説明

太陽電池モジュールの製造方法、太陽電池モジュール、製造装置、および、刃部材

【課題】太陽電池セルを樹脂封止する樹脂封止部からはみ出した封止樹脂の樹脂残りによる外形不良の発生を防止できる太陽電池モジュールの製造方法、この製造方法によって製造された太陽電池モジュール、この太陽電池モジュールを製造する製造装置、および、この太陽電池モジュールを製造するときに適用される刃部材を提供する。
【解決手段】太陽電池モジュール1は、第1面2fおよび第2面2sを有する太陽電池セル2と、第1面2fに対向して配置された第1保護基板4と、第2面2sに対向して配置された第2保護基板5と、第1保護基板4および第2保護基板5の間で太陽電池セル2を封止する樹脂封止部6とを備える。樹脂封止部6は、端部6tが内側に向けて凹状とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池セルを封止する樹脂封止部を2つの保護基板の間に備えた太陽電池モジュールの製造方法、その製造方法で製造された太陽電池モジュール、その太陽電池モジュールを製造する製造装置、および、太陽電池モジュールの樹脂封止部からはみ出した封止樹脂を除去する刃部材に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光を光電変換して電気エネルギーを発生させる装置として太陽電池(太陽電池セル)が知られている。クリーンエネルギーを発生させる太陽電池セルを多数接続して太陽電池モジュールを形成し、環境対策とすることが提案されている。
【0003】
太陽電池セルは、受光面の側に透光性基板を配置し、周囲を樹脂封止して耐環境性を向上させて信頼性を確保している。太陽電池セルを樹脂封止するとき、封止樹脂が透光性基板の周囲に流出することから外観形状を整えるためにいくつかの技術が提案されている。
【0004】
表面保護部材、封止部材、太陽電池セル、封止部材、裏面保護部材を積層して積層構造体を形成した後、積層構造体にラミネート処理を施して樹脂封止することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1の技術では、積層構造体の周囲を耐熱性シートで覆うことによってラミネート処理を施すときに流出する封止樹脂の流出を防止している。
【0005】
また、モジュール基板の一面側に光電変換要素を形成し、光電変換要素を保護する封止部材を形成して光電変換モジュールとし、モジュール基板の周囲にはみ出した封止部材の余剰部を除去するトリミング方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
特許文献2の技術では、モジュール基板として、例えばガラス板が適用される。ガラス基板は、寸法公差があることから、エッジ部にはみ出した封止樹脂の除去は、容易ではなく、大掛かりな装置が必要となっていた。また、エッジ部にはみ出した封止樹脂の除去は、人手に頼る場合もあり、作業性などの問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−272376号公報
【特許文献2】特開2001−320069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、はみ出した封止樹脂を除去するはみ出し樹脂除去工程において、凸状に湾曲した刃先部(刃部材)を第1保護基板の外周端および第2保護基板の外周端に沿わせて走行させることによって、はみ出した封止樹脂を樹脂残りが生じないように確実に除去して樹脂残りによる外形不良の発生を防止できる太陽電池モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法で製造された太陽電池モジュールであって、太陽電池セルを封止樹脂で封止する樹脂封止部の外形を凹状に整えることから、封止樹脂のはみ出しによる第1保護基板および第2保護基板の端面、樹脂封止部の端部での外形不良を防止することができる太陽電池モジュールを提供することを他の目的とする。
【0010】
また、本発明は、本発明に係る太陽電池モジュールを製造する製造装置であって、封止樹脂を除去する刃部材を保持する刃保持部と、刃保持部の走行を制御する走行制御部と、第1保護基板および第2保護基板に刃部材を沿わせる弾性押圧部を備えることから、第1保護基板と第2保護基板の間に形成された樹脂封止部からはみ出した封止樹脂を生産性良く確実に除去することができる製造装置を提供することを他の目的とする。
【0011】
また、本発明は、本発明に係る太陽電池モジュールの樹脂封止部からはみ出した封止樹脂を除去する刃部材であって、板状の基体部と、基体部の一端面に形成され凸状に湾曲した刃先部とを備えることから、太陽電池モジュールの第1保護基板および第2保護基板が例えば寸法公差などによって位置ズレを生じた場合でも、第1保護基板(外周端)および第2保護基板(外周端)へ刃先部を沿わせる(当接させる)ので、はみ出した封止樹脂を確実に除去することができる刃部材を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法は、第1面および第2面を有する太陽電池セルと、前記第1面に対向して配置された第1保護基板と、前記第2面に対向して配置された第2保護基板と、前記第1保護基板および前記第2保護基板の間で前記太陽電池セルを封止する樹脂封止部とを備えた太陽電池モジュールの製造方法であって、前記第1保護基板および前記第2保護基板の間に位置する前記太陽電池セルを封止樹脂で封止して前記樹脂封止部を形成する樹脂封止工程と、前記樹脂封止工程において前記第1保護基板および前記第2保護基板の間からはみ出した前記封止樹脂を除去するはみ出し樹脂除去工程とを備え、前記はみ出し樹脂除去工程において、凸状に湾曲した刃先部を有する刃部材を前記第1保護基板の外周端および前記第2保護基板の外周端に沿わせて走行させることを特徴とする。
【0013】
したがって、本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法は、相互に対向する第1保護基板の外周端および第2保護基板の外周端の双方に、凸状に湾曲した刃先部を有する刃部材を沿わせて走行させるので、第1保護基板の端面および第2保護基板の端面が寸法公差によって位置ズレしている場合でも、はみ出した封止樹脂を樹脂残りが生じないように確実に切り取って樹脂残りによる外形不良の発生を防止することができる。
【0014】
本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法では、前記刃先部の両端間の長さは、前記樹脂封止部の厚さより大きいことを特徴とする。
【0015】
したがって、本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法は、第1保護基板および第2保護基板の両方(両方の外周端)に渡って刃先部を当接させることが可能となり、樹脂封止部からはみ出した封止樹脂をより確実に切り取ることができる。
【0016】
本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法では、前記樹脂封止工程の前に、前記第1保護基板および前記第2保護基板のそれぞれの端面にマスキングテープを貼り付けるテープ貼り付け工程を備えることを特徴とする。
【0017】
したがって、本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法は、はみ出した封止樹脂を第1保護基板および第2保護基板のそれぞれの端面ではなく、マスキングテープの表面に誘導することから、マスキングテープを除去することによってはみ出した封止樹脂を効率よく同時に除去できるので第1保護基板の端面および第2保護基板の端面での汚れをより確実に防止することができる。
【0018】
本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法では、前記はみ出し樹脂除去工程において、前記第1保護基板および前記第2保護基板の各辺の中央部から端部に向かう方向で前記刃部材を走行させることを特徴とする。
【0019】
したがって、本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法は、第1保護基板および第2保護基板の角部での封止樹脂の残りを確実に低減することができる。
