太陽電池モジュール
【課題】降雨後のモジュール表面への水の溜りを防止し、乾燥時に汚れが残留する事をなくすため、太陽電池モジュール表面に溜まる雨水を太陽電池モジュール外に排水することができる太陽電池モジュールの排水構造を提供する。
【解決手段】端面封止部材1は太陽電池モジュール本体が嵌め込まれる凹部溝14を備え、端面封止部材1を介して太陽電池モジュール本体を枠体に挿入する。端面封止部材1の少なくとも1箇所に、太陽電池モジュール本体の受光面側から裏面側に水を排出するための薄肉部32を備える。
【解決手段】端面封止部材1は太陽電池モジュール本体が嵌め込まれる凹部溝14を備え、端面封止部材1を介して太陽電池モジュール本体を枠体に挿入する。端面封止部材1の少なくとも1箇所に、太陽電池モジュール本体の受光面側から裏面側に水を排出するための薄肉部32を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光エネルギーを利用して発電を行う太陽電池モジュールに関するものであり、特に枠体を備えた太陽電池モジュールの排水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境問題への関心が高まりつつある中、自然エネルギーを利用した新しいエネルギー技術が大いに注目されている。そのひとつとして、太陽エネルギーを利用したシステムの関心が高く、特に光電変換効果を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽光発電は、クリーンなエネルギーを得る手段として広く行われている。
【0003】
太陽電池素子は、たとえば単結晶シリコン基板や、多結晶シリコン基板を用いて作製されている。太陽電池素子1枚では発生する電気出力が小さいため、複数の太陽電池素子を直並列に接続して実用的な電気出力が得られるように、これら複数の太陽電池素子を電気的に接続している。
【0004】
太陽電池モジュール本体は、通常裏面側にバックカバーを配置し、このバックカバーの上面側に直列あるいは並列に接続された複数の太陽電池素子を並べて配置し、これらの太陽電池素子を封止樹脂にて封止し、受光面側に透明基板(ガラス)を配置した構造となっている。
【0005】
さらに、この太陽電池モジュール本体の外周部を囲む形のコの字状の枠体に、封止部材や接着剤等の緩衝材を介して、太陽電池モジュール本体を取り付けた構造の太陽電池モジュールが多用されている。
【0006】
上述のように、太陽電池素子はその両面を封止樹脂で封止され、枠体への取り付けに使用されるブチルゴム、シリコン樹脂などの接着剤、あるいはポリプロピレン系またはポリスチレン系のエラストマー樹脂等で端面が封止され、水分が浸入しないように防水されている。
【0007】
しかしながら、上記のように太陽電池モジュールは太陽電池モジュール本体をモジュール枠体に嵌め込んだ構造であるため、太陽電池モジュール本体の受光面部と枠体との間に段差ができる。太陽電池モジュールを野外に設置した場合、この段差のために降雨時に太陽電池モジュールの受光面に雨水が溜まり、その後雨水が蒸発した後に塵や埃、煤煙などの汚れが太陽電池モジュールの受光面部に付着してしまい、太陽電池モジュール本体へ到達する光の量が減少し、太陽電池モジュールの発電量が低下するという問題があった。
【0008】
この問題に関する対策として特許文献1ではモジュール枠体の一部に雨水を排水するための切欠部を設けることが考案されている。
【0009】
また別の対策として、特許文献2では太陽電池モジュール本体の角部に三角形状等の穴を設け、この穴部から雨水が排水できるようにすることが提案されている。
【0010】
上記のそれぞれの構成により、雨水が太陽電池モジュールの受光面に溜まり、それが蒸発した後の汚れにより発電量の低下を招くことを回避している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】実開平 6−17257号公報
【特許文献2】特開 2005−209960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1のように、枠体の一部に雨水を排水するための切欠部を設けるという技術によれば、そのモジュール枠体は切欠部のために太陽電池モジュールの機械的強度が低下してしまい、太陽電池モジュールを屋外に設置したときに積雪や強風などに対して十分な耐候性能が得られないという課題がある。
【0013】
また、特許文献2のように、太陽電池モジュール本体の角部に三角形状等の穴を設け、この穴部から雨水を排水できるようにするという技術によれば、太陽電池モジュールに穴が開いていることから外観がよくない上、穴を開けるための工程が増えるという問題がある。
【0014】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、端面封止部材を用いた太陽電池モジュールにおいて、枠体を加工することなく、なおかつ外観を損ねることなく、雨水等の排水を効果的に行うことができる太陽電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の太陽電池モジュールは、太陽電池モジュール本体と、前記太陽電池モジュール本体を保持する枠体と、前記太陽電池モジュール本体の端面を封止する端面封止部材とを備える太陽電池モジュールであって、前記太陽電池モジュール本体は、前記端面封止部材を用いて前記枠体に嵌合されており、前記太陽電池モジュール本体と前記端面封止部材は、分離可能であり、前記端面封止部材は、前記太陽電池モジュールの受光面側から裏面側への排水用の空間を備えることを特徴としている。
【0016】
また、本発明の太陽電池モジュールは、前記排水用の空間が前記枠体と前記端面封止部材の間に設けられていることを特徴としている。
【0017】
また、本発明の太陽電池モジュールは、前記排水用の空間が前記太陽電池モジュール本体と前記端面封止部材の間に設けられていることを特徴としている。
【0018】
また、本発明の太陽電池モジュールは、前記排水用の空間が前記端面封止部材に設けられた切欠部であることを特徴としている。
