説明

太陽電池

【課題】結晶シリコンにおける再結合の低減に依存せずに開放電圧を増大し得る太陽電池を提供する。
【解決手段】、太陽電池10は、pn接合を有する結晶Si層50と、結晶Si層50の第1主面50as上に形成された半導体層60とを備える。半導体層60は、結晶Si層50の半導体層60と接触している部分の導電型と同じ導電型を有する。太陽電池10への光照射時の開放電圧は、結晶Si層50内における電子の擬フェルミ準位とホールの擬フェルミ準位との準位差と異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶シリコンが用いられた太陽電池に関し、特に、開放電圧を向上し得る太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、結晶シリコン(以下、結晶Siと適宜省略する)を用いた太陽電池では、結晶Siにおけるキャリアの再結合を可能な限り低減し、光照射時の開放電圧(以下、開放電圧と適宜省略する)を増大させることが多数試みられている。
【0003】
例えば、非特許文献1に記載されている太陽電池では、半導体内部でのキャリアの再結合を低減するため、高品質な単結晶Siが用いられている。また、半導体表面でのキャリアの再結合を低減するため、表面の殆どがシリコン酸化膜で被覆されるとともに、金属との接触部分に拡散領域が設けられている。
【0004】
非特許文献1によれば、上記構造の太陽電池で0.7V程度の開放電圧が得られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】A. Wang et al. “24% efficient silicon solar cells”, Applied Physics Letter Vol. 57、p602、1990年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した構造を有する太陽電池では、表面電極と裏面電極とに接続された外部回路の開放時における結晶Si内の電子の擬フェルミ準位は、負電極のフェルミ準位に等しく、ホールの擬フェルミ準位は、正電極のフェルミ準位に等しい。つまり、開放電圧は、結晶Si内における電子の擬フェルミ準位とホールの擬フェルミ準位との差に等しい。
【0007】
このため、開放電圧を増大するためには、結晶Siにおける再結合を可能な限り低減することによって、電子の擬フェルミ準位とホールの擬フェルミ準位との差を大きくすることが一般的に考えられる。
【0008】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、結晶Siにおける再結合の低減に依存せずに開放電圧を増大し得る太陽電池の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明の第1の特徴は、pn接合を有する結晶シリコン層(結晶Si層50)と、前記結晶シリコン層の第1主面(第1主面50as)上に形成された半導体層(半導体層60)とを備える太陽電池(太陽電池10)であって、前記半導体層は、前記結晶シリコン層の前記半導体層と接触している部分の導電型と同じ導電型を有し、前記太陽電池への光照射時の開放電圧が、前記結晶シリコン層内における電子の擬フェルミ準位とホールの擬フェルミ準位との準位差と異なることを要旨とする。
【0010】
上述した本発明の第1の特徴に係る太陽電池において、前記開放電圧から前記準位差を減じた数値は、正の値であることが好ましい。
【0011】
上述した本発明の第1の特徴に係る太陽電池において、前記第1主面と逆側に位置する前記結晶シリコン層の第2主面(第2主面50bs)上に形成されたパッシベーション層(パッシベーション層40)を備えることが好ましい。
【0012】
本発明の第2の特徴は、pn接合を有する結晶シリコン層と、前記結晶シリコン層の第1主面上に形成され、水素を含む非晶質半導体からなる半導体層とを備える太陽電池であって、前記半導体層は、前記結晶シリコン層の前記半導体層と接触している部分の導電型と同じ導電型のドーパントを含み、前記半導体層の前記結晶シリコン層との界面近傍における半導体層の前記ドーパントの濃度は、1×1019/cc以上であることを要旨とする。
【0013】
上述した本発明の第2の特徴に係る太陽電池において、前記第1主面と逆側に位置する前記結晶シリコン層の第2主面上に形成されたパッシベーション層を備えることが好ましい。
【0014】
