太陽光発電量予測装置
【課題】 日射量データを用いずに太陽光発電量を予測する太陽光発電量予測装置を提供する。
【解決手段】 予測対象の特定太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す第1発電変化量と、特定太陽光発電装置から所定範囲内にある複数の参照太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す第2発電変化量に対して、参照太陽光発電装置毎に、予測時点以前の第1期間の第1発電変化量と第1期間より第1時間差前の第2期間の第2発電変化量の間の相関度を算出する相関度算出手段12と、算出した相関度に基づいて複数の参照太陽光発電装置の中から、特定太陽光発電装置と類似する類似太陽光発電装置を抽出する類似太陽光発電装置抽出手段15と、類似太陽光発電装置の予測時点より第1時間差前から予測時点までの第2発電変化量に基づいて、特定太陽光発電装置の予測時点から予測時点より第1時間差後までの発電量を予測する発電量予測手段16を備える。
【解決手段】 予測対象の特定太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す第1発電変化量と、特定太陽光発電装置から所定範囲内にある複数の参照太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す第2発電変化量に対して、参照太陽光発電装置毎に、予測時点以前の第1期間の第1発電変化量と第1期間より第1時間差前の第2期間の第2発電変化量の間の相関度を算出する相関度算出手段12と、算出した相関度に基づいて複数の参照太陽光発電装置の中から、特定太陽光発電装置と類似する類似太陽光発電装置を抽出する類似太陽光発電装置抽出手段15と、類似太陽光発電装置の予測時点より第1時間差前から予測時点までの第2発電変化量に基づいて、特定太陽光発電装置の予測時点から予測時点より第1時間差後までの発電量を予測する発電量予測手段16を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電装置の発電量を予測する太陽光発電量予測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の屋根やビルの屋上等に太陽電池パネルを設置して構成される太陽光発電装置が、地球温暖化対策の有効な手段の一つとして注目され、今後大きく普及することが期待されている。
【0003】
太陽光発電装置の発電量は、太陽電池パネルの面積や定格出力、太陽電池パネルの設置条件(経度緯度、設置方位、傾斜角度、等)、及び、設置場所の日照条件(時期、時刻、気象条件、隣接する建物による日影の状態、等)に大きく左右される。従って、太陽光発電装置を導入する前に予めどの程度の発電量が見込めるかを予測する必要があり、また、導入後においても、発電量をリアルタイムで正確に予測できることが望ましい場合もある。
【0004】
前者の導入前の予測では、月単位等の平均的な概算の発電量を予測できれば十分な場合があり、下記の特許文献1に開示の太陽光発電量予測装置では、国内に設定された複数の地域の過去の実測値に基づく各月の平均日射量データと、太陽電池パネルの設置条件に基づいて、例えば月毎の発電量を算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3734344号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、気象庁等が提供している日射量、気温等の実測もしくは予報データを用いて太陽光発電量を予測する場合、太陽電池パネルの設置条件を予め把握しておく必要があり、また、時々刻々変化している気象条件や隣接する建物による日影の状態等の日照条件を反映させることが極めて困難であるという問題がある。
【0007】
従って、特定の場所に設置された太陽光発電装置に対して、例えば、或る1日の発電量の変化の予測を、日射量の予報データを用いてリアルタイムで行うことは、当該予報データが、当該特定の場所に特化して作成され、且つ、リアルタイムで提供されるものでない限り不可能である。
【0008】
そこで、本願発明者は、太陽電池パネルの設置条件や日射量の実測もしくは予報データを用いずに、しかも、時々刻々変化する日照条件を反映させて、太陽光発電量の予測ができれば、太陽光発電装置が発電した電力を、より効率的に利用できるものと考えた。
【0009】
本発明は、上記従来の平均的な日射量データを用いた太陽光発電量予測装置における問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、日射量の実測もしくは予報データを用いずに太陽光発電量の予測が可能な太陽光発電量予測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、予測対象の特定太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す所定の第1単位時間毎の第1発電変化量と、前記特定太陽光発電装置の設置場所から所定範囲以内に存在する前記特定太陽光発電装置以外の複数の参照太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す前記第1単位時間毎の第2発電変化量に対して、前記参照太陽光発電装置毎に、予測時点以前の所定時間長の第1期間の前記第1発電変化量と前記第1期間より所定の第1時間差前の前記第1期間と同じ時間長の第2期間の前記第2発電変化量の間の相関度を算出する相関度算出手段と、算出された前記相関度に基づいて、前記複数の参照太陽光発電装置の中から、気象変化に伴う発電量の変動パターンが前記第1時間差だけ先行して前記特定太陽光発電装置の当該変動パターンと類似する類似太陽光発電装置を抽出する類似太陽光発電装置抽出手段と、前記類似太陽光発電装置の前記予測時点より前記第1時間差前の第1時点から前記予測時点までの前記第2発電変化量に基づいて、前記特定太陽光発電装置の前記予測時点から前記予測時点より前記第1時間差後の第2時点までの発電量を予測する発電量予測手段と、を備えてなることを第1の特徴とする太陽光発電量予測装置を提供する。
【0011】
更に、上記第1の特徴の太陽光発電量予測装置は、前記特定太陽光発電装置及び前記複数の参照太陽光発電装置を含む複数の太陽光発電装置から、前記太陽光発電装置の前記第1単位時間毎または所定の単位時間毎の実測発電量を所定の通信回線を介して取得する発電量取得装置を備える構成であっても良く、更には、前記発電量取得装置から前記複数の太陽光発電装置の前記第1単位時間毎または所定の単位時間毎の実測発電量を取得して、前記特定太陽光発電装置の前記第1発電変化量及び前記複数の参照太陽光発電装置夫々の前記第2発電変化量を算出する発電変化算出手段を備える構成であっても良い。
【0012】
更に、上記第1の特徴の太陽光発電量予測装置は、前記発電量予測手段が予測した前記特定太陽光発電装置の発電量の予測値を、前記所定の通信回線を介して前記特定太陽光発電装置に送信する構成であっても良く、或いは、前記相関度算出手段、前記類似太陽光発電装置抽出手段、及び、前記発電量予測手段が、前記特定太陽光発電装置に内蔵或いは併設されている構成であっても良い。
【0013】
上記第1の特徴の太陽光発電量予測装置によれば、予測対象の特定太陽光発電装置と、発電量の気象変化に対する感度が類似し、当該気象変化に対する発電量の変動が、特定太陽光発電装置より時間的に先行して出現する類似太陽光発電装置を抽出することができ、従って、先行して出現した類似太陽光発電装置の当該気象変化に対する発電量の変動を利用して、特定太陽光発電装置の発電量の変化を予測することが可能となり、リアルタイムでの日射量予報データ、気象予報データ等の供給を受けずに、気象変化に伴う発電量の変動を考慮した正確な発電量予測が可能となる。
【0014】
ここで、上記第1の特徴の太陽光発電量予測装置は、複数の太陽光発電装置が夫々計測した実測発電量のデータを共用することで、その中の1つの太陽光発電装置が予測対象の特定太陽光発電装置となった場合に、他の複数の太陽光発電装置の中から、特定太陽光発電装置に対して先行して発電量が気象変化の影響を受ける範囲内にあって、気象変化の影響を受けない場合において、気象変化以外の太陽電池パネルの設置条件や設置場所の日照条件等の発電量に影響を与える要素が共通する太陽光発電装置を、夫々の太陽光発電装置についての当該要素の詳細を知ることなく抽出でき、最終的には、気象変化に対する感度も共通する類似太陽光発電装置を抽出することが可能となる。つまり、複数の太陽光発電装置が夫々計測した実測発電量のデータを共用することで、他の複数の太陽光発電装置に関する詳細な情報を取得することなく、夫々の太陽光発電装置の正確な発電量予測が可能となる。
【0015】
上述のように、上記第1の特徴の太陽光発電量予測装置は、複数の太陽光発電装置が夫々計測した実測発電量のデータを共用することが重要であり、当該共用が可能であれば、太陽光発電量予測装置の具体的な構成の如何は不問であり、種々の構成を採用することができる。尚、実測発電量のデータを共用することは、複数の太陽光発電装置が他の太陽光発電装置の実測発電量を直接する利用する場合に限らず、複数の太陽光発電装置の実測発電量を利用して得られるデータを利用する場合も含まれる。
【0016】
更に、上記第1の特徴の太陽光発電量予測装置は、前記第1発電変化量が、前記特定太陽光発電装置の予測時点を含む日の前記第1単位時間毎または所定の単位時間毎の予め算出された推定最大発電量と実測発電量の比に基づいて算出され、前記第2発電変化量が、前記参照太陽光発電装置の予測時点を含む日の前記第1単位時間毎または所定の単位時間毎の予め算出された推定最大発電量と実測発電量の比に基づいて算出されることが好ましい。これにより、個々の太陽光発電装置に固有の属性(太陽電池パネルの設置条件等)の影響を排除して、発電量の気象変化に伴う変動をより特徴的に示す第1及び第2発電変化量を算出することができ、相関度算出手段による相関度の算出において、気象変化に対する感度の相関の低い参照太陽光発電装置をより効果的に排除することができ、類似太陽光発電装置をより正確に抽出することが可能となる。
【0017】
更に、上記第1の特徴の太陽光発電量予測装置は、前記相関度算出手段が、前記第1時間差を複数通り変化させて前記相関度の算出を行い、前記発電量予測手段が、抽出された前記類似太陽光発電装置の前記相関度の算出に用いられた前記第1時間差を、前記発電量の予測に使用することが好ましい。これにより、予め想定した1つの第1時間差で相関度を算出した場合に、相関の強い太陽光発電装置の抽出ができない場合でも、他の第1時間差で相関度の算出を試みることで、より確実に類似太陽光発電装置を抽出することが可能となる。
【0018】
また、上記第1の特徴の太陽光発電量予測装置は、前記相関度算出手段が、前記類似太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す前記第1単位時間毎の前記第2発電変化量と、前記類似太陽光発電装置の設置場所から所定範囲以内に存在する前記類似太陽光発電装置以外の複数の第2参照太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す前記第1単位時間毎の第3発電変化量に対して、前記第2参照太陽光発電装置毎に、予測時点以前の所定時間長の第3期間の前記第2発電変化量と前記第3期間より所定の第2時間差前の前記第3期間と同じ時間長の第4期間の前記第3発電変化量の間の相関度を第2相関度として算出し、前記類似太陽光発電装置抽出手段が、算出された前記第2相関度に基づいて、前記複数の第2参照太陽光発電装置の中から、気象変化に伴う発電量の変動パターンが前記第2時間差だけ先行して前記類似太陽光発電装置の当該変動パターンと類似する第2の類似太陽光発電装置を抽出し、前記発電量予測手段が、前記第2の類似太陽光発電装置の前記予測時点より前記第2時間差前の第3時点から前記予測時点までの前記第3発電変化量に基づいて、前記特定太陽光発電装置の前記第2時点から前記第2時点より前記第2時間差後の第4時点までの発電量を予測することを第2の特徴とする。
【0019】
上記第2の特徴の太陽光発電量予測装置によれば、第1の特徴の太陽光発電量予測装置で抽出された類似太陽光発電装置と、発電量の気象変化に対する感度が類似し、当該気象変化に対する発電量の変動が、類似太陽光発電装置より時間的に先行して出現する第2の類似太陽光発電装置を抽出することができ、従って、先行して出現した第2の類似太陽光発電装置の当該気象変化に対する発電量の変動を利用して、特定太陽光発電装置の発電量の変化を第1の特徴の太陽光発電量予測装置より長期に予測することが可能となり、リアルタイムでの日射量予報データ、気象予報データ等の供給を受けずに、気象変化に伴う発電量の変動を考慮した正確な発電量予測が可能となる。つまり、第2の特徴の太陽光発電量予測装置では、気象変化の影響が第2の類似太陽光発電装置、類似太陽光発電装置、特定太陽光発電装置の順に伝達する現象を正確に把握することで、類似太陽光発電装置及び第2の類似太陽光発電装置に出現する第2及び第3発電変化量を特定太陽光発電装置の発電量の予測に利用するというものである。
【0020】
更に、上記第2の特徴の太陽光発電量予測装置は、前記発電量予測手段が、前記第1時点から前記予測時点までの前記第2発電変化量に代えて、前記第3時点より前記第1時間差前の第5時点から前記第3時点までの前記第3発電変化量に基づいて、前記特定太陽光発電装置の前記予測時点から前記第2時点までの発電量を予測する構成であっても良い。この場合、第2の類似太陽光発電装置に出現する第3発電変化量だけを特定太陽光発電装置の発電量の予測に利用する構成となる。これは、換言すれば、第1の特徴の太陽光発電量予測装置による類似太陽光発電装置の抽出を2段階のステップで行うことと等価であり、各段階での参照太陽光発電装置及び第2参照太陽光発電装置の選択範囲を狭めることができるため、相関度算出手段の処理負荷が軽減される。
【0021】
更に、上記第2特徴の太陽光発電量予測装置は、前記類似太陽光発電装置抽出手段が、算出された前記第2相関度に基づいて、前記複数の第2参照太陽光発電装置の中から、複数の前記第2の類似太陽光発電装置の候補を抽出し、前記相関度算出手段が、前記第2の類似太陽光発電装置の候補毎に、予測時点以前の所定時間長の第5期間の前記第1発電変化量と前記第5期間より前記第1時間差と前記第2時間差の合計時間前の前記第5期間と同じ時間長の第6期間の前記第3発電変化量の間の相関度を第3相関度として算出し、 前記類似太陽光発電装置抽出手段が、算出された前記第3相関度に基づいて、複数の前記第2の類似太陽光発電装置の候補の中から前記第2の類似太陽光発電装置を抽出する構成とすることが好ましい。
【0022】
或いは、上記第2特徴の太陽光発電量予測装置は、前記類似太陽光発電装置抽出手段が、算出された前記第2相関度に基づいて、前記複数の第2参照太陽光発電装置の中から、複数の前記第2の類似太陽光発電装置の候補を抽出し、前記類似太陽光発電装置抽出手段が、前記第2の類似太陽光発電装置の候補毎に、前記第2の類似太陽光発電装置の候補の設置場所から前記類似太陽光発電装置の設置場所に向かう方向と、前記類似太陽光発電装置の設置場所から前記特定太陽光発電装置の設置場所に向かう方向のズレの最も小さい前記第2の類似太陽光発電装置の候補を、前記第2の類似太陽光発電装置として抽出する構成とすることが好ましい。
【0023】
上記2つの構成の何れか一方または両方を採用することで、特定太陽光発電装置とより相関の強い、特定太陽光発電装置の発電量予測に使用するのに適した第2の類似太陽光発電装置を抽出することができ、特定太陽光発電装置の発電量の予測精度が向上する。
【0024】
更に、上記第2の特徴の太陽光発電量予測装置は、前記相関度算出手段が、予測時点以前の所定時間長の第7期間の前記第1発電変化量と前記第7期間より第3時間差前の前記第7期間と同じ時間長の第8期間の前記第3発電変化量の間の相関度を第4相関度として、前記第3時間差を前記第1時間差と前記第2時間差を合計した時間差を含む複数通りに変化させて算出し、前記類似太陽光発電装置抽出手段が、算出された前記第4相関度に基づいて、複数の前記第3時間差の中から前記第4相関度が最大となるものを抽出し、当該第3時間差から前記第1時間差を差し引いた値を前記第2時間差とすることが好ましい。これにより、第2の類似太陽光発電装置から特定太陽光発電装置までの気象変化の移動時間が、第2の類似太陽光発電装置から類似太陽光発電装置までの移動時間(第2時間差に相当)と類似太陽光発電装置から特定太陽光発電装置までの移動時間(第1時間差に相当)の合計と異なる場合において、第2時間差を修正することで、特定太陽光発電装置の発電量の予測精度が向上する。
【0025】
更に、上記第2の特徴の太陽光発電量予測装置は、前記第2発電変化量が、前記類似太陽光発電装置の予測時点を含む日の前記第1単位時間毎または所定の単位時間毎の予め算出された推定最大発電量と実測発電量の比に基づいて算出され、前記第3発電変化量が、前記第2参照太陽光発電装置の予測時点を含む日の前記第1単位時間毎または所定の単位時間毎の予め算出された推定最大発電量と実測発電量の比に基づいて算出されることが好ましい。これにより、個々の太陽光発電装置に固有の属性(太陽電池パネルの設置条件等)の影響を排除して、発電量の気象変化に伴う変動をより特徴的に示す第2及び第3発電変化量を算出することができ、相関度算出手段による第2相関度の算出において、気象変化に対する感度の相関の低い第2参照太陽光発電装置をより効果的に排除することができ、第2の類似太陽光発電装置をより正確に抽出することが可能となる。
【0026】
更に、上記第2の特徴の太陽光発電量予測装置は、前記相関度算出手段が、前記第2時間差を複数通り変化させて前記第2相関度の算出を行い、前記発電量予測手段が、抽出された前記第2の類似太陽光発電装置の前記第2相関度の算出に用いられた前記第2時間差を、前記発電量の予測に使用することが好ましい。これにより、予め想定した1つの第2時間差で第2相関度を算出した場合に、相関の強い太陽光発電装置の抽出ができない場合でも、他の第2時間差で相関度の算出を試みることで、より確実に第2の類似太陽光発電装置を抽出することが可能となる。
【0027】
上記第2の特徴の太陽光発電量予測装置は、上記第1の特徴の太陽光発電量予測装置と同様に、複数の太陽光発電装置が夫々計測した実測発電量のデータを共用することが重要であり、当該共用が可能であれば、太陽光発電量予測装置の具体的な構成の如何は不問であり、種々の構成を採用することができる。
【0028】
更に、上記第2の特徴の太陽光発電量予測装置は、前記相関度算出手段と前記類似太陽光発電装置抽出手段による、前記類似太陽光発電装置から前記第2の類似太陽光発電装置を抽出する一連の処理を繰り返し実行し、第3以降の類似太陽光発電装置を抽出することが好ましい。
【0029】
これにより、第2の特徴の太陽光発電量予測装置が、第1の特徴の太陽光発電量予測装置による類似太陽光発電装置の抽出を3段階以上のステップで行うことと等価となり、各段階での参照太陽光発電装置及び第2参照太陽光発電装置の選択範囲を狭めて、相関度算出手段の処理負荷を極端に増大させることなく、より長期に亘る特定太陽光発電装置の発電量の予測が可能となる。
【0030】
更に、上記第1または第2の特徴の太陽光発電量予測装置は、前記発電量予測手段が予測した前記特定太陽光発電装置の予測発電量と実測値の比較を、前記予測時点から一定時間経過後に行う第1予測発電量検証手段を備え、前記予測発電量と前記実測値が、所定の誤差範囲内で一致していない場合には、前記予測発電量の予測に用いた前記類似太陽光発電装置の抽出をやり直し、前記予測発電量と前記実測値が、所定の誤差範囲内で一致している場合には、前記予測発電量の予測に用いた前記類似太陽光発電装置を前記予測に引き続き使用する構成としても良い。当該構成によれば、気象条件が複雑に変化する場合において、時々刻々変化する気象条件に追従してより相関の強い類似太陽光発電装置をタイムリーに抽出することができ、より正確な発電量の変化を予測できる。
【0031】
更に、上記第1または第2の特徴の太陽光発電量予測装置は、前記相関度算出手段が、前記特定太陽光発電装置の設置場所から所定の第1範囲以内に存在する前記特定太陽光発電装置以外の複数の第4参照太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す前記第1単位時間毎の第4発電変化量と、前記複数の第4参照太陽光発電装置の夫々から所定の第2範囲以内に存在する複数の第5参照太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す前記第1単位時間毎の第5発電変化量に対して、前記第4参照太陽光発電装置毎及び前記第5参照太陽光発電装置毎に、予測時点以前の所定時間長の第9期間の前記第4発電変化量と前記第9期間より所定の第4時間差前の前記第9期間と同じ時間長の第10期間の前記第5発電変化量の間の相関度を第5相関度として算出し、算出された前記第5相関度に基づいて、前記第4参照太陽光発電装置毎に、前記複数の第5参照太陽光発電装置の中から、気象変化に伴う発電量の変動パターンが前記第4時間差だけ先行して前記第4参照太陽光発電装置の当該変動パターンと類似する類似参照太陽光発電装置を1つ抽出する類似参照太陽光発電装置抽出手段と、前記第4参照太陽光発電装置と前記類似参照太陽光発電装置の組み合わせ毎に、前記類似参照太陽光発電装置の設置場所から当該類似参照太陽光発電装置に対応する前記第4参照太陽光発電装置の設置場所に向かう方向と、前記第4参照太陽光発電装置の設置場所から前記特定太陽光発電装置の設置場所に向かう方向のズレが一定角度範囲内である場合に、当該組み合わせの前記第4参照太陽光発電装置における前記第9期間の前記第4発電変化量で示される発電量の変動が、前記発電量予測手段が予測した前記特定太陽光発電装置の発電量に存在するか否かを判定する第2予測発電量検証手段と、を更に備える構成としても良い。
【0032】
上記第1または第2の特徴の太陽光発電量予測装置は、既に抽出した類似太陽光発電装置或いは第2の類似太陽光発電装置の第2または第3発電変化量に基づく気象変化を、特定太陽光発電装置の発電量の予測に反映させるものであるが、類似太陽光発電装置或いは第2の類似太陽光発電装置において出現する以外の気象変化については、特定太陽光発電装置の発電量の予測に反映させることはできない。しかし、上記構成によれば、類似太陽光発電装置或いは第2の類似太陽光発電装置において出現する以外の気象変化の存在を、事前に知ることができ、第2予測発電量検証手段から発信される警報信号等を受信することで、新たな類似太陽光発電装置或いは第2の類似太陽光発電装置の抽出のやり直しや、予測した発電量の修正が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る太陽光発電量予測装置の第1乃至第6実施形態における概略構成を示す図
