説明

太陽電池の検査装置

【課題】 太陽電池に順方向の電流を流してEL発光させる検査装置であって、構造が簡単で、撮影した画像の解像度が良好な状態での欠陥検査の検査時間を短縮することができる太陽電池の検査装置を提供する。
【解決手段】 上面111に開口部112を備えた暗室110と、該暗室110の上面に設けられ、被測定物200となる太陽電池を開口部112上に保持する支持手段と前記暗室110の内部に設けられ、前記被測定物200を撮影する複数のカメラ121、122、123と、これらのカメラを前記暗室内で移動する移動手段とを有する。移動手段は、x軸ガイド部140と、モータ142と、タイミングベルト144とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽電池セル、太陽電池セルを一列に接続したストリング、ストリングを平行に複数配置した太陽電池パネルなど、太陽電池一般の性能を検査する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽エネルギーの利用方法として、シリコン型の太陽電池が知られている。太陽電池の製造においては、太陽電池が目的の発電能力を有しているかどうかの性能評価が重要である。性能評価には、通常、出力特性の測定がされる。
【0003】
出力特性は、光照射下において、太陽電池の電流電圧特性を測定する光電変換特性として行われる。光源としては、太陽光が望ましいのであるが、天候により強度が変化することから、ソーラーシミュレーターが使用されている。ソーラーシミュレーターでは、太陽光に代えてキセノンランプやメタルハライドランプ等を使用している。また、これらの光源を長時間点灯していると、温度上昇などにより光量が変化する。そこで、これらのランプのフラッシュ光を用い、横軸を電圧、縦軸を電流として、収集したデータをプロットすることにより太陽電池の出力特性曲線を得ている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ソーラーシミュレーターと異なる方法として、特許文献2では、シリコンの多結晶型の太陽電池素子に対して順方向に電圧を印加することで、エレクトロルミネッセンス(EL)を生じさせる方法を提案している。また、薄膜型の太陽電池でも同様のことが生じる。太陽電池素子から発光されるELを観察することによって、電流密度分布が分かり、電流密度分布の不均一から太陽電池素子の欠陥を知ることができる。すなわち、発光しない部分が欠陥部分と判断でき、この欠陥部分の面積が予め決められた量より少なければ、所定の発電能力を有するものと判断できることになる。
【0005】
図7は、特許文献2に記載された検査装置の構成を模式的に示す図である。検査装置10は、暗室11と、この暗室11の上部に設けられたCCDカメラ12と、暗室11の床面に載置された太陽電池セル13に電流を流す電源14と、CCDカメラ12からの画像信号を処理する画像処理装置15とから構成されている。
【0006】
暗室11には窓11aがあり、ここにCCDカメラ12のファインダー12aがあって、ここから肉眼で覗くことで、CCDカメラ12の撮影画像を確認することができる。画像処理装置15としては、パソコンを使用している。
【特許文献1】特開2007−88419
【特許文献2】WO/2006/059615
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図7に示す検査装置10は、太陽電池セル13を下に置いて、上からカメラで撮影するのであるが、太陽電池セル13から発光されるELは、1、000nmから1、300nmの波長の微弱な光であり、暗室11でなければ検知できない。被測定物が1枚の太陽電池セルであれば、100mm平方程度なので、暗室11も小さいものでよい。
【0008】
しかし、太陽電池パネルになると、2m×1m程度の大きさとなり、暗室11もこれを収容できる大きさが必要となる。また、被測定物となる太陽電池パネルは、暗室内に入れなければCCDカメラ12で撮影できないので、暗室に太陽電池パネルの出し入れができる扉を設けなければならない。検査装置をこのような暗室内に搬入する構成とすると、設置した扉が閉じた場合の遮光性も確保しなければならない。また検査装置に搬入された太陽電池の位置決め部材やが搬送ガイド部材も暗室内に設ける必要がある。さらに、太陽電池に電流を通すための通電手段も暗室内に設ける必要がある。という具合に構造的に複雑になり、高価なものとなる。
