説明

太陽電池システム用保安装置

【課題】本発明は、太陽電池システムのパワーコンディショナを雷サージから確実に保護することができる太陽電池システム用保安装置を提供することを目的とする。
【解決手段】分電盤40を有する住宅10に、太陽電池アレイ80が、前記分電盤にパワーコンデシィショナ100を介して接続されて太陽電池システム110が設置されている場合に、該太陽電池システムの前記パワーコンデシィショナーを雷サージから保護する太陽電池システム用保安装置150であって、
前記分電盤内の配線又は前記分電盤と前記パワーコンディショナとの間の配線に接続された商用電源側アレスタ120と、
前記太陽電池アレイと前記パワーコンディショナとの間に設けられた接続箱90内の配線又は該接続箱と前記パワーコンディショナとの間の配線に接続された太陽電池側アレスタ130とを有し、
前記商用電源側アレスタ及び前記太陽電池側アレスタは、共通のアース線61で接地されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池システム用保安装置に関し、特に、太陽電池システムのパワーコンディショナを落雷サージから保護するための太陽電池システム用保安装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、住宅の各種電気機器を雷サージから保護するため、住宅用分電盤の盤上に、ブレーカとともにアレスタ又はSPD(Surge Protective Device)と呼ばれる雷サージ保護器を配設するようにした技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる雷サージ保護器を設けることにより、商用電源側から雷サージが発生した場合であっても、雷サージが分電盤に接続されている電気機器に伝達するのを防ぐことができる。
【0004】
一方、雷サージ保護器が配設される分電盤は、住人の目の高さよりも高い位置に設置されている場合が多く、SPD機能が正常に動作しているか否かを視認し難い場合が多い。よって、特許文献1に記載のSPDにおいては、SPD機能が正常な場合に点灯する発光素子を備え、SPD機能の状況表示を確実にできるようにし、住人の便宜を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−125259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、環境への配慮や、光熱費軽減の観点から、太陽電池システムを設置する住宅が増加している。太陽電池システムは、太陽電池モジュールからなる太陽電池アレイを、住宅の屋根等の日光照射量の多い位置に設置し、太陽電池モジュール単位又は太陽電池モジュールを複数まとめた単位で、正極と負極の出力用の配線が設けられる。そして、複数の正極及び負極からの配線は、接続箱(中継端子箱)にまとめられ、パワーコンディショナに接続される。パワーコンディショナでは、接続箱から供給される直流電圧を、適正な電圧の大きさに変換するとともに、直流を交流に変換する。そして、パワーコンデシィショナーで生成された電力が、分電盤に供給され、分電盤から各電気機器に分配供給される。
【0007】
ここで、パワーコンディショナは、自分自身も雷サージによる影響を受けるおそれがある電気機器であり、また、太陽電池アレイを設けたことにより、太陽電池側から雷サージが侵入する可能性があるという問題が生じた。
【0008】
そこで、本発明は、太陽電池システムのパワーコンディショナを雷サージから確実に保護することができる太陽電池システム用保安装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、第1の発明に係る太陽電池システム用保安装置は、商用電源を分配する分電盤を有する住宅に、太陽電池アレイが、前記分電盤にパワーコンデシィショナーを介して接続されることにより太陽電池システムが設置されている場合に、該太陽電池システムの前記パワーコンデシィショナーを雷サージから保護するための太陽電池システム用保安装置であって、
前記分電盤内の配線又は前記分電盤と前記パワーコンディショナとの間の配線に接続された商用電源側アレスタと、
前記太陽電池アレイと前記パワーコンディショナとの間に設けられた接続箱内の配線又は該接続箱と前記パワーコンディショナとの間の配線に接続された太陽電池側アレスタとを有し、
前記商用電源側アレスタ及び前記太陽電池側アレスタは、共通のアース線で接地されたことを特徴とする。
【0010】
これにより、パワーコンディショナに接続されている配線を有する分電盤側と太陽電池側から、挟み込むようにしてアレスタを設けることができ、パワーコンディショナを確実に防護することができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明に係る太陽電池システム用保安装置において、
前記商用電源側アレスタ及び前記太陽電池側アレスタは、ともに前記接続箱内に設けられたことを特徴とする。
【0012】
