説明

太陽熱コレクター

【課題】簡単な構造で、夜間でも十分に暖かい媒体を使用可能とする太陽熱コレクターを提供する。
【解決手段】太陽熱コレクター10は、内部を真空状態とした外側ケース12の内部に集熱板14が配置されている。集熱板14は、金属板からなる薄い箱形状であり、内部には、ジグザグ状に形成された配管16が配置されると共に、蓄熱材18が充填されている。集熱板14が太陽の熱で加熱されることで、蓄熱材18が加熱され、配管16の内部に貯留されている水がお湯となる。配管16の一端側(水道側)から水が供給されると共に、集熱板内部で温められたお湯が他端側から排出される。また、蓄熱材18が日中に受けた熱を蓄熱しており、集熱板14の配管16内にも多量のお湯が貯留されているため、夜間等であっても、家屋内の水機器が使用されれば、配管16の他端側から十分な量のお湯を排出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽熱によって水等の媒体を加熱する太陽熱コレクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水等の媒体を太陽光によって加熱された集熱板からの熱によって温める太陽熱コレクターが種々提案されている。
【0003】
ところで、一般の家庭等で使用される太陽熱コレクター(太陽熱温水器)として、夜間等にお湯を使用する場合には、昼間に太陽熱コレクターで暖められた温水を配管等を通じて別途設けたタンクに貯留しておき、タンクに貯留した温水を必要に応じて用いることが一般的である(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
また、タンクは、貯留した温水の温度低下を抑制するために、全体を断熱材で覆うことが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−126558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、タンクを備えた従来システムでは下記のような問題がある。
(1) 集熱板の他に、別途タンクを設けて集熱板とタンクとを配管で接続しなければならず、構造が複雑化する。
【0007】
(2) タンクを断熱材で覆ってはいるが、真空にされた空間部分で断熱を行う、いわゆる真空断熱に比較して断熱効果は劣る。
【0008】
(3) タンク内に水を滞留させる方式の場合、タンク内の水の流れ難い部分で雑菌や藻等が繁殖する懸念がある。
【0009】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、簡単な構造で、夜間でも十分に暖かい媒体を使用可能とする太陽熱コレクターを提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであって、請求項1に記載の太陽熱コレクターは、少なくとも一部に太陽光を透過する光透過部を備え、内部に真空とされた空間を形成する外側ケースと、前記外側ケースの内部に設けられ、前記光透過部を透過した太陽光が照射されることで温度上昇可能な集熱手段と、前記集熱手段に設けられ、前記集熱手段からの熱によって昇温させる媒体を内部に通過させる媒体通路と、前記集熱手段に設けられ、前記集熱板から授受した熱を蓄熱し、蓄熱した熱を前記媒体通路に付与可能な蓄熱材と、を有する。
【0011】
次に、請求項1に記載の太陽熱コレクターの作用を説明する。
請求項1に記載の太陽熱コレクターでは、集熱手段が光透過部を透過した太陽光を受けることで集熱手段が加熱され、これにより、集熱手段の内部に設けた媒体通路内の水等の媒体、及び蓄熱材も加熱される。
【0012】
媒体通路の一端側から水等の媒体を供給することで、媒体通路の他端側から、媒体通路内の暖められた媒体を排出できる。
【0013】
また、蓄熱手段は日中に受けた熱を蓄熱しているので、集熱手段が太陽光を受けない夜間等であっても、媒体通路の一端側から水等の媒体を供給すれば、媒体通路の他端側から暖かい媒体を排出できる。なお、蓄熱手段の温度が、供給する媒体の温度よりも高い限りは、供給時の温度よりも高い温度の媒体を排出できる。
【0014】
さらに、本発明の太陽熱コレクターでは、集熱手段が真空の外装ケースの内部に配置されており、いわゆる真空断熱構造とされているので高い断熱性能(保温性能)を有しており、集熱手段の熱が外装ケース外へ逃げることが極力抑えられており、蓄熱材の温度低下を極力抑えることができる。
【0015】