【0009】
また、1台のカメラで大きな太陽電池パネルを撮影するには、カメラから太陽電池パネルまでの距離を大きく取らなければならず、暗室が大型化してしまう。カメラを移動しながら太陽電池パネルを一部づつ複数回に分けて撮影すれば、カメラと太陽電池パネルとの距離を小さくして暗室を小型化できるが、検査に時間が掛かってしまう、という問題が起こる。さらに、検査時間を短縮するために撮影回数を減らすと、1画像で撮影される太陽電池パネルの面積が大きくなって、撮影した画像の解像度が粗くなってしまい欠陥を正確に検査できないという問題もある。
【0010】
本発明は、斯かる実情に鑑みてなされたもので、太陽電池に順方向の電流を流してEL発光させる検査装置であって、構造が簡単で、しかも、撮影した画像の解像度が良好な状態での欠陥検査の検査時間を短縮することができる太陽電池の検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために本発明の太陽電池の検査装置は、上面に開口部を有する暗室と、該暗室の前記上面に設けられ、被測定物となる太陽電池を前記開口部上に保持する支持手段と、前記暗室の内部に設けられ、前記被測定物を撮影する複数のカメラと、を有し、各カメラが前記太陽電池の担当部分を撮影することで、太陽電池の全体を撮影することを特徴としている。
【0012】
また、前記暗室内に、前記複数のカメラを移動する移動手段を設けた構成としたり、前記移動手段が、前記複数のカメラを固定する支持部材を有し、該支持部材を直線的に進退させる構成としたり、前記複数のカメラのそれぞれに、前記担当部分を撮影する反射板を設けた構成とすることができる。前記移動手段が、前記カメラと共に反射板も移動する構成としてもよい。さらに、前記暗室内に、前記複数のカメラをそれぞれ揺動する揺動手段を設け、各カメラが揺動することで、前記担当部分を撮影する構成としてもよい。
【0013】
あるいは、前記複数のカメラのそれぞれに、前記担当部分を撮影する反射板を設け、該反射板を揺動する揺動手段を設けた構成としてもよい。さらに、前記開口部を透明板で閉塞した構成にすることもできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の検査装置で太陽電池の検査をするには、まず、暗室の上面の開口部の上に被測定物となる太陽電池を支持する。太陽電池に電流を流すと、太陽電池を構成する各太陽電池セルがEL発光をする。この発光状態を複数のカメラで撮影し、カメラに接続された画像処理装置で分析することによって、太陽電池の欠陥の有無を判断することになる。
【0015】
太陽電池は、暗室の外から暗室の上面に載せることで検査でき、被測定物としての太陽電池を暗室に出し入れするための扉を設ける必要がない。そのため、暗室を小型化でき、その構造を簡単にすることができる。
【0016】
複数のカメラで、太陽電池を分割して担当部分だけを撮影するので、撮影した画像の解像度が良好な状態で欠陥陥検査を短時間に撮影することができる。また、撮影対象面積が小さくなるので、カメラと太陽電池との距離を小さくすることができ、暗室も小型化でき、安価にできる。前記移動手段が、前記複数のカメラを固定する支持部材を有し、該支持部材を直線的に進退させることによって、複数のカメラを同時に同方向に同じ速度で移動することができ、移動手段を1つにして安価に製作することができる。
【0017】
さらに太陽電池パネルの場合、製造ライン(ラミネート装置などの製造装置など)では、受光面を下にして搬送される。したがって本発明の検査装置を暗室上面に開口部を設ける構成とすることにより、太陽電池パネルを反転することなく本検査装置に載せることができる。これに加え、開口部に対して傾斜した反射板を設け、これに映った像をカメラで撮影することにすれば、さらに暗室を小型にすることができる。複数のカメラで撮影することで、撮影した画像の解像度が良好な状態で検査時間を短縮できるので、本発明の検査装置を、太陽電池パネルの製造ラインにいれても、欠陥検査の精度を良好な状態に維持してタクトタイムを短くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施例を添付の図面を参照して説明する。
<1>被測定物(太陽電池モジュール)
まず本発明の検査装置が扱う対象である被測定物200の例について説明する。図6は、本発明の検査装置にて測定する太陽電池の構成の説明図で、(a)は、太陽電池の内部の太陽電池セルが分かるように記載した平面図で、(b)はその断面図である。