【0019】
また、本発明の太陽電池モジュールは、前記排水用の空間が前記端面封止部材に取り付けられた隙間形成用部材によって形成されることを特徴としている。
【0020】
また、本発明の太陽電池モジュールは、前記排水用の空間が前記端面封止部材に設けられた穴であることを特徴としている。
【0021】
また、本発明の太陽電池モジュールは、前記端面封止部材の材質がエラストマー樹脂であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
本発明の太陽電池モジュールによれば、枠体を加工することなく、強度を保ったまま用いることができ、なおかつ住宅等に設置後、外観を損ねることなく、雨水等の排水を効果的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】スーパーストレート構造の太陽電池モジュール本体の断面図である。
【図2】(a)は、太陽電池モジュールの平面図、(b)は、(a)におけるB矢視図、(c)は、(a)におけるC矢視図である。
【図3】太陽電池モジュールの枠体の断面図である。
【図4】実施の形態1の端面封止部材の全体斜視図である。
【図5】(a)は、図4の端面封止部材のD−D線断面図、(b)はE−E線断面図である。
【図6】実施の形態1の端面封止部材を太陽電池モジュール本体の端部に嵌め込んだ状態を示す断面図である。
【図7】実施の形態1の太陽電池モジュール本体の端部を枠体の溝部に嵌め込んだ状態を示す断面図である。
【図8】実施の形態1の端面封止部材の別の態様の断面図である。
【図9】実施の形態2の端面封止部材の全体斜視図である。
【図10】(a)は、図9の端面封止部材のD−D線断面図、(b)はE−E線断面図である。
【図11】実施の形態3の端面封止部材の全体斜視図である。
【図12】(a)は、図11の端面封止部材のD−D線断面図、(b)はE−E線断面図である。
【図13】実施の形態4の端面封止部材の全体斜視図である。
【図14】(a)は、図13の端面封止部材のD−D線断面図、(b)はE−E線断面図である。
【図15】図13の状態で、太陽電池モジュール本体を挿入した状態で枠体に嵌め込んだ状態のF−F線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
【0025】
図1は、スーパーストレート構造の太陽電池モジュール本体4の端部45を一部拡大して示す断面図である。45aは太陽電池モジュール本体4の端面である。太陽電池モジュール本体4は、例えば表面側である受光面ガラス41上(図面では下側)にエチレンビニルアセテート(EVA)からなる受光面側封止用樹脂層42a、多結晶シリコンにより形成された太陽電池セル43、エチレンビニルアセテート(EVA)からなる裏面側封止用樹脂層42b、封止耐候性フィルム44の順に積層され、一体化ラミネート加工されたスーパーストレート型構造のものである。
【0026】
なお、太陽電池モジュール本体4は、スーパーストレート構造に限ったものではなく、枠体によって太陽電池モジュール本体を保持され、太陽電池モジュールを形成するものであれば他の構造のものでもよい。また、太陽電池セル43も、多結晶シリコンに限るものではなく、単結晶やアモルファス、薄膜構造やフィルム構造、シリコン以外の材料、およびこれらの複合体など、光の照射によって発電するものが全て含まれる。さらに、太陽電池モジュール本体4を構成する部材も上記の機能や材料・構成に限定されない。
【0027】
図2(a)は、太陽電池モジュール2の平面図、図2(b)は図2(a)におけるB矢視図、図2(c)は図2(a)におけるC矢視図である。枠体5は、上記太陽電池モジュール本体4の四辺を保持するものであって、上側フレーム材51、下側フレーム材52、左右一対の側端フレーム材53、54を備えており、これらフレーム材51、52、53、54が一体的に組み立てられることにより、枠状に形成されている。各フレーム材51、52、53、54はアルミニウムの押出加工によりそれぞれ形成される。
【0028】
図3は、枠体5を構成している側端フレーム材54の断面図である。側端フレーム材54は、矩形の閉断面を有するフレーム本体54aを備えるとともに、このフレーム本体54aの上面の外側端(図中左端)から上方に延びた後、内側(図中右側)へ折り曲げられて成る延長屈曲片54bが設けられている。これにより、フレーム本体54aの上面と延長屈曲片54bの水平部分との間で太陽電池モジュール本体4の外周端部45が嵌り込む溝部54cが形成されている。なお、枠体5を構成するフレーム材は、本実施の形態に限らず、太陽電池モジュール本体4の端部45を支持する材質・構成が全て含まれる。
【0029】
(実施の形態1)
本発明の第1の実施形態について説明する。
【0030】
図4は、実施の形態1に係る端面封止部材1の全体斜視図である。端面封止部材1は図2に示す太陽電池モジュール本体4の外形に沿って一体形成された枠形状となっており、太陽電池モジュール本体4の端部45の全周を嵌め込んだ状態で、枠体5の各フレーム51、52、53、54に挿入される。
【0031】
端面封止部材1は、太陽電池モジュール本体4が嵌め込まれる凹溝部14を形成する断面がコの字状になっており、端面封止部材1の少なくとも一部に薄肉部32が設けられている。太陽電池モジュール本体4の端部45が端面封止部材1に嵌め込まれた状態で枠体5に挿入された際、薄肉部32と枠体5との間にできる空間を雨水などが通り、排水される。
【0032】
図5(a)は、図4に示した端面封止部材1のD−D線断面図、図5(b)は薄肉部32のE−E線断面図である。端面封止部材1は図5(a)に示すように断面略コの字形もしくは略Uの字形に形成されており、太陽電池モジュール本体4の表面側である受光面ガラス41に当接する上側封止片11と太陽電池モジュール本体4の封止耐候性フィルム44に当接する下側封止片12と太陽電池モジュール本体4の端面45aに当接する横側封止片13とで構成されている。これら上側封止片11、下側封止片12及び横側封止片13によって太陽電池モジュール本体4の端部45を嵌め込む凹溝部14が形成されている。
【0033】
