説明

太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルム

【課題】 耐候性および耐加水分解性が極めて良好なポリエステルフィルムであり、クリーンエネルギーの1つとして近年注目されている太陽電池の裏面保護材の基材用として好適に利用することのできるポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 末端カルボキシル基量が26当量/トン以下であり、極限粘度が0.65以上であるポリエステルフィルムの少なくとも片面に、ポリアリレート樹脂を含有する塗布層を有することを特徴とする太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムに関するものであり、詳しくは、少なくとも一方の面に耐候性付与層を有し、ポリエステルフィルム自体の耐加水分解性も良好な、太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電は、近年、クリーンで、地球温暖化防止に役立つエネルギー源として注目を集めており、既にかなりの普及が始まりつつある。この太陽光発電の代表として、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等の半導体を使った太陽電池を挙げることができる。太陽電池は、半導体に太陽光が当たると電流を取り出せるという原理を実用化したものである。
【0003】
太陽電池は、ガラス/封止材(主にEVA)/半導体/封止材(主にEVA)/裏面保護材で構成される。この太陽電池は、設置される場所が、砂漠や荒地などの未利用地や、家屋あるいは大型建造物の屋根などであり、何れも太陽があたる場所である。よって、太陽電池は、裏面保護材にも太陽光に対する耐候性が要求される。また、通常湿潤環境下に置かれることから、耐湿熱性も要求される。
【0004】
このような裏面保護材に対して、ポリエステルフィルムが部材として用いられている。特に、価格、部材の供給の面から、ポリエステルフィルムを積層し、かつ、ポリエステルフィルムが外気に直接接する最外層に用いられる裏面保護材が開発されている。裏面保護材用ポリエステルフィルムとして、特許文献1には、分子量を既定し、耐加水分解性を向上させた裏面保護材用ポリエステルフィルムに関する発明が記載されている。しかしながら、当該発明による太陽電池裏面保護材は、多くの太陽光に暴露されると、太陽光中の紫外線により劣化が進み、長期間の使用に耐え難いものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−26354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記実状に鑑みなされたものであって、その解決課題は、耐候性、耐加水分解性が良好な太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記実状に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成からなるポリエステルフィルムを用いれば、上述の課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明の要旨は、末端カルボキシル基量が26当量/トン以下であり、極限粘度が0.65以上であるポリエステルフィルムの少なくとも片面に、ポリアリレート樹脂を含有する塗布層を有することを特徴とする太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルム少なくとも片面に、ポリアリレート樹脂を含有する塗布層を有するポリエステルフィルムに存する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、優れた耐候性、耐加水分解性を有した太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムを提供でき、本発明の工業的価値は高い。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、基材となるポリエステルフィルムが高温高湿度環境下でも優れた耐加水分解性を有すると同時に、耐加水分解性を有し、かつ、耐候性を有した樹脂を当該ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布することで、長期間の屋外での使用に必要な耐候性、耐加水分解性を、フィルムとして発現するものとなる、との技術思想に基づくものである。基材のポリエステルフィルムか、その上に設けられた塗布層の何れかが、耐加水分解性に劣る場合には、長期間の屋外での使用において、破壊が生じてしまう、また、太陽光が直接当たる塗布層に耐候性がない場合、基材のポリエステルフィルムが太陽光中の紫外線により劣化し、破壊が生じてしまう。この技術思想に基づいて、本発明の基材となるポリエステルフィルムと、塗布層に大別して順次説明する。
