姿勢改善サポート衣類
【課題】姿勢改善、特に猫背や下腹部の突出の改善をサポートすることが可能な姿勢改善サポート衣類を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る姿勢改善サポート衣類は、少なくとも上半身を覆う本体部10と、本体部10の緊締力よりも強い緊締力を有する帯状の緊締部20とを備える姿勢改善サポート衣類であって、緊締部20は、第7〜第9胸椎のうちの少なくとも何れかから左右下方へ延び、左右の肋骨下部を通り、下腹部中央において連結しており、下腹部中央において、緊締部20の中心線が臍と恥骨上端との間に位置することを特徴とする。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る姿勢改善サポート衣類は、少なくとも上半身を覆う本体部10と、本体部10の緊締力よりも強い緊締力を有する帯状の緊締部20とを備える姿勢改善サポート衣類であって、緊締部20は、第7〜第9胸椎のうちの少なくとも何れかから左右下方へ延び、左右の肋骨下部を通り、下腹部中央において連結しており、下腹部中央において、緊締部20の中心線が臍と恥骨上端との間に位置することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、姿勢改善のサポートを行う衣類に関するものである。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1〜3には、人体の姿勢や動作を考える際、身体重心点を把握することが重要であることが記載されている。一般に、身体重心点とは身体各部の重量が相互に平衡である点とされ、その位置は基本的立位姿勢では骨盤内の仙骨のやや前方(約第2仙椎)であるとされている。この身体重心点は、姿勢によって変動するものであり、特定が大変であったが、非特許文献1〜3によれば、身体重心点を境に上半身と下半身とに分割した場合に、上半身の質量中心点と下半身の重量中心点との中点によって、身体重心点を容易に特定することができることを証明している。そして、上半身質量中心点は略第7〜第9胸椎、特に第7胸椎に位置し、下半身質量中心点は大腿部の略1/2〜上1/3の間に位置するとしている。
【0003】
一方、非特許文献4〜6では、人体の上半身のみの姿勢や動作に着目している。これらの非特許文献によれば、上半身質量中心点である第7胸椎を境に上半身を上部と下部とに分割した場合に、歩行時において、上半身の上部と下部とが反対方向に回旋することによって、上半身の中でバランスを維持していることを証明している。すなわち、上半身のみでも、第7胸椎を支点として上半身の中でバランスを維持していることを証明している。
【0004】
この上半身質量中心点、すなわち第7〜第9胸椎に着目して、上半身の上部に位置する肩関節やその近傍の筋肉、肩関節近傍の上肢部の筋肉の障害などの予防や治療の促進を行う発明が、特許文献1に開示されている。この特許文献1に記載の肩及び上肢部保護衣料では、少なくとも上半身部を有する伸縮性布地からなるベースの衣料に部分的に緊締力の強い強緊締力部を有しており、この強緊締力部は、衣料後部において、肩峰よりやや後中心側寄りで人体の僧帽筋上部の肩峰側の端近傍部分から肩甲骨内上角近傍を通り、第7〜第9胸椎の何れかの近傍を通って逆の脇側の肋骨下部近傍に至るように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3115816号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】佐藤祐子、他3名、「姿勢・動作分析における身体重心点の視覚的評価」、理学療法学、第23巻、学会特別号(第31回愛知)、1996年、p.176
【非特許文献2】佐藤祐子、他3名、「姿勢・動作分析における身体重心点の視覚的評価−第2報−」、理学療法学、第25巻、学会特別号(第33回京都)、1998年、p.158
【非特許文献3】久保祐子、他3名、「姿勢・動作分析における身体重心点の視覚的評価の検討」、理学療法学、第33巻、第3号、2006年、p.112−117
【非特許文献4】久保祐子、他3名、「上半身質量中心点より観察した歩行時における上半身の動き」、理学療法学、第28巻、2001年、p.177
【非特許文献5】久保祐子、他3名、「上半身質量中心点より観察した歩行時における上半身の動き(第2報)」、理学療法学、第29巻、2002年、p.161
【非特許文献6】久保祐子、他3名、「上半身質量中心点より観察した歩行時における上半身の動き(第3報)」、理学療法学、第30巻、2003年、p.152
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、衣類を身に着けるだけで、上半身の上部だけでなく、上半身の下部、すなわち第7〜第9胸椎より下部のサポートを行うことが要望されている。具体的には、猫背や下腹部の突出などの姿勢改善のサポートの要望がある。
【0008】
そこで、本発明は、姿勢改善、特に猫背や下腹部の突出の改善をサポートすることが可能な姿勢改善サポート衣類を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者らは、猫背や下腹部の突出などの姿勢改善のサポートを行うにあたり、上半身質量中心点である第7〜第9胸椎、すなわち、歩行などの動作中に上半身の上部及び下部の回旋の支点となり、位置変動が小さい第7〜第9胸椎を利用することに着目した。
【0010】
そこで、本発明の姿勢改善サポート衣類は、少なくとも上半身を覆う本体部と、本体部の緊締力よりも強い緊締力を有する帯状の緊締部とを備える姿勢改善サポート衣類であって、緊締部は、第7〜第9胸椎のうちの少なくとも何れかから左右下方へ延び、左右の肋骨下部を通り、下腹部中央において連結しており、下腹部中央において、緊締部の中心線が臍と恥骨上端との間に位置する、ことを特徴とする。
【0011】
姿勢が悪くなる原因としては、主に以下の2点が考えられる。第一に、脊柱起立筋群が弱くなり、胸椎が後湾してしまうことにより、猫背になってしまう。第二に、腹筋群が弱くなって腹圧が低くなり、腰椎が前湾してしまうことにより、下腹部が突出してしまう。
【0012】
本発明によれば、緊締部によって第7〜第9胸椎と下腹部中央とを引き合うので、脊柱起立筋群と腹筋群とを同時にサポートすると共に、脊柱起立筋群と腹筋群とに同時に働きかけて収縮を促すように作用する。特に、腹筋群に働きかけて腹圧を高めることができる。その結果、胸椎の後湾及び腰椎の前湾を軽減し、背筋を伸ばすことができると共に下腹部を引き締めることができる。
【0013】
また、歩行などの動作中に上半身の上部及び下部の回旋の支点となり、位置変動が小さい第7〜第9胸椎を支点としているので、歩行などの動作中でも、脊柱起立筋群と腹筋群とに対するサポート及び働きかけを安定して行うことができる。
【0014】
上記した姿勢改善サポート衣類は、下腹部中央から左右に延び、骨盤における腸骨を通り、腰部において連結する腰部緊締部を更に備えることが好ましい。
【0015】
これによれば、腰部緊締部によって下腹部の腹圧をより高めることができる。また、腰部緊締部によって下腹部から腰部を周回してサポートするので、腹圧の上昇によって骨盤の位置を安定させることができる。更には、腰部緊締部が下腹部から腰部を周回してサポートすることにより、歩行などの動作に起因する骨盤の左右前後の位置ずれを軽減することができ、骨盤の位置をより安定させることができる。
【0016】
上記した姿勢改善サポート衣類は、第7〜第9胸椎のうちの少なくとも何れかから左右上方へ延び、肩甲骨における肩甲棘に沿って延びる肩部緊締部を更に備えることが好ましい。
【0017】
