列挙したHLA−AクラスI HLAを含む。いくつかの実施形態において、HLAのうちの少なくとも90%が、同じ対立遺伝子のものであり、そしてHLA−BクラスI HLAを含む。いくつかの実施形態において、HLAのうちの少なくとも90%が、同じ対立遺伝子のものであり、そして表2に列挙したHLA−BクラスI HLAを含む。いくつかの実施形態において、HLAのうちの少なくとも90%が、同じ対立遺伝子のものであり、そしてHLA−CクラスI HLAを含む。いくつかの実施形態において、HLAのうちの少なくとも90%が、同じ対立遺伝子のものであり、そして表3に列挙したHLA−CクラスI HLAを含む。
【0048】
いくつかの実施形態において、HLAのうちの少なくとも90%が、同じ対立遺伝子のものであり、そしてHLA−DPクラスII HLAを含む。いくつかの実施形態において、HLAのうちの少なくとも90%が、同じ対立遺伝子のものであり、そしてHLA−DQクラスII HLAを含む。いくつかの実施形態において、HLAのうちの少なくとも90%が、同じ対立遺伝子のものであり、そしてHLA−DRクラスII HLAを含む。
【0049】
6.2.2.固体担体
ある実施形態において、本明細書中で提供されるHLAは、固体担体に結合している。固体担体に結合した天然HLAは、組成物が天然HLAに対する抗体に結合することを可能にする。結合した天然HLAに対する抗体を、当業者に公知のあらゆる技術を用いて検出し得る。
【0050】
ある実施形態において、固体担体に結合した相当量のHLAが天然のものである。本明細書中で使用される場合、「相当量」は、変性HLAに特異的な抗体の有意な結合無しに、天然HLAに対する抗体の結合および検出を可能にするあらゆる量であり得る。この量を、固体担体に結合したHLAの総数に対する天然HLAの総数のパーセンテージとして表し得る。いくつかの実施形態において、HLAのうちの少なくとも75%が天然のものである。いくつかの実施形態において、HLAのうちの少なくとも80%が天然のものである。いくつかの実施形態において、HLAのうちの少なくとも85%が天然のものである。いくつかの実施形態において、HLAのうちの少なくとも90%が天然のものである。いくつかの実施形態において、HLAのうちの少なくとも95%が天然のものである。いくつかの実施形態において、HLAのうちの少なくとも99%が天然のものである。いくつかの実施形態において、HLAのうちの少なくとも99.5%が天然のものである。
【0051】
HLAを、当業者に公知のあらゆる技術によって、固体担体に結合し得る。さらに、HLAを固体担体に直接、または間接的に結合し得る。いくつかの実施形態において、HLAを固体担体に直接結合する。いくつかの実施形態において、HLAを、吸収、化学的なカップリングによって、またはHLAに付加した尾部エレメントを介した化学的な連結によって、固体担体に直接結合する。ある実施形態において、HLAを受動的吸収によって、担体に直接結合する。Cantareroら、Anal.Biochem.、105:373−382(1980)。いくつかの実施形態において、HLAを、連結部分によって固体担体に間接的に結合する。いくつかの実施形態において、その連結部分は、抗体、レクチン、CD8分子、CD4分子、T細胞受容体およびその断片からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、その連結部分は、二機能性架橋剤である。有用な二機能性架橋剤は、当業者に公知である。
【0052】
その固体担体は、HLAに結合し得る、当業者に公知のあらゆる材料から作製され得る。固体担体のための周知の材料は、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然および修飾セルロース、ポリアクリルアミド、ポリスルホン、ヒドロゲル、ポリビニルおよび磁鉄鉱を含む。いくつかの実施形態において、その固体担体は、シリカ、金、ラテックス、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリスルホン、ヒドロゲル、ポリ塩化ビニル、ガラス、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される材料を含む。
【0053】
さらに、その固体担体は、当業者によって適当であるとみなされるあらゆる構造上の構成を有し得る。固体担体は、複数のビーズ、複数のマイクロビーズ、複数の微粒子、複数のマイクロスフィア、ウェル、膜、ポリマー、フィルター、マイクロアレイおよびそれらの組み合わせを含み得る。
【0054】
いくつかの実施形態において、その固体担体は、複数のマイクロビーズである。有用なマイクロビーズは、Luminex,Inc.、Invirogen Corp.、Polysciences,Inc.およびBangs Laboratories,Inc.等のような供給源から商業的に入手可能である。ある実施形態において、そのマイクロビーズは、直径2μmから8μmである。ある実施形態において、そのマイクロビーズは、直径4μmから6μmである。
【0055】
いくつかの実施形態において、その固体担体は、複数の微粒子である。いくつかの実施形態において、その微粒子は、ナノ結晶(nanocrystal)または量子ドットである。
【0056】
その固体担体はまた、HLAに結合した抗体の同定、分離および分類を可能にし得る、検出可能な標識、またはあらゆる他の同定する特徴を含み得る。例えば、その担体は、マイクロビーズを、フローサイトメトリーを用いて分類することを可能にするフルオロフォアでそれぞれ標識された複数のマイクロビーズであり得る。検出可能な標識は、蛍光色素、放射性標識、磁気標識、バーコードおよびそれらの組み合わせを含み得る。ある実施形態において、その検出可能な標識は、蛍光色素である。ある実施形態において、その検出可能な標識は、放射性標識である。ある実施形態において、その検出可能な標識は、バーコードである。ある実施形態において、その担体は、蛍光色素、放射性標識、磁気標識、バーコード、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、検出可能な標識を含む。
【0057】
6.3 パネル
別の局面において、複数の固体担体を含むパネルが本明細書中で提供され、ここでその複数の固体担体のうちの各固体担体は、HLAに結合し、ここで結合したHLAのうちの少なくとも90%は天然のものであり、そしてHLAのうちの多くても10%が変性している、ここでその複数の固体担体のうち特定の固体担体に結合したHLAのうちの少なくとも90%は、同じ対立遺伝子のものであり、そしてここでその複数の固体担体のうちの各固体担体は、複数の固体担体のうちの他の固体担体に関して異なるHLAに結合している。そのパネルは、本明細書中で提供されるHLAのいずれにも結合し得る。パネルは有利に、一度に1つ以上の天然クラスI HLAに対する複数の抗体を検出することを可能にする。
