天端出し治具
【課題】 コンクリート打設後にも簡単に天端レベルの調節が可能な簡易な構造の天端出し治具を提供する。
【解決手段】 天端出し治具10は、丸棒状で上端にて軸方向に延びたねじ孔13を有する調整軸部材11と、ねじ孔13に螺合される調整ねじ14と、調整軸部材11の一端側に一体で設けられた調整軸部材11の鉛直方向位置を決める鉛直位置決め部15と、調整軸部材11の下端側外壁に固定されて鉄筋1に着脱自在に取り付けられる鉄筋取付部材18とを備えている。鉄筋取付部材18は、樹脂製の薄肉円筒形状で周方向一箇所にて切り欠かれた挿入口24になっており、挿入口24の周方向両側縁がガイド部25になっており、軸方向から見て略C字状になっている。
【解決手段】 天端出し治具10は、丸棒状で上端にて軸方向に延びたねじ孔13を有する調整軸部材11と、ねじ孔13に螺合される調整ねじ14と、調整軸部材11の一端側に一体で設けられた調整軸部材11の鉛直方向位置を決める鉛直位置決め部15と、調整軸部材11の下端側外壁に固定されて鉄筋1に着脱自在に取り付けられる鉄筋取付部材18とを備えている。鉄筋取付部材18は、樹脂製の薄肉円筒形状で周方向一箇所にて切り欠かれた挿入口24になっており、挿入口24の周方向両側縁がガイド部25になっており、軸方向から見て略C字状になっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物のコンクリート基礎の打設の際に、コンクリート基礎の上端である天端レベルの設定に用いられる天端出し治具に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅用等のコンクリート基礎の形成においては、所定の高さまで通常の流動性に乏しいコンクリートを打設し、その後、天端レベルまでセメント比率が高く流動性の高いレベラーを流し込むことにより、コンクリート表面の凹凸が是正された平坦な面に形成される。その場合、コンクリート高さとレベラーの高さが、天端出し治具とレーザ発光器を用いて決められている。従来、この種の天端出し治具としては、例えば特許文献1に示すように、長手棒状の補助具本体の上端部に開口するねじ穴に進退可能に調整ねじ体が螺合され、補助具本体の上部に、補助具本体に対して直角方向且つ水平に延びるコンクリートレベル出しのための上羽根部が固着され、補助具本体の下部に、補助具本体に対して直角方向且つ垂直に延びる回り止め防止のための下羽根部が固着されてなる天端出し補助装置が知られている。この天端出し補助装置は、コンクリート打設の後にコンクリート内に鉛直方向に差し込まれて補助具本体が上羽根部位置まで垂直に埋め込まれる。そして、コンクリートが硬化した後、さらに調整ねじ体を回して最終高さである天端レベルが調整され、レベラーを天端レベルまで流し込むことによりコンクリート基礎が形成される。
【特許文献1】特許第2649483号公報
【0003】
ところで、上記天端出し補助装置の場合、コンクリート内に差し込んだ後、調整ねじ体を回して天端レベルを調整する際に、補助装置に回転力が加わるため、コンクリートが十分に硬化していないと補助装置が動いて、その位置が不安定になる。そのため、調整ねじ体による天端レベル調整の際に、コンクリートが硬化している必要があるが、コンクリート硬化までに時間がかかり、特に気温の低い冬季等においては、硬化までの時間が非常に長くなる。その結果、天端レベル調整のための作業の効率が悪くなり、コンクリート基礎形成の作業性が悪くなるという問題がある。また、コンクリート基礎の硬化が進みすぎると、コンクリート基礎とレベラーの接着強度が低くなる傾向にあるため、場合によってはコンクリート基礎に接着剤を塗布する必要があり、そのための手間も大きくなる。
【0004】
これに対して、例えば特許文献2に示すように、天端レベルの目印となるレベル設定用棒材と、鉄筋を両側から挟みこんで固定する対となる挟持部及びレベル設定用棒材の上下位置を調整して保持可能な保持部を有する固定部材とを備え、挟持部は、それぞれの掛け止め位置を調整可能な調整部とを備えた天端レベル管理具が知られている。また、この天端レベル管理具には、レベル設定用棒材の上端から所定距離だけ下がった位置に、拡径部を設けている。この天端レベル管理具は、挟持部によって鉄筋の所望位置に調節して固定される。その後、レーザ発光器を用いて天端レベル管理具の上部の天端レベルを狙い、レベル設定用棒材の拡径部を回転させてレベル調整が行われる。コンクリートは、拡径部まで打設され、さらにコンクリートの凹凸を是正するためにその上に天端レベル管理具の上端までレベラーが流し込まれる。
【特許文献2】特開2005−48510
【0005】
ところで、上記天端レベル管理具の場合、取り付けた鉄筋が完全に固定されたものでないため、コンクリート打設時に上下左右に動く可能性があり、また、コンクリートの凹凸が大きくなったり、コンクリートに傾斜を生じたりすることもある。この場合は、天端レベル管理具により設定された天端レベルも変動するため、コンクリート打設後に最終的な天端レベルを再調整する必要がある。しかし、この天端レベル管理具は、天端レベルを再調整できないので、このような問題には対応することができない。また、天端レベル管理具は、挟持部の構造が複雑なため、狭い基礎型枠間において鉄筋への取り付けが容易でないと共に価格が高価になるという問題もある。また、レベラーは乾燥による収縮が大きいので、レベラー乾燥後に、レベラー表面が凹んで天端レベル管理具の頭部が突出するため、これを抑えて平坦面にする必要があるが、この天端レベル管理具ではコンクリート硬化後には天端レベルを再調整できないという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した問題を解決しようとするもので、コンクリート打設後の短期間内に、最終的な天端レベルの精密な調節を簡易に行うことが可能な天端出し治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の構成上の特徴は、棒状で一端側にて天端高さを調節する天端高さ調整手段を設けた調整軸部材と、調整軸部材の一端側に設けられた調整軸部材の鉛直方向位置を決める鉛直位置決め部と、調整軸部材の他端側外壁に調整軸部材の軸方向に平行に又は直交して設けられ、地面上に配設された鉄筋に取り付けられて調整軸部材を一端を上に向けて鉛直状態に配置させる鉄筋取付部とを備えたことにある。
【0008】
上記のように構成した発明においては、天端出し治具が調整軸部材の一端を上に向けて鉛直状態にして配置され、鉛直位置決め部を用いてコンクリート打設の上端位置に位置合わせしながら、他端側外壁に固定された鉄筋取付部にて型枠間に配設された鉄筋に簡単に固定される。その後、コンクリートが調整軸部材の鉛直位置決め部位置まで打設されるが、天端出し治具は鉄筋に固定されて動かないため、コンクリートが十分に硬化する前でも、調整軸部材に設けた天端高さ調整手段によりコンクリート基礎の最終的な天端レベルを精密に調整でき、天端レベルに合わせてレベラーを流し込むことができる。その結果、本発明においては、コンクリート打設後の鉄筋の上下左右への位置ズレや、コンクリート面の凹凸や傾斜による変動に対して、コンクリート打設後の短期間内に、天端高さ調整手段により最終的な天端レベルを迅速且つ適正に決めることができるため、コンクリート打設作業の作業性が高められる。さらに、本発明においては、コンクリート基礎の硬化前に天端高さの調整を行うことができるため、硬化前にレベラーを流し込むことができ、そのため、コンクリートとレベラーの接着強度が高められるため、コンクリート基礎に接着剤を塗布する必要がないので、コンクリート基礎の打設作業がさらに簡易にされる。また、本発明においては、レベラー乾燥後にレベラー表面に天端高さ調整手段の頭部が突出しても、天端高さ調整手段の調節により頭部を容易に下げることができるため、簡易にレベラー表面を平坦面にすることができる。
【0009】
また、本発明において、天端高さ調整手段を、調整軸部材の一端にて軸方向に延びて形成されたねじ孔と、ねじ孔に螺合されて軸方向に移動可能にされた調整ねじとにより構成されたものとすることができる。これにより、コンクリートが打設された後、調整軸部材のねじ孔に螺合された調整ねじによりコンクリート基礎の最終的な天端レベルを簡易かつ精密に調整できる。
【0010】
また、本発明において、天端高さ調整手段が、調整軸部材の一端側の円柱状の外周面に形成されたねじ部と、一端が封止された筒形で内周面にねじ溝が形成され、内周面のねじ溝にて調整軸部材のねじ部に螺合されて軸方向に移動可能にされたキャップ状の調整具とにより構成されたものとすることができる。これにより、コンクリートが打設された後、調整軸部材の一端側のねじ部に螺合された調整具によりコンクリート基礎の最終的な天端レベルを簡易かつ精密に調整できる。また、調整具を手で持ってまわすことによりドライバを用いずに簡易に天端レベルの調整を行うことができる。
【0011】
また、本発明において、調整軸部材の外側面に、周方向の複数個所にて外方に向けて突出して軸方向に延びた複数の線状突起を設けることができる。これにより、線状突起が調整軸部材に対して補強リブとして機能するため、調整軸部材の曲げ強度が高められ、打設される生コンクリートによって大きな荷重が加えられても、調整軸部材の曲がりを防止できる。
【0012】
また、本発明において、鉄筋取付部が、調整軸部材とは別部材であり、調整軸部材に取り付けられる第1取付部と、鉄筋に取り付けられる第2取付部とを一体で設けることができる。このように、鉄筋取付部が、調整軸部材とは別部材であることにより、成形型が簡易な形状にされるため、鉄筋取付部及び調整軸部材の成形が容易に行われると共に成形型が安価に提供される。また、鉄筋取付部が、第1取付部と第2取付部とにより構成されたことにより、鉄筋の径に対応した第2取付部の鉄筋取付部を用意して共通の調整軸部材と組み合わせることにより、径の異なる鉄筋に対して簡易且つ安価に対応することができる。また、鉄筋取付部を、第2取付部によって鉄筋に簡単に取り付けることができるため、狭い基礎型枠間での天端出し治具の鉄筋への取り付けが容易に行われる。
【0013】
また、本発明において、調整軸部材の他端側の外面と、第1取付部の内面に、互いに調整軸部材と第1取付部とを係止させる係止手段を設けることができる。これにより、鉄筋取付部の第1取付部に調整軸部材を挿入すると、調整軸部材の他端側の外面と第1取付部の内面が係止手段により強固に係止されるため、コンクリート打設の際に、鉄筋に固定された鉄筋取付部に対して調整軸部材が動くことなく安定して鉄筋に支持される。
【0014】
また、本発明において、係止手段が、調整軸部材の他端側の外面に設けた係合凹部又は係合凸部と、第1取付部の内面に設けて係合凹部又は係合凸部に係止される係止凸部又は係止凹部により構成されてもよい。これにより、調整軸部材の他端側の外面に設けた係合凹部又は凸部に、第1取付部の内面に設けた係止凸部又は係止凹部が互いに強固に係止されるため、調整軸部材が鉄筋に固定された鉄筋取付部に強固に固定されて安定して鉄筋に支持される。
【0015】
また、本発明において、鉄筋取付部が、調整軸部材と一体で形成されたものであってもよい。このように、鉄筋取付部と調整軸部材とが一体になった天端出し治具を、1回の成形で形成することができるため、成形の手間が軽減され、また鉄筋取付部を調整軸部材に取り付けるための手間もない。
【0016】
また、本発明において、鉄筋取付部が径の異なる複数個で構成され、調整軸部材の外壁に互いに周方向に隔てて配設されたものであってもよい。これにより、一種類の天端出し治具を用意することで、径の異なる鉄筋に対して対応した径の鉄筋取付部で固定することができるので、治具取り付け作業が簡易にされると共に天端出し治具管理の手間が省かれ、価格も相対的に安価にされる。
【0017】
また、本発明において、鉄筋取付部の鉄筋取付部分に、鉄筋に解除可能に係止される係止部を設けることができる。これにより、天端出し治具を鉄筋取付部にて鉄筋に取り付けたとき、鉄筋取付部分に設けた係止部により鉄筋の突起に緊密に係止されるため、コンクリート打設の際に、天端出し治具の移動が確実に防止される。
【0018】
また、本発明において、鉄筋取付部が、調整軸部材に一体で又は別体で取り付けられており、調整軸部材から両側に延びた所定の第1径に形成された半円筒形状であって、一方側に延びた部分の外周面には、先端側にて外方に突出して軸方向に延びた第1係合突起を設けると共に調整軸部材の近傍位置にて外方に突出して軸方向に延びた第2係合突起を設けた第1取付片と、第1取付片における他方側に延びた部分の先端にて曲げ変形可能に取り付けられた第1径より大きい所定の第2径に形成された半円筒形状であって、先端側に第1係合突起と第2係合突起に係止可能にされる係止突起を設けた第2取付片とを備えることができる。
【0019】
これにより、天端出し治具が調整軸部材の一端を上に向けて鉛直状態にして配置され、鉛直位置決め部を用いてコンクリート打設の上端位置に位置合わせしながら、鉄筋取付部を第1径よりわずかに太い鉄筋に取り付ける場合は、第1取付片をこの鉄筋の外周に嵌め合わせて、第2取付片の係止突起を第1取付片の第2係合突起に係止させることにより、鉄筋取付部は第2取付片によって締め付けることにより鉄筋に強固に固定される。また、鉄筋取付部を第1径より大きい第2径よりわずかに太い鉄筋に取り付ける場合は、第1取付片を広げて第2取付片と共にこの鉄筋の外周に嵌め合わせて、第2取付片の係止突起を第1取付片の第1係合突起に係止させることにより、鉄筋取付部は第2取付片によって締め付けることにより鉄筋に強固に固定される。その結果、本発明においては、単一の鉄筋取付部により太さの異なる2種類の鉄筋に固定することができるので、径の異なる鉄筋に対して簡易且つ安価に対応することができる。また、本発明によれば、鉄筋取付部を第2取付片で締め付けて鉄筋に固定するようになっているため、取り付けの強度が確保され、コンクリートの打設により調整軸部材に大きな荷重が加わっても、鉄筋取付部の鉄筋からのはずれを確実に防止できる。また、本発明においては、第2取付片の係止突起を第1取付片の第1係合突起あるいは第2係合突起に係止させることにより、鉄筋取付部を鉄筋に簡単に取り付けることができるため、狭い基礎型枠間での天端出し治具の鉄筋への取り付けが簡易に行われる。
【0020】
また、本発明において、鉛直位置決め部を、調整軸部材の長手方向に対して垂直に延びた板状とすることができる。これにより、板状の鉛直位置決め部に高さ調節用治具を立設させて、コンクリート打設高さや天端レベルの調節に利用することができる。また、鉛直位置決め部を、コンクリート打設の目印とすることができる。また、調整軸部材の上端から周壁面とコンクリートとの間を伝って流下する水分を鉛直位置決め部で止めることができるため、水分が調整軸部材下端から鉄筋取付部を伝って鉄筋へ付着することを妨げることにより、鉄筋の錆発生を防止できる。
【0021】
また、本発明において、鉛直位置決め部が、調整軸部材の外側面に着色された着色マークであってもよい。これにより、鉛直位置決め部をコンクリート打設高さや天端レベルの調節の目安として利用することができる。また、鉛直位置決め部を、コンクリート打設の目印とすることができる。