【図2】或る気象条件下での2地点間の太陽光発電装置の実測発電量の一例を示す図
【図3】図2に示す2地点間の実測発電量と推定最大発電量の比を離散的変数とした場合のラグ相関を示す図
【図4】図2に示す2地点間の実測発電量を離散的変数とした場合のラグ相関を示す図
【図5】図2に示す2地点間の実測発電量と推定最大発電量の差を離散的変数とした場合のラグ相関を示す図
【図6】或る気象条件下での2地点間の太陽光発電装置の実測発電量の別の一例を示す図
【図7】図6に示す2地点間の実測発電量と推定最大発電量の比を離散的変数とした場合のラグ相関を示す図
【図8】図6に示す2地点間の実測発電量を離散的変数とした場合のラグ相関を示す図
【図9】図6に示す2地点間の実測発電量と推定最大発電量の差を離散的変数とした場合のラグ相関を示す図
【図10】本発明に係る太陽光発電量予測装置の第2実施形態における処理手順を説明する図
【図11】本発明に係る太陽光発電量予測装置における特定太陽光発電装置の発電量の予測における予測時点、予測期間、第1及び第2時間差の間の関係を説明する図
【図12】本発明に係る太陽光発電量予測装置の第6実施形態における処理手順を説明する図
【図13】本発明に係る太陽光発電量予測装置の第7実施形態における概略構成を示す図
【図14】本発明に係る太陽光発電量予測装置の第8実施形態における概略構成を示す図
【図15】本発明に係る太陽光発電量予測装置の第8実施形態における処理手順を説明する図
【図16】本発明に係る太陽光発電量予測装置の別実施形態における第1の構成例を示す図
【図17】本発明に係る太陽光発電量予測装置の別実施形態における第2の構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明に係る太陽光発電量予測装置(以下、適宜「本発明装置」という)の実施形態につき、図面に基づいて説明する。
【0035】
〈第1実施形態〉
図1に示すように、第1実施形態に係る本発明装置1は、発電量取得装置11、相関度算出手段12、発電変化算出手段13、最大発電量推定手段14、類似太陽光発電装置抽出手段15、及び、発電量予測手段16を備えて構成される。
【0036】
発電量取得装置11は、図1に示すように、複数のユーザ建造物(住宅やビル等)に夫々設置された複数の太陽光発電装置30から、各太陽光発電装置30の所定の単位時間毎(例えば1分毎)の実測発電量Pi(t)をアナログ或いはデジタル公衆電話回線やインターネット網等の所定のデータ通信回線31を介して取得する。ここで、iは太陽光発電装置30の識別番号で、tは予測当日の所定の基準時(例えば、午前0時)からの離散的な(例えば1分毎の)経過時間(時点)を示す離散値である。
【0037】
各太陽光発電装置30は、図示しないが、太陽電池パネル、太陽電池パネルの発電電力を家庭用の交流電力に変換するインバータ装置、太陽電池パネルの発電電量を逐次計測する電力計等を備え、発電量取得装置11に対して、計測した単位時間毎の実測発電量を逐次(同じ単位時間毎に)送信するか、或いは、一定期間(例えば、10分間)分を蓄積してから所定の時間間隔(例えば、10分毎)で纏めて送信する。従って、発電量取得装置11と太陽光発電装置30の双方には、データ通信回線31を介したデータ通信に必要な通信インターフェースが具備されている。
【0038】
本実施形態では、複数の太陽光発電装置30は、例えば複数の都道府県に跨る広範なエリアに分散して配置され、上記エリアを細分した住居等の存在する小区画(例えば1km四方)内には、夫々数台乃至数10台以上の太陽光発電装置30が存在する場合を想定する。しかし、上記想定は一例であり、複数の太陽光発電装置30の配置範囲や配置密度は上記に限定されるものではない。
【0039】
相関度算出手段12は、複数の太陽光発電装置30の中から選択された予測対象の特定太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す所定の第1単位時間毎(例えば、1分毎)の第1発電変化量QA(t)と、特定太陽光発電装置の設置場所から所定範囲以内に存在する特定太陽光発電装置以外の複数の参照太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す第1単位時間毎(例えば、1分毎)の第2発電変化量QBj(t)に対して、参照太陽光発電装置毎に、予測時点(t=tf)以前の所定時間長の第1期間T1の第1発電変化量QA(t)と第1期間T1より所定の第1時間差Δt1前の第1期間T1と同じ時間長の第2期間T2の第2発電変化量QBj(t−Δt1)の間の相関度Rj(t=tf)を、以下の数1により算出する。ここで、jは参照太陽光発電装置30の識別番号で、上記実測発電量Pi(t)の識別番号iと同じであり、識別番号jの集合は、識別番号iの集合の部分集合である。相関度Rj(t=tf)は、第1時間差Δt1の時差を有するラグ相関を示している。
【0040】
(数1)
Rj(t=tf)=S(X,Y)/(σX・σY)
S(X,Y)=Σ{(X−Xa)・(Y−Ya)}/n
X=QA(t)
Y=QBj(t−Δt1)
【0041】
上記数1第1式の右辺分子のS(X,Y)は、離散的変数XとYの共分散で、第2式に示すように、XとY夫々の離散値と平均値(Xa,Ya)との差の対応するもの同士の積を離散値の標本数n分加算して(演算子Σ)、標本数nで除して得られる。右辺分母のσXとσYは夫々離散的変数XとYの標準偏差である。離散的変数X及びYの時間変数tは、第1期間T1内に属する離散値であり、離散的変数X(t)と離散的変数Y(t)は同じ離散値tのものが対応する。
【0042】
ここで、本実施形態では、第1期間T1と第2期間T2の所定時間長は、複数の参照太陽光発電装置の存在位置における日の出時刻t0と、第1時間差Δt1によって一義的に決定される。つまり、第2期間T2を、予測当日の日の出時刻t0から所定時間後(例えば、30分後)に開始し、予測時点(t=tf)より第1時間差Δt1前に終了する期間と定め、第1期間T1を、第2期間T2より開示時点及び終了時点を夫々第1時間差Δt1ずつ遅らせた期間と設定する。尚、第1及び第2期間T1,T2に上限値を設け、予測時点の進行につれて、第1及び第2期間T1,T2が当該上限値を超過する場合には、第1及び第2期間T1,T2の各開始時刻を遅らせるようにしても良い。この場合、当該上限値は、例えば3時間程度に設定する。
【0043】
第1発電変化量QA(t)と第2発電変化量QBj(t)は、夫々、発電量取得装置11で取得された複数の太陽光発電装置30の実測発電量Pi(t)の内の、特定太陽光発電装置の第1期間T1における実測発電量Px(t)と複数の参照太陽光発電装置の第2期間T2における実測発電量Pj(t)に基づいて、発電変化算出手段13によって夫々算出される。当該算出処理は、発電変化算出手段13が、発電量取得装置11から各太陽光発電装置30の実測発電量Pi(t)を取得する毎に、逐次、取得した実測発電量Pi(t)に対応する発電変化量QBi(t)の比として、以下の数2に示す算出式により算出され、実測発電量Pi(t)と発電変化量QBi(t)が所定の記憶装置17内に記憶される。従って、第1期間T1における実測発電量Px(t)と第2期間T2における実測発電量Pj(t)は、既に算出された発電変化量QBi(t)から必要部分を抽出することで得られる。尚、実測発電量Pi(t)は所定の単位時間毎の離散値であるが、その所定の単位時間は、上記第1時間単位と同じであるのが好ましいが、異なっていても構わない。異なっている場合は、下記の数2の計算時に、実測発電量Pi(t)の時間間隔を上記第1時間単位に合わせるように調整すれば良い。
【0044】
(数2)
QBi(t)=Pi(t)/PAi(t)
【0045】
数1中の右辺分母のPAi(t)は、各太陽光発電装置30の予測当日における所定の第1単位時間毎(例えば、1分毎)の推定最大発電量である。つまり、PAi(t)は、予測当日の時刻tにおける推定最大発電量を過去の実測データに基づいて算出したものである。本実施形態では、推定最大発電量PAi(t)として、例えば、予測当日前の1カ月間における同じ時刻tにおける実測発電量Pi(t)の最大値を使用する。他の算出例としては、例えば、1年前の実測データが存在する場合は、予測当日前の2週間と、1年前の同日とその後2週間における同じ時刻tにおける実測発電量Pi(t)の最大値を使用するようにしても良い。これは、1か月程の期間を想定すれば、必ずその期間内に快晴日が含まれ、最大日射量で発電した期間が存在するとの仮定に基づく。更に、他の算出例として、上記最大値を抽出する期間内で、上位2つまたは3つの最大値を抽出して、その2つまたは3つの最大値と各抽出日から予測当日の最大値を線形補間等によって推測するようにしても良い。更には、平均日射量の日推移や平均気温の日推移を考慮した所定の補正式を導出しておき、算出された最大値とその抽出日に基づいてその補正式より予測当日の最大値を補正するようにしても良い。
【0046】
尚、各太陽光発電装置30の推定最大発電量PAi(t)は、予測当日の予測処理開始前の所定時刻(午前0時から日の出時刻t0の間、例えば、午前1時)に、最大発電量推定手段14によって算出される。最大発電量推定手段14は、記憶装置17に保存されている過去の実測発電量Pi(t)に基づいて、予測当日の推定最大発電量PAi(t)を計算して、記憶装置17に保存する。
【0047】
ここで、推定最大発電量PAi(t)を使用する意義について説明する。推定最大発電量PAi(t)は、各太陽光発電装置30に設けられた太陽電池パネルの発電量に関係する諸条件の内、気象変化の影響を除く、太陽電池パネルの面積や定格出力、太陽電池パネルの設置条件(経度緯度、設置方位、傾斜角度、等)、及び、設置場所の日照条件(時期、時刻、隣接する建物による日影の状態、等)が全て考慮された後の、各時点での最大発電量となっている。従って、数1で規定される発電変化量QBi(t)は、実測発電量Pi(t)と比較して、各太陽光発電装置30における気象変化に起因する発電量の変化をより顕著に示す値になっている。この結果、推定最大発電量PAi(t)を使用する場合は、複数の太陽光発電装置30の配置範囲の配置密度が低い場合、つまり、上記小区画内の太陽光発電装置30の配置数が少ない場合においても、発電量に関係する諸条件が異なる太陽光発電装置30間においても、気象変化に起因する発電量の変化のパターンが特定太陽光発電装置と類似する太陽光発電装置(後述する類似太陽光発電装置)の抽出がより効率的に可能となる。
【0048】
本実施形態では、発電変化算出手段13と最大発電量推定手段14は、相関度算出手段12と並列して設けられる構成を想定しているが、発電変化算出手段13と最大発電量推定手段14で算出される結果は、上述のように、相関度算出手段12において使用されるため、発電変化算出手段13と最大発電量推定手段14を、相関度算出手段12が備える構成としても良い。
【0049】
相関度算出手段12による特定太陽光発電装置と参照太陽光発電装置間の相関度Rj(t=tf)の算出について、更に、詳細に説明する。本実施形態で対象とする気象変化には、低気圧等の比較的移動速度の速い雲(例えば、50km/h程度)によるものや、夕立等の突発的に発生し、移動速度の遅い現象(例えば、20km/h程度)によるものが含まれる。よって、これらの気象変化による発電量の変化を予測する場合、例えば30分後の発電量の変動を予測するには、特定太陽光発電装置から25km程度の範囲内に存在する太陽光発電装置30を参照太陽光発電装置として選択する。当該選択は、複数の太陽光発電装置30に関する設置場所(経度緯度)を含む属性データを格納したデータベース18にアクセスして、特定太陽光発電装置から25km程度の範囲内の設置場所(経度緯度)の太陽光発電装置30を検索して行う。尚、当該検索によって選択された参照太陽光発電装置の数が多過ぎる場合や、特定の小区画内に集中している場合は、上記諸条件の内、特定の項目が相違するものを除外して、間引く処理を行っても構わない。これにより、層間度の算出に掛かる処理時間が短くなる。また、参照太陽光発電装置の選択範囲は、特定太陽光発電装置を中心とする円形エリア内でなくても良く、例えば、当該円形エリアの円周内側の円環部分、或いは、当該円周部分に位置する上記小区画の集合であっても良い。
【0050】
相関度算出手段12は、1つの特定太陽光発電装置に対して上記要領で選択された複数の参照太陽光発電装置に対して、第1時間差Δt1を、30分後の発電量の変動を予測する場合には、30分に初期設定して、上記数1に示す相関度Rj(t=tf)を計算する。
【0051】
類似太陽光発電装置抽出手段15は、相関度算出手段12が算出した相関度Rj(t=tf)に基づいて、複数の参照太陽光発電装置の中から、相関度Rj(t=tf)が最大の参照太陽光発電装置を、類似太陽光発電装置として抽出する。但し、最初に設定した第1時間差Δt1で、所定の閾値(例えば、0.8〜0.9の間の数値を設定する)を超える相関度Rj(t=tf)が、全ての参照太陽光発電装置の中から算出されなかった場合は、第1時間差Δt1の設定を、例えば、±1分ずつ変更して、上記閾値を超える参照太陽光発電装置が現れるまで、全ての参照太陽光発電装置に対して相関度の計算を繰り返し実行する。或いは、第1時間差Δt1の初期設定として、予め複数通りを設定しておき、その初期設定範囲での計算結果の中に、上記閾値を超える参照太陽光発電装置が含まれていれば、相関度の計算を終了し、そうでなければ、上述のように、第1時間差Δt1の設定を、例えば、±1分ずつ変更して、上記閾値を超える参照太陽光発電装置が現れるまで、全ての参照太陽光発電装置に対して相関度の計算を繰り返し実行するようにしても良い。以上の要領で、気象変化に伴う発電量の変動パターンが第1時間差Δt1だけ先行して予測対象の特定太陽光発電装置の当該変動パターンと類似する類似太陽光発電装置が抽出される。
【0052】
発電量予測手段16は、類似太陽光発電装置抽出手段15が抽出した類似太陽光発電装置の予測時点(t=tf)より第1時間差Δt1前の第1時点(t=tf−Δt1)から予測時点(t=tf)までの発電変化量QBi(t)のデータを記憶装置17から読み出し、当該発電変化量QBi(t)を、特定太陽光発電装置の予測時点(t=tf)から第1時間差Δt1後の第2時点(t=tf+Δt1)までの第1発電変化量QA(t)とする。ここで、予測時点(t=tf)での第1発電変化量QA(t)と予測時点(t=tf)より第1時間差Δt1前の類似太陽光発電装置の発電変化量QBi(t)が必ずしも同じ値であるとは限らないため、所定の誤差(例えば±5%)以上の乖離がある場合には、予測時点(t=tf)から第1時間差Δt1後までの第1発電変化量QA(t)を以下の数3に示す算出式で補正して求めるようしても良い。但し、発電変化量QBi(tf−Δt1)が1の場合は、係数k1が無限大となり計算不能となるので、第1発電変化量QA(tf)が上記誤差範囲で1でない場合は、当該類似太陽光発電装置は、発電量予測に不適当であるとして、同様の条件下において次に相関度の高い参照太陽光発電装置を類似太陽光発電装置として抽出する。
【0053】
(数3)
QA(t)=1−k1・(1−QBi(t))
k1=(1−QA(tf))/(1−QBi(tf−Δt1))
【0054】
上記要領で導出した予測時点(t=tf)から第1時間差Δt1後までの第1発電変化量QA(t)を、上記数2の左辺に代入すると、予測時点(t=tf)から第1時間差Δt1後まで(以下、「第1予測期間」と称す。)の特定太陽光発電装置の発電量の予測値が得られる。得られた予測値は、特定太陽光発電装置を特定して、記憶装置17に一旦記憶される。尚、第1時間差Δt1は、類似太陽光発電装置の抽出に使用した相関度の算出時における第1時間差Δt1である。
【0055】
以上の要領で、第1予測期間における特定太陽光発電装置の発電量の予測値は、過去の特定太陽光発電装置の発電量の実績値に基づいて算出された気象変化の影響を含まない推定最大発電量PAi(t)と、気象変化の影響を含む類似太陽光発電装置の発電変化量QBi(t)に基づいて算出される。
【0056】
尚、第1時間差Δt1の設定を変更して相関度の計算を繰り返し実行しても、上記閾値を超える参照太陽光発電装置が抽出できない場合は、類似太陽光発電装置を抽出せず、予測時点(t=tf)から第1時間差Δt1後までの第1発電変化量QA(t)は、以下の数4に示す算出式で求める。つまり、予測時点(t=tf)から第1時間差Δt1後までの推定最大発電量PAi(t)に予測時点での第1発電変化量QA(tf)を乗じてQAQA予測値QA(t)を求める。例えば、1日中快晴或いは雲の動きのない曇天等の気象変化のない日では、数4の予測式が適用できる。
【0057】
(数4)
QA(t)=PAi(t)×QA(tf)
【0058】
以上の要領で、1つの特定太陽光発電装置の発電量の予測値が得られるが、本実施形態では、複数の太陽光発電装置30の中から、特定太陽光発電装置を1つずつ順次選択して、当該処理を繰り返して、全ての太陽光発電装置30に対して、発電量の予測を実行する。また、当該処理は、一定の時間間隔(例えば、15分〜30分毎)で、日の出後所定時間経過後から周期的に日没まで繰り返し実行される。予測結果の発電量Pi(t)は、発電量取得装置11の通信インターフェースから、データ通信回線31を経由して特定太陽光発電装置に都度提供され、特定太陽光発電装置において、当該予測データを用いた制御或いは予測値の表示が行われる。ここで、特定太陽光発電装置側での予測データを用いた制御や表示の詳細な内容は、本発明の本旨ではないので説明を省略する。
【0059】
尚、発電量の予測対象となる太陽光発電装置30は、複数の太陽光発電装置30の全数ではなく、一部に限定しても構わない。つまり、当該予測値の提供を希望するユーザに限定して、予測結果を提供するようにしても良い。
【0060】
本発明装置1を構成する発電量取得装置11及び各手段12〜16は、上述の各処理が本発明装置1を構成するコンピュータのハードウェアを利用したデータ処理及び演算処理によって実現されるように構成されている。従って、本発明装置1は、コンピュータのハードウェアとそのハードウェア上で実行されるアプリケーションソフトウェアで構成される。
【0061】
次に、本発明装置1の上記予測手法により、気象変化による発電量の変化を予測できることの説明を、実験データを用いて行う。
【0062】
図2は、或る気象条件下での約10km離れた2地点(A点とB点)間の実測発電量を示している(A点を実線、B点を破線で示している)。図3は、図2に示す同じ日のA点とB点の実測発電量Pi(t)を用いて上記数1及び数2により計算した相関度Rj(t=tf)を、横軸を第1時間差Δt1としてプロットしたグラフである。図4は、同じ日のA点とB点の実測発電量Pi(t)をそのまま上記数1の相関度Rj(t=tf)の算出式における離散的変数XとYとした場合の相関度Rj(t=tf)を、横軸を第1時間差Δt1としてプロットしたグラフである。図5は、同じ日のA点とB点の実測発電量Pi(t)と夫々の推定最大発電量PAi(t)との差分(PAi(t)−Pi(t))を上記数1の相関度Rj(t=tf)の算出式における離散的変数XとYとした場合の相関度Rj(t=tf)を、横軸を第1時間差Δt1としてプロットしたグラフである。
【0063】
図2に示す日は、晴天から曇天、雨天と気象条件が変化した日で、雲の影響によって、実測発電量が何回にも亘って大きく変化している。図2に示すように、当該発電量の変化は約20分の時間差をもってA点からB点に推移していることが分かる。図3〜図5は、発電量の変化のA点とB点間の3種類の相関度を示すグラフであるが、何れも第1時間差Δt1が約21〜22分のところにピークが存在しており、図2に示す時間差と一致しているが、図3に示す上記数1及び数2で規定する相関度が最も良好に気象変化による発電量の変化の2地点間の相関度を表していることが分かる。
【0064】
図6に、同じ2地点(A点とB点)間の別の日の実測発電量を示す(A点を実線、B点を破線で示す)。図7〜図9に、上記図3〜図5に対応する3種類の相関度を、横軸を第1時間差Δt1としてプロットしたグラフを示す。図6に示す日は、A点とB点で、明らかに互いに相関のない異なる気象変化が起きていることが分かる。従って、図7〜図9に示す3種類の相関度は何れも0.4以下の低い相関度を示している。しかし、図7に示す上記数1により計算した相関度Rj(t=tf)が最も低い相関度を示しており、相関度の計算に用いる離散的変数X及びYとして、数2に示す実測発電量Pi(t)と推定最大発電量PAi(t)の比である発電変化量QBi(t)が最適であることが分かる。
【0065】
〈第2実施形態〉
上記第1実施形態の本発明装置1において、特定太陽光発電装置の発電量の第1予測期間は、第1時間差Δt1で規定されるため、より長い第1予測期間は、第1時間差Δt1をより長く設定することで実現する。しかし、第1時間差Δt1を長く設定すると、選択する参照太陽光発電装置30の範囲(面積)が拡大するため、参照太陽光発電装置30の選択数が、第1時間差Δt1の増加率の2乗で増大する。そこで、本第2実施形態では、参照太陽光発電装置30の選択数の増大を抑制して、予測期間を延長する方法を説明する。尚、本発明装置1の構成は、第1実施形態と同じであるので、重複する説明は割愛する。
【0066】
本第2実施形態では、第1実施形態において抽出した類似太陽光発電装置を基準として、第2の類似太陽光発電装置を抽出して、第2の類似太陽光発電装置の発電変化量QBi(t)を基に、第1実施形態による予測時点(t=tf)から第1時間差Δt1後の第2時点までの第1予測期間以降において、第2時点から第2時点より第2時間差Δt2経過後の第4時点までの第2予測期間における特定太陽光発電装置の発電量を予測する。以下、第2の類似太陽光発電装置の抽出手順について説明する。
【0067】
先ず、複数の太陽光発電装置30の実測発電量Pi(t)、推定最大発電量PAi(t)は、第1実施形態で取得されたものを使用することを前提として、図10に示すように、相関度算出手段12が、複数の太陽光発電装置30の中から複数の第2参照太陽光発電装置を、第1実施形態における参照太陽光発電装置の選択と同じ要領で選択する。図10中、S0が特定太陽光発電装置、S1が類似太陽光発電装置、S2が第2の類似太陽光発電装置、A0が参照太陽光発電装置の選択範囲、A1が第2参照太陽光発電装置の選択範囲を夫々示している。尚、図中の矢印は、気象変化の進行する方向を示している。第2参照太陽光発電装置は、類似太陽光発電装置S1から第2予測期間の長さ(第2時間差Δt2)に応じて定まる所定距離範囲内の存在する太陽光発電装置30が選択される。仮に、第2予測期間の長さを仮に第1実施形態と同じく30分とすれば、類似太陽光発電装置S1から25km程度の範囲内に存在する太陽光発電装置30が、第2参照太陽光発電装置として選択される。第1予測期間と第2予測期間の長さは必ずしも同じである必要はない。ここで、選択された第2参照太陽光発電装置の内、類似太陽光発電装置S1より特定太陽光発電装置S0に近い範囲B0(図10参照)内に存在するものを除外するようにしても良い。
