説明

媒体カセット収容装置および画像形成装置

【課題】カセット収納部側の摺動部材の磨耗を低減させる。
【解決手段】給紙カセットを着脱可能に収納する媒体カセット収納装置において、挿抜される給紙カセットを案内する案内部材と、前記案内部材に、前記給紙カセットの挿抜方向に揺動可能に配設され、前記給紙カセットの底面と摺接する摺動面が形成された摺動駒とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体カセット収容装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の媒体カセット収容装置および画像形成装置は、媒体を収容する媒体カセットが挿抜可能に構成され(例えば、特許文献1参照)、その媒体カセットの挿抜に必要な力を軽減させるために、媒体カセットを収納するカセット収納部側に媒体カセットを摺動可能に支持する摺動部材を媒体カセットの挿抜方向に延在するように配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−100417号公報(段落「0025」〜段落「0027」、図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、媒体カセット収容装置または画像形成装置に対して媒体カセットを挿抜するときの摺動摩擦により、カセット収納部側の摺動部材が局所的に偏って磨耗してしまうという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、カセット収納部側の摺動部材の磨耗を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明は、給紙カセットを着脱可能に収納する媒体カセット収納装置において、挿抜される給紙カセットを案内する案内部材と、前記案内部材に、前記給紙カセットの挿抜方向に揺動可能に配設され、前記給紙カセットの底面と摺接する摺動面が形成された摺動駒とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、カセット収納部側の摺動部材の磨耗を低減させるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施例における給紙カセットおよびカセット収納部の正面図および側面図
【図2】第1の実施例における画像形成装置の構成を示す概略断面図
【図3】第1の実施例におけるカセット収納部の斜視図
【図4】第1の実施例における摺動駒およびカセット収納部の要部斜視図
【図5】第1の実施例におけるカセット収納部および給紙カセットの断面図
【図6】第1の実施例におけるカセット収納部および給紙カセットの断面図
【図7】第2の実施例における摺動駒およびカセット収納部の要部斜視図
【図8】第2の実施例におけるカセット収納部および給紙カセットの断面図
【図9】第2の実施例におけるカセット収納部および給紙カセットの断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明による媒体カセット収容装置および画像形成装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0009】
図2は第1の実施例における画像形成装置の構成を示す概略断面図である。
図2において、1は給紙カセットを着脱可能に収納する媒体カセット収納装置としてのカセット収納部を有するプリンタ等の画像形成装置である。この画像形成装置1は、用紙を収容する給紙カセット21と、用紙を給紙する給紙装置22と、現像剤像を形成する画像形成部を構成する帯電装置20、現像装置23、露光装置24、および感光ドラム25と、現像剤像を用紙に転写する転写装置26と、用紙に転写された現像剤像を定着する定着装置27と、現像剤像が定着された用紙を積層するスタッカ28とにより構成されている。
【0010】
給紙カセット21から図中矢印Bが示す方向に搬送された用紙は、給紙ローラ22aと分離ローラ22bとを含む給紙装置22で1枚ずつ分離され、画像形成部へ搬送される。