これにより、アレスタを太陽電池システム側の接続箱内に集約して一点接地で設けることができ、太陽電池システムを後付けした場合であっても、省スペースでアレスタを設けることができる。
【0013】
第3の発明は、第2の発明に係る太陽電池システム用保安装置において、
前記商用電源側アレスタ及び前記太陽電池側アレスタの前記共通のアース線への接続点は、前記接続箱内に設けられ、
前記商用電源側アレスタと前記接続点との配線及び前記太陽電池側アレスタと前記接続点との配線の長さは、ともに50cm以内であることを特徴とする。
【0014】
これにより、アレスタと共通アース線との距離を短くすることができ、各アレスタ配線と共通アース線の間で、電位差が生じるのを防ぐことができる。
【0015】
第4の発明は、第1の発明に係る太陽電池システム用保安装置において、
前記商用電源側アレスタは、前記分電盤内に設けられ、
前記太陽電池側アレスタは、前記接続箱内に設けられたことを特徴とする。
【0016】
これにより、分電盤内に既に通常の電気機器用のアレスタが設置されている場合には、既存のアレスタを利用して、太陽電池システムのパワーコンディショナの破壊を防ぐ配線構成とすることができる。
【0017】
第5の発明は、第1の発明に係る太陽電池システム用保安装置において、
前記商用電源用アレス及び前記太陽電池側アレスタの前記共通のアース線は、ともに前記分電盤内に設けられたことを特徴とする。
【0018】
これにより、既に分電盤側にアレスタが設けられている場合には、アレスタのみならずアース線も利用して、分電盤内に太陽電池側のアレスタを設けることが可能となり、住宅状況に合わせたパワーコンディショナの雷サージからの保護が可能となる。
【0019】
第6の発明は、第5の発明に係る太陽電池システム用保安装置において、
前記商用電源側アレスタ及び前記太陽電池側アレスタの前記共通のアース線への接続点は、前記分電盤内に設けられ、
前記商用電源側アレスタと前記接続点との配線及び前記太陽電池側アレスタと前記接続点との配線の長さは、ともに50cm以内であることを特徴とする。
【0020】
これにより、アレスタと共通アース線との配線距離を短くし、配線間で電位差が発生することを防ぐことができる。
【0021】
第7の発明は、第1〜6のいずれかの発明に係る太陽電池システム用保安装置において、
前記共通のアース線は、D種接地により接地されたことを特徴とする。
【0022】
これにより、住宅用に適した接地を行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、太陽電池システムのパワーコンディショナを雷サージから確実に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】太陽電池システム設置前の住宅10の電源システムの一例を示した図である。
【図2】実施例1に係る太陽電池システム用保安装置150の全体構成の一例を示した図である。
【図3】太陽電池システム設置前の住宅10の電源システムの一例を示した図である。
【図4】実施例2に係る太陽電池システム用保安装置151の全体構成の一例を示した図である。
【図5】実施例2の変形例に係る太陽電池システム用保安装置152の全体構成の一例を示した図である。
【図6】実施例3に係る太陽電池システム用保安装置153の全体構成の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
【実施例1】
【0026】
図1は、太陽電池システムを設置していない住宅10の電源システムの一例を示した図である。図1において、電柱20上の配電線21から住宅エリアに商用電源が供給されるようになっている。配電線21からは、柱上変圧器22で100Vに変換され、引込線23を介して各住宅10に商用電源が供給される構成となっている。引込線23は、住宅10内の分電盤40に接続されている。そして、分電盤40に、コンセントを介して電化製品50、51が接続され、分電盤40から各電化製品50、51に電力の分配供給が行われるようになっている。また、引込線23と分電盤40との間には、需要電力用電力量計30が接続されており、需要電力量が測定できるように構成されている。また、分電盤40は、アース線60により、接地されている。図1においては、雷サージ対策用のアレスタ又はSPDと呼ばれる雷サージ保護器は設置されていない。なお、以後、雷サージ保護器を、アレスタと統一的に呼ぶこととするが、本実施例に係るアレスタは、種々の雷サージ保護器を含むものとする。
【0027】
図1に示すように、アレスタは、雷サージ対策用として、各住宅10が任意に設置するものであり、必ずしも総ての住宅10に設置されている訳ではない。実施例1においては、太陽電池システムの設置前に、アレスタが設置されていない場合の住宅10に好適な、太陽電池システム用保安装置について説明する。
【0028】
図2は、本発明の実施例1に係る太陽電池システム用保安装置150の全体構成の一例を示した図である。図2において、住宅10には、太陽電池システム110が新たに設置されている。
【0029】