【0022】
また、本発明の他の特徴として、棒状で一端側にて天端高さを調節する天端高さ調整手段を設け、他端側が筒状であって内壁が軸方向内方に向けて縮径するように傾斜しており、径の異なる鉄筋が挿嵌可能な鉄筋挿嵌孔を有する調整軸部材と、調整軸部材の一端側に設けられた調整軸部材の鉛直方向位置を決める鉛直位置決め部とを備えたことにある。
【0023】
上記のように構成した他の特徴においては、天端出し治具が調整軸部材の一端を上に向けて鉛直状態にして配置され、調整軸部材他端側の鉄筋挿嵌孔にて型枠間に配設された鉛直方向に延びた鉄筋の上端から差し込まれ、鉄筋挿嵌孔の傾斜面によって鉄筋上端側に嵌め合わされて固定され、その状態で、鉛直位置決め部を用いてコンクリート打設の上端位置に位置合わせされる。その後、コンクリートが調整軸部材の鉛直位置決め部位置まで打設されるが、天端出し治具は鉄筋に固定されて動かないため、コンクリートが十分に硬化する前でも、直ちに調整軸部材に設けた天端高さ調整手段によりコンクリート基礎の最終的に高さである天端レベルを精密に調整でき、その高さに合わせてレベラーを流し込むことができる。その結果、他の特徴においては、コンクリート打設後の鉄筋の上下左右への位置ズレや、コンクリート面の凹凸や傾斜による変動に対して、コンクリート打設後の短期間内に、調整ねじにより最終的な天端レベルを迅速且つ適正に決めることができるため、コンクリート打設作業の作業性が高められる。
【0024】
さらに、調整軸部材は、他端側に筒状であって内壁が軸方向内方に向けて縮径するように傾斜した鉄筋挿嵌孔を設けているため、鉄筋の径の違いに対して鉄筋挿嵌孔の適した内径位置まで挿入して嵌め合わせることにより、径の異なる鉄筋に対して強固に取り付けることができる。その結果、他の特徴においては、一種類の天端出し治具を用意するのみで、径の異なる鉄筋に対して鉄筋挿嵌孔により強固に取り付けることができるので、治具取り付け作業が簡易にされると共に天端出し治具管理の手間が省かれ、価格も相対的に安価にされる。また、他の特徴においては、調整軸部材の他端側の鉄筋挿嵌孔にて鉄筋に差し込むことにより、調整軸部材を鉄筋に簡単に取り付けることができるため、狭い基礎型枠間での天端出し治具の鉄筋への取り付けが簡易に行われる。また、他の特徴においては、コンクリート基礎の硬化前に天端高さの調整を行うことができるため、硬化前にレベラーを流し込むことができ、そのため、コンクリートとレベラーの接着強度が高められるため、コンクリート基礎に接着剤を塗布する必要がないので、コンクリート基礎の打設作業がさらに簡易にされる。また、他の特徴においては、レベラー乾燥後にレベラー表面に天端高さ調整手段の頭部が突出しても、天端高さ調整手段の調節により頭部を容易に下げることができるため、簡易にレベラー表面を平坦面にすることができる。
【0025】
また、他の特徴において、天端高さ調整手段を、調整軸部材の一端にて軸方向に延びて形成されたねじ孔と、ねじ孔に螺合されて軸方向に移動可能にされた調整ねじとにより構成されたものとすることができる。これにより、コンクリートが打設された後、調整軸部材のねじ孔に螺合された調整ねじによりコンクリート基礎の最終的な天端レベルを簡易かつ精密に調整できる。
【0026】
また、他の特徴において、天端高さ調整手段が、調整軸部材の一端側の円柱状の外周面に形成されたねじ部と、一端が封止された筒形で内周面にねじ溝が形成され、内周面のねじ溝にて調整軸部材のねじ部に螺合されて軸方向に移動可能にされたキャップ状の調整具とにより構成されたものとすることができる。これにより、コンクリートが打設された後、調整軸部材の一端側のねじ部に螺合された調整具によりコンクリート基礎の最終的な天端レベルを簡易かつ精密に調整できる。また、調整具を手で持ってまわすことによりドライバを用いずに簡易に天端レベルの調整を行うことができる。
【0027】
また、他の特徴において、調整軸部材の外側面に、周方向の複数個所にて外方に向けて突出して軸方向に延びた複数の線状突起を設けることができる。これにより、線状突起が調整軸部材に対して補強リブとして機能するため、調整軸部材の曲げ強度が高められ、打設される生コンクリートによって大きな荷重が加えられても、調整軸部材の曲がりを防止できる。
【0028】
また、他の特徴において、調整軸部材の鉄筋挿嵌孔を設けた軸方向他端側が、周方向複数個所にて軸方向に伸びたスリットにより分離された複数の係合片にされてもよい。これにより、鉄筋の上端側に挿嵌された調整軸部材は、鉄筋への挿入時にはスリットで分離された係合片の弾性変形により径方向外方に押し広げられた状態になり、挿嵌後は係合片の弾性反力によって鉄筋に対して径方向内方に向けた強固な締付け力として作用する。そのため、調整軸部材は、コンクリート打設の際にも、動かないように鉄筋に一層強固に固定される。
【0029】
また、他の特徴において、鉛直位置決め部が、調整軸部材の長手方向に対して垂直に延びた板状であってもよい。これにより、板状の鉛直位置決め部に高さ調節用治具を立設させて、コンクリート打設高さや天端レベルの調節に利用することができる。また、鉛直位置決め部を、コンクリート打設の目印とすることができる。また、調整軸部材の上端から周壁面とコンクリートとの間を伝って流下する水分を鉛直位置決め部で止めることができるため、水分が調整軸部材下端から鉄筋取付部を伝って鉄筋へ付着することを妨げることにより、鉄筋の錆発生を防止できる。
【0030】
また、他の特徴において、鉛直位置決め部が、調整軸部材の外側面に着色された着色マークであってもよい。これにより、鉛直位置決め部をコンクリート打設高さや天端レベルの調節の目安として利用することができる。また、鉛直位置決め部を、コンクリート打設の目印とすることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明においては、天端出し治具が、調整軸部材と別体又は一体で設けた鉄筋取付部あるいは鉄筋挿嵌孔にて鉄筋に強固に固定されるため、コンクリートが調整軸部材の規定位置まで打設された後、コンクリートが十分に硬化する前でも、調整軸部材に設けた天端高さ調整手段によりコンクリート基礎の最終的に天端レベルを簡易かつ精密に調整することができる。その結果、本発明においては、コンクリート打設後の短期間内に最終的な天端レベルの精密な調節を容易に行うことができるため、コンクリート打設作業の作業性が高められ、作業コストを大幅に低減できる。また、本発明においては、調整軸部材を他端側にて鉄筋に簡単に取り付けることができるため、狭い基礎型枠間での天端出し治具の鉄筋への取り付けが簡易に行われる。さらに、本発明においては、コンクリート基礎の硬化前にレベラーを流し込むことができ、コンクリートとレベラーの接着強度が高められるため、コンクリート基礎に接着剤を塗布する必要がないので、コンクリート基礎の打設作業がさらに簡易にされる。また、本発明においては、レベラー乾燥後にレベラー表面に天端レベル管理具の頭部が突出しても、天端高さ調整手段により頭部を容易に下げることができるため、簡易にレベラー表面を平坦面にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の一実施の形態について図面を用いて説明する。図1及び図2は実施例1である天端出し治具を正面図及び底面図により示し、図3及び図4は調整軸部材及び鉄筋取付部材を正面図及び平面図により示し、図5は天端出し治具の使用状態を説明図により示したものである。天端出し治具10は、樹脂製の長尺の棒状で一端(図1の上端)にて軸方向に延びたねじ孔13を有する調整軸部材11と、ねじ孔13に螺合される調整ねじ14と、調整軸部材11の一端側に一体で設けられた調整軸部材11の鉛直方向位置を決める鉛直位置決め部15と、調整軸部材11の他端側(図1の下端側)外壁に固定されて鉄筋1に着脱自在に取り付けられる調整軸部材11とは別部材の鉄筋取付部である樹脂製の鉄筋取付部材18とを備えている。
【0033】
調整軸部材11は、図3A,3Bに示すように、ストレートな丸棒部11aと、その他端(図1の下端)から軸方向に延びた軸直角断面が正方形の四角柱形状の角柱部12を有している。角柱部12は、丸棒部11aに対して同軸状に配置され、丸棒部11aの長さの1/5程度の長さであり、且つ一辺長さが丸棒部11aの外径寸法と同一になっている。ねじ孔13は、丸棒部11a内においてその軸方向一端から所定寸法延びて設けられている。丸棒部11aの軸方向一端近傍位置には、厚さの薄い円板状の鉛直位置決め部15が外周面から軸直角方向に延びて同軸状に設けられている。鉛直位置決め部15は、この上に天端レベル出し用の棒材を立設して、レーザ発光器により高さを調節してコンクリート打設位置や天端レベルを決めるものである。角柱部12は、軸方向他端近傍位置にて全周縁にわたって延びた溝である係合凹部16を設けている。
【0034】
鉄筋取付部材18は、図4A、4Bに示すように、調整軸部材11に着脱可能に取り付けられる円筒状の第1取付部19と、鉄筋に着脱可能に取り付けられる略円筒状の第2取付部23とが軸方向を揃えてかつ隣接して一体で形成されている。第1取付部19は、上記角柱部12と略同一形状、同一長さの四角柱の挿嵌孔21を同軸で設けている。第1取付部19は、軸方向他端近傍の上記係合凹部16に対応する位置にて挿嵌孔21の壁面から突出した係止凸部22を設けている。第2取付部23は、薄肉円筒形状で第1取付部19の径方向反対側の箇所にて中心角略60°の範囲で軸方向両端間が切り欠かれた挿入口24になっており、挿入口24の周方向両側縁が外方に向け広げられてわずかに突出したガイド部25になっており、軸方向から見て略C字状になっている。また、第2取付部23は、内周面の内径が装着される鉄筋の内径よりわずかに小さくなっており、鉄筋を締め付けた状態で鉄筋に固定されるようになっている。さらに、第2取付部23は、軸方向他端(図4Aの下端)近傍位置にて、内周面からわずかに突出したリング状の係止部26を設けており、鉄筋に装着されたときに鉄筋の突起に係止されて、軸方向に移動しないように確実に鉄筋に固定されるようになっている。なお、必要に応じて係止部26を省くこともできる。
【0035】
第1取付部19の挿嵌孔21に調整軸部材11を角柱部12側から挿入することにより、角柱部12軸方向他端近傍位置に設けた係合凹部16に挿嵌孔21の壁面から突出した係止凸部22が係止することにより、互いに強固に取り付けられて天端出し治具10が形成される。鉄筋取付部材18は、第2取付部23により型枠間に立設された鉄筋に嵌め合わせることにより、第2取付部23のリング状の係止部26が、鉄筋の突起に係止され、軸方向に移動しないように確実に鉄筋に固定されるようになっている。
【0036】
次に、実施例1の動作について図5により説明する。まず、天端出し治具10は、調整軸部材11の一端を上に向けて鉛直状態にして配置され、鉛直位置決め部15をコンクリート打設の上端位置L1に位置合わせされた状態にされる。下端側外壁に固定された鉄筋取付部材18の第2取付部23を一対の型枠(図示しない)間に配設された縦鉄筋1に押し付けることにより、ガイド部25を通して挿入口24が縦鉄筋1によって押し広げられて、縦鉄筋1に嵌め合わされて強固に固定される。さらに、第2取付部23のリング状の係止部26が縦鉄筋1の突起に係止されて、鉄筋取付部材18が軸方向に移動しないように確実に縦鉄筋1に固定される。
【0037】
その後、コンクリートが調整軸部材11の鉛直位置決め部15位置L1まで打設されるが、天端出し治具10は鉄筋1に固定されて動かないため、コンクリート2が十分に硬化する前でも、直ちに調整軸部材11のねじ孔13に螺合された調整ねじ14によりコンクリート基礎の最終的に高さL2を精密に調整できる。そのため、コンクリート打設後の縦鉄筋1の上下左右への位置ズレや、コンクリート面の凹凸や傾斜による変動に対して、調整ねじ14により最終的な天端レベルを迅速且つ適正に決めることができる。その後、最終的な高さL2に合わせてレベラー3を流し込むことにより、規定の高さのコンクリート基礎が形成される。
【0038】
その結果、本実施例1においては、コンクリート打設後の縦鉄筋1の上下左右への位置ズレや、コンクリート面の凹凸や傾斜による変動に対して、コンクリート打設後の短期間内に最終的な天端レベルの精密な調節を容易に行うことができるため、コンクリート打設作業の作業性が高められ、作業コストが大幅に低減する。また、天端出し治具10は、樹脂製の調整軸部材11と鉄筋取付部材18からなる簡易な構成であり、安価に提供されると共に、縦鉄筋1への取り付けも容易なのでコンクリート打設作業の手間が軽減される。また、実施例1においては、鉄筋取付部材18を、第2取付部23によって縦鉄筋1に簡単に取り付けることができるため、狭い基礎型枠間での天端出し治具10の縦鉄筋1への取り付けが容易に行われる。さらに、調整軸部材11と鉄筋取付部材18が別部材であることにより、成形型が簡易な形状にされ、調整軸部材11と鉄筋取付部材18の成形が容易に行われると共に成形型が安価に提供される。
【0039】
また、鉄筋取付部材18が、第1取付部19と第2取付部23とによって構成されたことにより、鉄筋の径に対応した第2取付部23の鉄筋取付部材を用意して共通の調整軸部材と組み合わせることにより、径の異なる鉄筋に対して簡易且つ安価に対応することができる。また、調整軸部材11の一端側に鉛直位置決め部15を設けたことにより、調整軸部材11の上端から周壁面とコンクリートとの間を伝って流下する水分を鉛直位置決め部15で止めることができるため、水分が調整軸部材11下端から鉄筋取付部材18を伝って縦鉄筋1へ付着することを妨げることにより、縦鉄筋1での錆発生を防止できる。さらに、実施例1においては、コンクリート基礎の硬化前に調整ねじ14により天端高さの調整を行うことができるため、硬化前にレベラーを流し込むことができ、そのため、コンクリートとレベラーの接着強度が高められるため、コンクリート基礎に接着剤を塗布する必要がないので、コンクリート基礎の打設作業がさらに簡易にされる。また、実施例1においては、レベラー乾燥後にレベラー表面に調整ねじ14の頭部が突出しても、調整ねじ14を回すことにより頭部を容易に下げることができるため、簡易にレベラー表面を平坦面にすることができる。
【0040】
つぎに、上記実施例1の変形例について説明する。
変形例においては、天端出し治具10Aは、実施例1の天端出し治具10において鉄筋取付部材18の第1取付部19と第2取付部23が互いに軸方向を揃えて一体にされているのに対して、図6,7に示すように、鉄筋取付部材28の第1取付部19と第2取付部23が互いに軸方向が直交するように取り付けられたものであり、調整軸部材11については、実施例1と同様である。鉄筋取付部材28は、図8A,8Bに示すように、上記第1取付部19と第2取付部23が互いに軸方向が直交するように一体で形成されたものであり、その他については上記鉄筋取付部材18と同様である。これにより、天端出し治具10Aは、調整軸部材11を鉛直方向に向けた状態で第2取付部23にて、水平に配置された横鉄筋(図示しない)に対して取り付けられるものである。その結果、変形例においては、横鉄筋に対して実施例1と同様の効果が得られる。