【0020】
本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法では、前記樹脂封止工程において、前記第1保護基板を配置する第1保護基板配置工程と、前記封止樹脂で形成された第1封止樹脂膜を前記第1保護基板に重ねて配置する第1封止樹脂膜配置工程と、前記第1封止樹脂膜に重ねて前記太陽電池セルを配置するセル配置工程と、前記封止樹脂で形成された第2封止樹脂膜を前記太陽電池セルに重ねて配置する第2封止樹脂膜配置工程と、前記第2封止樹脂膜に重ねて前記第2保護基板を配置する第2保護基板配置工程とを備えることを特徴とする。
【0021】
したがって、本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法は、太陽電池セルの両面に樹脂封止部(第1封止樹脂膜、第2封止樹脂膜)を配置し、樹脂封止部の外側に第1保護基板および第2保護基板を配置した例えば合せガラス形態の太陽電池モジュールを容易に製造することができる。
【0022】
本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法では、前記樹脂封止工程において、前記樹脂封止部を形成する前に、前記第1保護基板の外側表面の端部と前記第2保護基板の外側表面の端部との間に渡って前記封止樹脂を覆う樹脂止め膜を配置することを特徴とする。
【0023】
したがって、本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法は、樹脂封止工程で第1保護基板および第2保護基板の間からはみ出す封止樹脂が必要以上に流出することを樹脂止め膜で防止するので、第1保護基板および第2保護基板の間に形成される樹脂封止部の樹脂不足を防止することができる。
【0024】
本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法では、前記樹脂封止工程は、加熱状態の下で、前記第1保護基板および前記第2保護基板を介して前記封止樹脂へ圧力を印加してなされることを特徴とする。
【0025】
したがって、本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法は、樹脂封止工程で第1保護基板、第2保護基板、太陽電池セル、樹脂封止部に対するラミネート処理を施すので、信頼性、生産性を向上させることができる。
【0026】
本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法では、前記第1保護基板は白板ガラスであり、前記第2保護基板は青板ガラスであり、前記太陽電池セルの受光面は前記白板ガラスの側に位置していることを特徴とする。
【0027】
したがって、本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法は、合せガラス形態の太陽電池モジュールを容易に製造することができる。
【0028】
本発明に係る太陽電池モジュールは、本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法で製造された太陽電池モジュールであって、前記樹脂封止部は、端部が内側に向けて凹状とされていることを特徴とする。
【0029】
したがって、本発明に係る太陽電池モジュールは、第1保護基板と第2保護基板との間に充填されて太陽電池セルを封止樹脂で封止する樹脂封止部の外形を凹状に整えることから、封止樹脂のはみ出しによる第1保護基板および第2保護基板の端面、樹脂封止部の端部での外形不良を防止することができる。
【0030】
本発明に係る太陽電池モジュールを製造する製造装置は、第1面および第2面を有する太陽電池セルと、前記第1面に対向して配置された第1保護基板と、前記第2面に対向して配置された第2保護基板と、前記第1保護基板および前記第2保護基板の間で前記太陽電池セルを封止樹脂で封止する樹脂封止部とを備えた太陽電池モジュールを製造する製造装置であって、前記樹脂封止部からはみ出した前記封止樹脂を切り取る刃部材を保持する刃保持部と、前記刃保持部の走行を制御する走行制御部とを備え、前記刃保持部は、前記第1保護基板および前記第2保護基板に前記刃部材を沿わせる弾性押圧部を備えることを特徴とする。
【0031】
したがって、本発明に係る太陽電池モジュールを製造する製造装置は、第1保護基板と第2保護基板の間に形成された樹脂封止部からはみ出した封止樹脂を生産性良く確実に切り取ることができる。
【0032】
本発明に係る刃部材は、第1面および第2面を有する太陽電池セルと、前記第1面に対向して配置された第1保護基板と、前記第2面に対向して配置された第2保護基板と、前記第1保護基板および前記第2保護基板の間で前記太陽電池セルを封止樹脂で封止する樹脂封止部とを備えた太陽電池モジュールの前記樹脂封止部からはみ出した前記封止樹脂を切り取る刃部材であって、前記第1保護基板および前記第2保護基板の積層方向に沿う長さ方向、前記長さ方向と交差する幅方向、および板厚方向を有する基板部と、前記長さ方向で前記基板部の中間領域に形成された刃先部とを備え、前記刃先部は、凸状に湾曲していることを特徴とする。
【0033】
したがって、本発明に係る刃部材は、太陽電池モジュールの第1保護基板および第2保護基板が例えば寸法公差などによって位置ズレを生じた場合でも、第1保護基板(外周端)および第2保護基板(外周端)へ刃先部を沿わせる(当接させる)ことができるので、はみ出した封止樹脂を確実に切り取ることができる。
【0034】
本発明に係る刃部材は、前記中間領域で前記基板部を前記板厚方向の一方に向けて凸状に湾曲させた湾曲部を備え、前記刃先部は、前記湾曲部の前記長さ方向に沿う端に形成されていることを特徴とする。
【0035】
したがって、本発明に係る刃部材は、第1保護基板および第2保護基板の間からはみ出した封止樹脂を高精度に切り取ることができる。
【0036】
本発明に係る刃部材は、前記中間領域で前記基板部を前記幅方向の一方に突出させて凸状に湾曲させた湾曲部を備え、前記刃先部は、前記湾曲部の端に形成されていることを特徴とする。
【0037】
したがって、本発明に係る刃部材は、第1保護基板および第2保護基板の間からはみ出した封止樹脂を高精度に切り取ることができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法は、樹脂封止工程と、樹脂封止工程において第1保護基板および第2保護基板の間からはみ出した封止樹脂を除去するはみ出し樹脂除去工程とを備え、はみ出し樹脂除去工程において、凸状に湾曲した刃先部を有する刃部材を第1保護基板の外周端および第2保護基板の外周端に沿わせて走行させることから、相互に対向する第1保護基板の外周端および第2保護基板の外周端の双方に、凸状に湾曲した刃先部を有する刃部材を沿わせて走行させるので、第1保護基板の端面および第2保護基板の端面が寸法公差によって位置ズレしている場合でも、はみ出した封止樹脂を樹脂残りが生じないように確実に切り取って樹脂残りによる外形不良の発生を防止することができるという効果を奏する。
【0039】
本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法で製造された太陽電池モジュールは、樹脂封止部が、端部が内側に向けて凹状とされているので、第1保護基板と第2保護基板との間に充填されて太陽電池セルを封止樹脂で封止する樹脂封止部の外形を凹状に整えることから、封止樹脂のはみ出しによる第1保護基板および第2保護基板の端面、樹脂封止部の端部での外形不良を防止することができるという作用効果を奏する。
【0040】
本発明に係る太陽電池モジュールを製造する製造装置は、樹脂封止部からはみ出した封止樹脂を切り取る刃部材を保持する刃保持部と、刃保持部の走行を制御する走行制御部とを備え、刃保持部は、第1保護基板および第2保護基板に刃部材を沿わせる弾性押圧部を備えることから、第1保護基板と第2保護基板の間に形成された樹脂封止部からはみ出した封止樹脂を生産性良く確実に切り取ることができるという作用効果を奏する。
【0041】