また、本発明の太陽熱コレクターでは、媒体通路の一端側から媒体を順次供給して他端側から暖められた媒体を順次排出する構成であるため、太陽熱コレクター内で媒体が長期に渡って滞留する部位が無く、例えば、媒体に水を用いた場合に、太陽熱コレクターの内部の媒体に雑菌や藻等が繁殖する問題を生じない。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の太陽熱コレクターにおいて、前記外側ケースは、太陽光を透過する光透過性部材からなる板状の窓部材を一部に備えた箱体であり、前記集熱手段は、前記窓部材と平行に配置された板形状に形成されている。
【0017】
次に、請求項2に記載の太陽熱コレクターの作用を説明する。
請求項2に記載の太陽熱コレクターでは、集熱手段の形状を板形状としているので、面部分を太陽に向けることで、効率的に集熱することが出来る。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の太陽熱コレクターにおいて、前記集熱手段と前記箱体との間、及び前記集熱手段と前記窓部材との間に、間隙を形成する複数の微小間隙形成体が配置されている。
【0019】
次に、請求項3に記載の太陽熱コレクターの作用を説明する。
箱内部は真空にされているため、窓部材には大気圧が作用して箱内側へ向けて変形しようとするが、窓部材と集熱板との間、及び窓部材と箱体との間に複数の微小間隙形成体が配置されているため、複数の微小間隙形成体により、大気圧による窓部材及び箱体の変形が抑えられ、窓部材にガラス等を用いた場合、ガラスの破損を抑えることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の太陽熱コレクターにおいて、前記微小間隙形成体は、球体である。
【0021】
次に、請求項4に記載の太陽熱コレクターの作用を説明する。
請求項4に記載の太陽熱コレクターでは、窓部材と集熱板との間に配置された複数の球体により、大気圧による窓部材の変形が抑えられる。
【0022】
なお、実用的には、球体の直径は1〜100μmの範囲内が好ましい。
球体の直径が1μm未満になると、例えば、窓部材(または箱体)と集熱板との間隔が狭くなり過ぎ、大気圧による窓部材の変形で、窓部材(または箱体)が集熱板に接触する虞がある。
【0023】
一方、球体の直径が100μmを超えると、箱体内部を真空化するのに手間がかかる、窓部材(または箱体)の変形が大きくなる等の問題を生ずる虞がある。
【0024】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の太陽熱コレクターにおいて、前記微小間隙形成体は、柱体である。
【0025】
次に、請求項5に記載の太陽熱コレクターの作用を説明する。
請求項5に記載の太陽熱コレクターでは、窓部材と集熱板との間に配置された複数の柱体により、大気圧による窓部材の変形が抑えられる。
【0026】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の太陽熱コレクターにおいて、前記外側ケースは、一端側が閉塞され、他端側が開放された筒形状とされ、前記集熱手段は、前記外側ケースの他端側から挿入されて前記外側ケースの内部に配置され、さらに、前記集熱手段は、前記外側ケースと前記集熱手段との隙間を埋めるように配置される支持部材によって前記外側ケースの他端側で前記外側ケースに支持され、支持部材以外の部分では、前記外側ケースとの間に真空の間隙が形成されている。
【0027】
次に、請求項6に記載の太陽熱コレクターの作用を説明する。
請求項6に記載の太陽熱コレクターでは、集熱手段が、支持部材によって外側ケースの他端側で外側ケースに支持されており、簡単な構造で集熱手段の支持が行われている。
【0028】
また、内部が真空とされた外側ケースの外周部分は大気圧を受けるが、筒状に形成されているため、平板状に形成されるよりも大気圧による変形が抑えられ、大気圧による変形を抑えるための部材等を必要としない。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように本発明の太陽熱コレクターによれば、媒体通路の一端側から水等の媒体を供給すれば、夜間であっても媒体通路の他端側から暖かい媒体を排出することができる。また、タンクを必要としない簡単な構造であるため、内部で雑菌や藻等が繁殖する懸念もない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1の実施形態に係る太陽熱コレクターの面に沿った断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る太陽熱コレクターの厚さ方向に切った断面図である。
【図3】第1の実施形態の変形例に係る太陽熱コレクターの厚さ方向に切った断面図である。
【図4】太陽熱コレクターの設置の一例を説明する図である。