上述した本発明の第2の特徴に係る太陽電池において、前記パッシベーション層は、水素を含む非晶質半導体によって形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の特徴によれば、結晶Siにおける再結合の低減に依存せずに開放電圧を増大し得る太陽電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る太陽電池10の構造を模式的に示す図である。
【図2】結晶Siが用いられた従来の太陽電池における各種エネルギーの深さ依存性を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る太陽電池10の各種エネルギーの深さ依存性を示す図である。
【図4】本発明の実施例1に係る太陽電池10Aの構造を模式的に示す図である。
【図5】本発明の実施例2に係る太陽電池10Bの構造を模式的に示す図である。
【図6】本発明の実施例2に係る太陽電池10Bにおける開放電圧Va及び結晶Si内における電子の擬フェルミ準位とホールの擬フェルミ準位との差から求められたΔVの値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明に係る太陽電池の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0018】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0019】
(1)太陽電池の構造
図1は、本実施形態に係る太陽電池10の構造を模式的に示す。太陽電池10は、内部にpn接合が形成された結晶Siを用いた太陽電池10である。図1に示すように、太陽電池10は、第1電極20、第2電極30、パッシベーション層40、結晶Si層50及び薄膜の半導体層60を備える。太陽電池10では、第2主面10bsから第1主面10asに向かって、第2電極30、パッシベーション層40、結晶Si層50、半導体層60及び第1電極20が順次重なっている。
【0020】
太陽電池10は、第1主面10as側に設けられた第1電極20、及び第2主面10bs側に設けられた第2電極30のどちらか一方の電極側を光入射側とする。光入射側に配置される電極は、できるだけ多くの光を結晶Si層50に入射させることができるように、光透過性に形成される。
【0021】
第1電極20及び第2電極30は、銀(Ag)や銅(Cu)などの金属からなる。第1電極20及び第2電極30のうち光入射側に配置される一方の電極は、入射光を結晶Si層50に透過できるように、櫛形形状のような光透過性の形状に形成される。一方、他方の電極の形状は特に限定されず、一方の電極と同様に光透過性の形状であってもよいし、結晶Si層50の第2主面10bsのほぼ全面を覆うような遮光性を有するように形成されてもよい。
【0022】
また、第1電極20及び第2電極30は、結晶Si層50側に酸化インジウムや酸化亜鉛などの透光性導電酸化物からなる透光性導電膜を備えていてもよい。
【0023】
パッシベーション層40は、結晶Si層50表面におけるキャリアの再結合を低減する性質を有する。パッシベーション層40は、結晶Si層50の第1主面50asと逆側に位置する結晶シリコン層の第2主面50bs上に形成される。パッシベーション層40としては、後述するように、水素を含む非晶質半導体(a−Si:H,a−SiC:Hなど)によって構成することができる。
【0024】
結晶Si層50は、pn接合が形成された層である。結晶Si層50としては、単結晶シリコンまたは多結晶シリコンを用いることができる。
【0025】
半導体層60は、結晶Si層50の第1主面50as上に形成される。半導体層60は、水素化非晶質半導体で形成される。例えば、半導体層60は、a−Si:Hや、a−SiC:Hで形成することができる。半導体層60は、結晶Si層50の半導体層60と接触している部分の導電型と同じ導電型を有する。また、半導体層60は、結晶Si層50の半導体層60と接触している部分の導電型と同じ導電型のドーパントを含む。なお、半導体層60の結晶Si層50との界面近傍における半導体層60のドーパントの濃度は、1×1019/cc以上であることが好ましい。ここで、界面近傍とは、界面から5nm以内の領域をいう。
【0026】
(2)太陽電池の特性
次に、図2及び図3を参照して、上述した太陽電池10の特性について説明する。図2は、結晶Siが用いられた従来の太陽電池における各種エネルギーの深さ依存性を示す。図3は、太陽電池10の各種エネルギーの深さ依存性を示す。
【0027】