【0058】
いくつかの実施形態において、上記複数の固体担体は、少なくとも2つ以上の固体担体を含む。いくつかの実施形態において、複数の固体担体は、少なくとも4つ以上の固体担体を含む。いくつかの実施形態において、複数の固体担体は、少なくとも8個以上の固体担体を含む。いくつかの実施形態において、複数の固体担体は、少なくとも16個以上の固体担体を含む。いくつかの実施形態において、複数の固体担体は、少なくとも32個以上の固体担体を含む。いくつかの実施形態において、複数の固体担体は、少なくとも64個以上の固体担体を含む。いくつかの実施形態において、複数の固体担体は、少なくとも128個以上の固体担体を含む。いくつかの実施形態において、複数の固体担体は、少なくとも256個以上の固体担体を含む。
【0059】
いくつかの実施形態において、複数の固体担体のうちの各固体担体は、HLA−AクラスI HLAに結合する。いくつかの実施形態において、複数の固体担体のうちの各固体担体は、HLA−BクラスI HLAに結合する。いくつかの実施形態において、複数の固体担体のうちの各固体担体は、HLA−CクラスI HLAに結合する。いくつかの実施形態において、複数の固体担体のうちの各固体担体は、表1、2、および3において見出されるクラスI HLAおよびそれらの組み合わせから選択される、任意のクラスI HLAに結合する。
【0060】
いくつかの実施形態において、複数の固体担体のうちの各固体担体は、HLA−DPクラスII HLAに結合する。いくつかの実施形態において、複数の固体担体のうちの各固体担体は、HLA−DQクラスII HLAに結合する。いくつかの実施形態において、複数の固体担体のうちの各固体担体は、HLA−DRクラスII HLAに結合する。
【0061】
いくつかの実施形態において、そのパネルは、HLA−A、HLA−B、HLA−C、HLA−DP、HLA−DQ、HLA−DRおよびそれらの組み合わせからなる群より選択されるHLAに結合した、複数の担体を含む。
【0062】
いくつかの実施形態において、特定の固体担体に結合したHLAの少なくとも90%が、同じ対立遺伝子のものである。いくつかの実施形態において、特定の固体担体に結合したHLAの少なくとも95%が、同じ対立遺伝子のものである。いくつかの実施形態において、特定の固体担体に結合したHLAの少なくとも99%が、同じ対立遺伝子のものである。いくつかの実施形態において、特定の固体担体に結合したHLAの少なくとも99.5%が、同じ対立遺伝子のものである。
【0063】
6.4 天然HLAに対する抗体を検出するために有用な組成物を作製するための方法
本発明の別の局面において、少なくとも90%の天然ヒト白血球抗原および多くても10%の変性ヒト白血球抗原を含む組成物を作製するための方法が、本明細書中で提供される。いくつかの実施形態において、その方法は:a)天然HLAおよび変性HLAを含む第1の組成物を、セリンプロテアーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、またはアミダーゼと、そのセリンプロテアーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、またはアミダーゼが変性HLAを切断する条件下で接触させる工程;ならびにb)そのセリンプロテアーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、またはアミダーゼを中和して、結果としてできる、少なくとも90%の天然ヒト白血球抗原および多くても10%の変性ヒト白血球抗原を含む組成物を産生する工程を包含する。その方法を使用して、本明細書中で提供される、少なくとも90%の天然HLAおよび多くても10%の変性HLAを含むいずれの組成物も作製し得る。
【0064】
6.4.1.天然HLAおよび変性HLAの組成物
第1の組成物のHLAは、HLAのうちの1つ以上のクラスを含み得る。いくつかの実施形態において、そのHLAは、クラスI HLA、クラスII HLA、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるHLAを含む。いくつかの実施形態において、そのHLAはクラスI HLAを含む。いくつかの実施形態において、そのHLAはクラスII HLAを含む。いくつかの実施形態において、そのHLAはクラスI HLAおよびクラスII HLAの組み合わせを含む。
【0065】
いくつかの実施形態において、第1の組成物のHLAは、溶液中であり得る。他の実施形態において、そのHLAは固体担体に結合し得る。
【0066】
いくつかの実施形態において、第1の組成物のHLAを、溶液中に懸濁し得る。そのHLAを、当業者に適当とみなされるあらゆる溶液中に懸濁または可溶化し得る。ある実施形態において、その溶液は、緩衝溶液である。ある実施形態において、その溶液は、HLAの非特異的分解を防止するのを助け得るが、変性HLAの特異的切断は可能にする添加物を含む。そのような添加物の例は、プロテアーゼ阻害剤、抗菌薬、金属キレート剤(metal chelator)および還元剤を含む。
【0067】
いくつかの実施形態において、そのHLAは、リン酸緩衝化溶液(phosphate buffer solution)(PBS)を含む溶液中にある。いくつかの実施形態において、そのHLAは、金属キレート剤を含む溶液中にある。ある実施形態において、その金属キレート剤は、エチレンジアミン4酢酸(EDTA)である。いくつかの実施形態において、そのHLAは抗菌薬を含む溶液中にある。ある実施形態において、その抗菌薬はアジ化ナトリウムである。ある実施形態において、その抗菌薬はチメロサールである。ある実施形態において、そのHLAは還元剤を含む溶液中にある。ある実施形態において、その還元剤はジチオスレイトール(DTT)である。ある実施形態において、その還元剤は2−メルカプトエタノール(2−ME)である。
【0068】
さらに、いくつかの実施形態において、その溶液は、天然HLAおよび変性HLAの非特異的分解の防止を助けるが、変性HLAの切断は可能にする、プロテアーゼ阻害剤を含み得る。いくつかの実施形態において、その溶液は、酸性プロテアーゼ阻害剤、チオールプロテアーゼ阻害剤、メタロプロテアーゼ阻害剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、プロテアーゼ阻害剤を含む。そのような阻害剤の例は、ペプスタチンA(酸性プロテアーゼ阻害剤)、ロイペプチン(チオールプロテアーゼ阻害剤)、アンチパイン(チオールプロテアーゼ阻害剤)、EDTA(メタロプロテアーゼ阻害剤)、およびEGTA(メタロプロテアーゼ阻害剤)を含む。