【0068】
相関度算出手段12は、1つの類似太陽光発電装置に対して上記要領で選択された複数の第2参照太陽光発電装置に対して、第2時間差Δt2を、第2予測期間が30分である場合には、30分に初期設定して、以下の数5に示す第2相関度R2k(t=tf)を計算する。第2相関度R2k(t=tf)は、予測時点(t=tf)以前の所定時間長の第3期間T3の第1発電変化量QA(t)と第3期間T3より所定の第2時間差Δt2前の第3期間T3と同じ時間長の第4期間T4の第3発電変化量QBk(t−Δt2)の間の相関度である。ここで、jは類似太陽光発電装置の識別番号、kは第2参照太陽光発電装置の識別番号であり、離散的変数Xは類似太陽光発電装置の発電変化量QBj(t)であり、離散的変数Yは第2参照太陽光発電装置の発電変化量QBj(t−Δt2)である。第3発電変化量QBk(t)は、第2参照太陽光発電装置の実測発電量Pi(t)に対応する発電変化量QBi(t)の比として、上記数2によって算出されるが、離散的変数X及びYの各発電変化量は、複数の太陽光発電装置30の実測発電量Pi(t)に基づいて、発電変化算出手段13が既に算出して記憶装置17内に記憶した発電変化量QBi(t)から必要部分を抽出することで得られる。第2時間差Δt3を初期設定から変更する場合の要領、及び、第5期間T5及び第6期間T6の設定方法は、第1実施形態における第1時間差Δt1、第1期間T1及び第2期間T2の場合と同じであるので、重複する説明は割愛する。
【0069】
(数5)
R2k(t=tf)=S(X,Y)/(σX・σY)
S(X,Y)=Σ{(X−Xa)・(Y−Ya)}/n
X=QBj(t)
Y=QBk(t−Δt2)
【0070】
類似太陽光発電装置抽出手段15は、第1実施形態の類似太陽光発電装置の抽出と同じ要領で、相関度算出手段12が算出した第2相関度R2k(t=tf)に基づいて、複数の第2参照太陽光発電装置の中から、第2相関度R2k(t=tf)が最大の第2参照太陽光発電装置を第2の類似太陽光発電装置として抽出する。
【0071】
発電量予測手段16は、類似太陽光発電装置抽出手段15が抽出した第2の類似太陽光発電装置の予測時点(t=tf)より第2時間差Δt2前の第3時点(t=tf−Δt2)から予測時点(t=tf)までの発電変化量QBi(t)のデータを記憶装置17から読み出し、当該発電変化量QBi(t)を、特定太陽光発電装置の第2予測期間(第2時点(t=tf+Δt1)から第2時間差Δt2後の第4時点(t=tf+Δt1+Δt2)まで)の第1発電変化量QA(t)とする。ここで、第2時点(t=tf+Δt1)での第1実施形態で導出した第1発電変化量QA(t)と予測時点(t=tf)より第2時間差Δt2前の第2の類似太陽光発電装置の発電変化量QBi(t)が必ずしも同じ値であるとは限らないため、所定の誤差(例えば±5%)以上の乖離がある場合には、第2時点(t=tf+Δt1)から第2時間差Δt2後の第4時点までの第1発電変化量QA(t)を以下の数6に示す算出式で補正して求めるようしても良い。但し、発電変化量QBi(tf−Δt2)が1の場合は、係数k2が無限大となり計算不能となるので、第1発電変化量QA(tf)が上記誤差範囲で1でない場合は、当該類似太陽光発電装置は、発電量予測に不適当であるとして、同様の条件下において次に第2相関度の高い参照太陽光発電装置を類似太陽光発電装置として抽出する。
【0072】
(数6)
QA(t)=1−k2・(1−QBi(t))
k2=(1−QA(tf+Δt1))/(1−QBi(tf−Δt2))
【0073】
上記要領で導出した第2時点(t=tf+Δt1)から第2時間差Δt2後までの第2予測期間の第1発電変化量QA(t)を、上記数2の左辺に代入すると、第2予測期間の特定太陽光発電装置の発電量の予測値が得られる。得られた予測値は、特定太陽光発電装置を特定して、記憶装置17に一旦記憶される。尚、第2時間差Δt2は、類似太陽光発電装置の抽出に使用した相関度の算出時における第2時間差Δt2である。
【0074】
更に、別実施形態として、上記第1実施形態で算出した第1予測期間の特定太陽光発電装置の第1発電変化量QA(t)についても、第2の類似太陽光発電装置の発電変化量QBi(t)を使用するようにしても良い。つまり、発電量予測手段16が、第2の類似太陽光発電装置の予測時点(t=tf)より第1時間差Δt1と第2時間差Δt2の合計時間差(Δt1+Δt2)前の第5時点から予測時点(t=tf)までの発電変化量QBi(t)のデータを記憶装置17から読み出し、当該発電変化量QBi(t)を、特定太陽光発電装置の第1予測期間と第2予測期間の両方(予測時点(t=tf)から第1時間差Δt1と第2時間差Δt2の合計時間差(Δt1+Δt2)後の第4時点まで)の第1発電変化量QA(t)とするようにしても良い。そして、上記要領で導出した第1及び第2予測期間の第1発電変化量QA(t)を、上記数2の左辺に代入すると、第1及び第2予測期間の特定太陽光発電装置の発電量の予測値が得られる。
【0075】
図11に、予測時点(t=tf)、第1時点〜第5時点(図11中において、t1〜t5で示す)、第1時間差Δt1、第2時間差Δt2、第1及び第2予測期間の時間的な位置関係について、理解の容易のために纏めて示す。
【0076】
〈第3実施形態〉
上記第2実施形態の第1の別実施形態(第3実施形態)について説明する。上記第2実施形態では、第1実施形態で抽出した類似太陽光発電装置を基準として、第2の類似太陽光発電装置を1つ抽出して、その1つの第2の類似太陽光発電装置の発電変化量QBi(t)に基づいて、特定太陽光発電装置の第2予測期間または第1及び第2予測期間における発電量を予測した。しかし、第2の類似太陽光発電装置と特定太陽光発電装置間の相関度については、当然に高いものと推定して実際にはその確認を行っていない。しかし、第2の類似太陽光発電装置と特定太陽光発電装置間は、ある程度の相関が高いと認められるものの、第2の類似太陽光発電装置から特定太陽光発電装置までの気象変化の移動時間が、第2の類似太陽光発電装置から類似太陽光発電装置までの移動時間(第2時間差Δt2に相当)と類似太陽光発電装置から特定太陽光発電装置までの移動時間(第1時間差Δt1に相当)の和になっているとは限らない。例えば、特定太陽光発電装置と類似太陽光発電装置と第2の類似太陽光発電装置が直線上に並んでいない場合は、両方の移動時間の和より早く気象変化が現れる可能性もある。また、逆に地形等の影響で遅く現れる可能性もある。
【0077】
そこで、本第3実施形態では、発電量予測手段16が特定太陽光発電装置の第2予測期間または第1及び第2予測期間における発電量を予測する前に、上記第2実施形態で抽出した1つの第2の類似太陽光発電装置と特定太陽光発電装置間の相関度(第3相関度)の確認を、相関度算出手段12が実行する。具体的には、相関度算出手段12が、下記の数7に示す第3相関度R3k(t=tf)を計算する。第3相関度R3k(t=tf)は、予測時点(t=tf)以前の所定時間長の第5期間T5の第1発電変化量QA(t)と第5期間T5より所定の第3時間差Δt3前の第5期間T5と同じ時間長の第6期間T6の第3発電変化量QBk(t−Δt3)の間の相関度である。ここで、kは第2の類似太陽光発電装置の識別番号、離散的変数Xは特定太陽光発電装置の第1発電変化量QA(t)であり、離散的変数Yは第2の類似太陽光発電装置の第3発電変化量QBk(t−Δt3)である。第3時間差Δt3は、初期値として(Δt1+Δt2)に設定され、例えば±1分刻みで複数通りに変更される。第3発電変化量QBk(t)は、第2の類似太陽光発電装置の実測発電量Pi(t)に対応する発電変化量QBi(t)の比として、上記数2によって算出されるが、離散的変数X及びYの各発電変化量は、複数の太陽光発電装置30の実測発電量Pi(t)に基づいて、発電変化算出手段13が既に算出して記憶装置17内に記憶した発電変化量QBi(t)から必要部分を抽出することで得られる。第3時間差Δt3を初期設定から変更する場合の要領、及び、第5期間T5及び第6期間T6の設定方法は、第1実施形態における第1時間差Δt1、第1期間T1及び第2期間T2の場合と同じであるので、重複する説明は割愛する。
【0078】
(数7)
R3k(t=tf)=S(X,Y)/(σX・σY)
S(X,Y)=Σ{(X−Xa)・(Y−Ya)}/n
X=QA(t)
Y=QBk(t−Δt3)
【0079】
類似太陽光発電装置抽出手段15は、数7により算出した複数の第3時間差Δt3での第3相関度R3k(t=tf)の中から最大の第3相関度R3k(t=tf)を与える第3時間差Δt3を選択する。ここで、第3相関度R3k(t=tf)中に上記所定の閾値(または、上記所定の閾値とは異なる別の閾値(例えば、0.8〜0.9の間の数値を設定する))以上となるものが存在しない場合は、第2相関度R2k(t=tf)の次に大きい第2参照太陽光発電装置を第2の類似太陽光発電装置として抽出して、再度第3相関度R3k(t=tf)を算出して、上記所定の閾値(または別の閾値)以上の第2参照太陽光発電装置が見つかるまで、当該処理を繰り返す。
【0080】
そして、発電量予測手段16は、第3時間差Δt3から第1時間差Δt1を差し引いた値を第2時間差Δt2と修正して、類似太陽光発電装置抽出手段15が抽出した第2の類似太陽光発電装置の予測時点(t=tf)より第2時間差Δt2前から予測時点(t=tf)までの発電変化量QBi(t)のデータを記憶装置17から読み出し、当該発電変化量QBi(t)を、特定太陽光発電装置の第2予測期間(第2予測時点(t=tf+Δt1)から第2時間差Δt2後まで)の第1発電変化量QA(t)とする。第1発電変化量QA(t)を上記数2の左辺に代入すると、第2予測期間の特定太陽光発電装置の発電量の予測値が得られる。
【0081】
或いは、別実施形態として、発電量予測手段16が、第2の類似太陽光発電装置の予測時点(t=tf)より第3時間差Δt3前から予測時点(t=tf)までの発電変化量QBi(t)のデータを記憶装置17から読み出し、当該発電変化量QBi(t)を、特定太陽光発電装置の第1予測期間と第2予測期間の両方(予測時点(t=tf)から第3時間差Δt3後まで)の第1発電変化量QA(t)とするようにしても良い。第1発電変化量QA(t)を上記数2の左辺に代入すると、第1及び第2予測期間の特定太陽光発電装置の発電量の予測値が得られる。
【0082】
〈第4実施形態〉
上記第2実施形態の第2の別実施形態(第4実施形態)について説明する。上記第2実施形態では、第1実施形態で抽出した類似太陽光発電装置を基準として、第2の類似太陽光発電装置を1つ抽出して、その1つの第2の類似太陽光発電装置の発電変化量QBi(t)に基づいて、特定太陽光発電装置の第2予測期間または第1及び第2予測期間における発電量を予測した。しかし、第2の類似太陽光発電装置と特定太陽光発電装置間の相関度については、当然に高いと推定して実際にはその確認を行っていない。しかし、第2の類似太陽光発電装置と特定太陽光発電装置間は、ある程度の高い相関があると認められるものの、第2参照太陽光発電装置の中から特定太陽光発電装置との間で相関度が最高のものが抽出されているとは限らない。
【0083】
そこで、本第4実施形態では、上記第2実施形態における第2の類似太陽光発電装置の抽出を、1つではなく複数に変更する。つまり、類似太陽光発電装置抽出手段15は、相関度算出手段12が算出した第2相関度R2k(t=tf)に基づいて、複数の第2参照太陽光発電装置の中から、第2相関度R2k(t=tf)の大きい順に複数(例えば、2以上10以下の値)の第2参照太陽光発電装置を第2の類似太陽光発電装置の候補として抽出する。
【0084】
そして、相関度算出手段12が、第2の類似太陽光発電装置の候補の夫々に対して、以下の数8に示す第4相関度R4k(t=tf)を計算する。第4相関度R4k(t=tf)は、予測時点(t=tf)以前の所定時間長の第7期間T7の第1発電変化量QA(t)と第7期間T7より所定の時間差(第1時間差Δt1と第2時間差Δt2の合計)前の第7期間T7と同じ時間長の第8期間T8の第3発電変化量QBk(t−Δt1−Δt2)の間の相関度である。ここで、kは第2の類似太陽光発電装置の識別番号、離散的変数Xは特定太陽光発電装置の第1発電変化量QA(t)であり、離散的変数Yは第2の類似太陽光発電装置の第3発電変化量QBk(t−Δt1−Δt2)である。また、離散的変数X及びYの各発電変化量は、複数の太陽光発電装置30の実測発電量Pi(t)に基づいて、発電変化算出手段13が既に算出して記憶装置17内に記憶した発電変化量QBi(t)から必要部分を抽出することで得られる。第7期間T7及び第8期間T8の設定方法は、第1実施形態における第1期間T1及び第2期間T2の場合と同じであるので、重複する説明は割愛する。
【0085】
(数8)
R4k(t=tf)=S(X,Y)/(σX・σY)
S(X,Y)=Σ{(X−Xa)・(Y−Ya)}/n
X=QA(t)
Y=QBk(t−Δt1−Δt2)
【0086】
類似太陽光発電装置抽出手段15は、数8により算出した複数の第4相関度R4k(t=tf)の中から最大の第4相関度R4k(t=tf)を与える第2の類似太陽光発電装置の候補を第2の類似太陽光発電装置として抽出する。ここで、第4相関度R4k(t=tf)中に上記所定の閾値(または、上記所定の閾値とは異なる別の閾値(例えば、0.8〜0.9の間の数値を設定する))以上となるものが存在しない場合は、第2の類似太陽光発電装置の抽出を行わない。第2の類似太陽光発電装置を抽出した以降の処理は、第2実施形態と同様であるので、重複する説明は省略する。
【0087】
〈第5実施形態〉
上記第2実施形態の第3の別実施形態(第5実施形態)について説明する。上記第2実施形態では、第1実施形態で抽出した類似太陽光発電装置を基準として、第2の類似太陽光発電装置を1つ抽出して、その1つの第2の類似太陽光発電装置の発電変化量QBi(t)に基づいて、特定太陽光発電装置の第2予測期間または第1及び第2予測期間における発電量を予測した。しかし、第2の類似太陽光発電装置と類似太陽光発電装置と特定太陽光発電装置の相互間の位置関係が、必ずしも1つの気象変化が連続して進行する位置関係となっていない可能性もある。つまり、第2の類似太陽光発電装置と類似太陽光発電装置間の相関性の基となる気象変化と、類似太陽光発電装置と特定太陽光発電装置間の相関性の基となる気象変化が異なる場合もあり得る。
【0088】
そこで、本第5実施形態では、上記第2実施形態における第2の類似太陽光発電装置の抽出を、1つではなく複数に変更する。つまり、類似太陽光発電装置抽出手段15は、相関度算出手段12が算出した第2相関度R2k(t=tf)に基づいて、複数の第2参照太陽光発電装置の中から、第2相関度R2k(t=tf)の大きい順に複数(例えば、2以上10以下の値)の第2参照太陽光発電装置を第2の類似太陽光発電装置の候補として抽出する。
【0089】
次に、類似太陽光発電装置抽出手段15が、第2の類似太陽光発電装置の候補と類似太陽光発電装置と特定太陽光発電装置の各設置場所(経度緯度)を、データベース18にアクセスして検索し、類似太陽光発電装置の設置場所から特定太陽光発電装置の設置場所に向かう第1方向の方位角(例えば、北を0度、東を90度、南を180度、西を270度
として0〜360度で表す)と、第2の類似太陽光発電装置の候補毎の第2の類似太陽光発電装置の設置場所から類似太陽光発電装置の設置場所に向かう第2方向の方位角を、夫々算出し、第1方向と第2方向の方位角の差の最も小さい第2の類似太陽光発電装置の候補を、第2の類似太陽光発電装置として抽出する。第2の類似太陽光発電装置を抽出した以降の処理は、第2実施形態と同様であるので、重複する説明は省略する。
【0090】
〈第6実施形態〉
上記第2実施形態の更に幾つかの別実施形態について纏めて説明する。
【0091】
上記第3乃至第5実施形態は、何れも上記第2実施形態で抽出された第2の類似太陽光発電装置と予測対象の特定太陽光発電装置の間の関係を直接確認する処理を追加的に設けたものであり、夫々の追加的に設けた確認処理は、夫々単独で実行される場合を説明した。しかし、上記第3乃至第5実施形態の各確認処理は、その内の2乃至3を組み合わせて実行しても良い。
【0092】
上記第2乃至第5実施形態では、図10に示すように、第1実施形態において抽出した類似太陽光発電装置S1を基準として、第2の類似太陽光発電装置S2を抽出して、第2の類似太陽光発電装置S2の発電変化量QBi(t)を基に、第2予測期間または第1及び第2予測期間における特定太陽光発電装置S0の発電量の予測値を求めた。これに対して、図12に示すように、類似太陽光発電装置S1を基準として、第2の類似太陽光発電装置S2を抽出するのと同様の要領で、第2の類似太陽光発電装置S2を基準として、所定の範囲A2内の複数の第3参照太陽光発電装置を選択して、その中から第3の類似太陽光発電装置S3を抽出し、第3の類似太陽光発電装置S3の発電変化量QBi(t)を基に、少なくとも第2予測期間より先の予測期間について特定太陽光発電装置S0の発電量の予測値を求めるようにしても良い。同様に、更に、第4の類似太陽光発電装置S4を抽出して、予測期間を長くするようにしても良い。この場合、第3以降の類似太陽光発電装置S3、S4についても、特定太陽光発電装置の間の関係を直接確認する上記第2乃至第5実施形態の追加的処理を実行するようにするのも好ましい。
【0093】
〈第7実施形態〉
第7実施形態に係る本発明装置2は、図13に示すように、上記第1乃至第6実施形態の本発明装置1に対して、第1予測発電量検証手段19を備えた構成となっている。
【0094】
第1予測発電量検証手段19は、或る予測時点(t=tf)から一定時間経過後の検証時点(t=tf+Δt)において、当該予測時点から検証時点までの検証期間中における発電量予測手段16が予測した特定太陽光発電装置の発電量の予測値と、発電量取得装置11が新たに取得した実測値の比較を行い、予測精度の検証を行う。一定時間Δtは当然に第1時間差Δt1より短く、例えば、第1時間差Δt1の20〜80%程度の範囲内の1または複数通りを設定する。
【0095】
予測精度の検証は、例えば、以下の2種類の検証の何れか一方または両方を行う。第1の検証では、当該検証期間の所定の単位時間毎(例えば1分毎)の差分値(絶対値)を予測値で除した誤差の最大値と平均値の何れか一方または両方が夫々の所定の上限値(例えば、最大値:10%、平均値:5%)以下の場合に、予測が正しいと判断する。第2の検証では、当該検証期間の予測値と実測値のラグ相関を求め、相関の強い時間差を調べ、当該時間差が例えば±1分以内であれば、予測が正しいと判断する。ラグ相関の求め方は、上記数1の第1及び第2式に示す相関度Rj(t=tf)と同じ算出式を用い、夫々の離散的変数X,Yを当該検証期間の予測値と実測値とする。本実施形態では、第1の検証で予測が正しくないと判断されても、第2の検証で、予測が正しいと判断された場合は、第2の検証結果を優先する。
【0096】
上記検証の結果、予測が正しくないと判定された場合は、その検証時点で、類似太陽光発電装置の抽出処理をやり直して、特定太陽光発電装置の発電量の予測値を再計算する。また、上記検証の結果、予測が正しいと判定された場合は、次の予め設定された予測時点まで、直近の予測時点で予測した予測値を使用する。
【0097】
〈第8実施形態〉
第8実施形態に係る本発明装置3は、図14に示すように、上記第1乃至第6実施形態の本発明装置1に対して、類似参照太陽光発電装置抽出手段20と第2予測発電量検証手段21を備えた構成となっている。尚、図14には、上記第7実施形態の第1予測発電量検証手段19を破線枠で表示しており、第1予測発電量検証手段19を併設する別実施形態が可能であることを示している。
【0098】
第8実施形態に係る本発明装置3は、上記第1または第2実施形態で予測された特定太陽光発電装置の発電量の予測値に対して、当該予測の基礎となっている気象変化と別の気象変化で、特定太陽光発電装置との相関の低い別の太陽光発電装置20で既に発生しているイレギュラー或いは突発的な気象変化の影響による発電量の変動が、特定太陽光発電装置の発電量の変動として影響を及ぼすか否かの判定を行う。以下、当該判定を便宜的に「突発変動判定」と称し、具体的な「突発変動判定」の処理手順について説明する。
【0099】
上記第1または第2実施形態で説明した特定太陽光発電装置の発電量の予測(通常予測)が終了した後、先ず、相関度算出手段12が、図15に示すように、複数の太陽光発電装置30の中から特定太陽光発電装置S0から所定範囲B1(第1範囲に相当)内に存在する太陽光発電装置30を第4参照太陽光発電装置C1iとして複数選択する。更に、相関度算出手段12が、選択した第4参照太陽光発電装置C1i毎に、複数の太陽光発電装置30の中から特定太陽光発電装置S0から所定範囲B2内で、第4参照太陽光発電装置C1iから夫々所定範囲B3i内(第2範囲に相当)に存在する太陽光発電装置30を第5参照太陽光発電装置C2ijとして選択する。i及びjは、本第8実施形態において、第4及び第5参照太陽光発電装置の識別番号である。所定範囲B1は、第1または第2実施形態の通常予測で予測した第1予測期間または第2予測期間内の一部の期間で上記イレギュラー或いは突発的な気象変化が到達し得る範囲として設定され、例えば、参照太陽光発電装置の選択範囲A0の外縁を含む円環状のエリアを用いる。また、所定範囲B2は、所定範囲B1より外側に位置する円環状のエリアを用いる。一例として、参照太陽光発電装置の選択範囲A0が、特定太陽光発電装置S0の設置場所を中心とする半径25kmの円形エリアとすると、所定範囲B1は特定太陽光発電装置S0の設置場所を中心とする半径20〜25kmの円環状エリアであり、所定範囲B2は特定太陽光発電装置S0の設置場所を中心とする半径30〜35kmの円環状エリアが想定される。また、所定範囲B3iは、第4参照太陽光発電装置C1iから夫々15〜20km程度以内の範囲に設定される。尚、第4参照太陽光発電装置C1i及び第5参照太陽光発電装置C2ijの選択は、参照太陽光発電装置の選択と同様に、複数の太陽光発電装置30に関する設置場所(経度緯度)を含む属性データを格納したデータベース18にアクセスして、上記各範囲内の太陽光発電装置30を検索して行う。
【0100】
