説明

女性介護用オムツ内シート

【課題】糞便が陰部に入り込むのを防ぎ、介護される女性の尊厳を保ち、被介護者および介護者双方の心身の負担を軽減することができる女性介護用オムツ内シートを提供する。
【解決手段】着用時に、介護される女性着用者の腹部を覆うための腹部シート部11aと、女性着用者の肛門部を除く股間部を覆うための吸水シート部12と、女性着用者の小陰唇内の窪みを塞ぐための吸水性の突出部13とを有している。腹部シート部11aは吸水シート部12の上縁から上側に広がるよう設けられている。突出部13は、吸水シート部12の着用者対向面に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、女性介護用オムツ内シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、女性用の介護用品として、生理用パッドや尿取りバッド、介護用オムツなどが単独で、または併用して使用されている(例えば、特許文献1または2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3113969号公報
【特許文献2】実用新案登録第3061324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の生理用パッドや尿取りバッド、介護用オムツなどの女性用の介護用品は、糞便が陰部に入り込みやすく、尿道口や膣の周辺、陰唇内壁に糞便が付着し、きれいに拭き取りにくいという課題があった。また、糞便で陰部が汚れたり、介護者が糞便を拭き取るのに手間が掛かったりすることにより、介護される女性の尊厳を傷つけやすく、被介護者および介護者の双方に心身の負担が掛かるという課題もあった。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、糞便が陰部に入り込むのを防ぎ、介護される女性の尊厳を保ち、被介護者および介護者双方の心身の負担を軽減することができる女性介護用オムツ内シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る女性介護用オムツ内シートは、女性着用者の肛門部を除く股間部を覆うための吸水シート部と、前記吸水シート部の上縁から上側に広がるよう設けられた、女性着用者の腹部を覆うための腹部シート部と、前記吸水シート部の着用者対向面に設けられた、女性着用者の小陰唇内の窪みを塞ぐための吸水性の突出部とを、有することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る女性介護用オムツ内シートは、突出部で、介護される女性着用者の小陰唇内の窪みを塞ぎ、吸水シート部を股間部に当て、腹部シート部を腹部に当てた状態で、上からオムツをはかせて固定して使用される。これにより、突出部および吸水シート部で、尿や経血を吸収することができる。また、突出部で小陰唇内の窪みを塞いでいるため、糞便が小陰唇内の窪みに入り込むのを防ぎ、糞便により陰部が汚れるのを防ぐことができる。特に、吸水シート部は肛門部を除く股間部を覆うようになっているため、糞便が肛門部から吸水シート部の内面に沿って膣側にあふれるのを防ぐことができる。これにより、排便時に陰部をきれいに拭き取ることができ、介護される女性の尊厳を保ち、被介護者および介護者双方の心身の負担を軽減することができる。
なお、吸水シート部は、肛門部まで覆わない長さであっても、肛門部の位置に孔をあけた形状であってもよい。また、吸水シート部の着用者対向面の縁部は、体に密着させるために粘着性を有していてもよい。この場合、吸水シート部の着用者対向面には、剥離シートが貼り付けられていることが好ましい。
【0008】
本発明に係る女性介護用オムツ内シートは、突出部および吸水シート部が生理用の経血吸収素材から成る生理時に使用するものと、突出部および吸水シート部が尿吸収素材から成る生理以外のときに使用するものの2種類から成ることが好ましい。この場合、生理時とそれ以外のときに、これら2種類を使い分けることができる。
【0009】
本発明に係る女性介護用オムツ内シートは、吸水性シートと防水性シートとを貼り合せて成る基礎シートを有し、前記基礎シートは吸水性シート側で前記吸水シート部の着用者非対向面の全体を覆うとともに前記吸水シート部の上縁から上側に広がって前記腹部シート部を構成していることが好ましい。この場合、防水性シートを有するため、尿や経血が外へ漏れにくい。また、吸水性シートと防水性シートとを貼り合せて成る基礎シートを、突出部を有する吸水シート部の着用者非対向面に貼り付けることにより製造可能なため、製造が容易である。
突出部は、着用時に女性着用者の小陰唇内の窪みを塞ぎ、糞便が小陰唇内の窪みに入り込まないよう長さ、幅および高さが設定され、違和感無く装着できるよう柔らかい素材で全体的に丸みを帯びていることが好ましい。
【0010】
吸水シート部および腹部シート部は身体になじむ素材であれば、薄地、中地、厚地のいずれであってもよいが、腹部シート部はティシュペーパーと同質の安価で薄い素材から成ることが好ましい。また、腹部シート部は、汚れを拭き取りやすい材質から成ることが好ましい。この場合、介護される女性着用者から外すとき、腹部シート部で糞便や尿などの汚れを大まかに拭き取ることができる。腹部シート部は、使用中にずれないよう、女性着用者のへそを覆い隠し、オムツのウエスト部で挟んで固定可能な大きさを有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、糞便が陰部に入り込むのを防ぎ、介護される女性の尊厳を保ち、被介護者および介護者双方の心身の負担を軽減することができる女性介護用オムツ内シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態の女性介護用オムツ内シートを示す(a)背面図、(b)左側面図である。
【図2】図1に示す女性介護用オムツ内シートの使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態について説明する。
図1および図2は、本発明の実施の形態の女性介護用オムツ内シートを示している。