【0069】
いくつかの実施形態において、第1の組成物のHLAは、固体担体に結合している。天然HLAおよび変性HLAに結合する固体担体を、当業者に公知のあらゆる技術を用いて得ることができる。天然HLAおよび変性HLAに結合する固体担体を、例えば、クラスI HLA、クラスII HLA、またはそれらの組み合わせのいずれかに結合した商業的に入手可能なマイクロビーズ(例えばFlowPRAクラスIおよびクラスIIビーズ、LABScreenクラスIおよびクラスIIPRAビーズ、LABScreen Mixedビーズ、およびLabScreen Single AntigenクラスIおよびクラスIIビーズ(One Lambda,Inc.))を含む、商業的な供給源から得ることができる。他の実施形態において、天然HLAおよび変性HLAに結合した固体担体を、組換え天然HLAおよび組換え変性HLAを固体担体に結合することによって作製し得る。組換え天然HLAおよび組換え変性HLAを、例えばPeiら、Transplantation 75(1):43−49(2003)において記載された技術を含む、当業者に公知のあらゆる技術を用いて、作製し、それを固体担体に結合し得る。
【0070】
6.4.2.セリンプロテアーゼ、リパーゼ、エステラーゼまたはアミダーゼによる変性HLAの切断
いくつかの実施形態において、その方法は、天然HLAおよび変性HLAの第1の組成物を、セリンプロテアーゼ、リパーゼ、エステラーゼまたはアミダーゼに、そのセリンプロテアーゼ、リパーゼ、エステラーゼまたはアミダーゼが変性HLAを切断する条件下で接触させる工程を含む。
【0071】
変性HLAを切断する、当業者に公知のあらゆるセリンプロテアーゼ、リパーゼ、エステラーゼまたはアミダーゼを、その基質と接触し得る。理想的には、そのセリンプロテアーゼ、リパーゼ、エステラーゼまたはアミダーゼは、変性HLAを選択的に切断するが、天然HLAはそのままにしておく。さらに、特定のセリンプロテアーゼ、リパーゼ、エステラーゼまたはアミダーゼの、選択的に変性HLAを切断する能力は、そのHLAがその特定のセリンプロテアーゼ、リパーゼ、エステラーゼまたはアミダーゼと接触した温度および時間によって変動し得る。当業者は、特定のプロテアーゼ、リパーゼ、エステラーゼまたはアミダーゼが特定のクラスの変性HLAを切断するために適当な条件が何であり得るかを決定し得る。
【0072】
本方法のいくつかの実施形態において、HLAを、変性HLAを選択的に切断し得るが、天然HLAはそのままにしておくセリンプロテアーゼと接触させる。特定の実施形態において、そのHLAを、トリプシン、キモトリプシン、およびエラスターゼを含む、トリプシン様族(clan)由来のセリンプロテアーゼと接触させる。特定の実施形態において、そのセリンプロテアーゼはトリプシンである。特定の実施形態において、そのセリンプロテアーゼはキモトリプシンである。特定の実施形態において、そのセリンプロテアーゼはエラスターゼである。他の実施形態において、そのセリンプロテアーゼはサブチリシンである。
【0073】
いくつかの実施形態において、そのHLAを、第1の組成物中の変性HLAを選択的に切断し得るが、天然HLAはそのままにしておくリパーゼと接触させる。特定の実施形態において、そのリパーゼは、ホスホリパーゼである。特定の実施形態において、そのホスホリパーゼは、ホスホリパーゼA、ホスホリパーゼB、ホスホリパーゼCおよびホスホリパーゼDからなる群より選択される。
【0074】
いくつかの実施形態において、そのHLAを、第1の組成物中の変性HLAを選択的に切断し得るが、天然HLAはそのままにしておくエステラーゼと接触させる。特定の実施形態において、そのエステラーゼは、アセチルコリンエステラーゼである。他の実施形態において、そのエステラーゼはチオエステラーゼである。特定の実施形態において、そのチオエステラーゼは、アセチル−coAヒドロラーゼ、パルミトイル−coAヒドロラーゼ、スクシニル−coAヒドロラーゼ、およびアシル−coAヒドロラーゼからなる群より選択される。
【0075】
いくつかの実施形態において、そのHLAを、変性HLAを選択的に切断し得るが、天然HLAはそのままにしておくアミダーゼと接触させる。いくつかの実施形態において、そのアミダーゼはペプチドアミダーゼである。
【0076】
6.4.3.セリンプロテアーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、またはアミダーゼの中和
プロテアーゼ、リパーゼ、エステラーゼまたはアミダーゼによる変性HLAの切断後、そのプロテアーゼ、リパーゼ、エステラーゼまたはアミダーゼの酵素活性を中和する。特定のプロテアーゼ、リパーゼ、エステラーゼまたはアミダーゼの中和を、当業者に公知のあらゆる技術を用いて行い得る。例えば、特定のプロテアーゼ、リパーゼ、エステラーゼまたはアミダーゼを、当該プロテアーゼ、リパーゼ、エステラーゼまたはアミダーゼの阻害剤を含む試薬と接触させることによって、中和を達成し得る。
【0077】
いくつかの実施形態において、プロテアーゼを、1つ以上のプロテアーゼ阻害剤を含む試薬と接触させることによって、中和を達成する。いくつかの実施形態において、そのプロテアーゼ阻害剤は、セリンプロテアーゼ阻害剤である。特定の実施形態において、そのセリンプロテアーゼ阻害剤は、トリプシン阻害剤である。特定の実施形態において、そのトリプシン阻害剤は、アプロチニンである。特定の実施形態において、そのトリプシン阻害剤は、ベンズアミジンである。特定の実施形態において、そのトリプシン阻害剤は、フッ化フェニルメチルスルホニル(phenylmethylsufonyl)(PMSF)である。特定の実施形態において、そのトリプシン阻害剤は、トリプシン中和溶液(Lonza、CC−5002)である。特定の実施形態において、そのセリンプロテアーゼ阻害剤は、キモトリプシン阻害剤である。特定の実施形態において、そのキモトリプシン阻害剤は、キモトリプシン阻害剤2である。特定の実施形態において、そのセリンプロテアーゼ阻害剤は、エラスターゼ阻害剤である。いくつかの実施形態において、そのエラスターゼ阻害剤は、アルファ1−アンチトリプシンである。ある実施形態において、そのセリンプロテアーゼ阻害剤は、サブチリシン阻害剤である。ある実施形態において、そのサブチリシン阻害剤は、Streptomycesサブチリシン阻害剤である。
【0078】