太陽電池システム110は、太陽電池アレイ80と、太陽電池アレイ配線81と、接続箱90と、パワーコンディショナ100とを有する。太陽電池アレイ80は、複数の太陽電池モジュール70を含む。また、太陽電池システム110が導入されたことに伴い、電力会社に余剰電力を売るための余剰電力用電力量計31が備えられる。
【0030】
一方、本実施例に係る太陽電池システム用保安装置150は、商用電源側アレスタ120と、太陽電池側アレスタ130と、共通アース線61とを備える。
【0031】
太陽電池システム110は、太陽160からの太陽光を受光し、これを電力に変換する電力発生システムである。太陽電池モジュール70は、太陽光を受光し、これを直流電力に変換するための10cm程度の太陽電池セルの数100個の集合体であり、例えば、1辺が1〜2mの大きさを有する。また、太陽電池アレイ80は、太陽電池モジュール70を数10枚繋げて形成したものであり、全体で太陽電池パネルを構成する。
【0032】
太陽電池アレイ80で発生した直流電力は、太陽電池アレイ配線81を介して、接続箱90に送られる。接続箱90は、太陽電池アレイ80からの複数回路からなる直流電力を、1回路にまとめるための手段である。なお、接続箱90は、中継端子箱と呼ばれてもよい。接続箱90で1回路にまとめられた直流電力は、パワーコンディショナ100に送られる。
【0033】
パワーコンディショナ100は、接続箱90から送られてきた直流電力を、住宅10で用いる交流100Vに変換する手段である。よって、パワーコンディショナ100は、変圧器としての機能と、インバータとしての機能を有する。パワーコンディショナ100は、分電盤40に配線101により接続され、分電盤40に交流電力を供給する。
【0034】
また、分電盤40から各電化製品50、51に電力を供給しても余った余剰電力は、余剰電力用電力量計31により電力量が測定され、電力会社に販売される。
【0035】
ここで、太陽電池システム110が住宅10に設置されたことにより、雷サージの侵入路として、太陽電池アレイ配線81が追加されたことになる。雷サージは、商用電源の配電線21及び引込線23、通信用のアンテナ、通信用配線、大地に接続されたアース線等、種々の経路が考えられるが、基本的には、屋外の高所から住宅10内に引き込まれている電気配線が多い。電池アレイ配線81も、屋根を通って住宅10内に引き込まれているため、雷サージを誘発する要因となり得る。そして、太陽電池アレイ配線81からの雷サージは、パワーコンディショナ100を破壊するおそれがある。
【0036】
そこで、本実施例に係る太陽電池システム用保安装置150においては、パワーコンディショナ100の電気的接続経路である配線101、102に、商用電源側アレスタ120と、太陽電池側アレスタ130とを各々接続している。これにより、パワーコンディショナ100の接続経路には総て雷サージ対策用のアレスタ120、130が設けられ、パワーコンディショナ100を確実に保護することができる。つまり、商用電源側アレスタ120は、商用電源側の配線である配電線21や引込線23から誘導される雷サージを、アース線61を用いて大地に流すことにより、パワーコンデショショナ100を防護することができる。同様に、太陽電池側アレスタ130は、太陽電池アレイ配線81から誘導される雷サージを、アース線61を用いて大地に流すことにより、パワーコンデショショナ100を防護することができる。
【0037】
また、商用電源側アレスタ120と太陽電池側アレスタ130とは、接続点65で共通してアース線61に接続されている。雷サージに対しては、複数のアレスタ120、130を設置するとともに、これらの協調をとることが好ましい。特に、接地の共通化(ボンディング)は重要であり、接地を等電位とすることにより、複数のアレスタ120、130間に電位差が生じる事態を防ぐことができる。なお、共通のアース線61は、例えば、D種接地工事の基準に従って、接地工事が行われてもよい。住宅10用として、用途に合ったレベルの工事を行うことができる。
【0038】
なお、商用電源側アレスタ120及び太陽電池側アレスタ130は、ともに接続箱90内に設けられている。これにより、太陽電池システム110の設置に伴い、新たに設ける商用電源側アレスタ120及び太陽電池側アレスタ130を、やはり新たに設ける接続箱90内に設けるので、商用電源側アレスタ120及び太陽電池側アレスタ130を外付けする必要が無く、省スペース化を図ることができる。図1において説明したように、分電盤40に、当初からアレスタが設けられていない場合には、分電盤40内に新たにアレスタを設けるスペースが無い場合が多い。そのような場合であっても、本実施例に係る太陽電池システム用保安装置150によれば、新たに設ける接続箱90内に商用電源側アレスタ120も設置するので、既存の分電盤40に無理な変更を加えることなくパワーコンディショナ100用の商用電源側アレスタ120を設置することができる。
【0039】