これによれば、肩部緊締部によって肩甲骨の肩甲棘に沿ってサポートすることにより、肩を開くように、すなわち、胸を張るように、肩甲骨を内転することができる。したがって、姿勢改善をよりサポートすることができる。
【0018】
上記した緊締部における第7〜第9胸椎を通る部分と緊締部における下腹部中央を通る部分とのうちの少なくとも何れか一方が、緊締部における他の部分に比べてより強い緊締力を有することが好ましい。
【0019】
上記したように、猫背や下腹部の突出等の姿勢改善のためには、上半身質量中心点である第7〜第9胸椎と、腹部において最も突出する部分である下腹部中央付近とを起点として引き合うことが合理的である。これによれば、緊締部において、引き合うための力が最も加わる第7〜第9胸椎部分と下腹部中央部分との緊締力が他の部分より強いので、第7〜第9胸椎と下腹部中央とを相互に引き合う際に安定感を得ることができる。
【0020】
上記した緊締部における背側部分の幅及び脇側部分の幅は、4cm以上7cm以下である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、姿勢改善、特に猫背や下腹部の突出の改善をサポートすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る姿勢改善サポート衣類を前側から示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る姿勢改善サポート衣類を背側から示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る姿勢改善サポート衣類を脇側から示す図である。
【図4】人体の骨格構造を前側から示す図である。
【図5】人体の骨格構造を背側から示す図である。
【図6】人体の骨格構造を脇側から示す図である。
【図7】人体の脊柱起立筋群構造を示す図である。
【図8】人体の腹筋群構造を示す図である。
【図9】本実施形態の姿勢改善サポート衣類の有無における人体の脊椎状態を脇側から示す図である。
【図10】本発明の変形例に係る姿勢改善サポート衣類を前側及び背側から示す図である。
【図11】本発明の変形例に係る姿勢改善サポート衣類を前側及び背側から示す図である。
【図12】本発明の変形例に係る姿勢改善サポート衣類を前側及び背側から示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る姿勢改善サポート衣類を前側から示す斜視図であり、図2は、本発明の実施形態に係る姿勢改善サポート衣類を背側から示す図である。また、図3は、本発明の実施形態に係る姿勢改善サポート衣類を脇側から示す図である。図1〜3に示す姿勢改善サポート衣類1は、本体部10と、メイン緊締部20と、腰部緊締部30と、肩部緊締部40とを備えている。
【0025】
本体部10は、着用者の上半身及び下腹部を覆うノースリーブ型の衣類である。本体部10は、伸縮性を有する生地からなっており、着用者に対して密着性を有している。本体部10には、メイン緊締部20と、腰部緊締部30と、肩部緊締部40とが部分的に設けられている。
【0026】
次に、図4〜6に示す人体の骨格構造の前側図、背側図、及び、脇側図と、図7に示す人体の脊柱起立筋群構造図と、図8に示す人体の腹筋群構造図とを適宜参照しながら、メイン緊締部20、腰部緊締部30、及び、肩部緊締部40について説明する。
【0027】
メイン緊締部20、腰部緊締部30、及び、肩部緊締部40は、それぞれ、本体部10の緊締力よりも強い緊締力を有する帯状をなしている。メイン緊締部20、腰部緊締部30、及び、肩部緊締部40には、パワーネット等の高い伸縮性を有する生地が適用可能である。メイン緊締部20は、幅方向の側部21,22において本体部10に縫着されている。同様に、腰部緊締部30も、幅方向の側部31,32において本体部10に縫着されており、肩部緊締部40も、幅方向の側部41,42及び長手方向の端部43において、本体部10に縫着されている。
【0028】
メイン緊締部20は、着用状態において、着用者の背側における胸椎中央、すなわち、図4〜6に示す第7〜第9胸椎51〜53のうちの少なくとも何れかから左右下方へ逆V字状に延びている。そして、メイン緊締部20は、着用状態において、着用者の脇側における左右の肋骨下部、すなわち、仮肋(第8〜第12肋骨)61〜65又は浮遊肋(第11及び第12肋骨)64,65のうちの少なくとも何れかであって、着用者の前側に位置する先端部に沿って、着用者の前側下方へ延びている。次いで、メイン緊締部20は、着用状態において、着用者の前側における下腹部中央、すなわち、臍70付近から骨盤71における恥骨上端72付近で連結している。この下腹部中央には、メイン緊締部20の幅方向(すなわち、上下方向)の中心線が臍70と恥骨上端72との間に位置するように、メイン緊締部20が位置している。なお、メイン緊締部20は、その一部が臍70や恥骨上端72を覆っていてもよい。
【0029】
このようにして、メイン緊締部20は、第7〜第9胸椎51〜53を支点として、第7〜第9胸椎51〜53と下腹部中央とを引き合うように作用する。その結果、メイン緊締部20は、図7(a)に示す腸肋筋群、図7(b)に示す最長筋群、及び、図7(c)に示す棘筋群97〜99からなる脊柱起立筋群、すなわち、頚腸肋筋91、胸腸肋筋92、腰腸肋筋93、頭最長筋94、頚最長筋95、胸最長筋96、頭棘筋97(図示略)、頚棘筋98、及び、胸棘筋99からなる脊柱起立筋群をサポートすると共に、これらの脊柱起立筋群に働きかけて収縮を促すように作用する。
【0030】
また、メイン緊締部20は、図8(a)に示す仮肋61〜65又は浮遊肋64,65の先端部から下腹部中央へ向けて延びる外腹斜筋101、図8(b)に示す外腹斜筋101の内部に位置する内腹斜筋102、及び、図8(c)に示す内腹斜筋102の内部に位置する腹横筋103からなる腹筋群をサポートすると共に、これらの腹筋群に働きかけて収縮を促すように作用する。特に、仮肋61〜65又は浮遊肋64,65の先端部から下腹部中央へ向けて延びる外腹斜筋101に対しては、その筋繊維に沿ってメイン緊締部20が位置している。筋肉は筋線維方向に収縮するので、メイン緊締部20は外腹斜筋101に対してより強く働きかけることとなる。
【0031】
次に、腰部緊締部30は、着用状態において、着用者の前側における下腹部中央、すなわち、臍70〜骨盤71における恥骨上端72付近から左右へ延びている。そして、腰部緊締部30は、着用状態において、着用者の脇側における骨盤71の腸骨73の腸骨稜74の外唇側部76を通って、着用者の背側へ延びている。次いで、腰部緊締部30は、着用状態において、着用者の背側における腰部、すなわち、骨盤71における腸骨73の上部付近において連結している。
【0032】
このようにして、腰部緊締部30は、図8に示す腹筋群をよりサポートすると共に、これらの腹筋群により働きかけて収縮を促すように作用する。また、腰部緊締部30は、下腹部から腰部を周回してサポートし、骨盤71の位置を安定させるように作用する。
【0033】
次に、肩部緊締部40は、着用状態において、着用者の背側における胸椎中央、すなわち、図4〜6に示す第7〜第9胸椎51〜53のうちの少なくとも何れかから左右上方へ延びている。そして、肩部緊締部40は、着用状態において、肩甲骨81における肩甲棘82の長手方向に沿って延びている。すなわち、略左右方向に沿って伸びる肩甲棘82に沿って左右方向に延びている。
【0034】
このようにして、肩部緊締部40は、肩を開くように、すなわち、胸を張るように、肩甲骨81を内転するように作用する。
【0035】