画像形成部では、帯電装置20により感光ドラム25の表面が均一に帯電され、帯電された感光ドラム25の表面に露光装置24により印刷情報に基づいて露光させることで静電潜像を形成する。その後、静電潜像が形成された感光ドラム25の表面に、現像装置23により感光ドラム25の帯電と同極に帯電された図示しない現像剤としてのトナーを供給し、静電潜像を現像してトナー像を形成する。
【0011】
感光ドラム25上に形成されたトナー像は、トナーと逆極性の電圧に印加された転写装置26の転写ローラ26aにより、用紙上に転写される。トナー像が転写された用紙は、定着装置27に搬送され、用紙上のトナーは定着装置27により溶融され用紙に定着される。
このように画像形成プロセスを経てトナー像が形成された用紙はスタッカ28へ搬送され、堆積される。
【0012】
給紙カセット21は、画像形成装置1の媒体カセット収納装置としてのカセット収納部29に着脱(挿抜)可能に構成されており、図中矢印Aが示す給紙カセット21の挿抜方向におけるカセット収納部29の両側部には、1対の給紙カセット21を案内するカセットガイド29a、29bが形成されている。
給紙カセット21がカセット収納部29に着脱されるときは、給紙カセット21の底面がカセット収納部29のカセットガイド29a、29bのガイド面と摺動する。
【0013】
給紙カセット21をカセット収納部29から引き出すことにより、給紙カセット21への用紙の補充や用紙の交換等が可能になり、また給紙カセット21をカセット収納部29の所定の位置まで押し込むことにより、給紙カセット21からの給紙が可能な状態になる。また、1対のカセットガイド29a、29bは、補助板金30により図示しない螺子でカセット収納部29に締結されている。
【0014】
図3は第1の実施例におけるカセット収納部の斜視図であり、図2におけるカセット収納部29を構成するカセットガイド29aと、そのカセットガイド29aに配設された摺動駒の位置関係を示している。なお、図3は図中矢印Aで示す給紙カセットの挿抜方向における片側のカセットガイド29aを示しているが、反対側のカセットガイド29bにも同様に摺動駒が配設されている。
【0015】
図3において、カセット収納部29は、挿抜される給紙カセットを案内する案内部材としてのカセットガイド29aと、そのカセットガイド29aに、給紙カセットの挿抜方向に揺動可能に配設され、挿抜される給紙カセットの底面と摺接する摺動面38が形成された摺動駒31とを備えている。
【0016】
摺動駒31は、給紙カセットの挿抜方向の垂直面について左右対称に形成され、カセット収納部29のカセットガイド29aに嵌め込まれて固定されており、給紙カセットがカセット収納部29に収められた状態で、その給紙カセットとの摺動面38は、カセットガイド29aの面291aよりも約0.5mm高くなるように高さが設定されている。
【0017】
図1は第1の実施例における給紙カセットおよびカセット収納部の正面図および側面図であり、図1(a)は給紙カセットの正面図および側面図、図1(b)はカセット収納部の正面図および側面図である。なお、図中に一点鎖線で表された給紙カセット21はカセット収納部29に収納途中の状態(姿勢)を示し、二点鎖線で表された給紙カセット21はカセット収納部29に収納された状態(姿勢)を示している。
【0018】
図1において、用紙10を収容した給紙カセット21は、図中矢印Aが示す挿抜方向に移動されてカセット収納部29に着脱される。カセット収納部29に挿入される給紙カセット21は、その底面がカセット収納部29の挿抜方向における両側に配設されたカセットガイド29a、29bに案内され、またカセット収納部29の入り口の近傍のカセットガイド29a、29bに配設された摺動駒31a、31bの摺動面に摺接しながら、給紙カセット収納部29の奥部へと移動するようになっている。
【0019】
なお、給紙カセット21を受け入れるカセット収納部29の内側の高さHは、挿入される給紙カセット21の高さhより、t=約1mm高くなるように形成されている。したがって、給紙カセット21の上部とカセット収納部29の内側上部との間には約1mmの隙間が形成され、給紙カセット21の挿抜を容易にしている。
【0020】
図4は第1の実施例における摺動駒およびカセット収納部の要部斜視図であり、摺動駒31aおよび支持部292aの斜視図である。なお、図4では、図1におけるカセットガイド29aに配設された摺動駒31aを説明するが、カセットガイド29bに配設される摺動駒31bも摺動駒31aと同様の構成である。