また、本実施例に係る太陽電池システム用保安装置150においては、共通のアース線61への接続点65も、接続箱90内に設けられている。接続箱90内でボンディングを行うことにより、商用電源側アレスタ120と共通のアース線61への接続点65との配線の長さと、太陽電池側アレスタ130と共通のアース線61への接続点65との配線の長さを短くすることができる。アレスタ120、130と共通アース線61との間の配線の長さは、短ければ短い程、電位差が生じ難く好ましい。例えば、商用電源側アレスタ120及び太陽電池側アレスタ130と接続点65の間の配線は、50cm以下であることが好ましい。接続点65も、商用電源側アレスタ120及び太陽電池側アレスタ130と同様に接続箱90内に設けることにより、アレスタ120、130の共通のアース線61への接続配線の長さを容易に50cm以内とすることができ、雷サージ対策としても好ましい構成とすることができる。
【0040】
このように、実施例1に係る太陽電池システム用保安装置150によれば、新たに設ける接続箱90内に商用電源側アレスタ120及び太陽電池側アレスタ130の双方を設けるので、設置工事を容易にすることができる。また、商用電源側アレスタ120及び太陽電池側アレスタ130と共通のアース線61との接続配線の距離を短くし、50cm以内とすることができるので、雷サージ対策を効果的に行うことができる。
【実施例2】
【0041】
図3は、太陽電池システム設置前の住宅10の電源システムの一例を示した図である。図3において、分電盤40内に、商用電源側アレスタ121が設けられている点で、図1と異なっている。他の構成要素については、図1と同様の構成であるので、同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0042】
図3に示すように、太陽電池システム110の設置前において、分電盤40内に、雷サージ対策用の商用電源側アレスタ121が設けられている場合がある。また、商業電源側アレスタ121は、アース線60により接地されている。アース線60は、例えば、D種接地工事により接地が行われていてよい。このような場合、分電盤40に接続された電化製品50、51に対して、商用電源側、つまり配電線21及び引込線23から誘導される雷サージについては、既に防護対策ができていることになる。
【0043】
図4は、実施例2に係る太陽電池システム用保安装置151の全体構成の一例を示す図である。図4において、住宅10に太陽電池システム110が設置されているが、太陽電池システム110自体は、実施例1において説明した太陽電池システム110と同様であるので、同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0044】
実施例2に係る太陽電池システム用保安装置151は、商用電源側アレスタ121と、太陽電池側アレスタ131と、共通のアース線62とを構成要素として備えている点では、実施例1に係る太陽電池システム用保安装置150と共通する。
【0045】
しかしながら、実施例2に係る太陽電池システム用保安装置151は、商用電源側アレスタ121が、分電盤40内に設けられている点で、商用電源側アレスタ120及び太陽電池側アレスタ130の双方が接続箱90内に設けられていた実施例1に係る太陽電池止システム用保安装置と異なっている。
【0046】
実施例2に係る太陽電池システム用保安装置151は、商用電源側アレスタ121については、太陽電池システム110設置前と同様に、分電盤40内に設けられた状態となっており、パワーコンディショナ100に配線101を介して接続されている。つまり、実施例2に係る太陽電池システム151は、太陽電池システム110設置前に分電盤40内に設けられていた商用電源側アレスタ121を、そのまま利用する。これにより、太陽電池システム110の住宅10への設置により、新たな雷サージの保護対象となるパワーコンディショナ100が加わっても、商用電源側の配電線21及び引込線23から誘導される雷サージに対し、既存の商用電源側アレスタ121を利用してそのままパワーコンディショナ100を保護することができる。
【0047】
一方、太陽電池側アレスタ131は、太陽電池システム110の端子箱90内に設置され、配線102でパワーコンディショナ100に接続されている。太陽電池側アレスタ131は、太陽電池システム110の導入に伴い、新たに設置されるので、太陽電池システム110内の接続箱90内に設置して、省スペース化を図っている。太陽電池システム110の導入に伴い、太陽電池側アレスタ131を設けることにより、太陽電池アレイ配線81から侵入する雷サージから、パワーコンディショナ100を保護することができる。
【0048】
また、太陽電池側アレスタ131及び商用電源側アレスタ121は、ともに共通のアース線62に、接続点66で接続されている。太陽電池側アレスタ131は、共通のアース線62に直接的に接続されており、商用電源側アレスタ121は、パワーコンディショナ100を介して共通のアース線62に接続されている。太陽電池側アレスタ131及び商用電源側アレスタ121は、共通のアース線62に接続され、1点接地されているので、太陽電池側アレスタ131と商用電源側アレスタ121とを等電位に保つことができ、雷サージを確実に大地に流すことができる。
【0049】
