太陽光熱電変換
太陽光発電器を利用するシステムおよび方法が開示される。輻射光捕捉構造と1つまたは複数の熱電変換器とを有する太陽光発電器が開示される。太陽輻射光が当たることで捕捉構造中に発生した熱は、熱電変換器の一部を高温に維持可能とする一方、他の部分を低温にすることで電気を発生させる。このように、一般に、主として光学輻射光管理に係わる太陽電池と異なり、太陽光熱電変換器は、一般に、熱管理のためのさまざまな機構に係わる。発電器は、選択的な輻射光面、低い放射率面、平坦板構成、排気された環境、および熱濃縮を行うために作用可能な他の概念を含み、任意の数の特徴を含んでよい。1つまたは複数の光学濃縮器を利用する設計も、また、開示される。
【発明の詳細な説明】
【関連出願との関係】
【0001】
本出願は2006年11月13日出願の米国仮出願番号60/858,515号の優先権を主張する。この仮出願の全内容を本明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
本出願は、一般に太陽光エネルギの変換のための方法および装置に関し、特に、太陽光電熱変換の実行を可能とするような方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
太陽光エネルギの利用は、太陽光光起電によるもの、および、太陽光熱によるものに分類可能である。太陽光光起電(PV)は光子エネルギを直接電気に変換する。もう1つは太陽光熱で、典型的に光子エネルギを熱に変換し、通常は、光学濃縮器を通して、流体等の地球上の熱源に保存し、機械的な熱エンジンを使用して電気を発生させる。太陽電池は屋上で使用可能であるが、一方、機械的な熱エンジンによる太陽光熱エネルギ変換は、大規模発電用途により適する。
【0004】
現在の太陽光熱から電気への変換は蒸気発生および機械的な熱エンジンに依存し、熱電発電機材料を使用し、太陽光エネルギを最初に熱に変換し次に電気に変換する可能性が追求されてきているが、熱電装置の効率が低いために広く利用されてはいない。熱電発電は固体材料におけるゼーベック効果に依存し熱エネルギを電気に変換する。高温側温度Thと低温側温度Tcとの間で動作する熱電装置の理論的なエネルギ変換効率ηteは、
【0005】
【数1】
【0006】
により与えられる。ここで、係数(1-Tc/Th)はカルノ効率で、第2の係数は、Zの熱電性能指数と熱電材料の平均温度T[=0.5(Th+Tc)]によって決定される。熱電性能指数(Z)は、Z=S2σ/kを介して、材料のゼーベック係数S、電気伝導率σ、および熱伝導率kに関係する。この効率に基づく計算では、1〜2の間のZTで、303〜500Kで動作する熱電装置は9〜14%の効率を有し得るが、一方、1〜2の間のZTで、300〜1000Kで動作する熱電装置の効率は17〜25%に達し得ることが示される。
【0007】
しかし、太陽光熱電発電機において、そのような動作条件を達成することは困難であると判明している。実に、熱損失、およびそのような装置に対して適切な熱濃縮を行う機能は問題が多いままである。従って、太陽光熱電発電に関する改良型の技術を提供することに対する需要が存在する。
【発明の概要】
【0008】
太陽光発電器を利用するための技術が開示される。太陽光発電器は、輻射光捕捉構造と1つまたは複数の熱電変換器とを有し得る。太陽輻射光が当たることで捕捉構造中に発生した熱は、熱電変換器の一部を高温に維持し、一方、他の部分を低温にすることで電気を発生させる。このように、一般に、主として光学的な輻射光管理に係わる太陽電池と異なり、太陽光熱電変換器は、一般に、熱管理のためのさまざまな機構に係わる。
【0009】
いくつかの実施形態は、平坦板構成で実施可能な太陽光発電器を対象とする。いくつかの例では、発電器は少なくとも約4%の太陽光エネルギ変換効率を示し得る。太陽光発電器は輻射光捕捉構造を含んでよく、これは、独立したエンクロージャ(例えば、排気されたエンクロージャ、または希ガスで充填されたエンクロージャ)中に少なくとも部分的に配置され得る。輻射光捕捉構造は前面および背面を有してよい。任意選択的に、1つまたは複数の熱拡散要素が前面と背面との間に配置してよく、熱拡散要素(単数または複数)は高い熱伝導率(例えば、約20W/mKより大きい)を有してよい。これらの面のいずれか、または両方は低い放射率を示してよい。例えば、これらの面のいずれか、または両方の放射率は、約1.5、2、3、または4ミクロンより長い波長に対し約0.1、0.05、0.02、または0.01より小さくてよい。約0℃と約500℃との間、または約50℃と約300℃との間、または約100℃と約300℃との間等の選択された温度範囲に渡り、低い放射率を示してよい。前面は太陽輻射光に曝露されるように適合可能であり、および/または、太陽輻射光への曝露に応じて熱を発生させるように適合可能である。例えば、前面は、例えば、横方向に高い熱伝導率を示してよい。熱伝導率は約20W/mKより大きい、または約20W/mKから約400W/mKまでの範囲内でよい。いくつかの例では、前面は、太陽輻射光に対して約80%、90%、または95%より大きい吸収率を有するように適合される。一例として、そのような吸収率は、約3ミクロンより短い太陽輻射光波長、または約50nmと約3ミクロンとの間の太陽輻射光波長に対して、達成可能である。
【0010】
1つまたは複数の熱電変換器は、少なくとも部分的にエンクロージャ中に配置可能である。熱電変換器(単数または複数)は、輻射光捕捉構造に熱的に結合し得る高温端を有してよく、発生した熱の少なくとも一部を受ける。この熱は、変換器(単数または複数)に渡り温度差を実現させるために使用可能である。温度差は、少なくとも約50℃、100℃、150℃、200℃、または250℃でよい。変換器の任意の1つは、互いに接合部によって結合可能なp型脚とn型脚とを含んでよい。接合部は輻射光捕捉構造に熱的に結合してよい。1つまたは複数の電気伝導性の導出部は、変換器(単数または複数)によって発生した電気エネルギを取り出すために変換器(単数または複数)に結合してよい。
【0011】
太陽光発電器は、任意選択的に支持構造を含んでよく、熱電変換器の低温端に結合してよい。支持構造は、輻射光捕捉面の背面に面するように適合可能な内部面を含んでよい。内部面は低い放射率、例えば、全ての波長、または約1.5、2、3または4ミクロンより長い波長に対し、約0.1より小さい放射率を示してよい。支持構造は、1つまたは複数の熱電変換器の低温端から熱を除去するために使用可能な熱拡散器として作用可能である。支持構造は、また、ヒートシンクに熱的に結合してもよい。
【0012】
他の実施形態は、輻射光捕捉構造と、この捕捉構造に熱的に結合した複数の熱電変換器とを含み得る太陽光発電器を対象とし、それぞれの変換器は、捕捉構造から熱の少なくとも一部を受けることが可能である。太陽光発電器は約4%、または7%より大きな効率を示し得る。輻射光捕捉構造は、熱を発生させるように太陽輻射光に曝露されるために適合された前面と、背面とを有してよい。これらの面のいずれか、または両方は、約1、2、または3ミクロンより長い波長に対して、約0.1より小さな放射率を示してよい。
【0013】
変換器は、輻射光捕捉構造上の入射太陽輻射光に応じて、変換器の高温端と低温端との間に温度差が発生可能なように、輻射光捕捉構造に比べ離間的に配列可能である。一例として、温度差は少なくとも約50℃でよい。低温端は、約90℃、70℃、または50℃より低い温度に維持可能である。1つまたは複数の変換器は、互いに接合部によって結合可能なp型脚とn型脚とを含んでよい。いくつかの場合では、接合部は、p型脚とn型脚を相互接続可能な金属構造を含んでよい。p型脚とn型脚の内の少なくとも1つが、約0
.0001メートルから約1メートルまでの範囲内の、長さに対する断面積の比によって特徴づけ可能である。支持構造は、変換器の低温端に結合してよい。変換器は、輻射光捕捉構造と支持構造との間の総熱伝導の約20%より小さい集合的な熱伝導を示し得る。いくつかの例では、輻射光捕捉構造が捕捉面積によって特徴づけ可能であり、複数の熱電変換器が変換器面積によって特徴づけ可能である。いくつかの実施形態では、変換器面積に対する捕捉面積の比は、約100、400または600より大きくてよい。複数の熱電変換器が大気圧に比べて排気された環境中にカプセル化可能であり、かつ/または平坦板構成中で実施可能である。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態は、任意選択的に平坦板構成に構成され、少なくとも1つのn型熱電脚と、少なくとも1つのp型脚とを含む太陽光発電器を対象とする。脚は熱的に結合して接合部を形成可能であり、それぞれが軸方向によって特徴づけ可能である。接合部は、p型脚とn型脚との間に接触点を含む、または、少なくとも1つのp型脚と少なくとも1つのn型脚とに熱的に結合した捕捉構造を含んでよい。捕捉構造は、この構造上に当たる濃縮された太陽輻射光を吸収し、熱を発生させるように適合可能である。1つまたは複数の輻射光収集器が含まれてよく、入射太陽輻射光を収集して濃縮する。輻射光収集器(単数または複数)は濃縮された太陽輻射光を接合部に配光するように適合可能である。脚は、また、接合部で電気的に結合して熱電変換器を形成してよい。それぞれの脚は、脚の軸方向間の角度が約0°から約180°までの範囲内に存在するように、他の脚に相対して配置してよい。例えば、n型脚とp型脚は線形に整列してよい。他の例では、n型脚とp型脚の複数の対は、それぞれの対が1つのn型脚と1つのp型脚とを有する対で組み立てられる。それぞれの対は線形に整列され、それぞれの対は対の接合部を有する。複数の輻射光収集器は、濃縮された太陽輻射光を対の接合部に配光するように適合可能である。いくつかの例では、対は共通接合部を共有し、任意の他の接合部の任意の特徴を有してよい。
【0015】
他の実施形態は、平坦板構成中に収容可能な少なくとも1つの熱電変換器を含む、太陽光発電器を対象とする。太陽光発電器は、n型脚とp型脚を含んでよい。脚は、線形な経路等の経路に沿って整列してよく、接合部を共有してよい。接合部は熱電変換器の端の間に位置してよい。1つまたは複数の輻射光収集器が、入射太陽輻射光を収集して濃縮するように適合可能である。輻射光収集器(単数または複数)は濃縮された太陽輻射光を接合部に配光するように適合可能である。接合部は、脚に熱的に結合した捕捉構造を含んでよい。捕捉構造は、捕捉構造上に当たる濃縮された太陽輻射光を吸収し、熱を発生させるように適合可能である。
【0016】
いくつかの実施形態は、自身の高温端で接合部によって互いに熱的に結合した複数の熱電変換器を含む、太陽光発電器を対象とする。変換器は温度差に曝されると電気を発生させるように適合可能である。1つまたは複数の変換器の少なくとも一部に絶縁材料を結合させ、変換器からの熱の伝達減少させてよい。変換器は平坦板構成中に収容可能であり、取り外し可能なモジュール中に収容可能であり、かつ/または、独立した環境中にカプセル化可能である。変換器は平面を共有するように構成可能であり、任意選択的に、互いに平行に整列可能である。1つまたは複数の変換器はp型脚とn型脚とを含んでよく、接合部は脚間の結合を含んでよい。1つまたは複数の光学濃縮器が含まれてよく、入射太陽輻射光を収集して濃縮する。濃縮器は濃縮された太陽輻射光を接合部に配光可能である。接合部は複数の変換器に熱的に結合した捕捉構造を含んでよい。捕捉構造は、捕捉構造上に当たる濃縮された太陽輻射光を吸収し、熱を発生させるように適合可能である。
【0017】
他の実施形態は、バリヤ構造を利用し独立した環境を封入する太陽光発電器を対象とする。独立した環境は、大気圧よりも低い熱容量を備える環境でよいし、大気圧に比べ排気された環境でよいし、かつ/または、低い熱伝導を示す材料(例えば、絶縁材料)の使用
を含んでもよい。球状の形状を有し得るバリヤ構造は、太陽輻射光の1つまたは複数の波長に対して少なくとも部分的に透過性でよい。1つまたは複数の熱電変換器は、独立した環境中に配置してよい。捕捉構造はバリヤ構造内に含まれて、変換器(単数または複数)に熱的に結合してよい。捕捉構造は輻射光濃縮器からの濃縮された太陽輻射光を吸収するように適合可能であり、熱を発生可能である。輻射光濃縮器は、独立した環境に光学的に結合し、変換器の少なくとも一部を加熱するように太陽輻射光を配光し、変換器に渡り(例えば、変換器の高温端と低温端に渡り)温度差の発生を促進可能である。輻射光濃縮器は、入射太陽輻射光の少なくとも約10倍のレベルに太陽輻射光を濃縮するように適合可能である。輻射光濃縮器は1つまたは複数のレンズ要素、1つまたは複数の反射要素、または、1つまたは複数の屈折要素または回折要素を含んでよく、それぞれが、太陽輻射光を配光し熱電変換器を加熱するように適合可能である。太陽輻射光追跡機を含んでもよい。追跡機は、1つまたは複数の変換器に対して輻射光濃縮器を移動させ、太陽輻射光への暴露を維持し、変換器(単数または複数)を加熱するように適合可能である。変換器(単数または複数)に熱的に結合するように適合された熱拡散器を含んでもよく、熱拡散器は変換器の少なくとも一部から熱を除去し得る可能性がある。いくつかの例では、1つまたは複数のバリヤ構造が、熱拡散器に、熱的、電気的、および/または、取り外し可能に結合可能である。
【0018】
いくつかの実施形態は、太陽輻射光に曝され熱を発生させるために適合された輻射光吸収面を有する輻射光捕捉構造と、1つまたは複数の熱電変換器と、輻射光捕捉構造に光学的に結合し太陽輻射光を輻射光捕捉構造に配光可能な光学濃縮器(例えば、放物線状の鏡収集器)とを含む太陽光発電器を対象とする。変換器(単数または複数)は、捕捉構造に熱的に結合し、捕捉構造から熱を受ける変換器は排気されたエンクロージャ中に収容可能である。捕捉構造は1つまたは複数の突出要素を含んでよい。例えば、突出要素は、捕捉構造面の接面に対して実質的に直交に配置してよく、いくつかの例では、捕捉構造は平坦でよい。突出要素は、光学濃縮器によって捕捉構造上に配光された輻射光の少なくとも一部を受けるように適合可能である。突出要素は太陽輻射光への暴露に応じて熱を発生可能であり、変換器の端に熱的に結合して熱を端に伝達可能である。
【0019】
いくつかの実施形態は、太陽光捕捉面から太陽輻射光を吸収すると熱を発生するように適合された、1つまたは複数の輻射光捕捉構造を含み得る太陽光発電器を対象とする。1つまたは複数の熱電変換器が含まれてよく、輻射光捕捉構造(単数または複数)に熱的に結合するように適合可能で、輻射光捕捉構造(単数または複数)からの熱に曝されると電気を発生可能である。いくつかの例では、1つまたは複数の輻射光捕捉構造と熱電変換器が、複数の平坦板装置として適合可能であり、かつ/または、大気圧に比べ排気された複数の環境中に収容可能である。1つまたは複数の太陽光収集器が、入射太陽輻射光を収集して濃縮するように適合可能である。それぞれの太陽光収集器は、濃縮された太陽輻射光を、太陽光捕捉面の少なくとも一部の上に配光するように構成可能である。太陽光収集器は、1つまたは複数のレンズ構造、または、複合放物線状濃縮器として実施可能である。同様に、複数の太陽光濃縮器は、複数のトラフを形成するように構成可能であり、このトラフは二次元、および/または、三次元構造として実施可能である。1つの例では、複数の太陽光濃縮器が、互いに対してある角度で配置し得る2つ以上の反射面を含んでよい。それぞれの反射面は、太陽輻射光をトラフ中に反射するように適合可能である。同様に、複数の変換器の内の少なくとも1つの低温側が、少なくとも1つの反射構造に熱的に結合可能であり、この反射構造はヒートシンクとして作用可能である。他の例では、1つまたは複数の輻射光捕捉構造と複数の変換器とが複数の平坦板装置として適合可能である。太陽光濃縮器が適切に適合されると、平坦板装置はそれぞれ1つのトラフ中に位置することが可能である。他の例では、第1と第2の輻射光捕捉構造は、それぞれが、関連づけられた捕捉面を有する。1つまたは複数の太陽光収集器は、太陽輻射光を第1の太陽光捕捉面に配光するように適合された第1の部分と、太陽輻射光を第2の太陽光捕捉面に配光する
ように適合された第2の部分とを含んでよい。いくつかの実施形態では、太陽光濃縮器を含み構造全体が、独立した環境中にカプセル化可能である。他の実施形態では、太陽光濃縮器はカプセル化から除外してよい。
【0020】
他の実施形態では、太陽光発電器は、太陽輻射光を吸収すると熱を発生するように適合された輻射光捕捉構造を含んでよい。捕捉構造の太陽光捕捉面は太陽輻射光を捕捉し熱を発生可能である。1つまたは複数の変換器は、輻射光捕捉構造に熱的に結合可能であり、輻射光捕捉構造からの熱に曝されると電気を発生させるようにさらに適合可能である。太陽光収集伝導体は太陽光捕捉面に密接に結合(例えば、接触)可能であり、入射太陽輻射光を太陽光捕捉面上に収集して濃縮するように適合可能である。1つまたは複数の突出要素が輻射光捕捉構造に含まれ、太陽光収集伝導体からの太陽輻射光を収集すると共に、複数の方向(例えば、平坦な表面では捕捉不可能な多数の方向)から太陽輻射光を捕捉可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本出願中に開示された物体および特徴は本明細書に説明された図面および特許請求項を参照してよりよく理解可能である。図面は必ずしも等縮尺とは限らないが、それよりも、本発明の1つまたは複数の原理を例示することに強調がなされている。図面中では、さまざまな図面を通して、同じ数字は同じ部品を示すように使用される。本発明は、特に、特定の例および特定の実施形態を参照して本明細書に提示および説明されているが、これらにおいて、本発明の趣旨と範囲から逸脱することなしに形態および細部にさまざまな変更が可能であることが当業者によって理解されるべきである。
【0022】
【図1】太陽光発電器モジュールの平坦板構成の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図2】波長の関数として、さまざまに研磨された銅表面の反射率のグラフであり、放射率の推測を可能とするものであり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図3】1つのp型脚と1つのn型脚を備える太陽光発電器モジュールの平坦板構成の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図4】独立した環境中に封入された複数の平坦板モジュールの側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図5A】太陽光濃縮器としてレンズを使用する太陽光発電器の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図5B】太陽光濃縮器として2つの反射構造を使用する太陽光発電器の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図5C】太陽光捕捉構造と接触する太陽光濃縮器として、透過性レンズを使用する太陽光発電器の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図6A】太陽光濃縮器と水平位置の熱電変換器とを利用する太陽光発電器の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図6B】太陽光濃縮器と水平位置で互いの上に積み重ねた2つの熱電変換器とを利用する太陽光発電器の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図6C】キノコ形の太陽光濃縮器と水平位置の熱電変換器とを利用する太陽光発電器の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図7】複数の太陽光濃縮器としてトラフ設計に配列された複数の反射面を利用する太陽光発電器の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図8A】複数の太陽光濃縮器として複数のレンズ構造を利用する太陽光発電器の斜視図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図8B】図8Aに示す太陽光発電器の側面図である。
【図9】複数の太陽光濃縮器として複数のレンズ構造と、変換器群を有する単一の太陽光熱電発電器とを利用する太陽光発電器の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図10A】太陽光濃縮器として平坦なフレネルレンズと、独立した環境中に熱電変換器を封入するバリヤ構造を使用する太陽光発電器の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図10B】太陽光濃縮器として湾曲したフレネルレンズと、独立した環境中に熱電変換器を封入するバリヤ構造を使用する太陽光発電器の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図10C】2つの反射面を使用し、太陽輻射光を独立した環境中に熱電変換器を封入するバリヤ構造の上に濃縮する太陽光発電器の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図11】放物線状の反射面を使用し、突出要素を有する捕捉構造に結合した変換器を封入するバリヤ構造の上に太陽輻射光を濃縮する太陽光発電器の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図12A】支持構造から熱を除去するために流体ベースの熱伝達システムに結合した支持構造の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図12B】支持構造からの熱の伝達除去を増加させるための伸張体を備える支持構造の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図13A】試作品の太陽光発電器の概略図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図13B】図13Aに表される試作品の太陽光発電器で試験された出力対負荷抵抗のグラフである。
【図13C】図13Bに示されるデータと合致する試験された効率対負荷抵抗のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、太陽輻射光エネルギを電気に変換する際に、一般に高い効率、例えば、約4%より高い、好ましくは、約5、6、7、10、15、または20%より高い効率の太陽光熱電発電器を提供する。多くの実施形態では、輻射熱損失を最小限にすることが可能な低放射率面と共に、効率的な太陽輻射光吸収要素(例えば、二次元吸収層の形態で)の使用等の特徴の組み合わせによって、そのような高い効率が達成可能である。多くの場合、吸収層は高い横方向の熱伝導を示し、良好な熱濃縮器として機能することを可能にし、発生した熱を太陽光発電器の1つまたは複数の熱電変換器に容易に伝達する。さらに、多くの実施形態では、伝導性および/または対流性の熱損失を最小限にするように、太陽光発電器のさまざまな要素が、独立した環境内(例えば、排気された環境または低い熱伝導率を有する材料を含む環境(例えば、希ガス))に封入される。さらに、多くの場合では、太陽光発電器の複数の熱電変換器に渡る熱漏洩は、これらの変換器を散在分布させることを介して、最小化される。さらに、多くの実施形態では、高ZT値を有する熱電材料の使用で熱電発電器の効率を一層向上させることを可能とする。いくつかの場合では、光学濃縮器が使用され、太陽輻射光を熱電変換器の高温端上に収集して濃縮し、熱電変換器に渡る温度差の発生を一層促進する。
【0024】
定義
使用の文脈上、他の定義が示されない場合には、本出願を通して使用される用語および句に以下の定義を適用する。
【0025】
用語「a」および「an」は互換的であり、句「1つまたは複数の」と同じである。
【0026】
用語「放射率」は輻射光を放射する材料の性質を指す。本明細書に使用される、材料に関連づけられる放射率の値とは、同じ条件で完全な黒体の放射に対する材料の放射の比である。すなわち、
【0027】
【数2】
【0028】
である。ここでeは放射率、q(e)は単位面積単位時間当たりに放射される材料の総輻射エネルギであり、q(e)bは単位面積単位時間当たりに放射される完全な黒体の総輻射エネルギである。従って、材料の最高放射率は1であり、完全な黒体に対応する。
【0029】
句「低放射率」は、黒体に比べ小さい放射率の値を示す要素の傾向を指す。低放射率は、約0.1、0.05、0.04、0.03、0.02、0.01、または0.005より低い値によって特徴づけ可能である。同様に、低放射率は、1つまたは複数の電磁スペクトルの1つまたは複数の波長に対して定義可能である。例えば、低放射率は赤外波長および/またはより長い波長に対して関係し得る。他の例では、低放射率は約1.5、2、3、または4μより長い波長に渡り得る。
【0030】