次に、相関度算出手段12が、選択した第4参照太陽光発電装置C1i毎に、選択した第5参照太陽光発電装置C2ijに対して、第4時間差Δt4を、例えば20分に設定して、以下の数9に示す第5相関度R5ij(t=tf)を夫々計算する。第5相関度R5ij(t=tf)は、予測時点(t=tf)以前の所定時間長の第9期間T9の第4発電変化量QBi(t)と第9期間T9より所定の第4時間差Δt4前の第9期間T9と同じ時間長の第10期間T10の第5発電変化量QBij(t−Δt4)の間の相関度である。ここで、離散的変数Xは第4参照太陽光発電装置C1iの第4発電変化量QBi(t)であり、離散的変数Yは第5参照太陽光発電装置C2ijの第5発電変化量QBij(t−Δt4)である。第4発電変化量QBi(t)は、第4参照太陽光発電装置C1iの実測発電量Pi(t)に対応する発電変化量QBi(t)の比として、上記数2によって算出される、第5発電変化量QBij(t)は、第5参照太陽光発電装置C2ijの実測発電量Pij(t)に対応する発電変化量QBij(t)の比として、上記数2によって算出されるが、離散的変数X及びYの各発電変化量は、複数の太陽光発電装置30の実測発電量Pi(t)に基づいて、発電変化算出手段13が既に算出して記憶装置17内に記憶した発電変化量QBi(t)から必要部分を抽出することで得られる。第4時間差Δt4を初期設定から変更する場合の要領、及び、第9期間T9及び第10期間T10の設定方法は、第1実施形態における第1時間差Δt1、第1期間T1及び第2期間T2の場合と同じであるので、重複する説明は割愛する。尚、上記第5相関度R5ij(t=tf)の計算は、全ての選択した第4参照太陽光発電装置C1iと対応する全ての第5参照太陽光発電装置C2ijに対して実行される。
【0101】
(数9)
R5ij(t=tf)=S(X,Y)/(σX・σY)
S(X,Y)=Σ{(X−Xa)・(Y−Ya)}/n
X=QBi(t)
Y=QBij(t−Δt4)
【0102】
次に、類似参照太陽光発電装置抽出手段20が、第4参照太陽光発電装置C1i毎に、算出された第5相関度R5ij(t=tf)に基づいて、複数の第5参照太陽光発電装置C2ijの中から、第5相関度R5ij(t=tf)が最大の第5参照太陽光発電装置C2ijを1ずつ、気象変化に伴う発電量の変動パターンが第4時間差Δt4だけ先行して第4参照太陽光発電装置C1iの当該変動パターンと類似する類似参照太陽光発電装置C3iとして抽出する。
【0103】
次に、第2予測発電量検証手段21が、第4参照太陽光発電装置C1iと対応する類似参照太陽光発電装置C3iの組み合わせ毎に、類似参照太陽光発電装置C3iの設置場所から対応する第4参照太陽光発電装置C1iの設置場所に向かう第1方向の方位角D1iと、第4参照太陽光発電装置C1iの設置場所から特定太陽光発電装置A0の設置場所に向かう第2方向の方位角D2iの差を夫々算出し、以下の第1乃至第4ステップの処理(判定)を全ての第4参照太陽光発電装置C1iと対応する類似参照太陽光発電装置C3iの組み合わせに対して順次行う。
【0104】
第1ステップとして、2つの方位角D1i,D2iが一定角度範囲内(例えば、±20°以下)であるか否かをチェックする。上記一定角度範囲外であれば、次の第4参照太陽光発電装置C1iに移行し、最後の第4参照太陽光発電装置C1iであれば、判定処理を終了する。上記一定角度範囲内であれば、次のステップに移行する。
【0105】
第2ステップとして、予測時点(t=tf)より直前の、第1または第2実施形態の通常予測で予測された期間と同じ長さの期間内に、第4参照太陽光発電装置C1iの第4発電変化量QBi(t)の所定の短い期間(例えば、5分間)内での大きな減少が存在するか否かをチェックする。大きな減少の判定基準として、例えば、第4発電変化量QBi(t)の0.5以上の減少を想定する。大きな減少が確認できれば、次のステップに移行する。当該減少が確認できなければ、次の第4参照太陽光発電装置C1iに移行し、最後の第4参照太陽光発電装置C1iであれば、判定処理を終了する。
【0106】
第3ステップとして、当該減少の第4参照太陽光発電装置C1iから特定太陽光発電装置A0までの移動時間を計算する。当該計算は、第4参照太陽光発電装置C1iと類似参照太陽光発電装置C3i間の距離と第5相関度R5ij(t=tf)の計算に用いた第4時間差Δt4から移動速度を求め、第4参照太陽光発電装置C1iと特定太陽光発電装置A0間の距離を、当該移動速度で除して求める。そして、当該減少の発生時刻と移動時間から、当該減少が、特定太陽光発電装置A0で発生する時刻を予測する。
【0107】
第4ステップとして、特定太陽光発電装置A0の発電量の予測値の当該発生予測時刻に同様の発電変化量の減少が存在するか否かをチェックする。同様の発電変化量の減少が存在する場合は、次の第4参照太陽光発電装置C1iに移行し、最後の第4参照太陽光発電装置C1iであれば、判定処理を終了する。逆に、同様の発電変化量の減少が存在しない場合は、当該発電変化量の減少を示すアラームデータ(発生時刻及び発電変化量の減少量)を特定太陽光発電装置A0に、発電量取得装置11の通信インターフェースから、データ通信回線31を経由して提供される。ここで、特定太陽光発電装置側での当該アラームデータを用いた制御や表示の詳細な内容は、本発明の本旨ではないので説明を省略する。
【0108】
以下に、別の実施形態につき説明する。
〈1〉上記第1乃至第8実施形態では、本発明装置1〜3は、複数の太陽光発電装置30とは、所定のデータ通信回線31を介してデータの授受が可能に接続されている場合を想定した。つまり、本発明装置1〜3は、複数の太陽光発電装置30の夫々とは、一定の距離を隔てて離間している場合を想定したが、本発明装置1〜3は、複数の太陽光発電装置30の1つに内蔵或いは併設される構成であっても良い。
【0109】
更に、本発明装置1〜3の一部の構成要素が、複数の太陽光発電装置30の内の予測対象の特定太陽光発電装置となる1または複数の太陽光発電装置30に内蔵或いは併設される構成であっても良い。具体的には、例えば、図16及び図17に示す2つの構成例が考えられる。
【0110】
図16に示す第1の構成例では、発電量取得装置11、発電変化算出手段13、最大発電量推定手段14、記憶装置17、及び、データベース18が一纏まりとなって、本発明装置4から分離したセンター装置5として、複数の太陽光発電装置30に対して1つ存在し、相関度算出手段12、類似太陽光発電装置抽出手段15、及び、発電量予測手段16が一纏まりとなって、特定太陽光発電装置毎に分散配置される本発明装置4として、特定太陽光発電装置となる1または複数の太陽光発電装置30に内蔵或いは併設される。
【0111】
図17に示す第2の構成例では、発電量取得装置11、記憶装置17、及び、データベース18が一纏まりとなって、本発明装置6から分離したセンター装置7として、複数の太陽光発電装置30に対して1つ存在し、相関度算出手段12、発電変化算出手段13、最大発電量推定手段14、類似太陽光発電装置抽出手段15、及び、発電量予測手段16が一纏まりとなって、特定太陽光発電装置毎に分散配置される本発明装置6として、特定太陽光発電装置となる1または複数の太陽光発電装置30に内蔵或いは併設される。第2の構成例では、各特定太陽光発電装置側に、発電変化算出手段13と最大発電量推定手段14が設けられているため、発電変化算出手段13と最大発電量推定手段14で算出された各特定太陽光発電装置の第1発電変化量QA(t)と推定最大発電量PAi(t)が、各特定太陽光発電装置が計測した実測発電量Pi(t)とともに、データ通信回線31を介してセンター装置7側の発電量取得装置11に送信される。この場合、或る特定太陽光発電装置の第1発電変化量QA(t)は、他の特定太陽光発電装置に対する第2発電変化量QBj(t)や第3発電変化量QBk(t)となる。
【0112】
図16及び図17では、全ての太陽光発電装置30が特定太陽光発電装置となる場合を想定している。尚、第7実施形態の第1予測発電量検証手段19を備えた構成とする場合には、第1予測発電量検証手段19は、特定太陽光発電装置側の本発明装置4,6に設けるのが良いが、センター装置5,7に設けることも可能である。また、第8実施形態の類似参照太陽光発電装置抽出手段20と第2予測発電量検証手段21を備えた構成とする場合には、類似参照太陽光発電装置抽出手段20と第2予測発電量検証手段21は、特定太陽光発電装置側の本発明装置4,6に設けるのが良いが、センター装置5,7に設けることも可能である。センター装置5,7に、第1予測発電量検証手段19、或いは、類似参照太陽光発電装置抽出手段20と第2予測発電量検証手段21を設ける場合は、センター装置5,7は、各本発明装置4,6から夫々の特定太陽光発電装置の発電量の予測値を、データ通信回線31を介して取得しておく必要がある。
【0113】
ところで、本別実施形態の本発明装置4,6及びセンター装置5,7の発電量取得装置11、記憶装置17、データベース18、及び、各手段12〜16は、上記第1乃至第8実施形態の対応する装置及び手段と同じ機能を有するので、それらの詳細については重複する説明は省略する。但し、本発明装置4,6は、特定太陽光発電装置毎に分散して設けられているため、各本発明装置4,6は、対応する太陽光発電装置の1台だけを特定太陽光発電装置として、上述の処理を実行する。
【0114】
〈2〉上記実施形態では、第1発電変化量QA(t)や第2発電変化量QBj(t)等の各太陽光発電装置30の発電量の気象変化に伴う変動を示す発電変化量QBi(t)として、数2で示される実測発電量Pi(t)を推定最大発電量PAi(t)で除した比を用いたが、実測発電量Pi(t)をそのまま用いることも可能である。これは、図4を参照して説明したように、実測発電量Pi(t)をそのまま相関度算出用の離散的変数XとYとした場合でも、数2で算出される発電変化量を離散的変数XとYとする上記各実施形態と同様に、或る程度の相関を検査できるからである。但し、各太陽光発電装置30の実測発電量Pi(t)は、気象変化以外の諸条件、つまり、太陽電池パネルの面積や定格出力、太陽電池パネルの設置条件(経度緯度、設置方位、傾斜角度、等)、及び、設置場所の日照条件(時期、時刻、隣接する建物による日影の状態、等)の影響も受けている。このため、相関度を算出する際に、これらの気象変化以外の諸条件の影響をできる限り排除する必要があり、複数の参照太陽光発電装置、複数の第2参照太陽光発電装置等の相関度算出時の対象となる太陽光発電装置の選択時に、気象変化以外の諸条件が共通する太陽光発電装置を選択すれば良い。斯かる選択方法として、例えば、太陽光発電装置間で、推定最大発電量PAi(t)の相関度の高い組み合わせのグループを予め抽出しておき、同じグループ内で、実測発電量Pi(t)をそのまま離散的変数XとYとして、数1に規定する相関度を算出する複数の参照太陽光発電装置等を選択する方法が考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明に係る太陽光発電量予測装置は、太陽光発電装置の発電量の気象変化の伴う変動を予測するのに利用可能である。
【符号の説明】
【0116】
1,2,3,4,6: 太陽光発電量予測装置
5,7: センター装置
11: 発電量取得装置
12: 相関度算出手段
13: 発電変化算出手段
14: 最大発電量推定手段
15: 類似太陽光発電装置抽出手段
16: 発電量予測手段
17: 記憶装置
18: データベース
19: 第1予測発電量検証手段
20: 類似参照太陽光発電装置抽出手段
21: 第2予測発電量検証手段
30: 太陽光発電装置
31: データ通信回線
A0: 参照太陽光発電装置の選択範囲
A1: 第2参照太陽光発電装置の選択範囲
B0: 参照太陽光発電装置の選択除外範囲
B1: 第4参照太陽光発電装置の選択範囲
B2: 第5参照太陽光発電装置の第1の選択範囲
B3i: 第5参照太陽光発電装置の第2の選択範囲
C1i: 第4参照太陽光発電装置
C3i: 類似参照太陽光発電装置
S0: 特定太陽光発電装置
S1: 類似太陽光発電装置
S2: 第2の類似太陽光発電装置
S3: 第3の類似太陽光発電装置
S4: 第4の類似太陽光発電装置
t1: 第1時点
t2: 第2時点
t3: 第3時点
t4: 第4時点
t5: 第5時点
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電装置の発電量を予測する太陽光発電量予測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の屋根やビルの屋上等に太陽電池パネルを設置して構成される太陽光発電装置が、地球温暖化対策の有効な手段の一つとして注目され、今後大きく普及することが期待されている。
【0003】
太陽光発電装置の発電量は、太陽電池パネルの面積や定格出力、太陽電池パネルの設置条件(経度緯度、設置方位、傾斜角度、等)、及び、設置場所の日照条件(時期、時刻、気象条件、隣接する建物による日影の状態、等)に大きく左右される。従って、太陽光発電装置を導入する前に予めどの程度の発電量が見込めるかを予測する必要があり、また、導入後においても、発電量をリアルタイムで正確に予測できることが望ましい場合もある。
【0004】
前者の導入前の予測では、月単位等の平均的な概算の発電量を予測できれば十分な場合があり、下記の特許文献1に開示の太陽光発電量予測装置では、国内に設定された複数の地域の過去の実測値に基づく各月の平均日射量データと、太陽電池パネルの設置条件に基づいて、例えば月毎の発電量を算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3734344号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、気象庁等が提供している日射量、気温等の実測もしくは予報データを用いて太陽光発電量を予測する場合、太陽電池パネルの設置条件を予め把握しておく必要があり、また、時々刻々変化している気象条件や隣接する建物による日影の状態等の日照条件を反映させることが極めて困難であるという問題がある。
【0007】
従って、特定の場所に設置された太陽光発電装置に対して、例えば、或る1日の発電量の変化の予測を、日射量の予報データを用いてリアルタイムで行うことは、当該予報データが、当該特定の場所に特化して作成され、且つ、リアルタイムで提供されるものでない限り不可能である。
【0008】
そこで、本願発明者は、太陽電池パネルの設置条件や日射量の実測もしくは予報データを用いずに、しかも、時々刻々変化する日照条件を反映させて、太陽光発電量の予測ができれば、太陽光発電装置が発電した電力を、より効率的に利用できるものと考えた。
【0009】
本発明は、上記従来の平均的な日射量データを用いた太陽光発電量予測装置における問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、日射量の実測もしくは予報データを用いずに太陽光発電量の予測が可能な太陽光発電量予測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、予測対象の特定太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す所定の第1単位時間毎の第1発電変化量と、前記特定太陽光発電装置の設置場所から所定範囲以内に存在する前記特定太陽光発電装置以外の複数の参照太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す前記第1単位時間毎の第2発電変化量に対して、前記参照太陽光発電装置毎に、予測時点以前の所定時間長の第1期間の前記第1発電変化量と前記第1期間より所定の第1時間差前の前記第1期間と同じ時間長の第2期間の前記第2発電変化量の間の相関度を算出する相関度算出手段と、算出された前記相関度に基づいて、前記複数の参照太陽光発電装置の中から、気象変化に伴う発電量の変動パターンが前記第1時間差だけ先行して前記特定太陽光発電装置の当該変動パターンと類似する類似太陽光発電装置を抽出する類似太陽光発電装置抽出手段と、前記類似太陽光発電装置の前記予測時点より前記第1時間差前の第1時点から前記予測時点までの前記第2発電変化量に基づいて、前記特定太陽光発電装置の前記予測時点から前記予測時点より前記第1時間差後の第2時点までの発電量を予測する発電量予測手段と、を備えてなることを第1の特徴とする太陽光発電量予測装置を提供する。
【0011】
更に、上記第1の特徴の太陽光発電量予測装置は、前記特定太陽光発電装置及び前記複数の参照太陽光発電装置を含む複数の太陽光発電装置から、前記太陽光発電装置の前記第1単位時間毎または所定の単位時間毎の実測発電量を所定の通信回線を介して取得する発電量取得装置を備える構成であっても良く、更には、前記発電量取得装置から前記複数の太陽光発電装置の前記第1単位時間毎または所定の単位時間毎の実測発電量を取得して、前記特定太陽光発電装置の前記第1発電変化量及び前記複数の参照太陽光発電装置夫々の前記第2発電変化量を算出する発電変化算出手段を備える構成であっても良い。
【0012】
更に、上記第1の特徴の太陽光発電量予測装置は、前記発電量予測手段が予測した前記特定太陽光発電装置の発電量の予測値を、前記所定の通信回線を介して前記特定太陽光発電装置に送信する構成であっても良く、或いは、前記相関度算出手段、前記類似太陽光発電装置抽出手段、及び、前記発電量予測手段が、前記特定太陽光発電装置に内蔵或いは併設されている構成であっても良い。
【0013】
上記第1の特徴の太陽光発電量予測装置によれば、予測対象の特定太陽光発電装置と、発電量の気象変化に対する感度が類似し、当該気象変化に対する発電量の変動が、特定太陽光発電装置より時間的に先行して出現する類似太陽光発電装置を抽出することができ、従って、先行して出現した類似太陽光発電装置の当該気象変化に対する発電量の変動を利用して、特定太陽光発電装置の発電量の変化を予測することが可能となり、リアルタイムでの日射量予報データ、気象予報データ等の供給を受けずに、気象変化に伴う発電量の変動を考慮した正確な発電量予測が可能となる。
【0014】
ここで、上記第1の特徴の太陽光発電量予測装置は、複数の太陽光発電装置が夫々計測した実測発電量のデータを共用することで、その中の1つの太陽光発電装置が予測対象の特定太陽光発電装置となった場合に、他の複数の太陽光発電装置の中から、特定太陽光発電装置に対して先行して発電量が気象変化の影響を受ける範囲内にあって、気象変化の影響を受けない場合において、気象変化以外の太陽電池パネルの設置条件や設置場所の日照条件等の発電量に影響を与える要素が共通する太陽光発電装置を、夫々の太陽光発電装置についての当該要素の詳細を知ることなく抽出でき、最終的には、気象変化に対する感度も共通する類似太陽光発電装置を抽出することが可能となる。つまり、複数の太陽光発電装置が夫々計測した実測発電量のデータを共用することで、他の複数の太陽光発電装置に関する詳細な情報を取得することなく、夫々の太陽光発電装置の正確な発電量予測が可能となる。
【0015】
上述のように、上記第1の特徴の太陽光発電量予測装置は、複数の太陽光発電装置が夫々計測した実測発電量のデータを共用することが重要であり、当該共用が可能であれば、太陽光発電量予測装置の具体的な構成の如何は不問であり、種々の構成を採用することができる。尚、実測発電量のデータを共用することは、複数の太陽光発電装置が他の太陽光発電装置の実測発電量を直接する利用する場合に限らず、複数の太陽光発電装置の実測発電量を利用して得られるデータを利用する場合も含まれる。
【0016】
更に、上記第1の特徴の太陽光発電量予測装置は、前記第1発電変化量が、前記特定太陽光発電装置の予測時点を含む日の前記第1単位時間毎または所定の単位時間毎の予め算出された推定最大発電量と実測発電量の比に基づいて算出され、前記第2発電変化量が、前記参照太陽光発電装置の予測時点を含む日の前記第1単位時間毎または所定の単位時間毎の予め算出された推定最大発電量と実測発電量の比に基づいて算出されることが好ましい。これにより、個々の太陽光発電装置に固有の属性(太陽電池パネルの設置条件等)の影響を排除して、発電量の気象変化に伴う変動をより特徴的に示す第1及び第2発電変化量を算出することができ、相関度算出手段による相関度の算出において、気象変化に対する感度の相関の低い参照太陽光発電装置をより効果的に排除することができ、類似太陽光発電装置をより正確に抽出することが可能となる。
【0017】
更に、上記第1の特徴の太陽光発電量予測装置は、前記相関度算出手段が、前記第1時間差を複数通り変化させて前記相関度の算出を行い、前記発電量予測手段が、抽出された前記類似太陽光発電装置の前記相関度の算出に用いられた前記第1時間差を、前記発電量の予測に使用することが好ましい。これにより、予め想定した1つの第1時間差で相関度を算出した場合に、相関の強い太陽光発電装置の抽出ができない場合でも、他の第1時間差で相関度の算出を試みることで、より確実に類似太陽光発電装置を抽出することが可能となる。
【0018】
また、上記第1の特徴の太陽光発電量予測装置は、前記相関度算出手段が、前記類似太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す前記第1単位時間毎の前記第2発電変化量と、前記類似太陽光発電装置の設置場所から所定範囲以内に存在する前記類似太陽光発電装置以外の複数の第2参照太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す前記第1単位時間毎の第3発電変化量に対して、前記第2参照太陽光発電装置毎に、予測時点以前の所定時間長の第3期間の前記第2発電変化量と前記第3期間より所定の第2時間差前の前記第3期間と同じ時間長の第4期間の前記第3発電変化量の間の相関度を第2相関度として算出し、前記類似太陽光発電装置抽出手段が、算出された前記第2相関度に基づいて、前記複数の第2参照太陽光発電装置の中から、気象変化に伴う発電量の変動パターンが前記第2時間差だけ先行して前記類似太陽光発電装置の当該変動パターンと類似する第2の類似太陽光発電装置を抽出し、前記発電量予測手段が、前記第2の類似太陽光発電装置の前記予測時点より前記第2時間差前の第3時点から前記予測時点までの前記第3発電変化量に基づいて、前記特定太陽光発電装置の前記第2時点から前記第2時点より前記第2時間差後の第4時点までの発電量を予測することを第2の特徴とする。
【0019】
上記第2の特徴の太陽光発電量予測装置によれば、第1の特徴の太陽光発電量予測装置で抽出された類似太陽光発電装置と、発電量の気象変化に対する感度が類似し、当該気象変化に対する発電量の変動が、類似太陽光発電装置より時間的に先行して出現する第2の類似太陽光発電装置を抽出することができ、従って、先行して出現した第2の類似太陽光発電装置の当該気象変化に対する発電量の変動を利用して、特定太陽光発電装置の発電量の変化を第1の特徴の太陽光発電量予測装置より長期に予測することが可能となり、リアルタイムでの日射量予報データ、気象予報データ等の供給を受けずに、気象変化に伴う発電量の変動を考慮した正確な発電量予測が可能となる。つまり、第2の特徴の太陽光発電量予測装置では、気象変化の影響が第2の類似太陽光発電装置、類似太陽光発電装置、特定太陽光発電装置の順に伝達する現象を正確に把握することで、類似太陽光発電装置及び第2の類似太陽光発電装置に出現する第2及び第3発電変化量を特定太陽光発電装置の発電量の予測に利用するというものである。