【0019】
図6(a)の平面図に示す様に、被測定物200である太陽電池モジュールは角型の太陽電池セル28がリード線29により複数個直列に接続されたストリング25を形成し、さらにそのストリングを複数列リード線29により接続した構成となっている。
【0020】
被測定物200である太陽電池としては、太陽電池セル28が1枚のみ、太陽電池セル28を複数枚直線的につないだストリング25、ストリング25を平行に複数列並べ、太陽電池セル28がマトリックス状に配置された太陽電池パネル30のいずれでもよい。図に示すように、太陽電池パネル30は、その周縁部に太陽電池セル28などの受光面とはならない余白部分30aを有している。
【0021】
また被測定物200の断面構造は、図6(b)に示す様に、上側に配置された裏面材22と下側に配置された透明カバーガラス21の間に、充填材23、24を介して複数列のストリング25をサンドイッチにした構成を有する。
【0022】
裏面材22は例えばポリエチレン樹脂などの材料が使用される。充填材23、24には例えばEVA樹脂(ポリエチレンビニルアセテート樹脂)などが使用される。ストリング25は、上記のように電極26、27の間に、太陽電池セル28をリード線29を介して接続した構成である。
【0023】
このような太陽電池モジュールは、上記のように構成部材を積層しラミネート装置などにより、真空の加熱状態下で圧力を加え、EVAを架橋反応させてラミネート加工して得られる。
【0024】
また被測定物200としては、一般に薄膜式と呼ばれる太陽電池を対象とすることができる。
【0025】
この薄膜式の代表的な構造例では、下側に配置された透明カバーガラスには、予め透明電極、半導体、裏面電極からなる発電素子が蒸着してある。そして、このような薄膜型太陽電池モジュールを、透明カバーガラスを下向きに配置し、ガラス上の太陽電池素子の上に充填材を被せ、更に、充填材の上に裏面材を被せた構造で、同じようにラミネート加工することにより得られる。
【0026】
このように被測定物200としての薄膜式の太陽電池モジュールは、結晶系セルが蒸着された発電素子に変わるだけで、基本的な封止構造は前記した結晶系セルの場合と同じである。
【0027】
<2>検査装置の全体構造
図1は本発明の検査装置の構成を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。図2は、太陽電池の検査装置のカメラとカメラ駆動装置の構成を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B右断面図、(d)は被測定物を撮影する場合の各カメラの担当部分を示す図である。これらの図に示す本発明の太陽電池の検査装置100は、四角の箱形の暗室110およびその平らな上面111に、開口部112が穿設されている。開口部112は、被測定物200の大きさを考慮して暗室110の上面の一部に形成している。暗室内には、被測定物200である太陽電池を検査測定する3台のカメラ121、122、123と、これらの移動手段が設けられている。ただし、カメラ121、122、123の移動手段については用途に応じて設けない場合もある。上面111の開口部112以外は、暗室110に光を入れないような遮光性の素材からなる構成にしている。もっとも、上面111に被測定物200として太陽電池を載せた後、被測定物200を含む上面111の全体を、遮光手段にて覆うことにすれば、上面111全体を開口部112にしてもよい。また、上面以外の4つの側面と底面は全て遮光性の部材としている。上面111には、被測定物200の搬送をガイドする一対のガイド部材114が設けられている。ガイド部材114、114間の距離は、被測定物200のサイズに合わせて変更可能である。
【0028】
<3>被測定物の搬送ガイドおよび位置決め