本発明に係る刃部材は、本発明に係る太陽電池モジュールの樹脂封止部からはみ出した封止樹脂を切り取る刃部材であって、基板部と、凸状に湾曲している刃先部とを備えることから、太陽電池モジュールの第1保護基板および第2保護基板が例えば寸法公差などによって位置ズレを生じた場合でも、第1保護基板(外周端)および第2保護基板(外周端)へ刃先部を沿わせる(当接させる)ことができるので、はみ出した封止樹脂を確実に切り取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュールの概略断面形状を示す断面図である。
【図2A】本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造方法において、マスキングテープを端面(端面)に貼り付けて準備した第1保護基板(第2保護基板)の状態を示す斜視図である。
【図2B】本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造方法において、第1保護基板の外側表面を覆って(図2C参照)更に第2保護基板の外側表面まで届く大きさとされた樹脂止め膜(図2E参照)を積層台に配置した状態を断面で示す断面図である。
【図2C】本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造方法において、第1保護基板の外側表面の端部を位置合わせして積層台に配置した状態を断面で示す断面図である。
【図2D】本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造方法において、第1保護基板に第1封止樹脂膜、太陽電池セル、第2封止樹脂膜、第2保護基板を順次重ねて配置した状態を断面で示す断面図である。
【図2E】本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造方法において、第1保護基板の外側表面から第2保護基板の外側表面の端部までに渡って樹脂止め膜を配置し第1封止樹脂膜、第2封止樹脂膜を覆った状態を断面で示す断面図である。
【図2F】本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造方法において、真空ラミネータで第1封止樹脂膜、第2封止樹脂膜に対して加熱加圧による真空ラミネート処理を施したときに第1保護基板および第2保護基板の間の樹脂封止部から封止樹脂がはみ出した状態を模式的に断面で示す断面図である。
【図2G】本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造方法において、真空ラミネート処理の後、樹脂止め膜をはく離した状態を断面で示す断面図である。
【図2H】本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造方法において、第1保護基板および第2保護基板の間の樹脂封止部からはみ出した封止樹脂を刃先部(刃部材)によって切り取る状態を模式的に要部断面で示す要部断面図である。
【図2J】本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造方法において、封止樹脂を除去した後の状態を断面で示す要部断面図である。
【図3A】本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造方法において、はみ出した封止樹脂を切り取るときの刃部材(刃先部)の走行状態を平面的に示す平面図である。
【図3B】図3Aにおいて、はみ出した封止樹脂の一部を切り取った状態での刃部材(刃先部)の走行状態を平面的に示す平面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造方法において、第1保護基板と第2保護基板との間に位置ズレがあるときの凸状に湾曲した刃先部の作用を要部断面で示す要部断面図である。
【図5A】本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造方法に適用される刃部材(刃先部)の概要を示す斜視図である。
【図5B】図5Aに示した刃部材の刃先部を側面から見た状態を示す側面図である。
【図5C】図5Bの矢符C−Cでの湾曲部、刃先部の断面状態を示す断面図である。
【図5D】図5Aに示した刃部材の基板部を正面から見た正面図である。
【図5E】本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造方法に適用される刃部材(刃先部)の平面状態を示す平面図である。
【図5F】図5Eの矢符F−Fでの刃部材(刃先部)の断面状態を示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュールの製造方法を実行するときに適用される太陽電池モジュールを製造する製造装置の概略構成を概念的に示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態について図1ないし図6を参照して説明する。
【0044】
図1を参照して、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1の概略形状について説明する。
【0045】
図1は、本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュール1の概略断面形状を示す断面図である。
【0046】
本実施の形態に係る太陽電池モジュール1は、第1面2fおよび第2面2sを有する太陽電池セル2と、第1面2fに対向して配置された第1保護基板4と、第2面2sに対向して配置された第2保護基板5と、第1保護基板4および第2保護基板5の間で太陽電池セル2を封止する樹脂封止部6とを備える。
【0047】
第1保護基板4、第2保護基板5は、透光性を有しており、例えばガラス板で構成される。太陽電池セル2の受光面に対応する側のみを透光性とすることも可能である。例えば、第1保護基板4が受光面側に配置されるときは、第1保護基板4のみを透光性とすることができる。
【0048】
太陽電池セル2は、例えば結晶系太陽電池、薄膜太陽電池など各種の太陽電池が適用される。また、太陽電池セル2の受光面(第1面2f)に第1保護基板4を対向させて配置する場合、第1保護基板4に太陽電池セル2が直接形成(例えば、薄膜太陽電池を第1保護基板4に積層して形成)されていても良い。
【0049】
太陽電池セル2の受光面側に第1保護基板4を配置する場合、第1保護基板4は白板ガラス、第2保護基板5は青板ガラスとすることができる。つまり、太陽電池セル2の受光面は白板ガラスの側に位置する。白板ガラスは、青板ガラスに比較して光の透過率が高いことから、太陽電池セル2の受光面に対向する側に配置される。太陽電池セル2を白板ガラスに直接形成して薄膜太陽電池とすることもできる。第1保護基板4、第2保護基板5の平面形状は、例えば、1m×1.4m程度とし、厚さは、数mmないし5mm程度とすることができるが、必要に応じた平面形状および厚さとすることができる。
【0050】
なお、太陽電池セル2の厚さは、素子構造によって異なるが、通常は数mm程度である。
【0051】
樹脂封止部6(封止樹脂6r)は、通常EVA(エチレン・ビニル・アセテート/エチレン・酢酸ビニル共重合)樹脂で形成される。樹脂封止部6の厚さは、ガラス板と同様適宜の厚さとすることができる。太陽電池セル2を信頼性良く樹脂封止することができる厚さであれば良い。
【0052】
本実施の形態では、第1保護基板4と第2保護基板5との間を封止樹脂6rで充填することによって、太陽電池セル2を樹脂封止している。封止樹脂6rで太陽電池セル2を樹脂封止するとき、樹脂封止部6への気泡の残留を抑制するため、気泡が残留しない程度に封止樹脂6rを樹脂封止部6の端部6tから外側へ流出させる。外側へ流出した封止樹脂6rを湾曲した刃先部32を有する刃部材30(図2H、図4参照)で削除することから、樹脂封止部6は、端部6tが内側に向けて凹状とされている。
【0053】
したがって、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1は、第1保護基板4と第2保護基板5との間に充填されて太陽電池セル2を封止樹脂6rで封止する樹脂封止部6の外形(端部6t)を凹状に整えることから、封止樹脂6rのはみ出しによる第1保護基板4および第2保護基板5の端面(端面4c、端面5c)での外形不良、樹脂封止部6の端部6tでの外形不良を防止することができる。
【0054】
図2Aないし図3Bを参照して、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1を製造する太陽電池モジュールの製造方法について工程を追って順次説明する。