【0020】
更に、上記第2の特徴の太陽光発電量予測装置は、前記発電量予測手段が、前記第1時点から前記予測時点までの前記第2発電変化量に代えて、前記第3時点より前記第1時間差前の第5時点から前記第3時点までの前記第3発電変化量に基づいて、前記特定太陽光発電装置の前記予測時点から前記第2時点までの発電量を予測する構成であっても良い。この場合、第2の類似太陽光発電装置に出現する第3発電変化量だけを特定太陽光発電装置の発電量の予測に利用する構成となる。これは、換言すれば、第1の特徴の太陽光発電量予測装置による類似太陽光発電装置の抽出を2段階のステップで行うことと等価であり、各段階での参照太陽光発電装置及び第2参照太陽光発電装置の選択範囲を狭めることができるため、相関度算出手段の処理負荷が軽減される。
【0021】
更に、上記第2特徴の太陽光発電量予測装置は、前記類似太陽光発電装置抽出手段が、算出された前記第2相関度に基づいて、前記複数の第2参照太陽光発電装置の中から、複数の前記第2の類似太陽光発電装置の候補を抽出し、前記相関度算出手段が、前記第2の類似太陽光発電装置の候補毎に、予測時点以前の所定時間長の第5期間の前記第1発電変化量と前記第5期間より前記第1時間差と前記第2時間差の合計時間前の前記第5期間と同じ時間長の第6期間の前記第3発電変化量の間の相関度を第3相関度として算出し、 前記類似太陽光発電装置抽出手段が、算出された前記第3相関度に基づいて、複数の前記第2の類似太陽光発電装置の候補の中から前記第2の類似太陽光発電装置を抽出する構成とすることが好ましい。
【0022】
或いは、上記第2特徴の太陽光発電量予測装置は、前記類似太陽光発電装置抽出手段が、算出された前記第2相関度に基づいて、前記複数の第2参照太陽光発電装置の中から、複数の前記第2の類似太陽光発電装置の候補を抽出し、前記類似太陽光発電装置抽出手段が、前記第2の類似太陽光発電装置の候補毎に、前記第2の類似太陽光発電装置の候補の設置場所から前記類似太陽光発電装置の設置場所に向かう方向と、前記類似太陽光発電装置の設置場所から前記特定太陽光発電装置の設置場所に向かう方向のズレの最も小さい前記第2の類似太陽光発電装置の候補を、前記第2の類似太陽光発電装置として抽出する構成とすることが好ましい。
【0023】
上記2つの構成の何れか一方または両方を採用することで、特定太陽光発電装置とより相関の強い、特定太陽光発電装置の発電量予測に使用するのに適した第2の類似太陽光発電装置を抽出することができ、特定太陽光発電装置の発電量の予測精度が向上する。
【0024】
更に、上記第2の特徴の太陽光発電量予測装置は、前記相関度算出手段が、予測時点以前の所定時間長の第7期間の前記第1発電変化量と前記第7期間より第3時間差前の前記第7期間と同じ時間長の第8期間の前記第3発電変化量の間の相関度を第4相関度として、前記第3時間差を前記第1時間差と前記第2時間差を合計した時間差を含む複数通りに変化させて算出し、前記類似太陽光発電装置抽出手段が、算出された前記第4相関度に基づいて、複数の前記第3時間差の中から前記第4相関度が最大となるものを抽出し、当該第3時間差から前記第1時間差を差し引いた値を前記第2時間差とすることが好ましい。これにより、第2の類似太陽光発電装置から特定太陽光発電装置までの気象変化の移動時間が、第2の類似太陽光発電装置から類似太陽光発電装置までの移動時間(第2時間差に相当)と類似太陽光発電装置から特定太陽光発電装置までの移動時間(第1時間差に相当)の合計と異なる場合において、第2時間差を修正することで、特定太陽光発電装置の発電量の予測精度が向上する。
【0025】
更に、上記第2の特徴の太陽光発電量予測装置は、前記第2発電変化量が、前記類似太陽光発電装置の予測時点を含む日の前記第1単位時間毎または所定の単位時間毎の予め算出された推定最大発電量と実測発電量の比に基づいて算出され、前記第3発電変化量が、前記第2参照太陽光発電装置の予測時点を含む日の前記第1単位時間毎または所定の単位時間毎の予め算出された推定最大発電量と実測発電量の比に基づいて算出されることが好ましい。これにより、個々の太陽光発電装置に固有の属性(太陽電池パネルの設置条件等)の影響を排除して、発電量の気象変化に伴う変動をより特徴的に示す第2及び第3発電変化量を算出することができ、相関度算出手段による第2相関度の算出において、気象変化に対する感度の相関の低い第2参照太陽光発電装置をより効果的に排除することができ、第2の類似太陽光発電装置をより正確に抽出することが可能となる。
【0026】
更に、上記第2の特徴の太陽光発電量予測装置は、前記相関度算出手段が、前記第2時間差を複数通り変化させて前記第2相関度の算出を行い、前記発電量予測手段が、抽出された前記第2の類似太陽光発電装置の前記第2相関度の算出に用いられた前記第2時間差を、前記発電量の予測に使用することが好ましい。これにより、予め想定した1つの第2時間差で第2相関度を算出した場合に、相関の強い太陽光発電装置の抽出ができない場合でも、他の第2時間差で相関度の算出を試みることで、より確実に第2の類似太陽光発電装置を抽出することが可能となる。
【0027】
上記第2の特徴の太陽光発電量予測装置は、上記第1の特徴の太陽光発電量予測装置と同様に、複数の太陽光発電装置が夫々計測した実測発電量のデータを共用することが重要であり、当該共用が可能であれば、太陽光発電量予測装置の具体的な構成の如何は不問であり、種々の構成を採用することができる。
【0028】
更に、上記第2の特徴の太陽光発電量予測装置は、前記相関度算出手段と前記類似太陽光発電装置抽出手段による、前記類似太陽光発電装置から前記第2の類似太陽光発電装置を抽出する一連の処理を繰り返し実行し、第3以降の類似太陽光発電装置を抽出することが好ましい。
【0029】
これにより、第2の特徴の太陽光発電量予測装置が、第1の特徴の太陽光発電量予測装置による類似太陽光発電装置の抽出を3段階以上のステップで行うことと等価となり、各段階での参照太陽光発電装置及び第2参照太陽光発電装置の選択範囲を狭めて、相関度算出手段の処理負荷を極端に増大させることなく、より長期に亘る特定太陽光発電装置の発電量の予測が可能となる。
【0030】
更に、上記第1または第2の特徴の太陽光発電量予測装置は、前記発電量予測手段が予測した前記特定太陽光発電装置の予測発電量と実測値の比較を、前記予測時点から一定時間経過後に行う第1予測発電量検証手段を備え、前記予測発電量と前記実測値が、所定の誤差範囲内で一致していない場合には、前記予測発電量の予測に用いた前記類似太陽光発電装置の抽出をやり直し、前記予測発電量と前記実測値が、所定の誤差範囲内で一致している場合には、前記予測発電量の予測に用いた前記類似太陽光発電装置を前記予測に引き続き使用する構成としても良い。当該構成によれば、気象条件が複雑に変化する場合において、時々刻々変化する気象条件に追従してより相関の強い類似太陽光発電装置をタイムリーに抽出することができ、より正確な発電量の変化を予測できる。
【0031】
更に、上記第1または第2の特徴の太陽光発電量予測装置は、前記相関度算出手段が、前記特定太陽光発電装置の設置場所から所定の第1範囲以内に存在する前記特定太陽光発電装置以外の複数の第4参照太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す前記第1単位時間毎の第4発電変化量と、前記複数の第4参照太陽光発電装置の夫々から所定の第2範囲以内に存在する複数の第5参照太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す前記第1単位時間毎の第5発電変化量に対して、前記第4参照太陽光発電装置毎及び前記第5参照太陽光発電装置毎に、予測時点以前の所定時間長の第9期間の前記第4発電変化量と前記第9期間より所定の第4時間差前の前記第9期間と同じ時間長の第10期間の前記第5発電変化量の間の相関度を第5相関度として算出し、算出された前記第5相関度に基づいて、前記第4参照太陽光発電装置毎に、前記複数の第5参照太陽光発電装置の中から、気象変化に伴う発電量の変動パターンが前記第4時間差だけ先行して前記第4参照太陽光発電装置の当該変動パターンと類似する類似参照太陽光発電装置を1つ抽出する類似参照太陽光発電装置抽出手段と、前記第4参照太陽光発電装置と前記類似参照太陽光発電装置の組み合わせ毎に、前記類似参照太陽光発電装置の設置場所から当該類似参照太陽光発電装置に対応する前記第4参照太陽光発電装置の設置場所に向かう方向と、前記第4参照太陽光発電装置の設置場所から前記特定太陽光発電装置の設置場所に向かう方向のズレが一定角度範囲内である場合に、当該組み合わせの前記第4参照太陽光発電装置における前記第9期間の前記第4発電変化量で示される発電量の変動が、前記発電量予測手段が予測した前記特定太陽光発電装置の発電量に存在するか否かを判定する第2予測発電量検証手段と、を更に備える構成としても良い。
【0032】
上記第1または第2の特徴の太陽光発電量予測装置は、既に抽出した類似太陽光発電装置或いは第2の類似太陽光発電装置の第2または第3発電変化量に基づく気象変化を、特定太陽光発電装置の発電量の予測に反映させるものであるが、類似太陽光発電装置或いは第2の類似太陽光発電装置において出現する以外の気象変化については、特定太陽光発電装置の発電量の予測に反映させることはできない。しかし、上記構成によれば、類似太陽光発電装置或いは第2の類似太陽光発電装置において出現する以外の気象変化の存在を、事前に知ることができ、第2予測発電量検証手段から発信される警報信号等を受信することで、新たな類似太陽光発電装置或いは第2の類似太陽光発電装置の抽出のやり直しや、予測した発電量の修正が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る太陽光発電量予測装置の第1乃至第6実施形態における概略構成を示す図
【図2】或る気象条件下での2地点間の太陽光発電装置の実測発電量の一例を示す図
【図3】図2に示す2地点間の実測発電量と推定最大発電量の比を離散的変数とした場合のラグ相関を示す図
【図4】図2に示す2地点間の実測発電量を離散的変数とした場合のラグ相関を示す図
【図5】図2に示す2地点間の実測発電量と推定最大発電量の差を離散的変数とした場合のラグ相関を示す図
【図6】或る気象条件下での2地点間の太陽光発電装置の実測発電量の別の一例を示す図
【図7】図6に示す2地点間の実測発電量と推定最大発電量の比を離散的変数とした場合のラグ相関を示す図
【図8】図6に示す2地点間の実測発電量を離散的変数とした場合のラグ相関を示す図
【図9】図6に示す2地点間の実測発電量と推定最大発電量の差を離散的変数とした場合のラグ相関を示す図
【図10】本発明に係る太陽光発電量予測装置の第2実施形態における処理手順を説明する図
【図11】本発明に係る太陽光発電量予測装置における特定太陽光発電装置の発電量の予測における予測時点、予測期間、第1及び第2時間差の間の関係を説明する図
【図12】本発明に係る太陽光発電量予測装置の第6実施形態における処理手順を説明する図
【図13】本発明に係る太陽光発電量予測装置の第7実施形態における概略構成を示す図
【図14】本発明に係る太陽光発電量予測装置の第8実施形態における概略構成を示す図
【図15】本発明に係る太陽光発電量予測装置の第8実施形態における処理手順を説明する図
【図16】本発明に係る太陽光発電量予測装置の別実施形態における第1の構成例を示す図
【図17】本発明に係る太陽光発電量予測装置の別実施形態における第2の構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明に係る太陽光発電量予測装置(以下、適宜「本発明装置」という)の実施形態につき、図面に基づいて説明する。
【0035】
〈第1実施形態〉
図1に示すように、第1実施形態に係る本発明装置1は、発電量取得装置11、相関度算出手段12、発電変化算出手段13、最大発電量推定手段14、類似太陽光発電装置抽出手段15、及び、発電量予測手段16を備えて構成される。
【0036】
発電量取得装置11は、図1に示すように、複数のユーザ建造物(住宅やビル等)に夫々設置された複数の太陽光発電装置30から、各太陽光発電装置30の所定の単位時間毎(例えば1分毎)の実測発電量Pi(t)をアナログ或いはデジタル公衆電話回線やインターネット網等の所定のデータ通信回線31を介して取得する。ここで、iは太陽光発電装置30の識別番号で、tは予測当日の所定の基準時(例えば、午前0時)からの離散的な(例えば1分毎の)経過時間(時点)を示す離散値である。
【0037】
各太陽光発電装置30は、図示しないが、太陽電池パネル、太陽電池パネルの発電電力を家庭用の交流電力に変換するインバータ装置、太陽電池パネルの発電電量を逐次計測する電力計等を備え、発電量取得装置11に対して、計測した単位時間毎の実測発電量を逐次(同じ単位時間毎に)送信するか、或いは、一定期間(例えば、10分間)分を蓄積してから所定の時間間隔(例えば、10分毎)で纏めて送信する。従って、発電量取得装置11と太陽光発電装置30の双方には、データ通信回線31を介したデータ通信に必要な通信インターフェースが具備されている。
【0038】
本実施形態では、複数の太陽光発電装置30は、例えば複数の都道府県に跨る広範なエリアに分散して配置され、上記エリアを細分した住居等の存在する小区画(例えば1km四方)内には、夫々数台乃至数10台以上の太陽光発電装置30が存在する場合を想定する。しかし、上記想定は一例であり、複数の太陽光発電装置30の配置範囲や配置密度は上記に限定されるものではない。
【0039】
相関度算出手段12は、複数の太陽光発電装置30の中から選択された予測対象の特定太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す所定の第1単位時間毎(例えば、1分毎)の第1発電変化量QA(t)と、特定太陽光発電装置の設置場所から所定範囲以内に存在する特定太陽光発電装置以外の複数の参照太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す第1単位時間毎(例えば、1分毎)の第2発電変化量QBj(t)に対して、参照太陽光発電装置毎に、予測時点(t=tf)以前の所定時間長の第1期間T1の第1発電変化量QA(t)と第1期間T1より所定の第1時間差Δt1前の第1期間T1と同じ時間長の第2期間T2の第2発電変化量QBj(t−Δt1)の間の相関度Rj(t=tf)を、以下の数1により算出する。ここで、jは参照太陽光発電装置30の識別番号で、上記実測発電量Pi(t)の識別番号iと同じであり、識別番号jの集合は、識別番号iの集合の部分集合である。相関度Rj(t=tf)は、第1時間差Δt1の時差を有するラグ相関を示している。
【0040】
(数1)
Rj(t=tf)=S(X,Y)/(σX・σY)
S(X,Y)=Σ{(X−Xa)・(Y−Ya)}/n
X=QA(t)
Y=QBj(t−Δt1)
【0041】
上記数1第1式の右辺分子のS(X,Y)は、離散的変数XとYの共分散で、第2式に示すように、XとY夫々の離散値と平均値(Xa,Ya)との差の対応するもの同士の積を離散値の標本数n分加算して(演算子Σ)、標本数nで除して得られる。右辺分母のσXとσYは夫々離散的変数XとYの標準偏差である。離散的変数X及びYの時間変数tは、第1期間T1内に属する離散値であり、離散的変数X(t)と離散的変数Y(t)は同じ離散値tのものが対応する。
【0042】
ここで、本実施形態では、第1期間T1と第2期間T2の所定時間長は、複数の参照太陽光発電装置の存在位置における日の出時刻t0と、第1時間差Δt1によって一義的に決定される。つまり、第2期間T2を、予測当日の日の出時刻t0から所定時間後(例えば、30分後)に開始し、予測時点(t=tf)より第1時間差Δt1前に終了する期間と定め、第1期間T1を、第2期間T2より開示時点及び終了時点を夫々第1時間差Δt1ずつ遅らせた期間と設定する。尚、第1及び第2期間T1,T2に上限値を設け、予測時点の進行につれて、第1及び第2期間T1,T2が当該上限値を超過する場合には、第1及び第2期間T1,T2の各開始時刻を遅らせるようにしても良い。この場合、当該上限値は、例えば3時間程度に設定する。
【0043】
第1発電変化量QA(t)と第2発電変化量QBj(t)は、夫々、発電量取得装置11で取得された複数の太陽光発電装置30の実測発電量Pi(t)の内の、特定太陽光発電装置の第1期間T1における実測発電量Px(t)と複数の参照太陽光発電装置の第2期間T2における実測発電量Pj(t)に基づいて、発電変化算出手段13によって夫々算出される。当該算出処理は、発電変化算出手段13が、発電量取得装置11から各太陽光発電装置30の実測発電量Pi(t)を取得する毎に、逐次、取得した実測発電量Pi(t)に対応する発電変化量QBi(t)の比として、以下の数2に示す算出式により算出され、実測発電量Pi(t)と発電変化量QBi(t)が所定の記憶装置17内に記憶される。従って、第1期間T1における実測発電量Px(t)と第2期間T2における実測発電量Pj(t)は、既に算出された発電変化量QBi(t)から必要部分を抽出することで得られる。尚、実測発電量Pi(t)は所定の単位時間毎の離散値であるが、その所定の単位時間は、上記第1時間単位と同じであるのが好ましいが、異なっていても構わない。異なっている場合は、下記の数2の計算時に、実測発電量Pi(t)の時間間隔を上記第1時間単位に合わせるように調整すれば良い。
【0044】
(数2)
QBi(t)=Pi(t)/PAi(t)
【0045】
数1中の右辺分母のPAi(t)は、各太陽光発電装置30の予測当日における所定の第1単位時間毎(例えば、1分毎)の推定最大発電量である。つまり、PAi(t)は、予測当日の時刻tにおける推定最大発電量を過去の実測データに基づいて算出したものである。本実施形態では、推定最大発電量PAi(t)として、例えば、予測当日前の1カ月間における同じ時刻tにおける実測発電量Pi(t)の最大値を使用する。他の算出例としては、例えば、1年前の実測データが存在する場合は、予測当日前の2週間と、1年前の同日とその後2週間における同じ時刻tにおける実測発電量Pi(t)の最大値を使用するようにしても良い。これは、1か月程の期間を想定すれば、必ずその期間内に快晴日が含まれ、最大日射量で発電した期間が存在するとの仮定に基づく。更に、他の算出例として、上記最大値を抽出する期間内で、上位2つまたは3つの最大値を抽出して、その2つまたは3つの最大値と各抽出日から予測当日の最大値を線形補間等によって推測するようにしても良い。更には、平均日射量の日推移や平均気温の日推移を考慮した所定の補正式を導出しておき、算出された最大値とその抽出日に基づいてその補正式より予測当日の最大値を補正するようにしても良い。
【0046】
尚、各太陽光発電装置30の推定最大発電量PAi(t)は、予測当日の予測処理開始前の所定時刻(午前0時から日の出時刻t0の間、例えば、午前1時)に、最大発電量推定手段14によって算出される。最大発電量推定手段14は、記憶装置17に保存されている過去の実測発電量Pi(t)に基づいて、予測当日の推定最大発電量PAi(t)を計算して、記憶装置17に保存する。
【0047】
ここで、推定最大発電量PAi(t)を使用する意義について説明する。推定最大発電量PAi(t)は、各太陽光発電装置30に設けられた太陽電池パネルの発電量に関係する諸条件の内、気象変化の影響を除く、太陽電池パネルの面積や定格出力、太陽電池パネルの設置条件(経度緯度、設置方位、傾斜角度、等)、及び、設置場所の日照条件(時期、時刻、隣接する建物による日影の状態、等)が全て考慮された後の、各時点での最大発電量となっている。従って、数1で規定される発電変化量QBi(t)は、実測発電量Pi(t)と比較して、各太陽光発電装置30における気象変化に起因する発電量の変化をより顕著に示す値になっている。この結果、推定最大発電量PAi(t)を使用する場合は、複数の太陽光発電装置30の配置範囲の配置密度が低い場合、つまり、上記小区画内の太陽光発電装置30の配置数が少ない場合においても、発電量に関係する諸条件が異なる太陽光発電装置30間においても、気象変化に起因する発電量の変化のパターンが特定太陽光発電装置と類似する太陽光発電装置(後述する類似太陽光発電装置)の抽出がより効率的に可能となる。
【0048】
本実施形態では、発電変化算出手段13と最大発電量推定手段14は、相関度算出手段12と並列して設けられる構成を想定しているが、発電変化算出手段13と最大発電量推定手段14で算出される結果は、上述のように、相関度算出手段12において使用されるため、発電変化算出手段13と最大発電量推定手段14を、相関度算出手段12が備える構成としても良い。
【0049】
相関度算出手段12による特定太陽光発電装置と参照太陽光発電装置間の相関度Rj(t=tf)の算出について、更に、詳細に説明する。本実施形態で対象とする気象変化には、低気圧等の比較的移動速度の速い雲(例えば、50km/h程度)によるものや、夕立等の突発的に発生し、移動速度の遅い現象(例えば、20km/h程度)によるものが含まれる。よって、これらの気象変化による発電量の変化を予測する場合、例えば30分後の発電量の変動を予測するには、特定太陽光発電装置から25km程度の範囲内に存在する太陽光発電装置30を参照太陽光発電装置として選択する。当該選択は、複数の太陽光発電装置30に関する設置場所(経度緯度)を含む属性データを格納したデータベース18にアクセスして、特定太陽光発電装置から25km程度の範囲内の設置場所(経度緯度)の太陽光発電装置30を検索して行う。尚、当該検索によって選択された参照太陽光発電装置の数が多過ぎる場合や、特定の小区画内に集中している場合は、上記諸条件の内、特定の項目が相違するものを除外して、間引く処理を行っても構わない。これにより、層間度の算出に掛かる処理時間が短くなる。また、参照太陽光発電装置の選択範囲は、特定太陽光発電装置を中心とする円形エリア内でなくても良く、例えば、当該円形エリアの円周内側の円環部分、或いは、当該円周部分に位置する上記小区画の集合であっても良い。
【0050】
相関度算出手段12は、1つの特定太陽光発電装置に対して上記要領で選択された複数の参照太陽光発電装置に対して、第1時間差Δt1を、30分後の発電量の変動を予測する場合には、30分に初期設定して、上記数1に示す相関度Rj(t=tf)を計算する。
【0051】
