説明

太陽光パネル設置可否判定システム

【課題】 複数種類の太陽光パネルについて、所望の地域の所望の建築物上に設置可能か否かを容易に判定することができる太陽光パネル設置可否判定システムを提供する。
【解決手段】 端末機PCの出力手段7の表示に従い、太陽光パネルを設置する建築物の所在地域、屋根材・屋根構造に関する情報を入力すると、施工要件判定手段15が施工要件記憶手段17に記憶された施工要件及び入力された情報に基づいて、設置可能な太陽光パネルがあるか否かを判定する。設置できない太陽光パネルがあれば、対応策提案手段33が起動し、対応策がないか判定する。設置可能な太陽光パネルのみが予測発電量計算手段37において選択可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の屋根に太陽光パネルを設置することができるか否かを判定する太陽光パネル設置可否判定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今の環境問題に対応して低炭素社会を実現するために、CO2排出量の少ない太陽光発電が注目を集めている。そのため、一般家庭においても、住宅の屋根などに太陽光発電設備を設置することが増えている。そこで、従来から、例えば、特開2010−92223号公報(特許文献1)に開示された発明のように、太陽光発電設備の設置に先立ち、発太陽光パネルの設置位置、屋根の勾配等の情報に基づいて、発電量、設置費用などを見積もり、需要者に情報を提供するシステムがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−92223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、統計上は十分な日射量がある地域でも、自然環境の状況から設置に適さない、または、十分な発電量を得られない地域があることが知られている。また、屋根の条件によって設置ができない可能性もある。そのため、従来のシステムで得られる発電量の予測や見積もりを参考にして太陽光パネルを設置しても、設置後の寿命が短かったり、予想発電量よりも少ない発電量しか得られなかった問題が生じている。また実際に設置をしようとしても、そもそも設置ができない場合があった。
【0005】
本発明の目的は、複数種類の太陽光パネルについて、所望の地域の所望の建築物上に設置可能か否かを判定して、設置に不向きな太陽光パネルが選定されることを阻止することができる太陽光パネル設置可否判定システムを提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、太陽光パネルが設置に適さない場合の対応策を提示することができる太陽光パネル設置可否判定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の太陽光パネル設置可否判定システムは、複数種類の太陽光パネルを建築物の屋根に設置するために満たす必要のある施工要件を複数種類の太陽光パネル毎に記憶する施工要件記憶手段と、建築物に太陽光パネルを設置する設置条件を入力する入力手段と、施工要件記憶手段に記憶された複数の施工要件と設置条件とに基づいて、設置条件で設置可能な太陽光パネルがあるか否かを判断する施工要件判定手段と、施工要件判定手段の判定結果を出力する出力手段とを備えている。
【0008】
前述のように、十分に日射量がある地域でも太陽光パネルの設置に適さない地域が存在する。そのため、太陽光パネルの各メーカは、メーカ毎に、または、製品毎に、独自の施工要件を設けている。そこで、本発明では、複数種類の太陽光パネルの施工要件を施工要件記憶手段に記憶しておき、施工要件判定手段が入力手段から入力された設置条件を満たす太陽光パネルがあるか否かを判定する。この判定結果によれば、設置が可能な種類の太陽光パネルがわかるため、設置が適さない太陽光パネルを選定したり、また不要な見積書の作成を行ってしまうなどの問題が生じなくなる。
【0009】