【図5】第2の実施形態に係る太陽熱コレクターの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[第1の実施形態]
次に、本発明の第1の実施形態に係る太陽熱コレクター10を図1乃至図4にしたがって説明する。
図1、及び図2に示すように、本実施形態の太陽熱コレクター10は、内部を真空状態とした矩形の薄い箱状とされた外側ケース12の内部に集熱板14を配置したものである。
【0032】
外側ケース12は、太陽に面する側が開口した箱12Aと、箱12Aの開口部分全体を覆う透明カバー12Bとから構成されている。
なお、箱12Aと透明カバー12Bとの間は、図示しない接着剤、あるいは弾性体からなるパッキン等でシールされている。
【0033】
箱12Aは、耐候性に優れ、強度が得られれば材料の種類は問わず、金属や合成樹脂等の金属以外の材料で形成することができる。本実施形態の箱12Aは、光沢ニッケルクロムメッキの施された鋼板で形成されている。
【0034】
透明カバー12Bは、光の透過率に優れ、強度が得られれば材料の種類は問わず、ガラス、合成樹脂等で形成することができる。本実施形態の透明カバー12Bには、厚さ3mmのガラス板(例えば、一般に市販されている、窓ガラス)が用いられている。また、本実施形態の透明カバー12Bの表面には、万が一ガラス板が破損した際に、ガラス片が飛散しないようにするための飛散防止フィルム(図示せず)が貼り付けられている。
【0035】
本実施形態の集熱板14は、全体が矩形に形成された薄い箱形状とされており、錆びず、熱伝達率に優れた金属材料(例えば、銅。銅以外金属であっても良い。)等で形成されている。なお、集熱板14の表面(少なくとも太陽光の照射される、透明カバー側の表面)には、周知の選択吸収膜が蒸着されている。
【0036】
集熱板14の内部には、ジグザグ状に屈曲形成された配管16が配置されている。配管16は、錆びず、熱伝達率に優れた金属材料(例えば、銅パイプ)等で形成されている。
なお、配管16の屈曲形状は、図示された形状以外であっても良い。
本実施形態の太陽熱コレクター10では、暖めたお湯を貯留するタンクを備えていない代わりに、配管16の内部容積が大きく設定されている。配管16の内部容積は、配管の内径、全長によって適宜決めることができる。
【0037】
また、集熱板14の内部には、蓄熱材18が充填されている。
蓄熱材18としては、太陽熱コレクター10で加熱する媒体(水)よりも蓄熱性に優れた材料が好ましく、例えば、n−パラフィン(例えば、C2042:融点36°C)、硫酸ナトリウム水和物(NaSO+10HO:融点32°C)、酢酸ナトリウム水和物(CHCOOH+3HO:融点58°C)等を用いることができるが、他の公知の蓄熱材を用いても良い。
【0038】
図2に示すように、集熱板14と箱12Aの底面12Aaとの間、及び集熱板14と透明カバー12Bとの間には、微小間隙形成体(所謂スペーサ)としての微小球20が複数個配置されており、集熱板14と箱12Aの底面12Aaとの間、及び集熱板14と透明カバー12Bとの間に隙間を設けている。
【0039】
なお、微小球20は、動かないように集熱板14、及び箱12Aの少なくとも一方に接着することが好ましい。
微小球20は、例えば、直径100μm、材質がセラミック(ジルコニア)のものを用いることができる。また、微小球20は、例えば、4mm間隔でマトリクス状に配置する。
これにより、集熱板14の裏表面は、箱12A、及び透明カバー12Bに密着することなく、複数個の微小球20に対して点接触するのみとなる。
【0040】
なお、微小球20の直径は100μmに限定されず、1〜100μmの範囲内であれば良い。また、微小球20は、セラミック以外の材質であっても良い。
【0041】
また、微小間隙形成体として微小球20を用いた例を説明したが、図4に示すように、微小間隙形成体として、微小柱体22を用いても良い。
【0042】
微小柱体22は、例えば、エポキ樹脂を含む高粘度のインクを用いてシルク印刷にて微小のドットを集熱板14の表面に複数印刷し、印刷したエポキシ樹脂のドットを集熱板14の表面で固化させることで形成することができる。
【0043】
なお、この微小柱体22の大きさは、径がφ10〜100μm、高さが1μm〜100μmの範囲内が好ましい。微小柱体22の径が上記範囲よりも小さいと強度不足となる場合があり、微小柱体22の径が上記範囲よりも大きいと微小柱体22を介して外側ケース12へ熱が逃げ易くなる。
また、微小柱体22の高さが上記範囲よりも小さいと、間隙寸法が少なくなりすぎ、箱12A、及び透明カバー12Bが集熱板14に接触する虞がある。一方、微小柱体22の高さが上記範囲よりも高いと、間隙寸法が大きくなりすぎ、箱体内部を真空化するのに手間がかかる、微小柱体22が座屈し易くなる等の問題を生ずる虞がある。