類似太陽光発電装置抽出手段15は、相関度算出手段12が算出した相関度Rj(t=tf)に基づいて、複数の参照太陽光発電装置の中から、相関度Rj(t=tf)が最大の参照太陽光発電装置を、類似太陽光発電装置として抽出する。但し、最初に設定した第1時間差Δt1で、所定の閾値(例えば、0.8〜0.9の間の数値を設定する)を超える相関度Rj(t=tf)が、全ての参照太陽光発電装置の中から算出されなかった場合は、第1時間差Δt1の設定を、例えば、±1分ずつ変更して、上記閾値を超える参照太陽光発電装置が現れるまで、全ての参照太陽光発電装置に対して相関度の計算を繰り返し実行する。或いは、第1時間差Δt1の初期設定として、予め複数通りを設定しておき、その初期設定範囲での計算結果の中に、上記閾値を超える参照太陽光発電装置が含まれていれば、相関度の計算を終了し、そうでなければ、上述のように、第1時間差Δt1の設定を、例えば、±1分ずつ変更して、上記閾値を超える参照太陽光発電装置が現れるまで、全ての参照太陽光発電装置に対して相関度の計算を繰り返し実行するようにしても良い。以上の要領で、気象変化に伴う発電量の変動パターンが第1時間差Δt1だけ先行して予測対象の特定太陽光発電装置の当該変動パターンと類似する類似太陽光発電装置が抽出される。
【0052】
発電量予測手段16は、類似太陽光発電装置抽出手段15が抽出した類似太陽光発電装置の予測時点(t=tf)より第1時間差Δt1前の第1時点(t=tf−Δt1)から予測時点(t=tf)までの発電変化量QBi(t)のデータを記憶装置17から読み出し、当該発電変化量QBi(t)を、特定太陽光発電装置の予測時点(t=tf)から第1時間差Δt1後の第2時点(t=tf+Δt1)までの第1発電変化量QA(t)とする。ここで、予測時点(t=tf)での第1発電変化量QA(t)と予測時点(t=tf)より第1時間差Δt1前の類似太陽光発電装置の発電変化量QBi(t)が必ずしも同じ値であるとは限らないため、所定の誤差(例えば±5%)以上の乖離がある場合には、予測時点(t=tf)から第1時間差Δt1後までの第1発電変化量QA(t)を以下の数3に示す算出式で補正して求めるようしても良い。但し、発電変化量QBi(tf−Δt1)が1の場合は、係数k1が無限大となり計算不能となるので、第1発電変化量QA(tf)が上記誤差範囲で1でない場合は、当該類似太陽光発電装置は、発電量予測に不適当であるとして、同様の条件下において次に相関度の高い参照太陽光発電装置を類似太陽光発電装置として抽出する。
【0053】
(数3)
QA(t)=1−k1・(1−QBi(t))
k1=(1−QA(tf))/(1−QBi(tf−Δt1))
【0054】
上記要領で導出した予測時点(t=tf)から第1時間差Δt1後までの第1発電変化量QA(t)を、上記数2の左辺に代入すると、予測時点(t=tf)から第1時間差Δt1後まで(以下、「第1予測期間」と称す。)の特定太陽光発電装置の発電量の予測値が得られる。得られた予測値は、特定太陽光発電装置を特定して、記憶装置17に一旦記憶される。尚、第1時間差Δt1は、類似太陽光発電装置の抽出に使用した相関度の算出時における第1時間差Δt1である。
【0055】
以上の要領で、第1予測期間における特定太陽光発電装置の発電量の予測値は、過去の特定太陽光発電装置の発電量の実績値に基づいて算出された気象変化の影響を含まない推定最大発電量PAi(t)と、気象変化の影響を含む類似太陽光発電装置の発電変化量QBi(t)に基づいて算出される。
【0056】
尚、第1時間差Δt1の設定を変更して相関度の計算を繰り返し実行しても、上記閾値を超える参照太陽光発電装置が抽出できない場合は、類似太陽光発電装置を抽出せず、予測時点(t=tf)から第1時間差Δt1後までの第1発電変化量QA(t)は、以下の数4に示す算出式で求める。つまり、予測時点(t=tf)から第1時間差Δt1後までの推定最大発電量PAi(t)に予測時点での第1発電変化量QA(tf)を乗じてQAQA予測値QA(t)を求める。例えば、1日中快晴或いは雲の動きのない曇天等の気象変化のない日では、数4の予測式が適用できる。
【0057】
(数4)
QA(t)=PAi(t)×QA(tf)
【0058】
以上の要領で、1つの特定太陽光発電装置の発電量の予測値が得られるが、本実施形態では、複数の太陽光発電装置30の中から、特定太陽光発電装置を1つずつ順次選択して、当該処理を繰り返して、全ての太陽光発電装置30に対して、発電量の予測を実行する。また、当該処理は、一定の時間間隔(例えば、15分〜30分毎)で、日の出後所定時間経過後から周期的に日没まで繰り返し実行される。予測結果の発電量Pi(t)は、発電量取得装置11の通信インターフェースから、データ通信回線31を経由して特定太陽光発電装置に都度提供され、特定太陽光発電装置において、当該予測データを用いた制御或いは予測値の表示が行われる。ここで、特定太陽光発電装置側での予測データを用いた制御や表示の詳細な内容は、本発明の本旨ではないので説明を省略する。
【0059】
尚、発電量の予測対象となる太陽光発電装置30は、複数の太陽光発電装置30の全数ではなく、一部に限定しても構わない。つまり、当該予測値の提供を希望するユーザに限定して、予測結果を提供するようにしても良い。
【0060】
本発明装置1を構成する発電量取得装置11及び各手段12〜16は、上述の各処理が本発明装置1を構成するコンピュータのハードウェアを利用したデータ処理及び演算処理によって実現されるように構成されている。従って、本発明装置1は、コンピュータのハードウェアとそのハードウェア上で実行されるアプリケーションソフトウェアで構成される。
【0061】
次に、本発明装置1の上記予測手法により、気象変化による発電量の変化を予測できることの説明を、実験データを用いて行う。
【0062】
図2は、或る気象条件下での約10km離れた2地点(A点とB点)間の実測発電量を示している(A点を実線、B点を破線で示している)。図3は、図2に示す同じ日のA点とB点の実測発電量Pi(t)を用いて上記数1及び数2により計算した相関度Rj(t=tf)を、横軸を第1時間差Δt1としてプロットしたグラフである。図4は、同じ日のA点とB点の実測発電量Pi(t)をそのまま上記数1の相関度Rj(t=tf)の算出式における離散的変数XとYとした場合の相関度Rj(t=tf)を、横軸を第1時間差Δt1としてプロットしたグラフである。図5は、同じ日のA点とB点の実測発電量Pi(t)と夫々の推定最大発電量PAi(t)との差分(PAi(t)−Pi(t))を上記数1の相関度Rj(t=tf)の算出式における離散的変数XとYとした場合の相関度Rj(t=tf)を、横軸を第1時間差Δt1としてプロットしたグラフである。
【0063】
図2に示す日は、晴天から曇天、雨天と気象条件が変化した日で、雲の影響によって、実測発電量が何回にも亘って大きく変化している。図2に示すように、当該発電量の変化は約20分の時間差をもってA点からB点に推移していることが分かる。図3〜図5は、発電量の変化のA点とB点間の3種類の相関度を示すグラフであるが、何れも第1時間差Δt1が約21〜22分のところにピークが存在しており、図2に示す時間差と一致しているが、図3に示す上記数1及び数2で規定する相関度が最も良好に気象変化による発電量の変化の2地点間の相関度を表していることが分かる。
【0064】
図6に、同じ2地点(A点とB点)間の別の日の実測発電量を示す(A点を実線、B点を破線で示す)。図7〜図9に、上記図3〜図5に対応する3種類の相関度を、横軸を第1時間差Δt1としてプロットしたグラフを示す。図6に示す日は、A点とB点で、明らかに互いに相関のない異なる気象変化が起きていることが分かる。従って、図7〜図9に示す3種類の相関度は何れも0.4以下の低い相関度を示している。しかし、図7に示す上記数1により計算した相関度Rj(t=tf)が最も低い相関度を示しており、相関度の計算に用いる離散的変数X及びYとして、数2に示す実測発電量Pi(t)と推定最大発電量PAi(t)の比である発電変化量QBi(t)が最適であることが分かる。
【0065】
〈第2実施形態〉
上記第1実施形態の本発明装置1において、特定太陽光発電装置の発電量の第1予測期間は、第1時間差Δt1で規定されるため、より長い第1予測期間は、第1時間差Δt1をより長く設定することで実現する。しかし、第1時間差Δt1を長く設定すると、選択する参照太陽光発電装置30の範囲(面積)が拡大するため、参照太陽光発電装置30の選択数が、第1時間差Δt1の増加率の2乗で増大する。そこで、本第2実施形態では、参照太陽光発電装置30の選択数の増大を抑制して、予測期間を延長する方法を説明する。尚、本発明装置1の構成は、第1実施形態と同じであるので、重複する説明は割愛する。
【0066】
本第2実施形態では、第1実施形態において抽出した類似太陽光発電装置を基準として、第2の類似太陽光発電装置を抽出して、第2の類似太陽光発電装置の発電変化量QBi(t)を基に、第1実施形態による予測時点(t=tf)から第1時間差Δt1後の第2時点までの第1予測期間以降において、第2時点から第2時点より第2時間差Δt2経過後の第4時点までの第2予測期間における特定太陽光発電装置の発電量を予測する。以下、第2の類似太陽光発電装置の抽出手順について説明する。
【0067】
先ず、複数の太陽光発電装置30の実測発電量Pi(t)、推定最大発電量PAi(t)は、第1実施形態で取得されたものを使用することを前提として、図10に示すように、相関度算出手段12が、複数の太陽光発電装置30の中から複数の第2参照太陽光発電装置を、第1実施形態における参照太陽光発電装置の選択と同じ要領で選択する。図10中、S0が特定太陽光発電装置、S1が類似太陽光発電装置、S2が第2の類似太陽光発電装置、A0が参照太陽光発電装置の選択範囲、A1が第2参照太陽光発電装置の選択範囲を夫々示している。尚、図中の矢印は、気象変化の進行する方向を示している。第2参照太陽光発電装置は、類似太陽光発電装置S1から第2予測期間の長さ(第2時間差Δt2)に応じて定まる所定距離範囲内の存在する太陽光発電装置30が選択される。仮に、第2予測期間の長さを仮に第1実施形態と同じく30分とすれば、類似太陽光発電装置S1から25km程度の範囲内に存在する太陽光発電装置30が、第2参照太陽光発電装置として選択される。第1予測期間と第2予測期間の長さは必ずしも同じである必要はない。ここで、選択された第2参照太陽光発電装置の内、類似太陽光発電装置S1より特定太陽光発電装置S0に近い範囲B0(図10参照)内に存在するものを除外するようにしても良い。
【0068】
相関度算出手段12は、1つの類似太陽光発電装置に対して上記要領で選択された複数の第2参照太陽光発電装置に対して、第2時間差Δt2を、第2予測期間が30分である場合には、30分に初期設定して、以下の数5に示す第2相関度R2k(t=tf)を計算する。第2相関度R2k(t=tf)は、予測時点(t=tf)以前の所定時間長の第3期間T3の第1発電変化量QA(t)と第3期間T3より所定の第2時間差Δt2前の第3期間T3と同じ時間長の第4期間T4の第3発電変化量QBk(t−Δt2)の間の相関度である。ここで、jは類似太陽光発電装置の識別番号、kは第2参照太陽光発電装置の識別番号であり、離散的変数Xは類似太陽光発電装置の発電変化量QBj(t)であり、離散的変数Yは第2参照太陽光発電装置の発電変化量QBj(t−Δt2)である。第3発電変化量QBk(t)は、第2参照太陽光発電装置の実測発電量Pi(t)に対応する発電変化量QBi(t)の比として、上記数2によって算出されるが、離散的変数X及びYの各発電変化量は、複数の太陽光発電装置30の実測発電量Pi(t)に基づいて、発電変化算出手段13が既に算出して記憶装置17内に記憶した発電変化量QBi(t)から必要部分を抽出することで得られる。第2時間差Δt3を初期設定から変更する場合の要領、及び、第5期間T5及び第6期間T6の設定方法は、第1実施形態における第1時間差Δt1、第1期間T1及び第2期間T2の場合と同じであるので、重複する説明は割愛する。
【0069】
(数5)
R2k(t=tf)=S(X,Y)/(σX・σY)
S(X,Y)=Σ{(X−Xa)・(Y−Ya)}/n
X=QBj(t)
Y=QBk(t−Δt2)
【0070】
類似太陽光発電装置抽出手段15は、第1実施形態の類似太陽光発電装置の抽出と同じ要領で、相関度算出手段12が算出した第2相関度R2k(t=tf)に基づいて、複数の第2参照太陽光発電装置の中から、第2相関度R2k(t=tf)が最大の第2参照太陽光発電装置を第2の類似太陽光発電装置として抽出する。
【0071】
発電量予測手段16は、類似太陽光発電装置抽出手段15が抽出した第2の類似太陽光発電装置の予測時点(t=tf)より第2時間差Δt2前の第3時点(t=tf−Δt2)から予測時点(t=tf)までの発電変化量QBi(t)のデータを記憶装置17から読み出し、当該発電変化量QBi(t)を、特定太陽光発電装置の第2予測期間(第2時点(t=tf+Δt1)から第2時間差Δt2後の第4時点(t=tf+Δt1+Δt2)まで)の第1発電変化量QA(t)とする。ここで、第2時点(t=tf+Δt1)での第1実施形態で導出した第1発電変化量QA(t)と予測時点(t=tf)より第2時間差Δt2前の第2の類似太陽光発電装置の発電変化量QBi(t)が必ずしも同じ値であるとは限らないため、所定の誤差(例えば±5%)以上の乖離がある場合には、第2時点(t=tf+Δt1)から第2時間差Δt2後の第4時点までの第1発電変化量QA(t)を以下の数6に示す算出式で補正して求めるようしても良い。但し、発電変化量QBi(tf−Δt2)が1の場合は、係数k2が無限大となり計算不能となるので、第1発電変化量QA(tf)が上記誤差範囲で1でない場合は、当該類似太陽光発電装置は、発電量予測に不適当であるとして、同様の条件下において次に第2相関度の高い参照太陽光発電装置を類似太陽光発電装置として抽出する。
【0072】
(数6)
QA(t)=1−k2・(1−QBi(t))
k2=(1−QA(tf+Δt1))/(1−QBi(tf−Δt2))
【0073】
上記要領で導出した第2時点(t=tf+Δt1)から第2時間差Δt2後までの第2予測期間の第1発電変化量QA(t)を、上記数2の左辺に代入すると、第2予測期間の特定太陽光発電装置の発電量の予測値が得られる。得られた予測値は、特定太陽光発電装置を特定して、記憶装置17に一旦記憶される。尚、第2時間差Δt2は、類似太陽光発電装置の抽出に使用した相関度の算出時における第2時間差Δt2である。
【0074】
更に、別実施形態として、上記第1実施形態で算出した第1予測期間の特定太陽光発電装置の第1発電変化量QA(t)についても、第2の類似太陽光発電装置の発電変化量QBi(t)を使用するようにしても良い。つまり、発電量予測手段16が、第2の類似太陽光発電装置の予測時点(t=tf)より第1時間差Δt1と第2時間差Δt2の合計時間差(Δt1+Δt2)前の第5時点から予測時点(t=tf)までの発電変化量QBi(t)のデータを記憶装置17から読み出し、当該発電変化量QBi(t)を、特定太陽光発電装置の第1予測期間と第2予測期間の両方(予測時点(t=tf)から第1時間差Δt1と第2時間差Δt2の合計時間差(Δt1+Δt2)後の第4時点まで)の第1発電変化量QA(t)とするようにしても良い。そして、上記要領で導出した第1及び第2予測期間の第1発電変化量QA(t)を、上記数2の左辺に代入すると、第1及び第2予測期間の特定太陽光発電装置の発電量の予測値が得られる。
【0075】
図11に、予測時点(t=tf)、第1時点〜第5時点(図11中において、t1〜t5で示す)、第1時間差Δt1、第2時間差Δt2、第1及び第2予測期間の時間的な位置関係について、理解の容易のために纏めて示す。
【0076】
〈第3実施形態〉
上記第2実施形態の第1の別実施形態(第3実施形態)について説明する。上記第2実施形態では、第1実施形態で抽出した類似太陽光発電装置を基準として、第2の類似太陽光発電装置を1つ抽出して、その1つの第2の類似太陽光発電装置の発電変化量QBi(t)に基づいて、特定太陽光発電装置の第2予測期間または第1及び第2予測期間における発電量を予測した。しかし、第2の類似太陽光発電装置と特定太陽光発電装置間の相関度については、当然に高いものと推定して実際にはその確認を行っていない。しかし、第2の類似太陽光発電装置と特定太陽光発電装置間は、ある程度の相関が高いと認められるものの、第2の類似太陽光発電装置から特定太陽光発電装置までの気象変化の移動時間が、第2の類似太陽光発電装置から類似太陽光発電装置までの移動時間(第2時間差Δt2に相当)と類似太陽光発電装置から特定太陽光発電装置までの移動時間(第1時間差Δt1に相当)の和になっているとは限らない。例えば、特定太陽光発電装置と類似太陽光発電装置と第2の類似太陽光発電装置が直線上に並んでいない場合は、両方の移動時間の和より早く気象変化が現れる可能性もある。また、逆に地形等の影響で遅く現れる可能性もある。
【0077】
そこで、本第3実施形態では、発電量予測手段16が特定太陽光発電装置の第2予測期間または第1及び第2予測期間における発電量を予測する前に、上記第2実施形態で抽出した1つの第2の類似太陽光発電装置と特定太陽光発電装置間の相関度(第3相関度)の確認を、相関度算出手段12が実行する。具体的には、相関度算出手段12が、下記の数7に示す第3相関度R3k(t=tf)を計算する。第3相関度R3k(t=tf)は、予測時点(t=tf)以前の所定時間長の第5期間T5の第1発電変化量QA(t)と第5期間T5より所定の第3時間差Δt3前の第5期間T5と同じ時間長の第6期間T6の第3発電変化量QBk(t−Δt3)の間の相関度である。ここで、kは第2の類似太陽光発電装置の識別番号、離散的変数Xは特定太陽光発電装置の第1発電変化量QA(t)であり、離散的変数Yは第2の類似太陽光発電装置の第3発電変化量QBk(t−Δt3)である。第3時間差Δt3は、初期値として(Δt1+Δt2)に設定され、例えば±1分刻みで複数通りに変更される。第3発電変化量QBk(t)は、第2の類似太陽光発電装置の実測発電量Pi(t)に対応する発電変化量QBi(t)の比として、上記数2によって算出されるが、離散的変数X及びYの各発電変化量は、複数の太陽光発電装置30の実測発電量Pi(t)に基づいて、発電変化算出手段13が既に算出して記憶装置17内に記憶した発電変化量QBi(t)から必要部分を抽出することで得られる。第3時間差Δt3を初期設定から変更する場合の要領、及び、第5期間T5及び第6期間T6の設定方法は、第1実施形態における第1時間差Δt1、第1期間T1及び第2期間T2の場合と同じであるので、重複する説明は割愛する。
【0078】
(数7)
R3k(t=tf)=S(X,Y)/(σX・σY)
S(X,Y)=Σ{(X−Xa)・(Y−Ya)}/n
X=QA(t)
Y=QBk(t−Δt3)
【0079】
類似太陽光発電装置抽出手段15は、数7により算出した複数の第3時間差Δt3での第3相関度R3k(t=tf)の中から最大の第3相関度R3k(t=tf)を与える第3時間差Δt3を選択する。ここで、第3相関度R3k(t=tf)中に上記所定の閾値(または、上記所定の閾値とは異なる別の閾値(例えば、0.8〜0.9の間の数値を設定する))以上となるものが存在しない場合は、第2相関度R2k(t=tf)の次に大きい第2参照太陽光発電装置を第2の類似太陽光発電装置として抽出して、再度第3相関度R3k(t=tf)を算出して、上記所定の閾値(または別の閾値)以上の第2参照太陽光発電装置が見つかるまで、当該処理を繰り返す。
【0080】
そして、発電量予測手段16は、第3時間差Δt3から第1時間差Δt1を差し引いた値を第2時間差Δt2と修正して、類似太陽光発電装置抽出手段15が抽出した第2の類似太陽光発電装置の予測時点(t=tf)より第2時間差Δt2前から予測時点(t=tf)までの発電変化量QBi(t)のデータを記憶装置17から読み出し、当該発電変化量QBi(t)を、特定太陽光発電装置の第2予測期間(第2予測時点(t=tf+Δt1)から第2時間差Δt2後まで)の第1発電変化量QA(t)とする。第1発電変化量QA(t)を上記数2の左辺に代入すると、第2予測期間の特定太陽光発電装置の発電量の予測値が得られる。
【0081】
或いは、別実施形態として、発電量予測手段16が、第2の類似太陽光発電装置の予測時点(t=tf)より第3時間差Δt3前から予測時点(t=tf)までの発電変化量QBi(t)のデータを記憶装置17から読み出し、当該発電変化量QBi(t)を、特定太陽光発電装置の第1予測期間と第2予測期間の両方(予測時点(t=tf)から第3時間差Δt3後まで)の第1発電変化量QA(t)とするようにしても良い。第1発電変化量QA(t)を上記数2の左辺に代入すると、第1及び第2予測期間の特定太陽光発電装置の発電量の予測値が得られる。
【0082】
〈第4実施形態〉
上記第2実施形態の第2の別実施形態(第4実施形態)について説明する。上記第2実施形態では、第1実施形態で抽出した類似太陽光発電装置を基準として、第2の類似太陽光発電装置を1つ抽出して、その1つの第2の類似太陽光発電装置の発電変化量QBi(t)に基づいて、特定太陽光発電装置の第2予測期間または第1及び第2予測期間における発電量を予測した。しかし、第2の類似太陽光発電装置と特定太陽光発電装置間の相関度については、当然に高いと推定して実際にはその確認を行っていない。しかし、第2の類似太陽光発電装置と特定太陽光発電装置間は、ある程度の高い相関があると認められるものの、第2参照太陽光発電装置の中から特定太陽光発電装置との間で相関度が最高のものが抽出されているとは限らない。
【0083】
そこで、本第4実施形態では、上記第2実施形態における第2の類似太陽光発電装置の抽出を、1つではなく複数に変更する。つまり、類似太陽光発電装置抽出手段15は、相関度算出手段12が算出した第2相関度R2k(t=tf)に基づいて、複数の第2参照太陽光発電装置の中から、第2相関度R2k(t=tf)の大きい順に複数(例えば、2以上10以下の値)の第2参照太陽光発電装置を第2の類似太陽光発電装置の候補として抽出する。
【0084】
そして、相関度算出手段12が、第2の類似太陽光発電装置の候補の夫々に対して、以下の数8に示す第4相関度R4k(t=tf)を計算する。第4相関度R4k(t=tf)は、予測時点(t=tf)以前の所定時間長の第7期間T7の第1発電変化量QA(t)と第7期間T7より所定の時間差(第1時間差Δt1と第2時間差Δt2の合計)前の第7期間T7と同じ時間長の第8期間T8の第3発電変化量QBk(t−Δt1−Δt2)の間の相関度である。ここで、kは第2の類似太陽光発電装置の識別番号、離散的変数Xは特定太陽光発電装置の第1発電変化量QA(t)であり、離散的変数Yは第2の類似太陽光発電装置の第3発電変化量QBk(t−Δt1−Δt2)である。また、離散的変数X及びYの各発電変化量は、複数の太陽光発電装置30の実測発電量Pi(t)に基づいて、発電変化算出手段13が既に算出して記憶装置17内に記憶した発電変化量QBi(t)から必要部分を抽出することで得られる。第7期間T7及び第8期間T8の設定方法は、第1実施形態における第1期間T1及び第2期間T2の場合と同じであるので、重複する説明は割愛する。
【0085】
(数8)
R4k(t=tf)=S(X,Y)/(σX・σY)
S(X,Y)=Σ{(X−Xa)・(Y−Ya)}/n