【0055】
図2Aは、本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュール1の製造方法において、マスキングテープ8を端面4c(端面5c)に貼り付けて準備した第1保護基板4(第2保護基板5)の状態を示す斜視図である。
【0056】
太陽電池モジュール1を構成する第1保護基板4の端面4cにマスキングテープ8を貼り付ける。また、同じく太陽電池モジュール1を構成する第2保護基板5の端面5cにマスキングテープ8を貼り付ける。第1保護基板4、第2保護基板5のいずれにおいても同様な状態となるので、図では、両方の形状を1つの図で示している。
【0057】
マスキングテープ8を予め貼り付けておくのは、樹脂封止部6を形成するとき(図2F参照)に使用する封止樹脂6rが端面4c、端面5cに付着することを防止するためである。上述したとおり、第1保護基板4は、例えば白板ガラスで構成され、第2保護基板5は、例えば青板ガラスで構成される。なお、以下では、完成前の状態を含めて太陽電池モジュール1とすることがある。
【0058】
つまり、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1の製造方法では、樹脂封止工程(図2F参照)の前に、第1保護基板4および第2保護基板5のそれぞれの端面4c、端面5cにマスキングテープ8を貼り付けるテープ貼り付け工程を備える。
【0059】
したがって、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1の製造方法は、はみ出した封止樹脂6rr(図2F参照)を第1保護基板4および第2保護基板5のそれぞれの端面4c、端面5cではなく、マスキングテープ8の表面に誘導することから、マスキングテープ8を除去することによってはみ出した封止樹脂6rrを効率よく同時に除去できるので第1保護基板4の端面4cおよび第2保護基板5の端面5cでの汚れ(封止樹脂6rrの付着)をより確実に防止することができる。
【0060】
マスキングテープ8の厚さは、例えば、約30μm〜100μm程度が好ましい。厚すぎると刃先部32(図2H参照)を高精度に第1保護基板4および第2保護基板5へ沿わせる(当接する)ことができない虞がある。また、薄すぎると強度を確保することができず、はみ出した封止樹脂6rrによって剥がされ、封止樹脂6r(封止樹脂6rr)が第1保護基板4(端面4c)、第2保護基板5(端面5c)に接着する虞がある。
【0061】
マスキングテープの素材としては、シリコーン系粘着材を塗布したポリイミドフィルムなどを適用することができる。ポリイミドフィルムは、絶縁性、耐熱性にすぐれ、真空ラミネータでの加熱、加圧に対して十分なマスキングを行うことができる。
【0062】
図2Bは、本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュール1の製造方法において、第1保護基板4の外側表面4sを覆って(図2C参照)更に第2保護基板5の外側表面5sまで届く大きさとされた樹脂止め膜9(図2E参照)を積層台20に配置した状態を断面で示す断面図である。
【0063】
なお、積層台20は、後の工程である樹脂封止工程が実行される真空ラミネータ(不図示)のラミネータ基台21(図2F参照)へ太陽電池モジュール1を容易に移動させるため台車とされている。台車とすることによって積層工程から真空ラミネータへの導入作業での作業性を向上させることができる。
【0064】
本実施の形態では、真空ラミネータを適用して樹脂封止部6を形成する(図2F参照)ことから、真空ラミネータが備えるラミネータ基台21(図2F参照)へ太陽電池モジュール1を移す前に太陽電池モジュール1を構成する部材(第1保護基板4、第1封止樹脂膜6f、太陽電池セル2、第2封止樹脂膜6s、第2保護基板5。第1封止樹脂膜6fおよび第2封止樹脂膜6sについては、図2D参照。)を予め積層しておく。
【0065】
また、樹脂封止工程(図2F)での第1保護基板4の汚染を防止するために第1保護基板4の外側表面4sを樹脂止め膜9で予め覆っておく。樹脂封止部6を形成するときに、封止樹脂6rがはみ出すことから、はみ出した封止樹脂6rr(図2F参照)のはみ出し量を抑制するために樹脂止め膜9を予め第1保護基板4から第2保護基板5に渡って配置する。つまり、太陽電池モジュール1の平面形状より大きい形状を有する樹脂止め膜9を予め積層台20に配置しておく。
【0066】
なお、樹脂止め膜9は、真空ラミネータでの加熱、加圧のときの熱に対する耐性を有する樹脂膜であることが好ましい。本実施の形態では、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂で形成されている。また、樹脂止め膜9の厚さは数10μm程度である。
【0067】
図2Cは、本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュール1の製造方法において、第1保護基板4の外側表面4sの端部4fを位置合わせして積層台20に配置した状態を断面で示す断面図である。
【0068】
適宜設定されたストッパーSTに対して第1保護基板4(外側表面4sの端部4f)を位置合わせして積層台20に配置する。なお、第1保護基板4の端面4cには、図2Aで説明したとおり、マスキングテープ8が予め貼り付けられている。
【0069】
図2Dは、本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュール1の製造方法において、第1保護基板4に第1封止樹脂膜6f、太陽電池セル2、第2封止樹脂膜6s、第2保護基板5を順次重ねて配置した状態を断面で示す断面図である。
【0070】
第1保護基板4に、第1封止樹脂膜6f(封止樹脂6r)、太陽電池セル2、第2封止樹脂膜6s(封止樹脂6r)、第2保護基板5を順次位置合わせをして積層(配置)する。
【0071】
つまり、第1保護基板4を配置する第1保護基板配置工程と、封止樹脂6rで形成された第1封止樹脂膜6fを第1保護基板4に重ねて配置する第1封止樹脂膜配置工程と、第1封止樹脂膜6fに重ねて太陽電池セル2を配置するセル配置工程と、封止樹脂6rで形成された第2封止樹脂膜6sを太陽電池セル2に重ねて配置する第2封止樹脂膜配置工程と、第2封止樹脂膜6sに重ねて第2保護基板5を配置する第2保護基板配置工程とを備える。
【0072】
なお、第1保護基板4に対する第2保護基板5の位置合わせは、ストッパーSTをそのまま適用することで高精度に位置決めすることができる。
【0073】
本実施の形態に係る製造方法では、第1保護基板配置工程(図2C)、第1封止樹脂膜配置工程、セル配置工程、第2封止樹脂膜配置工程、第2保護基板配置工程は、樹脂封止工程の一部として位置づけることが可能である。
【0074】
したがって、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1の製造方法は、太陽電池セル2の両面に樹脂封止部6(第1封止樹脂膜6f、第2封止樹脂膜6s)を配置し、樹脂封止部6の外側に第1保護基板4および第2保護基板5を配置した例えば合せガラス形態の太陽電池モジュール1を容易に製造することができる。
【0075】
セル配置工程は、第1封止樹脂膜配置工程、第2封止樹脂膜配置工程によって、太陽電池セル2の両面に封止樹脂膜(フィルム状の第1封止樹脂膜6fおよび第2封止樹脂膜6s)を重ねて配置することができる。なお、第1封止樹脂膜6f、第2封止樹脂膜6sは、封止樹脂6rをシート状にしたもので構成され、真空ラミネータでの加熱、加圧によって溶融、硬化され、樹脂封止部6を形成する(図2F参照)ので、太陽電池セル2を樹脂封止することができる。
【0076】
第2保護基板5の端面5cには、図2Aで説明したとおり、マスキングテープ8が予め貼り付けられている。また、第1封止樹脂膜6f、第2封止樹脂膜6sの平面形状は、第1保護基板4、第2保護基板5の平面形状に対してわずかに外側に位置する程度の大きさとし、十分な封止樹脂6rを供給できるようにしている。この構成によって、第1保護基板4および第2保護基板5の間に形成された樹脂封止部6の端部6tで封止樹脂6rが不足するという問題を解消することができる。なお、第1封止樹脂膜6f、第2封止樹脂膜6sの平面形状と第1保護基板4、第2保護基板5の平面形状は、同程度とすることも可能である。