さらに、この端面封止部材1の一部に設けられた薄肉部32では、図5(b)に示すように、端面封止部材1が点線との差の分だけ薄く形成されて、外側切欠部15を成している。このように薄肉部32が設けられることにより、外側切欠部15を通って、雨水などが、排水される溝構造となっている。外側切欠部15の深さは、端面封止部材1の厚みよりも小さく、且つ排水が効率的に行えるように適宜決定すればよい。外側切欠部15の深さを、端面封止部材1の厚みよりも小さくすることで、端面封止部材1が分断されることがなく、一体成型が可能となる上、薄肉部32においても太陽電池モジュール本体4の端面の封止機能が保たれている。
【0034】
端面封止部材1は、プレス成型、射出成型などであらかじめ薄肉部32を形成する一体成型以外に、端面封止部材1の一部にハンダゴテなどで熱加工を行い、薄肉部32を形成する方法で製作される。ハンダゴテなどを用いた熱加工により、薄肉部32を形成する方法を用いれば、薄肉部32を適宜、適切な場所に容易に形成することが可能となる。いずれの方法でも、端面封止部材1と太陽電池モジュール本体4と枠体5は組み立て後も取り外して分離可能な構成となっているので、太陽電池モジュール2の組み立て後であっても、端面封止部材1の薄肉部32の位置や大きさ、数などの調整が容易である。なお、端面封止部材1に薄肉部32を形成する方法の種類にかかわらず、薄肉部32を作成することによって形成された空間をここでは切欠部と呼ぶ。
【0035】
図6は、上記構成の端面封止部材1を太陽電池モジュール本体4の端部45に嵌め込んだ状態を示している。図6(a)は外側切欠部15のない部分、図6(b)は外側切欠部15のある部分(薄肉部32)におけるそれぞれの断面図である。
【0036】
図7は、図6に示したように端面封止部材1に太陽電池モジュール本体4の端部45を嵌め込んだ状態で、太陽電池モジュール本体4の端部45を枠体5の溝部54cに挿入した状態を示す断面図で、図7(a)は外側切欠部15のない部分、図7(b)は外側切欠部15のある部分(薄肉部32)である。溝部54cの内面に沿って端面封止部材1が変形し、端面封止部材1の上側封止片11、下側封止片12、及び横側封止片13のそれぞれが枠体5の溝部54cに密着するとともに太陽電池モジュール本体4の端部45にも密着することで、太陽電池モジュール本体4の端面45aが封止される。そして、端面封止部材1に設けられた薄肉部32と枠体5と間にできる外側切欠部15が適切な排水用の空間を形成している。また、薄肉部32においても端面封止部材1の上側封止片11、下側封止片12、及び横側封止片13のそれぞれが太陽電池モジュール本体4の端部45に密着することで、太陽電池モジュール本体4の端面45aが封止される。
【0037】
図8は、端面封止部材1の別の態様を示しており、端面封止部材1の薄肉部32の上側封止片11の先端角部に先端切欠部15aを設けている。先端切欠部15aは、端面封止部材1の上側封止片11の先端内側から、外側に向かって斜め方向に設けられており、薄肉部32の上側封止片11の先端外側の角部を切り取った形状になっている。この先端切欠部15aを設けることにより、受光面との段差が小さくなり、排水がよりスムーズに行われるようになる。
【0038】
本実施の形態1によれば、太陽電池モジュールにおいて、端面封止機能を保ちながら効果的に排水を行うことができる。
【0039】
(実施の形態2)
図9、図10を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0040】
上記実施の形態1では、外側切欠部15を端面封止部材1と枠体5とが接する面側に設けているが、本実施の形態2では、太陽電池モジュール本体4と接する面側に内側切欠部16を設けている点が異なる。
【0041】
図9は、実施の形態2に係る端面封止部材1の全体斜視図である。端面封止部材1は図2に示す太陽電池モジュール本体4の外形に沿って形成された枠形状となっており、太陽電池モジュール本体4の端部45全周を嵌め込んだ状態で、枠体5の各フレーム51、52、53、54に挿入される。
【0042】
端面封止部材1は、太陽電池モジュール本体4が嵌め込まれる凹溝部14を形成する断面がコの字状になっており、端面封止部材1の少なくとも一部に薄肉部32が設けられている。太陽電池モジュール本体4の端部45が端面封止部材1に嵌め込まれた状態で枠体5に挿入された際、薄肉部32と太陽電池モジュール本体4との間にできる空間を雨水などが通り、排水される。
【0043】
図10(a)は、図9に示した端面封止部材1のD−D線断面図、図10(b)は薄肉部32のE−E線断面図である。本実施の形態の場合、内側切欠部16のある部分は太陽電池モジュール本体4の端面が封止されていないため、内側切欠部16と接する太陽電池モジュール4の端面にシリコン樹脂などを塗布するなどして、別途封止処理を行うか、太陽電池モジュール本体4の端面の封止機能が損なわれない程度に、内側切欠部16の大きさを調整する。
【0044】
本実施の形態2によれば、太陽電池モジュール本体4と接する面側に内側切欠部16を設けたことにより、端面封止部材1と太陽電池モジュール本体4との段差がなくなり、上記実施の形態1で示した先端切欠部15aを設けなくても、太陽電池モジュール本体4の受光面に溜まった水がスムーズに排水されるという効果がある。
【0045】
本実施の形態2によれば、太陽電池モジュールにおいて、端面封止機能を保ちながら効果的に排水を行うことができる。
【0046】
(実施の形態3)
図11、図12を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0047】
上記実施の形態1、及び実施の形態2では、排水のための切欠部を設けたが、本実施の形態では、端面封止部材1に切欠部の代わりに、排水用の穴17を設けた点が異なる。
【0048】
図11は、端面封止部材1に排水用の穴17を設けた場合の全体斜視図である。この穴17を雨水などが通り、排水される。
【0049】
図12(a)は、図11に示した端面封止部材1のD−D線断面図、図12(b)はE−E線断面図である。端面封止部材1に穴17をあけ、排水用の通路を設けている。この通路により、太陽電池モジュール本体4の受光面側に溜まった水は、受光面側から裏面側に誘導され、排水される。