【0041】
次に、実施例2について図面を用いて説明する。
図9及び図10は、実施例2である天端出し治具を正面図及び平面図により示したものである。天端出し治具30は、樹脂製のストレートな長尺の丸棒で一端(図9に示す上端)にて軸方向に所定寸法延びたねじ孔33を有する調整軸部材31と、ねじ孔33に螺合される調整ねじ34と、調整軸部材31の他端側外壁に一体で形成されて鉄筋に着脱自在に取り付けられる鉄筋取付部35とを備えている。
【0042】
調整軸部材31は、軸方向一端近傍位置に、厚さの薄い円板状の鉛直位置決め部32が外周面から軸直角方向に延びて設けられている。鉛直位置決め部32は、この上に天端レベル出し用の棒材を立設して、レーザ発光器により高さを調節してコンクリート打設位置や天端レベルを決めるものである。鉄筋取付部35は、薄肉円筒形状で調整軸部材31の径方向反対位置にて中心角略60°で軸方向両端間に延びた切り欠かれた挿入口36になっており、挿入口36の周方向両側縁が外方に向けて広げられてわずかに突出したガイド部37になっており、軸方向から見て略C字状になっている。鉄筋取付部35は、内周面の内径が装着される鉄筋の内径よりわずかに小さくなっており、鉄筋を締め付けた状態で鉄筋に固定されるようになっている。さらに、鉄筋取付部35は、軸方向他端(図9に示す下端)近傍位置にて、内周面からわずかに突出したリング状の係止部38を設けており、鉄筋に装着されたときに係止部38が鉄筋の突起に係止されることにより、軸方向に移動しないように確実に鉄筋に固定されるようになっている。なお、必要に応じて係止部38を省くこともできる。
【0043】
次に、実施例2の動作について説明する。まず、天端出し治具30は、調整軸部材31の一端を上に向けて鉛直状態にして配置され、鉛直位置決め部32をコンクリート打設の上端位置L1に位置合わせした状態にされる。下端側外壁に固定された鉄筋取付部35を型枠間に配設された縦鉄筋1に押し付けることにより、ガイド部37を通して挿入口36が縦鉄筋1によって押し広げられて、縦鉄筋1に嵌め合わされて固定される。さらに、鉄筋取付部35のリング状の係止部38が縦鉄筋外周の突起に係止されて、鉄筋取付部35が軸方向に移動しないように確実に縦鉄筋に固定される。その後、コンクリートが調整軸部材31の上端L1まで打設されるが、その時点で、調整軸部材31のねじ孔33に螺合された調整ねじ34によりコンクリート基礎の最終的に高さL2が精密に調整され、その高さL2に合わせてレベラーが流し込まれる。
【0044】
その結果、本実施例2においては、コンクリート打設後の鉄筋の上下左右への位置ズレや、コンクリート面の凹凸や傾斜による変動に対して、コンクリート打設後の短期間内に最終的な天端レベルの精密な調節を容易に行うことができるため、コンクリート打設作業の作業性が高められ、作業コストが大幅に低減する。また、天端出し治具30は、樹脂製の簡易な構成で安価に提供されると共に、鉄筋への取り付けも容易なのでコンクリート打設作業の手間が軽減される。さらに、天端出し治具30は、調整軸部材31と鉛直位置決め部32と鉄筋取付部35が一体で成形されるので、成形の手間が省けるため、安価に提供される。
【0045】
つぎに、上記実施例2の変形例について説明する。
変形例の天端出し治具30Aは、図11、図12に示すように、実施例2の天端出し治具30において、調整軸部材31の下端側に、鉄筋取付部35に加えて鉄筋取付部35の径方向対向位置に径の異なる鉄筋取付部39を配設している。鉄筋取付部39は、上記鉄筋取付部35と同様の構造であり、樹脂製の薄肉円筒形状で周方向一箇所にて中心角略60°で軸方向両端間に延びた切り欠かれた挿入口41になっており、挿入口41の周方向両側縁が外方に向けて広げられてわずかに突出したガイド部42になっており、軸方向から見て略C字状になっている。さらに、鉄筋取付部39は、軸方向一端近傍位置にて、内周面からわずかに突出したリング状の係止部43を設けており、鉄筋に装着されたときに鉄筋の突起に係止されて、軸方向に移動しないように確実に鉄筋に固定されるようになっている。鉄筋取付部35,39は、例えば外径が10mmφ、13mmφの鉄筋に対応している。なお、挿入口41の径を変えることにより、外径が16mmφ、19mmφ、22mmφ等の鉄筋に対応させることもできる。その他の構成については、実施例2と同様であり、同一箇所については同一符号を用いる。
【0046】
上記変形例においては、一種類の天端出し治具30Aを用意することにより、径の異なる鉄筋に対して対応して、いずれかの鉄筋取付部35,39を用いて固定することができるため、天端出し治具30Aの取り付け作業が簡易になる。また、鉄筋の径に応じた多種類の天端出し治具を用意する必要がないので、天端出し治具の管理の手間が省かれ、治具の価格も相対的に安価にされる。また、天端出し治具30Aについても、天端出し治具30と同様、調整軸部材31と鉛直位置決め部32と鉄筋取付部35、39が一体で成形されるので、成形の手間が省けるため、安価に提供される。なお、変形例においては、鉄筋取付部の数を2個に限らず3個以上にすることもできる。また、鉄筋取付部の取り付け位置についても、軸方向に揃える必要はない。なお、上記実施例2及び変形例においても、実施例1と同様に、横鉄筋に取り付けるために、鉄筋取付部35,39を調整軸部材31に対して軸方向に直交するように取り付けることができる。
【0047】
つぎに、実施例3について図面を用いて説明する。
実施例3においては、図13,図14に示すように、天端出し治具45は、実施例1の天端出し治具10において円板状の鉛直位置決め部15を省いて、鉛直位置決め部に相当するものとして調整軸部材11の外周面に赤色等の目立つ色で着色マーク46を描いたものである。その他の構成については、実施例1と同様であり、同一箇所については同一符号を用いる。
【0048】
実施例3の天端出し治具45は、コンクリート打設高さを決める際に、着色マーク46に合わせて天端レベル出し用の棒材を立設させて、レーザ発光器により高さを調節して、コンクリート打設位置や天端レベルを決めることができる。これにより、着色マーク46をコンクリート打設位置や天端レベルを決めるための目安とすることができ、また、コンクリート打設の際に着色マーク46を目印とすることができる。
【0049】
つぎに、実施例4について図面を用いて説明する。
図15及び図16は、実施例4である天端出し治具を一部破断正面図及び底面図により示したものである。天端出し治具50は、樹脂製のストレートな長尺の棒状で一端側(図15に示す上端側)にて天端高さを調節する天端高さ調整手段を設けた調整軸部材51と、調整軸部材51の他端側外壁に一体で形成されて鉄筋に取り付けられる樹脂製の鉄筋取付部61とを備えている。
【0050】
調整軸部材51は、略円柱状の外周面の周方向の等間隔を隔てた4箇所にて外方にわずかに突出すると共に軸方向に延びた線状突起52を設けている。また、調整軸部材51は、軸方向一端近傍位置に、実施例1で説明したと同様の厚さの薄い円板状の鉛直位置決め部53が外周面から軸直角方向に延びて設けられている。調整軸部材51の鉛直位置決め部53から上側の部分は、円筒形で外周面に同軸状にねじ溝を設けたねじ部54になっている。ねじ部54には、キャップ状の調整具55が取り付けられている。調整具55は、図17A,17Bに示すように、円筒形で一端が厚板部56で封止され他端が開放されたキャップ状になっており、円筒部57の内径が上記ねじ部54の外径に合わされており、内周面57aにねじ溝が形成されている。厚板部56の上面には十字形の調整孔56aが設けられている。調整具55は、円筒部57内周面57aをねじ部54に螺合させ、手で回すことによりあるいは調整孔56aにドライバを差し込んで回すことにより、軸方向高さが調節されるようになっている。すなわち、調整具55とねじ部54により天端高さ調整手段が構成されている。
【0051】
鉄筋取付部61は、薄肉で調整軸部材51から両側に延びて同軸状に形成された半円筒形状の第1取付片62と、第1取付片62における他方側(図15の後側)に延びた部分62bの先端にて曲げ変形可能に一体で取り付けられた半円筒形の第2取付片66とにより構成されている。第1取付片62は、円筒形の略1/4周部分が除かれた半円筒形になっており、外径が10mmφの太さの鉄筋5に合わせて内径が第1径である10mmφよりわずかに細くなるように形成されており、一方側(図15の前側)に延びた部分62aの外周面には、先端側にて外方に突出して軸方向に延びた第1係合突起63を設けると共に調整軸部材51の近傍位置にて外方に突出して軸方向に延びた第2係合突起64を設けている。第1取付片62の他方側に延びた部分62bの先端には、薄肉連結部65を介して半円筒形の第2取付片66が曲げ変形可能に取り付けられている。第2取付片66は、円筒形の略1/2周部分が除かれた半円筒形になっており、外径が13mmφの太さの鉄筋に合わせて内径が上記第1径より大きい第2径である13mmφよりわずかに小さくなるように形成されており、先端の内周部分にて内方にわずかに突出して軸方向に延びた係止突起67を設けている。
【0052】
実施例4においては、天端出し治具50が調整軸部材51の一端を上に向けて鉛直状態にして配置され、鉛直位置決め部53を用いてコンクリート打設の上端位置に位置合わせした状態で、鉄筋取付部61を外径が10mmφの太さの鉄筋5に取り付ける場合は、図18,19に示すように、第1取付片62を鉄筋5の外周に嵌め合わせて、第2取付片66の係止突起67を第1取付片62の第2係合突起64に係止させることにより、鉄筋取付部61は第2取付片66で締め付けた状態で鉄筋5に強固に固定される。また、鉄筋取付部61を第1径より太い外径が13mmφの太さの鉄筋6に取り付ける場合は、図20,21に示すように、第1取付片62を広げて第2取付片66と共に鉄筋6の外周に嵌め合わせて、第2取付片66の係止突起67を第1取付片62の第1係合突起63に係止させることにより、鉄筋取付部61は第2取付片66で締め付けた状態で外径が13mmφの太さの鉄筋6に強固に固定される。また、実施例4においては、第2取付片66の係止突起67を第1取付片62の第1係合突起63あるいは第2係合突起64に係止させることにより、鉄筋取付部61を鉄筋に簡単に取り付けることができるため、狭い基礎型枠間での天端出し治具50の鉄筋への取り付けが簡易に行われる。
【0053】
その結果、実施例4においては、単一の鉄筋取付部61により太さの異なる2種類の鉄筋に固定することができるので、径の異なる鉄筋に対して簡易且つ安価に対応することができる。また、実施例4によれば、鉄筋取付部61を鉄筋5,6に第2取付片66で締め付けて固定するようになっているため、取り付けの強度が確保され、コンクリートの打設により調整軸部材51が大きな荷重を受けても、鉄筋取付部61の鉄筋からのはずれを確実に防止できる。
【0054】
また、実施例4において、コンクリートが打設された後、調整軸部材51の一端側の円柱状の外周面に形成されたねじ部54に、調整具55を内周面57aにて螺合させて軸方向に移動させることにより、コンクリート基礎の最終的な天端レベルを簡易かつ精密に調整できる。また、調整具55を手で持ってまわすことによりドライバを用いずに簡易に天端レベルの調整を行うことができる。
【0055】
つぎに、上記実施例4の変形例について説明する。
変形例においては、天端出し治具50Aは、図22に示すように、天端高さ調整手段として調整具55とねじ部54により構成する代わりに、上記実施例1,2と同様に、調整軸部材51の一端にねじ孔13を設け、このねじ孔13に調整ねじ14を螺着させたものである。これによっても、天端レベルの調整が容易に行われ、また、鉄筋取付部61の効果が得られる。
【0056】
次に、実施例5について図面を用いて説明する。
図23及び図24は、実施例5である天端出し治具70を正面図及び底面図により示したものである。天端出し治具70は、樹脂製のストレートな長尺の丸棒で一端(図23に示す上端)にて軸方向に所定寸法延びたねじ孔73を有する調整軸部材71と、ねじ孔73に螺合される調整ねじ74と、調整軸部材71の他端側(図23に示す下端側)に設けられて鉄筋に着脱自在に挿嵌されて取り付けられる鉄筋挿嵌孔75とを備えている。また、調整軸部材71は、軸方向一端近傍位置に、厚さの薄い円板状の鉛直位置決め部72が外周面から軸直角方向に延びて設けられており、この上に天端レベル出し用の棒材を立設して、レーザ発光器により高さを調節してコンクリート打設位置や天端レベルを決めるものである。鉄筋挿嵌孔75は、下端から軸方向に中間の所定寸法延びており、下端位置75aでの外径が孔内端位置75bでの内径より大きくなっている。例えば外径が10mmφ、13mmφの縦鉄筋を対象とする場合、下端位置75aでの外径は14mmφ、内端位置75bでの外径は9mmφになっている。
【0057】
次に、実施例5の動作について説明する。図25に示すように、天端出し治具70が調整軸部材71の一端を上に向けて鉛直状態にして配置され、調整軸部材71他端側の鉄筋挿嵌孔75にて型枠間に配設された鉛直方向に延びた外径10mmφの縦鉄筋5の上端から差し込まれ、鉄筋挿嵌孔75の傾斜面によって鉄筋5の上端近傍側に嵌め合わされて固定される。この取付状態1で、鉛直位置決め部72がコンクリート打設の上端位置に位置合わせされる。その後、コンクリートが調整軸部材71の鉛直位置決め部72位置まで打設されるが、天端出し治具70は縦鉄筋5に固定されて動かないため、コンクリートが十分に硬化する前でも、調整軸部材71のねじ孔73に螺合された調整ねじ74によりコンクリート基礎の最終的に高さである天端レベルを精密に調整でき、その高さに合わせてレベラーを流し込むことができる。その結果、実施例5においては、コンクリート打設後の鉄筋の上下左右への位置ズレや、コンクリート面の凹凸や傾斜による変動に対して、コンクリート打設後の短期間内に、調整ねじにより最終的な天端レベルを迅速且つ適正に決めることができるため、コンクリート打設作業の作業性が高められる。
【0058】
また、調整軸部材71は、他端側に鉄筋挿嵌孔75を設けているため、鉄筋の径の違いに対して鉄筋挿嵌孔の適した内径位置まで挿入して嵌め合わせることにより、径の異なる鉄筋に対して強固に取り付けることができる。例えば、外径が13mmφの縦鉄筋6を対象とする場合は、図26に示すように、鉄筋6の上端が、調整軸部材71の鉄筋挿嵌孔75の軸方向略中間位置で係止され強固に取り付けられる(取付状態2)。その結果、実施例5においては、一種類の天端出し治具70を用意するのみで、径の異なる鉄筋に対して鉄筋挿嵌孔75により強固に取り付けることができるので、取り付け作業が簡易にされると共に天端出し治具管理の手間が省かれ、価格も相対的に安価にされる。
【0059】