【0011】
本発明のフィルムの基材として使用するポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られる芳香族ポリエステルを指す。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4―シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらのポリエステルの中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)は、コストと性能のバランスに優れており、本発明においては、ポリエステルフィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルムを好ましく用いることができる。
【0012】
本発明の基材となるポリエステルフィルムのポリエステル原料は、通常ポリエステルの重合でよく用いられるアンチモン、チタン、ゲルマニウムなどの金属化合物重合触媒を用いることができる。ただし、これらの触媒量が多いと、フィルム化のためのポリエステルを溶融させた際に、分解反応起きやすくなり、分子量の低下などにより末端カルボキシル基濃度が高くなり、耐加水分解性が劣るようになる。一方で重合触媒量が少な過ぎる場合には、重合反応速度が低下するので、重合時間が長くなって末端カルボキシル基濃度が高くなり、結果的に耐加水分解性を悪化させることになる。このため、本発明においては、アンチモンであれば、通常50〜400ppm、好ましくは100〜350ppm、チタンであれば、通常1〜20ppm、好ましくは2〜15ppm、ゲルマニウムであれば、通常3〜50ppm、好ましくは5〜40ppmの範囲とする。またこれらの重合触媒は、2種類以上を組み合わせて使用することも可能である。なお、本発明のポリエステルフィルム中の化合物の量は、後述する蛍光X線分析装置を用いた分析にて検出する。
【0013】
本発明のポリエステルフィルムで用いるポリエステル原料の触媒はチタンであることが、透明性の点で好ましい。また、チタン元素含有量は10ppm以下であることが好ましく、さらに好ましくは9ppm以下、特に好ましくは8ppm以下である。下限については特にないが、実際には2ppm程度が現在の技術では下限となる。チタン化合物の含有量が多すぎると、チタン原子の活性化が高いため、ポリエステルを溶融押出する工程でオリゴマーが副生成しやすく、その結果裏面保護材とした際の他部材との接着性が劣る傾向がある。また、チタン元素を全く含まない場合、ポリエステル原料製造時の生産性が劣り、目的の重合度に達したポリエステル原料を得られないことがある。
【0014】
本発明の基材となるポリエステルフィルムは、耐加水分解性を損なわない範囲であれば、着色顔料を含有してもよい。屋根の色と調和する着色であれば制限はない。この着色顔料には、公知の無機顔料、有機顔料などを用いることができる。
【0015】
使用される無機顔料としては、例えば、二酸化チタンや硫酸バリウムのような白色顔料、ベンガラ、モリブデンレッド、カドミウムレッド、などの赤色顔料、赤口黄鉛、クロムパーミリオンなどの橙色顔料、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルーなどの青色顔料、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、コバルトグリーンなどの緑色顔料、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエローなどの黄色顔料、マンガンバイオレット、ミネラルバイオレットなどの紫色顔料、黒色酸化鉄などの黒色顔料が挙げられる。黒色顔料には、カーボンブラック(チャネル、ファーネス、アセチレン、サーマル等)、カーボンナノチューブ(単層、多層)、アニリンブラック等も用いることもできる。
【0016】
また、有機顔料としては、例えば、縮合アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、オキサジン、キサンテン、イソインドリノン、キノフタロン、アンスラキノン系などを挙げることができる。
【0017】
これらのなかでは、有機顔料よりも無機顔料やカーボンブラックやカーボンナノチューブなどの方が、ポリエステルの溶融成型時の耐熱性や、屋外で使用した際の耐光性に優れることが多い。また、これらのなかでも、太陽電池セルとの色調の類似性、着色顔料の着色力や経済性、ポリエステルに対して分解を促進させる等の影響がほとんどないことを加味すると、カーボンブラックが本発明の太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムには好適である。