図4において、カセットガイド29aは、摺動駒31aとの給紙カセットの挿抜方向の間に間隙を保持し、嵌め合わされた摺動駒31aを支持する収納部としての支持部292aを有している。
【0021】
摺動駒31aは、カセット収納部のカセットガイド29aに形成された支持部292aに支持される。この摺動駒31aは、給紙カセットの底面と摺接する摺動面38と、支持部292aの各部位と当接する当接部としての突き当て面34、35、36、37と、支持部292aに形成された係合部と係合して抜けを防止する抜け防止部材としての突起部32と、突き当て面35と突き当て面37との間において給紙カセットの挿抜方向と直交する方向に延在し、摺動駒31aを給紙カセットの挿抜方向に揺動(回動)可能にする突出部としての支点36aとが形成されている。
【0022】
支持部292aには、その側部に突き当て面40と、摺動駒31aの支点36aを支持する補助板金30の上面39とが形成され、摺動駒31aが上方向から嵌め込まれ、その摺動駒31aは補助板金30で支持される。このとき、摺動駒31aは、給紙カセットの挿抜方向にカセットガイド29aの側面(側部)との間に所定の間隙を有しており、カセットガイド29aの支持部292aに対して上方から嵌め込まれ、補助板金30で支持され、給紙カセットの挿抜方向に支点36aを回転中心として揺動可能になっている。
【0023】
したがって、摺動駒31aは、支持部292aの給紙カセットの挿抜方向の側部に当接する二つの当接部(35、34b)と、その二つの当接部の間に、支持部292aの重力方向下方に配設された補助板金30の底面30a(図5参照)と当接する突出部としての支点36aとを有し、その突出部を支点として給紙カセットの挿抜方向に揺動可能に形成されている。
【0024】
図5および図6は、第1の実施例におけるカセット収納部および給紙カセットの断面図である。
図5および図6において、カセットガイド29aは、ガイド部としてのガイド面293cを有し、ガイド面293cは給紙カセット21の底面21aを案内して給紙カセット21を図3に示すカセット収納部29へと誘導するように規制する。
【0025】
カセットガイド29aのガイド面293cと当接する給紙カセット21側の端部には、傾斜部21bが設けられているため、給紙カセット21の傾斜部21bと、カセットガイド29aのガイド面293cとを当接させながら挿入している場合において、摺動駒31aのカセット収納部29の開口29c側(図3参照)に形成されたR部34cと、傾斜部21bの端部21dとが当接した際、傾斜部21bがR部34cの接線と垂直な方向に対して傾斜しているため、当接時の衝撃を逃がすことができる。さらに、当接時の衝撃を、摺動駒31aが矢印Gの反対方向に回動することで受け流すこともできる。これにより、摺動駒31aが偏磨耗することを防止することができる。
【0026】
上述した構成の作用について説明する。
図5は第1の実施例におけるカセット収納部および給紙カセットの断面図(給紙カセットの挿入方向における側断面図)であり、給紙カセットをカセット収容部に挿入したとき、および給紙カセットがカセット収容部における定位置にあるときの摺動駒の姿勢を示している。なお、図中矢印A1が示す方向が給紙カセットの挿入方向である。
【0027】
用紙が収容された給紙カセット21の重量がWであり、給紙カセット21を挿入させる力がF1として、給紙カセット21がカセット収容部に挿入されると、摺動駒31aは、支点36aで図中矢印A1が示す方向に回転し、突き当て面34、35がそれぞれカセットガイド29aに当接してその回転が規制された状態となり、給紙カセット21の底面21aと、給紙カセット21の底面21aとの摩擦面である摺動面38とが面接触となる。
このとき、給紙カセットの挿入方向における上流側の摺動駒31aの側面とカセットガイド29aの側面との隙間C1は、例えば0.4mmであり、また摺動駒31aの底面と補助板金30との隙間C2は、例えば0.2mmである。
【0028】