いくつかの実施形態において、リパーゼを、1つ以上のリパーゼ阻害剤と接触させることによって中和を達成する。ある実施形態において、そのリパーゼ阻害剤は、リプスタチン(lipistatin)である。いくつかの実施形態において、エステラーゼを、1つ以上のエステラーゼ阻害剤と接触させることによって中和を達成する。いくつかの実施形態において、そのエステラーゼ阻害剤は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤である。いくつかの実施形態において、そのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤は、有機リン酸塩またはカルバミン酸塩である。いくつかの実施形態において、そのエステラーゼ阻害剤は、チオエステラーゼ阻害剤である。いくつかの実施形態において、そのチオエステラーゼ阻害剤は、5−(フラン−2−イルメチレン)ピリミジン−2,4,6−トリオンである。いくつかの実施形態において、アミダーゼを、1つ以上のアミダーゼ阻害剤と接触させることによって、中和を達成する。いくつかの実施形態において、そのアミダーゼ阻害剤は、ニトリルである。いくつかの実施形態において、そのニトリルは、ビス−p−ニトロフェニルリン酸塩である。
【0079】
6.5 天然HLAに対する抗体を検出するための方法
別の局面において、天然HLAに対する抗体を検出するための方法が、本明細書中で提供される。天然HLAに対する抗体の検出は、例えば、組織移植または臓器移植の状況において有用であり得、ここでドナーの天然HLAに対する抗体の検出が、移植片拒絶反応のリスクを決定することにおいて有益であり得る。
【0080】
ある実施形態において、これらの方法は:a)サンプルを、固体担体に結合したHLAを含む組成物と接触させる工程であって、ここでHLAのうちの少なくとも90%が天然のものであり、そしてHLAのうちの多くても10%が変性している、工程;およびb)抗体の組成物への結合を検出する工程を含み、ここで抗体の固体担体への結合は、サンプル中の天然HLAに特異的な抗体の存在を示す。本明細書で提供される組成物は、固体担体に結合したHLAを含む、あらゆる組成物を含み得、ここでHLAのうちの少なくとも90%は天然のものであり、そしてHLAのうちの多くても10%は、変性している。
【0081】
ある実施形態において、固体担体に結合したHLAのうちの少なくとも90%が同じ対立遺伝子のものである。ある実施形態において、固体担体に結合したHLAのうちの少なくとも95%が同じ対立遺伝子のものである。ある実施形態において、固体担体に結合したHLAのうちの少なくとも99%が同じ対立遺伝子のものである。ある実施形態において、固体担体に結合したHLAのうちの少なくとも99.5%が同じ対立遺伝子のものである。
【0082】
ある実施形態において、そのHLAは、クラスI HLA、クラスII HLA、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。ある実施形態において、そのHLAはクラスI HLAである。ある実施形態において、そのHLAはクラスII HLAである。ある実施形態において、そのHLAはクラスI HLAおよびクラスII HLAの組み合わせである。
【0083】
ある実施形態において、その組成物は複数の固体担体のうちの当該固体担体を含み、ここで複数の固体担体のうちの特定の固体担体に結合したHLAの少なくとも90%は同じ対立遺伝子のものであり、そして複数の固体担体のうちの各固体担体は、複数の固体担体のうちの他の固体担体に関して異なるHLA対立遺伝子に結合している。ある実施形態において、その複数の固体担体は、4つ以上の固体担体を含む。ある実施形態において、その複数の固体担体は、8つ以上の固体担体を含む。ある実施形態において、その複数の固体担体は、16個またはそれ以上の固体担体を含む。ある実施形態において、その複数の固体担体は、32個またはそれ以上の固体担体を含む。
【0084】
生物学的サンプルを含む、当業者に公知のあらゆる有用なサンプルを使用し得る。例示的な有用な生物学的サンプルは、全血、血液誘導体、赤血球濃縮物、血漿、血清、新鮮凍結血漿、全血由来血小板濃縮物、グロブリン、寒冷沈降物(cryoprecpitate)、脳脊髄液、口腔から採取されたもののような上皮細胞、幹細胞、白血球、好中球および顆粒球のような、組織および細胞を含む。
【0085】
サンプルを、組織、細胞、または臓器移植のヒトドナーまたは当該組織、細胞、または臓器移植の意図されたレシピエントから得ることができる。いくつかの実施形態において、そのサンプルを、腎臓、肝臓、または心臓移植のヒトドナーから得る。いくつかの実施形態において、そのサンプルを、ヒトレシピエントにおける移植のために意図された組織、細胞、または臓器から得る。特定の実施形態において、そのサンプルを、ヒトレシピエントにおける移植のために意図された腎臓、肝臓、または心臓から得る。他の実施形態において、そのサンプルを、輸血のヒトドナーまたはレシピエントから得る。他の実施形態において、そのサンプルを、レシピエントにおける輸血のために意図された血液または血液誘導体から得る。ある実施形態において、そのサンプルを、骨髄移植のヒトドナーまたはレシピエントから得る。
【0086】
当業者に公知の、抗体の担体への結合を検出し得るあらゆるシステムを、抗体の結合を検出するために使用し得る。例えば、天然HLAに対する抗体の結合の検出を、放射性標識、蛍光標識、酵素標識、アビジン標識、ビオチン標識、またはそれらの組み合わせのような、検出可能な標識に結合体化した二次抗体を用いて行い得る。さらに、本明細書中で記載したもののような検出可能な標識を含む担体は、結合した天然HLAに対する抗体の多重化した検出および分類を可能にする。
【0087】
特定の実施形態において、抗体の結合の検出を、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)アッセイのような、免疫吸着サンドイッチアッセイを用いて行う。免疫吸着サンドイッチアッセイは、使用する固体担体が、マイクロタイタープレートウェルである場合に特に有用であり得る。膜またはフィルターの固体担体に関して、抗体の結合の検出を、イムノブロッティング技術を用いて行い得る。他の実施形態において、抗体の結合の検出を、フローサイトメトリーを用いて行う。
【0088】
6.6 キット
別の局面において、天然HLAに対する抗体を検出するためのキットが、本明細書中で提供される。ある実施形態において、そのキットは:a)固体担体に結合したHLAを含む組成物であって、ここでHLAのうちの少なくとも90%が天然のものであり、そしてHLAのうちの多くても10%が変性している、組成物、およびb)組成物に対する抗体の結合を検出するための試薬を含む。本明細書で提供される組成物は、固体担体に結合したHLAを含む組成物のいずれも含み得、ここでHLAのうちの少なくとも90%が天然のものであり、そしてHLAのうちの多くても10%が変性している。
【0089】