【0018】
上記の着色顔料は1種類を単独で用いてもよいが、色調を調整する目的等で2種類以上の着色顔料を併用できる。また、上記の着色顔料は、粒子種によってその好ましい粒子径の範囲が異なるが、平均粒子径としては通常0.01〜10μm、好ましくは0.02〜5μmの範囲の範囲いから選択するのが良い。特に着色顔料に隠蔽力に関しては、一般的に平均粒子径の小さくなるに従い隠蔽力が高まり、光の波長の1/2前後の大きさで最大となり、さらに小さくなると隠蔽力は急激に減少して透明性が大きくなることを勘案して、0.05〜2μm程度の平均粒子径のものを使用することが、隠蔽力を高める上で好ましい。
【0019】
ポリエステルフィルム中に添加する上記着色顔料の他に、色調を調整するなどの目的で、付加的に白色顔料を併用して添加することができる。この白色顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウムなどを例示することができる。白色顔料の平均粒径は、通常0.01〜10μm、好ましくは0.02〜5μmの範囲で選択できる。そして調色した後のフィルムの色調は、明度(L*)は40%以下、さらには30%以下とするように添加量を調節して、太陽電池セルの色調(明度)に近づけることが好ましい。 さらに、本発明のポリエステルフィルム中には、上記の着色顔料や白色顔料の他に、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合してもよい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化珪素、カオリン、酸化アルミニウム等の粒子が挙げられる。また、特公昭59―5216号公報、特開昭59―217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
【0020】
また、易滑性を付与するために用いる粒子は、平均粒径で通常0.1〜10μmが好ましく、添加量としては、0.005〜5.0重量%の範囲で選択することができる。
【0021】
ポリエステルフィルム中に上記の着色顔料や易滑性付与粒子等を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、原料となるポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後に添加し、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き二軸押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とを混錬する方法、または乾燥させた粒子とポリエステル原料とを混錬する方法などによって行われる。特に着色顔料や白色顔料の場合には、高濃度のマスターバッチとしてポリエステル原料に添加しておき、フィルムの製膜時にこれを希釈する形で使用することが、フィルムを構成するポリエステルの末端カルボキシル基量を低くする点で好ましい。
【0022】
なお、本発明のポリエステルフィルム中には、上述の着色顔料や易滑性付与粒子等の他に、必要に応じて従来公知の酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等を添加することができる。また、耐光性を向上する目的で、ポリエステルに対して0.01〜5重量部の範囲で紫外線吸収剤を含有させることができる。この紫外線吸収剤には、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾオキサジノン系などを挙げることができるが、これらの中でも、特にベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤等が好ましく用いられる。また、これらの紫外線吸収剤は、後述するようにフィルム自体が3層以上の積層構造である場合には、その中間層に添加する方法も好ましく用いることができる。もちろん、これらの紫外線吸収剤や添加剤は、高濃度マスターバッチとして作成し、これを製膜時に希釈使用することができる。
【0023】
本発明においては、ポリエステルの溶融押出機を2台または3台以上用いて、いわゆる共押出法により2層または3層以上の積層フィルムとすることができる。層の構成としては、A原料とB原料とを用いたA/B構成、またはA/B/A構成、さらにC原料を用いてA/B/C構成またはそれ以上に層の数を増やした構成のフィルムとすることができる。
【0024】