日射量が十分でも太陽光パネルを設置するのに不向きな地域には、塩害が発生する地域、強風が吹く地域、冬季において積雪量の多い地域などがある。そこで、施工要件として、塩害により太陽光パネルの設置に不向きな塩害地域に関する要件と、風速により太陽光パネルの設置に不向きな強風地域に関する要件と、積雪により太陽光パネルの設置に不向きな豪雪地域に関する要件の少なくとも一つと、日射量不足により太陽光パネルの設置に不向きな日射量不足地域に関する要件を含め、設置条件として、建築物の所在地域を特定するための条件を含めることが望ましい。塩害地域に関する要件、強風地域に関する要件、豪雪地域に関する要件、日照量不足地域に関する要件は、太陽光パネルの種類によって異なっている。それは太陽光パネルの構造や構造部材の材質が、太陽光パネルを製造する各メーカ毎に異なっていること、また使用する取付構造が異なっていることが原因となっている。複数種類の太陽光パネルのすべてについて、これらの要件を考慮すれば、施工要件判定手段は、所在地域が日射量不足地域外、すなわち、日射量が十分な地域であっても、所在地域が施工要件に含まれている太陽光パネルの設置に不向きな地域に含まれるときには、該当する太陽光パネルを設置不可と判定することができる。したがって、塩害により腐食が発生する可能性の高い地域に、塩害に弱い太陽光パネルを設置するといった事態が発生することを、太陽光パネルの選択作業において阻止することができる。また風速を考慮すれば、風速の速い地域に、速い風速に弱い太陽光パネルが設置されるのを太陽光パネルの選定作業において阻止することができる。さらに積雪を考慮すると、豪雪地域に、採算の取れない太陽光パネルを設置するといった事態が発生することを、太陽光パネルの選定作業において阻止することができる。
【0010】
施工要件として、太陽光パネルを設置する建築物の屋根材及び/または屋根の構造で、太陽光パネルを設置することが不向きな屋根材及び屋根の構造に関する要件と、日射量不足により太陽光パネルの設置に不向きな日射量不足地域に関する要件を含め、設置条件として、建築物の所在地域を特定するための条件と、建築物の屋根材及び屋根の構造を含めてもよい。太陽光パネルの種類に応じて各メーカは、それぞれ取付構造を指定している。そのため施工業者は、指定された取付構造により太陽光パネルを設置する。しかしながら指定された取付構造を適用することが不適な屋根材や屋根の構造もある。そこで施工要件に、複数種類の太陽光パネルをそれぞれ設置することが不向きな屋根材及び屋根の構造に関する要件と、日射量不足により太陽光パネルの設置に不向きな日射量不足地域に関する要件を含めれば、太陽光パネルの選定作業の過程で、設置に不向きな太陽光パネルが選択されることを阻止することができる。
【0011】
地図情報を記憶する地図情報記憶手段をさらに備え、出力手段は、地図情報を表示する機能を有し、入力手段を用いて、出力手段に表示された地図情報から、太陽光パネルを設置する建築物の所在地に最も近い地域を選択することで、設置条件として所在地域を入力するように構成してもよい。このように構成すると、直感的に建築物の所在地域を入力することが可能になり、地域名から地域を選択するのに対して、より適切な所在地域を入力することができる。
【0012】
なお、施工要件を満たさないと判定した場合にはその理由を出力手段に表示し、施工要件を満たすための対応策がある場合には、その対応策を出力手段に表示する対応策提案手段を更に備えるようにしてもよい。
【0013】
例えば、塩害については、直接波のしぶきがかかる重塩害地域とその他の塩害地域に分けている場合がある。重塩害地域は、太陽光パネルを設置することは不可能であるのに対して、その他の塩害地域では、塩害に対応した架台を用いれば設置できる太陽光パネルが存在する。そこで、出力手段には、理由として「塩害」、対応策として「対応架台がある」という旨を表示する。このように構成すれば、設置可能な太陽光パネルの選択肢が増えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の太陽光パネル設置可否判定システムを一部に組み込んだ太陽光発電量予測システムの実施形態の一例の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の太陽光パネル設置可否判定システムの設置可否を判定するアルゴリズムの一例を示す図である。
【図3】(a)及び(b)は、建築物の所在地域を選択する際に、出力手段に表示される地図情報の一例を示す図である。
【図4】屋根材及び屋根構造を選択する際に、出力手段に表示される画面の一例を示す図である。
【図5】(a)及び(b)は、施工要件を満たさない太陽光パネルがあった場合に、出力手段に表示される画面の一例を示す図である。
【図6】本発明の太陽光パネル設置可否判定システムを一部に組み込んだ太陽光発電量予測システムの詳細情報入力画面の一例を示す図である。
【図7】本発明の太陽光パネル設置可否判定システムを一部に組み込んだ太陽光発電量予測システムの出力例1を示す図である。