【0077】
なお、第1保護基板4を白板ガラスとし、第2保護基板5を青板ガラスとし、太陽電池セル2の受光面を白板ガラスの側に位置させることが好ましい。この構成によって、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1の製造方法は、合せガラス形態の太陽電池モジュール1を容易に製造することができる。樹脂止め膜9は、第1保護基板4の外側表面4sを完全に被覆していることから、太陽電池セル2の受光面に対向する第1保護基板4を汚染から確実に保護することができる。つまり、樹脂止め膜9は、防汚フィルムとして作用する。
【0078】
図2Eは、本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュール1の製造方法において、第1保護基板4の外側表面4sから第2保護基板5の外側表面5sの端部5fまでに渡って樹脂止め膜9を配置し第1封止樹脂膜6f、第2封止樹脂膜6sを覆った状態を断面で示す断面図である。
【0079】
ストッパーSTをはずした後、第1保護基板4、第1封止樹脂膜6f、太陽電池セル2、第2封止樹脂膜6s、第2保護基板5の積層体の外周を被覆するように樹脂止め膜9を配置する。つまり、ラミネート処理をする前(樹脂封止部6を形成する前)に、第1保護基板4の外側表面4sの端部4fと第2保護基板5の外側表面5sの端部5fとの間に渡って封止樹脂6rを覆う樹脂止め膜9を配置する。なお、この工程(図2E)は、樹脂封止工程の一部として位置づけることができる。
【0080】
また、樹脂止め膜9は、少なくとも第1保護基板4(外側表面4s)の端部4fから第2保護基板5(外側表面5s)の端部5fに渡る範囲に配置されれば良いが、第1保護基板4の外側表面4sを保護するために外側表面4sの全面に配置されることが好ましい。
【0081】
したがって、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1の製造方法は、樹脂封止工程(図2F)で第1保護基板4および第2保護基板5の間からはみ出す封止樹脂6rが必要以上に流出することを樹脂止め膜9で防止するので、第1保護基板4および第2保護基板5の間に形成される樹脂封止部6の樹脂不足(封止樹脂6rの不足)を防止することができる。
【0082】
なお、ラミネート処理(図2F参照)においては、外側から適宜の押圧力(図示しないダイヤフラムによる大気圧による圧力)が樹脂止め膜9に対して作用する。したがって、樹脂止め膜9は、第1保護基板4の外側表面4sの端部4f、第2保護基板5の外側表面5sの端部5fに対して必要以上に強く接着される必要はない。本実施の形態では、第2保護基板5(外側表面5s)の端部5fに対向して配置された樹脂止め膜9の端を耐熱性の粘着テープ10で外側表面5sに固定しておく。端部5fに対する樹脂止め膜9の重なりは50mmないし100mm程度とした。
【0083】
図2Fは、本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュール1の製造方法において、真空ラミネータで第1封止樹脂膜6f、第2封止樹脂膜6sに対して加熱加圧による真空ラミネート処理を施したときに第1保護基板4および第2保護基板5の間の樹脂封止部6から封止樹脂6rrがはみ出した状態を模式的に断面で示す断面図である。
【0084】
真空ラミネータによって、加熱加圧処理を施す。つまり、ラミネータ基台21(加熱部材)および第2保護基板5の上に配置された加圧部材(ダイヤフラム:不図示)によって、太陽電池モジュール1(第1封止樹脂膜6f、第2封止樹脂膜6s)に対する加熱、加圧を施す。
【0085】
封止樹脂6r(第1封止樹脂膜6f、第2封止樹脂膜6s)は、ラミネート処理によって溶融し、その後硬化する。加圧条件は、大気圧以上であれば良い。また、真空状態とすることで封止樹脂6rが内包する気泡を樹脂封止部6の外部へ確実に放出させることができる。加熱・加圧によって、第1保護基板4、第1封止樹脂膜6f、太陽電池セル2、第2封止樹脂膜6s、第2保護基板5が相互に圧着(溶着)される(樹脂封止工程)。
【0086】
溶融した封止樹脂6rの一部は、第1保護基板4および樹脂封止部6の間からはみ出すが、樹脂止め膜9が予め配置されているのではみ出した封止樹脂6rrの量は制限され、第1保護基板4および第2保護基板5の間での樹脂不足を生じることはない。
【0087】
つまり、加熱状態の下で、第1保護基板4および第2保護基板5を介して封止樹脂6rへ圧力を印加して樹脂封止の工程が処理される(樹脂封止工程)。
【0088】
したがって、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1の製造方法は、樹脂封止工程で第1保護基板4、第2保護基板5、太陽電池セル2、樹脂封止部6に対するラミネート処理を施すので、信頼性、生産性を向上させることができる。
【0089】
図2Gは、本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュール1の製造方法において、真空ラミネート処理の後、樹脂止め膜9をはく離した状態を断面で示す断面図である。
【0090】
太陽電池モジュール1の外面を構成する第1保護基板4、第2保護基板5の間からはみ出した封止樹脂6rrを除去する準備として、樹脂止め膜9をはく離する。なお、樹脂止め膜9を付着させたままで封止樹脂6rrを除去することも可能である。本実施の形態では、説明の便宜(図面の見易さなど)を考慮し、樹脂止め膜9を予めはく離した状態として示すが、樹脂封止部6に対する樹脂止め膜9の接着状態などを勘案していずれかを選択すれば良い。
【0091】
はみ出した封止樹脂6rrは、第1保護基板4の端面4cに貼り付けられたマスキングテープ8の表面から、第2保護基板5の端面5cに貼り付けられたマスキングテープ8の表面に渡って残留した状態となっている。このままの状態では、外形不良となるので、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1の製造方法では、除去する工程(はみ出し樹脂除去工程)が追加される。
【0092】
図2Hは、本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュール1の製造方法において、第1保護基板4および第2保護基板5の間の樹脂封止部6からはみ出した封止樹脂6rrを刃先部32(刃部材30)によって切り取る状態を模式的に要部断面で示す要部断面図である。
【0093】
樹脂封止工程(図2F)において第1保護基板4および第2保護基板5の間からはみ出した封止樹脂6rrを刃部材30(刃先部32)によって除去する(切り取る)(はみ出し樹脂除去工程)。
【0094】
つまり、はみ出し樹脂除去工程においては、凸状に湾曲した刃先部32を第1保護基板4の外周端4tおよび第2保護基板5の外周端5tに沿わせて走行させることによって封止樹脂6rrを除去することができる。
【0095】
本実施の形態では、相互に対向する第1保護基板4の外周端4tおよび第2保護基板5の外周端5tの双方に沿わせた状態で湾曲した刃先部32(刃部材30)を走行させるので、第1保護基板4の端面4cおよび第2保護基板5の端面5cが寸法公差によって位置ズレ(図4参照)している場合でも、封止樹脂6rrの樹脂残りが生じないようにはみ出した封止樹脂6rrを確実に除去して樹脂残りによる外形不良の発生を防止することができる。
【0096】
図2Hでは、マスキングテープ8の厚さが厚く記載されているが、実際の厚さは薄いことから、マスキングテープ8が刃先部32によって削られることはほとんどない。
【0097】
なお、外周端4tは、第1保護基板4の端面4cが樹脂封止部6と接する側であり、外周端5tは、第2保護基板5の端面5cが樹脂封止部6と接する側である。外周端4tおよび外周端5tに刃先部32を沿わせることによって、封止樹脂6rrの除去を高精度に実行することができる。なお、外周端4tおよび外周端5tに刃先部32を沿わせたときの状態は、刃先部32を略外周端4t、外周端5tに当接させた状態とすることが好ましい。
【0098】
また、刃先部32の両端間の長さLcは、樹脂封止部6の厚さTrより大きいことが好ましい。つまり、刃先部32の両端間の長さLcを樹脂封止部6の厚さTrより大きくすることによって、第1保護基板4および第2保護基板5の両方の外周端(外周端4tおよび外周端5t)に渡って刃先部32を当接させることが可能となり、樹脂封止部6からはみ出した封止樹脂6rrをより確実に除去することができる。