p型要素およびn型要素と共に使用される用語「接合部」は、2つの要素の間の結合場所を指す。結合は、熱的、電気的、機械的な結合の任意の結合を指し得る。結合は、要素間の直接的な接触によるものでよいが、または、これらの要素に付着可能な1つまたは複数の中間の構造を利用してもよい。例えば、接合部は、互いに接触するn型要素およびp型要素を含んで良く、また、両方の要素に付着した太陽光捕捉構造を有し、太陽光捕捉面は良好な熱導体および/または電気導体でよい。他の例では、p型脚とn型脚の接合部は中間の熱導体を含んでよく、それぞれの脚は直接的に導体に接触するのみである。第3の例では、接合部は2つのn型脚と2つのp型脚が位置する場所を含んでよい。熱的な結合は4つの脚の間に存在し得るが、一方、電気的な結合は1つのn型脚にのみ電気的に結合した各p型脚に限定することができる。従って、これらの例、および他の構成は、接合部を構成し得るものの範囲内である。
【0031】
句「太陽輻射光」は太陽から発生した輻射光を指す。多くの例では、この句の使用は、地球の大気を通して減衰後に地球上で受けられる輻射光を指す。太陽輻射光は多くの波長成分を有し、多くの例では、目的の太陽輻射光は、約1.5から4ミクロンまでのより低い、または約3ミクロンより低い、または約2ミクロンより低い、または約1.5ミクロンより低い波長を有する成分を有する。いくつかの例では、目的の太陽輻射光は、約50nmから約1.5、2、3、または4ミクロンまでの、または約200nmから約1.5、2、3、または4ミクロンまでの範囲内の波長を有する成分を指す。
【0032】
太陽輻射光と共に使用される際の用語「入射」は、人工的に濃縮されていない、またはそれ以外では、非自然によって、または人為的な機構によって濃縮されていない太陽輻射光を指す。「入射太陽輻射光」は太陽の出力および地球上の位置の関数として変化するが、いくつかの例では、約400W/m2と1500W/m2の間の入射太陽輻射光値、または前述の範囲内の単一値(例えば、1000W/m2)を想定する。
【0033】
「太陽輻射光」と共に使用される際の用語「濃縮」は、入射太陽輻射光より上の強度の測定値を有する太陽輻射光を指す。いくつかの例では、濃縮された太陽輻射光は、400W/m2より上から1500W/m2より上のレベルに濃縮された太陽輻射光を指す場合がある。
【0034】
本発明の実施形態は、熱電発電器を使用して太陽輻射光を電気に変換するための、さまざまな設計および態様を対象にする。多くの特定の実施形態は特定の特徴を有して説明さ
れる。1つの例では、太陽光エネルギの選択的な吸収および低赤外放射率を有する太陽光捕捉面を使用する平坦板構成が説明される。他の例では、カプセル化された構成が太陽光濃縮器と共に使用される。しかし、これらの特定の構成は、本開示の全ての範囲を表すものではないと、理解すべきである。任意の実施形態から任意の数の特徴が、実施形態の他の任意の組み合わせから任意の数の特徴と組み合わせ可能である。例えば、第1の例で説明した平坦板構成は、太陽光濃縮器と組み合わせ可能、または電球状構成に再配列可能、またはその両方であり、これらは本発明のいくつかの実施形態と合致する。従って、全てのそのような可能性のある組み合わせが考えられ、これらは本発明の範囲内である。同様に、また、当業者は、本開示により利用可能な数多くの他の改造または変更を容易に確知するだろう。従って、全てのそのような改造も、さらに本発明の範囲内である。
【0035】
熱濃縮器構成
図1に例示された装置は、本発明のいくつかの実施形態を例証するものである。図1に太陽光発電器13の例が説明されており、1つまたは複数の(例えば、一対の)熱電変換器14に結合した輻射光捕捉構造12を含む。捕捉構造12は輻射光吸収層1aを含み、これは、さらに前面1bを含み、前面1bは直接的または濃縮器を介して、いずれかで太陽輻射光に曝されるように適合される。この例では、前面1bは実質的に平坦であるが、他の例では、層1aは湾曲してよい。さらに、この例では輻射光吸収層1aが連続的に示されるが、他の場合では、これは分離した複数のセグメントとして形成可能である。前面1b上に当たった太陽輻射光は、捕捉構造12中に熱を発生可能であり、この熱は熱電変換器14のそれぞれの一端15に伝達可能であり、下で一層詳細に説明する。さらに具体的には、この例では、輻射光吸収層1aは太陽輻射光(例えば、約1.5、2、3、または4ミクロンより短い波長)に対し高い吸収を示し、一方で、放射率が低く、そのために、低い吸収(例えば、約1.5、2、3、または4ミクロンより長い波長に対して)を示す材料で形成可能である。
【0036】
太陽輻射光の吸収は吸収層1a中に熱の発生を引き起こし、この熱は熱伝導性の中間層2を介して熱伝導性の後方層3aに伝導可能である。熱電変換器14は、一端15で後方層3aに熱的に結合し、発生した熱の少なくとも一部を受ける。このように、変換器の一端15は上昇した温度(本明細書では、高温端とも称する)に維持される。低温に曝される変換器の反対の端16では、熱電変換器は電気エネルギを発生可能である。下にさらに詳しく説明するように、上の輻射光吸収層1aは高い横方向の熱伝導(すなわち、前面1bに対して接面方向に高い熱伝導)を示し、発生した熱を変換器に一層効率的に伝導する。
【0037】
いくつかの実施形態では、図1に表すように、裏当て構造10(支持構造としても知られる)は、熱電変換器の低温端16に結合し、構造的に支持し、かつ/または、端16から熱を伝達除去する、すなわち、熱拡散器として作用する。例えば、裏当て構造10は、冷却流体、または周囲の空気、または、当業者に既知のものを含み、他のヒートシンク機構等のヒートシンクに熱的に結合してよい。例えば、図12Aに表したように、裏当て構造1220は熱電変換器1210と熱的に連結する。冷却液ループ1250は裏当て構造1220に結合し、ここから熱を除去する。真空気密の継ぎ手1260を利用して変換器1210の周りに排気された環境を維持してよい。導管1230は裏当て構造1220からループ1250中に熱伝達を可能とする。熱交換器1240を使用してループ1250から熱を除去してよい。図1に表すように、熱電変換器の反対の端16に結合する他の熱伝導性の構造を利用してもよい。例えば、図12Bに表すように、熱電変換器1210と熱的に連結する裏当て構造1225は、1つまたは複数の伸張体1226を含んでよく、これは、表面積を増加させ裏当て構造1225から熱の伝達除去を増加させるためのフィン状の構造でもよい。冷却特徴を備えるこのような裏当て構造は、図1に表したもの以外に、本明細書に開示する任意の実施形態に対して使用してもよいと認識されるべきである
。例えば、フィンは、図10A、10B、10C、および11(例えば、支持構造1030、1035上にあるフィン)を参照して説明したような、封入された独立した環境のモジュール上で使用してよい。
【0038】
図1に示す発電器13では、電極9が表されており、発電器13を電気負荷に結合させる。図1中には、また、電気伝導性の導出部4、11も表されており、これは、熱電変換器内および/または熱電変換器間で適切な電気的な結合を与え、変換器14によって発生した電気エネルギを取り出すために使用可能である。
【0039】
図1に表される太陽光発電器13は平坦板構成を有するように適合されるが、すなわち、発電器13は太陽光捕捉面を表す少なくとも1つの寸法的な拡がり18を有し、太陽光捕捉面を表さない少なくとも1つの他の寸法的な拡がり17より大きい。このような構成は、太陽輻射光捕捉のために利用可能な面積を有利に増加させ、一方で、十分に熱濃縮を行い、十分な温度差を熱電変換器に渡り確立させ、かなりの電気を発生させることを可能とする。平坦板構成は、屋上や他の人工構造上で利用可能な低形状の装置を提供することによって、特定の実際的な用途に向く。図1に示す装置は平坦板構成で表されているが、図1の装置および他の装置は、実施の可能性を維持しつつも、非平坦構成で構成してもよいと理解される。
【0040】
多くの実施形態では、捕捉構造の輻射光吸収部分は、少なくともその部分では、高い横方向の熱伝導を示し、例えば、吸収面に渡る温度差を小さく(例えば、約100℃、50℃、10℃、5℃または1℃)なるに十分な大きさの横方向の熱伝導を示し、熱を熱電変換器の高温端に伝達するために効率的な熱濃縮器として作用する。図1の基板層2によって表されるもの等、いくつかの実施形態では、輻射光捕捉構造は、また、横断方向(例えば、この場合では、吸収面1bに実質的に直角な方向)にも、かつ/または横方向に高い熱伝導を示し、吸収層から変換器に熱の伝達を促進可能である。例えば、捕捉構造は、例えば、約20W/mKより上の、または、約20W/mKから約400W/mKまでの範囲内の、高い熱伝導率を備える材料で形成される輻射光吸収層を含んでよい。いくつかの実施形態は、薄膜をそのような熱伝導率値を備える基板上に堆積させてよい。高い熱伝導は、より低い熱伝導率を備えるより厚い材料を使用しても達成可能である。使用可能な材料の例には、任意の金属の組み合わせ(例えば、銅を含有するもの、アルミニウムを含有するもの)、セラミックス、配向性高分子等の異方性材料(例えば、層の平面中等の方向に十分な熱伝導を有することが望ましい)、およびガラスを含む。捕捉構造の高い熱伝導特性は図1の単一の基板層2に例証されるが、一方で、複数の層状の材料等の多構造を使用し、いくつかの実施形態において所望される高い熱伝導特性を与えることも可能であると理解される。
【0041】
いくつかの実施形態では、捕捉構造は、1つまたは複数の有利な機能を与えるように適合された多数の成分を含んでよい。例えば、図1に示す捕捉構造12の輻射光吸収層1aは、太陽輻射光を選択的に吸収するように適合可能である。例えば、輻射光吸収層1aは、約1.5、2、または3ミクロンより短い波長を有する、または約50nmと約1.5、2、または3ミクロンとの間の波長を有する、または約200nmと約1.5、2、または3ミクロンとの間の波長を有する太陽輻射光を吸収するように適合可能である。当たった太陽輻射光の吸収可能な割合については、吸収層1aは、約70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%より大きい太陽輻射光の吸収率を示すように適合可能である。例えば、輻射光吸収層1aは、約50nmから約3ミクロンまでの範囲内の太陽輻射光波長に対して、そのような吸収率を達成可能である。いくつかの実施形態では、吸収層1aは、基板2に塗布されて所望の選択的な太陽光吸収率特性を与えるような1つまたは複数の被覆を含んでよい。1つまたは複数の選択性な被覆は、異なる光の屈折率、すなわち、一次元フォトニック構造を備える異種材料の1つまたは複数の層によって実施可能である。選択的な被覆は、回折格子、表面組織、または他の適切な二次元構造として実施可能である。他の例では、選択的な被覆は、ナノ複合物を含み、複数の型の材料の合金化または複合化によって実施可能である。基板2は、また、選択的な表面1bの一部でもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、捕捉構造の前面、または太陽輻射光に曝されるように適合された他の表面は、波長範囲に渡り、例えば、約1.5、2、3、または4ミクロンより長い輻射光波長で、低い放射率特性を示してよい。例えば、上の輻射光捕捉構造12では、前面1bは、約3ミクロンより長い波長で、約0.1より小さい、または、約0.05より小さい、または、さらに好ましくは、約0.01より小さい放射率を示してよい。そのような、放射率の低い表面は、輻射光放射による太陽光捕捉構造からの熱の損失を減少させ得る。そのような低い放射率は、また、約1.5、2、3、または4ミクロンより長い太陽輻射光波長の吸収を減少させ得るが、そのような波長では太陽光照度の低下が著しいため、吸収におけるその効果は非常に小さい。この模範的な実施形態では、前面1bだけでなく、輻射光捕捉構造12の背面3aは低い放射率、例えば、約3ミクロンより長い波長で低い放射率を示す。前面1bおよび背面3aの低い放射率特性は、同一である必要はない。例えば、背面は、前面1bと異なり太陽輻射光の吸収には寄与しないため、広い波長範囲に渡り低い放射率を示してよい。他のいくつかの実施形態では、前面および背面の内の1つだけが低い放射率を示してよい。
【0043】
さらに、輻射光捕捉構造12の背面3aに面する、裏当て構造10の内部面3bは低い放射率を示してよい。低い放射率は全ての波長に渡ってもよいし、または、約1.5、2、3、または4ミクロンより長い波長に渡ってもよい。内部面3bの低い放射率特性は、輻射光捕捉構造の背面3aのそれと同様でも、または異なってもよい。捕捉構造12の背面3aの低い放射率と裏当て構造10の内部面3bのそれとの組み合わせは、これら2つの面の間で輻射熱伝達を最小限にし、これにより、熱電変換器に渡る温度差の発生を促進する。
【0044】
内部面3bは、特に裏当て構造が金属で形成される場合には、裏当て構造10の残りの部分と同じ材料で形成してよい。別法として、内部面3bは裏当て構造10の残りの部分と異なった材料、例えば、赤外に拡張された反射率を有する異なった金属で形成してよい。この層または被覆は連続層でも、または、互いに電気的に絶縁された異なった領域に分割されても、または、さらに、熱電要素のための相互接続器として作用可能な電気的に互いに結合された領域に分割してもよい。金等の高い反射率を備える被覆は、低輻射光放射体として作用可能である。一般に、研磨された金属はより高い反射率を、そのため、粗い金属面に比べ、より低い放射率を示し得る。図2に示すように、精緻に研磨された銅表面は高い反射率を備える表面となり、すなわち、機械研磨された銅表面が最高の反射率を有し、手動研磨された銅表面、および非研磨の銅表面と続く。図2の反射率の測定値は、参照用アルミニウム鏡が単一体よりもわずかに低い反射率を有し得るために、3〜5%の誤差を含み得る。反射率とそれぞれの放射率の合計は同じであるため、ある波長範囲に渡るそのような高い反射率は、その波長範囲に渡る低い放射率に対応する。同様に、酸化されていない表面は、酸化されている表面に比べ低い放射率を有する傾向にある。
【0045】
低い放射率の表面1b、3aの任意の組み合わせを使用して、3bは、捕捉面12からの熱の伝達除去を阻害するように作用し得るため、熱電変換器14に渡りかなりの温度勾配を維持可能である。複数の低い放射率の表面が利用される場合には、これらの表面は同様の特性を有しても、または、これらの放射率特性が異なってもよい。いくつかの実施形態では、太陽光発電器の運転中に太陽光捕捉面または捕捉構造の他の部分が曝される温度範囲等の選択された温度範囲に渡って、1つまたは複数の構造で低い放射率特性を示してよい。例えば、約0℃から約1000℃までの、または約50℃から約500℃までの、
または約50℃から約300℃までの、または約100℃から約300℃までの温度範囲に渡り、低い放射率特性を示してよい。いくつかの実施形態では、電磁スペクトルの1つまたは複数の波長に渡り、任意の層(単数または複数)で低い放射率特性を示してよい。例えば、低い放射率は赤外範囲を含む範囲(例えば、約750nmより長い波長)に渡ってよい。他の例では、任意の層(単数または複数)の低放射は約1.5、2、3、または4ミクロンより長い波長に渡ってよい。他の実施形態では、任意の層(単数または複数)の低放射率は、層の動作温度において、約0.1よりも小さい、約0.05よりも小さい、約0.02よりも小さい、または約0.01よりも小さい総放射率値を有する表面によって特性づけ可能である。
【0046】
いくつかの実施形態では、前に説明したように、表面は、その上に塗布可能な1つまたは複数の被覆を含み、所望の低い放射率特性を備えてよい。他の例では、低放射率は、多層金属誘電性フォトニック結晶を使用して達成可能であり、これは、Narayanasywamy,A.らの出版物「一次元金属誘電性フォトニック結晶による熱放射制御」、Physical Review B,70,125101−1(2004)に説明されており、この内容を本明細書に援用する。いくつかの実施形態では、他の構造もまた、低放射率面の一部として作用可能である。例えば、図1に例証された実施形態を参照すると、基板2は、低放射率面1bの一部でもよい。例えば、基板として使用される高反射性の金属は、また、赤外範囲で低放射率面として作用可能であるが、一方で、この金属の上の1つまたは複数の被覆は太陽輻射光を吸収するように設計可能である。
【0047】
いくつかの実施形態では、図1の裏当て構造の外部面(例えば、模範的な太陽光発電器13中の表面19)は、例えば、赤外輻射光波長に対し高い放射率を示し、輻射冷却を促進してよい。これは、例えば、裏当て構造の外部面上に適切な被覆層を堆積することによって、達成可能である。
【0048】
本明細書中の他の実施形態の中で、図1に表される実施形態では、太陽光発電器は(例えば、ハウジングによって)カプセル化された部分を含み、この部分が独立した環境6(例えば、大気圧に比べ排気されている)に曝されるようにしてよい。好ましくは、この独立した環境は、捕捉構造12から熱の伝達除去を最小化するように選択される。このように、いくつかの実施形態では、大気圧よりもかなり低い圧力に排気された環境を利用する。例えば、排気された環境は約1mtorrより低い、または約10−6torrより低い圧力を有してよい。図1に表す、ハウジング5は装置13の全体をカプセル化可能とする。少なくともハウジング5の上面では、太陽輻射光に対して実質的に透明、例えば、太陽輻射光に対し高い透過率ならびに、低い反射率および吸収率を有してよい。利用し得る可能性のある材料には、種々の型のガラス、または、半透明のプラスチックを含む。1つまたは複数の被覆は、ハウジングの壁の1つまたは複数の側に塗布されて、所望の特性(例えば、低い反射損失)を与えてもよい。いくつかの実施形態では、捕捉構造12は、ハウジング5と、殆ど、または全く物理的な接触がなく、捕捉構造12からの熱の伝達除去の可能性を減少させる。図1に表される実施形態は、太陽光発電器構造13全体を実質的にカプセル化するハウジング5を利用してよく、他の実施形態は別の態様で構成してよい。例えば、太陽光捕捉面1bは、直射の入射太陽輻射光を受けるようにカプセル化せず、一方、装置13の残りの部分、または内部面3aと3bとの間の領域は、排気された環境中にカプセル化してもよい。排気された環境を収容するハウジングまたは他の構造は、当業者の既知の範囲のものを含み、任意の許容可能な態様で構築可能である。
【0049】
別の実施形態では、本明細書で説明するハウジングおよびエンクロージャを使用し、低い熱伝導(例えば、周囲の雰囲気に比べて)によって特徴づけ可能な独立した環境を封入可能である。従って、真空に代えて、封入環境は不活性ガス(例えば、アルゴン等の希ガス)等の熱容量の低いガスを含んでよい。他の例では、絶縁材料をエンクロージャ内に含
み、熱の伝達を制限してよい。例えば、捕捉面の背面および裏当て構造の内部面は、自身に付着させた材料を含み、放射率の低い層の使用に加え、一層の絶縁を行ってよい。このように、「排気された環境」を利用する本明細書で説明する実施形態は、これらの別の環境を使用して、また、実施可能である。
【0050】
図1に表した変換器14等の熱電変換器は、自身に渡り十分な温度差が確立すると、電気を発生可能である。いくつかの実施形態では、熱電変換器要素は、p型熱電脚およびn型熱電脚を含み、これらの脚は熱的および電気的に一端で結合し、例えば、pn接合部等の接合部を形成する。接合部は輻射光捕捉構造を含む、または、輻射光捕捉構造に結合してよく、本明細書で説明する構造と合致する熱濃縮器として作用可能である。広範囲な材料が熱電変換器に利用可能である。一般に、大きなZT値(例えば、約0.5、0.8、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、3、4、または5よりも大きな平均ZT値を備える材料)を有する材料を利用することは利点である。そのような材料の例のいくつかは、2004年10月29日出願で呼び番号10/977,363の米国特許出願公開番号US2006−0102224A1、および2006年12月1日出願で呼び60/872,242、「ナノ構造化された熱電材料における高性能を得るための方法」と題する米国仮出願に説明されており、この両方の内容を本明細書に援用する。
【0051】
p型およびn型材料に関しては、材料のそのようなドーピングは、例えば、当業者に既知な技術を使用して実行可能である。ドープされた材料は、あるレベルのドーピングを伴う実質的に単一材料でもよいし、または、セグメント化された構成としていくつかの例で知られているが、組み合わせで利用されるいくつかの材料を含んでもよい。熱電変換器は、複数の異なった発電器が結合し、発電器のそれぞれは異なった温度範囲で動作する、縦続の熱電発電器を利用してもよい。例えば、p−n対のそれぞれは、p−n対を積層したものでもよく、それぞれの対は選択された温度で動作するように設計される。いくつかの例では、セグメント化された構成、および/または縦続の構成は、広い温度範囲に渡り使用するように適合される。
【0052】
p型要素およびn型要素の配列は、動作可能な太陽光発電器をもたらす任意の態様で変化してよい。例えば、p型要素およびn型要素は周期性を有して、または周期性を欠くパターンで配列してよい。図1に1つの例を示すが、ここでは、p型脚およびn型脚7、8は互いに密接にクラスタ化しており、熱電変換器14を形成する。変換器脚のクラスタ、または個々の変換器脚は、等間隔で、または不等間隔で離間してよい。p型要素およびn型要素の対は、単なる1つの対を含む、任意の数で使用してよい。他の可能性のある構成は、図3に示す太陽光発電器100によって例証されるように、p型要素およびn型要素をさらに離して離間配置してよい。装置100は図1に示す太陽光発電器13に対していくつかの点で類似しており、大気圧に比べて排気された環境6’、捕捉面1’を備える捕捉構造12’、裏当て構造10’、および電極9’を与えるためにバリヤ構造5’を有する。捕捉構造12’および裏当て構造裏当て構造10’は金属材料で形成してよい。層2b’を形成可能な金属材料は、裏当て構造10‘中で熱拡散器として作用し、層2a’、2b’中では、で熱電構造7’、8’間の電気的な結合を構造7’、8’の両端で与える。裏当て構造10’上の層2b’は絶縁セグメント20によって分離されており、構造7’、8’の短絡を防止することに留意されたい。従って、本明細書のさまざまな実施形態中で利用される被覆および/または層は、所望の構成の電気的な結合等所望の機能を与えるように、連続または非連続でよいと理解される。任意選択的に、金属材料2a’、2b’の表面の1つまたは両方を研磨し、本明細書で説明したいくつかの実施形態と合致する低い放射率を有することが可能である。図3に表した装置100では、n型熱電要素7’およびp型熱電要素8’は、図1に示すものに比べ一層離れて離間配置される。太陽光熱電発電器中に複数の熱電変換器要素が利用される場合、p型熱電要素およびn型熱電要素は、互いにクラスタ化されるものと対照的に(例えば、均等に)離間配置してよい。例えば、熱損失が輻射によるもののみと考え、吸収体に銅材料を使用して、脚間の間隔は0.3mと大きくてよい。
【0053】
他に可能性のある熱電変換器要素の配列が図4に表されており、複数の熱電変換器の複数の熱電変換器要素(脚)210は離間配置された群220の中にクラスタ化される。熱電変換器要素210の群220はバリヤ230によってカプセル化され、排気された環境中に集合体を封入する。太陽輻射光が、本明細書に説明される光学濃縮器を利用する実施形態中にあるような1つまたは複数の太陽光捕捉表面上で不均一に分布する場合には、そのような配列の利用は利点があり得る。光学濃縮器が利用されない場合でも、変換器要素の配列は、例えば、1日を通して太陽点が捕捉面上を移動するにつれ太陽点の軌跡を追跡するように構成し得る。図4に示す配列では、群は物理的に分離される。しかし、装置は、互いに分離散在した変換器要素の群を備える単一体として実施し得ると理解される。
【0054】
熱電変換器要素の離間的な分布は、また、太陽光熱電発電器の電気的な発電性能に影響を与え得る。いくつかの実施形態では、熱電変換器要素の高温部分と低温部分との間に最小温度差が確立可能なように、熱電変換器要素は離間的に配列される。最小温度差は、約40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、100℃、150℃、200℃、250℃、280℃、または300℃より大きくてよい。いくつかの場合では、熱電変換器に渡るそのような温度差は、変換器の低温端を約95℃、90℃、80℃、70℃、60℃より低い温度、または、好ましくは約50℃より低い温度に維持し、一方で、光学濃縮を使用しない場合には、変換器の高温端を約350℃以下の温度に上昇させることによって達成可能である。低い太陽光濃縮(例えば、入射太陽輻射光の約2から約4倍以下の濃縮)では、温度は約500℃以下でよい。そのような温度差では、太陽光熱電発電器が高い効率で運転することが確実になり得る。特に、これらの温度仕様は、入射太陽輻射光のみを(すなわち、非濃縮輻射光)、および/または濃縮太陽輻射光利用する熱電発電器に対して利用可能である。
【0055】