また、実施例5においては、調整軸部材71の他端側の鉄筋挿嵌孔75にて鉄筋に差し込むことにより、調整軸部材71を鉄筋に簡単に取り付けることができるため、狭い基礎型枠間での天端出し治具70の鉄筋への取り付けが簡易に行われる。さらに、実施例5においては、コンクリート基礎の硬化前に調整ねじ74により天端高さの調整を行うことができるため、硬化前にレベラーを流し込むことができ、そのため、コンクリートとレベラーの接着強度が高められるため、コンクリート基礎に接着剤を塗布する必要がないので、コンクリート基礎の打設作業がさらに簡易にされる。また、実施例5においては、レベラー乾燥後にレベラー表面に調整ねじ74の頭部が突出しても、調整ねじ74を回すことにより頭部を容易に下げることができるため、簡易にレベラー表面を平坦面にすることができる
【0060】
つぎに、上記実施例5の変形例について説明する。
変形例においては、天端出し治具70Aは、図27,図28に示すように、実施例5の天端出し治具70において調整軸部材71の下端側の鉄筋挿嵌孔78を設けた下側部について、周方向の等間隔な4箇所にて軸方向に延びたスリット79を設けて、下側部を4つの係合片77に分離して配設したものである。これにより、変形例においては、天端出し治具70Aを下端側にて鉄筋5,6の上端側から挿嵌する際に、スリット79で分離された係合片77の弾性変形により径方向外方に押し広げられた状態になるため、天端出し治具70Aの鉄筋5,6への挿嵌がスムーズに行われる。また、天端出し治具70Aの鉄筋5,6への挿嵌後は、係合片77の弾性反力によって鉄筋5,6に対して径方向内方に向けた強固な締付け力として作用する。そのため、調整軸部材71は、調整ねじ74による高さ調節の際やコンクリート打設の際にも、動かないように鉄筋5,6に強固に固定される。
【0061】
つぎに、実施例6について図面を用いて説明する。
実施例6においては、図29,図30に示すように、天端出し治具80は、実施例1の天端出し治具10において、調整軸部材11の上端近傍位置に一端を囲んで一体で設けられた樹脂製の薄肉円筒形で上端が開口する小容器状の鉛直位置決め部であるコンクリート遮蔽部81を設けたものである。その他の構成については、実施例1と同様であり、同一箇所については同一符号を用いる。コンクリート遮蔽部81は、調整軸部材11の上端近傍位置にて外周から径方向に伸びた底板部82と、底板部82から軸方向上端に延びた周壁部83とを一体で有しており、樹脂成形により調整軸部材11と一体で形成される。なお、実施例6では、コンクリート遮蔽部81は調整軸部材11と一体で成形されているが、調整軸部材11とは別部材とすることも可能である。
【0062】
実施例6においては、天端出し治具80は、コンクリート打設の際に、調整軸部材11の上端側をコンクリート遮蔽部81が囲んでいることにより、調整軸部材11の上端及び調整ねじ14へのコンクリートの付着を防止できる。そのため、実施例6によれば、コンクリート打設後の調整ねじ14よる天端レベル調整を、コンクリートの付着によって妨げられることなく確実に行うことができる。また、コンクリート遮蔽部81は、底板部82を利用することにより鉛直位置決め部15と同様に、その上に天端レベル出し用の棒材を立設して、レーザ発光器により高さを調節してコンクリート打設位置や天端レベルを決めることができる。
【0063】
次に、本発明の実施例7について図面を用いて説明する。
実施例7の天端出し治具85は、図31に示すように、実施例2の天端出し治具30において、鉛直位置決め部を調整軸部材31とは別部材の鉛直位置決め部材86としたものである。鉛直位置決め部材86は、図32A,32Bに示すように、樹脂製の薄肉の筒状部材であり、円筒部87と、円筒部87の軸方向一端(図32Aの上端)開口を塞いだ平板部88と、円筒部87の軸方向他端(図32Aの下端)にて径方向外方に延びた円環形の鍔部89とを設けてなり、平板部88の中央に円形の開口部91を有している。円筒部87は、軸方向長さが外径とほぼ同等であり、内径が調整軸部材31の上端側の外径とわずかに小さくされている。鍔部89の外径は、天端出し治具30の鉛直位置決め部32の外径と同一である。鉛直位置決め部材86は、図31に示すように、鍔部89側から鉛直位置決め部を有しない調整軸部材31の一端側外周に圧入によって挿嵌することにより固定されて、天端出し治具85に形成される。
【0064】
実施例7においては、鉛直位置決め部材86が、調整軸部材31とは別部材であり、鉛直位置決め部材86が調整軸部材31の軸方向一端に圧入により挿嵌されているものであるが、実施例1〜6と同様に、鉛直位置決め部材86の鍔部89に高さ調節用治具を立設させて、コンクリート打設高さや天端レベルの調節に利用することができる。また、鉛直位置決め部材86の鍔部89を、コンクリート打設の目印とすることができる。また、鉛直位置決め部材86を調整軸部材31は別部材とすることにより、両部材を別個に成形することができるので、成形型が簡易にされて、成形型が安価にされる。
【0065】
なお、上記実施例1〜7において、天端出し治具を構成する調整軸部材、鉛直位置決め部、鉄筋取付部材、鉄筋取付部については樹脂製であるが、これに代えて、金属製とすることも可能である。また、上記実施例1〜7において、調整軸部材の上端にビニールシート等によるキャップ等の覆いを被せてもよく、それにより、調整軸部材上端や調整ねじへのコンクリートの付着を一層確実に防止でき、調整ねじによる天端出しをより確実に行うことができる。また、上記実施例1〜6においても、実施例7のように鉛直位置決め部を調整軸部材とは別部材の鉛直位置決め部材とすることができる。さらに、上記実施例2,3,4,6,7においても、実施例1の変形例と同様に、横鉄筋に取り付けるために、鉄筋取付部材18や鉄筋取付部35,61を調整軸部材11,31,51に対して軸方向に直交するように取り付けることができる。
【0066】
また、上記実施例1,2,3,5,6,7においても、実施例4と同様に、調整ねじの代わりに調整具を用いることができる。また、上記各実施例、変形例において、調整軸部材の形状については円柱、角柱形状に限らず種々の形状とすることが可能である。その他、上記各実施例に示した天端出し治具については、一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変更して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の天端出し治具は、調整軸部材の一端を上に向けて鉛直状態にして配置され、他端側外壁に設けた鉄筋取付部にて型枠間に配設された鉄筋に着脱自在に固定され、また調整軸部材の下端側に設けた鉄筋挿嵌孔によって鉄筋上端側に挿嵌固定されることにより、コンクリートが調整軸部材の上端まで打設された後、コンクリートの硬化の前に、調整軸部材のねじ孔に螺合された調整ねじによりコンクリート基礎の最終的に高さが精密に調整することができるため、短時間にコンクリート打設作業を行うことが可能になるので、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施例1である天端出し治具を示す正面図である。
【図2】同天端出し治具を示す底面図である。
【図3A】天端出し治具の調整軸部材を示す正面図である。
【図3B】同調整軸部材を示す平面図である。
【図4A】天端出し治具の鉄筋取付部材を示す一部破断正面図である。
【図4B】同鉄筋取付部材を示す平面図である。
【図5】同天端出し治具の使用状態を説明する説明図である。
【図6】実施例1の変形例である天端出し治具を示す正面図である。
【図7】同天端出し治具を示す底面図である。
【図8A】同天端出し治具の鉄筋取付部材を示す一部破断正面図である。
【図8B】同鉄筋取付部材を示す一部破断平面図である。
【図9】実施例2である天端出し治具を示す正面図である。
【図10】同天端出し治具を示す平面図である。
【図11】実施例2の変形例である天端出し治具を示す正面図である。
【図12】同天端出し治具を示す底面図である。
【図13】実施例3である天端出し治具を示す正面図である。
【図14】同天端出し治具を示す平面図である。
【図15】実施例4である天端出し治具を示す一部破断正面図である。
【図16】同天端出し治具を示す底面図である。
【図17A】同天端出し治具の調整具を示す一部破断正面図である。
【図17B】同調整具を示す平面図である。
【図18】実施例4である天端出し治具の使用状態1を示す正面図である。
【図19】同天端出し治具の使用状態1を示す底面図である。
【図20】実施例4である天端出し治具の使用状態2を示す正面図である。
【図21】同天端出し治具の使用状態2を示す底面図である。
【図22】実施例4の変形例である天端出し治具を示す正面図である。
【図23】実施例5である天端出し治具を示す一部破断正面図である。
【図24】同天端出し治具を示す底面図である。
【図25】同天端出し治具の鉄筋への取付状態1を示す一部破断正面図である。
【図26】同天端出し治具の鉄筋への取付状態2を示す一部破断正面図である。
【図27】実施例5の変形例である天端出し治具を示す一部破断正面図である。
【図28】同天端出し治具を示す底面図である。
【図29】実施例6である天端出し治具を示す一部破断正面図である。
【図30】同天端出し治具を示す平面図である。
【図31】実施例7である天端出し治具を示す正面図である。
【図32A】同天端出し治具の鉛直位置決め部材を示す一部破断正面図である。
【図32B】同鉛直位置決め部材を示す平面図である。
【符号の説明】
【0069】
1,5,6…縦鉄筋、10,10A,30,30A,45,50,50A,70,70A,80,85…天端出し治具、11,31,51,71…調整軸部材、13,33,73…ねじ孔、14,34,74…調整ねじ、15,32,72…鉛直位置決め部、18,28…鉄筋取付部材、35,39,61…鉄筋取付部、46…着色マーク、52…線状突起、54…ねじ部、55…調整具、62…第1取付片、66…第2取付片、75,78…鉄筋挿嵌孔、79…スリット、81…コンクリート遮蔽部、86…鉛直位置決め部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物のコンクリート基礎の打設の際に、コンクリート基礎の上端である天端レベルの設定に用いられる天端出し治具に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅用等のコンクリート基礎の形成においては、所定の高さまで通常の流動性に乏しいコンクリートを打設し、その後、天端レベルまでセメント比率が高く流動性の高いレベラーを流し込むことにより、コンクリート表面の凹凸が是正された平坦な面に形成される。その場合、コンクリート高さとレベラーの高さが、天端出し治具とレーザ発光器を用いて決められている。従来、この種の天端出し治具としては、例えば特許文献1に示すように、長手棒状の補助具本体の上端部に開口するねじ穴に進退可能に調整ねじ体が螺合され、補助具本体の上部に、補助具本体に対して直角方向且つ水平に延びるコンクリートレベル出しのための上羽根部が固着され、補助具本体の下部に、補助具本体に対して直角方向且つ垂直に延びる回り止め防止のための下羽根部が固着されてなる天端出し補助装置が知られている。この天端出し補助装置は、コンクリート打設の後にコンクリート内に鉛直方向に差し込まれて補助具本体が上羽根部位置まで垂直に埋め込まれる。そして、コンクリートが硬化した後、さらに調整ねじ体を回して最終高さである天端レベルが調整され、レベラーを天端レベルまで流し込むことによりコンクリート基礎が形成される。
【特許文献1】特許第2649483号公報
【0003】
ところで、上記天端出し補助装置の場合、コンクリート内に差し込んだ後、調整ねじ体を回して天端レベルを調整する際に、補助装置に回転力が加わるため、コンクリートが十分に硬化していないと補助装置が動いて、その位置が不安定になる。そのため、調整ねじ体による天端レベル調整の際に、コンクリートが硬化している必要があるが、コンクリート硬化までに時間がかかり、特に気温の低い冬季等においては、硬化までの時間が非常に長くなる。その結果、天端レベル調整のための作業の効率が悪くなり、コンクリート基礎形成の作業性が悪くなるという問題がある。また、コンクリート基礎の硬化が進みすぎると、コンクリート基礎とレベラーの接着強度が低くなる傾向にあるため、場合によってはコンクリート基礎に接着剤を塗布する必要があり、そのための手間も大きくなる。
【0004】
これに対して、例えば特許文献2に示すように、天端レベルの目印となるレベル設定用棒材と、鉄筋を両側から挟みこんで固定する対となる挟持部及びレベル設定用棒材の上下位置を調整して保持可能な保持部を有する固定部材とを備え、挟持部は、それぞれの掛け止め位置を調整可能な調整部とを備えた天端レベル管理具が知られている。また、この天端レベル管理具には、レベル設定用棒材の上端から所定距離だけ下がった位置に、拡径部を設けている。この天端レベル管理具は、挟持部によって鉄筋の所望位置に調節して固定される。その後、レーザ発光器を用いて天端レベル管理具の上部の天端レベルを狙い、レベル設定用棒材の拡径部を回転させてレベル調整が行われる。コンクリートは、拡径部まで打設され、さらにコンクリートの凹凸を是正するためにその上に天端レベル管理具の上端までレベラーが流し込まれる。
【特許文献2】特開2005−48510
【0005】
ところで、上記天端レベル管理具の場合、取り付けた鉄筋が完全に固定されたものでないため、コンクリート打設時に上下左右に動く可能性があり、また、コンクリートの凹凸が大きくなったり、コンクリートに傾斜を生じたりすることもある。この場合は、天端レベル管理具により設定された天端レベルも変動するため、コンクリート打設後に最終的な天端レベルを再調整する必要がある。しかし、この天端レベル管理具は、天端レベルを再調整できないので、このような問題には対応することができない。また、天端レベル管理具は、挟持部の構造が複雑なため、狭い基礎型枠間において鉄筋への取り付けが容易でないと共に価格が高価になるという問題もある。また、レベラーは乾燥による収縮が大きいので、レベラー乾燥後に、レベラー表面が凹んで天端レベル管理具の頭部が突出するため、これを抑えて平坦面にする必要があるが、この天端レベル管理具ではコンクリート硬化後には天端レベルを再調整できないという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した問題を解決しようとするもので、コンクリート打設後の短期間内に、最終的な天端レベルの精密な調節を簡易に行うことが可能な天端出し治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の構成上の特徴は、棒状で一端側にて天端高さを調節する天端高さ調整手段を設けた調整軸部材と、調整軸部材の一端側に設けられた調整軸部材の鉛直方向位置を決める鉛直位置決め部と、調整軸部材の他端側外壁に調整軸部材の軸方向に平行に又は直交して設けられ、地面上に配設された鉄筋に取り付けられて調整軸部材を一端を上に向けて鉛直状態に配置させる鉄筋取付部とを備えたことにある。
【0008】