本発明のポリエステルフィルムは、後述する測定方法によってフィルム全体(塗布層を除いた部分)の末端カルボキシル基量が26当量/トン以下であることが必要であり、好ましくは24当量/トン以下である。末端カルボキシル基量が26当量/トンを超えると、ポリエステルフィルムの耐加水分解性が劣る傾向となる。ポリエステルフィルムの耐加水分解性は、フィルム全体に関連する特性であり、本願発明においては、当該フィルムを構成するポリエステル全体として末端カルボキシル基量が前述した範囲であることが必要である。一方、本願発明の耐加水分解性を鑑みると、ポリエステルの末端カルボキシル基量の下限はないが、重縮合反応の効率、溶融押出工程での加水分解や熱分解等の点から通常は5当量/トン程度である。
【0025】
本発明のポリエステルフィルムは、後述する測定方法によってフィルム全体(塗布層を除いた部分)の極限粘度は、0.65dl/g以上であることが必要であり、好ましくは0.68dl/g以上である。ポリエステルフィルムの極限粘度を0.65dl/g以上とすることによれば、長期耐久性や耐加水分解性が良好なフィルムが得られる。一方、ポリエステルフィルムの極限粘度の上限はないが、重縮合反応の効率、溶融押出工程での圧力上昇防止の点から0.90dl/g程度である。
【0026】
本発明において、ポリエステルフィルムの末端カルボキシル基量と極限粘度を特定範囲とするため、フィルム製造での、ポリエステル原料を溶融押出する工程において、a)ポリエステルチップに含まれる水分によって加水分解を受けることを極力避けること、b)押出機およびメルトライン内でのポリエステルの滞留時間をできるだけ短くすること、などによって行われる。a)の具体的な例としては、一軸押出機を使用する場合は、原料をあらかじめ水分量が50ppm以下、好ましくは30ppm以下になるように十分乾燥すること、二軸押出機を使用する場合は、ベント口を設け、40ヘクトパスカル以下、好ましくは30ヘクトパスカル以下、さらに好ましくは20ヘクトパスカル以下の減圧を維持すること等の方法を採用することができる。b)の具体的な例としては、押出機への原料投入から溶融シートが口金から吐出し始めるまでの滞留時間として、20分以下、さらには15分以下とすることが好ましい。
【0027】
また、低末端カルボキシル基量でかつ高極限粘度のポリエステル原料を用いて製膜することで、末端カルボキシル基量が特定範囲のポリエステルフィルムを得ることも重要である。具体的には、原料ポリエステルの末端カルボキシル基量が、トータルとして20当量/トン、さらには15当量/トン以下とすることが好ましい。原料ポリエステルの末端カルボキシル基量を低くする方法としては、重合効率を上げる方法や重合速度を速くする方法、分解速度を抑制する方法、溶融重合と固相重合とを併用するなどの従来公知の方法を採用しうる。例えば、重合時間を短くする方法、重合触媒量を増やす方法、高活性の重合触媒を使用する方法、重合温度を低くする方法などによって行われる。固相重合を併用する場合には、溶融重合後これをチップ化し、加熱減圧下または窒素等の不活性気流中で180〜240℃の温度範囲で固相重合を施せばよく、得られるポリエステルの極限粘度は0.70dl/g以上であることが好ましく、0.80dl/gであることがさらに好ましい。また、フィルム製造において、溶融工程を経た再生原料を配合すると末端カルボキシル基量が増大するので、本願発明においてはかかる再生原料を配合しないことが好ましく、配合するとしても20重量部以下とすることが好ましい。
【0028】
本発明の基材となるポリエステルフィルムは、フィルム全体を測定したときに、後述する蛍光X線分析装置を用いた分析にて検出されるリン元素量が、0〜170ppmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0〜140ppmの範囲であり、0ppmであってもよい。当該リン元素は、通常はリン酸化合物に由来するものであって、ポリエステル製造時に触媒成分として添加される。本発明においては、リン元素量が上記範囲を満足することにより、耐加水分解性をフィルムに付与することができる。リン元素量が多すぎると、リン酸化合物が原因となる加水分解を促進することになるため好ましくない。ポリエステルフィルムの耐加水分解性は、フィルム全体に関連する特性であり、本願発明においては含有するリンの含有量は、当該フィルムを構成するポリエステル全体として含有量が前述の範囲であることが好ましい。
【0029】
リン酸化合物の例としては、リン酸、亜リン酸あるいはそれらのエステル、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、亜ホスホン酸化合物、亜ホスフィン酸化合物など公知のものが該当し、具体例としては、正リン酸、モノメチルフォスフェート、ジメチルフォスフェート、トリメチルフォスフェート、モノエチルフォスフェート、ジエチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、エチルアシッドホスフェート、モノプロピルフォスフェート、ジプロピルフォスフェート、トリプロピルフォスフェート、モノブチルフォスフェート、ジブチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、モノアミルフォスフェート、ジアミルフォスフェート、トリアミルフォスフェート、モノヘキシルフォスフェート、ジヘキシルフォスフェート、トリヘキシルフォスフェートなどが挙げられる。