別法として、または、追加で、実施形態では、熱電変換器のそれぞれの端の間で制限された熱伝導を与える離間的な分布の熱電変換器(単数または複数)を利用してよい。例えば、変換器の集合的な総熱伝導は、太陽光熱電発電器の輻射光捕捉構造と支持構造との間の総熱伝導の約5%、10%、15%、または20%より低くてよい。熱伝導は熱電変換器の脚の長さによって制限され得る、つまり、より長い脚はより少ない熱伝導にする。従って、いくつかの実施形態は、脚による熱伝導の減少に役立つように、脚の長さに対する断面積の比を制限する。例えば、脚の長さに対する脚の断面積の比は、約0.0001メートルから約1メートルまでの範囲でよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、熱電変換器および/または変換器の脚は散在態様で分布させてよい(例えば、太陽光捕捉面または裏当て構造に比べて)。熱電要素の散在分布は、要素の高温端から低温端への、要素を介する熱除去の減少に役立ち得る。図1および図3に表された熱電変換器要素の配列は、散在分布する要素の例示的ないくつかの実施形態を与える。
【0057】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の熱電変換器要素は太陽光捕捉面に比べて散在分布し、散在性は、変換器要素に関連づけられた総断面積(本明細書で「変換器面積」)に対する太陽光捕捉面積(捕捉面積)の相対比によって測定可能である。捕捉面積は、熱を発生させるために太陽輻射光に曝されるために利用可能な選択された太陽光捕捉面の面積の総量によって定義可能である。変換器面積は熱電変換器要素(単数または複数)の総有効断面積によって定義可能である。例えば、図1に対しては、4つのp型要素およびn型要素の全ては均一な断面積を備えて幾何形状が同様であると仮定すると、「変換器面積」はp型要素またはn型要素の断面積の4倍として定義可能であり、各要素の断面積は、その要素と交差する捕捉面1bに平行な推定面中に存在する断面の表面積によって定義可能である。一般に、捕捉面積の変換器面積に対する比が増加すると、変換器要素の分布はより散在する、すなわち、太陽光捕捉面の総量に対して熱電変換器要素がより少ない。
【0058】
本明細書で開示されたさまざまな実施形態では、変換器面積対捕捉面積の広範囲な比を利用可能である。いくつかの実施形態では、太陽光発電器は、約200、約400、約500、または約600以上の変換器面積に対する捕捉面積の比によって特徴付け可能である。そのような実施形態は、特に、太陽光濃縮器を利用せずに太陽輻射光を捕捉する平坦板構成を有する太陽光発電器と伴に利用される場合に、利点があり得る。いくつかの実施形態では、太陽光発電器は、約50、100、200、または300より大きな、変換器面積に対する捕捉面積の比によって特徴付け可能である。そのような実施形態は、特に、濃縮された太陽輻射光(すなわち、太陽光濃縮器を使用し、入射太陽輻射光を太陽光捕捉面上に収集して濃縮する)を捕捉する太陽光発電器と伴に利用される場合に、利点があり得る。説明した実施形態は説明した特定の構成に対して有利であろうが、そのような実施形態の範囲は、そのような特定の構成に限定されないことが理解される。
【0059】
光学濃縮器構成
下に開示するいくつかの実施形態は、1つまたは複数の光学濃縮器を備える使用に適合された、太陽光熱電発電器構成を利用する。光学濃縮器は、入射太陽輻射光を収集し、そのような太陽輻射光を濃縮する機能がある1つまたは複数の装置を指す。光学濃縮器は、典型的に、濃縮された太陽輻射光を、太陽光捕捉面等の標的に配光可能である。光学濃縮器が利用される実施形態の多くでは、濃縮器は、それらの高温端の一層効率的な加熱を介して、熱電変換器に渡りより高い温度差の発生を促進可能であり、変換器によってより高い電気出力をもたらし得る可能性がある。光学濃縮器は、また、太陽光発電器の性能を維持する可能性があると共に、より低い熱濃縮機能を有する太陽光捕捉構造(例えば、より大きな熱損失を示し得る、より小さな太陽光捕捉面および/または捕捉構造)と伴に、利用し得る可能性もある。図1、図3および図4に対して説明した実施形態は、入射太陽輻射光(すなわち、非濃縮の)を利用する際の使用に適合可能であるが、そのような実施形態は、また、本明細書に開示された任意の数の特徴を使用して、光学濃縮器と伴に利用可能である。同様に、太陽光濃縮器を参照して明示的に説明した太陽光熱電発電器の設計のいくつかは、必ずしも、そのような濃縮器を必要としない。
【0060】
光学濃縮器の使用を含む太陽光熱電発電器のいくつかの実施形態は、図5A〜5Cに示す模範的な装置によって例示される。図5Aに示すように、太陽光発電器510は、光学濃縮器、輻射光捕捉構造、熱電変換器要素、および裏当て構造を含んでよい。図5Aに表された特定の装置では、光学濃縮器は透過性要素511、すなわち、自身を通して太陽輻射光を伝導する機能がある要素として実施される。透過性要素は、太陽輻射光を濃縮および配光する機能がある、結像または非結像レンズ、または他の透過性構造でよい。図5Aに表されるように、入射太陽輻射光517は、透過性要素511によって濃縮された太陽輻射光518に濃縮され、輻射光捕捉構造の太陽光捕捉構造512上に配光される。この例では、光学濃縮器511は収束光学レンズを含み、レンズの焦点に近接して配置される輻射光捕捉構造512を備え、濃縮された太陽輻射光を受ける。太陽輻射光の濃縮は、入射太陽輻射光を利用する設計に比べ、より小さな太陽光捕捉面を使用し得る可能性がある。太陽輻射光のそのような捕捉は、輻射光捕捉構造を加熱し、次に、熱電変換器516のn型要素およびp型要素514、515の熱的に結合した端を加熱可能である。裏当て構造は、電極/熱拡散器513構造の組み合わせとして構成し、n型要素514とp型要素515との間の電気的な結合およびヒートシンクに熱的な結合を与え、変換器要素の反対の端の温度を低くすることが可能である。
【0061】
太陽光発電器の他の実施形態を図5Bに表す。太陽光発電器520では、一組の反射要
素521、522は、太陽光濃縮器として作用する。反射要素は、輻射光が実質的に要素を通過せずに、輻射光を再配光するように作用可能である。他の型の反射被覆を備える鏡および構造は、反射要素として作用可能である。図5Bに示す特定の実施形態では、入射太陽輻射光517は、構造524によって、この例では熱電変換器525の低温側に近接して配置される鏡面521に配光される。任意選択的に透明および/またはフレーム状の構造524は、鏡を支持し、下方の基板によって熱拡散が達成可能なように太陽輻射光を下方に配光可能である。輻射光反射要素521は、そこに入射する輻射光を反射要素522に反射し、次に、これが、この太陽輻射光を輻射光捕捉面523上に反射し、熱電変換器525の高温端を加熱する。いくつかの場合では、反射要素521は、反射光を反射要素522(例えば、反射要素521の曲率の中心に近接して配置してよい)上に濃縮させる、湾曲した形状の、例えば、放物線状の反射面を有してよい。そのような濃縮された太陽輻射光は、次に、反射要素522を介して、輻射光捕捉構造523上に配光されるが、いくつかの場合では、反射要素522自身も太陽輻射光を濃縮する。
【0062】
図5Cで例示される実施形態では、光学濃縮器のための別法が利用される。太陽光発電器530は、入射太陽輻射光を収集して濃縮するために太陽光収集伝導体531を含んでよい。太陽光収集伝導体531は輻射光捕捉構造532に密接して(例えば、接触または非常に小さな間隔を有して、または間に薄い材料を有する)結合して、濃縮された太陽輻射光を捕捉構造に直接導いてよく、一層効率的なエネルギ伝達をもたらす可能性がある。捕捉構造532と伝導体531との間は直接接触してよい。別法として、薄い熱絶縁体(例えば、多孔質ガラスまたは高分子材料で作られた)が構造531と532との間に配置してよい。例示された実施形態は、熱電変換器要素533により近い熱的な結合のために、排気された環境中に装置をカプセル化する必要性なしに実施してもよい。同様に、太陽光エネルギの濃縮が高い場合には(例えば、入射太陽輻射光の10倍または50倍より高く)、変換損失はあまり重要ではない。しかし、装置は、排気された環境中で利用してもよいことが理解される。
【0063】
いくつかの実施形態は、図5A〜5Cに表したものに比べ、熱電変換器が交互構成に整列した太陽光発電器を対象にする。図6Aに示すように、熱電変換器614は、自身のn型要素およびp型要素(脚)614a、614bが、2つの端601を有する等、経路に沿って整列するように構成してよい。図6Aに特に例証するように、2つの脚の端601は実質的に線形な拡がりを画定する。ここで、要素はp型脚614aおよびn型脚614bであり、湾曲した形状等他の脚の構成を利用可能であるが、各脚は伸張した(本明細書では軸とも称する)方向によって特徴づけられる。この例では、脚は、脚の軸方向が実質的に共に整列して共通平面中に配置される。さらに一般には、軸方向を備えるそのような脚は、共通平面中に互いに対して角度をつけて配置してよく、角度は、0°(すなわち、共に整列)から約180°より小さい、または約45°から約180°まで、または約90°から約180°までの範囲に渡ってよい。他の実施形態では、3つ以上の脚がさまざまな相対角度で結合してよい。図6Aでは、脚614a、614bは線形構成に整列する。特に、脚614a、614bは、図5A〜5Cに示す垂直に配向した脚に対して水平に配置してよい。そのような構成は、多くの可能性のある利点を与え得る。熱電変換器のための装置ハウジング全体がより低い形状を有し得るため、例えば、水平に配向した脚は、垂直に配向した脚を利用し、向かい合って、より堅固な機械的構造を与える。低い形状の構成は、太陽光発電器のための平坦板構成の構築に、および/または、本明細書で説明するように、そのような実施形態がさらに排気された環境を利用する際に、カプセル化のためにより小さな容積を提供することに、役立ち得る。
【0064】
図6Aに表すように、要素614a、614bは、熱電変換器614の両端601の間に位置する接合部617を共有する。ここに示す実施形態では、接合部617は、要素614aと614bの間に熱的および/または電気的な結合を与えるために他の型の要素も含みえるが、捕捉構造として作用する熱収集器616を含む。別法として、p型要素およびn型要素614a、614bは、接合部を生成するために物理的に接触してよい。1つまたは複数の輻射光収集器を使用して、入射輻射光を収集して捕捉し、濃縮された輻射光を熱電変換器上に配光し、接合部を加熱してよい。図6Aの特有の場合では、レンズ611は濃縮された太陽輻射光を熱収集器616上配光し、収集器616中に熱の発生をもたらす。熱収集器616は接合部617に熱的に結合しているため、熱収集器は自身の中に発生した熱(または、少なくとも、そのような熱の一部)を接合部に伝達し、接合部617を上昇した温度に曝す。本明細書の他の実施形態に対して説明したように、熱収集器616は、低い放射率を有する一方で、太陽輻射光吸収器でもよい。そのような熱収集器の材料の例は、1つまたは複数の炭素黒鉛層である。さらに、構造612、613は熱拡散器として作用して、要素614a、614bが結合した端を低温に保つことが可能であり、熱電変換器614が電気を発生させることを可能とする。
【0065】
図6Aおよび図6Bに示すように、広範囲な形状が、熱エネルギを接合部に導くための熱濃縮器として作用可能な捕捉構造として使用可能であると理解される。いくつかの実施形態では、熱エネルギが導かれる接合部に比べ比較的大きな捕捉面積を有する捕捉構造を利用することは利点である。図6Cは、熱電変換器650の接合部640に熱的に結合し、太陽輻射光への曝露により捕捉構造中に発生した熱を接合部640に伝達し得る熱伝導性の要素630として、捕捉構造の1つの例の概略を示す。熱伝導性の要素630は、太陽輻射光への暴露に応じて熱を発生し得る輻射光捕捉部分632を伴うキノコ状の形状を有する。他の形状も、また、利用可能である。接合部640に熱的に結合するために適合された熱伝導性のステム634は、輻射光捕捉部分632と接合部640との間に熱の経路を与える。接合部面積に比べ、太陽輻射光捕捉のためのより大きな捕捉面積を備える捕捉構造の他の例もまた、使用可能である。
【0066】
図6Aに示す装置610が1つの熱電変換器を利用するのに対し、他の実施形態は複数の熱電変換器を利用してよいと理解すべきである。そのような構成の1つの例を図6Bに示すが、ここでは、太陽光発電器620中に2つの熱電変換器614、615が表されている。変換器614、615のそれぞれは、p型脚614a、615bおよびn型脚614b、615aを有してよく、対応するp型脚およびn型脚は熱的および電気的に結合する。変換器614、615は、熱導体616を含む共通の接合部618を共有する。この実施形態では、2つの変換器のp型脚およびn型脚は、実質的に共通の平面中に配置される。接合部618は、変換器615、614の端602と603との間に位置する。光学濃縮器611は太陽輻射光を熱導体上に配光し、これにより、接合部618が変換器の脚614a、614b、615a、615bの端、すなわち、変換器614、615の高温端を加熱する。この例では、光学濃縮器は収束光学レンズを含み、このレンズは、その主軸PAがp型熱電脚およびn型熱電脚が配置される共通面に実質的に平行なように、熱電変換器615、614に対して配置される。変換器614、615の積層かつ水平な配向は、太陽光発電器がより機械的に堅固である低い形状の設計に役立つ作用をなし得る。
【0067】
図5A、5B、5C、6A、6B、および6Cに表されたさまざまな要素では、そのような要素は、本発明のさまざまな他の実施形態に対して説明するように、そのような要素に関連づけられた任意の特徴または変形を含んでよい。従って、1つまたは複数の低い放射率の表面の使用、装置を平坦板構成に構成すること、装置またはその一部を独立した(例えば、排気された)環境内でカプセル化すること、および、熱電変換器を離間的に分布させることは、例えば、任意の組み合わせで実施してよい。
【0068】
同様に、図5A、5B、5C、6A、6B、および6Cに示す実施形態は追加の部品を利用し、太陽光発電器の性能を拡張してもよい。例えば、図6Aに示すように、いくつかの実施形態では、入射太陽輻射光を1つまたは複数の太陽光濃縮器要素611上に維持す
るように、太陽光追跡装置660を含んでよい。典型的に、太陽光追跡装置は機構665を含み、太陽光濃縮器611の1つまたは複数の要素を移動させて太陽の動きを追跡して太陽光捕捉を向上させることに役立ち得る。別法として、太陽光追跡装置は、また、太陽光濃縮器を伴わないシステム中に使用してもよい。そのような例では、熱電モジュールは太陽光捕捉面を含み、追跡装置は捕捉面を移動させ入射太陽輻射光がこの表面に当たるように維持する。本明細書で説明するいくつかの実施形態は追跡装置を伴わずに使用されるように構成可能であるが、その一方で、太陽光追跡装置は、明示的に禁止する以外は、一般に、本明細書で開示する任意の実施形態と共に使用可能であると理解される。
【0069】
本発明の他の実施形態は、複数の領域で太陽輻射光を濃縮し1つまたは複数の太陽光捕捉構造に熱を供給可能な、複数の太陽光収集器を利用する太陽光発電器を対象とする。いくつかの実施形態では、図7に例証するもの等、複数の反射型太陽光収集器を利用する。表されるように、複数の太陽光収集器710、720は、複数のトラフ711、721を形成するように構成された一組の鏡面713、715、723、725として実施される。分離した熱電モジュール717、727は、トラフ711、721中に位置してよい。鏡面713、715、723、725は、太陽輻射光が熱電モジュール717、727それぞれの捕捉面に当たるように、太陽輻射光をトラフ711、721の中に反射可能である。熱電変換器および光学濃縮器のこの配列は図に示すものを超えて伸張してよい。この場合では、互いに面する太陽光収集器710および720の2つの傾斜した反射面715、723は、光学エネルギを熱電変換器717の輻射光捕捉面上に注ぐ。同様に、他の熱電変換器の多くは、2つの光学濃縮器の2つの対向する反射面からの輻射光の反射を介して、濃縮された太陽輻射光を受けることが可能である。そのような構成を使用し、低レベルの太陽輻射光濃縮器(例えば、入射太陽輻射光の1倍より大きく最大約4倍までの太陽光束)を提供可能である。太陽光収集器は、太陽と地球が互いに対して移動しても、かなりの量の太陽輻射光がトラフ中に連続して収集可能なように適合可能である。従って、他の用途ではそのような追跡機が利用されるであろうが、これらの実施形態のいくつかの用途においては、太陽光追跡機の使用は避けることができる。別の実施形態では、補助的な収集器として図7のV形状の収集器が利用可能であり、太陽光追跡装置を備える大きな太陽光濃縮器を使用して太陽輻射光をV形状の収集器上に投射する。同様に、V形状の収集器は、バリヤ構造によって囲われた独立した環境中に入るように小型化可能である。
【0070】
図7に示す複数の熱電モジュールは、排気された環境中にそれぞれがカプセル化された平坦板の装置として実施される。本明細書に開示される任意の装置または装置の特徴を含み、他のモジュール構成が代わりに利用可能であると理解される。しかし、いくつかの実施形態では、モジュール(例えば、収集角度に依存し得るが、入射太陽輻射光値の1倍から約4倍までの太陽輻射光束を使用して運転するモジュール)は、太陽光収集器によって発生可能な太陽光束と合致するように選択可能である。また、図7は二次元配列を表すが、トラフは三次元配列で実施してもよく、太陽光電気モジュールの三次元分布を考慮に入れると各トラフはより穴状であると理解される。
【0071】
複数の太陽光収集器を利用する太陽光発電器の他の実施形態は、種々の型の太陽光収集器を種々の配列で使用して構成可能である。例えば、太陽光発電器810が図8Aに斜視図で、図8Bに部分断面図で表される。複数のレンズ構造825として実施される太陽光収集器の組み立て体820は入射太陽輻射光を捕捉するように働く。レンズ構造825のそれぞれは、太陽輻射光を熱電モジュール830上に濃縮して配光するが、各レンズ構造825に対しては、それぞれのモジュール830が備えられる。各モジュール830は、本出願で説明する任意の構成を含み、任意の数の構成で実施してよい。図8Bに表すように、各モジュール830は、図6Aおよび6Bに示すような水平配向の一組の熱電変換器として構成可能である。従って、レンズ構造825は、太陽輻射光をモジュール830の対応する接合部上に配光するように適合可能である。モジュール830は、裏当て構造8
40に結合してよく、裏当て構造は、任意選択的に、変換器の端831を高温端832に比べ低温に保つヒートシンクとして構成してよい。図7によって例証する実施形態のように、複数のレンズ構造825の使用は、太陽輻射光を特定の位置に配光し、太陽光追跡装置の必要性を軽減する可能性がある。
【0072】
図7および図8は模範的ないくつかの実施形態を例証し、ここでは、複数の濃縮器が複数の熱電モジュールと共に使用されるが、濃縮器は単一の熱電モジュールと共に使用されるように構成してもよいと理解すべきである。そのような構成の1つの例を図9に示す。レンズ構造920として例証する一組の太陽光収集器を使用して入射太陽輻射光を熱電モジュール910上に捕捉して濃縮し、このモジュールを使用して濃縮された太陽輻射光から電気を生成することが可能である。そのようなモジュールには、図1に表されたモジュールに対して説明した任意の数の特徴(例えば、低い放射率の表面、平坦板構成、および/または排気された環境)を含んでよい。図9に表された特定の構成では、モジュール910は、捕捉構造913に対し離間したp型脚およびn型脚915の群916を含んでよい。レンズ構造920のそれぞれは、濃縮された太陽輻射光を捕捉構造の太陽光収集面の部分911上に配光するように適合可能であると共に、この部分は脚915の群916に近接する位置に一致してよい。図9に表されたシステムの設計における変形(図7および図8の場合のように)は、本発明の実施形態と合致するように使用可能であると理解される。例えば、太陽光収集器の異なる構成(例えば、適切に構成された反射面を使用する)をレンズ構造の代わりに使用し得る。同様に、1つの光学濃縮器が図9に示すモジュールに対して使用可能である。そのような例では、装置が追跡機能を利用しない場合には、焦点形成/濃縮された光点は太陽を追跡して移動してよい。このセットの1つの熱電ユニットは、大きさが小さく、これ故の低い輻射損失のために、より高い効率を発生可能である。
【0073】
太陽光濃縮器を備えるさまざまな熱電モジュール構成の使用を図7〜9に表された実施形態に示したが、他のモジュール設計もまた可能である。図10Aおよび10Bに、別の1つのモジュール設計およびその使用を表す。図10Aに示すように、フレネルレンズまたは他のなんらかの型の回折要素として実施可能な太陽光収集器1010を使用し、濃縮された太陽輻射光を、熱拡散器1030に熱的に結合(または、より一般的に支持構造に結合)可能な熱電モジュール1020上に焦点形成させる。可能性のある太陽光収集器の他の型には、1つまたは複数のレンズ要素、反射要素、および/または屈折要素の使用を含む。いくつかの実施形態では、熱電モジュール1020は熱拡散器1030に取り外し可能に結合してよい(例えば、機械的、熱的、および/または、電気的に)。従って、モジュール1020は熱拡散器中に容易に配置可能であり、そのようなシステムの維持性を向上させる。
【0074】
熱電モジュール1020の一層詳細な図面を、図10A中の吹き出し枠1025中に示す。モジュール1020は、モジュール1020を独立した環境中に封入するバリヤ構造1021(この場合、球状の構造)を含んでよい。独立した環境は大気圧に比べ排気された環境でよいが、または、周囲の雰囲気に比べて低い熱伝導を有する雰囲気を含んでもよい。例は、不活性ガス等の低い熱容量を有するガスの使用を含み得る。熱的絶縁材料をバリヤ構造1021内に統合し、熱電モジュールの高温端からの熱損失を減少させてよもよい。このバリヤは、少なくとも、部分的に太陽輻射光に対し透過性であるように適合可能であり、バリヤは、図1に対してカプセル化のために説明した特徴を任意の数含んでよい。図10Aに示す特定の構成では、バリヤ構造1021は、少なくとも、球状のエンクロージャの一部を形成するが、他の幾何形状の構成もまた考えられる。バリヤ構造1021は、任意選択的に、レンズ構造1026を含んでよく、バリヤ構造1021上に当たる太陽輻射光をさらに配光および/または濃縮可能である。エンクロージャ内では、輻射光捕捉構造1023が熱電変換器の脚1022に結合してよい。バリヤ構造1021上に当たる太陽輻射光を捕捉構造上に配光し、熱を発生させ、脚1022の1つの端を比較的に高温保つことが可能である。変換器の脚1022によって発生した電気は、電極1024を介して電気負荷に結合してよい。
【0075】
図10Aに例証されるバリヤ構造を利用する熱電モジュールは、多くの利点をもたらし得る。モジュールは、小さな容量(例えば、より大きな平坦板構成の容量に比べて)を有し小型に構成可能であり、排気された環境の維持が容易になる。太陽光濃縮器(例えば、入射太陽輻射光の約10倍より大きい等の高程度の濃縮を与える太陽光濃縮器)の使用は、熱濃縮のためにより小さな捕捉構造の使用を可能とし、より小さな容量の使用を可能とする。先に述べたように、そのような小型の構造は当然モジュール化してもよく、そのようなモジュールの交換を容易にする。この態様は、多数のモジュールを含む構成で特に利点がある。例えば、図8Aおよび8Bに表すシステムでは、モジュール830の代わりに、図10Aのカプセル化されたモジュール1020を利用可能である。これは、1つのモジュールが破損した場合に、維持を容易にする。しかし、図8Aおよび8Bのモジュール830は、また、カプセル化された交換可能なモジュール構成の中に収容可能でもあると理解される。
【0076】
当業者に明白なそのような改造を含み、図10Aに示すもの以外にさまざまな他の構成が考えられる。例えば、フレネルレンズ濃縮器は図10Aに表す平坦構造1010として、または、図10Bに示す湾曲1015を有する構造として構成可能である。同様に、フレネルレンズ以外にも、他の型の回折要素等他の型の光学濃縮器を使用してよい。図10Cに示すように、太陽光電気装置1060は、図5Bに対して説明した際に示したものと類似するが、熱電モジュール1020に太陽輻射光を配光する太陽光収集器として2つの反射器1040、1050を利用可能である。熱拡散器1070は熱的に環境に結合してヒートシンクとなり得る。同様に、カプセル化設計では、太陽輻射光をカプセル化された構造の一部の上に維持するように、本明細書で説明したような太陽光追跡機を利用してよい。そのような設計は、特別のレベルに濃縮された太陽光をカプセル化された構造上に維持することに役立つ(例えば、入射太陽輻射光の少なくとも10倍に)。これらの変形全て、および他のものは、本開示の範囲内である。
【0077】