上記のように構成した発明においては、天端出し治具が調整軸部材の一端を上に向けて鉛直状態にして配置され、鉛直位置決め部を用いてコンクリート打設の上端位置に位置合わせしながら、他端側外壁に固定された鉄筋取付部にて型枠間に配設された鉄筋に簡単に固定される。その後、コンクリートが調整軸部材の鉛直位置決め部位置まで打設されるが、天端出し治具は鉄筋に固定されて動かないため、コンクリートが十分に硬化する前でも、調整軸部材に設けた天端高さ調整手段によりコンクリート基礎の最終的な天端レベルを精密に調整でき、天端レベルに合わせてレベラーを流し込むことができる。その結果、本発明においては、コンクリート打設後の鉄筋の上下左右への位置ズレや、コンクリート面の凹凸や傾斜による変動に対して、コンクリート打設後の短期間内に、天端高さ調整手段により最終的な天端レベルを迅速且つ適正に決めることができるため、コンクリート打設作業の作業性が高められる。さらに、本発明においては、コンクリート基礎の硬化前に天端高さの調整を行うことができるため、硬化前にレベラーを流し込むことができ、そのため、コンクリートとレベラーの接着強度が高められるため、コンクリート基礎に接着剤を塗布する必要がないので、コンクリート基礎の打設作業がさらに簡易にされる。また、本発明においては、レベラー乾燥後にレベラー表面に天端高さ調整手段の頭部が突出しても、天端高さ調整手段の調節により頭部を容易に下げることができるため、簡易にレベラー表面を平坦面にすることができる。
【0009】
また、本発明において、天端高さ調整手段を、調整軸部材の一端にて軸方向に延びて形成されたねじ孔と、ねじ孔に螺合されて軸方向に移動可能にされた調整ねじとにより構成されたものとすることができる。これにより、コンクリートが打設された後、調整軸部材のねじ孔に螺合された調整ねじによりコンクリート基礎の最終的な天端レベルを簡易かつ精密に調整できる。
【0010】
また、本発明において、天端高さ調整手段が、調整軸部材の一端側の円柱状の外周面に形成されたねじ部と、一端が封止された筒形で内周面にねじ溝が形成され、内周面のねじ溝にて調整軸部材のねじ部に螺合されて軸方向に移動可能にされたキャップ状の調整具とにより構成されたものとすることができる。これにより、コンクリートが打設された後、調整軸部材の一端側のねじ部に螺合された調整具によりコンクリート基礎の最終的な天端レベルを簡易かつ精密に調整できる。また、調整具を手で持ってまわすことによりドライバを用いずに簡易に天端レベルの調整を行うことができる。
【0011】
また、本発明において、調整軸部材の外側面に、周方向の複数個所にて外方に向けて突出して軸方向に延びた複数の線状突起を設けることができる。これにより、線状突起が調整軸部材に対して補強リブとして機能するため、調整軸部材の曲げ強度が高められ、打設される生コンクリートによって大きな荷重が加えられても、調整軸部材の曲がりを防止できる。
【0012】
また、本発明において、鉄筋取付部が、調整軸部材とは別部材であり、調整軸部材に取り付けられる第1取付部と、鉄筋に取り付けられる第2取付部とを一体で設けることができる。このように、鉄筋取付部が、調整軸部材とは別部材であることにより、成形型が簡易な形状にされるため、鉄筋取付部及び調整軸部材の成形が容易に行われると共に成形型が安価に提供される。また、鉄筋取付部が、第1取付部と第2取付部とにより構成されたことにより、鉄筋の径に対応した第2取付部の鉄筋取付部を用意して共通の調整軸部材と組み合わせることにより、径の異なる鉄筋に対して簡易且つ安価に対応することができる。また、鉄筋取付部を、第2取付部によって鉄筋に簡単に取り付けることができるため、狭い基礎型枠間での天端出し治具の鉄筋への取り付けが容易に行われる。
【0013】
また、本発明において、調整軸部材の他端側の外面と、第1取付部の内面に、互いに調整軸部材と第1取付部とを係止させる係止手段を設けることができる。これにより、鉄筋取付部の第1取付部に調整軸部材を挿入すると、調整軸部材の他端側の外面と第1取付部の内面が係止手段により強固に係止されるため、コンクリート打設の際に、鉄筋に固定された鉄筋取付部に対して調整軸部材が動くことなく安定して鉄筋に支持される。
【0014】
また、本発明において、係止手段が、調整軸部材の他端側の外面に設けた係合凹部又は係合凸部と、第1取付部の内面に設けて係合凹部又は係合凸部に係止される係止凸部又は係止凹部により構成されてもよい。これにより、調整軸部材の他端側の外面に設けた係合凹部又は凸部に、第1取付部の内面に設けた係止凸部又は係止凹部が互いに強固に係止されるため、調整軸部材が鉄筋に固定された鉄筋取付部に強固に固定されて安定して鉄筋に支持される。
【0015】
また、本発明において、鉄筋取付部が、調整軸部材と一体で形成されたものであってもよい。このように、鉄筋取付部と調整軸部材とが一体になった天端出し治具を、1回の成形で形成することができるため、成形の手間が軽減され、また鉄筋取付部を調整軸部材に取り付けるための手間もない。
【0016】
また、本発明において、鉄筋取付部が径の異なる複数個で構成され、調整軸部材の外壁に互いに周方向に隔てて配設されたものであってもよい。これにより、一種類の天端出し治具を用意することで、径の異なる鉄筋に対して対応した径の鉄筋取付部で固定することができるので、治具取り付け作業が簡易にされると共に天端出し治具管理の手間が省かれ、価格も相対的に安価にされる。
【0017】
また、本発明において、鉄筋取付部の鉄筋取付部分に、鉄筋に解除可能に係止される係止部を設けることができる。これにより、天端出し治具を鉄筋取付部にて鉄筋に取り付けたとき、鉄筋取付部分に設けた係止部により鉄筋の突起に緊密に係止されるため、コンクリート打設の際に、天端出し治具の移動が確実に防止される。
【0018】
また、本発明において、鉄筋取付部が、調整軸部材に一体で又は別体で取り付けられており、調整軸部材から両側に延びた所定の第1径に形成された半円筒形状であって、一方側に延びた部分の外周面には、先端側にて外方に突出して軸方向に延びた第1係合突起を設けると共に調整軸部材の近傍位置にて外方に突出して軸方向に延びた第2係合突起を設けた第1取付片と、第1取付片における他方側に延びた部分の先端にて曲げ変形可能に取り付けられた第1径より大きい所定の第2径に形成された半円筒形状であって、先端側に第1係合突起と第2係合突起に係止可能にされる係止突起を設けた第2取付片とを備えることができる。
【0019】
これにより、天端出し治具が調整軸部材の一端を上に向けて鉛直状態にして配置され、鉛直位置決め部を用いてコンクリート打設の上端位置に位置合わせしながら、鉄筋取付部を第1径よりわずかに太い鉄筋に取り付ける場合は、第1取付片をこの鉄筋の外周に嵌め合わせて、第2取付片の係止突起を第1取付片の第2係合突起に係止させることにより、鉄筋取付部は第2取付片によって締め付けることにより鉄筋に強固に固定される。また、鉄筋取付部を第1径より大きい第2径よりわずかに太い鉄筋に取り付ける場合は、第1取付片を広げて第2取付片と共にこの鉄筋の外周に嵌め合わせて、第2取付片の係止突起を第1取付片の第1係合突起に係止させることにより、鉄筋取付部は第2取付片によって締め付けることにより鉄筋に強固に固定される。その結果、本発明においては、単一の鉄筋取付部により太さの異なる2種類の鉄筋に固定することができるので、径の異なる鉄筋に対して簡易且つ安価に対応することができる。また、本発明によれば、鉄筋取付部を第2取付片で締め付けて鉄筋に固定するようになっているため、取り付けの強度が確保され、コンクリートの打設により調整軸部材に大きな荷重が加わっても、鉄筋取付部の鉄筋からのはずれを確実に防止できる。また、本発明においては、第2取付片の係止突起を第1取付片の第1係合突起あるいは第2係合突起に係止させることにより、鉄筋取付部を鉄筋に簡単に取り付けることができるため、狭い基礎型枠間での天端出し治具の鉄筋への取り付けが簡易に行われる。
【0020】
また、本発明において、鉛直位置決め部を、調整軸部材の長手方向に対して垂直に延びた板状とすることができる。これにより、板状の鉛直位置決め部に高さ調節用治具を立設させて、コンクリート打設高さや天端レベルの調節に利用することができる。また、鉛直位置決め部を、コンクリート打設の目印とすることができる。また、調整軸部材の上端から周壁面とコンクリートとの間を伝って流下する水分を鉛直位置決め部で止めることができるため、水分が調整軸部材下端から鉄筋取付部を伝って鉄筋へ付着することを妨げることにより、鉄筋の錆発生を防止できる。
【0021】
また、本発明において、鉛直位置決め部が、調整軸部材の外側面に着色された着色マークであってもよい。これにより、鉛直位置決め部をコンクリート打設高さや天端レベルの調節の目安として利用することができる。また、鉛直位置決め部を、コンクリート打設の目印とすることができる。
【0022】
また、本発明の他の特徴として、棒状で一端側にて天端高さを調節する天端高さ調整手段を設け、他端側が筒状であって内壁が軸方向内方に向けて縮径するように傾斜しており、径の異なる鉄筋が挿嵌可能な鉄筋挿嵌孔を有する調整軸部材と、調整軸部材の一端側に設けられた調整軸部材の鉛直方向位置を決める鉛直位置決め部とを備えたことにある。
【0023】
上記のように構成した他の特徴においては、天端出し治具が調整軸部材の一端を上に向けて鉛直状態にして配置され、調整軸部材他端側の鉄筋挿嵌孔にて型枠間に配設された鉛直方向に延びた鉄筋の上端から差し込まれ、鉄筋挿嵌孔の傾斜面によって鉄筋上端側に嵌め合わされて固定され、その状態で、鉛直位置決め部を用いてコンクリート打設の上端位置に位置合わせされる。その後、コンクリートが調整軸部材の鉛直位置決め部位置まで打設されるが、天端出し治具は鉄筋に固定されて動かないため、コンクリートが十分に硬化する前でも、直ちに調整軸部材に設けた天端高さ調整手段によりコンクリート基礎の最終的に高さである天端レベルを精密に調整でき、その高さに合わせてレベラーを流し込むことができる。その結果、他の特徴においては、コンクリート打設後の鉄筋の上下左右への位置ズレや、コンクリート面の凹凸や傾斜による変動に対して、コンクリート打設後の短期間内に、調整ねじにより最終的な天端レベルを迅速且つ適正に決めることができるため、コンクリート打設作業の作業性が高められる。
【0024】
さらに、調整軸部材は、他端側に筒状であって内壁が軸方向内方に向けて縮径するように傾斜した鉄筋挿嵌孔を設けているため、鉄筋の径の違いに対して鉄筋挿嵌孔の適した内径位置まで挿入して嵌め合わせることにより、径の異なる鉄筋に対して強固に取り付けることができる。その結果、他の特徴においては、一種類の天端出し治具を用意するのみで、径の異なる鉄筋に対して鉄筋挿嵌孔により強固に取り付けることができるので、治具取り付け作業が簡易にされると共に天端出し治具管理の手間が省かれ、価格も相対的に安価にされる。また、他の特徴においては、調整軸部材の他端側の鉄筋挿嵌孔にて鉄筋に差し込むことにより、調整軸部材を鉄筋に簡単に取り付けることができるため、狭い基礎型枠間での天端出し治具の鉄筋への取り付けが簡易に行われる。また、他の特徴においては、コンクリート基礎の硬化前に天端高さの調整を行うことができるため、硬化前にレベラーを流し込むことができ、そのため、コンクリートとレベラーの接着強度が高められるため、コンクリート基礎に接着剤を塗布する必要がないので、コンクリート基礎の打設作業がさらに簡易にされる。また、他の特徴においては、レベラー乾燥後にレベラー表面に天端高さ調整手段の頭部が突出しても、天端高さ調整手段の調節により頭部を容易に下げることができるため、簡易にレベラー表面を平坦面にすることができる。
【0025】
また、他の特徴において、天端高さ調整手段を、調整軸部材の一端にて軸方向に延びて形成されたねじ孔と、ねじ孔に螺合されて軸方向に移動可能にされた調整ねじとにより構成されたものとすることができる。これにより、コンクリートが打設された後、調整軸部材のねじ孔に螺合された調整ねじによりコンクリート基礎の最終的な天端レベルを簡易かつ精密に調整できる。
【0026】
また、他の特徴において、天端高さ調整手段が、調整軸部材の一端側の円柱状の外周面に形成されたねじ部と、一端が封止された筒形で内周面にねじ溝が形成され、内周面のねじ溝にて調整軸部材のねじ部に螺合されて軸方向に移動可能にされたキャップ状の調整具とにより構成されたものとすることができる。これにより、コンクリートが打設された後、調整軸部材の一端側のねじ部に螺合された調整具によりコンクリート基礎の最終的な天端レベルを簡易かつ精密に調整できる。また、調整具を手で持ってまわすことによりドライバを用いずに簡易に天端レベルの調整を行うことができる。
【0027】
また、他の特徴において、調整軸部材の外側面に、周方向の複数個所にて外方に向けて突出して軸方向に延びた複数の線状突起を設けることができる。これにより、線状突起が調整軸部材に対して補強リブとして機能するため、調整軸部材の曲げ強度が高められ、打設される生コンクリートによって大きな荷重が加えられても、調整軸部材の曲がりを防止できる。
【0028】
また、他の特徴において、調整軸部材の鉄筋挿嵌孔を設けた軸方向他端側が、周方向複数個所にて軸方向に伸びたスリットにより分離された複数の係合片にされてもよい。これにより、鉄筋の上端側に挿嵌された調整軸部材は、鉄筋への挿入時にはスリットで分離された係合片の弾性変形により径方向外方に押し広げられた状態になり、挿嵌後は係合片の弾性反力によって鉄筋に対して径方向内方に向けた強固な締付け力として作用する。そのため、調整軸部材は、コンクリート打設の際にも、動かないように鉄筋に一層強固に固定される。
【0029】
また、他の特徴において、鉛直位置決め部が、調整軸部材の長手方向に対して垂直に延びた板状であってもよい。これにより、板状の鉛直位置決め部に高さ調節用治具を立設させて、コンクリート打設高さや天端レベルの調節に利用することができる。また、鉛直位置決め部を、コンクリート打設の目印とすることができる。また、調整軸部材の上端から周壁面とコンクリートとの間を伝って流下する水分を鉛直位置決め部で止めることができるため、水分が調整軸部材下端から鉄筋取付部を伝って鉄筋へ付着することを妨げることにより、鉄筋の錆発生を防止できる。
【0030】