ガイド部材114は、矩形断面の細長いレール状で、本発明の検査装置100の上面に、被測定物200の流れ方向に沿って一対設けられている。各ガイド部材114の内側側面には、複数個のローラ115が配置され被測定物200は、このローラ115上を移動搬送される。ガイド部材114と複数個のローラ115とで、太陽電池パネル30を開口部112の上に保持する支持手段を構成している。したがって被測定物200を搬送中および測定中に被測定物200が開口部112から暗室110内に落下することはない。またこのガイド部材114は、装置の被測定物200の搬入側および搬出側に配置された移動用レール116、送りネジ117およびハンドル118により被測定物200の幅寸法に応じて調整が可能な構成となっている。すなわち、送りネジ117は、一方が右ネジで他方が左ネジとなっており、ハンドル118を回転することで、ガイド部材114、114は、中心位置が一定の状態で、相互に接近・離反するようになっている。また、搬入側および搬出側の送りネジ117は、傘歯車を備えたクロスシャフト113により連結され、ハンドル118を回転することで、両方の送りネジ117を傘歯車によって同時に回転することができる。
【0029】
一方の搬送ガイド114の側面には、アクチュエーター等により出し入れ可能な位置決め金具119があり、搬送された被測定物200は、この位置決め金具119を突出させることにより搬送方向の位置決めがされる。位置決め金具119は、ガイド部材114の側面から出し入れする構成ではなく、ガイド部材114の上方から上下させる方法またガイド部材から旋回下降させるなどの構成とすることも可能である。位置決め金具119をガイド部材114の長さ方向に沿って複数個配置し、被測定物200のサイズの変更に応じて適当な1つの位置決め金具119を使用するようにするとよい。あるいは、位置決め金具119自身をガイド部材114の長さ方向に沿って移動可能な構成にし、被測定物200のサイズの変更に応じられるようにしてもよい。
【0030】
<4>撮影用カメラ
被測定物200から発するEL発光は、1,000nmから1,300nmの波長の微弱な光であり、暗室内で発光させ、3台の撮影用カメラ121、122、123でこの微弱な光を撮影する。このため、撮影用カメラ121、122、123としては微弱な光に対する感度の良いCCDカメラを用いる必要がある。本実施の形態例では、浜松ホトニクス製の型式C9299−02(Si−CCDカメラ)を使用している。
【0031】
<5>カメラの移動手段
図2は、カメラの移動手段の構成を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B右断面図、(d)は被測定物を撮影する場合の各カメラの担当部分を示す図である。暗室110内のカメラ121、122、123は、支持手段としての支持梁130上に上向きに配置・固定され、中央のカメラ122がガイド部材114、114の中央になるように配置され、両側のカメラ121、123が中央のカメラ122から等距離離れて配置されている。支持梁130の両端は、カメラ121、122、123をy軸方向に移動するy軸ガイド部140、140に支持されている。そして、モータ142と両側のタイミングベルト144、144とによって、支持梁130は、y軸ガイド部140上を、y軸方向に沿って進退可能となっている。以上の構成において、y軸ガイド部140、140、モータ142、タイミングベルト144、144とで、カメラ121、122、123の移動手段を構成している。y軸ガイド部140、140は、各種のリニアアクチュエータを使用することができるが、この実施例では、ボールネジを使用している。
【0032】
ただし、駆動方式は、モータ及びボールネジを使用した上記の実施例に限定されるものではなく、各種のリニアアクチュエータを使用することができる。
【0033】
移動手段のモータ142を回転制御することで、カメラ121、122、123を、y軸上の任意の位置に移動する。図2(d)に示すように被測定物200を装置のy軸方向に2つ、装置のx軸方向に3つに分けた6個の担当部分を、カメラ121、122、123は、装置のy軸方向に移動して符号1、2で示す2回に分けて撮影するようになっている。上記のカメラの数や移動回数(撮影回数)及び移動方向は、一例であり、目的に合わせて種々選択することができる。
【0034】
本発明では、複数台のカメラに対し、1つの移動手段で足りる。複数台のカメラは、全て一斉に同じ方向、同じ距離だけ移動することになる。移動手段としても、y軸方向の進退だけ出来ればよいので、構造が簡単になり、安価に製造できる。
【0035】
<6>遮光手段
遮光手段であるが、上記では、暗室の上面111の上部全てを覆うと説明していた。しかし太陽電池パネル30の場合、裏側の樹脂製の裏面材22は、不透明であり、遮光性が十分である。また、暗室110の上面111も、開口部112以外は遮光性の部材で構成されている。したがって、被測定物200が開口部112より大きくて、開口部112の周縁部が、太陽電池パネル30の余白部分30aに密着する場合は、開口部112の全体が被測定物200で覆われるので、遮光手段は不要である。