ここで、メイン緊締部20のうちの背側部分20bの幅W20b及び脇側部分20sの幅W20sは、略4cm以上略7cm以下であればよく、略4cm以上略6cm以下であることが好ましい。そして、この背側部分20bの幅W20b及び脇側部分20sの幅W20sは、略5cmであることが最も好ましい。その根拠については、後述する実施例において説明する。一方、メイン緊締部20のうちの前側中央部分20fcの幅W20fcは、略7cm以上略14cm以下であることが好ましい。例えば、前側中央部分20fcの幅W20fcは、女性用では略8cmであることが最も好ましく、男性用では略14cmであることが最も好ましい。これによれば、下腹部全体において、腹筋群をサポートすると共に、これらの腹筋群に働きかけて収縮を促すように作用することができる。なお、メイン緊締部20のうちの前側脇部分20fsの幅W20fsは、脇側部分20sから前側中央部分20fcへ向けて次第広くなっている。ここで、メイン緊締部20の幅W20b,W20s,W20fc,W20fsとは、メイン緊締部20の側辺に対して略垂直な直線に沿う側辺間距離である。
【0036】
一方、腰部緊締部30のうちの下腹部分30fの幅W30f及び脇側部分30sの幅W30sは、略7cm以上略14cm以下であることが好ましい。例えば、下腹部分30fの幅W30f及び脇側部分30sの幅W30sは、女性用では略8cmであることが最も好ましく、男性用では略14cmであることが最も好ましい。また、腰部緊締部30のうちの腰側中央部分30bcの幅W30bcは、略5cm以上、略6cmであることが好ましい。例えば、腰側中央部分30bcの幅W30bcは、女性用では略6cmであることが最も好ましく、男性用では略9cmであることが最も好ましい。なお、腰部緊締部30のうちの腰側脇部分30bsの幅W30bsは、腰側中央部分30bcから脇側部分30sへ向けて次第広くなっている。これによれば、骨盤71、すなわち下腹部及び腰部をしっかりサポートすることができる。ここで、腰部緊締部30の幅W30f,W30s,W30bc,W30bsとは、腰部緊締部30の側辺に対して略垂直な直線に沿う側辺間距離である。
【0037】
本実施形態では、腰部緊締部30の下腹部分30fの中央部分は、メイン緊締部20における前側中央部分20fc及び前側脇部分20fsと重なって本体部10に縫着されている。なお、腰部緊締部30は、1枚の生地によってメイン緊締部20と一体的に形成されていてもよい。
【0038】
また、肩部緊締部40の幅W40は、メイン緊締部20における背側部分20bの幅W20b及び脇側部分20sの幅W20sと同一であればよい。これによれば、メイン緊締部20と肩部緊締部40とを1枚の生地によって一体的に形成することができる。ここで、肩部緊締部40の幅W40とは、肩部緊締部40の側辺に対して略垂直な直線に沿う側辺間距離である。
【0039】
また、本実施形態では、第7〜第9胸椎51〜53から左右下方へ延びるメイン緊締部20が、第7〜第9胸椎51〜53における部分25において重なり合って縫着されている。また、上記したように、メイン緊締部20の前側中央部分20fc及び前側脇部分20fsと腰部緊締部30の下腹部分30fの中央部分とが、下腹部中央における部分26において重なり合って縫着されている。これにより、第7〜第9胸椎51〜53を通る部分25と下腹部中央を通る部分26との緊締力が、メイン緊締部20、腰部緊締部30、及び、肩部緊締部40における他の部分に比べてより強くなっている。なお、第7〜第9胸椎51〜53を通る部分25と下腹部中央を通る部分26との緊締力を強くするためには、メイン緊締部20、腰部緊締部30、及び、肩部緊締部40において、第7〜第9胸椎51〜53を通る部分と下腹部中央を通る部分との生地の伸縮性を、他の部分の生地の伸縮性と異ならせてもよい。
【0040】
ところで、姿勢の悪い人の特徴としては、以下の点が考えられる。
・首の前傾
・猫背(背中の丸まり)
・おなかの突き出し
そして、その原因としては、以下の点が考えられる。
・腹筋群(外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋)が弱く、
・腹圧も低くなり、
・隔膜が下がり、
・背骨をしっかり支えられない。
その結果、図9(a)に示すように、
・腰椎111が前湾し、
・胸椎112が後湾する、
こととなる。
【0041】
本実施形態の姿勢改善サポート衣類1によれば、メイン緊締部20によって第7〜第9胸椎51〜53と下腹部中央とを引き合うので、脊柱起立筋群と腹筋群とを同時にサポートすると共に、脊柱起立筋群と腹筋群とに同時に働きかけて収縮を促すように作用する。特に、腹筋群に働きかけて腹圧を高めることができる。その結果、図9(b)に示すように、腰椎111の前湾及び胸椎112の後湾を軽減し、胸郭を開き、背筋を伸ばすことができると共に下腹部を引き締めることができる。
【0042】
また、歩行などの動作中に上半身の上部及び下部の回旋の支点となり、位置変動が小さい第7〜第9胸椎を支点としているので、歩行などの動作中でも、脊柱起立筋群と腹筋群とに対するサポート及び働きかけを安定して行うことができる。また、位置変動が小さい第7〜第9胸椎を支点として、正しい姿勢に戻ろうとする安定効果が得られる。
【0043】
更に、本実施形態の姿勢改善サポート衣類1によれば、腰部緊締部30によって下腹部の腹圧をより高めることができる。また、腰部緊締部30によって下腹部から腰部を周回してサポートするので、腹圧の上昇によって骨盤71の位置を安定させることができる。更には、腰部緊締部30が下腹部から腰部を周回してサポートすることにより、歩行などの動作に起因する骨盤71の左右前後の位置ずれを軽減することができ、骨盤71の位置をより安定させることができる。その結果、バランスよく姿勢を維持することができる。
【0044】
更に、本実施形態の姿勢改善サポート衣類1によれば、肩部緊締部40によって肩甲骨81の肩甲棘82に沿ってサポートすることにより、肩を開くように、すなわち、胸を張るように、肩甲骨81を内転することができる。したがって、姿勢改善をよりサポートすることができる。
【0045】
ここで、上記したように、猫背や下腹部の突出等の姿勢改善のためには、上半身質量中心点である第7〜第9胸椎51〜53と、腹部において最も突出する部分である下腹部中央付近とを起点として引き合うことが合理的である。本実施形態の姿勢改善サポート衣類1によれば、第7〜第9胸椎51〜53を通る部分25と下腹部中央を通る部分26との緊締力が、メイン緊締部20、腰部緊締部30、及び、肩部緊締部40における他の部分に比べてより強くなっているので、すなわち、引き合うための力が最も加わる第7〜第9胸椎部分25と下腹部中央部分26との緊締力が他の部分に比べてより強いので、第7〜第9胸椎51〜53と下腹部中央とを相互に引き合う際に安定効果を得ることができる。
【0046】
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、メイン緊締部20、腰部緊締部30、及び、肩部緊締部40を備える姿勢改善サポート衣類1を例示したが、姿勢改善サポート衣類は、少なくともメイン緊締部20を備えてさえいれば、背筋を伸ばし、下腹部を引き締める姿勢改善効果が得られる。
【0047】
すなわち、姿勢改善サポート衣類は、図10に示す変形例1の姿勢改善サポート衣類1Aのように、メイン緊締部20のみを備える形態であってもよいし、図11に示す変形例2の姿勢改善サポート衣類1Bのように、メイン緊締部20と腰部緊締部30とを備える形態であってもよいし、図12に示す変形例3の姿勢改善サポート衣類1Cのように、メイン緊締部20と肩部緊締部40とを備える形態であってもよい。なお、図10〜12では、それぞれ、(a)に姿勢改善サポート衣類を前側からみた斜視図を示し、(b)に姿勢改善サポート衣類を背側からみた図を示している。
【0048】