ある実施形態において、その組成物は、複数の固体担体のうちの当該固体担体を含み、ここで複数の固体担体のうちの特定の固体担体に結合したHLAの少なくとも90%は同じ対立遺伝子のものであり、そして複数の固体担体のうちの各固体担体は、複数の固体担体のうちの他の固体担体に関して、異なるHLA対立遺伝子に結合する。ある実施形態において、その複数の固体担体は、4個またはそれ以上の固体担体を含む。ある実施形態において、その複数の固体担体は、8個またはそれ以上の固体担体を含む。ある実施形態において、その複数の固体担体は、16個またはそれ以上の固体担体を含む。ある実施形態において、その複数の固体担体は、32個またはそれ以上の固体担体を含む。
【0090】
当業者に公知の、抗体の結合を検出するために有用なあらゆる試薬を使用し得る。例えば、ウェスタンブロット、イムノブロット、フローサイトメトリー、ELISAおよびラジオイムノアッセイ(RIA)のようなアッセイにおいて、二次抗体が、抗体の結合を検出するために有用であり得る。いくつかの実施形態において、その試薬は、二次抗体を含む。ある実施形態において、その二次抗体は、抗ヒトIgG抗体である。
【0091】
いくつかの実施形態において、その試薬は、検出可能な標識を含む二次抗体を含む。ある実施形態において、そのキットは、放射性標識、蛍光標識、酵素標識、アビジン標識、ビオチン標識、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、検出可能な標識を含む。
【0092】
いくつかの実施形態において、そのキットはさらに、洗浄緩衝液、コントロール緩衝液、ゲル、添加緩衝液、分子量マーカー、複数のウェルを含むプレート、およびポジティブコントロールサンプルおよびネガティブコントロールサンプルを含み得る。
【0093】
以下の制限しない実施例が、上記で記載されたある実施形態を説明する。
【実施例】
【0094】
以下の実施例が、本発明の局面をさらに説明するために示される。実施例1は、天然クラスI HLAマイクロビーズの調製を説明する。実施例2は、天然クラスI HLAマイクロビーズ上のクラスI HLAの型を同定するために使用するアッセイ方法を説明する。実施例3は、天然クラスI HLAマイクロビーズの純度を示す分析結果を提供する。実施例4は、天然クラスI HLAマイクロビーズの抗体反応性の結果を示す。これらの実施例において、One Lambda,Inc.の商業的に入手可能なLABScreen製品を使用し、そしてそれらはそのカタログ番号で同定される。
【0095】
7.1 実施例1:天然クラスI HLAに結合したマイクロビーズの調製
本実施例は、天然クラスI HLAに結合したマイクロビーズ(「天然クラスI HLAマイクロビーズ」)の例示的な調製を提供する。LABScreen Single Antigen Beads(LSAB)、具体的にはLABScreen(登録商標)Single Antigen HLA ClassI−Combi(カタログID:LS1A04)を、One Lambda,Inc.から得た。処理無しで、LSABは、ビーズ表面に結合した天然クラスI HLAおよび変性クラスI HLAの両方を含む。
【0096】
図1A〜図1Cは、W6/32およびHC10のLSABとの反応性を示す。モノクローナル抗体W6/32は、天然クラスI HLAに特異的に結合する。モノクローナル抗体HC10は、変性クラスI HLAに特異的に結合する。図1A〜図1Cは、A−遺伝子座(図1A)、B−遺伝子座(図1B)、およびC−遺伝子座(図1C)クラスI HLA対立遺伝子に対する特異性に関して、メジアン蛍光強度(MFI)を示す。検出抗体のMFIのレベルは、天然クラスI HLAまたは変性クラスI HLAいずれかに対する抗体の結合のレベルに対応する。これらの図は、LSABは、W6/32モノクローナル抗体およびHC10モノクローナル抗体の両方に反応性であることを示す。
【0097】
天然クラスI HLAマイクロビーズを調製するために、LSAB上の変性クラスI HLAを、トリプシン(セリンプロテアーゼ)による選択的タンパク質分解消化に供した。トリプシンを、Lakewood、New JerseyのWorthington Biochemical Corporationから凍結乾燥形態で購入した(カタログコードTRL、カタログ番号LS00372)。
【0098】
そのトリプシンを、Santa Ana、CaliforniaのIrvine Scientificから購入した1×リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中で、約0.00004%から約0.04%重量/体積の作業濃度に再構築した。天然クラスI HLAマイクロビーズを、約37℃で約30分間、トリプシン溶液にさらした。
【0099】
次いでそのトリプシン溶液を、Walkersville、MarylandのLonza Walkersville,Inc.から購入した、Trypsin Neutralizing Solution(TNS)(カタログ番号CC−5002)を用いて中和した。トリプシンによる約30分の消化後に、体積で約2:1のストックTNSを加えた。他の例において、1×PBS、約0.1%のウシ血清アルブミン(BSA)を含む混合物を用いた急速希釈(約1:2)によって、中和を達成した。
【0100】
次に、そのマイクロビーズを、約10,000gで約2分間遠心分離し、そして約1mLの1×LABScreen(登録商標)洗浄緩衝液(カタログ番号LSPWABUF)で2回洗浄した。続いてそのマイクロビーズを、約2%のBSA中、約4℃で一晩インキュベートした。次いでそのマイクロビーズを、約1mLのLABScreen(登録商標)洗浄緩衝液で3回洗浄した。
【0101】
7.2 実施例2:天然クラスI HLAマイクロビーズのアッセイ
この実施例は、本明細書中で記載された方法によって調製した、高純度の例示的なマイクロビーズを示す。タンパク質分解消化が、変性クラスI HLAを除去したことを確認するために、実施例1によって調製したマイクロビーズのパネルを、W6/32またはHC10のいずれかとインキュベートして、それぞれ天然クラスI HLAまたは変性クラスI HLAを検出した。
【0102】
約100μlの約1×PBS中で希釈した約1μlの抗体を、天然クラスI HLAマイクロビーズと、振とう器上で、室温で約30分間インキュベートした。次いでそのマイクロビーズを、約1mLのLABScreen(登録商標)洗浄液で3回洗浄し、そして次いで約100μlのフィコエリトリン結合体化(PE結合体化)ヤギ抗マウス二次抗体と、振とう器上で、室温で約30分間インキュベートした。次に、そのマイクロビーズを3回洗浄し、そしてLuminexフローマシン(Luminex flow machine)によって分析した。
【0103】