【図8】本発明の太陽光パネル設置可否判定システムを一部に組み込んだ太陽光発電量予測システムの出力例2を示す図である。
【図9】本発明の太陽光パネル設置可否判定システムを一部に組み込んだ太陽光発電量予測システムの出力例3を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の太陽光パネル設置可否判定システムの実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の太陽光パネル設置可否判定システムを一部に組み込んだ太陽光発電量予測システムである。図2は、本発明の太陽光パネル設置可否判定システムの設置可否を判定するアルゴリズムのフローチャートである。図3及び図4は、設置条件を入力する画面表示であり、図5は、施工要件を満たさない太陽光パネルがあった場合に、出力手段に表示される画面表示である。
【0016】
まず、図1に示した太陽光発電量予測システム1の各機能実現手段について、太陽光パネル設置可否判定システムを構成する部分を説明する。システム利用者が操作する端末機PCは、キーボード及びマウスなどの入力手段3と、データ処理を行い、サーバ2に情報を入力する処理手段5と、サーバ2からの各種の表示信号を受信して表示を行うディスプレイを含む出力手段7とを備えている。サーバ2は通信手段9を有しており、端末機PCと情報の送受信を行っている。また、サーバ2は読み出し手段11を有しており、読み出し手段11は各手段が情報記憶手段13や結果保存手段31から情報を読み出すのに使用される。本実施の形態の太陽光パネル設置可否判定システムでは、サーバ2は端末機PCからの設置条件に関する入力情報を受信し、読み出し手段11が情報記憶手段13から読み出す情報に基づいて、設置条件が施工要件を満たすか否かを施工要件判定手段15が判定する。
【0017】
情報記憶手段13には、複数のメーカの複数種類の太陽光パネルそれぞれについて地域及び屋根に関する施工要件を記憶する施工要件記憶手段17と、出力手段7に地図情報を表示するための地図情報を記憶した地図情報記憶手段19と、各地域の日射量などを記憶している地域情報記憶手段21などが備えられている。本実施の形態では、地域情報記憶手段21に記憶されている地域情報は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公表している「全国日射量平均値データマップ」の801地点に分けて、日射量情報、塩害地域・強風地域・豪雪地域に関する情報を記憶している。情報記憶手段13は、その他、後述する発電量の予測のための情報を記憶する手段として、計算に必要な計算式等の基本事項を記憶している基本事項記憶手段23と、太陽光パネルそれぞれの出力などの機器情報を記憶している機器情報記憶手段25と、各自治体の補助金に関する情報を記憶している補助金情報記憶手段27と、最終的に出力手段7にシミュレーション結果及び見積書を表示するための出力フォームを記憶している出力フォーム記憶手段29とが備えられている。
【0018】
太陽光パネル設置可否判定システムの設置可否の判定は、図2のフローチャートに示された通りに行われる。システムが起動されると、端末機PCの出力手段7には、地図情報記憶手段19から読み出された図3(a)の地図が表示される。システム利用者は、入力手段3を用いて太陽光パネルを設置する対象である建築物の所在地域の都道府県(図3(a)の例では、「埼玉県」)を選択し、図3(b)のようにズームアップされた都道府県の中から、建築物の所在地域に最も近い地点の地図上に付された丸印をマウスポインタ4で選択して決定する(ステップST1)。図3(b)の例では、「浦和市」を選択する場合の例を示してある。前述の通り、本実施の形態では、「全国日射量平均値データマップ」の801地点をベースにして地点を決定しているため、丸印の地点はこの地点に対応している。地域を選択すると、施工要件判定手段15は、その地域に関する地域情報を地域情報記憶手段21から読み出す。続いて、出力手段7には、屋根材及び屋根構造(屋根勾配)を選択するための画面(図4)が表示される。システム利用者は、図4の画面から入力手段3を用いて建築物の該当する屋根材を選択肢6aの中から、及び、屋根構造を選択肢6bの中から選択して決定する(ステップST2)。
【0019】
このようにして判定に必要な設置条件が揃うと、施工要件判定手段15は、設置条件が施工要件を満たさない太陽光パネルが存在するか否かを判定する(ステップST3)。施工要件を満たさない太陽光パネルがない場合、すなわち、設置条件が全ての太陽光パネルの施工要件を満たす場合には、特別な表示は行わずに、判定結果を結果保存手段31に保存する。その結果、後述の詳細情報入力画面において、全ての太陽光パネルが選択可能になる(ステップST4)。