【0044】
なお、微小柱体22を形成するインクは、印刷後に硬化して固化するものであればエポキシ樹脂以外の材料から構成されていても良い。
また、微小柱体22は、透明カバー12Bに形成しても良い。
【0045】
なお、箱12Aには、図1に示すように、内部を真空にする際に真空ポンプと接続するための空気吸引孔24が形成されており、空気吸引孔24は栓26で塞がれている。
【0046】
(作用)
次に、本実施形態の太陽熱コレクター10の作用を説明する。
本実施形態の太陽熱コレクター10は、例えば、図2に示すように建物の屋根28等に太陽30に向けて設置し、配管16の一端側を水供給用の配管(水道)に接続し、配管16の他端側を、例えば湯沸かし器32に接続して用いる。
【0047】
日中、太陽熱コレクター10の集熱板14が太陽30の熱で加熱されると、集熱板14の蓄熱材18が加熱されると共に、配管16の内部に貯留されている水が加熱されてお湯となる。
【0048】
ここで、例えば、建物内の水機器(例えば、蛇口、シャワー、食器洗い機、皿洗い機、洗濯機等)が使用されると、配管16の一端側(水道側)から水が供給されると共に、集熱板内部で温められたお湯が他端側から排出され、排出されたお湯が湯沸かし器32を経由して水機器へと排出される。
【0049】
本実施形態では、太陽熱コレクター10で得られたお湯を湯沸かし器32に供給するので、水を湯沸かし器32に供給する場合に比較して湯沸かし器32で用いるエネルギーが少なくて済み、省エネとなる。
例えば、湯沸かし器32から45°Cのお湯を出したい場合で、水道水の温度が20°Cであれば、水を25°C温度上昇させなければならないが、太陽熱コレクター10で、例えば、40°Cに暖めた温水を太陽熱コレクター10から湯沸かし器32に供給すれば、5°C温度上昇させれば良いことになる。
【0050】
本実施形態の太陽熱コレクター10では、蓄熱材18が日中に受けた熱を蓄熱しており、集熱板14の配管16内にも多量のお湯が貯留されているため(配管16が、タンクの代わりとなっているため)、夜間等であっても、家屋内の水機器が使用されれば、配管16の他端側から十分な量のお湯を排出することができる。
【0051】
なお、蓄熱材18は、多量の熱を蓄熱しているので、配管内に貯留されていたお湯が全量排出された後であっても、配管16に水を供給すれば供給された水を蓄熱材18の熱でもってある程度加温して排出することが可能であり、湯沸かし器32のエネルギー使用量を抑えることができる。
【0052】
本実施形態の太陽熱コレクター10では、外側ケース12の内部が真空にされており、しかも集熱板14の裏表面が複数の微小球20で点当たりで支持されているので、集熱板14の外側ケース12への熱伝達が最小限に抑えられ、蓄熱材18の温度低下を極力抑えることができる。
【0053】
本実施形態の太陽熱コレクター10は、配管16の一端側から水を供給して他端側から排出する構成であり、一般のタンクの様に水が滞留し易い部位が無く、内部で雑菌や藻等が繁殖する問題を生じない。
【0054】
また、本実施形態の太陽熱コレクター10では、集熱板14(配管16)の他に別部品としてお湯を貯留するタンク(及びタンクの断熱材等)を用いていないので、部品点数が少なく、構造が簡単で済み、製造も容易である。
なお、本実施形態では、貯湯タンクを用いない代わりに、タンクの代わりとなる配管16の内容積を十分に確保している。
【0055】
また、透明カバー12Bは、大気圧により箱内側へ変形するように力を受けるが、マトリクス状に配置された複数の微小球20を介して透明カバー12Bよりも剛性の高い銅板からなる集熱板14に支持されるので、透明カバー自身の厚みを厚くする、補強の桟を設置する等を行う必要なく、厚みが薄くても大気圧による変形が抑えられ、太陽熱コレクター10を構成する材料の使用量が抑えられ、太陽熱コレクター10を低コストで構成することができる。
【0056】
なお、本実施形態の太陽熱コレクター10では媒体として水を用いたが、水以外の、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の他の種類の液体や、気体等を用いても良い。
【0057】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る太陽熱コレクター10を図5にしたがって説明する。
図5に示すように、本実施形態の太陽熱コレクター10は、一端側が閉塞され、他端側が開放された円筒形状とされた、略試験管形状の透明な外側ケース34と、外側ケース34の他端側から挿入されて外側ケース34の内部に配置される同じく略試験管形状の集熱管部36を備えている。
なお、集熱管部36の外面には、周知の選択吸収膜が蒸着されている。