【0099】
本実施の形態では、樹脂封止部6の厚さTrは、太陽電池セル2の厚さに樹脂封止部6の厚さを加えた値となり、例えば5mm程度であることから、長さLcは、例えば20mmないし40mm程度とすることができる。また、刃先部32の湾曲の形状(半径φ(図5B参照))は、樹脂封止部6の厚さTrに応じて適宜設定することができる。
【0100】
なお、刃部材30(基板部31、刃先部32、基板部31が有する厚さTcなど)については、図5Aないし図5Fで更に説明する。
【0101】
図2Jは、本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュール1の製造方法において、封止樹脂6rrを除去した後の状態を断面で示す要部断面図である。
【0102】
封止樹脂6rrを刃先部32によって除去した後は、はみ出した封止樹脂6rrは、マスキングテープ8の表面のみに残留した状態となる。したがって、マスキングテープ8をはく離することによって、封止樹脂6rrを同時に除去して正常な外形(清浄な外形)を確保することができる。マスキングテープ8は、はく離性を有することから、作業性良く封止樹脂6rrを除去することができる。
【0103】
マスキングテープ8をはく離することによって、第1保護基板4の端面4c、第2保護基板5の端面5cは、清浄な状態(封止樹脂6rの付着のない本来の状態)として露出する。また、樹脂封止部6の端部6tは、刃先部32によって成形され、外形不良を低減することが可能となる。
【0104】
マスキングテープ8をはく離することによって、完成状態の太陽電池モジュール1を得ることができる(図1参照)。
【0105】
図3Aは、本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュール1の製造方法において、はみ出した封止樹脂6rrを切り取るときの刃部材30(刃先部32)の走行状態を平面的に示す平面図である。
【0106】
図3Bは、図3Aにおいて、はみ出した封止樹脂6rrの一部を切り取った状態での刃部材30(刃先部32)の走行状態を平面的に示す平面図である。
【0107】
はみ出し樹脂除去工程において、第1保護基板4および第2保護基板5の各辺に沿わせて(外周端4tおよび外周端5tに当接させて)刃部材30(刃先部32)を走行させるが、走行させるときに、第1保護基板4、第2保護基板5の端部Rtから走行させるのではなく、走行の開始位置を中央部Rfとし、中央部Rfから走行させることが好ましい。
【0108】
つまり、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1の製造方法においては、第1保護基板4および第2保護基板5の各辺の中央部Rfから端部Rtに向かう方向(走行方向Rc)で刃部材30(刃先部32)を走行させることが好ましい。この構成によって、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1の製造方法は、第1保護基板4および第2保護基板5の角部Rtcでの封止樹脂6rrを精度良く除去するので、封止樹脂6rrの残留(切り取り漏れ)を確実に低減することができる。
【0109】
刃先部32の第1保護基板4、第2保護基板5の辺に対する傾斜角は、辺から約30度ないし60度としたが、刃先部32の刃の傾斜に応じて適宜設定する。
【0110】
図4を参照して、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1を製造する太陽電池モジュールの製造方法における特有の効果について説明する。
【0111】
図4は、本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュール1の製造方法において、第1保護基板4と第2保護基板5との間に位置ズレがあるときの凸状に湾曲した刃先部32の作用を要部断面で示す要部断面図である。
【0112】
第1保護基板4の端面4cと第2保護基板5の端面5cとは、通常は平面視で同一の位置となる。しかしながら、第1保護基板4に対する第2保護基板5の位置合わせの誤差、あるいは第1保護基板4、第2保護基板5を形成するときの寸法公差によって端面4cと端面5cとが同一の配置にならない場合がある。つまり、第1保護基板4、第2保護基板5の平面に対する垂直方向で端面4c、端面5cの位置が一致しないことがある。
【0113】
本実施の形態では、刃先部32が湾曲した凸状として形成されているので、相互に対向する第1保護基板4の外周端4tおよび第2保護基板5の外周端5tの双方に湾曲した刃先部32を沿わせた状態で刃部材30を走行させることができる。したがって、第1保護基板4の端面4cおよび第2保護基板5の端面5cが寸法公差などによって位置ズレしている場合でも、はみ出した封止樹脂6rrを確実に除去して樹脂残りによる外形不良の発生を防止することができる。
【0114】
なお、第1保護基板4と第2保護基板5との間の位置ズレの状況に応じて、刃先部32(刃部材30)の位置を調整する構成とされている(図6参照)。また、本実施の形態では、刃先部32の湾曲状態(例えば、半径φ(図5B参照)の大きさ)が異なるものをいくつか用意しておき、位置ズレの状況、樹脂封止部6(はみ出した封止樹脂6rr)の厚さTrに応じて適宜交換して利用することができる。
【0115】
また、刃先部32の両端間の長さLcは、樹脂封止部6の厚さTrに比較して大きく形成されていることが好ましい。すなわち、第1保護基板4(外周端4t)と第2保護基板5(外周端5t)とに渡って刃先部32を配置するには、長さLcが厚さTrより大きいことが好ましい。
【0116】
つまり、刃先部32の両端間の長さLcは、樹脂封止部6の厚さTrより大きいことが好ましい。したがって、この構成によって、第1保護基板4および第2保護基板5の両方の外周端(外周端4tおよび外周端5t)に渡って刃先部32を当接させることが可能となり、樹脂封止部6からはみ出した封止樹脂6rrをより確実に除去することができる。
【0117】
上述したとおり、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1の製造方法は、第1面2fおよび第2面2sを有する太陽電池セル2と、第1面2fに対向して配置された第1保護基板4と、第2面2sに対向して配置された第2保護基板5と、第1保護基板4および第2保護基板5の間で太陽電池セル2を封止する樹脂封止部6とを備えた太陽電池モジュール1の製造方法である。
【0118】
本実施の形態に係る太陽電池モジュール1の製造方法は、第1保護基板4および第2保護基板5の間に位置する太陽電池セル2を封止樹脂6rで封止して樹脂封止部6を形成する樹脂封止工程と、樹脂封止工程において第1保護基板4および第2保護基板5の間からはみ出した封止樹脂6rrを除去するはみ出し樹脂除去工程とを備え、はみ出し樹脂除去工程において、凸状に湾曲した刃先部32を有する刃部材30を第1保護基板4の外周端4tおよび第2保護基板5の外周端5tに沿わせて走行させる。
【0119】
したがって、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1の製造方法は、相互に対向する第1保護基板4の外周端4tおよび第2保護基板5の外周端5tの双方に、凸状に湾曲した刃先部32を有する刃部材30を沿わせて走行させるので、第1保護基板4の端面4cおよび第2保護基板5の端面5cが寸法公差などによって位置ズレ(図4参照)している場合でも、はみ出した封止樹脂6rrを樹脂残りが生じないように確実に切り取って樹脂残りによる外形不良の発生を防止することができる。
【0120】
図5Aないし図5Dを参照して、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1を製造するときに封止樹脂6rrを除去する刃部材30(刃先部32)の構成について説明する。
【0121】
図5Aは、本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュール1の製造方法に適用される刃部材30(刃先部32)の概要を示す斜視図である。
【0122】