また、本実施形態では、メイン緊締部20、腰部緊締部30、及び、肩部緊締部40として、高伸縮性素材の縫着(当て布)を例示したが、高伸縮性素材をボンディング等によって接着してもよい。また、メイン緊締部20、腰部緊締部30、及び、肩部緊締部40は、本体部10を形成する際に、編み組織(縦編みや丸編み等)を変化させることによって形成してもよい。メイン緊締部20、腰部緊締部30、及び、肩部緊締部40は、オパール加工や、樹脂プリント、特殊加工プリントなどによって形成してもよい。このように、メイン緊締部20、腰部緊締部30、及び、肩部緊締部40の形成において、編み組織(縦編みや丸編み等)の変化、オパール加工、プリントなどを用いると、その境界が区別できないほどに一体的に形成することが可能となる。
【0049】
また、本実施形態では、ノースリーブ型の姿勢改善サポート衣類を例示したが、姿勢改善サポート衣類における本体部は、半袖や長袖などの袖を有するものであってもよいし、股部分や足部分を有するボディスーツ型であってもよい。
[実施例1〜3]
【0050】
図1〜3に示す本発明の実施形態の姿勢改善サポート衣類1を実施例1〜3として製作し、女性モニタ4名による評価を行った。実施例1〜3では、メイン緊締部20における背側部分、及び、肩部緊締部40の幅を代えて対比評価を行った。なお、下腹部及び腰部のサポートのためにはある程度の幅が必要なため、メイン緊締部20における前側中央部分20fcの幅、及び、腰部緊締部30の幅は下記の通り固定とした。
(メイン緊締部20における前側中央部分20fcの幅W20fc)
実施例1〜3:約8cm
(腰部緊締部30における下腹部分30fの幅W30f及び脇側部分30sの幅W30s)
実施例1〜3:約8cm
(腰部緊締部30における腰側中央部分30bcの幅W30bc)
実施例1〜3:約6cm
(メイン緊締部20における背側部分20bの幅W20b及び脇側部分20sの幅W20s、並びに肩部緊締部40の幅W40)
実施例1:約5cm
実施例2:両側に1cmずつ広げて、約7cm
実施例3:両側から1cmずつ狭めて、約3cm
【0051】
本評価では、それぞれ、実施例1〜3を試着して歩行した後にフリーコメントを問うた。この評価結果によれば、4人中3人が、幅W20b=W20s=W40=5cmにおいて、緊締力の前後のバランスが最もよく、背筋が伸びると共に、下腹部が引き締められると感じた。一方、幅W20b=W20s=W40=7cmでは、4人とも緊締力の前後のバランスがよくないと感じた。その結果、背中の緊締力が強く、下腹部の緊締力が弱く感じ、下腹部の引き締めが不十分と感じた。また、幅W20b=W20s=W40=3cmでは、4人中1人が最適と感じたが、3人は緊締力の前後のバランスがよくないと感じた。その結果、背中が頼りなく、背面からの姿勢改善サポートが感じられなかった。
【0052】
以上より、メイン緊締部20における背側部分20bの幅W20bは5cmであることが最も好ましいことがわかった。また、メイン緊締部20における背側部分20bの幅W20bを7cmまで広げると、緊締力の前後のバランスが損なわれ、背側の緊締力が強過ぎ、下腹部の緊締力が弱く感じられ、バランスよく姿勢を改善することが難しいことがわかった。また、メイン緊締部20における背側部分20bの幅W20bを3cmまで狭めると、緊締力の前後のバランスが損なわれ、背側の緊締力が弱過ぎ、下腹部の緊締力が強く感じられ、バランスよく姿勢を改善することが難しいことがわかった。これより、メイン緊締部20における背側部分20bの幅W20bは4cm〜6cm程度であることが好ましいと予想される。
【0053】
しかしながら、比較的に背中が大きいと共に筋力が強い男性に対しては、メイン緊締部20における背側部分20bの幅W20bを7cmまで広げてもよいと予想されることから、男女兼用を考慮すると、メイン緊締部20における背側部分20bの幅W20bは4cm〜7cm程度であってもよいことが予想される。
[実施例1]
【0054】
次に、図1〜3に示す本発明の実施形態の姿勢改善サポート衣類1である上記実施例1と同等品を実施例4として製作し、女性モニタ11名による評価を行った。この評価では、実施例4と従来品との対比評価を行った。
【0055】
ここで、実施例4に対して対比を行った従来品は、出願人の商品であって、姿勢改善サポート衣類における主要な商品である。
【0056】
本評価では、それぞれ、本発明の実施例と従来品とを対比して、どちらが優れていると感じたかを問うた。この評価結果によれば、11名中10名もの人が、従来品を着けた場合よりも姿勢がよくなったと感じた。その中でも、背筋が伸びたと感じた人が7名、お腹が引き締まったと感じた人が9名であった。
【0057】
更に、11名中10名もの人が、従来品を着けた場合よりもきつさを感じないと答えた。また、11人中9人もの人が、従来品を着けた場合よりも動き易いさを感じ、歩行時の姿勢がよくなったと感じた。そして、総合的に快適と感じた人が、11人中8人もいた。
【0058】
以上より、本発明の実施例4では、きつさ等の快適さを損なうことなく、姿勢改善をサポートできることがわかった。更に、歩行などの動作中でも、動き易いさを損なうことなく、安定して姿勢改善をサポートできることがわかった。これは、歩行などの動作中に上半身の上部及び下部の回旋の支点となり位置変動が小さい第7〜第9胸椎を支点としていることによるものと考えられる。
【符号の説明】
【0059】
1,1A,1B,1C…姿勢改善サポート衣類、10…本体部、20…メイン緊締部(緊締部)、20fc…メイン緊締部の前側中央部分、20fs…メイン緊締部の前側脇部分、20s…メイン緊締部の脇側部分、20b…メイン緊締部の背側部分、25…第7〜第9胸椎51〜53における部分、26…下腹部中央を通る部分、30…腰部緊締部、30f…腰部緊締部の下腹部分、30s…腰部緊締部の脇側部分、30bs腰部緊締部の腰側脇部分、30bc…腰部緊締部の腰側中央部分、40…肩部緊締部、51〜53…第7〜第9胸椎、61〜65…仮肋(第8〜第12肋骨)、64,65…浮遊肋(第11及び第12肋骨)、70…臍、71…骨盤、72…恥骨上端、73…腸骨、74…腸骨稜、76…外唇側部、81…肩甲骨、82…肩甲棘、91〜99…脊柱起立筋群、91〜93…腸肋筋群、91…頚腸肋筋、92…胸腸肋筋、93…腰腸肋筋、94〜96…最長筋群、94…頭最長筋、95…頚最長筋、96…胸最長筋、97〜99…棘筋群、97…頭棘筋、98…頚棘筋、99…胸棘筋、101〜103…腹筋群、101…外腹斜筋、102…内腹斜筋、103…腹横筋、111…腰椎、112…胸椎。
【技術分野】
【0001】
本発明は、姿勢改善のサポートを行う衣類に関するものである。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1〜3には、人体の姿勢や動作を考える際、身体重心点を把握することが重要であることが記載されている。一般に、身体重心点とは身体各部の重量が相互に平衡である点とされ、その位置は基本的立位姿勢では骨盤内の仙骨のやや前方(約第2仙椎)であるとされている。この身体重心点は、姿勢によって変動するものであり、特定が大変であったが、非特許文献1〜3によれば、身体重心点を境に上半身と下半身とに分割した場合に、上半身の質量中心点と下半身の重量中心点との中点によって、身体重心点を容易に特定することができることを証明している。そして、上半身質量中心点は略第7〜第9胸椎、特に第7胸椎に位置し、下半身質量中心点は大腿部の略1/2〜上1/3の間に位置するとしている。
【0003】
一方、非特許文献4〜6では、人体の上半身のみの姿勢や動作に着目している。これらの非特許文献によれば、上半身質量中心点である第7胸椎を境に上半身を上部と下部とに分割した場合に、歩行時において、上半身の上部と下部とが反対方向に回旋することによって、上半身の中でバランスを維持していることを証明している。すなわち、上半身のみでも、第7胸椎を支点として上半身の中でバランスを維持していることを証明している。