【0050】
本実施の形態3によれば、太陽電池モジュールにおいて、端面封止機能を保ちながら効果的に排水を行うことができる。
【0051】
(実施の形態4)
図13、図14、図15を参照して、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0052】
上記実施の形態1、実施の形態2、および実施の形態3では、排水のための切欠部あるいは穴を設けたが、本実施の形態では、別部材を用いて枠体5と端面封止部材1の間に排水用の隙間を設けた点が異なる。
【0053】
図13は、端面封止部材1に隙間形成用部材18を配置した場合の全体斜視図である。隙間形成用部材18の素材は、端面封止部材1と少なくとも同等の耐水性、耐熱性、耐紫外線性、耐薬品性をもつガラス、金属等の無機物や、ポリプロピレン系又はポリスチレン系のエラストマー樹脂などの材料が適している。端面封止部材1と同じ材料でも構わない。
【0054】
隙間形成用部材18は、端面封止部材1に接着剤などで固定される。この状態で端面封止部材1に太陽電池モジュール本体4を挿入した状態で枠体5に嵌め込んだときに、隙間形成用部材18に端面封止部材1が押されて枠体5と端面封止部材1の間に隙間ができて、その隙間を雨水などが通り、排水される。
【0055】
図14(a)は、図13に示した端面封止部材1のD−D線断面図、図14(b)はE−E線断面図である。
【0056】
図15は、図13の状態で、端面封止部材1に太陽電池モジュール本体4を挿入した状態で枠体5に嵌め込んだ状態におけるF−F線断面図である。隙間形成用部材18により、端面封止部材1と枠体5の間に隙間19ができ、この隙間により、太陽電池モジュール本体4の受光面側に溜まった水は、受光面側から裏面側に誘導され、排水される。なお、端面封止部材1に太陽電池モジュール本体4を挿入した後、隙間形成用部材18を取り付けてから枠体5に嵌め込んでも構わない。
【0057】
また、実施の形態4では端面封止部材1と枠体5の間案に隙間形成用部材18を介して隙間19を形成したが端面封止部材1と太陽電池モジュール本体4の間に隙間形成用部材18を介してもよい。この場合は、端面封止部材1と太陽電池モジュール本体4との段差がなくなり、太陽電池モジュール本体4の受光面に溜まった水がスムーズに排水されるという効果がある。
【0058】
さらに端面封止部材1と太陽電池モジュール本体4と枠体5は組み立て後も取り外して分離可能な構成となっている。このため、太陽電池モジュール2の組み立て後であっても、隙間形成用部材18の大きさ、配される位置、数によって形成される排水用の隙間19の大きさ、位置、数などの調整が容易に行える。
【0059】
なお、本発明の各実施形態において、外側切欠部15、内側切欠部16、穴17、隙間形成用部材18の形状、大きさ、および配置場所、配置数は屋根の角度、気候、その他の条件によって適宜決定すればよい。
【0060】
ここで、端面封止部材1の材質としては、熱可塑性エラストマー樹脂もしくは熱硬化性エラストマー樹脂がふさわしく、具体的にはポリプロピレン系又はポリスチレン系のエラストマー樹脂が好適であり、より具体的にはポリプロピレン系エラストマー樹脂として、例えばPP−EPDM(ポリプロピレン−エチレン・プロピレン・ジエン共重合系合成ゴム)の共重合体、ポリスチレン系エラストマー樹脂として例えばポリスチレン−イソプレンの共重合体がより好適である。
【0061】
また、端面封止部材1の形状についても、太陽電池モジュール本体4を枠体5に嵌め込む際の作業性、密着性を高めるために、端面封止部材1の形状は上記に示す以外にもモジュールの形状、枠体の形状に合わせて形成すればよい。
【0062】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行ったが、上述の各実施の形態の構成を適宜組み合わせることも可能である。
【0063】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0064】
1 端面封止部材
2 太陽電池モジュール
4 太陽電池モジュール本体
5 枠体
11 上側封止片
12 下側封止片
13 横側封止片
14 凹溝部
15 外側切欠部
15a 先端切欠部
16 内側切欠部
17 穴
18 隙間形成用部材
32 薄肉部
41 受光面ガラス
42a 受光面側封止用樹脂層
42b 裏面側封止用樹脂層
43 太陽電池セル
44 封止耐候性フィルム
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光エネルギーを利用して発電を行う太陽電池モジュールに関するものであり、特に枠体を備えた太陽電池モジュールの排水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境問題への関心が高まりつつある中、自然エネルギーを利用した新しいエネルギー技術が大いに注目されている。そのひとつとして、太陽エネルギーを利用したシステムの関心が高く、特に光電変換効果を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽光発電は、クリーンなエネルギーを得る手段として広く行われている。
【0003】
太陽電池素子は、たとえば単結晶シリコン基板や、多結晶シリコン基板を用いて作製されている。太陽電池素子1枚では発生する電気出力が小さいため、複数の太陽電池素子を直並列に接続して実用的な電気出力が得られるように、これら複数の太陽電池素子を電気的に接続している。
【0004】
太陽電池モジュール本体は、通常裏面側にバックカバーを配置し、このバックカバーの上面側に直列あるいは並列に接続された複数の太陽電池素子を並べて配置し、これらの太陽電池素子を封止樹脂にて封止し、受光面側に透明基板(ガラス)を配置した構造となっている。
【0005】
さらに、この太陽電池モジュール本体の外周部を囲む形のコの字状の枠体に、封止部材や接着剤等の緩衝材を介して、太陽電池モジュール本体を取り付けた構造の太陽電池モジュールが多用されている。