図5Bは、図5Aに示した刃部材30の刃先部32を側面から見た状態を示す側面図である。
【0123】
図5Cは、図5Bの矢符C−Cでの湾曲部33、刃先部32の断面状態を示す断面図である。
【0124】
図5Dは、図5Aに示した刃部材30の基板部31を正面から見た正面図である。
【0125】
本実施の形態に係る刃部材30は、第1保護基板4および第2保護基板5の積層方向に沿う長さ方向DL、長さ方向DLと交差する幅方向DW、および板厚方向DTを有する基板部31と、長さ方向DLで基板部31の中間領域に形成された刃先部32とを備える。また、刃部材30に形成された刃先部32は、凸状に湾曲していることが好ましい。
【0126】
したがって、刃部材30は、太陽電池モジュール1の第1保護基板4および第2保護基板5が例えば寸法公差などによって位置ズレを生じた場合でも、第1保護基板4(外周端4t)および第2保護基板5(外周端5t)へ刃先部32を沿わせる(当接させる)ことができるので、はみ出した封止樹脂6rrを確実に切り取ることができる。なお、刃先部32は、封止樹脂6rrに当接して第1保護基板4、第2保護基板5に当接するように切り込まれる。また、切り取り位置(除去位置)は適宜調整される。
【0127】
更に、本実施の形態に係る刃部材30は、基板部31の中間領域(図5Dで上下に配置された2箇所の基板部31で挟まれた領域)で基板部31を板厚方向DTの一方に向けて凸状に湾曲させた湾曲部33を備え、刃先部32は、湾曲部33の長さ方向DLに沿う端に形成されていることが好ましい。この構成によって、刃部材30は、第1保護基板4および第2保護基板5の間からはみ出した封止樹脂6rを高精度に切り取ることができる。
【0128】
湾曲部33は、例えば1枚の板金を加工して形成されている。湾曲部33は、1枚の板金を長さ方向DLの中間領域で板厚方向DTの一方側へ半円の筒状に湾曲させて形成される。つまり、筒の中心になる軸線(筒に対応する半円を構成する円の中心)は、幅方向DWと平行であり、湾曲部33は、筒を縦割りにした半分が幅方向DWに延長して配置され、縦割りの両端が基板部31に続いている。すなわち、湾曲部33の両側には、湾曲部33に対して板状の基板部31が配置される。なお、半円(半円筒)の半径φは、樹脂封止部6の厚さTrに応じて適宜の大きさとされる。
【0129】
また、基板部31、湾曲部33には、長さ方向DLに沿った端面(厚さTc)がそのまま元の板金の状態で現れる。したがって、湾曲部33の長さ方向DLに沿う端とは、基板部31の板厚(厚さTc)がそのまま現れる幅方向Dwでの基板部31(湾曲部33)の端である。
【0130】
刃部材30の寸法は、長さ方向DLで約100mmないし150mm、幅方向DWで約15mmないし40mmとし、板厚方向DTでの厚さTcは、板金(刃先部32)の強度と精度を考慮して約1mm程度とした。
【0131】
なお、基板部31は、刃部材30を外部から保持するときの被保持部(図6参照)となる。基板部31は、外部から保持できるように板状(例えば矩形)とされていれば良い。また、封止樹脂6rrの除去作業(切り取り作業)そのものへの直接的な影響はないことから、適宜の強度を確保できれば良く、矩形状の他、種々の形状を適用することが可能である。また、基板部31は、湾曲部33(刃先部32)を画定する領域となる。したがって、基板部31の中間領域に湾曲部33を形成できる形状と強度があれば良い。
【0132】
上述したとおり、本実施の形態に係る刃部材30は、第1面2fおよび第2面2sを有する太陽電池セル2と、第1面2fに対向して配置された第1保護基板4と、第2面2sに対向して配置された第2保護基板5と、第1保護基板4および第2保護基板5の間で太陽電池セル2を封止樹脂6rで封止する樹脂封止部6とを備えた太陽電池モジュール1の樹脂封止部6からはみ出した封止樹脂6rrを切り取る構成とされている。
【0133】
上述した図5Aないし図5Dに示した刃部材30は、平板状の基板部31の中間領域に立体的(半円筒状)に湾曲した刃先部32を有している。これに対する変形例として、立体的な湾曲部33に形成された刃先部32とは異なって、平面的に湾曲した刃先部32bを有する刃部材30b(図5E)とすることも可能である。以下、図5E、図5Fを参照して刃部材30の変形例である刃部材30bについて説明する。なお、刃部材30と重複する事項については説明を適宜省略することがある。
【0134】
図5Eは、本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュール1の製造方法に適用される刃部材30b(刃先部32b)の平面状態を示す平面図である。
【0135】
図5Fは、図5Eの矢符F−Fでの刃部材30b(刃先部32b)の断面状態を示す断面図である。
【0136】
本変形例に係る刃部材30bは、第1保護基板4および第2保護基板5の積層方向に沿う長さ方向DL、長さ方向DLと交差する幅方向DW、および板厚方向DTを有する基板部31bと、長さ方向DLで基板部31bの中間領域に形成された刃先部32bとを備える。また、刃部材30に形成された刃先部32は、凸状に湾曲している。
【0137】
したがって、本発明に係る刃部材30bは、太陽電池モジュール1の第1保護基板4および第2保護基板5が例えば寸法公差などによって位置ズレを生じた場合でも、第1保護基板4(外周端4t)および第2保護基板5(外周端5t)へ刃先部32bを沿わせる(当接させる)ことができるので、はみ出した封止樹脂6rrを確実に切り取ることができる。
【0138】
また、刃部材30bは、基板部31bの中間領域で基板部31bを幅方向DWの一方に突出させて凸状に湾曲させた湾曲部34を備え、刃先部32bは、湾曲部34の端に形成されている。この構成によって、本変形例に係る刃部材30bは、刃部材30と同様、第1保護基板4および第2保護基板5の間からはみ出した封止樹脂6rrを高精度に切り取ることができる。
【0139】
また、刃先部32bの両端間の長さLcは、刃部材30の刃先部32と同様、樹脂封止部6の厚さTrより大きいことが好ましい。刃先部32bは、刃部材30の刃先部32と同様、適宜の半径φを持たせることができる。
【0140】
なお、刃部材は、上記した形状に限らず、その他の形状とすることが可能である。例えば、全体が円盤状とされ、周辺に刃先部を有する形態としても良い。円盤状とした場合は、円周方向で使用頻度に応じて使用範囲を変更することによって、刃の寿命を延長させることも可能である。
【0141】
以上、図5Aないし図5Dで刃部材30(立体刃物)について説明し、図5E、図5Fで刃部材30b(平面刃物)について説明した。また、刃部材30は片刃とし(図5C参照)、刃部材30bは両刃(図5E参照)として説明したが、刃部材30、刃部材30bのいずれもはみ出した封止樹脂6rrの除去が可能であれば良く、片刃、あるいは両刃のいずれであっても良い。
【0142】
図6を参照して、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1を製造するときに刃部材30(刃先部32)を走行させる製造装置(太陽電池モジュール1を製造する製造装置)について説明する。以下では、刃部材30について説明するが、刃部材30bについても同様である。
【0143】
図6は、本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュール1の製造方法を実行するときに適用される太陽電池モジュール1を製造する製造装置40の概略構成を概念的に示す概略構成図である。
【0144】
本実施の形態に係る製造装置40は、真空ラミネート処理が終了した太陽電池モジュール1を載置する載置台41、太陽電池モジュール1からはみ出した封止樹脂6rrを切り取る刃先部32を有する刃部材30(図2H参照)、第1保護基板4(外周端4t)および第2保護基板5(外周端5t)に対して刃部材30が沿って走行するように刃部材30を保持する刃保持部42、刃部材30(刃先部32)の位置を微調整する弾性押圧部45、刃保持部42を太陽電池モジュール1の辺に沿って走行させる走行機構部43、走行機構部43を制御して刃部材30の走行を制御する走行制御部44を備える。
【0145】