このように、給紙カセット21がカセット収容部に挿入され、摺動駒31aの突き当て面34、35がそれぞれカセットガイド29aの係止部293a、294aに当接してその回転が規制された状態では、摺動駒31aは、その突き当て面35が給紙カセットの挿入方向のカセットガイド29aの方向に寄せられているため、摺動面38は水平に近い状態になる。これにより、給紙カセット21のカセット収納部への挿入が円滑になるようにしている。
【0029】
図6は第1の実施例におけるカセット収納部および給紙カセットの断面図(給紙カセットの抜き出し方向における側断面図)であり、給紙カセットをカセット収容部から抜き出したとき、および給紙カセットがカセット収容部に存在しないときの摺動駒の姿勢を示している。なお、図中矢印A2が示す方向が給紙カセットの抜き出し方向である。
【0030】
給紙カセット21が、矢印A2の示す方向にカセット収容部から抜き出されるとき、摺動駒31aは、給紙カセット21の底面の傾きに追従して支点36aで図中矢印Gが示す方向に回転し、突き当て面36が補助板金30の底面30aに当接し、突き当て面37がカセットガイド29aに当接してその回転が規制された状態となり、給紙カセット21の底面と、給紙カセット21の底面との摩擦面である摺動面38とが面接触となる。
【0031】
ここで、給紙カセット21を受け入れるカセット収容部29の内側の重力方向における高さHを給紙カセット21の高さhより大きく形成した場合における挿抜時においては、従来では操作者により加えられる外力により、給紙カセット21が図1(b)に示すように、カセット収容部29に対して傾斜する傾向があり、傾斜した状態で摺動駒31が、給紙カセット21の底面21aと摺動を繰り返すことで偏磨耗が発生する場合があるが、本実施例によれば、操作者により加えられる外力により、給紙カセット21が図1(b)に示すように、カセット収容部29に対して傾斜した場合であっても、摺動駒31aがその傾斜に追従して揺動するため、偏磨耗を低減することができる。
【0032】
また、給紙カセット21がカセット収容部から抜き出され、摺動駒31aの突き当て面36が補助板金30に当接し、突き当て面37がカセットガイド29aに当接してその回転が規制された状態では、摺動駒31aは、その支点36bが重心位置に対して給紙カセットの抜き出し方向における上流側である図中右寄りに約1mmずらしているため、摺動面38は給紙カセットの抜き出し方向における下流側である図中左側に傾いた状態になる。これにより、給紙カセット21のカセット収納部への挿入が円滑になるようにしている。
【0033】
以上説明したように、第1の実施例では、給紙カセットの挿抜方向に揺動可能に構成され、その給紙カセットの底面と摺接する摺動面を有する摺動駒をカセット収納部の入り口の近傍に配置したことにより、給紙カセットの挿入状態に追従して摺動駒が揺動し、摺動駒の摺動面と給紙カセットの底面とを面接触させることができ、カセット収納部側の摺動部材としての摺動駒の磨耗を低減させることができるという効果が得られる。
その結果、摺動駒の磨耗による給紙カセットの落ち込みがなくなり、給紙カセットに収容された用紙の給紙ローラや分離ローラへの安定した押圧力が得られ、良好な印刷品位を得ることができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0034】
第2の実施例の構成は、カセット収納部側に摺動駒を揺動させる支点を形成し、支点が形成されていない左右対称形状の摺動駒を配設したことが第1の実施例の構成と異なっている。その第2の実施例の構成を以下に説明する。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0035】
図7は第2の実施例における摺動駒およびカセット収納部の要部斜視図であり、摺動駒31cおよび支持部292cの斜視図である。なお、図7では、図1におけるカセットガイド29aに配設された摺動駒(本実施例では、摺動駒31c)を説明するが、カセットガイド29bに配設される摺動駒も本実施例の摺動駒31cと同様の構成である。
【0036】
図7において、カセットガイド29aは、摺動駒31cとの給紙カセットの挿抜方向の間に、間隙を保持して嵌め合わされた摺動駒31cを支持し、その摺動駒31cの給紙カセットの挿抜方向の側部に当接する二つの当接部が形成された収納部としての支持部292cを有している。
【0037】