【0020】
施工要件を満たさない太陽光パネルが存在する場合には、対応策提案手段33が起動し、施工要件を満たさない太陽光パネルに対応策のある太陽光パネルが存在するかが判定される(ステップST5)。そして、対応策がある場合には、施工要件を満たさない理由とその対応策が結果保存手段31に保存される。そして、読み出し手段11が読み出した結果が、結果出力手段35によって端末機PCの出力手段7に表示され(ステップST6)、後述の詳細情報入力画面において、設置可能な太陽光パネルのみが選択可能になる(ステップST7)。
【0021】
図5(a)はステップST6で出力手段7に表示される画面の一例である。例えば、塩害地域は、直接波のしぶきがかかる重塩害地域と、海岸から所定の距離内の低塩害地域に分かれ、本実施の形態では、どちらも塩害地域として施工要件を満たさないものと取り扱っている。ただし、低塩害地域については、製品によっては、塩害に対応した架台を用いれば設置できる太陽光パネルが存在する。そこで、低塩害地域が選択されたことを想定した図5(a)の例では、施工要件を満たさないが、対応策があるとして、出力手段7に理由として「塩害地域」、対応策として「対応可能な架台があります。」と表示して、設置可能な太陽光パネルとして処理している。
【0022】
また、積雪の多い豪雪地域は、積雪量並びに屋根材及び屋根勾配によって設置可能な太陽光パネルが決まるように設定されており、本実施の形態では、例えば、積雪量が50cm〜100cm未満の地域で、急勾配(7.5寸超10寸以下)の屋根の場合には、施工要件を満たさないと取り扱っている。ただし、この場合にも、急勾配対応架台を用いれば設置できる太陽光パネルが存在する。そこで、このような地域及び屋根の条件が選択されたことを想定した図5(a)の例では、施工要件を満たさないが、対応策があるとして、出力手段7には理由として「豪雪地域」、対応策として、「対応可能な架台があります。」と表示して、設置可能な太陽光パネルとして処理している。その他、本実施の形態では、風速(風圧)に関する強風地域についても同様に設定されている。
【0023】
施工要件を満たさない太陽光パネルの対応策がない場合には、施工要件を満たす太陽光パネルがあるか否かを判定し(ステップST8)、設置可能な太陽光パネルがあれば、後述の詳細情報入力画面において、設置可能な太陽光パネルのみを選択可能にする(ステップST9)。
【0024】
設置可能な太陽光パネルが存在しない場合には、結果出力手段35により、端末機PCの出力手段7に図5(b)のように設置可能な太陽光パネルが存在しない旨が表示される(ステップST10)。この場合には、後述の発電量の予測を行っても意味がないため、この時点で処理を終了するか、再度地域または建築物の屋根に関する条件等を再選択することにしている。
【0025】
以上のようにして、本実施の形態では、太陽光パネルの設置を希望する建築物の所在地に関する地域情報及び屋根に関する情報を入力することで、設置可能な太陽光パネルを知ることができ、設置ができない太陽光パネルを誤って設置検討対象に含めることがなくなる。
【0026】
本実施の形態では、太陽光パネル設置可否判定システムは、太陽光発電量予測システムの一部に組み込んである。そこで、次に、太陽光パネル設置可否判定システムの判定結果に基づいて、太陽光発電量を予測する動作についても詳細に説明する。
【0027】
太陽光パネル設置可否判定システムによる判定が終了し、設置可能な太陽光パネルが存在することが判定されると(すなわち、ステップST4、ステップST7またはステップST9を通過した場合)、予測発電量計算手段37が起動し、図6のような詳細情報入力画面が端末機PCの出力手段7に表示される。システム利用者は、入力手段3を用いて、発電量の予測に必要な情報を入力することになる。図6に示された数値等は、入力例である。
【0028】