【0006】
上述のように、太陽電池素子はその両面を封止樹脂で封止され、枠体への取り付けに使用されるブチルゴム、シリコン樹脂などの接着剤、あるいはポリプロピレン系またはポリスチレン系のエラストマー樹脂等で端面が封止され、水分が浸入しないように防水されている。
【0007】
しかしながら、上記のように太陽電池モジュールは太陽電池モジュール本体をモジュール枠体に嵌め込んだ構造であるため、太陽電池モジュール本体の受光面部と枠体との間に段差ができる。太陽電池モジュールを野外に設置した場合、この段差のために降雨時に太陽電池モジュールの受光面に雨水が溜まり、その後雨水が蒸発した後に塵や埃、煤煙などの汚れが太陽電池モジュールの受光面部に付着してしまい、太陽電池モジュール本体へ到達する光の量が減少し、太陽電池モジュールの発電量が低下するという問題があった。
【0008】
この問題に関する対策として特許文献1ではモジュール枠体の一部に雨水を排水するための切欠部を設けることが考案されている。
【0009】
また別の対策として、特許文献2では太陽電池モジュール本体の角部に三角形状等の穴を設け、この穴部から雨水が排水できるようにすることが提案されている。
【0010】
上記のそれぞれの構成により、雨水が太陽電池モジュールの受光面に溜まり、それが蒸発した後の汚れにより発電量の低下を招くことを回避している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】実開平 6−17257号公報
【特許文献2】特開 2005−209960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1のように、枠体の一部に雨水を排水するための切欠部を設けるという技術によれば、そのモジュール枠体は切欠部のために太陽電池モジュールの機械的強度が低下してしまい、太陽電池モジュールを屋外に設置したときに積雪や強風などに対して十分な耐候性能が得られないという課題がある。
【0013】
また、特許文献2のように、太陽電池モジュール本体の角部に三角形状等の穴を設け、この穴部から雨水を排水できるようにするという技術によれば、太陽電池モジュールに穴が開いていることから外観がよくない上、穴を開けるための工程が増えるという問題がある。
【0014】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、端面封止部材を用いた太陽電池モジュールにおいて、枠体を加工することなく、なおかつ外観を損ねることなく、雨水等の排水を効果的に行うことができる太陽電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の太陽電池モジュールは、太陽電池モジュール本体と、前記太陽電池モジュール本体を保持する枠体と、前記太陽電池モジュール本体の端面を封止する端面封止部材とを備える太陽電池モジュールであって、前記太陽電池モジュール本体は、前記端面封止部材を用いて前記枠体に嵌合されており、前記太陽電池モジュール本体と前記端面封止部材は、分離可能であり、前記端面封止部材は、前記太陽電池モジュールの受光面側から裏面側への排水用の空間を備えることを特徴としている。
【0016】
また、本発明の太陽電池モジュールは、前記排水用の空間が前記枠体と前記端面封止部材の間に設けられていることを特徴としている。
【0017】
また、本発明の太陽電池モジュールは、前記排水用の空間が前記太陽電池モジュール本体と前記端面封止部材の間に設けられていることを特徴としている。
【0018】
また、本発明の太陽電池モジュールは、前記排水用の空間が前記端面封止部材に設けられた切欠部であることを特徴としている。
【0019】
また、本発明の太陽電池モジュールは、前記排水用の空間が前記端面封止部材に取り付けられた隙間形成用部材によって形成されることを特徴としている。
【0020】
また、本発明の太陽電池モジュールは、前記排水用の空間が前記端面封止部材に設けられた穴であることを特徴としている。
【0021】
また、本発明の太陽電池モジュールは、前記端面封止部材の材質がエラストマー樹脂であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
本発明の太陽電池モジュールによれば、枠体を加工することなく、強度を保ったまま用いることができ、なおかつ住宅等に設置後、外観を損ねることなく、雨水等の排水を効果的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】スーパーストレート構造の太陽電池モジュール本体の断面図である。
【図2】(a)は、太陽電池モジュールの平面図、(b)は、(a)におけるB矢視図、(c)は、(a)におけるC矢視図である。
【図3】太陽電池モジュールの枠体の断面図である。
【図4】実施の形態1の端面封止部材の全体斜視図である。
【図5】(a)は、図4の端面封止部材のD−D線断面図、(b)はE−E線断面図である。
【図6】実施の形態1の端面封止部材を太陽電池モジュール本体の端部に嵌め込んだ状態を示す断面図である。
【図7】実施の形態1の太陽電池モジュール本体の端部を枠体の溝部に嵌め込んだ状態を示す断面図である。
【図8】実施の形態1の端面封止部材の別の態様の断面図である。
【図9】実施の形態2の端面封止部材の全体斜視図である。
【図10】(a)は、図9の端面封止部材のD−D線断面図、(b)はE−E線断面図である。
【図11】実施の形態3の端面封止部材の全体斜視図である。
【図12】(a)は、図11の端面封止部材のD−D線断面図、(b)はE−E線断面図である。
【図13】実施の形態4の端面封止部材の全体斜視図である。
【図14】(a)は、図13の端面封止部材のD−D線断面図、(b)はE−E線断面図である。
【図15】図13の状態で、太陽電池モジュール本体を挿入した状態で枠体に嵌め込んだ状態のF−F線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
【0025】