【0004】
この上半身質量中心点、すなわち第7〜第9胸椎に着目して、上半身の上部に位置する肩関節やその近傍の筋肉、肩関節近傍の上肢部の筋肉の障害などの予防や治療の促進を行う発明が、特許文献1に開示されている。この特許文献1に記載の肩及び上肢部保護衣料では、少なくとも上半身部を有する伸縮性布地からなるベースの衣料に部分的に緊締力の強い強緊締力部を有しており、この強緊締力部は、衣料後部において、肩峰よりやや後中心側寄りで人体の僧帽筋上部の肩峰側の端近傍部分から肩甲骨内上角近傍を通り、第7〜第9胸椎の何れかの近傍を通って逆の脇側の肋骨下部近傍に至るように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3115816号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】佐藤祐子、他3名、「姿勢・動作分析における身体重心点の視覚的評価」、理学療法学、第23巻、学会特別号(第31回愛知)、1996年、p.176
【非特許文献2】佐藤祐子、他3名、「姿勢・動作分析における身体重心点の視覚的評価−第2報−」、理学療法学、第25巻、学会特別号(第33回京都)、1998年、p.158
【非特許文献3】久保祐子、他3名、「姿勢・動作分析における身体重心点の視覚的評価の検討」、理学療法学、第33巻、第3号、2006年、p.112−117
【非特許文献4】久保祐子、他3名、「上半身質量中心点より観察した歩行時における上半身の動き」、理学療法学、第28巻、2001年、p.177
【非特許文献5】久保祐子、他3名、「上半身質量中心点より観察した歩行時における上半身の動き(第2報)」、理学療法学、第29巻、2002年、p.161
【非特許文献6】久保祐子、他3名、「上半身質量中心点より観察した歩行時における上半身の動き(第3報)」、理学療法学、第30巻、2003年、p.152
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、衣類を身に着けるだけで、上半身の上部だけでなく、上半身の下部、すなわち第7〜第9胸椎より下部のサポートを行うことが要望されている。具体的には、猫背や下腹部の突出などの姿勢改善のサポートの要望がある。
【0008】
そこで、本発明は、姿勢改善、特に猫背や下腹部の突出の改善をサポートすることが可能な姿勢改善サポート衣類を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者らは、猫背や下腹部の突出などの姿勢改善のサポートを行うにあたり、上半身質量中心点である第7〜第9胸椎、すなわち、歩行などの動作中に上半身の上部及び下部の回旋の支点となり、位置変動が小さい第7〜第9胸椎を利用することに着目した。
【0010】
そこで、本発明の姿勢改善サポート衣類は、少なくとも上半身を覆う本体部と、本体部の緊締力よりも強い緊締力を有する帯状の緊締部とを備える姿勢改善サポート衣類であって、緊締部は、第7〜第9胸椎のうちの少なくとも何れかから左右下方へ延び、左右の肋骨下部を通り、下腹部中央において連結しており、下腹部中央において、緊締部の中心線が臍と恥骨上端との間に位置する、ことを特徴とする。
【0011】
姿勢が悪くなる原因としては、主に以下の2点が考えられる。第一に、脊柱起立筋群が弱くなり、胸椎が後湾してしまうことにより、猫背になってしまう。第二に、腹筋群が弱くなって腹圧が低くなり、腰椎が前湾してしまうことにより、下腹部が突出してしまう。
【0012】
本発明によれば、緊締部によって第7〜第9胸椎と下腹部中央とを引き合うので、脊柱起立筋群と腹筋群とを同時にサポートすると共に、脊柱起立筋群と腹筋群とに同時に働きかけて収縮を促すように作用する。特に、腹筋群に働きかけて腹圧を高めることができる。その結果、胸椎の後湾及び腰椎の前湾を軽減し、背筋を伸ばすことができると共に下腹部を引き締めることができる。
【0013】
また、歩行などの動作中に上半身の上部及び下部の回旋の支点となり、位置変動が小さい第7〜第9胸椎を支点としているので、歩行などの動作中でも、脊柱起立筋群と腹筋群とに対するサポート及び働きかけを安定して行うことができる。
【0014】
上記した姿勢改善サポート衣類は、下腹部中央から左右に延び、骨盤における腸骨を通り、腰部において連結する腰部緊締部を更に備えることが好ましい。
【0015】
これによれば、腰部緊締部によって下腹部の腹圧をより高めることができる。また、腰部緊締部によって下腹部から腰部を周回してサポートするので、腹圧の上昇によって骨盤の位置を安定させることができる。更には、腰部緊締部が下腹部から腰部を周回してサポートすることにより、歩行などの動作に起因する骨盤の左右前後の位置ずれを軽減することができ、骨盤の位置をより安定させることができる。
【0016】
上記した姿勢改善サポート衣類は、第7〜第9胸椎のうちの少なくとも何れかから左右上方へ延び、肩甲骨における肩甲棘に沿って延びる肩部緊締部を更に備えることが好ましい。
【0017】
これによれば、肩部緊締部によって肩甲骨の肩甲棘に沿ってサポートすることにより、肩を開くように、すなわち、胸を張るように、肩甲骨を内転することができる。したがって、姿勢改善をよりサポートすることができる。
【0018】
上記した緊締部における第7〜第9胸椎を通る部分と緊締部における下腹部中央を通る部分とのうちの少なくとも何れか一方が、緊締部における他の部分に比べてより強い緊締力を有することが好ましい。
【0019】
上記したように、猫背や下腹部の突出等の姿勢改善のためには、上半身質量中心点である第7〜第9胸椎と、腹部において最も突出する部分である下腹部中央付近とを起点として引き合うことが合理的である。これによれば、緊締部において、引き合うための力が最も加わる第7〜第9胸椎部分と下腹部中央部分との緊締力が他の部分より強いので、第7〜第9胸椎と下腹部中央とを相互に引き合う際に安定感を得ることができる。
【0020】
上記した緊締部における背側部分の幅及び脇側部分の幅は、4cm以上7cm以下である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、姿勢改善、特に猫背や下腹部の突出の改善をサポートすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る姿勢改善サポート衣類を前側から示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る姿勢改善サポート衣類を背側から示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る姿勢改善サポート衣類を脇側から示す図である。
【図4】人体の骨格構造を前側から示す図である。
【図5】人体の骨格構造を背側から示す図である。
【図6】人体の骨格構造を脇側から示す図である。
【図7】人体の脊柱起立筋群構造を示す図である。
【図8】人体の腹筋群構造を示す図である。
【図9】本実施形態の姿勢改善サポート衣類の有無における人体の脊椎状態を脇側から示す図である。
【図10】本発明の変形例に係る姿勢改善サポート衣類を前側及び背側から示す図である。
【図11】本発明の変形例に係る姿勢改善サポート衣類を前側及び背側から示す図である。