本明細書で説明される、さまざまな太陽光電の実施形態と共に使用するための他のモジュール構成が図11に表される。太陽輻射光を配光し濃縮する際に使用される太陽光濃縮器は、反射要素1140(例えば、放物線状の鏡)を含んでよい。他の光学要素1130(例えば、収束レンズ)を使用しても、また、入射太陽輻射光を反射要素1140に向かって配光可能である。反射要素1140は、次に、入射する太陽輻射光を濃縮し熱電モジュール1110上に配光可能である。大気圧に比べ排気された環境を与えるようにエンクロージャ1120内に任意選択的にカプセル化可能であるモジュール1110は、太陽輻射光を吸収するために1つまたは複数の表面を含み得る輻射光捕捉構造1130を含んでよい。捕捉構造は、太陽輻射光に曝されると熱を発生可能である。捕捉構造は、反射要素1140によって反射された太陽輻射光の一部を受けるように適合可能な、1つまたは複数の突出要素1135を含んでよく、さらに、太陽輻射光スペクトルの少なくとも一部を吸収することによって熱を発生させるように構成してよい。例えば、図11に表すように、突出要素1135は捕捉構造1130の平坦面1133に実質的に垂直である。このように、放物線状の鏡は平坦面にのみ光を配光するように構成する必要はなく、突出面上にも光を配光してもよい。そのような設計は、太陽光収集器設計に関する要件に柔軟性を与えると共に、捕捉構造の熱発生容量を増加させ得るため、利点があり得る。突出要素は、多数の角度および方向から捕捉構造が太陽輻射光を吸収することを可能とする(例えば、単一の平坦面では捕捉不可能な方向を含む)。1つまたは複数の熱電変換器1160は捕捉構造1130に結合可能であり、変換器の一端を熱的に捕捉構造に結合させ他の端を熱拡散器1150に結合させる。突出要素は、本出願で開示された任意の捕捉構造(例えば、高選択性の太陽光吸収、および/または赤外光に対し低い放射率を備える、金属または他の材料)に合わせて、構成および設計可能である。同様に、突出要素を備えるモジュールの設計は、図10A〜10Cに対して説明した着脱可能に結合したモジュールでよい。
【0078】
本発明のいくつかの実施を例示するために以下に例を示す。この例は、利用されるいかなる特定の実施形態(単数または複数)の範囲を制限することを意図するものではなく、本発明の教示に従う熱電発電器が必然的に最適な性能を示すことを意図したものではない。
【0079】
図13Aに熱電発電器の試作機およびその性能を例示する。図13Aは試作機の概略図である。この発電器は市販されている一対のp型熱電要素およびn型熱電要素で作られる。約1mmの厚さがこの熱電要素に利用される。脚の厚さは、20ミクロンから最大5mmまででよい。銅で作られた選択的な吸収器が脚の上部に付着され、また電気的な相互接続として働く。この試験的な装置を真空室内で試験した。約1000W/m2の照明下での脚の対からの出力が図13Bに、効率が図13Cに示される。この試作品は平行板を使用しておらず、吸収器の後ろ側の反射性の増加は試みていない。特に本出願で開示されたものに加えて、これらの対策を行うことによって、より高い効率が達成し得る可能性がある。
【0080】
本発明の特定の実施形態を説明したが、上記の明細は例示的であり、限定的なものではない。本明細書の検討を行うと、本発明の多くの変形が当業者に明らかとなるだろう。本発明の完全な範囲は、同等物の完全な範囲、および明細書、およびような変形と共に、請求項を参照することによって決定されるべきである。指示しない限り、本明細書および請求項の中に使用される原材料の量、反応条件等を表す全ての数字は、全ての例において、用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。従って、逆に、指示しない限り、本明細書および添付の請求項中に述べた数値パラメータは、概略値であり、本発明によって獲得すべく探求する所望の特性により変わり得る。
【関連出願との関係】
【0001】
本出願は2006年11月13日出願の米国仮出願番号60/858,515号の優先権を主張する。この仮出願の全内容を本明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
本出願は、一般に太陽光エネルギの変換のための方法および装置に関し、特に、太陽光電熱変換の実行を可能とするような方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
太陽光エネルギの利用は、太陽光光起電によるもの、および、太陽光熱によるものに分類可能である。太陽光光起電(PV)は光子エネルギを直接電気に変換する。もう1つは太陽光熱で、典型的に光子エネルギを熱に変換し、通常は、光学濃縮器を通して、流体等の地球上の熱源に保存し、機械的な熱エンジンを使用して電気を発生させる。太陽電池は屋上で使用可能であるが、一方、機械的な熱エンジンによる太陽光熱エネルギ変換は、大規模発電用途により適する。
【0004】
現在の太陽光熱から電気への変換は蒸気発生および機械的な熱エンジンに依存し、熱電発電機材料を使用し、太陽光エネルギを最初に熱に変換し次に電気に変換する可能性が追求されてきているが、熱電装置の効率が低いために広く利用されてはいない。熱電発電は固体材料におけるゼーベック効果に依存し熱エネルギを電気に変換する。高温側温度Thと低温側温度Tcとの間で動作する熱電装置の理論的なエネルギ変換効率ηteは、
【0005】
【数1】
【0006】
により与えられる。ここで、係数(1-Tc/Th)はカルノ効率で、第2の係数は、Zの熱電性能指数と熱電材料の平均温度T[=0.5(Th+Tc)]によって決定される。熱電性能指数(Z)は、Z=S2σ/kを介して、材料のゼーベック係数S、電気伝導率σ、および熱伝導率kに関係する。この効率に基づく計算では、1〜2の間のZTで、303〜500Kで動作する熱電装置は9〜14%の効率を有し得るが、一方、1〜2の間のZTで、300〜1000Kで動作する熱電装置の効率は17〜25%に達し得ることが示される。
【0007】
しかし、太陽光熱電発電機において、そのような動作条件を達成することは困難であると判明している。実に、熱損失、およびそのような装置に対して適切な熱濃縮を行う機能は問題が多いままである。従って、太陽光熱電発電に関する改良型の技術を提供することに対する需要が存在する。
【発明の概要】
【0008】
太陽光発電器を利用するための技術が開示される。太陽光発電器は、輻射光捕捉構造と1つまたは複数の熱電変換器とを有し得る。太陽輻射光が当たることで捕捉構造中に発生した熱は、熱電変換器の一部を高温に維持し、一方、他の部分を低温にすることで電気を発生させる。このように、一般に、主として光学的な輻射光管理に係わる太陽電池と異なり、太陽光熱電変換器は、一般に、熱管理のためのさまざまな機構に係わる。
【0009】
いくつかの実施形態は、平坦板構成で実施可能な太陽光発電器を対象とする。いくつかの例では、発電器は少なくとも約4%の太陽光エネルギ変換効率を示し得る。太陽光発電器は輻射光捕捉構造を含んでよく、これは、独立したエンクロージャ(例えば、排気されたエンクロージャ、または希ガスで充填されたエンクロージャ)中に少なくとも部分的に配置され得る。輻射光捕捉構造は前面および背面を有してよい。任意選択的に、1つまたは複数の熱拡散要素が前面と背面との間に配置してよく、熱拡散要素(単数または複数)は高い熱伝導率(例えば、約20W/mKより大きい)を有してよい。これらの面のいずれか、または両方は低い放射率を示してよい。例えば、これらの面のいずれか、または両方の放射率は、約1.5、2、3、または4ミクロンより長い波長に対し約0.1、0.05、0.02、または0.01より小さくてよい。約0℃と約500℃との間、または約50℃と約300℃との間、または約100℃と約300℃との間等の選択された温度範囲に渡り、低い放射率を示してよい。前面は太陽輻射光に曝露されるように適合可能であり、および/または、太陽輻射光への曝露に応じて熱を発生させるように適合可能である。例えば、前面は、例えば、横方向に高い熱伝導率を示してよい。熱伝導率は約20W/mKより大きい、または約20W/mKから約400W/mKまでの範囲内でよい。いくつかの例では、前面は、太陽輻射光に対して約80%、90%、または95%より大きい吸収率を有するように適合される。一例として、そのような吸収率は、約3ミクロンより短い太陽輻射光波長、または約50nmと約3ミクロンとの間の太陽輻射光波長に対して、達成可能である。
【0010】
1つまたは複数の熱電変換器は、少なくとも部分的にエンクロージャ中に配置可能である。熱電変換器(単数または複数)は、輻射光捕捉構造に熱的に結合し得る高温端を有してよく、発生した熱の少なくとも一部を受ける。この熱は、変換器(単数または複数)に渡り温度差を実現させるために使用可能である。温度差は、少なくとも約50℃、100℃、150℃、200℃、または250℃でよい。変換器の任意の1つは、互いに接合部によって結合可能なp型脚とn型脚とを含んでよい。接合部は輻射光捕捉構造に熱的に結合してよい。1つまたは複数の電気伝導性の導出部は、変換器(単数または複数)によって発生した電気エネルギを取り出すために変換器(単数または複数)に結合してよい。
【0011】
太陽光発電器は、任意選択的に支持構造を含んでよく、熱電変換器の低温端に結合してよい。支持構造は、輻射光捕捉面の背面に面するように適合可能な内部面を含んでよい。内部面は低い放射率、例えば、全ての波長、または約1.5、2、3または4ミクロンより長い波長に対し、約0.1より小さい放射率を示してよい。支持構造は、1つまたは複数の熱電変換器の低温端から熱を除去するために使用可能な熱拡散器として作用可能である。支持構造は、また、ヒートシンクに熱的に結合してもよい。
【0012】
他の実施形態は、輻射光捕捉構造と、この捕捉構造に熱的に結合した複数の熱電変換器とを含み得る太陽光発電器を対象とし、それぞれの変換器は、捕捉構造から熱の少なくとも一部を受けることが可能である。太陽光発電器は約4%、または7%より大きな効率を示し得る。輻射光捕捉構造は、熱を発生させるように太陽輻射光に曝露されるために適合された前面と、背面とを有してよい。これらの面のいずれか、または両方は、約1、2、または3ミクロンより長い波長に対して、約0.1より小さな放射率を示してよい。
【0013】
変換器は、輻射光捕捉構造上の入射太陽輻射光に応じて、変換器の高温端と低温端との間に温度差が発生可能なように、輻射光捕捉構造に比べ離間的に配列可能である。一例として、温度差は少なくとも約50℃でよい。低温端は、約90℃、70℃、または50℃より低い温度に維持可能である。1つまたは複数の変換器は、互いに接合部によって結合可能なp型脚とn型脚とを含んでよい。いくつかの場合では、接合部は、p型脚とn型脚を相互接続可能な金属構造を含んでよい。p型脚とn型脚の内の少なくとも1つが、約0
.0001メートルから約1メートルまでの範囲内の、長さに対する断面積の比によって特徴づけ可能である。支持構造は、変換器の低温端に結合してよい。変換器は、輻射光捕捉構造と支持構造との間の総熱伝導の約20%より小さい集合的な熱伝導を示し得る。いくつかの例では、輻射光捕捉構造が捕捉面積によって特徴づけ可能であり、複数の熱電変換器が変換器面積によって特徴づけ可能である。いくつかの実施形態では、変換器面積に対する捕捉面積の比は、約100、400または600より大きくてよい。複数の熱電変換器が大気圧に比べて排気された環境中にカプセル化可能であり、かつ/または平坦板構成中で実施可能である。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態は、任意選択的に平坦板構成に構成され、少なくとも1つのn型熱電脚と、少なくとも1つのp型脚とを含む太陽光発電器を対象とする。脚は熱的に結合して接合部を形成可能であり、それぞれが軸方向によって特徴づけ可能である。接合部は、p型脚とn型脚との間に接触点を含む、または、少なくとも1つのp型脚と少なくとも1つのn型脚とに熱的に結合した捕捉構造を含んでよい。捕捉構造は、この構造上に当たる濃縮された太陽輻射光を吸収し、熱を発生させるように適合可能である。1つまたは複数の輻射光収集器が含まれてよく、入射太陽輻射光を収集して濃縮する。輻射光収集器(単数または複数)は濃縮された太陽輻射光を接合部に配光するように適合可能である。脚は、また、接合部で電気的に結合して熱電変換器を形成してよい。それぞれの脚は、脚の軸方向間の角度が約0°から約180°までの範囲内に存在するように、他の脚に相対して配置してよい。例えば、n型脚とp型脚は線形に整列してよい。他の例では、n型脚とp型脚の複数の対は、それぞれの対が1つのn型脚と1つのp型脚とを有する対で組み立てられる。それぞれの対は線形に整列され、それぞれの対は対の接合部を有する。複数の輻射光収集器は、濃縮された太陽輻射光を対の接合部に配光するように適合可能である。いくつかの例では、対は共通接合部を共有し、任意の他の接合部の任意の特徴を有してよい。
【0015】
他の実施形態は、平坦板構成中に収容可能な少なくとも1つの熱電変換器を含む、太陽光発電器を対象とする。太陽光発電器は、n型脚とp型脚を含んでよい。脚は、線形な経路等の経路に沿って整列してよく、接合部を共有してよい。接合部は熱電変換器の端の間に位置してよい。1つまたは複数の輻射光収集器が、入射太陽輻射光を収集して濃縮するように適合可能である。輻射光収集器(単数または複数)は濃縮された太陽輻射光を接合部に配光するように適合可能である。接合部は、脚に熱的に結合した捕捉構造を含んでよい。捕捉構造は、捕捉構造上に当たる濃縮された太陽輻射光を吸収し、熱を発生させるように適合可能である。
【0016】
いくつかの実施形態は、自身の高温端で接合部によって互いに熱的に結合した複数の熱電変換器を含む、太陽光発電器を対象とする。変換器は温度差に曝されると電気を発生させるように適合可能である。1つまたは複数の変換器の少なくとも一部に絶縁材料を結合させ、変換器からの熱の伝達減少させてよい。変換器は平坦板構成中に収容可能であり、取り外し可能なモジュール中に収容可能であり、かつ/または、独立した環境中にカプセル化可能である。変換器は平面を共有するように構成可能であり、任意選択的に、互いに平行に整列可能である。1つまたは複数の変換器はp型脚とn型脚とを含んでよく、接合部は脚間の結合を含んでよい。1つまたは複数の光学濃縮器が含まれてよく、入射太陽輻射光を収集して濃縮する。濃縮器は濃縮された太陽輻射光を接合部に配光可能である。接合部は複数の変換器に熱的に結合した捕捉構造を含んでよい。捕捉構造は、捕捉構造上に当たる濃縮された太陽輻射光を吸収し、熱を発生させるように適合可能である。
【0017】
他の実施形態は、バリヤ構造を利用し独立した環境を封入する太陽光発電器を対象とする。独立した環境は、大気圧よりも低い熱容量を備える環境でよいし、大気圧に比べ排気された環境でよいし、かつ/または、低い熱伝導を示す材料(例えば、絶縁材料)の使用
を含んでもよい。球状の形状を有し得るバリヤ構造は、太陽輻射光の1つまたは複数の波長に対して少なくとも部分的に透過性でよい。1つまたは複数の熱電変換器は、独立した環境中に配置してよい。捕捉構造はバリヤ構造内に含まれて、変換器(単数または複数)に熱的に結合してよい。捕捉構造は輻射光濃縮器からの濃縮された太陽輻射光を吸収するように適合可能であり、熱を発生可能である。輻射光濃縮器は、独立した環境に光学的に結合し、変換器の少なくとも一部を加熱するように太陽輻射光を配光し、変換器に渡り(例えば、変換器の高温端と低温端に渡り)温度差の発生を促進可能である。輻射光濃縮器は、入射太陽輻射光の少なくとも約10倍のレベルに太陽輻射光を濃縮するように適合可能である。輻射光濃縮器は1つまたは複数のレンズ要素、1つまたは複数の反射要素、または、1つまたは複数の屈折要素または回折要素を含んでよく、それぞれが、太陽輻射光を配光し熱電変換器を加熱するように適合可能である。太陽輻射光追跡機を含んでもよい。追跡機は、1つまたは複数の変換器に対して輻射光濃縮器を移動させ、太陽輻射光への暴露を維持し、変換器(単数または複数)を加熱するように適合可能である。変換器(単数または複数)に熱的に結合するように適合された熱拡散器を含んでもよく、熱拡散器は変換器の少なくとも一部から熱を除去し得る可能性がある。いくつかの例では、1つまたは複数のバリヤ構造が、熱拡散器に、熱的、電気的、および/または、取り外し可能に結合可能である。
【0018】
いくつかの実施形態は、太陽輻射光に曝され熱を発生させるために適合された輻射光吸収面を有する輻射光捕捉構造と、1つまたは複数の熱電変換器と、輻射光捕捉構造に光学的に結合し太陽輻射光を輻射光捕捉構造に配光可能な光学濃縮器(例えば、放物線状の鏡収集器)とを含む太陽光発電器を対象とする。変換器(単数または複数)は、捕捉構造に熱的に結合し、捕捉構造から熱を受ける変換器は排気されたエンクロージャ中に収容可能である。捕捉構造は1つまたは複数の突出要素を含んでよい。例えば、突出要素は、捕捉構造面の接面に対して実質的に直交に配置してよく、いくつかの例では、捕捉構造は平坦でよい。突出要素は、光学濃縮器によって捕捉構造上に配光された輻射光の少なくとも一部を受けるように適合可能である。突出要素は太陽輻射光への暴露に応じて熱を発生可能であり、変換器の端に熱的に結合して熱を端に伝達可能である。
【0019】
いくつかの実施形態は、太陽光捕捉面から太陽輻射光を吸収すると熱を発生するように適合された、1つまたは複数の輻射光捕捉構造を含み得る太陽光発電器を対象とする。1つまたは複数の熱電変換器が含まれてよく、輻射光捕捉構造(単数または複数)に熱的に結合するように適合可能で、輻射光捕捉構造(単数または複数)からの熱に曝されると電気を発生可能である。いくつかの例では、1つまたは複数の輻射光捕捉構造と熱電変換器が、複数の平坦板装置として適合可能であり、かつ/または、大気圧に比べ排気された複数の環境中に収容可能である。1つまたは複数の太陽光収集器が、入射太陽輻射光を収集して濃縮するように適合可能である。それぞれの太陽光収集器は、濃縮された太陽輻射光を、太陽光捕捉面の少なくとも一部の上に配光するように構成可能である。太陽光収集器は、1つまたは複数のレンズ構造、または、複合放物線状濃縮器として実施可能である。同様に、複数の太陽光濃縮器は、複数のトラフを形成するように構成可能であり、このトラフは二次元、および/または、三次元構造として実施可能である。1つの例では、複数の太陽光濃縮器が、互いに対してある角度で配置し得る2つ以上の反射面を含んでよい。それぞれの反射面は、太陽輻射光をトラフ中に反射するように適合可能である。同様に、複数の変換器の内の少なくとも1つの低温側が、少なくとも1つの反射構造に熱的に結合可能であり、この反射構造はヒートシンクとして作用可能である。他の例では、1つまたは複数の輻射光捕捉構造と複数の変換器とが複数の平坦板装置として適合可能である。太陽光濃縮器が適切に適合されると、平坦板装置はそれぞれ1つのトラフ中に位置することが可能である。他の例では、第1と第2の輻射光捕捉構造は、それぞれが、関連づけられた捕捉面を有する。1つまたは複数の太陽光収集器は、太陽輻射光を第1の太陽光捕捉面に配光するように適合された第1の部分と、太陽輻射光を第2の太陽光捕捉面に配光する
ように適合された第2の部分とを含んでよい。いくつかの実施形態では、太陽光濃縮器を含み構造全体が、独立した環境中にカプセル化可能である。他の実施形態では、太陽光濃縮器はカプセル化から除外してよい。
【0020】
他の実施形態では、太陽光発電器は、太陽輻射光を吸収すると熱を発生するように適合された輻射光捕捉構造を含んでよい。捕捉構造の太陽光捕捉面は太陽輻射光を捕捉し熱を発生可能である。1つまたは複数の変換器は、輻射光捕捉構造に熱的に結合可能であり、輻射光捕捉構造からの熱に曝されると電気を発生させるようにさらに適合可能である。太陽光収集伝導体は太陽光捕捉面に密接に結合(例えば、接触)可能であり、入射太陽輻射光を太陽光捕捉面上に収集して濃縮するように適合可能である。1つまたは複数の突出要素が輻射光捕捉構造に含まれ、太陽光収集伝導体からの太陽輻射光を収集すると共に、複数の方向(例えば、平坦な表面では捕捉不可能な多数の方向)から太陽輻射光を捕捉可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本出願中に開示された物体および特徴は本明細書に説明された図面および特許請求項を参照してよりよく理解可能である。図面は必ずしも等縮尺とは限らないが、それよりも、本発明の1つまたは複数の原理を例示することに強調がなされている。図面中では、さまざまな図面を通して、同じ数字は同じ部品を示すように使用される。本発明は、特に、特定の例および特定の実施形態を参照して本明細書に提示および説明されているが、これらにおいて、本発明の趣旨と範囲から逸脱することなしに形態および細部にさまざまな変更が可能であることが当業者によって理解されるべきである。
【0022】
【図1】太陽光発電器モジュールの平坦板構成の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図2】波長の関数として、さまざまに研磨された銅表面の反射率のグラフであり、放射率の推測を可能とするものであり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図3】1つのp型脚と1つのn型脚を備える太陽光発電器モジュールの平坦板構成の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図4】独立した環境中に封入された複数の平坦板モジュールの側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図5A】太陽光濃縮器としてレンズを使用する太陽光発電器の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図5B】太陽光濃縮器として2つの反射構造を使用する太陽光発電器の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図5C】太陽光捕捉構造と接触する太陽光濃縮器として、透過性レンズを使用する太陽光発電器の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図6A】太陽光濃縮器と水平位置の熱電変換器とを利用する太陽光発電器の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図6B】太陽光濃縮器と水平位置で互いの上に積み重ねた2つの熱電変換器とを利用する太陽光発電器の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図6C】キノコ形の太陽光濃縮器と水平位置の熱電変換器とを利用する太陽光発電器の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図7】複数の太陽光濃縮器としてトラフ設計に配列された複数の反射面を利用する太陽光発電器の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図8A】複数の太陽光濃縮器として複数のレンズ構造を利用する太陽光発電器の斜視図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図8B】図8Aに示す太陽光発電器の側面図である。
【図9】複数の太陽光濃縮器として複数のレンズ構造と、変換器群を有する単一の太陽光熱電発電器とを利用する太陽光発電器の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図10A】太陽光濃縮器として平坦なフレネルレンズと、独立した環境中に熱電変換器を封入するバリヤ構造を使用する太陽光発電器の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図10B】太陽光濃縮器として湾曲したフレネルレンズと、独立した環境中に熱電変換器を封入するバリヤ構造を使用する太陽光発電器の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図10C】2つの反射面を使用し、太陽輻射光を独立した環境中に熱電変換器を封入するバリヤ構造の上に濃縮する太陽光発電器の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図11】放物線状の反射面を使用し、突出要素を有する捕捉構造に結合した変換器を封入するバリヤ構造の上に太陽輻射光を濃縮する太陽光発電器の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図12A】支持構造から熱を除去するために流体ベースの熱伝達システムに結合した支持構造の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図12B】支持構造からの熱の伝達除去を増加させるための伸張体を備える支持構造の側面図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図13A】試作品の太陽光発電器の概略図であり、本発明のいくつかの実施形態と合致する。
【図13B】図13Aに表される試作品の太陽光発電器で試験された出力対負荷抵抗のグラフである。
【図13C】図13Bに示されるデータと合致する試験された効率対負荷抵抗のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、太陽輻射光エネルギを電気に変換する際に、一般に高い効率、例えば、約4%より高い、好ましくは、約5、6、7、10、15、または20%より高い効率の太陽光熱電発電器を提供する。多くの実施形態では、輻射熱損失を最小限にすることが可能な低放射率面と共に、効率的な太陽輻射光吸収要素(例えば、二次元吸収層の形態で)の使用等の特徴の組み合わせによって、そのような高い効率が達成可能である。多くの場合、吸収層は高い横方向の熱伝導を示し、良好な熱濃縮器として機能することを可能にし、発生した熱を太陽光発電器の1つまたは複数の熱電変換器に容易に伝達する。さらに、多くの実施形態では、伝導性および/または対流性の熱損失を最小限にするように、太陽光発電器のさまざまな要素が、独立した環境内(例えば、排気された環境または低い熱伝導率を有する材料を含む環境(例えば、希ガス))に封入される。さらに、多くの場合では、太陽光発電器の複数の熱電変換器に渡る熱漏洩は、これらの変換器を散在分布させることを介して、最小化される。さらに、多くの実施形態では、高ZT値を有する熱電材料の使用で熱電発電器の効率を一層向上させることを可能とする。いくつかの場合では、光学濃縮器が使用され、太陽輻射光を熱電変換器の高温端上に収集して濃縮し、熱電変換器に渡る温度差の発生を一層促進する。