【0030】
以下、本発明のポリエステルフィルムの製造方法に関して具体的に説明するが、本発明の要旨を満足する限り、本発明は以下の例示に特に限定されるものではない。
【0031】
ポリエステルフィルムが単層構成の場合には1台の溶融押出機を使用し、ポリエステルフィルムが多層構成の場合には、その積層構成に応じて必要な数の溶融押出機と、それらを合流積層させるフィードブロックあるいは多層のマルチマニホールドダイを用いる。公知の手法により乾燥したポリエステルチップを一軸押出機に供給、または、未乾燥のポリエステルチップを減圧系に繋いだベント口を有する二軸押出機に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱溶融する。この際、異物を除去するために公知の適切なポリマーフィルターを通してもよいし、ギアーポンプを用いて溶融ポリマーの脈動を低減する方法も採用できる。次いで、溶融したポリマーを口金から押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
【0032】
本発明においては、このようにして得られたシートを二軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを好ましくは縦方向(MD)に70〜145℃で2〜6倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向(TD)に90〜160℃で2〜6倍に延伸を行い、160〜240℃で1〜600秒間熱処理を行う。または、同時二軸延伸機を用いて、縦方向および横方向に70〜160℃で面積倍率として5〜20倍の範囲で同時に延伸した後、同条件で熱処理を行ってもよい。
【0033】
さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。
【0034】
本発明における耐候性付与層であるが、ポリアリレート樹脂を塗布して形成することが必須である。さらに、ポリアリレート樹脂のうち、非晶性ポリアリレート樹脂が好適であり、例えば、ビスフェノールAとフタル酸を重縮合物、ビスフェノールAの誘導体とフタル酸を重縮合物、9,10−ジヒドロフェナンスレン−2,7−ジカルボン酸の重縮合物が例示される。結晶性ポリアリレート樹脂は、有機溶剤への溶解し難く、塗布には不向きである。
【0035】
本発明において、耐候性付与層中に占める前記ポリアリレート樹脂の含有量は、通常50〜100重量%、好ましくは80〜100重量%である。50重量%未満の場合は、ポリアリレート樹脂が連続層にならず、耐候性を発現できない。耐候性を損なわない範囲であれば、ポリエステルフィルムに対しての密着向上のために、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シランカップリング剤、および、着色のための顔料、染料等を含有してもよい。
本発明における耐候性付与層であるが、非晶性ポリアリレート樹脂の具体例を挙げると、ユニチカ製UポリマーU−100、ユニファイナーM−1000、M−2025、M−2040、M−4000、M−9000、M−9000H等が挙げられる。本発明における耐候性塗布層の塗布量(乾燥後)は3〜10g/m、好ましくは3〜5g/mの範囲が好ましい。塗布量(乾燥後)が3g/m未満の場合、耐候性付与特性が低く、耐候性の発現が困難な場合がある。一方、塗布量(Si)が10g/mを超える場合、塗膜がポリエステルフィルムの変形に追従せず、脆性破壊する場合がある。
【0036】
当該ポリエステルフィルムの少なくとも片面に設ける耐候性付与層の形成について説明する。
【0037】
耐候性付与層は、塗布により設けられ、ポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、オフラインコーティングを採用してもよく、両者を併用してもよい。ただし、塗工する樹脂は、水溶性でないこと、ガラス転移温度が高いため、有機溶剤で塗布することで均一に塗布することができるため、オフラインラインコーティングが好ましく用いられる。
【0038】
本発明において、ポリエステルフィルムに耐候性付与層を設けるオフラインコートの方法として、リバースグラビアコート、バーコート、ダイコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
【0039】