【0036】
しかし、被測定物200の方が開口部112より小さい場合や、開口部112の上に密着しておらずに離れて支持されている場合等には、隙間から光が暗室110内に入るので、遮光手段で覆う必要がある。遮光手段としては、たとえば、暗室110の上面全てを遮光カバーで覆うものなど、多様な形態が採用可能である。
<7>その他機器
上記の他に、図示を省略するが、図7の従来例で示した電源14やパソコンを利用した画像処理装置15が設けられている。
【0037】
<8>検査装置の使用方法
被測定物200として太陽電池パネル30を例にして、本発明の太陽電池の検査装置100の使用方法を説明する。
【0038】
ラミネート装置などで製造され搬出された太陽電池パネル30は、次に、コンベアなどで本発明の太陽電池の検査装置100の手前まで搬送される。搬送されてきた太陽電池パネルは、一対のガイド部材114、114の間でガイドされガイド部材の内側に設けられたローラ115上を移動して暗室110の上に達する。その後ガイド部材114の側面にアクチュエーター等により出し入れ可能に設けられた位置決め金具119を突出させることにより搬送方向の位置決めがされる。
【0039】
暗室110の所定の位置に達した太陽電池パネル30からなる被測定物200は、透明カバーガラス21を下に向けて暗室110の開口部112の上で停止し、図示しない電源との間で接続がされる。被測定物200の方が開口部112より小さいので、周囲から暗室内に光が入るから、被測定物200の上から暗室110の上面全体を図示しない遮光手段で覆う。被測定物200に電源から順方向の電流を流す。被測定物200がEL発光するので、カメラ121、122、123で撮影する。
【0040】
各カメラ121、122、123は、図2(d)に示すように、被測定物200の6個の担当部分のうち2個を担当部分とする。そして、各カメラ121、122、123は、移動手段でy軸に沿って移動し、符号1、2に示すように2回撮影することで合計6個の担当部分の画像を得る。各画像は、隣接する画像との境界部分ですこしずつオーバーラップするようにしておくと、各カメラの画像データを1枚の太陽電池パネルの画像に合成し易くなる。
【0041】
カメラを複数台にしたので、カメラを被測定物200に近接して配置することができ、暗室110の高さを小さくすることができる。なお、カメラの数は、3台に限定されるものではなく、一般に複数台あればよい。また、上記の実施例では、x軸方向にカメラを配置し、y軸方向にカメラを移動したが、逆にy軸方向にカメラを配置して、x軸方向に移動してもよい。
【0042】
また、各カメラは、被測定物200を近くから撮影するので、鮮明な画像を得ることができる。さらに、カメラ1台当たりの撮影する担当部分の面積が小さいことから、短時間で被測定物200全体の撮影が可能となる。
【0043】
カメラ121、122、123を、たとえば、x軸方向に離間して配置し、被測定物200を長さ方向に3等分し、1/3づつ分担して撮影し、1回の撮影で被測定物200全体を撮影すれば、移動手段は不要となる。移動手段が不要になれば、カメラ121、122、123を暗室110の底部に固定して撮影することができる。
【0044】
上記の実施の形態例では、被測定物200は、太陽電池パネル30であるが、これに限定されず、被測定物200を、太陽電池セル28を1枚だけにしたり、太陽電池セル28を複数個リード線29で接続したストリング25にしたりしてもよい。
【0045】
画像処理装置は、太陽電池パネルの画像から各太陽電池セル28について、発光しない部分を分析し、太陽電池セル28ごとの合否を判断し、全ての太陽電池セル28についての合否の結果から、太陽電池パネル30全体としての合否を判断する。
【0046】
なお、カメラ121、122、123による撮影も、カメラの台数や移動回数を増やして太陽電池セル1枚ごとに撮影してもよいし、太陽電池セルを数枚ずつ撮影することもできる。
【0047】
<9>反射板を使用した実施の形態
図3は、暗室をさらに小型にできるようにした本発明の実施の形態を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C断面図、(c)は(a)のD−D右断面図である。暗室内部には、支持手段としての支持梁130があり、ここに3台のカメラ121、122、123が横向きに支持されている。支持梁130の両端は、x軸ガイド部140、140に支持され、モータ142、タイミングベルト144、144によって、カメラ121、122、123を一斉にy軸に沿って同じ距離だけ進退させることができる。以上は、図2の実施例と同じである。