図2A〜図2Cは、W6/32(天然クラスI HLAに特異的)およびHC10(変性クラスI HLAに特異的)のマイクロビーズとの反応性を提供する。Y軸はMFIを示し、そしてX軸はA−遺伝子座(図2A)、B−遺伝子座(図2B)、およびC−遺伝子座(図2C)クラスI HLA対立遺伝子に対する特異性を示す。ビーズパネルの全ての特異性のMFIから、サンプルネガティブコントロールビーズのMFIを引くことによって、Luminexフローマシンからの生データを正規化して、非特異的またはバックグラウンドシグナルを除去した。1,000MFIを超える全ての正規化した値をポジティブとみなした。これらの図は、天然クラスI HLAマイクロビーズは、HC10と低い反応性を有することを示し、天然クラスI HLAマイクロビーズに低いパーセンテージの変性クラスI HLAしか残っていないことを示す。
【0104】
7.3 実施例3:天然クラスI HLAマイクロビーズの純度
この実施例は、本明細書中で記載された方法によって調製した、天然クラスI HLAマイクロビーズのいくつかの例示的なサンプルの純度を提供する。下記の表1〜表3は、上記の実施例1で提供された調製手順に従って作製し、そして上記の実施例2で提供された手順に従ってアッセイしたマイクロビーズに残った変性クラスI HLAのパーセンテージを示す。変性クラスI HLAのパーセンテージを、以下の式に従って計算した:[HC10 MFI/(HC10 MFI+W6/32 MFI)]*100。データを、マイクロビーズの98個のサンプル(5バッチ)から取った。
【0105】
下記の表1は、A−遺伝子座クラスI HLA対立遺伝子の特異性に関する、天然クラスI HLAマイクロビーズサンプルのデータである。そのデータは、0.97%の標準偏差を有する、0.81%の変性クラスI HLAの平均パーセンテージを示す。
【0106】
【表1】

下記の表2は、B−遺伝子座クラスI HLA対立遺伝子の特異性に関する、マイクロビーズサンプルのデータである。そのデータは、3.86%の標準偏差を有する、3.53%の変性クラスI HLAの平均パーセンテージを示す。
【0107】
【表2】

下記の表3は、C−遺伝子座クラスI HLA対立遺伝子の特異性に関する、マイクロビーズサンプルのデータである。そのデータは、1.24%の標準偏差を有する、2.60%の変性クラスI HLAの平均パーセンテージを示す。
【0108】
【表3】

表1〜表3の全体的な結果は、天然クラスI HLAマイクロビーズの5個のバッチに対して、3.10%の標準偏差を有する、2.51%の変性クラスI HLAの平均パーセンテージを示す。これらの結果は、本方法によって、天然クラスI HLAマイクロビーズを高い純度で作製し得ることを示す。
【0109】
実施例4:天然クラスI HLAマイクロビーズの反応性
LSABビーズおよび実施例1によって調製したマイクロビーズに対する、非同種免疫化男性血清中の抗体の反応性プロファイルを比較する、さらなる調査を行った。図3A〜図3Cは、A−遺伝子座(図3A)、B−遺伝子座(図3B)、およびC−遺伝子座(図3C)HLA対立遺伝子に関する、3つの非同種免疫男性血清のLSABおよび天然クラスI HLAマイクロビーズとの反応性を示す。3つの例全てにおいて(A−遺伝子座、B−遺伝子座、およびC−遺伝子座)、その結果は、血清中の抗体の、LSABマイクロビーズとの高い陽性の反応性を示すが、天然クラスI HLAマイクロビーズとは示さない。試験したA−遺伝子座対立遺伝子に対する抗体反応性に関して、LSABビーズと比較して、天然クラスI HLAマイクロビーズを使用した場合に、平均98.3%のMFIの減少があった。試験したB−遺伝子座対立遺伝子に対する抗体反応性に関して、LSABビーズと比較して、天然クラスI HLAマイクロビーズを使用した場合に、平均94.3%のMFIの減少があった。試験したC−遺伝子座対立遺伝子に対する抗体反応性に関して、LSABビーズと比較して、天然クラスI HLAマイクロビーズを使用した場合に、平均89.9%のMFIの減少があった。これらの結果は、抗体の結合は主に変性クラスI HLAによるものであり、そして天然クラスI HLAによるものではないことを示す。上記で記載したように、LSABビーズ上の変性クラスI HLAは、偽陽性シグナルを提供し、そして潜在的なドナーの不必要な除外を引き起こし得る。従って、これらの結果は、天然クラスI HLAマイクロビーズは、クラスI HLAのより正確な検出を提供し得ることを示す。
【0110】
本明細書中で引用された全ての参考文献は、個々の出版物または特許または特許出願それぞれが、具体的におよび個々に、全ての目的のためにその全体として参考として援用されると示されたように同じ程度、その全体としておよび全ての目的のために、本明細書中で参考として援用される。本発明は、様々な好ましい実施形態に関して詳細に記載されたが、それに制限することを意図せず、むしろ当業者は、そこに変更および修飾を行い得、それらは本発明の精神および添付の特許請求の範囲内であることを認識する。
【0111】
(項目1)
少なくとも90%の天然ヒト白血球抗原および多くても10%の変性ヒト白血球抗原を含む、組成物。
(項目2)
上記ヒト白血球抗原が、クラスIヒト白血球抗原、クラスIIヒト白血球抗原およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、項目1に記載の組成物。
(項目3)
上記ヒト白血球抗原がクラスIヒト白血球抗原である、項目2に記載の組成物。
(項目4)
上記ヒト白血球抗原のうちの少なくとも90%が、同じ対立遺伝子のものである、項目1に記載の組成物。
(項目5)
上記ヒト白血球抗原が固体担体に結合される、項目1に記載の組成物。
(項目6)
上記固体担体が、複数のビーズ、複数のマイクロビーズ、複数の微粒子、複数のマイクロスフィア、ウェル、膜、ポリマー、フィルターおよびマイクロアレイならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、項目5に記載の組成物。
(項目7)
上記固体担体が複数のマイクロビーズである、項目5に記載の組成物。
(項目8)
上記固体担体が、シリカ、金、ラテックス、ポリスチレン、ポリスルホン、ヒドロゲル、ポリ塩化ビニル、ガラスおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される材料を含む、項目5に記載の組成物。
(項目9)
上記固体担体が検出可能な標識を含む、項目5に記載の組成物。
(項目10)
上記検出可能な標識が、蛍光色素、放射性標識、磁気標識、バーコードまたはそれらの組み合わせである、項目9に記載の組成物。
(項目11)
上記ヒト白血球抗原が、上記固体担体に共有結合される、項目5に記載の組成物。
(項目12)
複数の上記固体担体を含む、項目5に記載の組成物であって、ここで、該複数の固体担体のうちのある特定の固体担体に結合した上記ヒト白血球抗原のうちの少なくとも90%が、同じ対立遺伝子のものであり、該複数の固体担体のうちの各々の固体担体が、該複数の固体担体のうちのその他の固体担体に関して、異なるヒト白血球抗原対立遺伝子を結合する、組成物。