【0024】
定義
使用の文脈上、他の定義が示されない場合には、本出願を通して使用される用語および句に以下の定義を適用する。
【0025】
用語「a」および「an」は互換的であり、句「1つまたは複数の」と同じである。
【0026】
用語「放射率」は輻射光を放射する材料の性質を指す。本明細書に使用される、材料に関連づけられる放射率の値とは、同じ条件で完全な黒体の放射に対する材料の放射の比である。すなわち、
【0027】
【数2】
【0028】
である。ここでeは放射率、q(e)は単位面積単位時間当たりに放射される材料の総輻射エネルギであり、q(e)bは単位面積単位時間当たりに放射される完全な黒体の総輻射エネルギである。従って、材料の最高放射率は1であり、完全な黒体に対応する。
【0029】
句「低放射率」は、黒体に比べ小さい放射率の値を示す要素の傾向を指す。低放射率は、約0.1、0.05、0.04、0.03、0.02、0.01、または0.005より低い値によって特徴づけ可能である。同様に、低放射率は、1つまたは複数の電磁スペクトルの1つまたは複数の波長に対して定義可能である。例えば、低放射率は赤外波長および/またはより長い波長に対して関係し得る。他の例では、低放射率は約1.5、2、3、または4μより長い波長に渡り得る。
【0030】
p型要素およびn型要素と共に使用される用語「接合部」は、2つの要素の間の結合場所を指す。結合は、熱的、電気的、機械的な結合の任意の結合を指し得る。結合は、要素間の直接的な接触によるものでよいが、または、これらの要素に付着可能な1つまたは複数の中間の構造を利用してもよい。例えば、接合部は、互いに接触するn型要素およびp型要素を含んで良く、また、両方の要素に付着した太陽光捕捉構造を有し、太陽光捕捉面は良好な熱導体および/または電気導体でよい。他の例では、p型脚とn型脚の接合部は中間の熱導体を含んでよく、それぞれの脚は直接的に導体に接触するのみである。第3の例では、接合部は2つのn型脚と2つのp型脚が位置する場所を含んでよい。熱的な結合は4つの脚の間に存在し得るが、一方、電気的な結合は1つのn型脚にのみ電気的に結合した各p型脚に限定することができる。従って、これらの例、および他の構成は、接合部を構成し得るものの範囲内である。
【0031】
句「太陽輻射光」は太陽から発生した輻射光を指す。多くの例では、この句の使用は、地球の大気を通して減衰後に地球上で受けられる輻射光を指す。太陽輻射光は多くの波長成分を有し、多くの例では、目的の太陽輻射光は、約1.5から4ミクロンまでのより低い、または約3ミクロンより低い、または約2ミクロンより低い、または約1.5ミクロンより低い波長を有する成分を有する。いくつかの例では、目的の太陽輻射光は、約50nmから約1.5、2、3、または4ミクロンまでの、または約200nmから約1.5、2、3、または4ミクロンまでの範囲内の波長を有する成分を指す。
【0032】
太陽輻射光と共に使用される際の用語「入射」は、人工的に濃縮されていない、またはそれ以外では、非自然によって、または人為的な機構によって濃縮されていない太陽輻射光を指す。「入射太陽輻射光」は太陽の出力および地球上の位置の関数として変化するが、いくつかの例では、約400W/m2と1500W/m2の間の入射太陽輻射光値、または前述の範囲内の単一値(例えば、1000W/m2)を想定する。
【0033】
「太陽輻射光」と共に使用される際の用語「濃縮」は、入射太陽輻射光より上の強度の測定値を有する太陽輻射光を指す。いくつかの例では、濃縮された太陽輻射光は、400W/m2より上から1500W/m2より上のレベルに濃縮された太陽輻射光を指す場合がある。
【0034】
本発明の実施形態は、熱電発電器を使用して太陽輻射光を電気に変換するための、さまざまな設計および態様を対象にする。多くの特定の実施形態は特定の特徴を有して説明さ
れる。1つの例では、太陽光エネルギの選択的な吸収および低赤外放射率を有する太陽光捕捉面を使用する平坦板構成が説明される。他の例では、カプセル化された構成が太陽光濃縮器と共に使用される。しかし、これらの特定の構成は、本開示の全ての範囲を表すものではないと、理解すべきである。任意の実施形態から任意の数の特徴が、実施形態の他の任意の組み合わせから任意の数の特徴と組み合わせ可能である。例えば、第1の例で説明した平坦板構成は、太陽光濃縮器と組み合わせ可能、または電球状構成に再配列可能、またはその両方であり、これらは本発明のいくつかの実施形態と合致する。従って、全てのそのような可能性のある組み合わせが考えられ、これらは本発明の範囲内である。同様に、また、当業者は、本開示により利用可能な数多くの他の改造または変更を容易に確知するだろう。従って、全てのそのような改造も、さらに本発明の範囲内である。
【0035】
熱濃縮器構成
図1に例示された装置は、本発明のいくつかの実施形態を例証するものである。図1に太陽光発電器13の例が説明されており、1つまたは複数の(例えば、一対の)熱電変換器14に結合した輻射光捕捉構造12を含む。捕捉構造12は輻射光吸収層1aを含み、これは、さらに前面1bを含み、前面1bは直接的または濃縮器を介して、いずれかで太陽輻射光に曝されるように適合される。この例では、前面1bは実質的に平坦であるが、他の例では、層1aは湾曲してよい。さらに、この例では輻射光吸収層1aが連続的に示されるが、他の場合では、これは分離した複数のセグメントとして形成可能である。前面1b上に当たった太陽輻射光は、捕捉構造12中に熱を発生可能であり、この熱は熱電変換器14のそれぞれの一端15に伝達可能であり、下で一層詳細に説明する。さらに具体的には、この例では、輻射光吸収層1aは太陽輻射光(例えば、約1.5、2、3、または4ミクロンより短い波長)に対し高い吸収を示し、一方で、放射率が低く、そのために、低い吸収(例えば、約1.5、2、3、または4ミクロンより長い波長に対して)を示す材料で形成可能である。
【0036】
太陽輻射光の吸収は吸収層1a中に熱の発生を引き起こし、この熱は熱伝導性の中間層2を介して熱伝導性の後方層3aに伝導可能である。熱電変換器14は、一端15で後方層3aに熱的に結合し、発生した熱の少なくとも一部を受ける。このように、変換器の一端15は上昇した温度(本明細書では、高温端とも称する)に維持される。低温に曝される変換器の反対の端16では、熱電変換器は電気エネルギを発生可能である。下にさらに詳しく説明するように、上の輻射光吸収層1aは高い横方向の熱伝導(すなわち、前面1bに対して接面方向に高い熱伝導)を示し、発生した熱を変換器に一層効率的に伝導する。
【0037】
いくつかの実施形態では、図1に表すように、裏当て構造10(支持構造としても知られる)は、熱電変換器の低温端16に結合し、構造的に支持し、かつ/または、端16から熱を伝達除去する、すなわち、熱拡散器として作用する。例えば、裏当て構造10は、冷却流体、または周囲の空気、または、当業者に既知のものを含み、他のヒートシンク機構等のヒートシンクに熱的に結合してよい。例えば、図12Aに表したように、裏当て構造1220は熱電変換器1210と熱的に連結する。冷却液ループ1250は裏当て構造1220に結合し、ここから熱を除去する。真空気密の継ぎ手1260を利用して変換器1210の周りに排気された環境を維持してよい。導管1230は裏当て構造1220からループ1250中に熱伝達を可能とする。熱交換器1240を使用してループ1250から熱を除去してよい。図1に表すように、熱電変換器の反対の端16に結合する他の熱伝導性の構造を利用してもよい。例えば、図12Bに表すように、熱電変換器1210と熱的に連結する裏当て構造1225は、1つまたは複数の伸張体1226を含んでよく、これは、表面積を増加させ裏当て構造1225から熱の伝達除去を増加させるためのフィン状の構造でもよい。冷却特徴を備えるこのような裏当て構造は、図1に表したもの以外に、本明細書に開示する任意の実施形態に対して使用してもよいと認識されるべきである
。例えば、フィンは、図10A、10B、10C、および11(例えば、支持構造1030、1035上にあるフィン)を参照して説明したような、封入された独立した環境のモジュール上で使用してよい。
【0038】
図1に示す発電器13では、電極9が表されており、発電器13を電気負荷に結合させる。図1中には、また、電気伝導性の導出部4、11も表されており、これは、熱電変換器内および/または熱電変換器間で適切な電気的な結合を与え、変換器14によって発生した電気エネルギを取り出すために使用可能である。
【0039】
図1に表される太陽光発電器13は平坦板構成を有するように適合されるが、すなわち、発電器13は太陽光捕捉面を表す少なくとも1つの寸法的な拡がり18を有し、太陽光捕捉面を表さない少なくとも1つの他の寸法的な拡がり17より大きい。このような構成は、太陽輻射光捕捉のために利用可能な面積を有利に増加させ、一方で、十分に熱濃縮を行い、十分な温度差を熱電変換器に渡り確立させ、かなりの電気を発生させることを可能とする。平坦板構成は、屋上や他の人工構造上で利用可能な低形状の装置を提供することによって、特定の実際的な用途に向く。図1に示す装置は平坦板構成で表されているが、図1の装置および他の装置は、実施の可能性を維持しつつも、非平坦構成で構成してもよいと理解される。
【0040】
多くの実施形態では、捕捉構造の輻射光吸収部分は、少なくともその部分では、高い横方向の熱伝導を示し、例えば、吸収面に渡る温度差を小さく(例えば、約100℃、50℃、10℃、5℃または1℃)なるに十分な大きさの横方向の熱伝導を示し、熱を熱電変換器の高温端に伝達するために効率的な熱濃縮器として作用する。図1の基板層2によって表されるもの等、いくつかの実施形態では、輻射光捕捉構造は、また、横断方向(例えば、この場合では、吸収面1bに実質的に直角な方向)にも、かつ/または横方向に高い熱伝導を示し、吸収層から変換器に熱の伝達を促進可能である。例えば、捕捉構造は、例えば、約20W/mKより上の、または、約20W/mKから約400W/mKまでの範囲内の、高い熱伝導率を備える材料で形成される輻射光吸収層を含んでよい。いくつかの実施形態は、薄膜をそのような熱伝導率値を備える基板上に堆積させてよい。高い熱伝導は、より低い熱伝導率を備えるより厚い材料を使用しても達成可能である。使用可能な材料の例には、任意の金属の組み合わせ(例えば、銅を含有するもの、アルミニウムを含有するもの)、セラミックス、配向性高分子等の異方性材料(例えば、層の平面中等の方向に十分な熱伝導を有することが望ましい)、およびガラスを含む。捕捉構造の高い熱伝導特性は図1の単一の基板層2に例証されるが、一方で、複数の層状の材料等の多構造を使用し、いくつかの実施形態において所望される高い熱伝導特性を与えることも可能であると理解される。
【0041】
いくつかの実施形態では、捕捉構造は、1つまたは複数の有利な機能を与えるように適合された多数の成分を含んでよい。例えば、図1に示す捕捉構造12の輻射光吸収層1aは、太陽輻射光を選択的に吸収するように適合可能である。例えば、輻射光吸収層1aは、約1.5、2、または3ミクロンより短い波長を有する、または約50nmと約1.5、2、または3ミクロンとの間の波長を有する、または約200nmと約1.5、2、または3ミクロンとの間の波長を有する太陽輻射光を吸収するように適合可能である。当たった太陽輻射光の吸収可能な割合については、吸収層1aは、約70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%より大きい太陽輻射光の吸収率を示すように適合可能である。例えば、輻射光吸収層1aは、約50nmから約3ミクロンまでの範囲内の太陽輻射光波長に対して、そのような吸収率を達成可能である。いくつかの実施形態では、吸収層1aは、基板2に塗布されて所望の選択的な太陽光吸収率特性を与えるような1つまたは複数の被覆を含んでよい。1つまたは複数の選択性な被覆は、異なる光の屈折率、すなわち、一次元フォトニック構造を備える異種材料の1つまたは複数の層によって実施可能である。選択的な被覆は、回折格子、表面組織、または他の適切な二次元構造として実施可能である。他の例では、選択的な被覆は、ナノ複合物を含み、複数の型の材料の合金化または複合化によって実施可能である。基板2は、また、選択的な表面1bの一部でもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、捕捉構造の前面、または太陽輻射光に曝されるように適合された他の表面は、波長範囲に渡り、例えば、約1.5、2、3、または4ミクロンより長い輻射光波長で、低い放射率特性を示してよい。例えば、上の輻射光捕捉構造12では、前面1bは、約3ミクロンより長い波長で、約0.1より小さい、または、約0.05より小さい、または、さらに好ましくは、約0.01より小さい放射率を示してよい。そのような、放射率の低い表面は、輻射光放射による太陽光捕捉構造からの熱の損失を減少させ得る。そのような低い放射率は、また、約1.5、2、3、または4ミクロンより長い太陽輻射光波長の吸収を減少させ得るが、そのような波長では太陽光照度の低下が著しいため、吸収におけるその効果は非常に小さい。この模範的な実施形態では、前面1bだけでなく、輻射光捕捉構造12の背面3aは低い放射率、例えば、約3ミクロンより長い波長で低い放射率を示す。前面1bおよび背面3aの低い放射率特性は、同一である必要はない。例えば、背面は、前面1bと異なり太陽輻射光の吸収には寄与しないため、広い波長範囲に渡り低い放射率を示してよい。他のいくつかの実施形態では、前面および背面の内の1つだけが低い放射率を示してよい。
【0043】
さらに、輻射光捕捉構造12の背面3aに面する、裏当て構造10の内部面3bは低い放射率を示してよい。低い放射率は全ての波長に渡ってもよいし、または、約1.5、2、3、または4ミクロンより長い波長に渡ってもよい。内部面3bの低い放射率特性は、輻射光捕捉構造の背面3aのそれと同様でも、または異なってもよい。捕捉構造12の背面3aの低い放射率と裏当て構造10の内部面3bのそれとの組み合わせは、これら2つの面の間で輻射熱伝達を最小限にし、これにより、熱電変換器に渡る温度差の発生を促進する。
【0044】
内部面3bは、特に裏当て構造が金属で形成される場合には、裏当て構造10の残りの部分と同じ材料で形成してよい。別法として、内部面3bは裏当て構造10の残りの部分と異なった材料、例えば、赤外に拡張された反射率を有する異なった金属で形成してよい。この層または被覆は連続層でも、または、互いに電気的に絶縁された異なった領域に分割されても、または、さらに、熱電要素のための相互接続器として作用可能な電気的に互いに結合された領域に分割してもよい。金等の高い反射率を備える被覆は、低輻射光放射体として作用可能である。一般に、研磨された金属はより高い反射率を、そのため、粗い金属面に比べ、より低い放射率を示し得る。図2に示すように、精緻に研磨された銅表面は高い反射率を備える表面となり、すなわち、機械研磨された銅表面が最高の反射率を有し、手動研磨された銅表面、および非研磨の銅表面と続く。図2の反射率の測定値は、参照用アルミニウム鏡が単一体よりもわずかに低い反射率を有し得るために、3〜5%の誤差を含み得る。反射率とそれぞれの放射率の合計は同じであるため、ある波長範囲に渡るそのような高い反射率は、その波長範囲に渡る低い放射率に対応する。同様に、酸化されていない表面は、酸化されている表面に比べ低い放射率を有する傾向にある。
【0045】
低い放射率の表面1b、3aの任意の組み合わせを使用して、3bは、捕捉面12からの熱の伝達除去を阻害するように作用し得るため、熱電変換器14に渡りかなりの温度勾配を維持可能である。複数の低い放射率の表面が利用される場合には、これらの表面は同様の特性を有しても、または、これらの放射率特性が異なってもよい。いくつかの実施形態では、太陽光発電器の運転中に太陽光捕捉面または捕捉構造の他の部分が曝される温度範囲等の選択された温度範囲に渡って、1つまたは複数の構造で低い放射率特性を示してよい。例えば、約0℃から約1000℃までの、または約50℃から約500℃までの、
または約50℃から約300℃までの、または約100℃から約300℃までの温度範囲に渡り、低い放射率特性を示してよい。いくつかの実施形態では、電磁スペクトルの1つまたは複数の波長に渡り、任意の層(単数または複数)で低い放射率特性を示してよい。例えば、低い放射率は赤外範囲を含む範囲(例えば、約750nmより長い波長)に渡ってよい。他の例では、任意の層(単数または複数)の低放射は約1.5、2、3、または4ミクロンより長い波長に渡ってよい。他の実施形態では、任意の層(単数または複数)の低放射率は、層の動作温度において、約0.1よりも小さい、約0.05よりも小さい、約0.02よりも小さい、または約0.01よりも小さい総放射率値を有する表面によって特性づけ可能である。
【0046】
いくつかの実施形態では、前に説明したように、表面は、その上に塗布可能な1つまたは複数の被覆を含み、所望の低い放射率特性を備えてよい。他の例では、低放射率は、多層金属誘電性フォトニック結晶を使用して達成可能であり、これは、Narayanasywamy,A.らの出版物「一次元金属誘電性フォトニック結晶による熱放射制御」、Physical Review B,70,125101−1(2004)に説明されており、この内容を本明細書に援用する。いくつかの実施形態では、他の構造もまた、低放射率面の一部として作用可能である。例えば、図1に例証された実施形態を参照すると、基板2は、低放射率面1bの一部でもよい。例えば、基板として使用される高反射性の金属は、また、赤外範囲で低放射率面として作用可能であるが、一方で、この金属の上の1つまたは複数の被覆は太陽輻射光を吸収するように設計可能である。
【0047】
いくつかの実施形態では、図1の裏当て構造の外部面(例えば、模範的な太陽光発電器13中の表面19)は、例えば、赤外輻射光波長に対し高い放射率を示し、輻射冷却を促進してよい。これは、例えば、裏当て構造の外部面上に適切な被覆層を堆積することによって、達成可能である。
【0048】
本明細書中の他の実施形態の中で、図1に表される実施形態では、太陽光発電器は(例えば、ハウジングによって)カプセル化された部分を含み、この部分が独立した環境6(例えば、大気圧に比べ排気されている)に曝されるようにしてよい。好ましくは、この独立した環境は、捕捉構造12から熱の伝達除去を最小化するように選択される。このように、いくつかの実施形態では、大気圧よりもかなり低い圧力に排気された環境を利用する。例えば、排気された環境は約1mtorrより低い、または約10−6torrより低い圧力を有してよい。図1に表す、ハウジング5は装置13の全体をカプセル化可能とする。少なくともハウジング5の上面では、太陽輻射光に対して実質的に透明、例えば、太陽輻射光に対し高い透過率ならびに、低い反射率および吸収率を有してよい。利用し得る可能性のある材料には、種々の型のガラス、または、半透明のプラスチックを含む。1つまたは複数の被覆は、ハウジングの壁の1つまたは複数の側に塗布されて、所望の特性(例えば、低い反射損失)を与えてもよい。いくつかの実施形態では、捕捉構造12は、ハウジング5と、殆ど、または全く物理的な接触がなく、捕捉構造12からの熱の伝達除去の可能性を減少させる。図1に表される実施形態は、太陽光発電器構造13全体を実質的にカプセル化するハウジング5を利用してよく、他の実施形態は別の態様で構成してよい。例えば、太陽光捕捉面1bは、直射の入射太陽輻射光を受けるようにカプセル化せず、一方、装置13の残りの部分、または内部面3aと3bとの間の領域は、排気された環境中にカプセル化してもよい。排気された環境を収容するハウジングまたは他の構造は、当業者の既知の範囲のものを含み、任意の許容可能な態様で構築可能である。
【0049】
別の実施形態では、本明細書で説明するハウジングおよびエンクロージャを使用し、低い熱伝導(例えば、周囲の雰囲気に比べて)によって特徴づけ可能な独立した環境を封入可能である。従って、真空に代えて、封入環境は不活性ガス(例えば、アルゴン等の希ガス)等の熱容量の低いガスを含んでよい。他の例では、絶縁材料をエンクロージャ内に含
み、熱の伝達を制限してよい。例えば、捕捉面の背面および裏当て構造の内部面は、自身に付着させた材料を含み、放射率の低い層の使用に加え、一層の絶縁を行ってよい。このように、「排気された環境」を利用する本明細書で説明する実施形態は、これらの別の環境を使用して、また、実施可能である。
【0050】
図1に表した変換器14等の熱電変換器は、自身に渡り十分な温度差が確立すると、電気を発生可能である。いくつかの実施形態では、熱電変換器要素は、p型熱電脚およびn型熱電脚を含み、これらの脚は熱的および電気的に一端で結合し、例えば、pn接合部等の接合部を形成する。接合部は輻射光捕捉構造を含む、または、輻射光捕捉構造に結合してよく、本明細書で説明する構造と合致する熱濃縮器として作用可能である。広範囲な材料が熱電変換器に利用可能である。一般に、大きなZT値(例えば、約0.5、0.8、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、3、4、または5よりも大きな平均ZT値を備える材料)を有する材料を利用することは利点である。そのような材料の例のいくつかは、2004年10月29日出願で呼び番号10/977,363の米国特許出願公開番号US2006−0102224A1、および2006年12月1日出願で呼び60/872,242、「ナノ構造化された熱電材料における高性能を得るための方法」と題する米国仮出願に説明されており、この両方の内容を本明細書に援用する。
【0051】
p型およびn型材料に関しては、材料のそのようなドーピングは、例えば、当業者に既知な技術を使用して実行可能である。ドープされた材料は、あるレベルのドーピングを伴う実質的に単一材料でもよいし、または、セグメント化された構成としていくつかの例で知られているが、組み合わせで利用されるいくつかの材料を含んでもよい。熱電変換器は、複数の異なった発電器が結合し、発電器のそれぞれは異なった温度範囲で動作する、縦続の熱電発電器を利用してもよい。例えば、p−n対のそれぞれは、p−n対を積層したものでもよく、それぞれの対は選択された温度で動作するように設計される。いくつかの例では、セグメント化された構成、および/または縦続の構成は、広い温度範囲に渡り使用するように適合される。
【0052】
p型要素およびn型要素の配列は、動作可能な太陽光発電器をもたらす任意の態様で変化してよい。例えば、p型要素およびn型要素は周期性を有して、または周期性を欠くパターンで配列してよい。図1に1つの例を示すが、ここでは、p型脚およびn型脚7、8は互いに密接にクラスタ化しており、熱電変換器14を形成する。変換器脚のクラスタ、または個々の変換器脚は、等間隔で、または不等間隔で離間してよい。p型要素およびn型要素の対は、単なる1つの対を含む、任意の数で使用してよい。他の可能性のある構成は、図3に示す太陽光発電器100によって例証されるように、p型要素およびn型要素をさらに離して離間配置してよい。装置100は図1に示す太陽光発電器13に対していくつかの点で類似しており、大気圧に比べて排気された環境6’、捕捉面1’を備える捕捉構造12’、裏当て構造10’、および電極9’を与えるためにバリヤ構造5’を有する。捕捉構造12’および裏当て構造裏当て構造10’は金属材料で形成してよい。層2b’を形成可能な金属材料は、裏当て構造10‘中で熱拡散器として作用し、層2a’、2b’中では、で熱電構造7’、8’間の電気的な結合を構造7’、8’の両端で与える。裏当て構造10’上の層2b’は絶縁セグメント20によって分離されており、構造7’、8’の短絡を防止することに留意されたい。従って、本明細書のさまざまな実施形態中で利用される被覆および/または層は、所望の構成の電気的な結合等所望の機能を与えるように、連続または非連続でよいと理解される。任意選択的に、金属材料2a’、2b’の表面の1つまたは両方を研磨し、本明細書で説明したいくつかの実施形態と合致する低い放射率を有することが可能である。図3に表した装置100では、n型熱電要素7’およびp型熱電要素8’は、図1に示すものに比べ一層離れて離間配置される。太陽光熱電発電器中に複数の熱電変換器要素が利用される場合、p型熱電要素およびn型熱電要素は、互いにクラスタ化されるものと対照的に(例えば、均等に)離間配置してよい。例えば、熱損失が輻射によるもののみと考え、吸収体に銅材料を使用して、脚間の間隔は0.3mと大きくてよい。
【0053】