また、他の特徴において、鉛直位置決め部が、調整軸部材の外側面に着色された着色マークであってもよい。これにより、鉛直位置決め部をコンクリート打設高さや天端レベルの調節の目安として利用することができる。また、鉛直位置決め部を、コンクリート打設の目印とすることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明においては、天端出し治具が、調整軸部材と別体又は一体で設けた鉄筋取付部あるいは鉄筋挿嵌孔にて鉄筋に強固に固定されるため、コンクリートが調整軸部材の規定位置まで打設された後、コンクリートが十分に硬化する前でも、調整軸部材に設けた天端高さ調整手段によりコンクリート基礎の最終的に天端レベルを簡易かつ精密に調整することができる。その結果、本発明においては、コンクリート打設後の短期間内に最終的な天端レベルの精密な調節を容易に行うことができるため、コンクリート打設作業の作業性が高められ、作業コストを大幅に低減できる。また、本発明においては、調整軸部材を他端側にて鉄筋に簡単に取り付けることができるため、狭い基礎型枠間での天端出し治具の鉄筋への取り付けが簡易に行われる。さらに、本発明においては、コンクリート基礎の硬化前にレベラーを流し込むことができ、コンクリートとレベラーの接着強度が高められるため、コンクリート基礎に接着剤を塗布する必要がないので、コンクリート基礎の打設作業がさらに簡易にされる。また、本発明においては、レベラー乾燥後にレベラー表面に天端レベル管理具の頭部が突出しても、天端高さ調整手段により頭部を容易に下げることができるため、簡易にレベラー表面を平坦面にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の一実施の形態について図面を用いて説明する。図1及び図2は実施例1である天端出し治具を正面図及び底面図により示し、図3及び図4は調整軸部材及び鉄筋取付部材を正面図及び平面図により示し、図5は天端出し治具の使用状態を説明図により示したものである。天端出し治具10は、樹脂製の長尺の棒状で一端(図1の上端)にて軸方向に延びたねじ孔13を有する調整軸部材11と、ねじ孔13に螺合される調整ねじ14と、調整軸部材11の一端側に一体で設けられた調整軸部材11の鉛直方向位置を決める鉛直位置決め部15と、調整軸部材11の他端側(図1の下端側)外壁に固定されて鉄筋1に着脱自在に取り付けられる調整軸部材11とは別部材の鉄筋取付部である樹脂製の鉄筋取付部材18とを備えている。
【0033】
調整軸部材11は、図3A,3Bに示すように、ストレートな丸棒部11aと、その他端(図1の下端)から軸方向に延びた軸直角断面が正方形の四角柱形状の角柱部12を有している。角柱部12は、丸棒部11aに対して同軸状に配置され、丸棒部11aの長さの1/5程度の長さであり、且つ一辺長さが丸棒部11aの外径寸法と同一になっている。ねじ孔13は、丸棒部11a内においてその軸方向一端から所定寸法延びて設けられている。丸棒部11aの軸方向一端近傍位置には、厚さの薄い円板状の鉛直位置決め部15が外周面から軸直角方向に延びて同軸状に設けられている。鉛直位置決め部15は、この上に天端レベル出し用の棒材を立設して、レーザ発光器により高さを調節してコンクリート打設位置や天端レベルを決めるものである。角柱部12は、軸方向他端近傍位置にて全周縁にわたって延びた溝である係合凹部16を設けている。
【0034】
鉄筋取付部材18は、図4A、4Bに示すように、調整軸部材11に着脱可能に取り付けられる円筒状の第1取付部19と、鉄筋に着脱可能に取り付けられる略円筒状の第2取付部23とが軸方向を揃えてかつ隣接して一体で形成されている。第1取付部19は、上記角柱部12と略同一形状、同一長さの四角柱の挿嵌孔21を同軸で設けている。第1取付部19は、軸方向他端近傍の上記係合凹部16に対応する位置にて挿嵌孔21の壁面から突出した係止凸部22を設けている。第2取付部23は、薄肉円筒形状で第1取付部19の径方向反対側の箇所にて中心角略60°の範囲で軸方向両端間が切り欠かれた挿入口24になっており、挿入口24の周方向両側縁が外方に向け広げられてわずかに突出したガイド部25になっており、軸方向から見て略C字状になっている。また、第2取付部23は、内周面の内径が装着される鉄筋の内径よりわずかに小さくなっており、鉄筋を締め付けた状態で鉄筋に固定されるようになっている。さらに、第2取付部23は、軸方向他端(図4Aの下端)近傍位置にて、内周面からわずかに突出したリング状の係止部26を設けており、鉄筋に装着されたときに鉄筋の突起に係止されて、軸方向に移動しないように確実に鉄筋に固定されるようになっている。なお、必要に応じて係止部26を省くこともできる。
【0035】
第1取付部19の挿嵌孔21に調整軸部材11を角柱部12側から挿入することにより、角柱部12軸方向他端近傍位置に設けた係合凹部16に挿嵌孔21の壁面から突出した係止凸部22が係止することにより、互いに強固に取り付けられて天端出し治具10が形成される。鉄筋取付部材18は、第2取付部23により型枠間に立設された鉄筋に嵌め合わせることにより、第2取付部23のリング状の係止部26が、鉄筋の突起に係止され、軸方向に移動しないように確実に鉄筋に固定されるようになっている。
【0036】
次に、実施例1の動作について図5により説明する。まず、天端出し治具10は、調整軸部材11の一端を上に向けて鉛直状態にして配置され、鉛直位置決め部15をコンクリート打設の上端位置L1に位置合わせされた状態にされる。下端側外壁に固定された鉄筋取付部材18の第2取付部23を一対の型枠(図示しない)間に配設された縦鉄筋1に押し付けることにより、ガイド部25を通して挿入口24が縦鉄筋1によって押し広げられて、縦鉄筋1に嵌め合わされて強固に固定される。さらに、第2取付部23のリング状の係止部26が縦鉄筋1の突起に係止されて、鉄筋取付部材18が軸方向に移動しないように確実に縦鉄筋1に固定される。
【0037】
その後、コンクリートが調整軸部材11の鉛直位置決め部15位置L1まで打設されるが、天端出し治具10は鉄筋1に固定されて動かないため、コンクリート2が十分に硬化する前でも、直ちに調整軸部材11のねじ孔13に螺合された調整ねじ14によりコンクリート基礎の最終的に高さL2を精密に調整できる。そのため、コンクリート打設後の縦鉄筋1の上下左右への位置ズレや、コンクリート面の凹凸や傾斜による変動に対して、調整ねじ14により最終的な天端レベルを迅速且つ適正に決めることができる。その後、最終的な高さL2に合わせてレベラー3を流し込むことにより、規定の高さのコンクリート基礎が形成される。
【0038】
その結果、本実施例1においては、コンクリート打設後の縦鉄筋1の上下左右への位置ズレや、コンクリート面の凹凸や傾斜による変動に対して、コンクリート打設後の短期間内に最終的な天端レベルの精密な調節を容易に行うことができるため、コンクリート打設作業の作業性が高められ、作業コストが大幅に低減する。また、天端出し治具10は、樹脂製の調整軸部材11と鉄筋取付部材18からなる簡易な構成であり、安価に提供されると共に、縦鉄筋1への取り付けも容易なのでコンクリート打設作業の手間が軽減される。また、実施例1においては、鉄筋取付部材18を、第2取付部23によって縦鉄筋1に簡単に取り付けることができるため、狭い基礎型枠間での天端出し治具10の縦鉄筋1への取り付けが容易に行われる。さらに、調整軸部材11と鉄筋取付部材18が別部材であることにより、成形型が簡易な形状にされ、調整軸部材11と鉄筋取付部材18の成形が容易に行われると共に成形型が安価に提供される。
【0039】
また、鉄筋取付部材18が、第1取付部19と第2取付部23とによって構成されたことにより、鉄筋の径に対応した第2取付部23の鉄筋取付部材を用意して共通の調整軸部材と組み合わせることにより、径の異なる鉄筋に対して簡易且つ安価に対応することができる。また、調整軸部材11の一端側に鉛直位置決め部15を設けたことにより、調整軸部材11の上端から周壁面とコンクリートとの間を伝って流下する水分を鉛直位置決め部15で止めることができるため、水分が調整軸部材11下端から鉄筋取付部材18を伝って縦鉄筋1へ付着することを妨げることにより、縦鉄筋1での錆発生を防止できる。さらに、実施例1においては、コンクリート基礎の硬化前に調整ねじ14により天端高さの調整を行うことができるため、硬化前にレベラーを流し込むことができ、そのため、コンクリートとレベラーの接着強度が高められるため、コンクリート基礎に接着剤を塗布する必要がないので、コンクリート基礎の打設作業がさらに簡易にされる。また、実施例1においては、レベラー乾燥後にレベラー表面に調整ねじ14の頭部が突出しても、調整ねじ14を回すことにより頭部を容易に下げることができるため、簡易にレベラー表面を平坦面にすることができる。
【0040】
つぎに、上記実施例1の変形例について説明する。
変形例においては、天端出し治具10Aは、実施例1の天端出し治具10において鉄筋取付部材18の第1取付部19と第2取付部23が互いに軸方向を揃えて一体にされているのに対して、図6,7に示すように、鉄筋取付部材28の第1取付部19と第2取付部23が互いに軸方向が直交するように取り付けられたものであり、調整軸部材11については、実施例1と同様である。鉄筋取付部材28は、図8A,8Bに示すように、上記第1取付部19と第2取付部23が互いに軸方向が直交するように一体で形成されたものであり、その他については上記鉄筋取付部材18と同様である。これにより、天端出し治具10Aは、調整軸部材11を鉛直方向に向けた状態で第2取付部23にて、水平に配置された横鉄筋(図示しない)に対して取り付けられるものである。その結果、変形例においては、横鉄筋に対して実施例1と同様の効果が得られる。
【0041】
次に、実施例2について図面を用いて説明する。
図9及び図10は、実施例2である天端出し治具を正面図及び平面図により示したものである。天端出し治具30は、樹脂製のストレートな長尺の丸棒で一端(図9に示す上端)にて軸方向に所定寸法延びたねじ孔33を有する調整軸部材31と、ねじ孔33に螺合される調整ねじ34と、調整軸部材31の他端側外壁に一体で形成されて鉄筋に着脱自在に取り付けられる鉄筋取付部35とを備えている。
【0042】
調整軸部材31は、軸方向一端近傍位置に、厚さの薄い円板状の鉛直位置決め部32が外周面から軸直角方向に延びて設けられている。鉛直位置決め部32は、この上に天端レベル出し用の棒材を立設して、レーザ発光器により高さを調節してコンクリート打設位置や天端レベルを決めるものである。鉄筋取付部35は、薄肉円筒形状で調整軸部材31の径方向反対位置にて中心角略60°で軸方向両端間に延びた切り欠かれた挿入口36になっており、挿入口36の周方向両側縁が外方に向けて広げられてわずかに突出したガイド部37になっており、軸方向から見て略C字状になっている。鉄筋取付部35は、内周面の内径が装着される鉄筋の内径よりわずかに小さくなっており、鉄筋を締め付けた状態で鉄筋に固定されるようになっている。さらに、鉄筋取付部35は、軸方向他端(図9に示す下端)近傍位置にて、内周面からわずかに突出したリング状の係止部38を設けており、鉄筋に装着されたときに係止部38が鉄筋の突起に係止されることにより、軸方向に移動しないように確実に鉄筋に固定されるようになっている。なお、必要に応じて係止部38を省くこともできる。
【0043】
次に、実施例2の動作について説明する。まず、天端出し治具30は、調整軸部材31の一端を上に向けて鉛直状態にして配置され、鉛直位置決め部32をコンクリート打設の上端位置L1に位置合わせした状態にされる。下端側外壁に固定された鉄筋取付部35を型枠間に配設された縦鉄筋1に押し付けることにより、ガイド部37を通して挿入口36が縦鉄筋1によって押し広げられて、縦鉄筋1に嵌め合わされて固定される。さらに、鉄筋取付部35のリング状の係止部38が縦鉄筋外周の突起に係止されて、鉄筋取付部35が軸方向に移動しないように確実に縦鉄筋に固定される。その後、コンクリートが調整軸部材31の上端L1まで打設されるが、その時点で、調整軸部材31のねじ孔33に螺合された調整ねじ34によりコンクリート基礎の最終的に高さL2が精密に調整され、その高さL2に合わせてレベラーが流し込まれる。
【0044】
その結果、本実施例2においては、コンクリート打設後の鉄筋の上下左右への位置ズレや、コンクリート面の凹凸や傾斜による変動に対して、コンクリート打設後の短期間内に最終的な天端レベルの精密な調節を容易に行うことができるため、コンクリート打設作業の作業性が高められ、作業コストが大幅に低減する。また、天端出し治具30は、樹脂製の簡易な構成で安価に提供されると共に、鉄筋への取り付けも容易なのでコンクリート打設作業の手間が軽減される。さらに、天端出し治具30は、調整軸部材31と鉛直位置決め部32と鉄筋取付部35が一体で成形されるので、成形の手間が省けるため、安価に提供される。
【0045】
つぎに、上記実施例2の変形例について説明する。
変形例の天端出し治具30Aは、図11、図12に示すように、実施例2の天端出し治具30において、調整軸部材31の下端側に、鉄筋取付部35に加えて鉄筋取付部35の径方向対向位置に径の異なる鉄筋取付部39を配設している。鉄筋取付部39は、上記鉄筋取付部35と同様の構造であり、樹脂製の薄肉円筒形状で周方向一箇所にて中心角略60°で軸方向両端間に延びた切り欠かれた挿入口41になっており、挿入口41の周方向両側縁が外方に向けて広げられてわずかに突出したガイド部42になっており、軸方向から見て略C字状になっている。さらに、鉄筋取付部39は、軸方向一端近傍位置にて、内周面からわずかに突出したリング状の係止部43を設けており、鉄筋に装着されたときに鉄筋の突起に係止されて、軸方向に移動しないように確実に鉄筋に固定されるようになっている。鉄筋取付部35,39は、例えば外径が10mmφ、13mmφの鉄筋に対応している。なお、挿入口41の径を変えることにより、外径が16mmφ、19mmφ、22mmφ等の鉄筋に対応させることもできる。その他の構成については、実施例2と同様であり、同一箇所については同一符号を用いる。
【0046】
上記変形例においては、一種類の天端出し治具30Aを用意することにより、径の異なる鉄筋に対して対応して、いずれかの鉄筋取付部35,39を用いて固定することができるため、天端出し治具30Aの取り付け作業が簡易になる。また、鉄筋の径に応じた多種類の天端出し治具を用意する必要がないので、天端出し治具の管理の手間が省かれ、治具の価格も相対的に安価にされる。また、天端出し治具30Aについても、天端出し治具30と同様、調整軸部材31と鉛直位置決め部32と鉄筋取付部35、39が一体で成形されるので、成形の手間が省けるため、安価に提供される。なお、変形例においては、鉄筋取付部の数を2個に限らず3個以上にすることもできる。また、鉄筋取付部の取り付け位置についても、軸方向に揃える必要はない。なお、上記実施例2及び変形例においても、実施例1と同様に、横鉄筋に取り付けるために、鉄筋取付部35,39を調整軸部材31に対して軸方向に直交するように取り付けることができる。
【0047】
つぎに、実施例3について図面を用いて説明する。
実施例3においては、図13,図14に示すように、天端出し治具45は、実施例1の天端出し治具10において円板状の鉛直位置決め部15を省いて、鉛直位置決め部に相当するものとして調整軸部材11の外周面に赤色等の目立つ色で着色マーク46を描いたものである。その他の構成については、実施例1と同様であり、同一箇所については同一符号を用いる。
【0048】
実施例3の天端出し治具45は、コンクリート打設高さを決める際に、着色マーク46に合わせて天端レベル出し用の棒材を立設させて、レーザ発光器により高さを調節して、コンクリート打設位置や天端レベルを決めることができる。これにより、着色マーク46をコンクリート打設位置や天端レベルを決めるための目安とすることができ、また、コンクリート打設の際に着色マーク46を目印とすることができる。
【0049】
つぎに、実施例4について図面を用いて説明する。
図15及び図16は、実施例4である天端出し治具を一部破断正面図及び底面図により示したものである。天端出し治具50は、樹脂製のストレートな長尺の棒状で一端側(図15に示す上端側)にて天端高さを調節する天端高さ調整手段を設けた調整軸部材51と、調整軸部材51の他端側外壁に一体で形成されて鉄筋に取り付けられる樹脂製の鉄筋取付部61とを備えている。