【図12】本発明の変形例に係る姿勢改善サポート衣類を前側及び背側から示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る姿勢改善サポート衣類を前側から示す斜視図であり、図2は、本発明の実施形態に係る姿勢改善サポート衣類を背側から示す図である。また、図3は、本発明の実施形態に係る姿勢改善サポート衣類を脇側から示す図である。図1〜3に示す姿勢改善サポート衣類1は、本体部10と、メイン緊締部20と、腰部緊締部30と、肩部緊締部40とを備えている。
【0025】
本体部10は、着用者の上半身及び下腹部を覆うノースリーブ型の衣類である。本体部10は、伸縮性を有する生地からなっており、着用者に対して密着性を有している。本体部10には、メイン緊締部20と、腰部緊締部30と、肩部緊締部40とが部分的に設けられている。
【0026】
次に、図4〜6に示す人体の骨格構造の前側図、背側図、及び、脇側図と、図7に示す人体の脊柱起立筋群構造図と、図8に示す人体の腹筋群構造図とを適宜参照しながら、メイン緊締部20、腰部緊締部30、及び、肩部緊締部40について説明する。
【0027】
メイン緊締部20、腰部緊締部30、及び、肩部緊締部40は、それぞれ、本体部10の緊締力よりも強い緊締力を有する帯状をなしている。メイン緊締部20、腰部緊締部30、及び、肩部緊締部40には、パワーネット等の高い伸縮性を有する生地が適用可能である。メイン緊締部20は、幅方向の側部21,22において本体部10に縫着されている。同様に、腰部緊締部30も、幅方向の側部31,32において本体部10に縫着されており、肩部緊締部40も、幅方向の側部41,42及び長手方向の端部43において、本体部10に縫着されている。
【0028】
メイン緊締部20は、着用状態において、着用者の背側における胸椎中央、すなわち、図4〜6に示す第7〜第9胸椎51〜53のうちの少なくとも何れかから左右下方へ逆V字状に延びている。そして、メイン緊締部20は、着用状態において、着用者の脇側における左右の肋骨下部、すなわち、仮肋(第8〜第12肋骨)61〜65又は浮遊肋(第11及び第12肋骨)64,65のうちの少なくとも何れかであって、着用者の前側に位置する先端部に沿って、着用者の前側下方へ延びている。次いで、メイン緊締部20は、着用状態において、着用者の前側における下腹部中央、すなわち、臍70付近から骨盤71における恥骨上端72付近で連結している。この下腹部中央には、メイン緊締部20の幅方向(すなわち、上下方向)の中心線が臍70と恥骨上端72との間に位置するように、メイン緊締部20が位置している。なお、メイン緊締部20は、その一部が臍70や恥骨上端72を覆っていてもよい。
【0029】
このようにして、メイン緊締部20は、第7〜第9胸椎51〜53を支点として、第7〜第9胸椎51〜53と下腹部中央とを引き合うように作用する。その結果、メイン緊締部20は、図7(a)に示す腸肋筋群、図7(b)に示す最長筋群、及び、図7(c)に示す棘筋群97〜99からなる脊柱起立筋群、すなわち、頚腸肋筋91、胸腸肋筋92、腰腸肋筋93、頭最長筋94、頚最長筋95、胸最長筋96、頭棘筋97(図示略)、頚棘筋98、及び、胸棘筋99からなる脊柱起立筋群をサポートすると共に、これらの脊柱起立筋群に働きかけて収縮を促すように作用する。
【0030】
また、メイン緊締部20は、図8(a)に示す仮肋61〜65又は浮遊肋64,65の先端部から下腹部中央へ向けて延びる外腹斜筋101、図8(b)に示す外腹斜筋101の内部に位置する内腹斜筋102、及び、図8(c)に示す内腹斜筋102の内部に位置する腹横筋103からなる腹筋群をサポートすると共に、これらの腹筋群に働きかけて収縮を促すように作用する。特に、仮肋61〜65又は浮遊肋64,65の先端部から下腹部中央へ向けて延びる外腹斜筋101に対しては、その筋繊維に沿ってメイン緊締部20が位置している。筋肉は筋線維方向に収縮するので、メイン緊締部20は外腹斜筋101に対してより強く働きかけることとなる。
【0031】
次に、腰部緊締部30は、着用状態において、着用者の前側における下腹部中央、すなわち、臍70〜骨盤71における恥骨上端72付近から左右へ延びている。そして、腰部緊締部30は、着用状態において、着用者の脇側における骨盤71の腸骨73の腸骨稜74の外唇側部76を通って、着用者の背側へ延びている。次いで、腰部緊締部30は、着用状態において、着用者の背側における腰部、すなわち、骨盤71における腸骨73の上部付近において連結している。
【0032】
このようにして、腰部緊締部30は、図8に示す腹筋群をよりサポートすると共に、これらの腹筋群により働きかけて収縮を促すように作用する。また、腰部緊締部30は、下腹部から腰部を周回してサポートし、骨盤71の位置を安定させるように作用する。
【0033】
次に、肩部緊締部40は、着用状態において、着用者の背側における胸椎中央、すなわち、図4〜6に示す第7〜第9胸椎51〜53のうちの少なくとも何れかから左右上方へ延びている。そして、肩部緊締部40は、着用状態において、肩甲骨81における肩甲棘82の長手方向に沿って延びている。すなわち、略左右方向に沿って伸びる肩甲棘82に沿って左右方向に延びている。
【0034】
このようにして、肩部緊締部40は、肩を開くように、すなわち、胸を張るように、肩甲骨81を内転するように作用する。
【0035】
ここで、メイン緊締部20のうちの背側部分20bの幅W20b及び脇側部分20sの幅W20sは、略4cm以上略7cm以下であればよく、略4cm以上略6cm以下であることが好ましい。そして、この背側部分20bの幅W20b及び脇側部分20sの幅W20sは、略5cmであることが最も好ましい。その根拠については、後述する実施例において説明する。一方、メイン緊締部20のうちの前側中央部分20fcの幅W20fcは、略7cm以上略14cm以下であることが好ましい。例えば、前側中央部分20fcの幅W20fcは、女性用では略8cmであることが最も好ましく、男性用では略14cmであることが最も好ましい。これによれば、下腹部全体において、腹筋群をサポートすると共に、これらの腹筋群に働きかけて収縮を促すように作用することができる。なお、メイン緊締部20のうちの前側脇部分20fsの幅W20fsは、脇側部分20sから前側中央部分20fcへ向けて次第広くなっている。ここで、メイン緊締部20の幅W20b,W20s,W20fc,W20fsとは、メイン緊締部20の側辺に対して略垂直な直線に沿う側辺間距離である。
【0036】
一方、腰部緊締部30のうちの下腹部分30fの幅W30f及び脇側部分30sの幅W30sは、略7cm以上略14cm以下であることが好ましい。例えば、下腹部分30fの幅W30f及び脇側部分30sの幅W30sは、女性用では略8cmであることが最も好ましく、男性用では略14cmであることが最も好ましい。また、腰部緊締部30のうちの腰側中央部分30bcの幅W30bcは、略5cm以上、略6cmであることが好ましい。例えば、腰側中央部分30bcの幅W30bcは、女性用では略6cmであることが最も好ましく、男性用では略9cmであることが最も好ましい。なお、腰部緊締部30のうちの腰側脇部分30bsの幅W30bsは、腰側中央部分30bcから脇側部分30sへ向けて次第広くなっている。これによれば、骨盤71、すなわち下腹部及び腰部をしっかりサポートすることができる。ここで、腰部緊締部30の幅W30f,W30s,W30bc,W30bsとは、腰部緊締部30の側辺に対して略垂直な直線に沿う側辺間距離である。
【0037】
本実施形態では、腰部緊締部30の下腹部分30fの中央部分は、メイン緊締部20における前側中央部分20fc及び前側脇部分20fsと重なって本体部10に縫着されている。なお、腰部緊締部30は、1枚の生地によってメイン緊締部20と一体的に形成されていてもよい。
【0038】
また、肩部緊締部40の幅W40は、メイン緊締部20における背側部分20bの幅W20b及び脇側部分20sの幅W20sと同一であればよい。これによれば、メイン緊締部20と肩部緊締部40とを1枚の生地によって一体的に形成することができる。ここで、肩部緊締部40の幅W40とは、肩部緊締部40の側辺に対して略垂直な直線に沿う側辺間距離である。