図1は、スーパーストレート構造の太陽電池モジュール本体4の端部45を一部拡大して示す断面図である。45aは太陽電池モジュール本体4の端面である。太陽電池モジュール本体4は、例えば表面側である受光面ガラス41上(図面では下側)にエチレンビニルアセテート(EVA)からなる受光面側封止用樹脂層42a、多結晶シリコンにより形成された太陽電池セル43、エチレンビニルアセテート(EVA)からなる裏面側封止用樹脂層42b、封止耐候性フィルム44の順に積層され、一体化ラミネート加工されたスーパーストレート型構造のものである。
【0026】
なお、太陽電池モジュール本体4は、スーパーストレート構造に限ったものではなく、枠体によって太陽電池モジュール本体を保持され、太陽電池モジュールを形成するものであれば他の構造のものでもよい。また、太陽電池セル43も、多結晶シリコンに限るものではなく、単結晶やアモルファス、薄膜構造やフィルム構造、シリコン以外の材料、およびこれらの複合体など、光の照射によって発電するものが全て含まれる。さらに、太陽電池モジュール本体4を構成する部材も上記の機能や材料・構成に限定されない。
【0027】
図2(a)は、太陽電池モジュール2の平面図、図2(b)は図2(a)におけるB矢視図、図2(c)は図2(a)におけるC矢視図である。枠体5は、上記太陽電池モジュール本体4の四辺を保持するものであって、上側フレーム材51、下側フレーム材52、左右一対の側端フレーム材53、54を備えており、これらフレーム材51、52、53、54が一体的に組み立てられることにより、枠状に形成されている。各フレーム材51、52、53、54はアルミニウムの押出加工によりそれぞれ形成される。
【0028】
図3は、枠体5を構成している側端フレーム材54の断面図である。側端フレーム材54は、矩形の閉断面を有するフレーム本体54aを備えるとともに、このフレーム本体54aの上面の外側端(図中左端)から上方に延びた後、内側(図中右側)へ折り曲げられて成る延長屈曲片54bが設けられている。これにより、フレーム本体54aの上面と延長屈曲片54bの水平部分との間で太陽電池モジュール本体4の外周端部45が嵌り込む溝部54cが形成されている。なお、枠体5を構成するフレーム材は、本実施の形態に限らず、太陽電池モジュール本体4の端部45を支持する材質・構成が全て含まれる。
【0029】
(実施の形態1)
本発明の第1の実施形態について説明する。
【0030】
図4は、実施の形態1に係る端面封止部材1の全体斜視図である。端面封止部材1は図2に示す太陽電池モジュール本体4の外形に沿って一体形成された枠形状となっており、太陽電池モジュール本体4の端部45の全周を嵌め込んだ状態で、枠体5の各フレーム51、52、53、54に挿入される。
【0031】
端面封止部材1は、太陽電池モジュール本体4が嵌め込まれる凹溝部14を形成する断面がコの字状になっており、端面封止部材1の少なくとも一部に薄肉部32が設けられている。太陽電池モジュール本体4の端部45が端面封止部材1に嵌め込まれた状態で枠体5に挿入された際、薄肉部32と枠体5との間にできる空間を雨水などが通り、排水される。
【0032】
図5(a)は、図4に示した端面封止部材1のD−D線断面図、図5(b)は薄肉部32のE−E線断面図である。端面封止部材1は図5(a)に示すように断面略コの字形もしくは略Uの字形に形成されており、太陽電池モジュール本体4の表面側である受光面ガラス41に当接する上側封止片11と太陽電池モジュール本体4の封止耐候性フィルム44に当接する下側封止片12と太陽電池モジュール本体4の端面45aに当接する横側封止片13とで構成されている。これら上側封止片11、下側封止片12及び横側封止片13によって太陽電池モジュール本体4の端部45を嵌め込む凹溝部14が形成されている。
【0033】
さらに、この端面封止部材1の一部に設けられた薄肉部32では、図5(b)に示すように、端面封止部材1が点線との差の分だけ薄く形成されて、外側切欠部15を成している。このように薄肉部32が設けられることにより、外側切欠部15を通って、雨水などが、排水される溝構造となっている。外側切欠部15の深さは、端面封止部材1の厚みよりも小さく、且つ排水が効率的に行えるように適宜決定すればよい。外側切欠部15の深さを、端面封止部材1の厚みよりも小さくすることで、端面封止部材1が分断されることがなく、一体成型が可能となる上、薄肉部32においても太陽電池モジュール本体4の端面の封止機能が保たれている。
【0034】
端面封止部材1は、プレス成型、射出成型などであらかじめ薄肉部32を形成する一体成型以外に、端面封止部材1の一部にハンダゴテなどで熱加工を行い、薄肉部32を形成する方法で製作される。ハンダゴテなどを用いた熱加工により、薄肉部32を形成する方法を用いれば、薄肉部32を適宜、適切な場所に容易に形成することが可能となる。いずれの方法でも、端面封止部材1と太陽電池モジュール本体4と枠体5は組み立て後も取り外して分離可能な構成となっているので、太陽電池モジュール2の組み立て後であっても、端面封止部材1の薄肉部32の位置や大きさ、数などの調整が容易である。なお、端面封止部材1に薄肉部32を形成する方法の種類にかかわらず、薄肉部32を作成することによって形成された空間をここでは切欠部と呼ぶ。
【0035】
図6は、上記構成の端面封止部材1を太陽電池モジュール本体4の端部45に嵌め込んだ状態を示している。図6(a)は外側切欠部15のない部分、図6(b)は外側切欠部15のある部分(薄肉部32)におけるそれぞれの断面図である。
【0036】
図7は、図6に示したように端面封止部材1に太陽電池モジュール本体4の端部45を嵌め込んだ状態で、太陽電池モジュール本体4の端部45を枠体5の溝部54cに挿入した状態を示す断面図で、図7(a)は外側切欠部15のない部分、図7(b)は外側切欠部15のある部分(薄肉部32)である。溝部54cの内面に沿って端面封止部材1が変形し、端面封止部材1の上側封止片11、下側封止片12、及び横側封止片13のそれぞれが枠体5の溝部54cに密着するとともに太陽電池モジュール本体4の端部45にも密着することで、太陽電池モジュール本体4の端面45aが封止される。そして、端面封止部材1に設けられた薄肉部32と枠体5と間にできる外側切欠部15が適切な排水用の空間を形成している。また、薄肉部32においても端面封止部材1の上側封止片11、下側封止片12、及び横側封止片13のそれぞれが太陽電池モジュール本体4の端部45に密着することで、太陽電池モジュール本体4の端面45aが封止される。