耐候性付与層の塗布後の乾燥温度は特に限定されるわけでないが、オフラインコーティングにより耐候性付与層を設ける場合、100〜180℃であり、好ましくは110〜180℃が好適であり、さらに120〜160℃が好適である。100℃以下では、耐候性付与層中に残留溶剤が残ってしまう。一方、180℃以上であると、ポリエステルフィルムに熱シワが発生してしまい、次工程の他部材とのラミネートが困難となる。
【0040】
本発明において、ポリエステルフィルム上に耐候性付与層を形成する際の硬化条件に関しては特に限定されるわけではなく、オフラインコーティングにより耐候性付与層を設ける場合、通常、100〜180℃で3〜40秒間、好ましくは120〜160℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。
【0041】
本発明のポリエステルフィルムにおいて、上述した塗布層を設けた面と反対側の面に、他の塗布層を設けることも可能である。例えば、太陽電池封止材として一般的に使用されているエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(以後、EVAと略することがある)やポリビニルアセタール樹脂(以後、PVBと略することがある)等の封止材樹脂との耐湿熱接着性を向上させることが可能である。
【0042】
反対側の面に形成する他の塗布層の成分としては、ポリカーボネート骨格またはポリエーテル骨格の少なくとも一種を有するポリウレタンと、架橋剤とを含有することが好ましい。ポリカーボネート骨格またはポリエーテル骨格を有するポリウレタンとは、ポリカーボネート骨格またはポリエーテル骨格を有する化合物を、各々ポリオールとして使用したものである。なお、ポリカーボネート骨格とポリエーテル骨格とを同時に有していてもよい。
【0043】
反対側の面に形成するにおける塗布層は、主として水を媒体とした塗布液としてポリエステルフィルム上に塗工されることが好ましい。塗布されるポリエステルフィルムは、予め二軸延伸されたものでもよいが、塗布した後に少なくとも一方向に延伸され、さらに熱固定をする、いわゆるインラインコーティング法を用いることが好ましい。
【0044】
基材となるポリエステルフィルムへの塗布液の塗布方法としては、公知の任意の方法が適用できる。具体的には、ロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、リバースコート法、バーコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法およびカーテンコート法、ダイコート法などを単独または組み合わせて適用することができる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその趣旨を越えない限り、以下の例に限定されるものではない。なお、フィルムの諸物性の測定および評価方法を以下に示す。
【0046】
(1)末端カルボキシル基量(当量/トン)
いわゆる滴定法によって、末端カルボキシル基の量を測定した。すなわちポリエステルをベンジルアルコールに溶解し、フェノールレッド指示薬を加え、水酸化ナトリウムの水/メタノール/ベンジルアルコール溶液で滴定した。フィルムに塗布層が設けてある場合には、この影響をなくすため、研磨剤入りクレンザーを使って塗布層を水で洗い流してから、イオン交換水で十分にすすいで乾燥した後、同様に測定を行った。
【0047】
(2)極限粘度
測定試料1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量部)の溶媒に溶解させて濃度c=0.01g/cm3の溶液を調製し、30℃にて溶媒との相対粘度ηrを測定し、極限粘度[dl/g]を求めた。フィルムに塗布層が設けてある場合には、この影響をなくすため、研磨剤入りクレンザーを使って塗布層を水で洗い流してから、イオン交換水で十分にすすいで乾燥した後、同様に測定を行った。
【0048】
(3)フィルム伸度耐加水分解性
平山製作所製パーソナルプレッシャークッカーPC−242HS−Eを用いて、120℃―100%RHの雰囲気にてフィルムを72時間処理した。次いで、23℃×50%RHで24時間調温・調湿した後、フィルムの機械的特性として、製膜方向(MD)の破断伸度を測定した。測定には株式会社島津製作所製 万能試験機AUTOGRAPHを使用し、幅15mmのサンプルで、チャック間50mmとして、引張り速度200mm/分の条件で行った。処理前後での破断伸度の保持率(%)を下記の式(1)にて算出し、下記の基準で判断した。
破断伸度保持率=処理後の破断伸度÷処理前の破断伸度×100 …(1)
◎:保持率が80%以上
○:保持率が60〜80%未満
△:保持率が30〜60%未満
×:保持率が30%未満
【0049】
(4)フィルム伸度耐候性