【0050】
調整軸部材51は、略円柱状の外周面の周方向の等間隔を隔てた4箇所にて外方にわずかに突出すると共に軸方向に延びた線状突起52を設けている。また、調整軸部材51は、軸方向一端近傍位置に、実施例1で説明したと同様の厚さの薄い円板状の鉛直位置決め部53が外周面から軸直角方向に延びて設けられている。調整軸部材51の鉛直位置決め部53から上側の部分は、円筒形で外周面に同軸状にねじ溝を設けたねじ部54になっている。ねじ部54には、キャップ状の調整具55が取り付けられている。調整具55は、図17A,17Bに示すように、円筒形で一端が厚板部56で封止され他端が開放されたキャップ状になっており、円筒部57の内径が上記ねじ部54の外径に合わされており、内周面57aにねじ溝が形成されている。厚板部56の上面には十字形の調整孔56aが設けられている。調整具55は、円筒部57内周面57aをねじ部54に螺合させ、手で回すことによりあるいは調整孔56aにドライバを差し込んで回すことにより、軸方向高さが調節されるようになっている。すなわち、調整具55とねじ部54により天端高さ調整手段が構成されている。
【0051】
鉄筋取付部61は、薄肉で調整軸部材51から両側に延びて同軸状に形成された半円筒形状の第1取付片62と、第1取付片62における他方側(図15の後側)に延びた部分62bの先端にて曲げ変形可能に一体で取り付けられた半円筒形の第2取付片66とにより構成されている。第1取付片62は、円筒形の略1/4周部分が除かれた半円筒形になっており、外径が10mmφの太さの鉄筋5に合わせて内径が第1径である10mmφよりわずかに細くなるように形成されており、一方側(図15の前側)に延びた部分62aの外周面には、先端側にて外方に突出して軸方向に延びた第1係合突起63を設けると共に調整軸部材51の近傍位置にて外方に突出して軸方向に延びた第2係合突起64を設けている。第1取付片62の他方側に延びた部分62bの先端には、薄肉連結部65を介して半円筒形の第2取付片66が曲げ変形可能に取り付けられている。第2取付片66は、円筒形の略1/2周部分が除かれた半円筒形になっており、外径が13mmφの太さの鉄筋に合わせて内径が上記第1径より大きい第2径である13mmφよりわずかに小さくなるように形成されており、先端の内周部分にて内方にわずかに突出して軸方向に延びた係止突起67を設けている。
【0052】
実施例4においては、天端出し治具50が調整軸部材51の一端を上に向けて鉛直状態にして配置され、鉛直位置決め部53を用いてコンクリート打設の上端位置に位置合わせした状態で、鉄筋取付部61を外径が10mmφの太さの鉄筋5に取り付ける場合は、図18,19に示すように、第1取付片62を鉄筋5の外周に嵌め合わせて、第2取付片66の係止突起67を第1取付片62の第2係合突起64に係止させることにより、鉄筋取付部61は第2取付片66で締め付けた状態で鉄筋5に強固に固定される。また、鉄筋取付部61を第1径より太い外径が13mmφの太さの鉄筋6に取り付ける場合は、図20,21に示すように、第1取付片62を広げて第2取付片66と共に鉄筋6の外周に嵌め合わせて、第2取付片66の係止突起67を第1取付片62の第1係合突起63に係止させることにより、鉄筋取付部61は第2取付片66で締め付けた状態で外径が13mmφの太さの鉄筋6に強固に固定される。また、実施例4においては、第2取付片66の係止突起67を第1取付片62の第1係合突起63あるいは第2係合突起64に係止させることにより、鉄筋取付部61を鉄筋に簡単に取り付けることができるため、狭い基礎型枠間での天端出し治具50の鉄筋への取り付けが簡易に行われる。
【0053】
その結果、実施例4においては、単一の鉄筋取付部61により太さの異なる2種類の鉄筋に固定することができるので、径の異なる鉄筋に対して簡易且つ安価に対応することができる。また、実施例4によれば、鉄筋取付部61を鉄筋5,6に第2取付片66で締め付けて固定するようになっているため、取り付けの強度が確保され、コンクリートの打設により調整軸部材51が大きな荷重を受けても、鉄筋取付部61の鉄筋からのはずれを確実に防止できる。
【0054】
また、実施例4において、コンクリートが打設された後、調整軸部材51の一端側の円柱状の外周面に形成されたねじ部54に、調整具55を内周面57aにて螺合させて軸方向に移動させることにより、コンクリート基礎の最終的な天端レベルを簡易かつ精密に調整できる。また、調整具55を手で持ってまわすことによりドライバを用いずに簡易に天端レベルの調整を行うことができる。
【0055】
つぎに、上記実施例4の変形例について説明する。
変形例においては、天端出し治具50Aは、図22に示すように、天端高さ調整手段として調整具55とねじ部54により構成する代わりに、上記実施例1,2と同様に、調整軸部材51の一端にねじ孔13を設け、このねじ孔13に調整ねじ14を螺着させたものである。これによっても、天端レベルの調整が容易に行われ、また、鉄筋取付部61の効果が得られる。
【0056】
次に、実施例5について図面を用いて説明する。
図23及び図24は、実施例5である天端出し治具70を正面図及び底面図により示したものである。天端出し治具70は、樹脂製のストレートな長尺の丸棒で一端(図23に示す上端)にて軸方向に所定寸法延びたねじ孔73を有する調整軸部材71と、ねじ孔73に螺合される調整ねじ74と、調整軸部材71の他端側(図23に示す下端側)に設けられて鉄筋に着脱自在に挿嵌されて取り付けられる鉄筋挿嵌孔75とを備えている。また、調整軸部材71は、軸方向一端近傍位置に、厚さの薄い円板状の鉛直位置決め部72が外周面から軸直角方向に延びて設けられており、この上に天端レベル出し用の棒材を立設して、レーザ発光器により高さを調節してコンクリート打設位置や天端レベルを決めるものである。鉄筋挿嵌孔75は、下端から軸方向に中間の所定寸法延びており、下端位置75aでの外径が孔内端位置75bでの内径より大きくなっている。例えば外径が10mmφ、13mmφの縦鉄筋を対象とする場合、下端位置75aでの外径は14mmφ、内端位置75bでの外径は9mmφになっている。
【0057】
次に、実施例5の動作について説明する。図25に示すように、天端出し治具70が調整軸部材71の一端を上に向けて鉛直状態にして配置され、調整軸部材71他端側の鉄筋挿嵌孔75にて型枠間に配設された鉛直方向に延びた外径10mmφの縦鉄筋5の上端から差し込まれ、鉄筋挿嵌孔75の傾斜面によって鉄筋5の上端近傍側に嵌め合わされて固定される。この取付状態1で、鉛直位置決め部72がコンクリート打設の上端位置に位置合わせされる。その後、コンクリートが調整軸部材71の鉛直位置決め部72位置まで打設されるが、天端出し治具70は縦鉄筋5に固定されて動かないため、コンクリートが十分に硬化する前でも、調整軸部材71のねじ孔73に螺合された調整ねじ74によりコンクリート基礎の最終的に高さである天端レベルを精密に調整でき、その高さに合わせてレベラーを流し込むことができる。その結果、実施例5においては、コンクリート打設後の鉄筋の上下左右への位置ズレや、コンクリート面の凹凸や傾斜による変動に対して、コンクリート打設後の短期間内に、調整ねじにより最終的な天端レベルを迅速且つ適正に決めることができるため、コンクリート打設作業の作業性が高められる。
【0058】
また、調整軸部材71は、他端側に鉄筋挿嵌孔75を設けているため、鉄筋の径の違いに対して鉄筋挿嵌孔の適した内径位置まで挿入して嵌め合わせることにより、径の異なる鉄筋に対して強固に取り付けることができる。例えば、外径が13mmφの縦鉄筋6を対象とする場合は、図26に示すように、鉄筋6の上端が、調整軸部材71の鉄筋挿嵌孔75の軸方向略中間位置で係止され強固に取り付けられる(取付状態2)。その結果、実施例5においては、一種類の天端出し治具70を用意するのみで、径の異なる鉄筋に対して鉄筋挿嵌孔75により強固に取り付けることができるので、取り付け作業が簡易にされると共に天端出し治具管理の手間が省かれ、価格も相対的に安価にされる。
【0059】
また、実施例5においては、調整軸部材71の他端側の鉄筋挿嵌孔75にて鉄筋に差し込むことにより、調整軸部材71を鉄筋に簡単に取り付けることができるため、狭い基礎型枠間での天端出し治具70の鉄筋への取り付けが簡易に行われる。さらに、実施例5においては、コンクリート基礎の硬化前に調整ねじ74により天端高さの調整を行うことができるため、硬化前にレベラーを流し込むことができ、そのため、コンクリートとレベラーの接着強度が高められるため、コンクリート基礎に接着剤を塗布する必要がないので、コンクリート基礎の打設作業がさらに簡易にされる。また、実施例5においては、レベラー乾燥後にレベラー表面に調整ねじ74の頭部が突出しても、調整ねじ74を回すことにより頭部を容易に下げることができるため、簡易にレベラー表面を平坦面にすることができる
【0060】
つぎに、上記実施例5の変形例について説明する。
変形例においては、天端出し治具70Aは、図27,図28に示すように、実施例5の天端出し治具70において調整軸部材71の下端側の鉄筋挿嵌孔78を設けた下側部について、周方向の等間隔な4箇所にて軸方向に延びたスリット79を設けて、下側部を4つの係合片77に分離して配設したものである。これにより、変形例においては、天端出し治具70Aを下端側にて鉄筋5,6の上端側から挿嵌する際に、スリット79で分離された係合片77の弾性変形により径方向外方に押し広げられた状態になるため、天端出し治具70Aの鉄筋5,6への挿嵌がスムーズに行われる。また、天端出し治具70Aの鉄筋5,6への挿嵌後は、係合片77の弾性反力によって鉄筋5,6に対して径方向内方に向けた強固な締付け力として作用する。そのため、調整軸部材71は、調整ねじ74による高さ調節の際やコンクリート打設の際にも、動かないように鉄筋5,6に強固に固定される。
【0061】
つぎに、実施例6について図面を用いて説明する。
実施例6においては、図29,図30に示すように、天端出し治具80は、実施例1の天端出し治具10において、調整軸部材11の上端近傍位置に一端を囲んで一体で設けられた樹脂製の薄肉円筒形で上端が開口する小容器状の鉛直位置決め部であるコンクリート遮蔽部81を設けたものである。その他の構成については、実施例1と同様であり、同一箇所については同一符号を用いる。コンクリート遮蔽部81は、調整軸部材11の上端近傍位置にて外周から径方向に伸びた底板部82と、底板部82から軸方向上端に延びた周壁部83とを一体で有しており、樹脂成形により調整軸部材11と一体で形成される。なお、実施例6では、コンクリート遮蔽部81は調整軸部材11と一体で成形されているが、調整軸部材11とは別部材とすることも可能である。
【0062】
実施例6においては、天端出し治具80は、コンクリート打設の際に、調整軸部材11の上端側をコンクリート遮蔽部81が囲んでいることにより、調整軸部材11の上端及び調整ねじ14へのコンクリートの付着を防止できる。そのため、実施例6によれば、コンクリート打設後の調整ねじ14よる天端レベル調整を、コンクリートの付着によって妨げられることなく確実に行うことができる。また、コンクリート遮蔽部81は、底板部82を利用することにより鉛直位置決め部15と同様に、その上に天端レベル出し用の棒材を立設して、レーザ発光器により高さを調節してコンクリート打設位置や天端レベルを決めることができる。
【0063】
次に、本発明の実施例7について図面を用いて説明する。
実施例7の天端出し治具85は、図31に示すように、実施例2の天端出し治具30において、鉛直位置決め部を調整軸部材31とは別部材の鉛直位置決め部材86としたものである。鉛直位置決め部材86は、図32A,32Bに示すように、樹脂製の薄肉の筒状部材であり、円筒部87と、円筒部87の軸方向一端(図32Aの上端)開口を塞いだ平板部88と、円筒部87の軸方向他端(図32Aの下端)にて径方向外方に延びた円環形の鍔部89とを設けてなり、平板部88の中央に円形の開口部91を有している。円筒部87は、軸方向長さが外径とほぼ同等であり、内径が調整軸部材31の上端側の外径とわずかに小さくされている。鍔部89の外径は、天端出し治具30の鉛直位置決め部32の外径と同一である。鉛直位置決め部材86は、図31に示すように、鍔部89側から鉛直位置決め部を有しない調整軸部材31の一端側外周に圧入によって挿嵌することにより固定されて、天端出し治具85に形成される。
【0064】
実施例7においては、鉛直位置決め部材86が、調整軸部材31とは別部材であり、鉛直位置決め部材86が調整軸部材31の軸方向一端に圧入により挿嵌されているものであるが、実施例1〜6と同様に、鉛直位置決め部材86の鍔部89に高さ調節用治具を立設させて、コンクリート打設高さや天端レベルの調節に利用することができる。また、鉛直位置決め部材86の鍔部89を、コンクリート打設の目印とすることができる。また、鉛直位置決め部材86を調整軸部材31は別部材とすることにより、両部材を別個に成形することができるので、成形型が簡易にされて、成形型が安価にされる。
【0065】
なお、上記実施例1〜7において、天端出し治具を構成する調整軸部材、鉛直位置決め部、鉄筋取付部材、鉄筋取付部については樹脂製であるが、これに代えて、金属製とすることも可能である。また、上記実施例1〜7において、調整軸部材の上端にビニールシート等によるキャップ等の覆いを被せてもよく、それにより、調整軸部材上端や調整ねじへのコンクリートの付着を一層確実に防止でき、調整ねじによる天端出しをより確実に行うことができる。また、上記実施例1〜6においても、実施例7のように鉛直位置決め部を調整軸部材とは別部材の鉛直位置決め部材とすることができる。さらに、上記実施例2,3,4,6,7においても、実施例1の変形例と同様に、横鉄筋に取り付けるために、鉄筋取付部材18や鉄筋取付部35,61を調整軸部材11,31,51に対して軸方向に直交するように取り付けることができる。
【0066】
また、上記実施例1,2,3,5,6,7においても、実施例4と同様に、調整ねじの代わりに調整具を用いることができる。また、上記各実施例、変形例において、調整軸部材の形状については円柱、角柱形状に限らず種々の形状とすることが可能である。その他、上記各実施例に示した天端出し治具については、一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変更して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の天端出し治具は、調整軸部材の一端を上に向けて鉛直状態にして配置され、他端側外壁に設けた鉄筋取付部にて型枠間に配設された鉄筋に着脱自在に固定され、また調整軸部材の下端側に設けた鉄筋挿嵌孔によって鉄筋上端側に挿嵌固定されることにより、コンクリートが調整軸部材の上端まで打設された後、コンクリートの硬化の前に、調整軸部材のねじ孔に螺合された調整ねじによりコンクリート基礎の最終的に高さが精密に調整することができるため、短時間にコンクリート打設作業を行うことが可能になるので、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施例1である天端出し治具を示す正面図である。