図1に示すように、女性介護用オムツ内シート10は、基礎シート11と吸水シート部12と突出部13とを有し、図2に示すように、オムツ1の内側に入れて使用されるものである。女性介護用オムツ内シート10は、生理時に使用するものと、生理以外のときに使用するものの2種類作られることが好ましい。
【0014】
図1に示すように、基礎シート11は、吸水性シートと防水性シートとを貼り合せた二重構造から成っている。基礎シート11は、矩形状の腹部シート部11aと、細長い矩形状の陰部シート部11bと、下腹部シート部11cとを一体的に有している。陰部シート部11bは、腹部シート部11aより幅が狭くなっている。下腹部シート部11cは、腹部シート部11aと陰部シート部11bとを連続させ、腹部シート部11aから陰部シート部11bにかけてテーパー状に幅が狭くなっている。基礎シート11は、着用者対向面、すなわち、着用時に着用者側になる内側面が、汚れを拭き取りやすく、柔らかく身体になじむ素材、例えばティッシュペーパーと同質の吸水性シートから成っている。
【0015】
吸水シート部12は、基礎シート11の下腹部シート部11cおよび陰部シート部11bの全体と同じ形状から成り、下腹部シート部11cおよび陰部シート部11bの着用者対向面に重ね合わせて貼り付けられている。これにより、基礎シート11は、吸水性シート側で吸水シート部12の着用者非対向面の全体を覆っている。吸水シート部12は、女性着用者の肛門部まで覆わない長さで、女性着用者の肛門部を除く股間部を覆うようになっている。吸水シート部12は、柔らかく身体になじむ素材から成り、生理時に使用するものでは、生理用の経血吸収素材から成り、生理以外のときに使用するものでは、尿吸収素材から成っている。吸水シート部12は、特に、高分子吸水ポリマーから成ることが好ましい。
【0016】
突出部13は、吸水シート部12の陰部シート部11bの位置で、吸水シート部12の着用者対向面に一体的に設けられている。突出部13は、着用時に、介護される女性着用者の小陰唇内の窪みを塞ぐよう突出している。突出部13は、柔らかい素材から成り、平均的な小陰唇の窪みに対応する長さ、幅および高さを有し、全体的に丸みを帯びている。突出部13は、生理時に使用するものでは、生理用の経血吸収素材から成り、生理以外のときに使用するものでは、尿吸収素材から成っている。突出部13は、吸水シート部12と同様に高分子吸水ポリマーから成ることが好ましい。
【0017】
図2に示すように、女性介護用オムツ内シート10は、着用時に、基礎シート11の腹部シート部11aが吸水シート部12の上縁から上側に広がって女性着用者の腹部を覆い、吸水シート部12が介護される女性着用者の股間部を覆うようになっている。また、女性介護用オムツ内シート10は、使用中にずれないよう、腹部シート部11aで女性着用者のへそを覆い隠し、腹部シート部11aをオムツ1のウエスト部1aで挟んで固定可能になっている。
【0018】
次に、作用について説明する。
女性介護用オムツ内シート10は、図2に示すように、突出部13で女性着用者の小陰唇内の窪みを塞ぎ、吸水シート部12を股間部に当て、腹部シート部11aを腹部に当てた状態で、上からオムツ1をはかせて固定して使用される。これにより、突出部13および吸水シート部12で、尿や経血を吸収することができる。また、突出部13で小陰唇内の窪みを塞いでいるため、糞便が小陰唇内の窪みに入り込むのを防ぎ、糞便により陰部が汚れるのを防ぐことができる。特に、吸水シート部12は肛門部を除く股間部を覆うようになっているため、糞便が肛門部から吸水シート部12の内面に沿って膣側にあふれるのを防ぐことができる。これにより、排便時に陰部をきれいに拭き取ることができ、介護される女性の尊厳を保ち、被介護者および介護者双方の心身の負担を軽減することができる。
【0019】
女性介護用オムツ内シート10は、生理時とそれ以外のときに、吸水シート部12および突出部13の素材が異なる2種類のものを使い分けることができる。また、吸水シート部12および腹部シート部11aが身体になじむ素材から成り、突出部13が柔らかい素材から成って全体的に丸みを帯びているため、違和感無く装着することができる。腹部シート部11aの吸水性シートにより汚れを拭き取りやすくなっているため、介護される女性着用者から外すとき、腹部シート部11aで糞便や尿などの汚れを大まかに拭き取ることができる。基礎シート11は、防水性シートで覆われているため、尿や経血が外へ漏れにくくなっている。女性介護用オムツ内シート10は、吸水性シートと防水性シートとを貼り合せて成る基礎シート11を、突出部13を有する吸水シート部12の着用者非対向面に貼り付けることにより製造可能なため、製造が容易である。
【0020】
女性介護用オムツ内シート10は、基礎シート11、吸水シート部12および突出部13が柔らかい素材から成っているため、小さく折り畳むことができ、容易に持ち運ぶことができる。
【符号の説明】
【0021】
1 オムツ
1a ウエスト部
10 女性介護用オムツ内シート
11 基礎シート
11a 腹部シート部
11b 陰部シート部
11c 下腹部シート部
12 吸水シート部
13 突出部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
女性着用者の肛門部を除く股間部を覆うための吸水シート部と、
前記吸水シート部の上縁から上側に広がるよう設けられた、女性着用者の腹部を覆うための腹部シート部と、
前記吸水シート部の着用者対向面に設けられた、女性着用者の小陰唇内の窪みを塞ぐための吸水性の突出部とを、
有することを特徴とする女性介護用オムツ内シート。
【請求項2】
吸水性シートと防水性シートとを貼り合せて成る基礎シートを有し、前記基礎シートは吸水性シート側で前記吸水シート部の着用者非対向面の全体を覆うとともに前記吸水シート部の上縁から上側に広がって前記腹部シート部を構成していることを、特徴とする請求項1記載の女性介護用オムツ内シート。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−279445(P2010−279445A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133549(P2009−133549)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(503363378)
【Fターム(参考)】