スガ試験機製スーパーキセノンウェザーメータSX75を用いて、フィルムを、下記表1のスプレー条件、非スプレー条件で交互に連続処理し、合計100および336時間処理した。次いで、23℃×50%RHで24時間調温・調湿した後、フィルムの機械的特性として、製膜方向(MD)の破断伸度を測定した。測定には株式会社島津製作所製 万能試験機AUTOGRAPHを使用し、幅15mmのサンプルで、チャック間50mmとして、引張り速度200mm/分の条件で行った。処理前後での破断伸度の保持率(%)を下記の式(1)にて算出し、下記の基準で判断した。
破断伸度保持率=処理後の破断伸度÷処理前の破断伸度×100 …(2)
◎:保持率が80%以上
○:保持率が60〜80%未満
△:保持率が30〜60%未満
×:保持率が30%未満
【0050】
【表1】

【0051】
次に以下の例で使用したポリエステル原料について説明する。
ポリエステルフィルムを構成するポリエステル原料例は以下のとおりである。
<ポリエステル原料(1)の製造法>
スラリー調製槽、およびそれに直列に接続された2段のエステル化反応槽、および2段目のエステル化反応槽に直列に接続された3段の溶融重縮合槽からなる連続重合装置を用い、スラリー調製槽に、テレフタル酸とエチレングリコールをそれぞれ毎時865重量部、485重量部で連続的に供給すると共に、エチルアシッドホスフェートの0.3重量%エチレングリコール溶液を、得られるポリエステル樹脂1t当たりの燐原子としての含有量が0.129モル/樹脂tとなる量で連続的に添加して、攪拌、混合することによりスラリーを調製した。このスラリーを、窒素雰囲気下で260℃、相対圧力50kPa(0.5kg/cm)、平均滞留時間4時間に設定された第1段目のエステル化反応槽、次いで、窒素雰囲気下で260℃、相対圧力5kPa(0.05kg/cm)、平均滞留時間1.5時間に設定された第2段目のエステル化反応槽に連続的に移送して、エステル化反応させた。また、その際、第2段目のエステル化反応槽に設けた上部配管を通じて、酢酸マグネシウム4水和物の0.6 重量% エチレングリコール溶液を、得られるポリエステル樹脂1t当たりのマグネシウム原子としての含有量が0.165モル/樹脂tとなる量で連続的に添加すると共に、第2段目のエステル化反応槽に設けた別の上部配管を通じてエチレングリコールを毎時60重量部連続的に追加添加した。引き続いて、前記で得られたエステル化反応生成物を連続的に溶融重縮合槽に移送する際、その移送配管中のエステル化反応生成物に、テトラ−n−ブチルチタネートを、チタン原子の濃度0.15重量%、水分濃度を0.5重量%としたエチレングリコール溶液として、得られるポリエステル樹脂1t当たりのチタン原子としての含有量が0.084モル/樹脂tとなる量で連続的に添加しつつ、270℃、絶対圧力2.6kPaに設定された第1段目の溶融重縮合槽、次いで、278℃、絶対圧力0.5kPaに設定された第2段目の溶融重縮合槽、次いで、280℃、絶対圧力0.3kPaに設定された第3段目の溶融重縮合槽に連続的に移送して、得られるポリエステル樹脂の極限粘度が0.65dl/gとなるように各重縮合槽における滞留時間を調整して溶融重縮合させ、重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口から連続的にストランド状に抜き出して、水冷後、カッターで切断してチップ状粒状体としたポリエステル原料(1)を製造した。末端カルボキシル基量は12当量/tであった。
【0052】
<ポリエステル原料(2)の製造法>
ポリエステル原料(1)を出発原料とし、窒素雰囲気下で約160℃に保持された攪拌結晶化機内に滞留時間が約60分となるように連続的に供給して結晶化させた後、塔型の固相重縮合装置に連続的に供給し、窒素雰囲気下215℃で、得られるポリエステル樹脂の極限粘度が0.75dl/gとなるように滞留時間を調整して固相重縮合させ、ポリエステル原料(2)を得た。末端カルボキシル基量は8当量/tであった。
【0053】
<ポリエステル原料(3)の製造法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラ−n−ブチルチタネートを得られるポリエステル樹脂1t当たりのチタン原子としての含有量が5g/樹脂tとなる量で加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、平均粒子径2.5μmのシリカ粒子のエチレングリコールスラリーを、粒子のポリエステルに対する含有量が1.5重量%となるように添加し、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.60に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステル原料(3)を得た。極限粘度は0.60dl/g、末端カルボキシル基量は21当量/tであった。