図2に示すように、非特許文献1などに記載される従来の太陽電池では、表面電極と裏面電極とに接続された外部回路の開放時における結晶Si内の電子の擬フェルミ準位は、負電極のフェルミ準位に等しい。また、ホールの擬フェルミ準位は、正電極のフェルミ準位に等しい。つまり、開放電圧は、結晶Si内における電子の擬フェルミ準位とホールの擬フェルミ準位との差に等しい。
【0028】
一方、太陽電池10では、太陽電池10への光照射時かつ第1電極20及び第2電極30に接続された外部回路(不図示)の開放時において、太陽電池10の開放電圧Vaは、結晶Si内における電子の擬フェルミ準位とホールの擬フェルミ準位との差Vb(以下、擬フェルミ準位差Vb)と異なる。
【0029】
具体的には、図3に示すように、半導体層60をa−SiC:Hで形成した場合、光照射時かつ開放時では、結晶Si層50におけるホールの擬フェルミ準位が正電極の擬フェルミ準位とΔV異なる。ここで、正電極のフェルミ準位は、半導体層60におけるホールの擬フェルミ準位に等しい。また、負電極のフェルミ準位は、結晶Si層50の電子の擬フェルミ準位に等しい。このため、開放電圧は、(式1)のように示すことができる。
【0030】
開放電圧Va=結晶Si層50内の擬フェルミ準位差Vb+ΔV …(式1)
つまり、開放電圧Vaは、結晶Si層50内の擬フェルミ準位差Vbと比較して、ΔVだけ異なる。ΔVが正の値、すなわち、開放電圧Vaから擬フェルミ準位差Vbを減じた数値が正の値であれば、開放電圧Vaは、結晶Si内の擬フェルミ準位差Vbに比べてΔV増大する。
【0031】
なお、半導体層60内の電界が、必ずしも結晶Si層50内のpnホモ接合の電界を補って開放電圧Vaが増大するのではないことに注意が必要である。結晶Si層50との接触前における半導体層60のフェルミ準位が結晶Si層50のフェルミ準位よりも高い場合には、結晶Si層50と半導体層60との接触によって半導体層60の電子は、結晶Si層50に移動するため、半導体層60内に形成される電界は、結晶Si層50のpn接合によって形成される電界と逆方向になる(図3を参照)。
【0032】
(3)実施例
次に、上述した太陽電池10の実施例について説明する。具体的には、太陽電池10の実施例1及び実施例2について説明する。
【0033】
(3.1)実施例1
図4は、実施例1に係る太陽電池10Aの構造を模式的に示す。以下、太陽電池10Aの構造、作成手順、デバイス特性及び擬フェルミ準位差の測定方法について説明する。
【0034】
(3.1.1)太陽電池10Aの構造
図4に示すように、太陽電池10Aのパッシベーション層40は、非晶質半導体、具体的には、i型a−Si:H層41と、n型a−Si:H層42とによって構成される。
また、太陽電池10Aの結晶Si層50は、単結晶Si、具体的には、p型c−Si層51と、n型c−Si層52とによって構成される。
【0035】
太陽電池10Aでは、n型c−Si層52とn型a−Si:H層42とによって、少数キャリアの再結合を低減するための電界が形成される。加えて、薄い(約1nm〜10nm)のi型a−Si:H層41によって、n型c−Si層52とn型a−Si:H層42との間の特性が改善されている。
【0036】
(3.1.2)太陽電池10Aの作成方法
工程1) まず、アルカリ水溶液を用いてn型単結晶Siウエハ(n型c−Si層52)を異方性エッチングしてウエハ表面に微細な凹凸を形成した。その後、ウエハを通常洗浄し、ウエハ表面の不純物を除去した。
【0037】
工程2) B、H、SiHの混合ガスを用いたPECVD法により、薄いp型c−Si層51をウエハ片面にエピタキシャル成長してホモ接合を形成した。p型c−Si層51の厚さは5nmとし、ボロン(B)のドープ量は、1×1020/ccとした。なお、Bのドープ量は、1×1019〜1×1021/cc程度であればよい。また、エピタキシャル成長は、熱CVD、光CVD、MBE及びスパッタなどでも可能である。低温でp型c−Siを形成した場合には、形成後に加熱してp型c−Si中の水素を除去してもよい。
【0038】
工程3) B、H、CH、SiHの混合ガスを用いたPECVD法により、半導体層60としてp型a−SiC:Hをp型c−Si層51上に10nm堆積した。なお、p型a−SiC:Hの堆積範囲は、5〜20nmであればよい。Bのドープ量は、1×1019/ccとした。なお、Bのドープ量は、1×1018〜1×1021/ccであればよい。また、p型a−SiC:Hの形成時の温度は、200°Cとした。なお、当該温度は、100〜300°Cであればよい。
【0039】