【0039】
また、本実施形態では、第7〜第9胸椎51〜53から左右下方へ延びるメイン緊締部20が、第7〜第9胸椎51〜53における部分25において重なり合って縫着されている。また、上記したように、メイン緊締部20の前側中央部分20fc及び前側脇部分20fsと腰部緊締部30の下腹部分30fの中央部分とが、下腹部中央における部分26において重なり合って縫着されている。これにより、第7〜第9胸椎51〜53を通る部分25と下腹部中央を通る部分26との緊締力が、メイン緊締部20、腰部緊締部30、及び、肩部緊締部40における他の部分に比べてより強くなっている。なお、第7〜第9胸椎51〜53を通る部分25と下腹部中央を通る部分26との緊締力を強くするためには、メイン緊締部20、腰部緊締部30、及び、肩部緊締部40において、第7〜第9胸椎51〜53を通る部分と下腹部中央を通る部分との生地の伸縮性を、他の部分の生地の伸縮性と異ならせてもよい。
【0040】
ところで、姿勢の悪い人の特徴としては、以下の点が考えられる。
・首の前傾
・猫背(背中の丸まり)
・おなかの突き出し
そして、その原因としては、以下の点が考えられる。
・腹筋群(外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋)が弱く、
・腹圧も低くなり、
・隔膜が下がり、
・背骨をしっかり支えられない。
その結果、図9(a)に示すように、
・腰椎111が前湾し、
・胸椎112が後湾する、
こととなる。
【0041】
本実施形態の姿勢改善サポート衣類1によれば、メイン緊締部20によって第7〜第9胸椎51〜53と下腹部中央とを引き合うので、脊柱起立筋群と腹筋群とを同時にサポートすると共に、脊柱起立筋群と腹筋群とに同時に働きかけて収縮を促すように作用する。特に、腹筋群に働きかけて腹圧を高めることができる。その結果、図9(b)に示すように、腰椎111の前湾及び胸椎112の後湾を軽減し、胸郭を開き、背筋を伸ばすことができると共に下腹部を引き締めることができる。
【0042】
また、歩行などの動作中に上半身の上部及び下部の回旋の支点となり、位置変動が小さい第7〜第9胸椎を支点としているので、歩行などの動作中でも、脊柱起立筋群と腹筋群とに対するサポート及び働きかけを安定して行うことができる。また、位置変動が小さい第7〜第9胸椎を支点として、正しい姿勢に戻ろうとする安定効果が得られる。
【0043】
更に、本実施形態の姿勢改善サポート衣類1によれば、腰部緊締部30によって下腹部の腹圧をより高めることができる。また、腰部緊締部30によって下腹部から腰部を周回してサポートするので、腹圧の上昇によって骨盤71の位置を安定させることができる。更には、腰部緊締部30が下腹部から腰部を周回してサポートすることにより、歩行などの動作に起因する骨盤71の左右前後の位置ずれを軽減することができ、骨盤71の位置をより安定させることができる。その結果、バランスよく姿勢を維持することができる。
【0044】
更に、本実施形態の姿勢改善サポート衣類1によれば、肩部緊締部40によって肩甲骨81の肩甲棘82に沿ってサポートすることにより、肩を開くように、すなわち、胸を張るように、肩甲骨81を内転することができる。したがって、姿勢改善をよりサポートすることができる。
【0045】
ここで、上記したように、猫背や下腹部の突出等の姿勢改善のためには、上半身質量中心点である第7〜第9胸椎51〜53と、腹部において最も突出する部分である下腹部中央付近とを起点として引き合うことが合理的である。本実施形態の姿勢改善サポート衣類1によれば、第7〜第9胸椎51〜53を通る部分25と下腹部中央を通る部分26との緊締力が、メイン緊締部20、腰部緊締部30、及び、肩部緊締部40における他の部分に比べてより強くなっているので、すなわち、引き合うための力が最も加わる第7〜第9胸椎部分25と下腹部中央部分26との緊締力が他の部分に比べてより強いので、第7〜第9胸椎51〜53と下腹部中央とを相互に引き合う際に安定効果を得ることができる。
【0046】
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、メイン緊締部20、腰部緊締部30、及び、肩部緊締部40を備える姿勢改善サポート衣類1を例示したが、姿勢改善サポート衣類は、少なくともメイン緊締部20を備えてさえいれば、背筋を伸ばし、下腹部を引き締める姿勢改善効果が得られる。
【0047】
すなわち、姿勢改善サポート衣類は、図10に示す変形例1の姿勢改善サポート衣類1Aのように、メイン緊締部20のみを備える形態であってもよいし、図11に示す変形例2の姿勢改善サポート衣類1Bのように、メイン緊締部20と腰部緊締部30とを備える形態であってもよいし、図12に示す変形例3の姿勢改善サポート衣類1Cのように、メイン緊締部20と肩部緊締部40とを備える形態であってもよい。なお、図10〜12では、それぞれ、(a)に姿勢改善サポート衣類を前側からみた斜視図を示し、(b)に姿勢改善サポート衣類を背側からみた図を示している。
【0048】
また、本実施形態では、メイン緊締部20、腰部緊締部30、及び、肩部緊締部40として、高伸縮性素材の縫着(当て布)を例示したが、高伸縮性素材をボンディング等によって接着してもよい。また、メイン緊締部20、腰部緊締部30、及び、肩部緊締部40は、本体部10を形成する際に、編み組織(縦編みや丸編み等)を変化させることによって形成してもよい。メイン緊締部20、腰部緊締部30、及び、肩部緊締部40は、オパール加工や、樹脂プリント、特殊加工プリントなどによって形成してもよい。このように、メイン緊締部20、腰部緊締部30、及び、肩部緊締部40の形成において、編み組織(縦編みや丸編み等)の変化、オパール加工、プリントなどを用いると、その境界が区別できないほどに一体的に形成することが可能となる。
【0049】
また、本実施形態では、ノースリーブ型の姿勢改善サポート衣類を例示したが、姿勢改善サポート衣類における本体部は、半袖や長袖などの袖を有するものであってもよいし、股部分や足部分を有するボディスーツ型であってもよい。
[実施例1〜3]
【0050】
図1〜3に示す本発明の実施形態の姿勢改善サポート衣類1を実施例1〜3として製作し、女性モニタ4名による評価を行った。実施例1〜3では、メイン緊締部20における背側部分、及び、肩部緊締部40の幅を代えて対比評価を行った。なお、下腹部及び腰部のサポートのためにはある程度の幅が必要なため、メイン緊締部20における前側中央部分20fcの幅、及び、腰部緊締部30の幅は下記の通り固定とした。
(メイン緊締部20における前側中央部分20fcの幅W20fc)
実施例1〜3:約8cm
(腰部緊締部30における下腹部分30fの幅W30f及び脇側部分30sの幅W30s)
実施例1〜3:約8cm
(腰部緊締部30における腰側中央部分30bcの幅W30bc)
実施例1〜3:約6cm
(メイン緊締部20における背側部分20bの幅W20b及び脇側部分20sの幅W20s、並びに肩部緊締部40の幅W40)
実施例1:約5cm
実施例2:両側に1cmずつ広げて、約7cm
実施例3:両側から1cmずつ狭めて、約3cm
【0051】
本評価では、それぞれ、実施例1〜3を試着して歩行した後にフリーコメントを問うた。この評価結果によれば、4人中3人が、幅W20b=W20s=W40=5cmにおいて、緊締力の前後のバランスが最もよく、背筋が伸びると共に、下腹部が引き締められると感じた。一方、幅W20b=W20s=W40=7cmでは、4人とも緊締力の前後のバランスがよくないと感じた。その結果、背中の緊締力が強く、下腹部の緊締力が弱く感じ、下腹部の引き締めが不十分と感じた。また、幅W20b=W20s=W40=3cmでは、4人中1人が最適と感じたが、3人は緊締力の前後のバランスがよくないと感じた。その結果、背中が頼りなく、背面からの姿勢改善サポートが感じられなかった。