【図2】同天端出し治具を示す底面図である。
【図3A】天端出し治具の調整軸部材を示す正面図である。
【図3B】同調整軸部材を示す平面図である。
【図4A】天端出し治具の鉄筋取付部材を示す一部破断正面図である。
【図4B】同鉄筋取付部材を示す平面図である。
【図5】同天端出し治具の使用状態を説明する説明図である。
【図6】実施例1の変形例である天端出し治具を示す正面図である。
【図7】同天端出し治具を示す底面図である。
【図8A】同天端出し治具の鉄筋取付部材を示す一部破断正面図である。
【図8B】同鉄筋取付部材を示す一部破断平面図である。
【図9】実施例2である天端出し治具を示す正面図である。
【図10】同天端出し治具を示す平面図である。
【図11】実施例2の変形例である天端出し治具を示す正面図である。
【図12】同天端出し治具を示す底面図である。
【図13】実施例3である天端出し治具を示す正面図である。
【図14】同天端出し治具を示す平面図である。
【図15】実施例4である天端出し治具を示す一部破断正面図である。
【図16】同天端出し治具を示す底面図である。
【図17A】同天端出し治具の調整具を示す一部破断正面図である。
【図17B】同調整具を示す平面図である。
【図18】実施例4である天端出し治具の使用状態1を示す正面図である。
【図19】同天端出し治具の使用状態1を示す底面図である。
【図20】実施例4である天端出し治具の使用状態2を示す正面図である。
【図21】同天端出し治具の使用状態2を示す底面図である。
【図22】実施例4の変形例である天端出し治具を示す正面図である。
【図23】実施例5である天端出し治具を示す一部破断正面図である。
【図24】同天端出し治具を示す底面図である。
【図25】同天端出し治具の鉄筋への取付状態1を示す一部破断正面図である。
【図26】同天端出し治具の鉄筋への取付状態2を示す一部破断正面図である。
【図27】実施例5の変形例である天端出し治具を示す一部破断正面図である。
【図28】同天端出し治具を示す底面図である。
【図29】実施例6である天端出し治具を示す一部破断正面図である。
【図30】同天端出し治具を示す平面図である。
【図31】実施例7である天端出し治具を示す正面図である。
【図32A】同天端出し治具の鉛直位置決め部材を示す一部破断正面図である。
【図32B】同鉛直位置決め部材を示す平面図である。
【符号の説明】
【0069】
1,5,6…縦鉄筋、10,10A,30,30A,45,50,50A,70,70A,80,85…天端出し治具、11,31,51,71…調整軸部材、13,33,73…ねじ孔、14,34,74…調整ねじ、15,32,72…鉛直位置決め部、18,28…鉄筋取付部材、35,39,61…鉄筋取付部、46…着色マーク、52…線状突起、54…ねじ部、55…調整具、62…第1取付片、66…第2取付片、75,78…鉄筋挿嵌孔、79…スリット、81…コンクリート遮蔽部、86…鉛直位置決め部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状で一端側にて天端高さを調節する天端高さ調整手段を設けた調整軸部材と、該調整軸部材の一端側に設けられた該調整軸部材の鉛直方向位置を決める鉛直位置決め部と、前記調整軸部材の他端側外壁に該調整軸部材の軸方向に平行に又は直交して設けられ、地面上に配設された鉄筋に取り付けられて該調整軸部材を一端を上に向けて鉛直状態に配置させる鉄筋取付部とを備えたことを特徴とする天端出し治具。
【請求項2】
前記天端高さ調整手段が、前記調整軸部材の一端にて軸方向に延びて形成されたねじ孔と、該ねじ孔に螺合されて軸方向に移動可能にされた調整ねじとにより構成されたことを特徴とする前記請求項1に記載の天端出し治具。
【請求項3】
前記天端高さ調整手段が、前記調整軸部材の一端側の円柱状の外周面に形成されたねじ部と、一端が封止された筒形で内周面にねじ溝が形成され、該内周面のねじ溝にて前記調整軸部材のねじ部に螺合されて軸方向に移動可能にされたキャップ状の調整具とにより構成されたことを特徴とする前記請求項1に記載の天端出し治具。
【請求項4】
前記調整軸部材の外側面に、周方向の複数個所にて外方に向けて突出して軸方向に延びた複数の線状突起を設けたことを特徴とする前記請求項1から3のいずれか1項に記載の天端出し治具。
【請求項5】
前記鉄筋取付部が、前記調整軸部材とは別部材であり、該調整軸部材に取り付けられる第1取付部と、鉄筋に取り付けられる第2取付部とを一体で設けたことを特徴とする前記請求項1から4のいずれか1項に記載の天端出し治具。
【請求項6】
前記調整軸部材の他端側の外面と、前記第1取付部の内面に、互いに該調整軸部材と第1取付部とを係止させる係止手段を設けたことを特徴とする前記請求項5に記載の天端出し治具。
【請求項7】
前記係止手段が、前記調整軸部材の他端側の外面に設けた係合凹部又は係合凸部と、前記第1取付部の内面に設けて前記係合凹部又は係合凸部に係止される係止凸部又は係止凹部により構成されたことを特徴とする前記請求項6に記載の天端出し治具。
【請求項8】
前記鉄筋取付部が、前記調整軸部材と一体で形成されたものであることを特徴とする前記請求項1から4のいずれか1項に記載の天端出し治具。
【請求項9】
前記鉄筋取付部が径の異なる複数個で構成され、前記調整軸部材の外壁に互いに周方向に隔てて配設されたことを特徴とする前記請求項1から8のいずれか1項に記載の天端出し治具。
【請求項10】
前記鉄筋取付部の鉄筋取付部分に、鉄筋に解除可能に係止される係止部を設けたことを特徴とする前記請求項1から9のいずれか1項に記載の天端出し治具。
【請求項11】
前記鉄筋取付部が、前記調整軸部材に一体で又は別体で取り付けられており、該調整軸部材から両側に延びた所定の第1径に形成された半円筒形状であって、一方側に延びた部分の外周面には、先端側にて外方に突出して軸方向に延びた第1係合突起を設けると共に該調整軸部材の近傍位置にて外方に突出して軸方向に延びた第2係合突起を設けた第1取付片と、該第1取付片における他方側に延びた部分の先端にて曲げ変形可能に取り付けられた前記第1径より大きい所定の第2径に形成された半円筒形状であって、先端側に前記第1係合突起と第2係合突起に係止可能にされる係止突起を設けた第2取付片とを備えたことを特徴とする前記請求項1から4のいずれか1項に記載の天端出し治具。
【請求項12】
前記鉛直位置決め部が、前記調整軸部材の長手方向に対して垂直に延びた板状であることを特徴とする前記請求項1から11のいずれか1項に記載の天端出し治具。
【請求項13】
前記鉛直位置決め部が、前記調整軸部材の外側面に着色された着色マークであることを特徴とする前記請求項1から11のいずれか1項に記載の天端出し治具。
【請求項14】
棒状で一端側にて天端高さを調節する天端高さ調整手段を設け、他端側が筒状であって内壁が軸方向内方に向けて縮径するように傾斜しており、径の異なる鉄筋が挿嵌可能な鉄筋挿嵌孔を有する調整軸部材と、該調整軸部材の一端側に設けられた該調整軸部材の鉛直方向位置を決める鉛直位置決め部とを備えたことを特徴とする天端出し治具。
【請求項15】
前記天端高さ調整手段が、前記調整軸部材の一端にて軸方向に延びて形成されたねじ孔と、該ねじ孔に螺合されて軸方向に移動可能にされた調整ねじとにより構成されたことを特徴とする前記請求項14に記載の天端出し治具。
【請求項16】
前記天端高さ調整手段が、前記調整軸部材の一端側の円柱状の外周面に形成されたねじ部と、一端が封止された筒形で内周面にねじ溝が形成され、該内周面のねじ溝にて前記調整軸部材のねじ部に螺合されて軸方向に移動可能にされたキャップ状の調整具とにより構成されたことを特徴とする前記請求項14に記載の天端出し治具。
【請求項17】
前記調整軸部材の外側面に、周方向の複数個所にて外方に向けて突出して軸方向に延びた複数の線状突起を設けたことを特徴とする前記請求項14から16のいずれか1項に記載の天端出し治具。
【請求項18】
前記調整軸部材の鉄筋挿嵌孔を設けた軸方向他端側が、周方向複数個所にて軸方向に伸びたスリットにより分離された複数の係合片にされたことを特徴とする前記請求項14から17のいずれか1項に記載の天端出し治具。
【請求項19】
前記鉛直位置決め部が、前記調整軸部材の長手方向に対して垂直に延びた板状であることを特徴とする前記請求項14から18のいずれか1項に記載の天端出し治具。
【請求項20】
前記鉛直位置決め部が、前記調整軸部材の外側面に着色された着色マークであることを特徴とする前記請求項14から18のいずれか1項に記載の天端出し治具。
【請求項1】
棒状で一端側にて天端高さを調節する天端高さ調整手段を設けた調整軸部材と、該調整軸部材の一端側に設けられた該調整軸部材の鉛直方向位置を決める鉛直位置決め部と、前記調整軸部材の他端側外壁に該調整軸部材の軸方向に平行に又は直交して設けられ、地面上に配設された鉄筋に取り付けられて該調整軸部材を一端を上に向けて鉛直状態に配置させる鉄筋取付部とを備えたことを特徴とする天端出し治具。
【請求項2】
前記天端高さ調整手段が、前記調整軸部材の一端にて軸方向に延びて形成されたねじ孔と、該ねじ孔に螺合されて軸方向に移動可能にされた調整ねじとにより構成されたことを特徴とする前記請求項1に記載の天端出し治具。
【請求項3】
前記天端高さ調整手段が、前記調整軸部材の一端側の円柱状の外周面に形成されたねじ部と、一端が封止された筒形で内周面にねじ溝が形成され、該内周面のねじ溝にて前記調整軸部材のねじ部に螺合されて軸方向に移動可能にされたキャップ状の調整具とにより構成されたことを特徴とする前記請求項1に記載の天端出し治具。
【請求項4】
前記調整軸部材の外側面に、周方向の複数個所にて外方に向けて突出して軸方向に延びた複数の線状突起を設けたことを特徴とする前記請求項1から3のいずれか1項に記載の天端出し治具。
【請求項5】
前記鉄筋取付部が、前記調整軸部材とは別部材であり、該調整軸部材に取り付けられる第1取付部と、鉄筋に取り付けられる第2取付部とを一体で設けたことを特徴とする前記請求項1から4のいずれか1項に記載の天端出し治具。
【請求項6】
前記調整軸部材の他端側の外面と、前記第1取付部の内面に、互いに該調整軸部材と第1取付部とを係止させる係止手段を設けたことを特徴とする前記請求項5に記載の天端出し治具。
【請求項7】
前記係止手段が、前記調整軸部材の他端側の外面に設けた係合凹部又は係合凸部と、前記第1取付部の内面に設けて前記係合凹部又は係合凸部に係止される係止凸部又は係止凹部により構成されたことを特徴とする前記請求項6に記載の天端出し治具。
【請求項8】
前記鉄筋取付部が、前記調整軸部材と一体で形成されたものであることを特徴とする前記請求項1から4のいずれか1項に記載の天端出し治具。
【請求項9】
前記鉄筋取付部が径の異なる複数個で構成され、前記調整軸部材の外壁に互いに周方向に隔てて配設されたことを特徴とする前記請求項1から8のいずれか1項に記載の天端出し治具。
【請求項10】
前記鉄筋取付部の鉄筋取付部分に、鉄筋に解除可能に係止される係止部を設けたことを特徴とする前記請求項1から9のいずれか1項に記載の天端出し治具。
【請求項11】
前記鉄筋取付部が、前記調整軸部材に一体で又は別体で取り付けられており、該調整軸部材から両側に延びた所定の第1径に形成された半円筒形状であって、一方側に延びた部分の外周面には、先端側にて外方に突出して軸方向に延びた第1係合突起を設けると共に該調整軸部材の近傍位置にて外方に突出して軸方向に延びた第2係合突起を設けた第1取付片と、該第1取付片における他方側に延びた部分の先端にて曲げ変形可能に取り付けられた前記第1径より大きい所定の第2径に形成された半円筒形状であって、先端側に前記第1係合突起と第2係合突起に係止可能にされる係止突起を設けた第2取付片とを備えたことを特徴とする前記請求項1から4のいずれか1項に記載の天端出し治具。
【請求項12】
前記鉛直位置決め部が、前記調整軸部材の長手方向に対して垂直に延びた板状であることを特徴とする前記請求項1から11のいずれか1項に記載の天端出し治具。
【請求項13】
前記鉛直位置決め部が、前記調整軸部材の外側面に着色された着色マークであることを特徴とする前記請求項1から11のいずれか1項に記載の天端出し治具。
【請求項14】
棒状で一端側にて天端高さを調節する天端高さ調整手段を設け、他端側が筒状であって内壁が軸方向内方に向けて縮径するように傾斜しており、径の異なる鉄筋が挿嵌可能な鉄筋挿嵌孔を有する調整軸部材と、該調整軸部材の一端側に設けられた該調整軸部材の鉛直方向位置を決める鉛直位置決め部とを備えたことを特徴とする天端出し治具。
【請求項15】
前記天端高さ調整手段が、前記調整軸部材の一端にて軸方向に延びて形成されたねじ孔と、該ねじ孔に螺合されて軸方向に移動可能にされた調整ねじとにより構成されたことを特徴とする前記請求項14に記載の天端出し治具。
【請求項16】
前記天端高さ調整手段が、前記調整軸部材の一端側の円柱状の外周面に形成されたねじ部と、一端が封止された筒形で内周面にねじ溝が形成され、該内周面のねじ溝にて前記調整軸部材のねじ部に螺合されて軸方向に移動可能にされたキャップ状の調整具とにより構成されたことを特徴とする前記請求項14に記載の天端出し治具。
【請求項17】
前記調整軸部材の外側面に、周方向の複数個所にて外方に向けて突出して軸方向に延びた複数の線状突起を設けたことを特徴とする前記請求項14から16のいずれか1項に記載の天端出し治具。
【請求項18】
前記調整軸部材の鉄筋挿嵌孔を設けた軸方向他端側が、周方向複数個所にて軸方向に伸びたスリットにより分離された複数の係合片にされたことを特徴とする前記請求項14から17のいずれか1項に記載の天端出し治具。
【請求項19】
前記鉛直位置決め部が、前記調整軸部材の長手方向に対して垂直に延びた板状であることを特徴とする前記請求項14から18のいずれか1項に記載の天端出し治具。
【請求項20】
前記鉛直位置決め部が、前記調整軸部材の外側面に着色された着色マークであることを特徴とする前記請求項14から18のいずれか1項に記載の天端出し治具。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32A】
【図32B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32A】
【図32B】
【公開番号】特開2007−146622(P2007−146622A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−154384(P2006−154384)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(597095131)株式会社東海建商 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(597095131)株式会社東海建商 (8)
【Fターム(参考)】
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