基本設定項目の欄の日射量観測地点設定項目39は、前述の図2のフローチャートのステップST1で選択された地域が既に入力されている。給湯設備設定項目41は、現在使用している給湯設備を入力する項目である。申請先都道府県設定項目43及び地方自治体設定項目45は、太陽光発電設備の設置に対して補助金を申請する際に、どの地方自治体に申請を行うかを選択する項目である。日射量観測地点は最寄りの地点を選択したものであり、補助金の申請先は必ずしも選択した地点と一致しないことがあるため、別途選択可能になっている。インバータ種別設定項目47は、太陽光パネルと一緒に設置するインバータを選択するものであり、電力変換効率設定項目49は、インバータを選択することで自動的に入力されるように構成してある。自家消費比率設定項目51は、太陽光発電によって得られた電力を自家消費する率をスライド方式で決めるものであり、デフォルトで55%が設定されている。配線・ダイオード等損失設定項目53は、デフォルトで6.0%が設定されている。年間平均電気料金設定項目55及び年間平均消費電力設定項目57は、太陽光発電導入後に電気料金がどれだけ変わるかを知るために入力する項目であり、年間平均電気料金設定項目55は必須項目である。年間平均消費電力設定項目57は年間平均電気料金及び後述の現在の電力プランを入力すれば足りるため、入力は必須ではない。生活パターン設定項目59は、太陽光発電設備を設置する建築物(住宅)に住んでいる人の生活パターンを入力する項目であり、昼型・昼夜型・夜型から選択をすることになっている。変更後VA設定項目61は、変更後に契約するVA(ボルトアンペア)の数値を入力する項目である。現在の電力プラン設定項目63は、現在契約している電力プランを選択する項目であり、変更後の電力プラン設定項目65は、太陽光発電設備を設置した後に変更する電力プランを選択する項目である。
【0029】
太陽光モジュールの欄のメーカ設定項目67及び型番設定項目69は、本発明の太陽光パネル設置可否判定システムによって、設置可能と判定された太陽光パネルのみが選択可能になっている。メーカ及び型番を選択すると、読み出し手段11が機器情報記憶手段25を読み出し、最大出力設定項目71には、その製品の最大出力が自動的に入力される。太陽光パネルを設置する屋根について屋根勾配設定項目73、方位角設定項目75、枚数項目77を入力し、追加ボタン79を押すことで発電量を予測する太陽光パネルの対象が確定され、下の一覧表81に追加される。なお、太陽光パネルを設置する屋根は一方向・一面とは限らないので、太陽光パネルを設置する方位角・面の全てを入力できるように、一覧表81に追加する方式を採用している。誤った太陽光パネルを一覧表81に追加した場合には、誤った太陽光パネルを選択し、削除ボタン80を押すことで削除することも可能である。
【0030】
全ての情報を入力して実行ボタン83を押すと、予測発電量計算手段37は、入力された情報及び情報記憶手段13に記憶されている情報に基づいて、予測発電量、太陽光発電設備を導入することによる削減できる電気代などを算出する。算出した結果は全て結果保存手段31に保存され、結果出力手段35が出力フォーム記憶手段29に記憶されているフォームに従って、端末機PCで取り扱うことのできる表計算ソフト(例えば、マイクロソフト社のExcel(登録商標)など)用のファイルとして出力し、端末機PCに送信する。図7乃至図9は、本実施の形態の太陽光発電量予測システムによる出力結果の一例である。
【0031】
図7は、主に、当該太陽光発電設備を導入した場合の予測発電量を算出した結果である。入力された情報に基づいて、予測される発電量や現在の電気料金との比較結果などが表示されている。
【0032】
図8は、主に、太陽光発電設備を導入した場合の費用対効果を算出するものである。この出力結果では、導入前後の電気代のシミュレーションや年間の削減効果、太陽光発電設備の償却期間などの情報を得られる。また、併せて補助金情報記憶手段27に記憶されている補助金情報に基づいて、申請可能な補助金制度とその金額も表示しているため、太陽光発電設備の導入を検討している者に有用な情報を提供することができる。
【0033】
図9は、太陽光発電設備の導入にかかる費用の見積書である。システム利用者として太陽光発電設備の施工業者が想定されているためであり、設置業者は、本システムに必要な情報を入力し、一部を修正し、端末機PCに接続されている印刷手段85を用いて印刷するだけで、簡易に見積書を作成することができる。個人が本システムを使用する場合には、設置業者に依頼することなく、おおよその設置費用がわかるという利点もある。
【0034】
なお、本実施の形態は説明のための一例にすぎず、適宜変更を行うことが可能であり、例えば、本発明の太陽光パネル設置可否判定システムを太陽光発電量予測システムに組み込まずに、単独で動作するように構成してもよいのはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明によれば、所望の地域の所望の建築物上に設置できる太陽光パネルを容易に判定することができ、設置に不向きな太陽光パネルが選定されることを阻止することができる。また本発明の太陽光パネル設置可否システムを太陽光発電量を予測するシステムに組み込めば、より適切な発電量の予測等を行うことができる。