【0052】
以上より、メイン緊締部20における背側部分20bの幅W20bは5cmであることが最も好ましいことがわかった。また、メイン緊締部20における背側部分20bの幅W20bを7cmまで広げると、緊締力の前後のバランスが損なわれ、背側の緊締力が強過ぎ、下腹部の緊締力が弱く感じられ、バランスよく姿勢を改善することが難しいことがわかった。また、メイン緊締部20における背側部分20bの幅W20bを3cmまで狭めると、緊締力の前後のバランスが損なわれ、背側の緊締力が弱過ぎ、下腹部の緊締力が強く感じられ、バランスよく姿勢を改善することが難しいことがわかった。これより、メイン緊締部20における背側部分20bの幅W20bは4cm〜6cm程度であることが好ましいと予想される。
【0053】
しかしながら、比較的に背中が大きいと共に筋力が強い男性に対しては、メイン緊締部20における背側部分20bの幅W20bを7cmまで広げてもよいと予想されることから、男女兼用を考慮すると、メイン緊締部20における背側部分20bの幅W20bは4cm〜7cm程度であってもよいことが予想される。
[実施例1]
【0054】
次に、図1〜3に示す本発明の実施形態の姿勢改善サポート衣類1である上記実施例1と同等品を実施例4として製作し、女性モニタ11名による評価を行った。この評価では、実施例4と従来品との対比評価を行った。
【0055】
ここで、実施例4に対して対比を行った従来品は、出願人の商品であって、姿勢改善サポート衣類における主要な商品である。
【0056】
本評価では、それぞれ、本発明の実施例と従来品とを対比して、どちらが優れていると感じたかを問うた。この評価結果によれば、11名中10名もの人が、従来品を着けた場合よりも姿勢がよくなったと感じた。その中でも、背筋が伸びたと感じた人が7名、お腹が引き締まったと感じた人が9名であった。
【0057】
更に、11名中10名もの人が、従来品を着けた場合よりもきつさを感じないと答えた。また、11人中9人もの人が、従来品を着けた場合よりも動き易いさを感じ、歩行時の姿勢がよくなったと感じた。そして、総合的に快適と感じた人が、11人中8人もいた。
【0058】
以上より、本発明の実施例4では、きつさ等の快適さを損なうことなく、姿勢改善をサポートできることがわかった。更に、歩行などの動作中でも、動き易いさを損なうことなく、安定して姿勢改善をサポートできることがわかった。これは、歩行などの動作中に上半身の上部及び下部の回旋の支点となり位置変動が小さい第7〜第9胸椎を支点としていることによるものと考えられる。
【符号の説明】
【0059】
1,1A,1B,1C…姿勢改善サポート衣類、10…本体部、20…メイン緊締部(緊締部)、20fc…メイン緊締部の前側中央部分、20fs…メイン緊締部の前側脇部分、20s…メイン緊締部の脇側部分、20b…メイン緊締部の背側部分、25…第7〜第9胸椎51〜53における部分、26…下腹部中央を通る部分、30…腰部緊締部、30f…腰部緊締部の下腹部分、30s…腰部緊締部の脇側部分、30bs腰部緊締部の腰側脇部分、30bc…腰部緊締部の腰側中央部分、40…肩部緊締部、51〜53…第7〜第9胸椎、61〜65…仮肋(第8〜第12肋骨)、64,65…浮遊肋(第11及び第12肋骨)、70…臍、71…骨盤、72…恥骨上端、73…腸骨、74…腸骨稜、76…外唇側部、81…肩甲骨、82…肩甲棘、91〜99…脊柱起立筋群、91〜93…腸肋筋群、91…頚腸肋筋、92…胸腸肋筋、93…腰腸肋筋、94〜96…最長筋群、94…頭最長筋、95…頚最長筋、96…胸最長筋、97〜99…棘筋群、97…頭棘筋、98…頚棘筋、99…胸棘筋、101〜103…腹筋群、101…外腹斜筋、102…内腹斜筋、103…腹横筋、111…腰椎、112…胸椎。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも上半身を覆う本体部と、前記本体部の緊締力よりも強い緊締力を有する帯状の緊締部とを備える姿勢改善サポート衣類であって、
前記緊締部は、第7〜第9胸椎のうちの少なくとも何れかから左右下方へ延び、左右の肋骨下部を通り、下腹部中央において連結しており、
前記下腹部中央において、前記緊締部の中心線が臍と恥骨上端との間に位置する、
ことを特徴とする、姿勢改善サポート衣類。
【請求項2】
前記下腹部中央から左右に延び、骨盤における腸骨を通り、腰部において連結する腰部緊締部を更に備えることを特徴とする、
請求項1に記載の姿勢改善サポート衣類。
【請求項3】
前記第7〜第9胸椎のうちの少なくとも何れかから左右上方へ延び、肩甲骨における肩甲棘に沿って延びる肩部緊締部を更に備えることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の姿勢改善サポート衣類。
【請求項4】
前記緊締部における前記第7〜第9胸椎を通る部分と前記緊締部における前記下腹部中央を通る部分とのうちの少なくとも何れか一方が、前記緊締部における他の部分に比べてより強い緊締力を有することを特徴とする、
請求項1〜3の何れか1項に記載の姿勢改善サポート衣類。
【請求項5】
前記緊締部における背側部分の幅及び脇側部分の幅は、4cm以上7cm以下である、
請求項1に記載の姿勢改善サポート衣類。
【請求項1】
少なくとも上半身を覆う本体部と、前記本体部の緊締力よりも強い緊締力を有する帯状の緊締部とを備える姿勢改善サポート衣類であって、
前記緊締部は、第7〜第9胸椎のうちの少なくとも何れかから左右下方へ延び、左右の肋骨下部を通り、下腹部中央において連結しており、
前記下腹部中央において、前記緊締部の中心線が臍と恥骨上端との間に位置する、
ことを特徴とする、姿勢改善サポート衣類。
【請求項2】
前記下腹部中央から左右に延び、骨盤における腸骨を通り、腰部において連結する腰部緊締部を更に備えることを特徴とする、
請求項1に記載の姿勢改善サポート衣類。
【請求項3】
前記第7〜第9胸椎のうちの少なくとも何れかから左右上方へ延び、肩甲骨における肩甲棘に沿って延びる肩部緊締部を更に備えることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の姿勢改善サポート衣類。
【請求項4】
前記緊締部における前記第7〜第9胸椎を通る部分と前記緊締部における前記下腹部中央を通る部分とのうちの少なくとも何れか一方が、前記緊締部における他の部分に比べてより強い緊締力を有することを特徴とする、
請求項1〜3の何れか1項に記載の姿勢改善サポート衣類。
【請求項5】
前記緊締部における背側部分の幅及び脇側部分の幅は、4cm以上7cm以下である、
請求項1に記載の姿勢改善サポート衣類。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2010−261118(P2010−261118A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112004(P2009−112004)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(306033379)株式会社ワコール (116)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(306033379)株式会社ワコール (116)
【Fターム(参考)】
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