他に可能性のある熱電変換器要素の配列が図4に表されており、複数の熱電変換器の複数の熱電変換器要素(脚)210は離間配置された群220の中にクラスタ化される。熱電変換器要素210の群220はバリヤ230によってカプセル化され、排気された環境中に集合体を封入する。太陽輻射光が、本明細書に説明される光学濃縮器を利用する実施形態中にあるような1つまたは複数の太陽光捕捉表面上で不均一に分布する場合には、そのような配列の利用は利点があり得る。光学濃縮器が利用されない場合でも、変換器要素の配列は、例えば、1日を通して太陽点が捕捉面上を移動するにつれ太陽点の軌跡を追跡するように構成し得る。図4に示す配列では、群は物理的に分離される。しかし、装置は、互いに分離散在した変換器要素の群を備える単一体として実施し得ると理解される。
【0054】
熱電変換器要素の離間的な分布は、また、太陽光熱電発電器の電気的な発電性能に影響を与え得る。いくつかの実施形態では、熱電変換器要素の高温部分と低温部分との間に最小温度差が確立可能なように、熱電変換器要素は離間的に配列される。最小温度差は、約40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、100℃、150℃、200℃、250℃、280℃、または300℃より大きくてよい。いくつかの場合では、熱電変換器に渡るそのような温度差は、変換器の低温端を約95℃、90℃、80℃、70℃、60℃より低い温度、または、好ましくは約50℃より低い温度に維持し、一方で、光学濃縮を使用しない場合には、変換器の高温端を約350℃以下の温度に上昇させることによって達成可能である。低い太陽光濃縮(例えば、入射太陽輻射光の約2から約4倍以下の濃縮)では、温度は約500℃以下でよい。そのような温度差では、太陽光熱電発電器が高い効率で運転することが確実になり得る。特に、これらの温度仕様は、入射太陽輻射光のみを(すなわち、非濃縮輻射光)、および/または濃縮太陽輻射光利用する熱電発電器に対して利用可能である。
【0055】
別法として、または、追加で、実施形態では、熱電変換器のそれぞれの端の間で制限された熱伝導を与える離間的な分布の熱電変換器(単数または複数)を利用してよい。例えば、変換器の集合的な総熱伝導は、太陽光熱電発電器の輻射光捕捉構造と支持構造との間の総熱伝導の約5%、10%、15%、または20%より低くてよい。熱伝導は熱電変換器の脚の長さによって制限され得る、つまり、より長い脚はより少ない熱伝導にする。従って、いくつかの実施形態は、脚による熱伝導の減少に役立つように、脚の長さに対する断面積の比を制限する。例えば、脚の長さに対する脚の断面積の比は、約0.0001メートルから約1メートルまでの範囲でよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、熱電変換器および/または変換器の脚は散在態様で分布させてよい(例えば、太陽光捕捉面または裏当て構造に比べて)。熱電要素の散在分布は、要素の高温端から低温端への、要素を介する熱除去の減少に役立ち得る。図1および図3に表された熱電変換器要素の配列は、散在分布する要素の例示的ないくつかの実施形態を与える。
【0057】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の熱電変換器要素は太陽光捕捉面に比べて散在分布し、散在性は、変換器要素に関連づけられた総断面積(本明細書で「変換器面積」)に対する太陽光捕捉面積(捕捉面積)の相対比によって測定可能である。捕捉面積は、熱を発生させるために太陽輻射光に曝されるために利用可能な選択された太陽光捕捉面の面積の総量によって定義可能である。変換器面積は熱電変換器要素(単数または複数)の総有効断面積によって定義可能である。例えば、図1に対しては、4つのp型要素およびn型要素の全ては均一な断面積を備えて幾何形状が同様であると仮定すると、「変換器面積」はp型要素またはn型要素の断面積の4倍として定義可能であり、各要素の断面積は、その要素と交差する捕捉面1bに平行な推定面中に存在する断面の表面積によって定義可能である。一般に、捕捉面積の変換器面積に対する比が増加すると、変換器要素の分布はより散在する、すなわち、太陽光捕捉面の総量に対して熱電変換器要素がより少ない。
【0058】
本明細書で開示されたさまざまな実施形態では、変換器面積対捕捉面積の広範囲な比を利用可能である。いくつかの実施形態では、太陽光発電器は、約200、約400、約500、または約600以上の変換器面積に対する捕捉面積の比によって特徴付け可能である。そのような実施形態は、特に、太陽光濃縮器を利用せずに太陽輻射光を捕捉する平坦板構成を有する太陽光発電器と伴に利用される場合に、利点があり得る。いくつかの実施形態では、太陽光発電器は、約50、100、200、または300より大きな、変換器面積に対する捕捉面積の比によって特徴付け可能である。そのような実施形態は、特に、濃縮された太陽輻射光(すなわち、太陽光濃縮器を使用し、入射太陽輻射光を太陽光捕捉面上に収集して濃縮する)を捕捉する太陽光発電器と伴に利用される場合に、利点があり得る。説明した実施形態は説明した特定の構成に対して有利であろうが、そのような実施形態の範囲は、そのような特定の構成に限定されないことが理解される。
【0059】
光学濃縮器構成
下に開示するいくつかの実施形態は、1つまたは複数の光学濃縮器を備える使用に適合された、太陽光熱電発電器構成を利用する。光学濃縮器は、入射太陽輻射光を収集し、そのような太陽輻射光を濃縮する機能がある1つまたは複数の装置を指す。光学濃縮器は、典型的に、濃縮された太陽輻射光を、太陽光捕捉面等の標的に配光可能である。光学濃縮器が利用される実施形態の多くでは、濃縮器は、それらの高温端の一層効率的な加熱を介して、熱電変換器に渡りより高い温度差の発生を促進可能であり、変換器によってより高い電気出力をもたらし得る可能性がある。光学濃縮器は、また、太陽光発電器の性能を維持する可能性があると共に、より低い熱濃縮機能を有する太陽光捕捉構造(例えば、より大きな熱損失を示し得る、より小さな太陽光捕捉面および/または捕捉構造)と伴に、利用し得る可能性もある。図1、図3および図4に対して説明した実施形態は、入射太陽輻射光(すなわち、非濃縮の)を利用する際の使用に適合可能であるが、そのような実施形態は、また、本明細書に開示された任意の数の特徴を使用して、光学濃縮器と伴に利用可能である。同様に、太陽光濃縮器を参照して明示的に説明した太陽光熱電発電器の設計のいくつかは、必ずしも、そのような濃縮器を必要としない。
【0060】
光学濃縮器の使用を含む太陽光熱電発電器のいくつかの実施形態は、図5A〜5Cに示す模範的な装置によって例示される。図5Aに示すように、太陽光発電器510は、光学濃縮器、輻射光捕捉構造、熱電変換器要素、および裏当て構造を含んでよい。図5Aに表された特定の装置では、光学濃縮器は透過性要素511、すなわち、自身を通して太陽輻射光を伝導する機能がある要素として実施される。透過性要素は、太陽輻射光を濃縮および配光する機能がある、結像または非結像レンズ、または他の透過性構造でよい。図5Aに表されるように、入射太陽輻射光517は、透過性要素511によって濃縮された太陽輻射光518に濃縮され、輻射光捕捉構造の太陽光捕捉構造512上に配光される。この例では、光学濃縮器511は収束光学レンズを含み、レンズの焦点に近接して配置される輻射光捕捉構造512を備え、濃縮された太陽輻射光を受ける。太陽輻射光の濃縮は、入射太陽輻射光を利用する設計に比べ、より小さな太陽光捕捉面を使用し得る可能性がある。太陽輻射光のそのような捕捉は、輻射光捕捉構造を加熱し、次に、熱電変換器516のn型要素およびp型要素514、515の熱的に結合した端を加熱可能である。裏当て構造は、電極/熱拡散器513構造の組み合わせとして構成し、n型要素514とp型要素515との間の電気的な結合およびヒートシンクに熱的な結合を与え、変換器要素の反対の端の温度を低くすることが可能である。
【0061】
太陽光発電器の他の実施形態を図5Bに表す。太陽光発電器520では、一組の反射要
素521、522は、太陽光濃縮器として作用する。反射要素は、輻射光が実質的に要素を通過せずに、輻射光を再配光するように作用可能である。他の型の反射被覆を備える鏡および構造は、反射要素として作用可能である。図5Bに示す特定の実施形態では、入射太陽輻射光517は、構造524によって、この例では熱電変換器525の低温側に近接して配置される鏡面521に配光される。任意選択的に透明および/またはフレーム状の構造524は、鏡を支持し、下方の基板によって熱拡散が達成可能なように太陽輻射光を下方に配光可能である。輻射光反射要素521は、そこに入射する輻射光を反射要素522に反射し、次に、これが、この太陽輻射光を輻射光捕捉面523上に反射し、熱電変換器525の高温端を加熱する。いくつかの場合では、反射要素521は、反射光を反射要素522(例えば、反射要素521の曲率の中心に近接して配置してよい)上に濃縮させる、湾曲した形状の、例えば、放物線状の反射面を有してよい。そのような濃縮された太陽輻射光は、次に、反射要素522を介して、輻射光捕捉構造523上に配光されるが、いくつかの場合では、反射要素522自身も太陽輻射光を濃縮する。
【0062】
図5Cで例示される実施形態では、光学濃縮器のための別法が利用される。太陽光発電器530は、入射太陽輻射光を収集して濃縮するために太陽光収集伝導体531を含んでよい。太陽光収集伝導体531は輻射光捕捉構造532に密接して(例えば、接触または非常に小さな間隔を有して、または間に薄い材料を有する)結合して、濃縮された太陽輻射光を捕捉構造に直接導いてよく、一層効率的なエネルギ伝達をもたらす可能性がある。捕捉構造532と伝導体531との間は直接接触してよい。別法として、薄い熱絶縁体(例えば、多孔質ガラスまたは高分子材料で作られた)が構造531と532との間に配置してよい。例示された実施形態は、熱電変換器要素533により近い熱的な結合のために、排気された環境中に装置をカプセル化する必要性なしに実施してもよい。同様に、太陽光エネルギの濃縮が高い場合には(例えば、入射太陽輻射光の10倍または50倍より高く)、変換損失はあまり重要ではない。しかし、装置は、排気された環境中で利用してもよいことが理解される。
【0063】
いくつかの実施形態は、図5A〜5Cに表したものに比べ、熱電変換器が交互構成に整列した太陽光発電器を対象にする。図6Aに示すように、熱電変換器614は、自身のn型要素およびp型要素(脚)614a、614bが、2つの端601を有する等、経路に沿って整列するように構成してよい。図6Aに特に例証するように、2つの脚の端601は実質的に線形な拡がりを画定する。ここで、要素はp型脚614aおよびn型脚614bであり、湾曲した形状等他の脚の構成を利用可能であるが、各脚は伸張した(本明細書では軸とも称する)方向によって特徴づけられる。この例では、脚は、脚の軸方向が実質的に共に整列して共通平面中に配置される。さらに一般には、軸方向を備えるそのような脚は、共通平面中に互いに対して角度をつけて配置してよく、角度は、0°(すなわち、共に整列)から約180°より小さい、または約45°から約180°まで、または約90°から約180°までの範囲に渡ってよい。他の実施形態では、3つ以上の脚がさまざまな相対角度で結合してよい。図6Aでは、脚614a、614bは線形構成に整列する。特に、脚614a、614bは、図5A〜5Cに示す垂直に配向した脚に対して水平に配置してよい。そのような構成は、多くの可能性のある利点を与え得る。熱電変換器のための装置ハウジング全体がより低い形状を有し得るため、例えば、水平に配向した脚は、垂直に配向した脚を利用し、向かい合って、より堅固な機械的構造を与える。低い形状の構成は、太陽光発電器のための平坦板構成の構築に、および/または、本明細書で説明するように、そのような実施形態がさらに排気された環境を利用する際に、カプセル化のためにより小さな容積を提供することに、役立ち得る。
【0064】
図6Aに表すように、要素614a、614bは、熱電変換器614の両端601の間に位置する接合部617を共有する。ここに示す実施形態では、接合部617は、要素614aと614bの間に熱的および/または電気的な結合を与えるために他の型の要素も含みえるが、捕捉構造として作用する熱収集器616を含む。別法として、p型要素およびn型要素614a、614bは、接合部を生成するために物理的に接触してよい。1つまたは複数の輻射光収集器を使用して、入射輻射光を収集して捕捉し、濃縮された輻射光を熱電変換器上に配光し、接合部を加熱してよい。図6Aの特有の場合では、レンズ611は濃縮された太陽輻射光を熱収集器616上配光し、収集器616中に熱の発生をもたらす。熱収集器616は接合部617に熱的に結合しているため、熱収集器は自身の中に発生した熱(または、少なくとも、そのような熱の一部)を接合部に伝達し、接合部617を上昇した温度に曝す。本明細書の他の実施形態に対して説明したように、熱収集器616は、低い放射率を有する一方で、太陽輻射光吸収器でもよい。そのような熱収集器の材料の例は、1つまたは複数の炭素黒鉛層である。さらに、構造612、613は熱拡散器として作用して、要素614a、614bが結合した端を低温に保つことが可能であり、熱電変換器614が電気を発生させることを可能とする。
【0065】
図6Aおよび図6Bに示すように、広範囲な形状が、熱エネルギを接合部に導くための熱濃縮器として作用可能な捕捉構造として使用可能であると理解される。いくつかの実施形態では、熱エネルギが導かれる接合部に比べ比較的大きな捕捉面積を有する捕捉構造を利用することは利点である。図6Cは、熱電変換器650の接合部640に熱的に結合し、太陽輻射光への曝露により捕捉構造中に発生した熱を接合部640に伝達し得る熱伝導性の要素630として、捕捉構造の1つの例の概略を示す。熱伝導性の要素630は、太陽輻射光への暴露に応じて熱を発生し得る輻射光捕捉部分632を伴うキノコ状の形状を有する。他の形状も、また、利用可能である。接合部640に熱的に結合するために適合された熱伝導性のステム634は、輻射光捕捉部分632と接合部640との間に熱の経路を与える。接合部面積に比べ、太陽輻射光捕捉のためのより大きな捕捉面積を備える捕捉構造の他の例もまた、使用可能である。
【0066】
図6Aに示す装置610が1つの熱電変換器を利用するのに対し、他の実施形態は複数の熱電変換器を利用してよいと理解すべきである。そのような構成の1つの例を図6Bに示すが、ここでは、太陽光発電器620中に2つの熱電変換器614、615が表されている。変換器614、615のそれぞれは、p型脚614a、615bおよびn型脚614b、615aを有してよく、対応するp型脚およびn型脚は熱的および電気的に結合する。変換器614、615は、熱導体616を含む共通の接合部618を共有する。この実施形態では、2つの変換器のp型脚およびn型脚は、実質的に共通の平面中に配置される。接合部618は、変換器615、614の端602と603との間に位置する。光学濃縮器611は太陽輻射光を熱導体上に配光し、これにより、接合部618が変換器の脚614a、614b、615a、615bの端、すなわち、変換器614、615の高温端を加熱する。この例では、光学濃縮器は収束光学レンズを含み、このレンズは、その主軸PAがp型熱電脚およびn型熱電脚が配置される共通面に実質的に平行なように、熱電変換器615、614に対して配置される。変換器614、615の積層かつ水平な配向は、太陽光発電器がより機械的に堅固である低い形状の設計に役立つ作用をなし得る。
【0067】
図5A、5B、5C、6A、6B、および6Cに表されたさまざまな要素では、そのような要素は、本発明のさまざまな他の実施形態に対して説明するように、そのような要素に関連づけられた任意の特徴または変形を含んでよい。従って、1つまたは複数の低い放射率の表面の使用、装置を平坦板構成に構成すること、装置またはその一部を独立した(例えば、排気された)環境内でカプセル化すること、および、熱電変換器を離間的に分布させることは、例えば、任意の組み合わせで実施してよい。
【0068】
同様に、図5A、5B、5C、6A、6B、および6Cに示す実施形態は追加の部品を利用し、太陽光発電器の性能を拡張してもよい。例えば、図6Aに示すように、いくつかの実施形態では、入射太陽輻射光を1つまたは複数の太陽光濃縮器要素611上に維持す
るように、太陽光追跡装置660を含んでよい。典型的に、太陽光追跡装置は機構665を含み、太陽光濃縮器611の1つまたは複数の要素を移動させて太陽の動きを追跡して太陽光捕捉を向上させることに役立ち得る。別法として、太陽光追跡装置は、また、太陽光濃縮器を伴わないシステム中に使用してもよい。そのような例では、熱電モジュールは太陽光捕捉面を含み、追跡装置は捕捉面を移動させ入射太陽輻射光がこの表面に当たるように維持する。本明細書で説明するいくつかの実施形態は追跡装置を伴わずに使用されるように構成可能であるが、その一方で、太陽光追跡装置は、明示的に禁止する以外は、一般に、本明細書で開示する任意の実施形態と共に使用可能であると理解される。
【0069】
本発明の他の実施形態は、複数の領域で太陽輻射光を濃縮し1つまたは複数の太陽光捕捉構造に熱を供給可能な、複数の太陽光収集器を利用する太陽光発電器を対象とする。いくつかの実施形態では、図7に例証するもの等、複数の反射型太陽光収集器を利用する。表されるように、複数の太陽光収集器710、720は、複数のトラフ711、721を形成するように構成された一組の鏡面713、715、723、725として実施される。分離した熱電モジュール717、727は、トラフ711、721中に位置してよい。鏡面713、715、723、725は、太陽輻射光が熱電モジュール717、727それぞれの捕捉面に当たるように、太陽輻射光をトラフ711、721の中に反射可能である。熱電変換器および光学濃縮器のこの配列は図に示すものを超えて伸張してよい。この場合では、互いに面する太陽光収集器710および720の2つの傾斜した反射面715、723は、光学エネルギを熱電変換器717の輻射光捕捉面上に注ぐ。同様に、他の熱電変換器の多くは、2つの光学濃縮器の2つの対向する反射面からの輻射光の反射を介して、濃縮された太陽輻射光を受けることが可能である。そのような構成を使用し、低レベルの太陽輻射光濃縮器(例えば、入射太陽輻射光の1倍より大きく最大約4倍までの太陽光束)を提供可能である。太陽光収集器は、太陽と地球が互いに対して移動しても、かなりの量の太陽輻射光がトラフ中に連続して収集可能なように適合可能である。従って、他の用途ではそのような追跡機が利用されるであろうが、これらの実施形態のいくつかの用途においては、太陽光追跡機の使用は避けることができる。別の実施形態では、補助的な収集器として図7のV形状の収集器が利用可能であり、太陽光追跡装置を備える大きな太陽光濃縮器を使用して太陽輻射光をV形状の収集器上に投射する。同様に、V形状の収集器は、バリヤ構造によって囲われた独立した環境中に入るように小型化可能である。
【0070】
図7に示す複数の熱電モジュールは、排気された環境中にそれぞれがカプセル化された平坦板の装置として実施される。本明細書に開示される任意の装置または装置の特徴を含み、他のモジュール構成が代わりに利用可能であると理解される。しかし、いくつかの実施形態では、モジュール(例えば、収集角度に依存し得るが、入射太陽輻射光値の1倍から約4倍までの太陽輻射光束を使用して運転するモジュール)は、太陽光収集器によって発生可能な太陽光束と合致するように選択可能である。また、図7は二次元配列を表すが、トラフは三次元配列で実施してもよく、太陽光電気モジュールの三次元分布を考慮に入れると各トラフはより穴状であると理解される。
【0071】
複数の太陽光収集器を利用する太陽光発電器の他の実施形態は、種々の型の太陽光収集器を種々の配列で使用して構成可能である。例えば、太陽光発電器810が図8Aに斜視図で、図8Bに部分断面図で表される。複数のレンズ構造825として実施される太陽光収集器の組み立て体820は入射太陽輻射光を捕捉するように働く。レンズ構造825のそれぞれは、太陽輻射光を熱電モジュール830上に濃縮して配光するが、各レンズ構造825に対しては、それぞれのモジュール830が備えられる。各モジュール830は、本出願で説明する任意の構成を含み、任意の数の構成で実施してよい。図8Bに表すように、各モジュール830は、図6Aおよび6Bに示すような水平配向の一組の熱電変換器として構成可能である。従って、レンズ構造825は、太陽輻射光をモジュール830の対応する接合部上に配光するように適合可能である。モジュール830は、裏当て構造8
40に結合してよく、裏当て構造は、任意選択的に、変換器の端831を高温端832に比べ低温に保つヒートシンクとして構成してよい。図7によって例証する実施形態のように、複数のレンズ構造825の使用は、太陽輻射光を特定の位置に配光し、太陽光追跡装置の必要性を軽減する可能性がある。
【0072】
図7および図8は模範的ないくつかの実施形態を例証し、ここでは、複数の濃縮器が複数の熱電モジュールと共に使用されるが、濃縮器は単一の熱電モジュールと共に使用されるように構成してもよいと理解すべきである。そのような構成の1つの例を図9に示す。レンズ構造920として例証する一組の太陽光収集器を使用して入射太陽輻射光を熱電モジュール910上に捕捉して濃縮し、このモジュールを使用して濃縮された太陽輻射光から電気を生成することが可能である。そのようなモジュールには、図1に表されたモジュールに対して説明した任意の数の特徴(例えば、低い放射率の表面、平坦板構成、および/または排気された環境)を含んでよい。図9に表された特定の構成では、モジュール910は、捕捉構造913に対し離間したp型脚およびn型脚915の群916を含んでよい。レンズ構造920のそれぞれは、濃縮された太陽輻射光を捕捉構造の太陽光収集面の部分911上に配光するように適合可能であると共に、この部分は脚915の群916に近接する位置に一致してよい。図9に表されたシステムの設計における変形(図7および図8の場合のように)は、本発明の実施形態と合致するように使用可能であると理解される。例えば、太陽光収集器の異なる構成(例えば、適切に構成された反射面を使用する)をレンズ構造の代わりに使用し得る。同様に、1つの光学濃縮器が図9に示すモジュールに対して使用可能である。そのような例では、装置が追跡機能を利用しない場合には、焦点形成/濃縮された光点は太陽を追跡して移動してよい。このセットの1つの熱電ユニットは、大きさが小さく、これ故の低い輻射損失のために、より高い効率を発生可能である。
【0073】
太陽光濃縮器を備えるさまざまな熱電モジュール構成の使用を図7〜9に表された実施形態に示したが、他のモジュール設計もまた可能である。図10Aおよび10Bに、別の1つのモジュール設計およびその使用を表す。図10Aに示すように、フレネルレンズまたは他のなんらかの型の回折要素として実施可能な太陽光収集器1010を使用し、濃縮された太陽輻射光を、熱拡散器1030に熱的に結合(または、より一般的に支持構造に結合)可能な熱電モジュール1020上に焦点形成させる。可能性のある太陽光収集器の他の型には、1つまたは複数のレンズ要素、反射要素、および/または屈折要素の使用を含む。いくつかの実施形態では、熱電モジュール1020は熱拡散器1030に取り外し可能に結合してよい(例えば、機械的、熱的、および/または、電気的に)。従って、モジュール1020は熱拡散器中に容易に配置可能であり、そのようなシステムの維持性を向上させる。
【0074】
熱電モジュール1020の一層詳細な図面を、図10A中の吹き出し枠1025中に示す。モジュール1020は、モジュール1020を独立した環境中に封入するバリヤ構造1021(この場合、球状の構造)を含んでよい。独立した環境は大気圧に比べ排気された環境でよいが、または、周囲の雰囲気に比べて低い熱伝導を有する雰囲気を含んでもよい。例は、不活性ガス等の低い熱容量を有するガスの使用を含み得る。熱的絶縁材料をバリヤ構造1021内に統合し、熱電モジュールの高温端からの熱損失を減少させてよもよい。このバリヤは、少なくとも、部分的に太陽輻射光に対し透過性であるように適合可能であり、バリヤは、図1に対してカプセル化のために説明した特徴を任意の数含んでよい。図10Aに示す特定の構成では、バリヤ構造1021は、少なくとも、球状のエンクロージャの一部を形成するが、他の幾何形状の構成もまた考えられる。バリヤ構造1021は、任意選択的に、レンズ構造1026を含んでよく、バリヤ構造1021上に当たる太陽輻射光をさらに配光および/または濃縮可能である。エンクロージャ内では、輻射光捕捉構造1023が熱電変換器の脚1022に結合してよい。バリヤ構造1021上に当たる太陽輻射光を捕捉構造上に配光し、熱を発生させ、脚1022の1つの端を比較的に高温保つことが可能である。変換器の脚1022によって発生した電気は、電極1024を介して電気負荷に結合してよい。
【0075】
図10Aに例証されるバリヤ構造を利用する熱電モジュールは、多くの利点をもたらし得る。モジュールは、小さな容量(例えば、より大きな平坦板構成の容量に比べて)を有し小型に構成可能であり、排気された環境の維持が容易になる。太陽光濃縮器(例えば、入射太陽輻射光の約10倍より大きい等の高程度の濃縮を与える太陽光濃縮器)の使用は、熱濃縮のためにより小さな捕捉構造の使用を可能とし、より小さな容量の使用を可能とする。先に述べたように、そのような小型の構造は当然モジュール化してもよく、そのようなモジュールの交換を容易にする。この態様は、多数のモジュールを含む構成で特に利点がある。例えば、図8Aおよび8Bに表すシステムでは、モジュール830の代わりに、図10Aのカプセル化されたモジュール1020を利用可能である。これは、1つのモジュールが破損した場合に、維持を容易にする。しかし、図8Aおよび8Bのモジュール830は、また、カプセル化された交換可能なモジュール構成の中に収容可能でもあると理解される。