【0054】
<ポリエステル原料(4)の製造法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラ−n−ブチルチタネートを得られるポリエステル樹脂1t当たりのチタン原子としての含有量が5g/樹脂tとなる量で加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、平均粒子径2 .5μmのシリカ粒子のエチレングリコールスラリーを、粒子のポリエステルに対する含有量が0.06 重量%となるように添加し、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.55dl/gに相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステルのチップを得た。引き続き、得られたポリエステルチップを真空下220℃で固相重合し、ポリエステル原料(4)を得た。極限粘度は0.75dl/g、末端カルボキシル基量は25当量/tであった。
【0055】
<ポリエステル原料(5)の製造法>
ポリエステル原料(1)の製造法において、エステル化反応生成物を重合させる際に、テトラ−n−ブチルチタネートを、添加しないことを除いて、ポリエステル原料(1)と同様な条件でポリエステル原料(6)重合した。得られたポリエステルチップの極限粘度は0.49dl/gであり、脆化が激しくポリエステルフィルムの製膜に不適当な原料であった。
【0056】
実施例1:
上記ポリエステル原料(2)およびポリエステル原料(3)を96:4の比率で混合したポリエステルを原料とし、1つのベント付き二軸押出機により、290℃で溶融押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、横方向に120℃で3.8倍延伸し、221℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し厚さ125μmのポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルム上に、下記塗布剤組成からなる塗布液を塗布量(乾燥後)が5g/mになるようにリバースグラビアコート方式により塗工し、150℃、20秒間熱処理した後に耐候性付与層をコートしたポリエステルフィルムを得た。
<<塗布液組成>>
アリレート樹脂(ユニチカ社製ユニファイナーM−2040)をトルエンで固形分濃度10重量%になるように希釈して塗布液を作成した。
得られたポリエステルフィルムに関して評価したところ、いずれの評価でも良好であった。このフィルムの特性を下記表2に示す。
【0057】
実施例2〜4:
実施例1において、塗布量に関して、表1で示される塗布量に変更した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表2に示す。実施例4のフィルムは、コート層厚みが厚く、フィルムを屈曲させるとコート層が割れることがあった。
【0058】
比較例1および2:
実施例1において、混合物中のポリエステル原料に関して、表1で示されるポリエステルの混合比に変更した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表2に示す。
【0059】
比較例3:
実施例1において、塗布の有無以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表2に示す。
【0060】
【表2】

【0061】
参考例1:
上記ポリエステル原料(5)を用いたポリエステルフィルムの製膜を試みたが、フィルムの脆化が激しく、フィルムの形状を保つことができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明のフィルムは、太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムとして好適に利用することができる。本発明の工業的意義は高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
末端カルボキシル基量が26当量/トン以下であり、極限粘度が0.65以上であるポリエステルフィルムの少なくとも片面に、ポリアリレート樹脂を含有する塗布層を有することを特徴とする太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルム。

【公開番号】特開2012−227359(P2012−227359A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93724(P2011−93724)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】