このように、分電盤40に、電化製品50、51を保護するための商用電源側アレスタ121が太陽電池システム110の設置前から設けられている場合には、これをパワーコンディショナ100の商用電源側アレスタ121としてそのまま利用し、太陽電池側についてのみ、太陽電池側アレスタ131を新たに接続箱90に設けるようにしてもよい。これにより、工事の手間及びコストを低減させるとともに、パワーコンディショナ100の雷サージからの保護も適切に行うことができる。
【0050】
図5は、実施例2の変形例に係る太陽電池システム用保安装置152の全体構成の一例を示した図である。図4においては、共通のアース線62を、太陽電池システム110の導入に伴い設置した接続箱90側に設けていた。しかしながら、図5の実施例2の変形例に係る太陽電池システム用保安装置152においては、共通のアース線63を、分電盤40側に設けている。そして、共通のアース線63には、商用電源側アレスタ121が直接的に接続点67において接続され、太陽電池側アレスタ131がパワーコンディショナ100を介して接続点67に接続され、接地の共通化が図られている。
【0051】
実施例2の変形例に係る太陽電池システム用保安装置152においては、太陽電池システム110の設置前に、図3において示されていたアース線60を、そのまま共通のアース線63として利用している。これにより、共通のアース線63についても、太陽電池システム110設置前のアース線60を有効利用することができ、更なる工事労力の簡略化と、工事コストの低減を図ることができる。
【0052】
このように、実施例2に係る太陽電池システム用保安装置151によれば、分電盤40内にある既存の商用電源側アレスタ121を、そのままパワーコンディショナ100用の商業電源側の雷サージからの防護用に利用しつつ、太陽電池側の雷サージ対策については、接続箱90内に太陽電池側アレスタ131を設置するので、最小限の工事で、適切にパワーコンディショナ100を防護することができる。
【実施例3】
【0053】
図6は、本発明の実施例3に係る太陽電池システム用保安装置153の全体構成の一例を示した図である。図6において、太陽電池システム110の構成は、今までの説明と同様であるので、同一の構成要素には同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0054】
実施例3に係る太陽電池システム用保安装置153は、商用電源側アレスタ122と、太陽電池側アレスタ132と、共通のアース線64を構成要素として備えている点では、今までの実施例1及び実施例2と同様である。
【0055】
実施例3に係る太陽電池システム用保安装置153においては、商用電源側アレスタ122及び太陽電池側アレスタ132の双方が、分電盤40内に設けられ、分電盤40内で共通のアース線64に接続されている点で、実施例1及び実施例2と異なる。
【0056】
このように、太陽電池システム用保安装置153を、商用電源側アレスタ122及び太陽電池側アレスタ132を、ともに分電盤40内に設置して構成してもよい。例えば、太陽電池システム110の設置前に、図3で示したような、分電盤40内に商用電源用アレスタ121が設置されている場合には、これをそのまま分電盤40内に残して、配線101を設けてパワーコンディショナ100に接続するようにすれば、パワーコンディショナ100防護用の商用電源側アレスタ122としても利用することができる。商用電源側アレスタ122は、電化製品50、51とともに、パワーコンディショナ100について、商用電源側の配電線21又は引込線23から侵入する雷サージを、共通のアース線64に流すことにより保護する。
【0057】
一方、太陽電池側アレスタ132は、分電盤40内に設けられ、一端が配線102によりパワーコンディショナ100に接続され、他端が共通のアース線64に接続されている。よって、接続関係は、実施例1及び実施例2と同様であり、太陽電池アレイ配線81から侵入した雷サージを、共通のアース線64を通じて大地に流すことにより、太陽電池側の雷サージからパワーコンディショナ100を保護することができる。分電盤40内に、新たに太陽電池側アレスタ132を設けるスペースがあれば、このように、分電盤40内に新たに太陽電池側アレスタ132を追加して設けるようにしてもよい。
【0058】
また、実施例3に係る太陽電池システム用保安装置153においては、商用電源側アレスタ122及び太陽電池側アレスタ132が、共通のアース線64に、分電盤40内にある接続点68で接続されている。これにより、商用電源側アレスタ122から共通のアース線64までの配線の長さ及び太陽電池側アレスタ132から共通のアース線64までの配線の長さを短くすることができる。例えば、双方の配線とも、50cm以内とすることができ、これにより、商用電源側アレスタ122と太陽電池側アレスタ132との電位差を極めて小さくすることができ、大きな雷サージが侵入しても、パワーコンディショナ100側に電流を流すことを防ぎ、確実に共通のアース線64から大地側に流すことができる。
【0059】