【0037】
図8は、端面封止部材1の別の態様を示しており、端面封止部材1の薄肉部32の上側封止片11の先端角部に先端切欠部15aを設けている。先端切欠部15aは、端面封止部材1の上側封止片11の先端内側から、外側に向かって斜め方向に設けられており、薄肉部32の上側封止片11の先端外側の角部を切り取った形状になっている。この先端切欠部15aを設けることにより、受光面との段差が小さくなり、排水がよりスムーズに行われるようになる。
【0038】
本実施の形態1によれば、太陽電池モジュールにおいて、端面封止機能を保ちながら効果的に排水を行うことができる。
【0039】
(実施の形態2)
図9、図10を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0040】
上記実施の形態1では、外側切欠部15を端面封止部材1と枠体5とが接する面側に設けているが、本実施の形態2では、太陽電池モジュール本体4と接する面側に内側切欠部16を設けている点が異なる。
【0041】
図9は、実施の形態2に係る端面封止部材1の全体斜視図である。端面封止部材1は図2に示す太陽電池モジュール本体4の外形に沿って形成された枠形状となっており、太陽電池モジュール本体4の端部45全周を嵌め込んだ状態で、枠体5の各フレーム51、52、53、54に挿入される。
【0042】
端面封止部材1は、太陽電池モジュール本体4が嵌め込まれる凹溝部14を形成する断面がコの字状になっており、端面封止部材1の少なくとも一部に薄肉部32が設けられている。太陽電池モジュール本体4の端部45が端面封止部材1に嵌め込まれた状態で枠体5に挿入された際、薄肉部32と太陽電池モジュール本体4との間にできる空間を雨水などが通り、排水される。
【0043】
図10(a)は、図9に示した端面封止部材1のD−D線断面図、図10(b)は薄肉部32のE−E線断面図である。本実施の形態の場合、内側切欠部16のある部分は太陽電池モジュール本体4の端面が封止されていないため、内側切欠部16と接する太陽電池モジュール4の端面にシリコン樹脂などを塗布するなどして、別途封止処理を行うか、太陽電池モジュール本体4の端面の封止機能が損なわれない程度に、内側切欠部16の大きさを調整する。
【0044】
本実施の形態2によれば、太陽電池モジュール本体4と接する面側に内側切欠部16を設けたことにより、端面封止部材1と太陽電池モジュール本体4との段差がなくなり、上記実施の形態1で示した先端切欠部15aを設けなくても、太陽電池モジュール本体4の受光面に溜まった水がスムーズに排水されるという効果がある。
【0045】
本実施の形態2によれば、太陽電池モジュールにおいて、端面封止機能を保ちながら効果的に排水を行うことができる。
【0046】
(実施の形態3)
図11、図12を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0047】
上記実施の形態1、及び実施の形態2では、排水のための切欠部を設けたが、本実施の形態では、端面封止部材1に切欠部の代わりに、排水用の穴17を設けた点が異なる。
【0048】
図11は、端面封止部材1に排水用の穴17を設けた場合の全体斜視図である。この穴17を雨水などが通り、排水される。
【0049】
図12(a)は、図11に示した端面封止部材1のD−D線断面図、図12(b)はE−E線断面図である。端面封止部材1に穴17をあけ、排水用の通路を設けている。この通路により、太陽電池モジュール本体4の受光面側に溜まった水は、受光面側から裏面側に誘導され、排水される。
【0050】
本実施の形態3によれば、太陽電池モジュールにおいて、端面封止機能を保ちながら効果的に排水を行うことができる。
【0051】
(実施の形態4)
図13、図14、図15を参照して、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0052】
上記実施の形態1、実施の形態2、および実施の形態3では、排水のための切欠部あるいは穴を設けたが、本実施の形態では、別部材を用いて枠体5と端面封止部材1の間に排水用の隙間を設けた点が異なる。
【0053】
図13は、端面封止部材1に隙間形成用部材18を配置した場合の全体斜視図である。隙間形成用部材18の素材は、端面封止部材1と少なくとも同等の耐水性、耐熱性、耐紫外線性、耐薬品性をもつガラス、金属等の無機物や、ポリプロピレン系又はポリスチレン系のエラストマー樹脂などの材料が適している。端面封止部材1と同じ材料でも構わない。
【0054】
隙間形成用部材18は、端面封止部材1に接着剤などで固定される。この状態で端面封止部材1に太陽電池モジュール本体4を挿入した状態で枠体5に嵌め込んだときに、隙間形成用部材18に端面封止部材1が押されて枠体5と端面封止部材1の間に隙間ができて、その隙間を雨水などが通り、排水される。
【0055】
図14(a)は、図13に示した端面封止部材1のD−D線断面図、図14(b)はE−E線断面図である。
【0056】
図15は、図13の状態で、端面封止部材1に太陽電池モジュール本体4を挿入した状態で枠体5に嵌め込んだ状態におけるF−F線断面図である。隙間形成用部材18により、端面封止部材1と枠体5の間に隙間19ができ、この隙間により、太陽電池モジュール本体4の受光面側に溜まった水は、受光面側から裏面側に誘導され、排水される。なお、端面封止部材1に太陽電池モジュール本体4を挿入した後、隙間形成用部材18を取り付けてから枠体5に嵌め込んでも構わない。
【0057】
また、実施の形態4では端面封止部材1と枠体5の間案に隙間形成用部材18を介して隙間19を形成したが端面封止部材1と太陽電池モジュール本体4の間に隙間形成用部材18を介してもよい。この場合は、端面封止部材1と太陽電池モジュール本体4との段差がなくなり、太陽電池モジュール本体4の受光面に溜まった水がスムーズに排水されるという効果がある。