【0058】
外側ケース34、及び集熱管部36は、ガラス等で形成することができるが、集熱管部36は金属等で形成することも可能である。
集熱管部36は、外側ケース34と集熱管部36との隙間を埋めるように配置される環状の支持部材38によって外側ケース34の他端側で外側ケース34に支持されている。
【0059】
なお、支持部材38以外の部分では、外側ケース34と集熱管部36との間に真空の間隙が形成されている。
【0060】
集熱管部36は、他端側の開口が閉塞部材40で閉塞されて内部が密閉されている。集熱管部36の内部には、螺旋状に形成した配管16が挿入配置されると共に、蓄熱材18が充填されている。
配管16の一端、及び他端は、閉塞部材40を貫通して外部に突出している。
【0061】
(作用)
次に、第2の本実施形態に係る太陽熱コレクター10の作用を説明する。
本実施形態の太陽熱コレクター10も、第1の実施形態と同様に屋根28等に設置し、配管16の一端側を水供給用の配管(水道)に接続し、配管16の他端側を湯沸かし器32に接続して用いる。
日中、太陽熱コレクター10の集熱管部36が太陽30の熱で加熱されると、内部の蓄熱材18が加熱されると共に、配管16の内部の水が加熱されてお湯となる。
【0062】
本実施形態も、第1の実施形態と同様に、例えば、家屋内の水機器が使用されると、配管16の一端側(水道側)から水が供給されると共に、集熱管部内で温められたお湯が他端側から排出され、排出されたお湯が湯沸かし器32を経由して水機器へと排出され、水を湯沸かし器32に供給する場合に比較して湯沸かし器32で用いるエネルギーが少なくて済み、省エネとなる。
【0063】
なお、本実施形態の太陽熱コレクター10では、内部が真空とされた外側ケース34は大気圧を受けるが、円筒状に形成されているため、平板状に形成されるよりも大気圧による変形に強く、大気圧による変形を抑えるための部材等(例えば、第1の実施形態で用いた、微小球20等。)を必要としない。
また、本実施形態の太陽熱コレクター10は、複数本を並列に接続して用いても良い。
【符号の説明】
【0064】
10 太陽熱コレクター
12 ケース(外側ケース)
12A 箱
12B 透明カバー(光透過部)
14 集熱板(集熱手段)
16 配管(媒体通路)
18 蓄熱材
20 微小球(微小間隙形成体)
22 微小柱体(微小間隙形成体)
34 外側ケース(光透過部)
36 集熱管部(集熱手段)
38 支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部に太陽光を透過する光透過部を備え、内部に真空とされた空間を形成する外側ケースと、
前記外側ケースの内部に設けられ、前記光透過部を透過した太陽光が照射されることで温度上昇可能な集熱手段と、
前記集熱手段に設けられ、前記集熱手段からの熱によって昇温させる媒体を内部に通過させる媒体通路と、
前記集熱手段に設けられ、前記集熱板から授受した熱を蓄熱し、蓄熱した熱を前記媒体通路に付与可能な蓄熱材と、
を有する太陽熱コレクター。
【請求項2】
前記外側ケースは、太陽光を透過する光透過性部材からなる板状の窓部材を一部に備えた箱体であり、
前記集熱手段は、前記窓部材と平行に配置された板形状に形成されている、請求項1に記載の太陽熱コレクター。
【請求項3】
前記集熱手段と前記箱体との間、及び前記集熱手段と前記窓部材との間に、間隙を形成する複数の微小間隙形成体が配置されている、請求項2に記載の太陽熱コレクター。
【請求項4】
前記微小間隙形成体は、球体である、請求項3に記載の太陽熱コレクター。
【請求項5】
前記微小間隙形成体は、柱体である、請求項3に記載の太陽熱コレクター。
【請求項6】
前記外側ケースは、一端側が閉塞され、他端側が開放された筒形状とされ、
前記集熱手段は、前記外側ケースの他端側から挿入されて前記外側ケースの内部に配置され、
さらに、前記集熱手段は、前記外側ケースと前記集熱手段との隙間を埋めるように配置される支持部材によって前記外側ケースの他端側で前記外側ケースに支持され、支持部材以外の部分では、前記外側ケースとの間に真空の間隙が形成されている、請求項1に記載の太陽熱コレクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−117632(P2011−117632A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273842(P2009−273842)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000170554)国際技術開発株式会社 (34)
【出願人】(509175115)株式会社メックecoライフ (1)