【0048】
本発明の実施の形態では、各カメラの前に、開口部112に対して傾斜するように設けられたアルミニウム製等の反射板131、132、133を設けている。各反射板131、132、133は、対応するカメラ121、122、123と一体になっており、カメラ121、122、123と一緒にy軸に沿って進退する。そして、各カメラは、各反射板から反射される被測定物の担当部分からの反射光を、被測定物200の一部の画像として撮影し、移動をすることによって繰り返して、担当部分の全てを撮影し、各カメラの画像全体で被測定物200の全体の撮影画像を得る。このような構成では、各カメラから被写体となる被測定物200までの距離が常に一定になっている。
【0049】
図示は省略するが、カメラを暗室の一方端に横向きに固定し、反射板のみを移動手段で移動する構成としてもよい。
【0050】
<10>カメラを揺動する実施の形態
図4は、カメラの移動手段として、カメラを揺動する実施の形態を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)のE−E断面図、(c)は(a)のF−F右断面図、(d)は被測定物を撮影する場合の各カメラの担当部分を示す図である。この実施例では、暗室110上部の開口部に、透明板108を取り付けている。ただし、この透明板108を取り付けずに、前述した実施例と同じく、開口部112としてもよい。逆に、前述した実施例の開口部112に透明板108を取り付けて封鎖してもよい。透明板108としては、ガラス板、アクリルなどの合成樹脂板等を使用することができる。尚図2および図3で説明した実施形態においても暗室110上面の開口部に、透明板108を取り付けた構成としてもよい。
【0051】
開口部112に透明板108を取り付けると、暗室110内部にゴミなどが入り込むのを防止でき、暗室110内やカメラが汚れることを防止することができる。一方、太陽電池パネルからのEL発光は微弱なので、透明板108があると減衰され、撮影しにくくなるため、透明板108が無い方がよいという場合もある。
【0052】
この実施例では、4台のカメラ121、122、123、124をx軸方向に配置している。4台のカメラは、支持手段としての支持梁150上に固定され、支持梁150は、両端にある公知の揺動手段151によって、カメラ121、122、123、124を図4(c)に示すように、121’〜121”の範囲で揺動できるようになっている。
【0053】
カメラ121、122、123、124は、図4(d)に示すように、y軸と平行な線で分割された担当部分を担当する。そして、カメラを中央に向けて図4(d)の符号1で示す中央部分の4つの担当部分を撮影をする。次に、揺動手段151によって図4(c)の121”の位置に揺動することで、符号2で示す4つの担当部分を撮影をし、図4(c)の121’の位置に揺動することで、符号3で示す4つの担当部分をの撮影をする。被測定物200全体を合計12個の担当部分を撮影し測定することができる。各画像は、隣接する画像と周辺部でオーバーラップしており、全画像を接続することで被測定物200全体の画像を得ることができる。この揺動手段151は、構造が単純なので、安価に製造することができる。
【0054】
<11>反射板のみを揺動する実施の形態
図5は、反射板のみを揺動する実施の形態を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)のG−G断面図、(c)は(a)のH−H右断面図である。暗室内部には、支持手段としての支持梁150があり、ここに4枚の反射板131、132、133、134が支持されている。支持梁150の両端にある揺動手段151によって、反射板131、132、133、134を図5(c)に示すように、131’〜131”の範囲で揺動できるようになっている。
【0055】
カメラ121、122、123、124は、図5(c)に示すように、暗室の床等の右側に横向きに固定されている。反射板131、132、133、134は、一斉に同じ方向に同じ角度だけ回転することになる。
【0056】