【0058】
さらに端面封止部材1と太陽電池モジュール本体4と枠体5は組み立て後も取り外して分離可能な構成となっている。このため、太陽電池モジュール2の組み立て後であっても、隙間形成用部材18の大きさ、配される位置、数によって形成される排水用の隙間19の大きさ、位置、数などの調整が容易に行える。
【0059】
なお、本発明の各実施形態において、外側切欠部15、内側切欠部16、穴17、隙間形成用部材18の形状、大きさ、および配置場所、配置数は屋根の角度、気候、その他の条件によって適宜決定すればよい。
【0060】
ここで、端面封止部材1の材質としては、熱可塑性エラストマー樹脂もしくは熱硬化性エラストマー樹脂がふさわしく、具体的にはポリプロピレン系又はポリスチレン系のエラストマー樹脂が好適であり、より具体的にはポリプロピレン系エラストマー樹脂として、例えばPP−EPDM(ポリプロピレン−エチレン・プロピレン・ジエン共重合系合成ゴム)の共重合体、ポリスチレン系エラストマー樹脂として例えばポリスチレン−イソプレンの共重合体がより好適である。
【0061】
また、端面封止部材1の形状についても、太陽電池モジュール本体4を枠体5に嵌め込む際の作業性、密着性を高めるために、端面封止部材1の形状は上記に示す以外にもモジュールの形状、枠体の形状に合わせて形成すればよい。
【0062】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行ったが、上述の各実施の形態の構成を適宜組み合わせることも可能である。
【0063】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0064】
1 端面封止部材
2 太陽電池モジュール
4 太陽電池モジュール本体
5 枠体
11 上側封止片
12 下側封止片
13 横側封止片
14 凹溝部
15 外側切欠部
15a 先端切欠部
16 内側切欠部
17 穴
18 隙間形成用部材
32 薄肉部
41 受光面ガラス
42a 受光面側封止用樹脂層
42b 裏面側封止用樹脂層
43 太陽電池セル
44 封止耐候性フィルム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュール本体と、
前記太陽電池モジュール本体を保持する枠体と、
前記太陽電池モジュール本体の端面を封止する端面封止部材とを備える太陽電池モジュールであって、
前記太陽電池モジュール本体は、前記端面封止部材を用いて前記枠体に嵌合されており、
前記太陽電池モジュール本体と前記端面封止部材は、分離可能であり、
前記端面封止部材は、前記太陽電池モジュールの受光面側から裏面側への排水用の空間を備えることを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記排水用の空間は、前記枠体と前記端面封止部材の間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記排水用の空間は、前記太陽電池モジュール本体と前記端面封止部材の間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記排水用の空間は、前記端面封止部材に設けられた切欠部であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項5】
前記排水用の空間は、前記端面封止部材に取り付けられた隙間形成用部材によって形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】
前記排水用の空間は、前記端面封止部材に設けられた穴であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項7】
前記端面封止部材の材質がエラストマー樹脂であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項1】
太陽電池モジュール本体と、
前記太陽電池モジュール本体を保持する枠体と、
前記太陽電池モジュール本体の端面を封止する端面封止部材とを備える太陽電池モジュールであって、
前記太陽電池モジュール本体は、前記端面封止部材を用いて前記枠体に嵌合されており、
前記太陽電池モジュール本体と前記端面封止部材は、分離可能であり、
前記端面封止部材は、前記太陽電池モジュールの受光面側から裏面側への排水用の空間を備えることを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記排水用の空間は、前記枠体と前記端面封止部材の間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記排水用の空間は、前記太陽電池モジュール本体と前記端面封止部材の間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記排水用の空間は、前記端面封止部材に設けられた切欠部であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項5】
前記排水用の空間は、前記端面封止部材に取り付けられた隙間形成用部材によって形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】
前記排水用の空間は、前記端面封止部材に設けられた穴であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項7】
前記端面封止部材の材質がエラストマー樹脂であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−159927(P2011−159927A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22647(P2010−22647)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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