(項目13)
上記天然ヒト白血球抗原および上記変性ヒト白血球抗原がクラスIヒト白血球抗原である、項目12に記載の組成物。
(項目14)
上記複数の固体担体が、4またはそれより多い固体担体を含む、項目12に記載の組成物。
(項目15)
上記複数の固体担体が、8またはそれより多い固体担体を含む、項目12に記載の組成物。
(項目16)
上記複数の固体担体が、16またはそれより多い固体担体を含む、項目12に記載の組成物。
(項目17)
上記複数の固体担体が、32またはそれより多い固体担体を含む、項目12に記載の組成物。
(項目18)
少なくとも90%の天然ヒト白血球抗原および多くても10%の白血球抗原を含む組成物を作製する方法であって、該方法は:
a.天然ヒト白血球抗原および変性ヒト白血球抗原を含む第1の組成物と、セリンプロテアーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、またはアミダーゼとを、該セリンプロテアーゼ、該リパーゼ、該エステラーゼ、または該アミダーゼが、該変性ヒト白血球抗原を消化する条件下で接触させる工程;ならびに
b.該セリンプロテアーゼ、該リパーゼ、該エステラーゼ、または該アミダーゼを中和して、少なくとも90%の天然ヒト白血球抗原および多くても10%の白血球抗原を含む結果として生じる組成物を得る工程、
を包含する、方法。
(項目19)
上記ヒト白血球抗原が、天然クラスIヒト白血球抗原および変性クラスIヒト白血球抗原を含む、項目18に記載の方法。
(項目20)
上記ヒト白血球抗原が、1またはそれより多い固体担体に結合される、項目18に記載の方法。
(項目21)
上記ヒト白血球抗原が、複数のマイクロビーズまたは微粒子に結合される、項目20に記載の方法。
(項目22)
上記第1の組成物を、セリンプロテアーゼと接触させる、項目18に記載の方法。
(項目23)
上記セリンプロテアーゼが、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、サブチリシンまたはこれらの組み合わせからなる群より選択される、項目22に記載の方法。
(項目24)
上記第1の組成物をリパーゼと接触させる、項目18に記載の方法。
(項目25)
上記リパーゼがホスホリパーゼである、項目24に記載の方法。
(項目26)
上記第1の組成物を、エステラーゼと接触させる、項目18に記載の方法。
(項目27)
上記エステラーゼが、アセチルコリンエステラーゼである、項目26に記載の方法。
(項目28)
上記エステラーゼが、チオエステラーゼである、項目26に記載の方法。
(項目29)
上記第1の組成物を、アミダーゼと接触させる、項目18に記載の方法。
(項目30)
天然ヒト白血球抗原に結合する抗体をスクリーニングする方法であって、該方法は:
a.サンプルと項目5に記載の組成物とを接触させる工程;
b.該組成物への抗体の結合を検出する工程であって、該組成物への抗体の結合は、該天然ヒト白血球抗原に特異的な抗体を示す、工程、
を包含する、方法。
(項目31)
抗体の結合を検出する上記工程を、フローサイトメトリーを使用して実行する、項目30に記載の方法。
(項目32)
上記抗体の結合を検出する上記工程を、二次抗体を使用して実行する、項目30に記載の方法。
(項目33)
上記二次抗体が、放射性標識、蛍光標識、酵素標識、アビジン標識、ビオチン標識およびそれらの組み合わせからなる群より選択される標識を含む、項目32に記載の方法。
(項目34)
上記組成物が、複数のマイクロビーズまたは微粒子を含む、項目30に記載の方法。
(項目35)
上記組成物が複数のマイクロビーズを含み、該複数のマイクロビーズのうちの各々のマイクロビーズが検出可能な標識を含む、項目34に記載の方法。
(項目36)
上記検出可能な標識が、蛍光色素、放射性標識、磁気標識またはバーコードである、項目35に記載の方法。
(項目37)
項目5に記載の組成物および該組成物への抗体の結合を検出するための試薬を含む、キット。
(項目38)
上記試薬が二次抗体を含む、項目37に記載のキット。
(項目39)
上記二次抗体が、放射性標識、蛍光標識、酵素標識、アビジン標識およびビオチン標識からなる群より選択される標識を含む、項目38に記載のキット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも90%の天然ヒト白血球抗原および多くても10%の変性ヒト白血球抗原を含む、組成物。
【請求項2】
前記ヒト白血球抗原が、クラスIヒト白血球抗原、クラスIIヒト白血球抗原およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ヒト白血球抗原がクラスIヒト白血球抗原である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ヒト白血球抗原のうちの少なくとも90%が、同じ対立遺伝子のものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ヒト白血球抗原が固体担体に結合される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記固体担体が、複数のビーズ、複数のマイクロビーズ、複数の微粒子、複数のマイクロスフィア、ウェル、膜、ポリマー、フィルターおよびマイクロアレイならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記固体担体が複数のマイクロビーズである、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
前記固体担体が、シリカ、金、ラテックス、ポリスチレン、ポリスルホン、ヒドロゲル、ポリ塩化ビニル、ガラスおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される材料を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項9】
前記固体担体が検出可能な標識を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項10】
前記検出可能な標識が、蛍光色素、放射性標識、磁気標識、バーコードまたはそれらの組み合わせである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記ヒト白血球抗原が、前記固体担体に共有結合される、請求項5に記載の組成物。
【請求項12】