工程4) PH、H、SiHの混合ガスを用いたPECVD法により、パッシベーション層40として、i型a−Si:H層41及びn型a−Si:H層42を接合と逆側のn型c−Si層52の面に5nmずつ順に堆積した。
【0040】
工程5) スパッタ法により、第1電極20及び第2電極30として、錫(Sn)ドープ酸化インジウム薄膜を第1主面10as及び第2主面10bs(図1参照)にそれぞれ100nm形成した。さらに、両面のITO上に熱硬化型Agペーストをスクリーン印刷して熱硬化し、集電極を形成した。
【0041】
(3.1.3)デバイス特性
上述した作成方法によって作成された太陽電池10Aに対して、ソーラーシミュレータを用いて1sun照射したとき(スペクトルAM1.5G、強度0.1W/cm)における開放電圧Vaを測定した。開放電圧Vaは、0.701Vであった。
【0042】
また、開放電圧Vaを測定した太陽電池10Aと同時に透明導電膜(ITO)まで形成したサンプルに集電極をスクリーン印刷せずに熱硬化と同じ条件で加熱した後、後述するSinton Consulting, Inc.製の測定装置WCT−100を用いて当該サンプルの結晶Si内の擬フェルミ準位差Vbを評価した。なお、熱処理した理由は、a−Si:Hと結晶Siとのヘテロ接続の特性が、a−Si:H形成後の熱履歴によって変化することがあるためである。なお、開放電圧Vaを評価した後に、エッチングなどで集電極を除去して擬フェルミ準位差Vbを評価してもよい。また、この際、透明導電膜(ITO)が除去されても測定結果(擬フェルミ準位差Vbの値)には影響がないことが分かった。
【0043】
WCT−100では、円形コイル内の領域が評価されるため、セル面内の複数箇所を測定して擬フェルミ準位差Vbに面内分布が殆どないことを確認した。評価した結晶Si層50内の擬フェルミ準位差Vb(1sun照射時)は、0.674Vとなり、開放電圧Vaよりも27mV低くなった。
【0044】
上述した工程3)を除いてホモ接合とし、工程5)に代えてp+型c−Si上にAlなどのオーミック電極を直接形成したサンプルについて同様な測定を実施すると、開放電圧Vaと擬フェルミ準位差Vbとが等しくなった。このことから、パッシベーション層40と結晶Si層50と間では、電子の擬フェルミ準位は連続であることが分かった。また、結晶Si層50内の電子のフェルミ準位と、負電極のフェルミ準位とを連続にするため、パッシベーション層40を除去し、直接オーミック電極を形成したサンプルを用いて評価してもよい。
【0045】
以上説明したように、負電極を基準とすると、正電極では0.701V、結晶Si層50内では0.674Vとなるので、半導体層60と、結晶Si層50内のホールの擬フェルミ準位が27mV異なることが確認できた。
【0046】
(3.1.4)擬フェルミ準位差の測定方法
上述した擬フェルミ準位差Vbの測定には、Sinton Consulting, Inc.(現Sinton Instruments)製の測定装置WCT−100 Silicon Wafer Lifetime Testerを用いた。WCT−100で用いられる測定方法は、QSSPC(Quasi Steady State Photo Conductance)法と呼ばれ、概ね以下のように測定が実施される。
【0047】
サンプルステージには、結晶Siウエハの導電率を非接触で測定する直径約2cmの円形コイルと、照射光の強度(照射強度)を測定する光センサーが設置されている。まず、円形コイル上に結晶Siウエハの測定部分を載せる。
【0048】
次いで、結晶Siウエハにフラッシュ光を照射して導電率の時間変化を測定する。同時に、光センサーで照射強度の時間変化を測定する。これらの測定データを解析することによって、結晶Siウエハ内における擬フェルミ準位差Vbの照射強度への依存性を求めることができる。
【0049】
(3.2)実施例2
図5は、実施例2に係る太陽電池10Bの構造を模式的に示す。以下、太陽電池10Bの構造、作成手順及びデバイス特性について説明する。
【0050】
(3.2.1)太陽電池10Bの構造
図5に示すように、太陽電池10Bは、太陽電池10Aと比較すると、半導体層60の構成が異なる。具体的には、本実施形態に係る半導体層60は、p+型a−Si:H層61と、p型a−Si:H層62とによって構成される。
【0051】
(3.2.2)太陽電池10Bの作成方法