なお、共通のアース線64は、図3において示したアース線60をそのまま共通のアース線64として利用することができる。これにより、更なる工事の簡略化と低コスト化が可能となる。
【0060】
このように、実施例3に係る太陽電池システム用保安装置153によれば、太陽電池システム110設置前から分電盤40内に設けられた商用電源側アレスタ121及びアース線60を利用して、容易に設置工事を行うことができるとともに、共通のアース線64と商業用アレスタ122及び太陽電池側アレスタ132との配線長さを短くでき、確実にパワーコンディショナ100を保護することができる。
【0061】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0062】
特に、実施例1〜3においては、太陽電池システム110設置前の状態を考慮して、太陽電池システム用保安装置150〜153を設ける例を挙げて説明したが、太陽電池システム110の設置前の状態とは関係無く、用途に応じて適切な太陽電池システム用保安装置150〜153を設けるようにしてもよい。例えば、太陽電池システム110の設置前に、商用電源側アレスタ121が設置されていない場合には、実施例1〜3の総ての構成を容易に採り得るし、逆に、商用電源用アレスタ121が予め設置されていたとしても、より高性能の商用電源アレスタ120を用いて、実施例1のような構成とする工事を行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、太陽電池システム用の雷サージ防護のための保安装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0064】
10 住宅
20 電柱
21 配電線
22 柱上変圧器
23 引込線
30 需要電力用電力量計
31 余剰電力用電力量計
40 分電盤
50、51 電化製品
60 アース線
61、62、63、64 共通のアース線
65、66、67、68 接続点
70 太陽電池モジュール
80 太陽電池アレイ
81 太陽電池アレイ配線
90 接続箱
100 パワーコンディショナ
101、102 配線
110 太陽電池システム
120、121、122、123 商用電源側アレスタ
130、131、132、133 太陽電池側アレスタ
150、151、152、153 太陽電池システム用保安装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源を分配する分電盤を有する住宅に、太陽電池アレイが、前記分電盤にパワーコンディショナを介して接続されることにより太陽電池システムが設置されている場合に、該太陽電池システムの前記パワーコンディショナを雷サージから保護するための太陽電池システム用保安装置であって、
前記分電盤内の配線又は前記分電盤と前記パワーコンディショナとの間の配線に接続された商用電源側アレスタと、
前記太陽電池アレイと前記パワーコンディショナとの間に設けられた接続箱内の配線又は該接続箱と前記パワーコンディショナとの間の配線に接続された太陽電池側アレスタとを有し、
前記商用電源側アレスタ及び前記太陽電池側アレスタは、共通のアース線で接地されたことを特徴とする太陽電池システム用保安装置。
【請求項2】
前記商用電源側アレスタ及び前記太陽電池側アレスタは、ともに前記接続箱内に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池システム用保安装置。
【請求項3】
前記商用電源側アレスタ及び前記太陽電池側アレスタの前記共通のアース線への接続点は、前記接続箱内に設けられ、
前記商用電源側アレスタと前記接続点との配線及び前記太陽電池側アレスタと前記接続点との配線の長さは、ともに50cm以内であることを特徴とする請求項2に記載の太陽電池システム用保安装置。
【請求項4】
前記商用電源側アレスタは、前記分電盤内に設けられ、
前記太陽電池側アレスタは、前記接続箱内に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池システム用保安装置。
【請求項5】
前記商用電源用アレス及び前記太陽電池側アレスタの前記共通のアース線は、ともに前記分電盤内に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池システム用保安装置。
【請求項6】
前記商用電源側アレスタ及び前記太陽電池側アレスタの前記共通のアース線への接続点は、前記分電盤内に設けられ、
前記商用電源側アレスタと前記接続点との配線及び前記太陽電池側アレスタと前記接続点との配線の長さは、ともに50cm以内であることを特徴とする請求項5に記載の太陽電池システム用保安装置。
【請求項7】
前記共通のアース線は、D種接地により接地されたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の太陽電池システム用保安装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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