説明

姿勢矯正具

【課題】前屈気味の姿勢の原因は背中ではなく腹部の筋であり、腹部の筋へアプローチする事によって姿勢を矯正する。
【解決手段】矯正具からの外的な圧力で、みぞおちや腹部などに張り付けることによって、体幹を前屈する作用のある腹直筋と錐体筋のいずれか一方または双方の収縮を抑制し、前屈気味の姿勢を矯正する姿勢矯正具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は前屈気味になっているいわゆる猫背姿勢を矯正する発明である。
【背景技術】
【0002】
現在猫背を矯正する物として背中が丸くなることで前屈姿勢になり不良な姿勢になる観点から背面側で交差するように肩部間に、たすき掛けされた伸縮性を有する環状ベルトによって発生する張力で胸を張らし丸まった背中を矯正する矯正具がある。(特許文献2902368号)
【0003】
しかし胸を張らすことによって背中を矯正してしまうと腰が正しい位置から反ってしまういわゆる反り腰になってしまい腰痛の原因を作ってしまう。
【0004】
また肩部間に、たすき掛けされた伸縮性を有する環状ベルトは肩に非常に強い負荷を強いられてしまい肩関節に疼痛を発生させてしまうので、とても実用的とは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許2902368号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】社団法人全国柔道整復学校協会監修 解剖学 医歯薬出版株式会社出版
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1は矯正する部位が背中であり、前屈気味の姿勢も背中が丸いために発生するという観点でいる。要するに特に正常な姿勢に比べて幾分背を丸めた猫背と称される姿勢の原因は背中であるという観点から発明に至っているのが考えられる。しかし、前屈気味の姿勢の原因は背中ではなく腹部の筋である。腹部の筋は前腹筋、側腹筋、後腹筋に分類され、その中で体幹を前屈する作用がある筋が前腹筋にあたる腹直筋である。
【0008】
また腹部の筋の側腹筋にあたる内腹斜筋、外腹斜筋、腹横筋の作用により腹圧を高めると骨盤と胸郭が固定される作用がある。腹圧を高める事により骨盤と胸郭が固定される事により正しい姿勢を保持する事が容易になる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は体幹を前屈する腹直筋の作用を抑制し、かつ腹圧を高める為に、外的から腹圧を高める矯正具を腹部に張り付けるように装着することにより、上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0010】
体幹が前屈気味の姿勢が長く続くと脊柱に関わる筋(背筋群)が固まってしまい疼痛の原因を作るが姿勢が矯正される事によりこれを予防、改善が期待できる。
【0011】
また不良の姿勢が長く続くと、頭の重量の負荷が肩、頸椎にかかりやすくなる事で、頸椎や肩関節に関わる筋が持続的筋緊張に陥り、これらの部位に様々な疾患を誘発しやすくなるがこれらを阻止、予防の効果が期待できる。
【0012】
人体の体温の調節機構の仕組みとして、熱放散と熱産生があり、熱放散には体表面から放射(輻射)、伝導、対流、蒸発により行われるが、常温の環境下で一番熱放散の割合が大きいのが放散であり、これは人体の中の熱を皮膚から外気に放出して、体温を下げる仕組みであり、この熱を利用して腹部を保温する効果もある。

【0013】
この放射からでてくる熱エネルギーは人体から発するエネルギーであり、生きているかぎりこれは不変であり、また熱の温度も恒常性であることから、保温する温度は常に一定であり矯正具を付けている限り保温できる時間の制約を受けない。
【0014】
腹部を保温することにより全身の血液の流れが良くなる事で免疫向上や新陳代謝の向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】矯正具の正面図である。
【図2】矯正具の側面図である。
【図3】矯正具のベルトの図である。
【図4】下腹部に矯正具を装着した状態を示す図である。
【図5】みぞおち部に矯正具を装着した状態を示す図である。
【図6】腹部の筋肉(深層筋)の解剖図である。
【図7】腹部の筋肉(浅層筋)の解剖図である。
【符号の説明】
【0016】
10 姿勢矯正具
12、14 伸縮性がない繊維
16、18 通気性がよく熱の伝導性が良い繊維であり、伸縮性がない繊維
20 通気性がなく、伸縮性がない繊維
22 伸縮性がある繊維
24 環状ベルト
26、28 ホック式止め具
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の矯正具は伸縮性の繊維と伸縮性がない繊維の組み合わせの多重構造になっている。
【0018】
装着する腹部の方(図2、12、14)は伸縮性のない繊維であり、外気にふれる外側(図2、22)が伸縮性のある繊維で構成される。
【0019】
腹部の方の繊維は放射から得られた熱を通しやすくするため、通気性がよく熱の伝導性が良い繊維を選ぶ。(図2、16、18)
【0020】
外気にふれる外側の繊維は得られた熱を逃がさないように通気性がない繊維を選ぶ。(図2、20)
【0021】
伸縮性がある繊維がそのまま環状ベルトの役目を果たす。(図3、24)
【0022】
次に、上記発明を実施するための最良の形態の構成に基づく矯正具の使用方法について説明する。
デスクワークなど、座っている状態が長く続く環境におられる方は長時間その環境にさらされるとどうしても体幹が前屈気味になってしまう。体幹を前屈させる作用の筋は腹直筋であるが、その筋の起始部が恥骨であり、停止部が胸骨の一番下端部の剣状突起、いわゆるみぞおちのところにあたる。筋肉の性質上、起始部が筋の動きが少なく、停止部が筋の動きが大きい。したがって、筋が収縮するとき停止部は起始部に最短で接近するように働くので腹直筋の収縮を抑制しようとする場合、矯正具からの外的な圧力でみぞおちや腹部などに張り付けるように装着することによって体幹を前屈する作用のある腹直筋と錐体筋のいずれか一方または双方の収縮を抑制し、前屈気味の姿勢を矯正する。(図4、図5を参照)
【0023】
腹圧を高める事で体幹前屈を抑制する場合は、矯正具からの外的な圧力で下腹部に張り付けるように装着する事によって腹部の筋の側腹筋にあたる内腹斜筋と外腹斜筋と腹横筋の作用である腹圧を高めて骨盤と胸郭を固定し、体幹を前屈する作用のある腹直筋と錐体筋のいずれか一方または双方の収縮を抑制し、前屈気味の姿勢を矯正する。この部位には腹圧を高める筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋の筋が停止する停止腱膜があり、それらで作り上げた腱膜を腹直筋鞘という。その鞘は左右あり、正中で合したところを白線といい、その白線に停止する筋が錐体筋であり、この筋は白線を緊張させ腹直筋が前屈する働きを助ける作用がある。それらの筋の停止部位が一合にあつまる場所が下腹部辺りに位置する。(図4を参照)
【0024】
ベルトは伸縮性のある繊維で構成される為、人工的な力でもってその張力をコントロールできる。その張力は腹部にかかる圧に関わるので腹部にかかる圧もこちらでコントロールすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矯正具からの外的な圧力でみぞおちや腹部などに張り付けるように装着することによって、体幹を前屈する作用のある腹直筋と錐体筋のいずれか一方または双方の収縮を抑制し、前屈気味の姿勢を矯正する事を特徴とする姿勢矯正具。
【請求項2】
矯正具からの外的な圧力で下腹部に張り付けるように装着する事によって腹部の筋の側腹筋にあたる内腹斜筋と外腹斜筋と腹横筋の作用である腹圧を高めて骨盤と胸郭を固定し、体幹を前屈する作用のある腹直筋と錐体筋のいずれか一方または双方の収縮を抑制し、前屈気味の姿勢を矯正する事を特徴とする姿勢矯正具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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