複数の前記固体担体を含む、請求項5に記載の組成物であって、ここで、該複数の固体担体のうちのある特定の固体担体に結合した前記ヒト白血球抗原のうちの少なくとも90%が、同じ対立遺伝子のものであり、該複数の固体担体のうちの各々の固体担体が、該複数の固体担体のうちのその他の固体担体に関して、異なるヒト白血球抗原対立遺伝子を結合する、組成物。
【請求項13】
前記天然ヒト白血球抗原および前記変性ヒト白血球抗原がクラスIヒト白血球抗原である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記複数の固体担体が、4またはそれより多い固体担体を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記複数の固体担体が、8またはそれより多い固体担体を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
前記複数の固体担体が、16またはそれより多い固体担体を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項17】
前記複数の固体担体が、32またはそれより多い固体担体を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項18】
少なくとも90%の天然ヒト白血球抗原および多くても10%の変性白血球抗原を含む組成物を作製する方法であって、該方法は:
a.天然ヒト白血球抗原および変性ヒト白血球抗原を含む第1の組成物と、セリンプロテアーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、またはアミダーゼとを、該セリンプロテアーゼ、該リパーゼ、該エステラーゼ、または該アミダーゼが、該変性ヒト白血球抗原を消化する条件下で接触させる工程;ならびに
b.該セリンプロテアーゼ、該リパーゼ、該エステラーゼ、または該アミダーゼを中和して、少なくとも90%の天然ヒト白血球抗原および多くても10%の変性白血球抗原を含む結果として生じる組成物を得る工程、
を包含する、方法。
【請求項19】
前記ヒト白血球抗原が、天然クラスIヒト白血球抗原および変性クラスIヒト白血球抗原を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ヒト白血球抗原が、1またはそれより多い固体担体に結合される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記ヒト白血球抗原が、複数のマイクロビーズまたは微粒子に結合される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の組成物を、セリンプロテアーゼと接触させる、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記セリンプロテアーゼが、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、サブチリシンおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の組成物をリパーゼと接触させる、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記リパーゼがホスホリパーゼである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の組成物を、エステラーゼと接触させる、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
前記エステラーゼが、アセチルコリンエステラーゼである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記エステラーゼが、チオエステラーゼである、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の組成物を、アミダーゼと接触させる、請求項18に記載の方法。
【請求項30】
天然ヒト白血球抗原に結合する抗体をスクリーニングする方法であって、該方法は:
a.サンプルと請求項5に記載の組成物とを接触させる工程;
b.該組成物への抗体の結合を検出する工程であって、該組成物への抗体の結合は、該天然ヒト白血球抗原に特異的な抗体を示す、工程、
を包含する、方法。
【請求項31】
抗体の結合を検出する前記工程を、フローサイトメトリーを使用して実行する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記抗体の結合を検出する前記工程を、二次抗体を使用して実行する、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記二次抗体が、放射性標識、蛍光標識、酵素標識、アビジン標識、ビオチン標識およびそれらの組み合わせからなる群より選択される標識を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記組成物が、複数のマイクロビーズまたは微粒子を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記組成物が複数のマイクロビーズを含み、該複数のマイクロビーズのうちの各々のマイクロビーズが検出可能な標識を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記検出可能な標識が、蛍光色素、放射性標識、磁気標識またはバーコードである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
請求項5に記載の組成物および該組成物への抗体の結合を検出するための試薬を含む、キット。
【請求項38】
前記試薬が二次抗体を含む、請求項37に記載のキット。
【請求項39】
前記二次抗体が、放射性標識、蛍光標識、酵素標識、アビジン標識およびビオチン標識からなる群より選択される標識を含む、請求項38に記載のキット。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【公表番号】特表2013−519902(P2013−519902A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553992(P2012−553992)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【国際出願番号】PCT/US2011/025060
【国際公開番号】WO2011/103172
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(509300186)ワン ラムダ, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】