X=QA(t)
Y=QBk(t−Δt1−Δt2)
【0086】
類似太陽光発電装置抽出手段15は、数8により算出した複数の第4相関度R4k(t=tf)の中から最大の第4相関度R4k(t=tf)を与える第2の類似太陽光発電装置の候補を第2の類似太陽光発電装置として抽出する。ここで、第4相関度R4k(t=tf)中に上記所定の閾値(または、上記所定の閾値とは異なる別の閾値(例えば、0.8〜0.9の間の数値を設定する))以上となるものが存在しない場合は、第2の類似太陽光発電装置の抽出を行わない。第2の類似太陽光発電装置を抽出した以降の処理は、第2実施形態と同様であるので、重複する説明は省略する。
【0087】
〈第5実施形態〉
上記第2実施形態の第3の別実施形態(第5実施形態)について説明する。上記第2実施形態では、第1実施形態で抽出した類似太陽光発電装置を基準として、第2の類似太陽光発電装置を1つ抽出して、その1つの第2の類似太陽光発電装置の発電変化量QBi(t)に基づいて、特定太陽光発電装置の第2予測期間または第1及び第2予測期間における発電量を予測した。しかし、第2の類似太陽光発電装置と類似太陽光発電装置と特定太陽光発電装置の相互間の位置関係が、必ずしも1つの気象変化が連続して進行する位置関係となっていない可能性もある。つまり、第2の類似太陽光発電装置と類似太陽光発電装置間の相関性の基となる気象変化と、類似太陽光発電装置と特定太陽光発電装置間の相関性の基となる気象変化が異なる場合もあり得る。
【0088】
そこで、本第5実施形態では、上記第2実施形態における第2の類似太陽光発電装置の抽出を、1つではなく複数に変更する。つまり、類似太陽光発電装置抽出手段15は、相関度算出手段12が算出した第2相関度R2k(t=tf)に基づいて、複数の第2参照太陽光発電装置の中から、第2相関度R2k(t=tf)の大きい順に複数(例えば、2以上10以下の値)の第2参照太陽光発電装置を第2の類似太陽光発電装置の候補として抽出する。
【0089】
次に、類似太陽光発電装置抽出手段15が、第2の類似太陽光発電装置の候補と類似太陽光発電装置と特定太陽光発電装置の各設置場所(経度緯度)を、データベース18にアクセスして検索し、類似太陽光発電装置の設置場所から特定太陽光発電装置の設置場所に向かう第1方向の方位角(例えば、北を0度、東を90度、南を180度、西を270度
として0〜360度で表す)と、第2の類似太陽光発電装置の候補毎の第2の類似太陽光発電装置の設置場所から類似太陽光発電装置の設置場所に向かう第2方向の方位角を、夫々算出し、第1方向と第2方向の方位角の差の最も小さい第2の類似太陽光発電装置の候補を、第2の類似太陽光発電装置として抽出する。第2の類似太陽光発電装置を抽出した以降の処理は、第2実施形態と同様であるので、重複する説明は省略する。
【0090】
〈第6実施形態〉
上記第2実施形態の更に幾つかの別実施形態について纏めて説明する。
【0091】
上記第3乃至第5実施形態は、何れも上記第2実施形態で抽出された第2の類似太陽光発電装置と予測対象の特定太陽光発電装置の間の関係を直接確認する処理を追加的に設けたものであり、夫々の追加的に設けた確認処理は、夫々単独で実行される場合を説明した。しかし、上記第3乃至第5実施形態の各確認処理は、その内の2乃至3を組み合わせて実行しても良い。
【0092】
上記第2乃至第5実施形態では、図10に示すように、第1実施形態において抽出した類似太陽光発電装置S1を基準として、第2の類似太陽光発電装置S2を抽出して、第2の類似太陽光発電装置S2の発電変化量QBi(t)を基に、第2予測期間または第1及び第2予測期間における特定太陽光発電装置S0の発電量の予測値を求めた。これに対して、図12に示すように、類似太陽光発電装置S1を基準として、第2の類似太陽光発電装置S2を抽出するのと同様の要領で、第2の類似太陽光発電装置S2を基準として、所定の範囲A2内の複数の第3参照太陽光発電装置を選択して、その中から第3の類似太陽光発電装置S3を抽出し、第3の類似太陽光発電装置S3の発電変化量QBi(t)を基に、少なくとも第2予測期間より先の予測期間について特定太陽光発電装置S0の発電量の予測値を求めるようにしても良い。同様に、更に、第4の類似太陽光発電装置S4を抽出して、予測期間を長くするようにしても良い。この場合、第3以降の類似太陽光発電装置S3、S4についても、特定太陽光発電装置の間の関係を直接確認する上記第2乃至第5実施形態の追加的処理を実行するようにするのも好ましい。
【0093】
〈第7実施形態〉
第7実施形態に係る本発明装置2は、図13に示すように、上記第1乃至第6実施形態の本発明装置1に対して、第1予測発電量検証手段19を備えた構成となっている。
【0094】
第1予測発電量検証手段19は、或る予測時点(t=tf)から一定時間経過後の検証時点(t=tf+Δt)において、当該予測時点から検証時点までの検証期間中における発電量予測手段16が予測した特定太陽光発電装置の発電量の予測値と、発電量取得装置11が新たに取得した実測値の比較を行い、予測精度の検証を行う。一定時間Δtは当然に第1時間差Δt1より短く、例えば、第1時間差Δt1の20〜80%程度の範囲内の1または複数通りを設定する。
【0095】
予測精度の検証は、例えば、以下の2種類の検証の何れか一方または両方を行う。第1の検証では、当該検証期間の所定の単位時間毎(例えば1分毎)の差分値(絶対値)を予測値で除した誤差の最大値と平均値の何れか一方または両方が夫々の所定の上限値(例えば、最大値:10%、平均値:5%)以下の場合に、予測が正しいと判断する。第2の検証では、当該検証期間の予測値と実測値のラグ相関を求め、相関の強い時間差を調べ、当該時間差が例えば±1分以内であれば、予測が正しいと判断する。ラグ相関の求め方は、上記数1の第1及び第2式に示す相関度Rj(t=tf)と同じ算出式を用い、夫々の離散的変数X,Yを当該検証期間の予測値と実測値とする。本実施形態では、第1の検証で予測が正しくないと判断されても、第2の検証で、予測が正しいと判断された場合は、第2の検証結果を優先する。
【0096】
上記検証の結果、予測が正しくないと判定された場合は、その検証時点で、類似太陽光発電装置の抽出処理をやり直して、特定太陽光発電装置の発電量の予測値を再計算する。また、上記検証の結果、予測が正しいと判定された場合は、次の予め設定された予測時点まで、直近の予測時点で予測した予測値を使用する。
【0097】
〈第8実施形態〉
第8実施形態に係る本発明装置3は、図14に示すように、上記第1乃至第6実施形態の本発明装置1に対して、類似参照太陽光発電装置抽出手段20と第2予測発電量検証手段21を備えた構成となっている。尚、図14には、上記第7実施形態の第1予測発電量検証手段19を破線枠で表示しており、第1予測発電量検証手段19を併設する別実施形態が可能であることを示している。
【0098】
第8実施形態に係る本発明装置3は、上記第1または第2実施形態で予測された特定太陽光発電装置の発電量の予測値に対して、当該予測の基礎となっている気象変化と別の気象変化で、特定太陽光発電装置との相関の低い別の太陽光発電装置20で既に発生しているイレギュラー或いは突発的な気象変化の影響による発電量の変動が、特定太陽光発電装置の発電量の変動として影響を及ぼすか否かの判定を行う。以下、当該判定を便宜的に「突発変動判定」と称し、具体的な「突発変動判定」の処理手順について説明する。
【0099】
上記第1または第2実施形態で説明した特定太陽光発電装置の発電量の予測(通常予測)が終了した後、先ず、相関度算出手段12が、図15に示すように、複数の太陽光発電装置30の中から特定太陽光発電装置S0から所定範囲B1(第1範囲に相当)内に存在する太陽光発電装置30を第4参照太陽光発電装置C1iとして複数選択する。更に、相関度算出手段12が、選択した第4参照太陽光発電装置C1i毎に、複数の太陽光発電装置30の中から特定太陽光発電装置S0から所定範囲B2内で、第4参照太陽光発電装置C1iから夫々所定範囲B3i内(第2範囲に相当)に存在する太陽光発電装置30を第5参照太陽光発電装置C2ijとして選択する。i及びjは、本第8実施形態において、第4及び第5参照太陽光発電装置の識別番号である。所定範囲B1は、第1または第2実施形態の通常予測で予測した第1予測期間または第2予測期間内の一部の期間で上記イレギュラー或いは突発的な気象変化が到達し得る範囲として設定され、例えば、参照太陽光発電装置の選択範囲A0の外縁を含む円環状のエリアを用いる。また、所定範囲B2は、所定範囲B1より外側に位置する円環状のエリアを用いる。一例として、参照太陽光発電装置の選択範囲A0が、特定太陽光発電装置S0の設置場所を中心とする半径25kmの円形エリアとすると、所定範囲B1は特定太陽光発電装置S0の設置場所を中心とする半径20〜25kmの円環状エリアであり、所定範囲B2は特定太陽光発電装置S0の設置場所を中心とする半径30〜35kmの円環状エリアが想定される。また、所定範囲B3iは、第4参照太陽光発電装置C1iから夫々15〜20km程度以内の範囲に設定される。尚、第4参照太陽光発電装置C1i及び第5参照太陽光発電装置C2ijの選択は、参照太陽光発電装置の選択と同様に、複数の太陽光発電装置30に関する設置場所(経度緯度)を含む属性データを格納したデータベース18にアクセスして、上記各範囲内の太陽光発電装置30を検索して行う。
【0100】
次に、相関度算出手段12が、選択した第4参照太陽光発電装置C1i毎に、選択した第5参照太陽光発電装置C2ijに対して、第4時間差Δt4を、例えば20分に設定して、以下の数9に示す第5相関度R5ij(t=tf)を夫々計算する。第5相関度R5ij(t=tf)は、予測時点(t=tf)以前の所定時間長の第9期間T9の第4発電変化量QBi(t)と第9期間T9より所定の第4時間差Δt4前の第9期間T9と同じ時間長の第10期間T10の第5発電変化量QBij(t−Δt4)の間の相関度である。ここで、離散的変数Xは第4参照太陽光発電装置C1iの第4発電変化量QBi(t)であり、離散的変数Yは第5参照太陽光発電装置C2ijの第5発電変化量QBij(t−Δt4)である。第4発電変化量QBi(t)は、第4参照太陽光発電装置C1iの実測発電量Pi(t)に対応する発電変化量QBi(t)の比として、上記数2によって算出される、第5発電変化量QBij(t)は、第5参照太陽光発電装置C2ijの実測発電量Pij(t)に対応する発電変化量QBij(t)の比として、上記数2によって算出されるが、離散的変数X及びYの各発電変化量は、複数の太陽光発電装置30の実測発電量Pi(t)に基づいて、発電変化算出手段13が既に算出して記憶装置17内に記憶した発電変化量QBi(t)から必要部分を抽出することで得られる。第4時間差Δt4を初期設定から変更する場合の要領、及び、第9期間T9及び第10期間T10の設定方法は、第1実施形態における第1時間差Δt1、第1期間T1及び第2期間T2の場合と同じであるので、重複する説明は割愛する。尚、上記第5相関度R5ij(t=tf)の計算は、全ての選択した第4参照太陽光発電装置C1iと対応する全ての第5参照太陽光発電装置C2ijに対して実行される。
【0101】
(数9)
R5ij(t=tf)=S(X,Y)/(σX・σY)
S(X,Y)=Σ{(X−Xa)・(Y−Ya)}/n
X=QBi(t)
Y=QBij(t−Δt4)
【0102】
次に、類似参照太陽光発電装置抽出手段20が、第4参照太陽光発電装置C1i毎に、算出された第5相関度R5ij(t=tf)に基づいて、複数の第5参照太陽光発電装置C2ijの中から、第5相関度R5ij(t=tf)が最大の第5参照太陽光発電装置C2ijを1ずつ、気象変化に伴う発電量の変動パターンが第4時間差Δt4だけ先行して第4参照太陽光発電装置C1iの当該変動パターンと類似する類似参照太陽光発電装置C3iとして抽出する。
【0103】
次に、第2予測発電量検証手段21が、第4参照太陽光発電装置C1iと対応する類似参照太陽光発電装置C3iの組み合わせ毎に、類似参照太陽光発電装置C3iの設置場所から対応する第4参照太陽光発電装置C1iの設置場所に向かう第1方向の方位角D1iと、第4参照太陽光発電装置C1iの設置場所から特定太陽光発電装置A0の設置場所に向かう第2方向の方位角D2iの差を夫々算出し、以下の第1乃至第4ステップの処理(判定)を全ての第4参照太陽光発電装置C1iと対応する類似参照太陽光発電装置C3iの組み合わせに対して順次行う。
【0104】
第1ステップとして、2つの方位角D1i,D2iが一定角度範囲内(例えば、±20°以下)であるか否かをチェックする。上記一定角度範囲外であれば、次の第4参照太陽光発電装置C1iに移行し、最後の第4参照太陽光発電装置C1iであれば、判定処理を終了する。上記一定角度範囲内であれば、次のステップに移行する。
【0105】
第2ステップとして、予測時点(t=tf)より直前の、第1または第2実施形態の通常予測で予測された期間と同じ長さの期間内に、第4参照太陽光発電装置C1iの第4発電変化量QBi(t)の所定の短い期間(例えば、5分間)内での大きな減少が存在するか否かをチェックする。大きな減少の判定基準として、例えば、第4発電変化量QBi(t)の0.5以上の減少を想定する。大きな減少が確認できれば、次のステップに移行する。当該減少が確認できなければ、次の第4参照太陽光発電装置C1iに移行し、最後の第4参照太陽光発電装置C1iであれば、判定処理を終了する。
【0106】
第3ステップとして、当該減少の第4参照太陽光発電装置C1iから特定太陽光発電装置A0までの移動時間を計算する。当該計算は、第4参照太陽光発電装置C1iと類似参照太陽光発電装置C3i間の距離と第5相関度R5ij(t=tf)の計算に用いた第4時間差Δt4から移動速度を求め、第4参照太陽光発電装置C1iと特定太陽光発電装置A0間の距離を、当該移動速度で除して求める。そして、当該減少の発生時刻と移動時間から、当該減少が、特定太陽光発電装置A0で発生する時刻を予測する。
【0107】
第4ステップとして、特定太陽光発電装置A0の発電量の予測値の当該発生予測時刻に同様の発電変化量の減少が存在するか否かをチェックする。同様の発電変化量の減少が存在する場合は、次の第4参照太陽光発電装置C1iに移行し、最後の第4参照太陽光発電装置C1iであれば、判定処理を終了する。逆に、同様の発電変化量の減少が存在しない場合は、当該発電変化量の減少を示すアラームデータ(発生時刻及び発電変化量の減少量)を特定太陽光発電装置A0に、発電量取得装置11の通信インターフェースから、データ通信回線31を経由して提供される。ここで、特定太陽光発電装置側での当該アラームデータを用いた制御や表示の詳細な内容は、本発明の本旨ではないので説明を省略する。
【0108】
以下に、別の実施形態につき説明する。
〈1〉上記第1乃至第8実施形態では、本発明装置1〜3は、複数の太陽光発電装置30とは、所定のデータ通信回線31を介してデータの授受が可能に接続されている場合を想定した。つまり、本発明装置1〜3は、複数の太陽光発電装置30の夫々とは、一定の距離を隔てて離間している場合を想定したが、本発明装置1〜3は、複数の太陽光発電装置30の1つに内蔵或いは併設される構成であっても良い。
【0109】
更に、本発明装置1〜3の一部の構成要素が、複数の太陽光発電装置30の内の予測対象の特定太陽光発電装置となる1または複数の太陽光発電装置30に内蔵或いは併設される構成であっても良い。具体的には、例えば、図16及び図17に示す2つの構成例が考えられる。
【0110】
図16に示す第1の構成例では、発電量取得装置11、発電変化算出手段13、最大発電量推定手段14、記憶装置17、及び、データベース18が一纏まりとなって、本発明装置4から分離したセンター装置5として、複数の太陽光発電装置30に対して1つ存在し、相関度算出手段12、類似太陽光発電装置抽出手段15、及び、発電量予測手段16が一纏まりとなって、特定太陽光発電装置毎に分散配置される本発明装置4として、特定太陽光発電装置となる1または複数の太陽光発電装置30に内蔵或いは併設される。
【0111】
図17に示す第2の構成例では、発電量取得装置11、記憶装置17、及び、データベース18が一纏まりとなって、本発明装置6から分離したセンター装置7として、複数の太陽光発電装置30に対して1つ存在し、相関度算出手段12、発電変化算出手段13、最大発電量推定手段14、類似太陽光発電装置抽出手段15、及び、発電量予測手段16が一纏まりとなって、特定太陽光発電装置毎に分散配置される本発明装置6として、特定太陽光発電装置となる1または複数の太陽光発電装置30に内蔵或いは併設される。第2の構成例では、各特定太陽光発電装置側に、発電変化算出手段13と最大発電量推定手段14が設けられているため、発電変化算出手段13と最大発電量推定手段14で算出された各特定太陽光発電装置の第1発電変化量QA(t)と推定最大発電量PAi(t)が、各特定太陽光発電装置が計測した実測発電量Pi(t)とともに、データ通信回線31を介してセンター装置7側の発電量取得装置11に送信される。この場合、或る特定太陽光発電装置の第1発電変化量QA(t)は、他の特定太陽光発電装置に対する第2発電変化量QBj(t)や第3発電変化量QBk(t)となる。
【0112】
図16及び図17では、全ての太陽光発電装置30が特定太陽光発電装置となる場合を想定している。尚、第7実施形態の第1予測発電量検証手段19を備えた構成とする場合には、第1予測発電量検証手段19は、特定太陽光発電装置側の本発明装置4,6に設けるのが良いが、センター装置5,7に設けることも可能である。また、第8実施形態の類似参照太陽光発電装置抽出手段20と第2予測発電量検証手段21を備えた構成とする場合には、類似参照太陽光発電装置抽出手段20と第2予測発電量検証手段21は、特定太陽光発電装置側の本発明装置4,6に設けるのが良いが、センター装置5,7に設けることも可能である。センター装置5,7に、第1予測発電量検証手段19、或いは、類似参照太陽光発電装置抽出手段20と第2予測発電量検証手段21を設ける場合は、センター装置5,7は、各本発明装置4,6から夫々の特定太陽光発電装置の発電量の予測値を、データ通信回線31を介して取得しておく必要がある。
【0113】
ところで、本別実施形態の本発明装置4,6及びセンター装置5,7の発電量取得装置11、記憶装置17、データベース18、及び、各手段12〜16は、上記第1乃至第8実施形態の対応する装置及び手段と同じ機能を有するので、それらの詳細については重複する説明は省略する。但し、本発明装置4,6は、特定太陽光発電装置毎に分散して設けられているため、各本発明装置4,6は、対応する太陽光発電装置の1台だけを特定太陽光発電装置として、上述の処理を実行する。
【0114】
〈2〉上記実施形態では、第1発電変化量QA(t)や第2発電変化量QBj(t)等の各太陽光発電装置30の発電量の気象変化に伴う変動を示す発電変化量QBi(t)として、数2で示される実測発電量Pi(t)を推定最大発電量PAi(t)で除した比を用いたが、実測発電量Pi(t)をそのまま用いることも可能である。これは、図4を参照して説明したように、実測発電量Pi(t)をそのまま相関度算出用の離散的変数XとYとした場合でも、数2で算出される発電変化量を離散的変数XとYとする上記各実施形態と同様に、或る程度の相関を検査できるからである。但し、各太陽光発電装置30の実測発電量Pi(t)は、気象変化以外の諸条件、つまり、太陽電池パネルの面積や定格出力、太陽電池パネルの設置条件(経度緯度、設置方位、傾斜角度、等)、及び、設置場所の日照条件(時期、時刻、隣接する建物による日影の状態、等)の影響も受けている。このため、相関度を算出する際に、これらの気象変化以外の諸条件の影響をできる限り排除する必要があり、複数の参照太陽光発電装置、複数の第2参照太陽光発電装置等の相関度算出時の対象となる太陽光発電装置の選択時に、気象変化以外の諸条件が共通する太陽光発電装置を選択すれば良い。斯かる選択方法として、例えば、太陽光発電装置間で、推定最大発電量PAi(t)の相関度の高い組み合わせのグループを予め抽出しておき、同じグループ内で、実測発電量Pi(t)をそのまま離散的変数XとYとして、数1に規定する相関度を算出する複数の参照太陽光発電装置等を選択する方法が考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明に係る太陽光発電量予測装置は、太陽光発電装置の発電量の気象変化の伴う変動を予測するのに利用可能である。
【符号の説明】
【0116】
1,2,3,4,6: 太陽光発電量予測装置
5,7: センター装置
11: 発電量取得装置
12: 相関度算出手段
13: 発電変化算出手段
14: 最大発電量推定手段
15: 類似太陽光発電装置抽出手段
16: 発電量予測手段
17: 記憶装置
18: データベース
19: 第1予測発電量検証手段
20: 類似参照太陽光発電装置抽出手段
21: 第2予測発電量検証手段
30: 太陽光発電装置
31: データ通信回線
A0: 参照太陽光発電装置の選択範囲
A1: 第2参照太陽光発電装置の選択範囲
B0: 参照太陽光発電装置の選択除外範囲
B1: 第4参照太陽光発電装置の選択範囲
B2: 第5参照太陽光発電装置の第1の選択範囲
B3i: 第5参照太陽光発電装置の第2の選択範囲
C1i: 第4参照太陽光発電装置
C3i: 類似参照太陽光発電装置
S0: 特定太陽光発電装置
S1: 類似太陽光発電装置
S2: 第2の類似太陽光発電装置
S3: 第3の類似太陽光発電装置
S4: 第4の類似太陽光発電装置
t1: 第1時点
t2: 第2時点
t3: 第3時点
t4: 第4時点
t5: 第5時点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予測対象の特定太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す所定の第1単位時間毎の第1発電変化量と、前記特定太陽光発電装置の設置場所から所定範囲以内に存在する前記特定太陽光発電装置以外の複数の参照太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す前記第1単位時間毎の第2発電変化量に対して、前記参照太陽光発電装置毎に、予測時点以前の所定時間長の第1期間の前記第1発電変化量と前記第1期間より所定の第1時間差前の前記第1期間と同じ時間長の第2期間の前記第2発電変化量の間の相関度を算出する相関度算出手段と、
算出された前記相関度に基づいて、前記複数の参照太陽光発電装置の中から、気象変化に伴う発電量の変動パターンが前記第1時間差だけ先行して前記特定太陽光発電装置の当該変動パターンと類似する類似太陽光発電装置を抽出する類似太陽光発電装置抽出手段と、
前記類似太陽光発電装置の前記予測時点より前記第1時間差前の第1時点から前記予測時点までの前記第2発電変化量に基づいて、前記特定太陽光発電装置の前記予測時点から前記予測時点より前記第1時間差後の第2時点までの発電量を予測する発電量予測手段と、を備えてなることを特徴とする太陽光発電量予測装置。