【0076】
当業者に明白なそのような改造を含み、図10Aに示すもの以外にさまざまな他の構成が考えられる。例えば、フレネルレンズ濃縮器は図10Aに表す平坦構造1010として、または、図10Bに示す湾曲1015を有する構造として構成可能である。同様に、フレネルレンズ以外にも、他の型の回折要素等他の型の光学濃縮器を使用してよい。図10Cに示すように、太陽光電気装置1060は、図5Bに対して説明した際に示したものと類似するが、熱電モジュール1020に太陽輻射光を配光する太陽光収集器として2つの反射器1040、1050を利用可能である。熱拡散器1070は熱的に環境に結合してヒートシンクとなり得る。同様に、カプセル化設計では、太陽輻射光をカプセル化された構造の一部の上に維持するように、本明細書で説明したような太陽光追跡機を利用してよい。そのような設計は、特別のレベルに濃縮された太陽光をカプセル化された構造上に維持することに役立つ(例えば、入射太陽輻射光の少なくとも10倍に)。これらの変形全て、および他のものは、本開示の範囲内である。
【0077】
本明細書で説明される、さまざまな太陽光電の実施形態と共に使用するための他のモジュール構成が図11に表される。太陽輻射光を配光し濃縮する際に使用される太陽光濃縮器は、反射要素1140(例えば、放物線状の鏡)を含んでよい。他の光学要素1130(例えば、収束レンズ)を使用しても、また、入射太陽輻射光を反射要素1140に向かって配光可能である。反射要素1140は、次に、入射する太陽輻射光を濃縮し熱電モジュール1110上に配光可能である。大気圧に比べ排気された環境を与えるようにエンクロージャ1120内に任意選択的にカプセル化可能であるモジュール1110は、太陽輻射光を吸収するために1つまたは複数の表面を含み得る輻射光捕捉構造1130を含んでよい。捕捉構造は、太陽輻射光に曝されると熱を発生可能である。捕捉構造は、反射要素1140によって反射された太陽輻射光の一部を受けるように適合可能な、1つまたは複数の突出要素1135を含んでよく、さらに、太陽輻射光スペクトルの少なくとも一部を吸収することによって熱を発生させるように構成してよい。例えば、図11に表すように、突出要素1135は捕捉構造1130の平坦面1133に実質的に垂直である。このように、放物線状の鏡は平坦面にのみ光を配光するように構成する必要はなく、突出面上にも光を配光してもよい。そのような設計は、太陽光収集器設計に関する要件に柔軟性を与えると共に、捕捉構造の熱発生容量を増加させ得るため、利点があり得る。突出要素は、多数の角度および方向から捕捉構造が太陽輻射光を吸収することを可能とする(例えば、単一の平坦面では捕捉不可能な方向を含む)。1つまたは複数の熱電変換器1160は捕捉構造1130に結合可能であり、変換器の一端を熱的に捕捉構造に結合させ他の端を熱拡散器1150に結合させる。突出要素は、本出願で開示された任意の捕捉構造(例えば、高選択性の太陽光吸収、および/または赤外光に対し低い放射率を備える、金属または他の材料)に合わせて、構成および設計可能である。同様に、突出要素を備えるモジュールの設計は、図10A〜10Cに対して説明した着脱可能に結合したモジュールでよい。
【0078】
本発明のいくつかの実施を例示するために以下に例を示す。この例は、利用されるいかなる特定の実施形態(単数または複数)の範囲を制限することを意図するものではなく、本発明の教示に従う熱電発電器が必然的に最適な性能を示すことを意図したものではない。
【0079】
図13Aに熱電発電器の試作機およびその性能を例示する。図13Aは試作機の概略図である。この発電器は市販されている一対のp型熱電要素およびn型熱電要素で作られる。約1mmの厚さがこの熱電要素に利用される。脚の厚さは、20ミクロンから最大5mmまででよい。銅で作られた選択的な吸収器が脚の上部に付着され、また電気的な相互接続として働く。この試験的な装置を真空室内で試験した。約1000W/m2の照明下での脚の対からの出力が図13Bに、効率が図13Cに示される。この試作品は平行板を使用しておらず、吸収器の後ろ側の反射性の増加は試みていない。特に本出願で開示されたものに加えて、これらの対策を行うことによって、より高い効率が達成し得る可能性がある。
【0080】
本発明の特定の実施形態を説明したが、上記の明細は例示的であり、限定的なものではない。本明細書の検討を行うと、本発明の多くの変形が当業者に明らかとなるだろう。本発明の完全な範囲は、同等物の完全な範囲、および明細書、およびような変形と共に、請求項を参照することによって決定されるべきである。指示しない限り、本明細書および請求項の中に使用される原材料の量、反応条件等を表す全ての数字は、全ての例において、用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。従って、逆に、指示しない限り、本明細書および添付の請求項中に述べた数値パラメータは、概略値であり、本発明によって獲得すべく探求する所望の特性により変わり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気されたエンクロージャと、
該エンクロージャ中に少なくとも部分的に配置された輻射光捕捉構造であって、前面と背面とを有し、前記前面は太陽輻射光に曝され熱を発生させるように適合される、輻射光捕捉構造と、
前記エンクロージャ中に少なくとも部分的に配置された少なくとも1つの熱電変換器であって、前記少なくとも1つの熱電変換器に亘り温度差が実現するように、自身の高温端で前記構造に熱的に結合して前記発生した熱の少なくとも一部を受ける熱電変換器とを備え、
前記前面および背面のそれぞれの少なくとも一部が、約1.5ミクロンより長い波長に対し約0.1より小さな放射率を示す、太陽光発電器。
【請求項2】
前記前面が約20W/mKより大きな横方向の熱伝導率を示す、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項3】
前記前面が約20W/mKから約400W/mKまでの範囲内の横方向の熱伝導率を示す、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項4】
前記前面および背面が、約0℃から約500℃までの範囲内の温度に亘り前記放射率を示す、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項5】
前記前面および背面が、約50℃から約300℃までの範囲内の温度に亘り前記放射率を示す、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項6】
前記前面および背面が、約100℃から約300℃までの範囲内の温度に亘り前記放射率を示す、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項7】
前記前面および背面の内の少なくとも1つが示す放射率が約0.05より小さい、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項8】
前記前面および背面の内の少なくとも1つが示す放射率が約0.02より小さい、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項9】
前記前面および背面の内の少なくとも1つが示す放射率が約0.01より小さい、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項10】
前記前面が太陽輻射光に対して約80%より大きい吸収率を示す、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項11】
前記前面が太陽輻射光に対して約90%より大きい吸収率を示す、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項12】
前記前面が太陽輻射光に対して約95%より大きい吸収率を示す、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項13】
前記熱電変換器の低温端に結合するための支持構造をさらに備え、前記支持構造は前記輻射光捕捉構造の前記背面に面するように適合された内部面を有し、前記支持構造の前記前面が、約1.5ミクロンより長い波長に対して約0.1より小さい放射率を示す、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項14】
前記支持構造が、前記熱電変換器の前記低温端から熱を除去する熱拡散器として適合された、請求項13記載の太陽光発電器。
【請求項15】
前記支持構造がヒートシンクに熱的に結合された、請求項13記載の太陽光発電器。
【請求項16】
前記熱電変換器の前記高温端と前記低温端との間の温度差が少なくとも約50℃である、請求項13記載の太陽光発電器。
【請求項17】
前記熱電変換器の前記高温端と前記低温端との間の温度差が少なくとも約100℃である、請求項13記載の太陽光発電器。
【請求項18】
前記熱電変換器の前記高温端と前記低温端との間の温度差が少なくとも約150℃である、請求項13記載の太陽光発電器。
【請求項19】
前記熱電変換器の前記高温端と前記低温端との間の温度差が少なくとも約200℃である、請求項13記載の太陽光発電器。
【請求項20】
前記熱電変換器の前記高温端と前記低温端との間の温度差が少なくとも約250℃である、請求項13記載の太陽光発電器。
【請求項21】
前記輻射光捕捉構造の前記前面が約3ミクロンより短い波長の太陽輻射光を吸収するように適合された、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項22】
前記輻射光捕捉構造の前記前面が、約50nmから約3ミクロンまでの範囲内の波長の太陽輻射光を吸収するように適合された、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項23】
前記捕捉構造の前記前面と背面との間に配置された少なくとも1つの熱拡散要素をさらに備えた、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項24】
前記少なくとも1つの熱拡散要素が、前記輻射光捕捉構造中で約20W/mKより大きい値を有する横方向の熱伝導率を与える、請求項23記載の太陽光発電器。
【請求項25】
前記熱電変換器が、接合部によって互いに結合したp型脚とn型脚を備えた、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項26】
前記接合部が前記輻射光捕捉構造に熱的に結合した、請求項25記載の太陽光発電器。
【請求項27】
前記太陽光発電器が、少なくとも約4%の太陽光エネルギ変換を示す、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項28】
前記熱電変換器によって発生した電気エネルギを取り出すために、前記変換器に結合した少なくとも1つの電気伝導性の導出部をさらに備えた、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項29】
前面と背面とを有する輻射光捕捉構造であって、前記前面は太陽輻射光に曝され熱を発生させるように適合され、前記前面および背面のそれぞれは約1.5ミクロンより長い波長に対し約0.1より小さな放射率を示す部分を少なくとも有する、輻射光捕捉構造と、
前記輻射光捕捉構造に熱的に結合した複数の熱電変換器であって、変換器のそれぞれが、前記発生した熱の少なくとも一部を受け自身の高温端と低温端との間に温度差を生成する、熱電変換器とを備え、
前記輻射光捕捉構造上の入射太陽輻射光に応じて、それぞれの変換器の前記高温端と前記低温端との間に少なくとも約50℃の温度差を発生させ、前記変換器の前記低温端が約90℃より低い温度に維持されるように、前記輻射光捕捉構造に比べて離間的な前記変換器の配列が適合される、太陽光発電器。
【請求項30】
前記変換器の前記低温端が約70℃より低い温度に維持される、請求項29記載の太陽光発電器。
【請求項31】
前記変換器の前記低温端が約50℃より低い温度に維持される、請求項29記載の太陽光発電器。
【請求項32】
前記太陽光発電器が、約4%より大きい効率を示す、請求項29記載の太陽光発電器。
【請求項33】
前記太陽光発電器が約7%より大きい効率を示す、請求項29記載の太陽光発電器。
【請求項34】
前記輻射光捕捉構造の前記前面および背面の少なくとも一部の放射率が、約1.5ミクロンより長い波長に対し約0.1より小さい、請求項29記載の太陽光発電器。
【請求項35】
前記変換器のそれぞれが、接合部によって結合した1つのp型脚と1つのn型脚とを含み、前記p型脚とn型脚が1つの接合部で結合する、請求項29記載の太陽光発電器。
【請求項36】
前記接合部が、前記p型脚とn型脚を相互接続する金属の構造を備える、請求項35記載の太陽光発電器。
【請求項37】
前記p型脚とn型脚の内の少なくとも1つが、約0.0001メートルから約1メートルまでの範囲内の、長さに対する断面積の比によって特徴づけられる、請求項35記載の太陽光発電器。
【請求項38】
それぞれの変換器の前記低温端が結合する支持構造をさらに備えた、請求項29記載の太陽光発電器。
【請求項39】
前記変換器が、前記輻射光捕捉構造と前記支持構造との間の総熱伝導の約20%より小さい集合的な熱伝導を示す、請求項38記載の太陽光発電器。
【請求項40】
前記輻射光捕捉構造が捕捉面積によって特徴づけられ、前記複数の熱電変換器が変換器面積によって特徴づけられ、変換器面積に対する捕捉面積の比が約100より大きい、請求項29記載の太陽光発電器。
【請求項41】
変換器面積に対する捕捉面積の前記比が約400より大きい、請求項40記載の太陽光発電器。
【請求項42】
変換器面積に対する捕捉面積の前記比が約600より大きい、請求項40記載の太陽光発電器。
【請求項43】
前記複数の熱電変換器が大気圧に比べて排気された環境中にカプセル化される、請求項29記載の太陽光発電器。
【請求項44】
熱的に結合して接合部を形成する、少なくとも1つのn型熱電脚と少なくとも1つのp型熱電脚とを備え、前記少なくとも1つのn型熱電脚と少なくとも1つのp型熱電脚のそれぞれが軸方向によって特徴づけられ、
前記軸方向間の角度が約0°から約180°までの範囲内に存在するように、前記少なくとも1つのn型脚と少なくとも1つのp型脚とが互いに相対して配置され、
少なくとも1つの輻射光収集器が入射太陽輻射光を収集して濃縮するように適合され、前記少なくとも1つの輻射光収集器が濃縮された太陽輻射光を前記接合部に配光するように適合された、太陽光発電器。
【請求項45】
前記少なくとも1つのn型脚と少なくとも1つのp型脚が前記接合部で電気的に結合して熱電変換器を形成する、請求項44記載の太陽光発電器。
【請求項46】
前記少なくとも1つのn型脚と少なくとも1つのp型脚が線形に整列された、請求項44記載の太陽光発電器。
【請求項47】
前記少なくとも1つのn型脚と少なくとも1つのp型脚がn型脚とp型脚の複数の対を備え、それぞれの対の前記n型脚とp型脚は線形に整列され、対の接合部を共有する、請求項46記載の太陽光発電器。
【請求項48】
n型脚とp型脚の少なくとも2つの対が共通接合部を共有する、請求項47記載の太陽光発電器。
【請求項49】
前記少なくとも1つの輻射光収集器が、濃縮された太陽輻射光を前記対の接合部に配光するように適合された複数の輻射光収集器を備える、請求項47記載の太陽光発電器。
【請求項50】
前記接合部が、前記少なくとも1つのn型脚と少なくとも1つのp型脚との間に、接触点を備える、請求項44記載の太陽光発電器。
【請求項51】
前記接合部は前記少なくとも1つのn型脚と少なくとも1つのp型脚とに熱的に結合した捕捉構造を備え、前記捕捉構造は前記捕捉構造上に当たる濃縮された太陽輻射光を吸収し熱を発生させるように適合された、請求項44記載の太陽光発電器。
【請求項52】
前記少なくとも1つのn型熱電脚と少なくとも1つのp型熱電脚が平坦板構成中に収容された、請求項44記載の太陽光発電器。
【請求項53】
n型熱電脚とp型熱電脚とを含む少なくとも1つの熱電変換器であって、前記n型熱電脚とp型熱電脚が経路に沿って整列し、前記n型脚とp型脚とが前記少なくとも1つの熱電変換器の端の間に位置する接合部を共有する、熱電変換器と、
入射太陽輻射光を収集して濃縮するように適合された少なくとも1つの輻射光収集器であって、濃縮された太陽輻射光を前記接合部に配光するように適合された、輻射光収集器とを備える、太陽光発電器。
【請求項54】
前記経路が線形な経路である、請求項53記載の太陽光発電器。
【請求項55】
前記少なくとも1つの熱電変換器が平坦板構成中に収容される、請求項53記載の太陽光発電器。
【請求項56】
前記接合部は前記n型脚と前記p型脚とに熱的に結合した捕捉構造を備え、前記捕捉構造は前記捕捉構造上に当たる濃縮された太陽輻射光を吸収し熱を発生させるように適合された、請求項53記載の太陽光発電器。
【請求項57】
温度差に曝されると電気を発生させるように適合された複数の熱電変換器であって、自身の高温端によって接合部に熱的に結合した、熱電変換器と、
入射太陽輻射光を収集して濃縮するように適合された少なくとも1つの光学濃縮器であって、前記濃縮された太陽輻射光を前記接合部に配光するように適合された、光学濃縮器とを備える、太陽光発電器。
【請求項58】
それぞれの熱電変換器がp型脚とn型脚とを備え、前記接合部が前記p型脚と前記n型脚との間の結合を備える、請求項57記載の太陽光発電器。
【請求項59】
前記複数の熱電変換器が平面を共有するように構成された、請求項57記載の太陽光発電器。
【請求項60】
前記複数の熱電変換器が互いに平行に整列した、請求項59記載の太陽光発電器。
【請求項61】
前記複数の熱電変換器が互いに平行に整列していない、請求項59記載の太陽光発電器。
【請求項62】
前記複数の熱電変換器が平坦板構成中に収容された、請求項57記載の太陽光発電器。
【請求項63】
前記複数の熱電変換器が独立した環境中にカプセル化された、請求項57記載の太陽光発電器。
【請求項64】
前記複数の熱電変換器が取り外し可能なモジュール中に収容された、請求項63記載の太陽光発電器。
【請求項65】
前記接合部は前記複数の変換器に熱的に結合した捕捉構造を備え、前記捕捉構造は前記捕捉構造上に当たる濃縮された太陽輻射光を吸収し熱を発生させるように適合された、請求項57記載の太陽光発電器。
【請求項66】
前記複数の熱電変換器の少なくとも一部に結合した絶縁材料をさらに備え、前記複数の熱電変換器への熱の伝達を減少させる、請求項57記載の太陽光発電器。
【請求項67】
独立した環境を封入するバリヤ構造であって、1つまたは複数の太陽輻射光波長に対して少なくとも部分的に透過性であり、前記排気された環境中に前記輻射光波長の透過を可能にする、バリヤ構造と、
前記独立した環境中に配置された少なくとも1つの熱電変換器と、
前記独立した環境に光学的に結合した輻射光濃縮器であって、前記熱電変換器の一部を加熱するように太陽輻射光を配光し前記変換器に渡る温度差の発生を促進する、輻射光濃縮器とを備える、太陽光発電器。
【請求項68】
前記バリヤ構造が球状の形状である、請求項67記載の太陽光発電器。
【請求項69】
前記輻射光濃縮器は、太陽輻射光を配光し前記熱電変換器の前記一部を加熱するように適合された少なくとも1つのレンズ要素を備える、請求項67記載の太陽光発電器。
【請求項70】
前記輻射光濃縮器は、太陽輻射光を配光し前記熱電変換器の前記一部を加熱するように適合された少なくとも1つの反射要素を備える、請求項67記載の太陽光発電器。
【請求項71】
前記輻射光濃縮器は、屈折要素および回折要素の内の少なくとも1つを備える、請求項67記載の太陽光発電器。
【請求項72】
前記少なくとも1つの熱電変換器に対して前記輻射光濃縮器を移動させるように適合さ
れた太陽輻射光追跡機をさらに備え、太陽輻射光への暴露を維持し前記熱電変換器の前記一部を加熱する、請求項67記載の太陽光発電器。
【請求項73】
前記輻射光濃縮器は濃縮された太陽輻射光を配光するように適合され、前記濃縮された太陽輻射光は入射太陽輻射光よりも少なくとも約10倍により濃縮された、請求項72記載の太陽光発電器。
【請求項74】
前記少なくとも1つの熱電変換器に熱的に結合するように適合された熱拡散器をさらに備え、前記熱拡散器は前記少なくとも1つの熱電変換器の一部から熱を除去するように適合された、請求項67記載の太陽光熱電発電器。
【請求項75】
前記バリヤ構造が前記熱拡散器に取り外し可能に結合した、請求項74記載の太陽光熱電発電器。
【請求項76】
前記熱拡散器が複数のバリヤ構造に結合するように適合された、請求項74記載の太陽光熱電発電器。
【請求項77】
前記バリヤ構造が前記熱拡散器に熱的および電気的に結合した、請求項74記載の太陽光熱電発電器。
【請求項78】
前記独立した環境が大気圧よりも低い熱容量を備える環境を有する、請求項67記載の太陽光熱電発電器。
【請求項79】
前記独立した環境が大気圧に比べ排気された環境を有する、請求項78記載の太陽光熱電発電器。
【請求項80】
前記独立した環境が絶縁材料を有する、請求項78記載の太陽光熱電発電器。
【請求項81】
前記バリヤ構造内にあって前記少なくとも1つの熱電変換器に熱的に結合した捕捉構造をさらに備え、前記捕捉構造は前記輻射光濃縮器からの濃縮された太陽輻射光を吸収して熱を発生させる、請求項67の太陽光熱電発電器。
【請求項82】
太陽輻射光に曝され熱を発生させるために適合された輻射光吸収面を有する輻射光捕捉構造と、
前記輻射光捕捉構造に熱的に結合し、自身の1つの端で前記発生した熱の少なくとも一部を受ける少なくとも1つの熱電変換器と、
前記輻射光捕捉構造に光学的に結合し太陽輻射光を前記輻射光捕捉構造に配光する光学濃縮器とを備え、
前記捕捉構造は、前記光学濃縮器によって前記構造上に配光された輻射光の少なくとも一部を受けるように適合された少なくとも1つの突出要素であって、太陽輻射光への暴露に応じて熱を発生させる、突出要素を備える、太陽光発電器。
【請求項83】
前記少なくとも1つの突出要素が前記熱電変換器の前記端に熱的に結合し、前記発生した熱の少なくとも一部を前記端に伝達する、請求項82記載の太陽光発電器。
【請求項84】
前記少なくとも1つの突出要素が前記輻射光吸収面の接面に対して実質的に直交に配置された、請求項82記載の太陽光発電器。
【請求項85】
排気された環境をさらに含み、その中に前記熱電変換器が配置された、請求項82記載の太陽光発電器。
【請求項86】
前記光学濃縮器が放物線状の鏡収集器を備える、請求項82記載の太陽光発電器。
【請求項87】
太陽輻射光を吸収すると熱を発生するように適合された少なくとも1つの輻射光捕捉構造であって、太陽輻射光を捕捉し前記輻射光捕捉構造中に熱を発生させるように適合された太陽光捕捉面を備え、輻射光捕捉構造と、
前記少なくとも1つの輻射光捕捉構造に熱的に結合するように適合された複数の熱電変換器要素であって、前記輻射光捕捉構造からの熱に曝されると電気を発生させるようにさらに適合される、熱電変換器要素と、
入射太陽輻射光を収集して濃縮するように適合された複数の太陽光収集器であって、それぞれの太陽光収集器は濃縮された太陽輻射光を、前記少なくとも1つの輻射光捕捉構造の前記太陽光捕捉面の少なくとも一部の上に配光するように構成された、太陽光収集器とを備える、太陽光発電器。
【請求項88】
前記少なくとも1つの輻射光捕捉構造が複数の輻射光捕捉構造を備える、請求項87記載の太陽光発電器。
【請求項89】
前記複数の輻射光捕捉構造と前記複数の熱電変換器要素とが複数の平坦板装置として適合された、請求項88記載の太陽光発電器。
【請求項90】
前記複数の輻射光捕捉構造と前記複数の熱電変換器要素とが大気圧に比べ排気された複数の環境中に収容された、請求項88記載の太陽光発電器。
【請求項91】
前記少なくとも1つの輻射光捕捉構造の少なくとも一部と前記複数の熱電変換器要素とが大気圧に比べ排気された環境中に収容された、請求項87記載の太陽光発電器。
【請求項92】
前記複数の太陽光収集器が複数のレンズ構造を備える、請求項87太陽光発電器。
【請求項93】
前記複数の太陽光収集器が複数の複合放物線状濃縮器を備える、請求項87記載の太陽光発電器。
【請求項94】
前記複数の太陽光濃縮器が複数のトラフを形成するように構成された、請求項87記載の太陽光発電器。
【請求項95】
前記複数のトラフが三次元配置のトラフを形成する、請求項94記載の太陽光発電器。
【請求項96】
前記複数の太陽光濃縮器は、それぞれの反射面が太陽輻射光を異なったトラフ中に反射するように、互いに対してある角度で配置された2つの反射面を備える、請求項94記載の太陽光発電器。
【請求項97】