弾性押圧部45は、例えばコイルばねで構成され、刃部材30(刃先部32)を太陽電池モジュール1に押し当てる方向で弾性力を及ぼすことから、刃先部32の位置を微調整し、太陽電池モジュール1に沿わせて刃先部32(刃部材30)を第1保護基板4(外周端4t)および第2保護基板5(外周端5t)へ当接させる。コイルばねの弾性力によって当接状態に緩衝性を持たせることから、刃先部32が太陽電池モジュール1へ及ぼす加工力(はみ出した封止樹脂6rrに対する接断力)に緩衝性を持たせることができる。
【0146】
つまり、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1を製造する製造装置40は、第1面2fおよび第2面2sを有する太陽電池セル2と、第1面2fに対向して配置された第1保護基板4と、第2面2sに対向して配置された第2保護基板5と、第1保護基板4および第2保護基板5の間で太陽電池セル2を封止樹脂6rで封止する樹脂封止部6とを備えた太陽電池モジュール1を製造する製造装置である。
【0147】
また、本実施の形態に係る製造装置40は、樹脂封止部6からはみ出した封止樹脂6rrを切り取る刃部材30(基板部31)を保持する刃保持部42と、刃保持部42の走行を制御する走行制御部44とを備え、刃保持部42は、第1保護基板4および第2保護基板5に刃部材30を沿わせる弾性押圧部45を備える。
【0148】
したがって、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1を製造する製造装置40は、第1保護基板4と第2保護基板5の間に形成された樹脂封止部6からはみ出した封止樹脂6rrを生産性良く確実に除去することができる。
【符号の説明】
【0149】
1 太陽電池モジュール
2 太陽電池セル
2f 第1面
2s 第2面
4 第1保護基板
4c 端面
4f 端部
4s 外側表面
4t 外周端
5 第2保護基板
5c 端面
5f 端部
5s 外側表面
5t 外周端
6 樹脂封止部
6f 第1封止樹脂膜
6r 封止樹脂
6rr はみ出した封止樹脂
6s 第2封止樹脂膜
6t 端部
8 マスキングテープ
9 樹脂止め膜
20 積層台
21 ラミネータ基台
30、30b 刃部材
31、31b 基板部
32、32b 刃先部
33、34 湾曲部
40 製造装置
41 載置台
42 刃保持部
43 走行機構部
44 走行制御部
45 弾性押圧部
Lc 長さ
Rc 走行方向
Rf 中央部
Rt 端部
Rtc 角部
ST ストッパー
Tr 厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面および第2面を有する太陽電池セルと、前記第1面に対向して配置された第1保護基板と、前記第2面に対向して配置された第2保護基板と、前記第1保護基板および前記第2保護基板の間で前記太陽電池セルを封止する樹脂封止部とを備えた太陽電池モジュールの製造方法であって、
前記第1保護基板および前記第2保護基板の間に位置する前記太陽電池セルを封止樹脂で封止して前記樹脂封止部を形成する樹脂封止工程と、
前記樹脂封止工程において前記第1保護基板および前記第2保護基板の間からはみ出した前記封止樹脂を除去するはみ出し樹脂除去工程とを備え、
前記はみ出し樹脂除去工程において、凸状に湾曲した刃先部を有する刃部材を前記第1保護基板の外周端および前記第2保護基板の外周端に沿わせて走行させること
を特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の太陽電池モジュールの製造方法であって、
前記刃先部の両端間の長さは、前記樹脂封止部の厚さより大きいこと
を特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の太陽電池モジュールの製造方法であって、
前記樹脂封止工程の前に、前記第1保護基板および前記第2保護基板のそれぞれの端面にマスキングテープを貼り付けるテープ貼り付け工程を備えること
を特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一つに記載の太陽電池モジュールの製造方法であって、
前記はみ出し樹脂除去工程において、前記第1保護基板および前記第2保護基板の各辺の中央部から端部に向かう方向で前記刃部材を走行させること
を特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一つに記載の太陽電池モジュールの製造方法であって、
前記樹脂封止工程において、前記第1保護基板を配置する第1保護基板配置工程と、前記封止樹脂で形成された第1封止樹脂膜を前記第1保護基板に重ねて配置する第1封止樹脂膜配置工程と、前記第1封止樹脂膜に重ねて前記太陽電池セルを配置するセル配置工程と、前記封止樹脂で形成された第2封止樹脂膜を前記太陽電池セルに重ねて配置する第2封止樹脂膜配置工程と、前記第2封止樹脂膜に重ねて前記第2保護基板を配置する第2保護基板配置工程とを備えること
を特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一つに記載の太陽電池モジュールの製造方法であって、
前記樹脂封止工程において、前記樹脂封止部を形成する前に、前記第1保護基板の外側表面の端部と前記第2保護基板の外側表面の端部との間に渡って前記封止樹脂を覆う樹脂止め膜を配置すること
を特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一つに記載の太陽電池モジュールの製造方法であって、
前記樹脂封止工程は、加熱状態の下で、前記第1保護基板および前記第2保護基板を介して前記封止樹脂へ圧力を印加してなされること
を特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一つに記載の太陽電池モジュールの製造方法であって、
前記第1保護基板は白板ガラスであり、前記第2保護基板は青板ガラスであり、前記太陽電池セルの受光面は前記白板ガラスの側に位置していること
を特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか一つに記載の太陽電池モジュールの製造方法で製造された太陽電池モジュールであって、
前記樹脂封止部は、端部が内側に向けて凹状とされていること
を特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項10】
第1面および第2面を有する太陽電池セルと、前記第1面に対向して配置された第1保護基板と、前記第2面に対向して配置された第2保護基板と、前記第1保護基板および前記第2保護基板の間で前記太陽電池セルを封止樹脂で封止する樹脂封止部とを備えた太陽電池モジュールを製造する製造装置であって、
前記樹脂封止部からはみ出した前記封止樹脂を切り取る刃部材を保持する刃保持部と、
前記刃保持部の走行を制御する走行制御部とを備え、
前記刃保持部は、前記第1保護基板および前記第2保護基板に前記刃部材を沿わせる弾性押圧部を備えること
を特徴とする太陽電池モジュールを製造する製造装置。
【請求項11】
第1面および第2面を有する太陽電池セルと、前記第1面に対向して配置された第1保護基板と、前記第2面に対向して配置された第2保護基板と、前記第1保護基板および前記第2保護基板の間で前記太陽電池セルを封止樹脂で封止する樹脂封止部とを備えた太陽電池モジュールの前記樹脂封止部からはみ出した前記封止樹脂を切り取る刃部材であって、
前記第1保護基板および前記第2保護基板の積層方向に沿う長さ方向、前記長さ方向と交差する幅方向、および板厚方向を有する基板部と、前記長さ方向で前記基板部の中間領域に形成された刃先部とを備え、
前記刃先部は、凸状に湾曲していること
を特徴とする刃部材。
【請求項12】
請求項11に記載の刃部材であって、
前記中間領域で前記基板部を前記板厚方向の一方に向けて凸状に湾曲させた湾曲部を備え、
前記刃先部は、前記湾曲部の前記長さ方向に沿う端に形成されていること
を特徴とする刃部材。
【請求項13】
請求項11に記載の刃部材であって、
前記中間領域で前記基板部を前記幅方向の一方に突出させて凸状に湾曲させた湾曲部を備え、
前記刃先部は、前記湾曲部の端に形成されていること
を特徴とする刃部材。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2J】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図6】
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