【符号の説明】
【0036】
1 太陽光発電量予測システム
3 入力手段
5 処理手段
7 出力手段
9 通信手段
11 読み出し手段
13 情報記憶手段
15 施工要件判定手段
17 施工要件記憶手段
19 地図情報記憶手段
21 地域情報記憶手段
23 基本事項記憶手段
25 機器情報記憶手段
27 補助金情報記憶手段
29 出力フォーム記憶手段
31 結果保存手段
33 対応策提案手段
35 結果出力手段
37 予測発電量計算手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の屋根に太陽光パネルを設置することができるか否かを判定する太陽光パネル設置可否判定システムであって、
複数種類の太陽光パネルを前記建築物の屋根に設置するために満たす必要のある施工要件を前記複数種類の太陽光パネル毎に記憶する施工要件記憶手段と、
前記建築物に前記太陽光パネルを設置する設置条件を入力する入力手段と、
前記施工要件記憶手段に記憶された複数の施工要件と前記設置条件とに基づいて、前記設置条件で設置可能な太陽光パネルがあるか否かを判定する施工要件判定手段と、
前記施工要件判定手段の判定結果を出力する出力手段とを備えていることを特徴とする太陽光パネル設置可否判定システム。
【請求項2】
前記施工要件として、塩害により前記太陽光パネルの設置に不向きな塩害地域に関する要件と、風速により前記太陽光パネルの設置に不向きな強風地域に関する要件と、積雪により前記太陽光パネルの設置に不向きな豪雪地域に関する要件の少なくとも一つと、日射量不足により前記太陽光パネルの設置に不向きな日射量不足地域に関する要件が含まれており、
前記設置条件として、前記建築物の所在地域を特定するための条件が含まれており、
前記施工要件判定手段は、前記所在地域が前記日射量不足地域外であっても、前記所在地域が前記施工要件に含まれている前記太陽光パネルの設置に不向きな地域に含まれるときには、該当する前記太陽光パネルを設置不可と判定することを特徴とする請求項1に記載の太陽光パネル設置可否判定システム。
【請求項3】
前記施工要件として、前記太陽光パネルを設置する建築物の屋根材及び/または屋根の構造で、前記太陽光パネルを設置することが不向きな屋根材及び屋根の構造に関する要件と、日射量不足により前記太陽光パネルの設置に不向きな日射量不足地域に関する要件が含まれており、
前記設置条件として、前記建築物の所在地域を特定するための条件と、前記建築物の屋根材及び屋根の構造が含まれており、
前記施工要件判定手段は、前記所在地域が前記日射量不足地域外であっても、前記建築物の屋根材及び/または屋根の構造が、前記太陽光パネルを設置することが不向きな屋根材及び/または屋根の構造に該当すると判断したときには、該当する前記太陽光パネルを設置不可と判定することを特徴とする請求項1に記載の太陽光パネル設置可否判定システム。
【請求項4】
地図情報を記憶する地図情報記憶手段をさらに備え、
前記出力手段は、前記地図情報を表示する機能を有し、
前記入力手段を用いて、前記出力手段に表示された前記地図情報から、前記太陽光パネルを設置する前記建築物の所在地に最も近い地域を選択することで、前記設置条件として前記所在地域を入力することを特徴とする請求項2または3に記載の太陽光パネル設置可否判定システム。
【請求項5】
前記施工要件を満たさないと判定した場合にはその理由を前記出力手段に表示し、前記施工要件を満たすための対応策がある場合には、その対応策を前記出力手段に表示する対応策提案手段を更に備えている請求項1乃至4のいずれか1つに記載の太陽光パネル設置可否判定システム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−12831(P2012−12831A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150051(P2010−150051)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(510104816)トータルエナジーシステムズ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】