この構成によれば、カメラ121、122、123、124は固定されており、軽量な反射板131、132、133、134のみを揺動すればよいので、可動部が軽くなり、安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の太陽電池の検査装置を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)の正面図、(c)は右側面図である。
【図2】太陽電池の検査装置のカメラと移動手段の構成を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B右断面図、(d)は被測定物を撮影する場合の各カメラの担当部分を示す図である。
【図3】暗室をさらに小型にできるようにした本発明の実施の形態を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C断面図、(c)は(a)のD−D右断面図である。
【図4】カメラの移動手段として、カメラを揺動する実施の形態を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)のE−E断面図、(c)は(a)のF−F右断面図、(d)は被測定物を撮影する場合の各カメラの担当部分を示す図である。
【図5】反射板のみを揺動する実施の形態を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)のG−G断面図、(c)は(a)のH−H右断面図である。
【図6】本発明の検査装置にて測定する太陽電池の構成の説明図で(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図7】従来の太陽電池の検査装置の構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0058】
100 太陽電池の検査装置
108 透明板
110 暗室
111 上面
112 開口部
114 ガイド部材(支持部材)
115 ローラ(支持部材)
119 位置決め金具
121、122、123、124 カメラ
130、150 支持梁(支持手段)
140 x軸ガイド部(移動手段)
142 モータ(移動手段)
144 タイミングベルト(移動手段)
200 被測定物
131、132、133 反射板
151 揺動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口部を有する暗室と、該暗室の前記上面に設けられ、被測定物となる太陽電池を前記開口部上に保持する支持手段と、前記暗室の内部に設けられ、前記被測定物を撮影する複数のカメラと、を有し、各カメラが前記太陽電池の担当部分を撮影することで、太陽電池の全体を撮影することを特徴とする太陽電池の検査装置。
【請求項2】
前記暗室内に、前記複数のカメラを移動する移動手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の検査装置。
【請求項3】
前記移動手段が、前記複数のカメラを固定する支持部材を有し、該支持部材を直線的に進退させることを特徴とする請求項2に記載の太陽電池の検査装置。
【請求項4】
前記複数のカメラのそれぞれに、前記担当部分を撮影する反射板を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の太陽電池の検査装置。
【請求項5】
前記移動手段が、前記カメラと共に反射板も移動することを特徴とする請求項4記載の太陽電池の検査装置
【請求項6】
前記暗室内に、前記複数のカメラをそれぞれ揺動する揺動手段を設け、各カメラが揺動することで、前記担当部分を撮影することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の検査装置。
【請求項7】
前記複数のカメラのそれぞれに、前記担当部分を撮影する反射板を設け、該反射板を揺動する揺動手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の検査装置。
【請求項8】
前記開口部を透明板で閉塞したことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の太陽電池の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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