太陽電池10Bの作成方法は、工程3)を除いて太陽電池10Aと同様である。太陽電池10Bの場合、工程3)では、B、H、SiHの混合ガスを用いたPECVD法により、半導体層60として、p型a−Si:H層62とp+型a−Si:H層61を5nmずつp型c−Si層51上に堆積した。なお、p+型a−Si:H層61のドーパント濃度は、1×1021/ccとし、p型a−Si:H層62のドーパント濃度は、0〜1×1021/ccと変化させた。また、半導体層60の形成時の温度は、200°Cとした。なお、当該温度は、100〜300°Cであればよい。
【0052】
(3.2.3)デバイス特性
太陽電池10Aと同様に、開放電圧Va及び結晶Si内の擬フェルミ準位差Vbを測定した。図6は、測定した開放電圧Va及び擬フェルミ準位差Vbから求められたΔV(=Va−Vb)の値を示す。図6に示すように、ドーパント濃度が1×1019/ccのオーダ以上となると、ドーピングの効果が顕著となり、ΔVが高くなっていることが分かった。
【0053】
つまり、半導体層60が非晶質半導体の場合、結晶Si層50の界面周辺における半導体層60のドーパントの濃度を1×1019/cc以上とすることにより、開放電圧Vaを効果的に増大できる。
【0054】
(4)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0055】
例えば、上述した実施形態では、半導体層60として水素化非晶質半導体、具体的には、a−SiC:Hとa−Si:Hとが用いられていたが、a−SiO:Hまたはa−SiN:Hを用いても構わない。
【0056】
上述した実施形態では、太陽電池にパッシベーション層40が備えられていたが、パッシベーション層40は、必ずしも備えられていなくても構わない。
【0057】
半導体層60の導電型は、p型でもn型でも構わない。なお、結晶Si層50の導電型は、半導体層60の導電型と逆となる。
【0058】
本発明は、基板上にエピタキシャル成長により形成された結晶Si層を備える薄膜太陽電池にも適用できる。
【0059】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。
【符号の説明】
【0060】
10,10A,10B…太陽電池、10as…第1主面、10bs…第2主面、20…第1電極、30…第2電極、40…パッシベーション層、41…i型a−Si:H層、42…n型a−Si:H層、50…結晶Si層、50as…第1主面、50bs…第2主面、51…p型c−Si層、52…n型c−Si層、60,60A…半導体薄膜層、61…p+型a−Si:H層、62…p型a−Si:H層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
pn接合を有する結晶シリコン層と、
前記結晶シリコン層の第1主面上に形成された半導体層と
を備える太陽電池であって、
前記半導体層は、前記結晶シリコン層の前記半導体層と接触している部分の導電型と同じ導電型を有し、
前記太陽電池への光照射時の開放電圧が、前記結晶シリコン層内における電子の擬フェルミ準位とホールの擬フェルミ準位との準位差と異なる太陽電池。
【請求項2】
前記開放電圧から前記準位差を減じた数値は、正の値である請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記第1主面と逆側に位置する前記結晶シリコン層の第2主面上に形成されたパッシベーション層を備える請求項1または2に記載の太陽電池。
【請求項4】
pn接合を有する結晶シリコン層と、
前記結晶シリコン層の第1主面上に形成され、水素を含む非晶質半導体からなる半導体層と
を備える太陽電池であって、
前記半導体層は、前記結晶シリコン層の前記半導体層と接触している部分の導電型と同じ導電型のドーパントを含み、
前記半導体層の前記結晶シリコン層との界面近傍における半導体層の前記ドーパントの濃度は、1×1019/cc以上である太陽電池。
【請求項5】
前記第1主面と逆側に位置する前記結晶シリコン層の第2主面上に形成されたパッシベーション層を備える請求項4に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記パッシベーション層は、水素を含む非晶質半導体によって形成されている請求項5に記載の太陽電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−176058(P2011−176058A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37971(P2010−37971)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】