【請求項2】
前記特定太陽光発電装置及び前記複数の参照太陽光発電装置を含む複数の太陽光発電装置から、前記太陽光発電装置の前記第1単位時間毎または所定の単位時間毎の実測発電量を所定の通信回線を介して取得する発電量取得装置を備えることを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項3】
前記発電量取得装置から前記複数の太陽光発電装置の前記第1単位時間毎または所定の単位時間毎の実測発電量を取得して、前記特定太陽光発電装置の前記第1発電変化量及び前記複数の参照太陽光発電装置夫々の前記第2発電変化量を算出する発電変化算出手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項4】
前記発電量予測手段が予測した前記特定太陽光発電装置の発電量の予測値を、前記所定の通信回線を介して前記特定太陽光発電装置に送信することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項5】
前記相関度算出手段、前記類似太陽光発電装置抽出手段、及び、前記発電量予測手段が、前記特定太陽光発電装置に内蔵或いは併設されていることを特徴とする請求項2または3に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項6】
前記第1発電変化量が、前記特定太陽光発電装置の予測時点を含む日の前記第1単位時間毎または所定の単位時間毎の予め算出された推定最大発電量と実測発電量の比に基づいて算出され、
前記第2発電変化量が、前記参照太陽光発電装置の予測時点を含む日の前記第1単位時間毎または所定の単位時間毎の予め算出された推定最大発電量と実測発電量の比に基づいて算出されることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項7】
前記相関度算出手段が、前記第1時間差を複数通り変化させて前記相関度の算出を行い、
前記発電量予測手段が、抽出された前記類似太陽光発電装置の前記相関度の算出に用いられた前記第1時間差を、前記発電量の予測に使用することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項8】
前記相関度算出手段が、前記類似太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す前記第1単位時間毎の前記第2発電変化量と、前記類似太陽光発電装置の設置場所から所定範囲以内に存在する前記類似太陽光発電装置以外の複数の第2参照太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す前記第1単位時間毎の第3発電変化量に対して、前記第2参照太陽光発電装置毎に、予測時点以前の所定時間長の第3期間の前記第2発電変化量と前記第3期間より所定の第2時間差前の前記第3期間と同じ時間長の第4期間の前記第3発電変化量の間の相関度を第2相関度として算出し、
前記類似太陽光発電装置抽出手段が、算出された前記第2相関度に基づいて、前記複数の第2参照太陽光発電装置の中から、気象変化に伴う発電量の変動パターンが前記第2時間差だけ先行して前記類似太陽光発電装置の当該変動パターンと類似する第2の類似太陽光発電装置を抽出し、
前記発電量予測手段が、前記第2の類似太陽光発電装置の前記予測時点より前記第2時間差前の第3時点から前記予測時点までの前記第3発電変化量に基づいて、前記特定太陽光発電装置の前記第2時点から前記第2時点より前記第2時間差後の第4時点までの発電量を予測することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項9】
前記発電量予測手段が、前記第1時点から前記予測時点までの前記第2発電変化量に代えて、前記第3時点より前記第1時間差前の第5時点から前記第3時点までの前記第3発電変化量に基づいて、前記特定太陽光発電装置の前記予測時点から前記第2時点までの発電量を予測することを特徴とする請求項8に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項10】
前記類似太陽光発電装置抽出手段が、算出された前記第2相関度に基づいて、前記複数の第2参照太陽光発電装置の中から、複数の前記第2の類似太陽光発電装置の候補を抽出し、
前記相関度算出手段が、前記第2の類似太陽光発電装置の候補毎に、予測時点以前の所定時間長の第5期間の前記第1発電変化量と前記第5期間より前記第1時間差と前記第2時間差の合計時間前の前記第5期間と同じ時間長の第6期間の前記第3発電変化量の間の相関度を第3相関度として算出し、
前記類似太陽光発電装置抽出手段が、算出された前記第3相関度に基づいて、複数の前記第2の類似太陽光発電装置の候補の中から前記第2の類似太陽光発電装置を抽出することを特徴とする請求項8または9に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項11】
前記類似太陽光発電装置抽出手段が、算出された前記第2相関度に基づいて、前記複数の第2参照太陽光発電装置の中から、複数の前記第2の類似太陽光発電装置の候補を抽出し、
前記類似太陽光発電装置抽出手段が、前記第2の類似太陽光発電装置の候補毎に、前記第2の類似太陽光発電装置の候補の設置場所から前記類似太陽光発電装置の設置場所に向かう方向と、前記類似太陽光発電装置の設置場所から前記特定太陽光発電装置の設置場所に向かう方向のズレの最も小さい前記第2の類似太陽光発電装置の候補を、前記第2の類似太陽光発電装置として抽出することを特徴とする請求項8または9に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項12】
前記相関度算出手段が、予測時点以前の所定時間長の第7期間の前記第1発電変化量と前記第7期間より第3時間差前の前記第7期間と同じ時間長の第8期間の前記第3発電変化量の間の相関度を第4相関度として、前記第3時間差を前記第1時間差と前記第2時間差を合計した時間差を含む複数通りに変化させて算出し、
前記類似太陽光発電装置抽出手段が、算出された前記第4相関度に基づいて、複数の前記第3時間差の中から前記第4相関度が最大となるものを抽出し、当該第3時間差から前記第1時間差を差し引いた値を前記第2時間差とすることを特徴とする請求項8〜11の何れか1項に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項13】
前記第2発電変化量が、前記類似太陽光発電装置の予測時点を含む日の前記第1単位時間毎または所定の単位時間毎の予め算出された推定最大発電量と実測発電量の比に基づいて算出され、
前記第3発電変化量が、前記第2参照太陽光発電装置の予測時点を含む日の前記第1単位時間毎または所定の単位時間毎の予め算出された推定最大発電量と実測発電量の比に基づいて算出されることを特徴とする請求項8〜12の何れか1項に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項14】
前記相関度算出手段が、前記第2時間差を複数通り変化させて前記第2相関度の算出を行い、
前記発電量予測手段が、抽出された前記第2の類似太陽光発電装置の前記第2相関度の算出に用いられた前記第2時間差を、前記発電量の予測に使用することを特徴とする請求項8〜13の何れか1項に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項15】
前記相関度算出手段と前記類似太陽光発電装置抽出手段による、前記類似太陽光発電装置から前記第2の類似太陽光発電装置を抽出する一連の処理を繰り返し実行し、第3以降の類似太陽光発電装置を抽出することを特徴とする請求項8〜14の何れか1項に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項16】
前記発電量予測手段が予測した前記特定太陽光発電装置の予測発電量と実測値の比較を、前記予測時点から一定時間経過後に行う第1予測発電量検証手段を備え、
前記予測発電量と前記実測値が、所定の誤差範囲内で一致していない場合には、前記予測発電量の予測に用いた前記類似太陽光発電装置の抽出をやり直し、
前記予測発電量と前記実測値が、所定の誤差範囲内で一致している場合には、前記予測発電量の予測に用いた前記類似太陽光発電装置を前記予測に引き続き使用することを特徴とする請求項1〜15の何れか1項に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項17】
前記相関度算出手段が、前記特定太陽光発電装置の設置場所から所定の第1範囲以内に存在する前記特定太陽光発電装置以外の複数の第4参照太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す前記第1単位時間毎の第4発電変化量と、前記複数の第4参照太陽光発電装置の夫々から所定の第2範囲以内に存在する複数の第5参照太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す前記第1単位時間毎の第5発電変化量に対して、前記第4参照太陽光発電装置毎及び前記第5参照太陽光発電装置毎に、予測時点以前の所定時間長の第9期間の前記第4発電変化量と前記第9期間より所定の第4時間差前の前記第9期間と同じ時間長の第10期間の前記第5発電変化量の間の相関度を第5相関度として算出し、
算出された前記第5相関度に基づいて、前記第4参照太陽光発電装置毎に、前記複数の第5参照太陽光発電装置の中から、気象変化に伴う発電量の変動パターンが前記第4時間差だけ先行して前記第4参照太陽光発電装置の当該変動パターンと類似する類似参照太陽光発電装置を1つ抽出する類似参照太陽光発電装置抽出手段と、
前記第4参照太陽光発電装置と前記類似参照太陽光発電装置の組み合わせ毎に、前記類似参照太陽光発電装置の設置場所から当該類似参照太陽光発電装置に対応する前記第4参照太陽光発電装置の設置場所に向かう方向と、前記第4参照太陽光発電装置の設置場所から前記特定太陽光発電装置の設置場所に向かう方向のズレが一定角度範囲内である場合に、当該組み合わせの前記第4参照太陽光発電装置における前記第9期間の前記第4発電変化量で示される発電量の変動が、前記発電量予測手段が予測した前記特定太陽光発電装置の発電量に存在するか否かを判定する第2予測発電量検証手段と、を更に備えることを特徴とする請求項1〜16の何れか1項に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項1】
予測対象の特定太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す所定の第1単位時間毎の第1発電変化量と、前記特定太陽光発電装置の設置場所から所定範囲以内に存在する前記特定太陽光発電装置以外の複数の参照太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す前記第1単位時間毎の第2発電変化量に対して、前記参照太陽光発電装置毎に、予測時点以前の所定時間長の第1期間の前記第1発電変化量と前記第1期間より所定の第1時間差前の前記第1期間と同じ時間長の第2期間の前記第2発電変化量の間の相関度を算出する相関度算出手段と、
算出された前記相関度に基づいて、前記複数の参照太陽光発電装置の中から、気象変化に伴う発電量の変動パターンが前記第1時間差だけ先行して前記特定太陽光発電装置の当該変動パターンと類似する類似太陽光発電装置を抽出する類似太陽光発電装置抽出手段と、
前記類似太陽光発電装置の前記予測時点より前記第1時間差前の第1時点から前記予測時点までの前記第2発電変化量に基づいて、前記特定太陽光発電装置の前記予測時点から前記予測時点より前記第1時間差後の第2時点までの発電量を予測する発電量予測手段と、を備えてなることを特徴とする太陽光発電量予測装置。
【請求項2】
前記特定太陽光発電装置及び前記複数の参照太陽光発電装置を含む複数の太陽光発電装置から、前記太陽光発電装置の前記第1単位時間毎または所定の単位時間毎の実測発電量を所定の通信回線を介して取得する発電量取得装置を備えることを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項3】
前記発電量取得装置から前記複数の太陽光発電装置の前記第1単位時間毎または所定の単位時間毎の実測発電量を取得して、前記特定太陽光発電装置の前記第1発電変化量及び前記複数の参照太陽光発電装置夫々の前記第2発電変化量を算出する発電変化算出手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項4】
前記発電量予測手段が予測した前記特定太陽光発電装置の発電量の予測値を、前記所定の通信回線を介して前記特定太陽光発電装置に送信することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項5】
前記相関度算出手段、前記類似太陽光発電装置抽出手段、及び、前記発電量予測手段が、前記特定太陽光発電装置に内蔵或いは併設されていることを特徴とする請求項2または3に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項6】
前記第1発電変化量が、前記特定太陽光発電装置の予測時点を含む日の前記第1単位時間毎または所定の単位時間毎の予め算出された推定最大発電量と実測発電量の比に基づいて算出され、
前記第2発電変化量が、前記参照太陽光発電装置の予測時点を含む日の前記第1単位時間毎または所定の単位時間毎の予め算出された推定最大発電量と実測発電量の比に基づいて算出されることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項7】
前記相関度算出手段が、前記第1時間差を複数通り変化させて前記相関度の算出を行い、
前記発電量予測手段が、抽出された前記類似太陽光発電装置の前記相関度の算出に用いられた前記第1時間差を、前記発電量の予測に使用することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項8】
前記相関度算出手段が、前記類似太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す前記第1単位時間毎の前記第2発電変化量と、前記類似太陽光発電装置の設置場所から所定範囲以内に存在する前記類似太陽光発電装置以外の複数の第2参照太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す前記第1単位時間毎の第3発電変化量に対して、前記第2参照太陽光発電装置毎に、予測時点以前の所定時間長の第3期間の前記第2発電変化量と前記第3期間より所定の第2時間差前の前記第3期間と同じ時間長の第4期間の前記第3発電変化量の間の相関度を第2相関度として算出し、
前記類似太陽光発電装置抽出手段が、算出された前記第2相関度に基づいて、前記複数の第2参照太陽光発電装置の中から、気象変化に伴う発電量の変動パターンが前記第2時間差だけ先行して前記類似太陽光発電装置の当該変動パターンと類似する第2の類似太陽光発電装置を抽出し、
前記発電量予測手段が、前記第2の類似太陽光発電装置の前記予測時点より前記第2時間差前の第3時点から前記予測時点までの前記第3発電変化量に基づいて、前記特定太陽光発電装置の前記第2時点から前記第2時点より前記第2時間差後の第4時点までの発電量を予測することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項9】
前記発電量予測手段が、前記第1時点から前記予測時点までの前記第2発電変化量に代えて、前記第3時点より前記第1時間差前の第5時点から前記第3時点までの前記第3発電変化量に基づいて、前記特定太陽光発電装置の前記予測時点から前記第2時点までの発電量を予測することを特徴とする請求項8に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項10】
前記類似太陽光発電装置抽出手段が、算出された前記第2相関度に基づいて、前記複数の第2参照太陽光発電装置の中から、複数の前記第2の類似太陽光発電装置の候補を抽出し、
前記相関度算出手段が、前記第2の類似太陽光発電装置の候補毎に、予測時点以前の所定時間長の第5期間の前記第1発電変化量と前記第5期間より前記第1時間差と前記第2時間差の合計時間前の前記第5期間と同じ時間長の第6期間の前記第3発電変化量の間の相関度を第3相関度として算出し、
前記類似太陽光発電装置抽出手段が、算出された前記第3相関度に基づいて、複数の前記第2の類似太陽光発電装置の候補の中から前記第2の類似太陽光発電装置を抽出することを特徴とする請求項8または9に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項11】
前記類似太陽光発電装置抽出手段が、算出された前記第2相関度に基づいて、前記複数の第2参照太陽光発電装置の中から、複数の前記第2の類似太陽光発電装置の候補を抽出し、
前記類似太陽光発電装置抽出手段が、前記第2の類似太陽光発電装置の候補毎に、前記第2の類似太陽光発電装置の候補の設置場所から前記類似太陽光発電装置の設置場所に向かう方向と、前記類似太陽光発電装置の設置場所から前記特定太陽光発電装置の設置場所に向かう方向のズレの最も小さい前記第2の類似太陽光発電装置の候補を、前記第2の類似太陽光発電装置として抽出することを特徴とする請求項8または9に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項12】
前記相関度算出手段が、予測時点以前の所定時間長の第7期間の前記第1発電変化量と前記第7期間より第3時間差前の前記第7期間と同じ時間長の第8期間の前記第3発電変化量の間の相関度を第4相関度として、前記第3時間差を前記第1時間差と前記第2時間差を合計した時間差を含む複数通りに変化させて算出し、
前記類似太陽光発電装置抽出手段が、算出された前記第4相関度に基づいて、複数の前記第3時間差の中から前記第4相関度が最大となるものを抽出し、当該第3時間差から前記第1時間差を差し引いた値を前記第2時間差とすることを特徴とする請求項8〜11の何れか1項に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項13】
前記第2発電変化量が、前記類似太陽光発電装置の予測時点を含む日の前記第1単位時間毎または所定の単位時間毎の予め算出された推定最大発電量と実測発電量の比に基づいて算出され、
前記第3発電変化量が、前記第2参照太陽光発電装置の予測時点を含む日の前記第1単位時間毎または所定の単位時間毎の予め算出された推定最大発電量と実測発電量の比に基づいて算出されることを特徴とする請求項8〜12の何れか1項に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項14】
前記相関度算出手段が、前記第2時間差を複数通り変化させて前記第2相関度の算出を行い、
前記発電量予測手段が、抽出された前記第2の類似太陽光発電装置の前記第2相関度の算出に用いられた前記第2時間差を、前記発電量の予測に使用することを特徴とする請求項8〜13の何れか1項に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項15】
前記相関度算出手段と前記類似太陽光発電装置抽出手段による、前記類似太陽光発電装置から前記第2の類似太陽光発電装置を抽出する一連の処理を繰り返し実行し、第3以降の類似太陽光発電装置を抽出することを特徴とする請求項8〜14の何れか1項に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項16】
前記発電量予測手段が予測した前記特定太陽光発電装置の予測発電量と実測値の比較を、前記予測時点から一定時間経過後に行う第1予測発電量検証手段を備え、
前記予測発電量と前記実測値が、所定の誤差範囲内で一致していない場合には、前記予測発電量の予測に用いた前記類似太陽光発電装置の抽出をやり直し、
前記予測発電量と前記実測値が、所定の誤差範囲内で一致している場合には、前記予測発電量の予測に用いた前記類似太陽光発電装置を前記予測に引き続き使用することを特徴とする請求項1〜15の何れか1項に記載の太陽光発電量予測装置。
【請求項17】
前記相関度算出手段が、前記特定太陽光発電装置の設置場所から所定の第1範囲以内に存在する前記特定太陽光発電装置以外の複数の第4参照太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す前記第1単位時間毎の第4発電変化量と、前記複数の第4参照太陽光発電装置の夫々から所定の第2範囲以内に存在する複数の第5参照太陽光発電装置の発電量の気象変化に伴う変動を示す前記第1単位時間毎の第5発電変化量に対して、前記第4参照太陽光発電装置毎及び前記第5参照太陽光発電装置毎に、予測時点以前の所定時間長の第9期間の前記第4発電変化量と前記第9期間より所定の第4時間差前の前記第9期間と同じ時間長の第10期間の前記第5発電変化量の間の相関度を第5相関度として算出し、
算出された前記第5相関度に基づいて、前記第4参照太陽光発電装置毎に、前記複数の第5参照太陽光発電装置の中から、気象変化に伴う発電量の変動パターンが前記第4時間差だけ先行して前記第4参照太陽光発電装置の当該変動パターンと類似する類似参照太陽光発電装置を1つ抽出する類似参照太陽光発電装置抽出手段と、
前記第4参照太陽光発電装置と前記類似参照太陽光発電装置の組み合わせ毎に、前記類似参照太陽光発電装置の設置場所から当該類似参照太陽光発電装置に対応する前記第4参照太陽光発電装置の設置場所に向かう方向と、前記第4参照太陽光発電装置の設置場所から前記特定太陽光発電装置の設置場所に向かう方向のズレが一定角度範囲内である場合に、当該組み合わせの前記第4参照太陽光発電装置における前記第9期間の前記第4発電変化量で示される発電量の変動が、前記発電量予測手段が予測した前記特定太陽光発電装置の発電量に存在するか否かを判定する第2予測発電量検証手段と、を更に備えることを特徴とする請求項1〜16の何れか1項に記載の太陽光発電量予測装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−196968(P2011−196968A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67212(P2010−67212)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
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