前記複数の熱電変換器要素の内の少なくとも1つの低温側が前記複数の反射面の内の少なくとも1つに熱的に結合した、請求項94記載の太陽光発電器。
【請求項98】
前記少なくとも1の輻射光捕捉構造と前記複数の熱電変換器要素とが複数の平坦板装置として適合され、それぞれの平坦板装置は前記複数のトラフの内の1つの中に位置する、請求項94記載の太陽光発電器。
【請求項99】
前記少なくとも1つの輻射光捕捉構造は、第1の太陽光捕捉面を有する第1の輻射光捕捉構造と、第2の太陽光捕捉面を有する第2の輻射光捕捉構造とを含み、前記複数の太陽光収集器の内の少なくとも1つが、太陽輻射光を前記第1の太陽光捕捉面に配光するよう
に適合された第1の部分と、太陽輻射光を前記第2の太陽光捕捉面に配光するように適合された第2の部分とを備える、請求項87記載の太陽光発電器。
【請求項100】
前記発電器が独立した環境を与えるバリヤ構造を備え、前記少なくとも1つの輻射光捕捉構造と、前記複数の熱電変換器と、前記複数の太陽光収集器とがこの中に封入される、請求項87記載の太陽光発電器。
【請求項101】
太陽輻射光を吸収すると熱を発生するように適合された輻射光捕捉構造であって、太陽輻射光を捕捉し前記輻射光捕捉構造中に熱を発生させる太陽光捕捉面を有する、輻射光捕捉構造と、
前記輻射光捕捉構造に熱的に結合するように適合された少なくとも1つの熱電変換器要素であって、前記輻射光捕捉構造からの熱に曝されると電気を発生するようにさらに適合される、熱電変換器要素と、
前記輻射光捕捉構造の前記太陽光捕捉面に密接に結合した太陽光収集伝導体であって、入射太陽輻射光を前記輻射光捕捉構造の前記太陽光捕捉面上に収集して濃縮するように適合された、太陽光収集伝導体とを備える、太陽光発電器。
【請求項102】
前記輻射光捕捉構造は、前記太陽光収集伝導体によって配光される輻射光の少なくとも一部を受けるように適合された少なくとも1つの突出要素を備え、前記少なくとも1つの突出要素を備える前記輻射光捕捉構造は、複数の方向から太陽輻射光を捕捉するように適合される、請求項101記載の太陽光発電器。
【請求項1】
排気されたエンクロージャと、
該エンクロージャ中に少なくとも部分的に配置された輻射光捕捉構造であって、前面と背面とを有し、前記前面は太陽輻射光に曝され熱を発生させるように適合される、輻射光捕捉構造と、
前記エンクロージャ中に少なくとも部分的に配置された少なくとも1つの熱電変換器であって、前記少なくとも1つの熱電変換器に亘り温度差が実現するように、自身の高温端で前記構造に熱的に結合して前記発生した熱の少なくとも一部を受ける熱電変換器とを備え、
前記前面および背面のそれぞれの少なくとも一部が、約1.5ミクロンより長い波長に対し約0.1より小さな放射率を示す、太陽光発電器。
【請求項2】
前記前面が約20W/mKより大きな横方向の熱伝導率を示す、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項3】
前記前面が約20W/mKから約400W/mKまでの範囲内の横方向の熱伝導率を示す、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項4】
前記前面および背面が、約0℃から約500℃までの範囲内の温度に亘り前記放射率を示す、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項5】
前記前面および背面が、約50℃から約300℃までの範囲内の温度に亘り前記放射率を示す、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項6】
前記前面および背面が、約100℃から約300℃までの範囲内の温度に亘り前記放射率を示す、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項7】
前記前面および背面の内の少なくとも1つが示す放射率が約0.05より小さい、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項8】
前記前面および背面の内の少なくとも1つが示す放射率が約0.02より小さい、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項9】
前記前面および背面の内の少なくとも1つが示す放射率が約0.01より小さい、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項10】
前記前面が太陽輻射光に対して約80%より大きい吸収率を示す、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項11】
前記前面が太陽輻射光に対して約90%より大きい吸収率を示す、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項12】
前記前面が太陽輻射光に対して約95%より大きい吸収率を示す、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項13】
前記熱電変換器の低温端に結合するための支持構造をさらに備え、前記支持構造は前記輻射光捕捉構造の前記背面に面するように適合された内部面を有し、前記支持構造の前記前面が、約1.5ミクロンより長い波長に対して約0.1より小さい放射率を示す、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項14】
前記支持構造が、前記熱電変換器の前記低温端から熱を除去する熱拡散器として適合された、請求項13記載の太陽光発電器。
【請求項15】
前記支持構造がヒートシンクに熱的に結合された、請求項13記載の太陽光発電器。
【請求項16】
前記熱電変換器の前記高温端と前記低温端との間の温度差が少なくとも約50℃である、請求項13記載の太陽光発電器。
【請求項17】
前記熱電変換器の前記高温端と前記低温端との間の温度差が少なくとも約100℃である、請求項13記載の太陽光発電器。
【請求項18】
前記熱電変換器の前記高温端と前記低温端との間の温度差が少なくとも約150℃である、請求項13記載の太陽光発電器。
【請求項19】
前記熱電変換器の前記高温端と前記低温端との間の温度差が少なくとも約200℃である、請求項13記載の太陽光発電器。
【請求項20】
前記熱電変換器の前記高温端と前記低温端との間の温度差が少なくとも約250℃である、請求項13記載の太陽光発電器。
【請求項21】
前記輻射光捕捉構造の前記前面が約3ミクロンより短い波長の太陽輻射光を吸収するように適合された、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項22】
前記輻射光捕捉構造の前記前面が、約50nmから約3ミクロンまでの範囲内の波長の太陽輻射光を吸収するように適合された、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項23】
前記捕捉構造の前記前面と背面との間に配置された少なくとも1つの熱拡散要素をさらに備えた、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項24】
前記少なくとも1つの熱拡散要素が、前記輻射光捕捉構造中で約20W/mKより大きい値を有する横方向の熱伝導率を与える、請求項23記載の太陽光発電器。
【請求項25】
前記熱電変換器が、接合部によって互いに結合したp型脚とn型脚を備えた、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項26】
前記接合部が前記輻射光捕捉構造に熱的に結合した、請求項25記載の太陽光発電器。
【請求項27】
前記太陽光発電器が、少なくとも約4%の太陽光エネルギ変換を示す、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項28】
前記熱電変換器によって発生した電気エネルギを取り出すために、前記変換器に結合した少なくとも1つの電気伝導性の導出部をさらに備えた、請求項1記載の太陽光発電器。
【請求項29】
前面と背面とを有する輻射光捕捉構造であって、前記前面は太陽輻射光に曝され熱を発生させるように適合され、前記前面および背面のそれぞれは約1.5ミクロンより長い波長に対し約0.1より小さな放射率を示す部分を少なくとも有する、輻射光捕捉構造と、
前記輻射光捕捉構造に熱的に結合した複数の熱電変換器であって、変換器のそれぞれが、前記発生した熱の少なくとも一部を受け自身の高温端と低温端との間に温度差を生成する、熱電変換器とを備え、
前記輻射光捕捉構造上の入射太陽輻射光に応じて、それぞれの変換器の前記高温端と前記低温端との間に少なくとも約50℃の温度差を発生させ、前記変換器の前記低温端が約90℃より低い温度に維持されるように、前記輻射光捕捉構造に比べて離間的な前記変換器の配列が適合される、太陽光発電器。
【請求項30】
前記変換器の前記低温端が約70℃より低い温度に維持される、請求項29記載の太陽光発電器。
【請求項31】
前記変換器の前記低温端が約50℃より低い温度に維持される、請求項29記載の太陽光発電器。
【請求項32】
前記太陽光発電器が、約4%より大きい効率を示す、請求項29記載の太陽光発電器。
【請求項33】
前記太陽光発電器が約7%より大きい効率を示す、請求項29記載の太陽光発電器。
【請求項34】
前記輻射光捕捉構造の前記前面および背面の少なくとも一部の放射率が、約1.5ミクロンより長い波長に対し約0.1より小さい、請求項29記載の太陽光発電器。
【請求項35】
前記変換器のそれぞれが、接合部によって結合した1つのp型脚と1つのn型脚とを含み、前記p型脚とn型脚が1つの接合部で結合する、請求項29記載の太陽光発電器。
【請求項36】
前記接合部が、前記p型脚とn型脚を相互接続する金属の構造を備える、請求項35記載の太陽光発電器。
【請求項37】
前記p型脚とn型脚の内の少なくとも1つが、約0.0001メートルから約1メートルまでの範囲内の、長さに対する断面積の比によって特徴づけられる、請求項35記載の太陽光発電器。
【請求項38】
それぞれの変換器の前記低温端が結合する支持構造をさらに備えた、請求項29記載の太陽光発電器。
【請求項39】
前記変換器が、前記輻射光捕捉構造と前記支持構造との間の総熱伝導の約20%より小さい集合的な熱伝導を示す、請求項38記載の太陽光発電器。
【請求項40】
前記輻射光捕捉構造が捕捉面積によって特徴づけられ、前記複数の熱電変換器が変換器面積によって特徴づけられ、変換器面積に対する捕捉面積の比が約100より大きい、請求項29記載の太陽光発電器。
【請求項41】
変換器面積に対する捕捉面積の前記比が約400より大きい、請求項40記載の太陽光発電器。
【請求項42】
変換器面積に対する捕捉面積の前記比が約600より大きい、請求項40記載の太陽光発電器。
【請求項43】
前記複数の熱電変換器が大気圧に比べて排気された環境中にカプセル化される、請求項29記載の太陽光発電器。
【請求項44】
熱的に結合して接合部を形成する、少なくとも1つのn型熱電脚と少なくとも1つのp型熱電脚とを備え、前記少なくとも1つのn型熱電脚と少なくとも1つのp型熱電脚のそれぞれが軸方向によって特徴づけられ、
前記軸方向間の角度が約0°から約180°までの範囲内に存在するように、前記少なくとも1つのn型脚と少なくとも1つのp型脚とが互いに相対して配置され、
少なくとも1つの輻射光収集器が入射太陽輻射光を収集して濃縮するように適合され、前記少なくとも1つの輻射光収集器が濃縮された太陽輻射光を前記接合部に配光するように適合された、太陽光発電器。
【請求項45】
前記少なくとも1つのn型脚と少なくとも1つのp型脚が前記接合部で電気的に結合して熱電変換器を形成する、請求項44記載の太陽光発電器。
【請求項46】
前記少なくとも1つのn型脚と少なくとも1つのp型脚が線形に整列された、請求項44記載の太陽光発電器。
【請求項47】
前記少なくとも1つのn型脚と少なくとも1つのp型脚がn型脚とp型脚の複数の対を備え、それぞれの対の前記n型脚とp型脚は線形に整列され、対の接合部を共有する、請求項46記載の太陽光発電器。
【請求項48】
n型脚とp型脚の少なくとも2つの対が共通接合部を共有する、請求項47記載の太陽光発電器。
【請求項49】
前記少なくとも1つの輻射光収集器が、濃縮された太陽輻射光を前記対の接合部に配光するように適合された複数の輻射光収集器を備える、請求項47記載の太陽光発電器。
【請求項50】
前記接合部が、前記少なくとも1つのn型脚と少なくとも1つのp型脚との間に、接触点を備える、請求項44記載の太陽光発電器。
【請求項51】
前記接合部は前記少なくとも1つのn型脚と少なくとも1つのp型脚とに熱的に結合した捕捉構造を備え、前記捕捉構造は前記捕捉構造上に当たる濃縮された太陽輻射光を吸収し熱を発生させるように適合された、請求項44記載の太陽光発電器。
【請求項52】
前記少なくとも1つのn型熱電脚と少なくとも1つのp型熱電脚が平坦板構成中に収容された、請求項44記載の太陽光発電器。
【請求項53】
n型熱電脚とp型熱電脚とを含む少なくとも1つの熱電変換器であって、前記n型熱電脚とp型熱電脚が経路に沿って整列し、前記n型脚とp型脚とが前記少なくとも1つの熱電変換器の端の間に位置する接合部を共有する、熱電変換器と、
入射太陽輻射光を収集して濃縮するように適合された少なくとも1つの輻射光収集器であって、濃縮された太陽輻射光を前記接合部に配光するように適合された、輻射光収集器とを備える、太陽光発電器。
【請求項54】
前記経路が線形な経路である、請求項53記載の太陽光発電器。
【請求項55】
前記少なくとも1つの熱電変換器が平坦板構成中に収容される、請求項53記載の太陽光発電器。
【請求項56】
前記接合部は前記n型脚と前記p型脚とに熱的に結合した捕捉構造を備え、前記捕捉構造は前記捕捉構造上に当たる濃縮された太陽輻射光を吸収し熱を発生させるように適合された、請求項53記載の太陽光発電器。
【請求項57】
温度差に曝されると電気を発生させるように適合された複数の熱電変換器であって、自身の高温端によって接合部に熱的に結合した、熱電変換器と、
入射太陽輻射光を収集して濃縮するように適合された少なくとも1つの光学濃縮器であって、前記濃縮された太陽輻射光を前記接合部に配光するように適合された、光学濃縮器とを備える、太陽光発電器。
【請求項58】
それぞれの熱電変換器がp型脚とn型脚とを備え、前記接合部が前記p型脚と前記n型脚との間の結合を備える、請求項57記載の太陽光発電器。
【請求項59】
前記複数の熱電変換器が平面を共有するように構成された、請求項57記載の太陽光発電器。
【請求項60】
前記複数の熱電変換器が互いに平行に整列した、請求項59記載の太陽光発電器。
【請求項61】
前記複数の熱電変換器が互いに平行に整列していない、請求項59記載の太陽光発電器。
【請求項62】
前記複数の熱電変換器が平坦板構成中に収容された、請求項57記載の太陽光発電器。
【請求項63】
前記複数の熱電変換器が独立した環境中にカプセル化された、請求項57記載の太陽光発電器。
【請求項64】
前記複数の熱電変換器が取り外し可能なモジュール中に収容された、請求項63記載の太陽光発電器。
【請求項65】
前記接合部は前記複数の変換器に熱的に結合した捕捉構造を備え、前記捕捉構造は前記捕捉構造上に当たる濃縮された太陽輻射光を吸収し熱を発生させるように適合された、請求項57記載の太陽光発電器。
【請求項66】
前記複数の熱電変換器の少なくとも一部に結合した絶縁材料をさらに備え、前記複数の熱電変換器への熱の伝達を減少させる、請求項57記載の太陽光発電器。
【請求項67】
独立した環境を封入するバリヤ構造であって、1つまたは複数の太陽輻射光波長に対して少なくとも部分的に透過性であり、前記排気された環境中に前記輻射光波長の透過を可能にする、バリヤ構造と、
前記独立した環境中に配置された少なくとも1つの熱電変換器と、
前記独立した環境に光学的に結合した輻射光濃縮器であって、前記熱電変換器の一部を加熱するように太陽輻射光を配光し前記変換器に渡る温度差の発生を促進する、輻射光濃縮器とを備える、太陽光発電器。
【請求項68】
前記バリヤ構造が球状の形状である、請求項67記載の太陽光発電器。
【請求項69】
前記輻射光濃縮器は、太陽輻射光を配光し前記熱電変換器の前記一部を加熱するように適合された少なくとも1つのレンズ要素を備える、請求項67記載の太陽光発電器。
【請求項70】
前記輻射光濃縮器は、太陽輻射光を配光し前記熱電変換器の前記一部を加熱するように適合された少なくとも1つの反射要素を備える、請求項67記載の太陽光発電器。
【請求項71】
前記輻射光濃縮器は、屈折要素および回折要素の内の少なくとも1つを備える、請求項67記載の太陽光発電器。
【請求項72】
前記少なくとも1つの熱電変換器に対して前記輻射光濃縮器を移動させるように適合さ
れた太陽輻射光追跡機をさらに備え、太陽輻射光への暴露を維持し前記熱電変換器の前記一部を加熱する、請求項67記載の太陽光発電器。
【請求項73】
前記輻射光濃縮器は濃縮された太陽輻射光を配光するように適合され、前記濃縮された太陽輻射光は入射太陽輻射光よりも少なくとも約10倍により濃縮された、請求項72記載の太陽光発電器。
【請求項74】
前記少なくとも1つの熱電変換器に熱的に結合するように適合された熱拡散器をさらに備え、前記熱拡散器は前記少なくとも1つの熱電変換器の一部から熱を除去するように適合された、請求項67記載の太陽光熱電発電器。
【請求項75】
前記バリヤ構造が前記熱拡散器に取り外し可能に結合した、請求項74記載の太陽光熱電発電器。
【請求項76】
前記熱拡散器が複数のバリヤ構造に結合するように適合された、請求項74記載の太陽光熱電発電器。
【請求項77】
前記バリヤ構造が前記熱拡散器に熱的および電気的に結合した、請求項74記載の太陽光熱電発電器。
【請求項78】
前記独立した環境が大気圧よりも低い熱容量を備える環境を有する、請求項67記載の太陽光熱電発電器。
【請求項79】
前記独立した環境が大気圧に比べ排気された環境を有する、請求項78記載の太陽光熱電発電器。
【請求項80】
前記独立した環境が絶縁材料を有する、請求項78記載の太陽光熱電発電器。
【請求項81】
前記バリヤ構造内にあって前記少なくとも1つの熱電変換器に熱的に結合した捕捉構造をさらに備え、前記捕捉構造は前記輻射光濃縮器からの濃縮された太陽輻射光を吸収して熱を発生させる、請求項67の太陽光熱電発電器。
【請求項82】
太陽輻射光に曝され熱を発生させるために適合された輻射光吸収面を有する輻射光捕捉構造と、
前記輻射光捕捉構造に熱的に結合し、自身の1つの端で前記発生した熱の少なくとも一部を受ける少なくとも1つの熱電変換器と、
前記輻射光捕捉構造に光学的に結合し太陽輻射光を前記輻射光捕捉構造に配光する光学濃縮器とを備え、
前記捕捉構造は、前記光学濃縮器によって前記構造上に配光された輻射光の少なくとも一部を受けるように適合された少なくとも1つの突出要素であって、太陽輻射光への暴露に応じて熱を発生させる、突出要素を備える、太陽光発電器。
【請求項83】
前記少なくとも1つの突出要素が前記熱電変換器の前記端に熱的に結合し、前記発生した熱の少なくとも一部を前記端に伝達する、請求項82記載の太陽光発電器。
【請求項84】
前記少なくとも1つの突出要素が前記輻射光吸収面の接面に対して実質的に直交に配置された、請求項82記載の太陽光発電器。
【請求項85】
排気された環境をさらに含み、その中に前記熱電変換器が配置された、請求項82記載の太陽光発電器。
【請求項86】
前記光学濃縮器が放物線状の鏡収集器を備える、請求項82記載の太陽光発電器。
【請求項87】
太陽輻射光を吸収すると熱を発生するように適合された少なくとも1つの輻射光捕捉構造であって、太陽輻射光を捕捉し前記輻射光捕捉構造中に熱を発生させるように適合された太陽光捕捉面を備え、輻射光捕捉構造と、
前記少なくとも1つの輻射光捕捉構造に熱的に結合するように適合された複数の熱電変換器要素であって、前記輻射光捕捉構造からの熱に曝されると電気を発生させるようにさらに適合される、熱電変換器要素と、
入射太陽輻射光を収集して濃縮するように適合された複数の太陽光収集器であって、それぞれの太陽光収集器は濃縮された太陽輻射光を、前記少なくとも1つの輻射光捕捉構造の前記太陽光捕捉面の少なくとも一部の上に配光するように構成された、太陽光収集器とを備える、太陽光発電器。
【請求項88】
前記少なくとも1つの輻射光捕捉構造が複数の輻射光捕捉構造を備える、請求項87記載の太陽光発電器。
【請求項89】
前記複数の輻射光捕捉構造と前記複数の熱電変換器要素とが複数の平坦板装置として適合された、請求項88記載の太陽光発電器。
【請求項90】
前記複数の輻射光捕捉構造と前記複数の熱電変換器要素とが大気圧に比べ排気された複数の環境中に収容された、請求項88記載の太陽光発電器。
【請求項91】
前記少なくとも1つの輻射光捕捉構造の少なくとも一部と前記複数の熱電変換器要素とが大気圧に比べ排気された環境中に収容された、請求項87記載の太陽光発電器。
【請求項92】
前記複数の太陽光収集器が複数のレンズ構造を備える、請求項87太陽光発電器。
【請求項93】
前記複数の太陽光収集器が複数の複合放物線状濃縮器を備える、請求項87記載の太陽光発電器。
【請求項94】
前記複数の太陽光濃縮器が複数のトラフを形成するように構成された、請求項87記載の太陽光発電器。
【請求項95】
前記複数のトラフが三次元配置のトラフを形成する、請求項94記載の太陽光発電器。
【請求項96】
前記複数の太陽光濃縮器は、それぞれの反射面が太陽輻射光を異なったトラフ中に反射するように、互いに対してある角度で配置された2つの反射面を備える、請求項94記載の太陽光発電器。
【請求項97】
前記複数の熱電変換器要素の内の少なくとも1つの低温側が前記複数の反射面の内の少なくとも1つに熱的に結合した、請求項94記載の太陽光発電器。
【請求項98】
前記少なくとも1の輻射光捕捉構造と前記複数の熱電変換器要素とが複数の平坦板装置として適合され、それぞれの平坦板装置は前記複数のトラフの内の1つの中に位置する、請求項94記載の太陽光発電器。
【請求項99】
前記少なくとも1つの輻射光捕捉構造は、第1の太陽光捕捉面を有する第1の輻射光捕捉構造と、第2の太陽光捕捉面を有する第2の輻射光捕捉構造とを含み、前記複数の太陽光収集器の内の少なくとも1つが、太陽輻射光を前記第1の太陽光捕捉面に配光するよう
に適合された第1の部分と、太陽輻射光を前記第2の太陽光捕捉面に配光するように適合された第2の部分とを備える、請求項87記載の太陽光発電器。
【請求項100】
前記発電器が独立した環境を与えるバリヤ構造を備え、前記少なくとも1つの輻射光捕捉構造と、前記複数の熱電変換器と、前記複数の太陽光収集器とがこの中に封入される、請求項87記載の太陽光発電器。
【請求項101】
太陽輻射光を吸収すると熱を発生するように適合された輻射光捕捉構造であって、太陽輻射光を捕捉し前記輻射光捕捉構造中に熱を発生させる太陽光捕捉面を有する、輻射光捕捉構造と、
前記輻射光捕捉構造に熱的に結合するように適合された少なくとも1つの熱電変換器要素であって、前記輻射光捕捉構造からの熱に曝されると電気を発生するようにさらに適合される、熱電変換器要素と、
前記輻射光捕捉構造の前記太陽光捕捉面に密接に結合した太陽光収集伝導体であって、入射太陽輻射光を前記輻射光捕捉構造の前記太陽光捕捉面上に収集して濃縮するように適合された、太陽光収集伝導体とを備える、太陽光発電器。
【請求項102】
前記輻射光捕捉構造は、前記太陽光収集伝導体によって配光される輻射光の少なくとも一部を受けるように適合された少なくとも1つの突出要素を備え、前記少なくとも1つの突出要素を備える前記輻射光捕捉構造は、複数の方向から太陽輻射光を捕捉するように適合される、請求項101記載の太陽光発電器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【公表番号】特表2010−509899(P2010−509899A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536332(P2009−536332)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/023776
【国際公開番号】WO2008/063474
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(591275056)マサチユセツツ・インスチチユート・オブ・テクノロジイ (9)
【氏名又は名称原語表記】MASSACHUSETTS INSTITUTE OF TECHNOLOGY
【出願人】(509132680)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/023776
【国際公開番号】WO2008/063474
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(591275056)マサチユセツツ・インスチチユート・オブ・テクノロジイ (9)
【氏名又は名称原語表記】MASSACHUSETTS INSTITUTE OF TECHNOLOGY
【出願人】(509132680)
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