摺動駒31cは、給紙カセットの挿抜方向の垂直面について左右対称に形成され、カセット収納部のカセットガイド29aに形成された支持部292cに支持される。この摺動駒31cは、給紙カセットの挿抜方向における側面がT字状に形成されており、給紙カセットの底面と摺接する摺動面41と、支持部292cの上面と当接する突き当て面44と、支持部292aに形成された係合部と係合して抜けを防止する抜け防止部材としての係止部33と、摺動面41に直交する方向の支持部292c側に突出する突出部42とが形成されている。
【0038】
支持部292cには、略水平に配置され、摺動駒31cの突き当て面44と当接して摺動駒31cを支持する第1の面としての支持面45と、その支持面45との間に稜線を形成し、摺動駒31cの突き当て面44と当接して摺動駒31cを支持する第2の面としての支持面46と、支持面45と支持面46とが形成する稜線であり、摺動駒31cを揺動可能に支持する支点47と、支持面46に摺動駒31cの突出部42と遊嵌する遊嵌部43とが形成されている。ここで、支持面45は、紙幣カセット21の挿抜方向と略水平であり、支持面46は支持面45に対して重力方向下側に傾斜している。
【0039】
支持面45は略水平に形成され、支持面46は支持面45に対して所定の角度を保持して傾斜するように形成され、また支持面45と支持面46とが形成する稜線である支点47は給紙カセットの挿抜方向に直交する方向に延在するように形成されている。
【0040】
また、摺動駒31cは、その突出部42が給紙カセットの挿抜方向におけるカセットガイド29aの遊嵌部43の内側面(内側部)に形成された二つの当接部(43a、43b)と当接し、給紙カセットの挿抜方向にカセットガイド29aの遊嵌部43の側面(側部)のそれぞれの当接部との間に所定の間隙を有しており、カセットガイド29aの支持部292cに対して上方から嵌め込まれ、支持部292cで支持され、給紙カセットの挿抜方向に支点47を回転中心として揺動可能になっている。
【0041】
さらに、支点47は、給紙カセットの挿抜方向におけるカセットガイド29aの遊嵌部43の内側面(内側部)に形成された二つの当接部の間に、好ましくはその二つの当接部の中点と、給紙カセットの挿入方向における下流(奥側)の当接部との間に形成されている。
【0042】
したがって、カセットガイド29aは、給紙カセットの挿抜方向におけるカセットガイド29aの遊嵌部43の内側面(内側部)に形成された二つの当接部の間に配置された支点47、好ましくはその二つの当接部の中点と、給紙カセットの挿入方向における下流(奥側)の当接部との間に配置された支点47で、摺動駒31cを給紙カセットの挿抜方向に揺動可能に支持する。
また、摺動駒31cは、給紙カセットが抜かれた状態では、摺動面41が給紙カセットの挿入口側が低くなる方向に傾斜して保持される。
【0043】
図8および図9は、第2の実施例におけるカセット収納部および給紙カセットの断面図である。
図8および図9において、カセットガイド29aは、ガイド部としてのガイド面293cを有し、ガイド面293cは給紙カセット21の底面21aを案内して給紙カセット21を図3に示すカセット収納部29へと誘導するように規制する。
【0044】
カセットガイド29aのガイド面293cと当接する給紙カセット21側の端部には、傾斜部21bが設けられているため、給紙カセット21の傾斜部21bと、カセットガイド29aのガイド面293cとを当接させながら挿入している場合において、摺動駒31cのカセット収納部29の開口29c側(図3参照)に形成されたR部44cと、傾斜部21bの端部21dとが当接した際、傾斜部21bがR部44cの接線と垂直な方向に対して傾斜しているため、当接時の衝撃を逃がすことができる。さらに、当接時の衝撃を、摺動駒31cが給紙カセットの挿入方向に回動することで受け流すこともできる。これにより、摺動駒31cが偏磨耗することを防止することができる。
【0045】
上述した構成の作用について説明する。
図8は第2の実施例におけるカセット収納部および給紙カセットの断面図(給紙カセットの挿入方向における側断面図)であり、給紙カセットをカセット収容部に挿入したとき、および給紙カセットがカセット収容部における定位置にあるときの摺動駒の姿勢を示している。なお、図中矢印A1が示す方向が給紙カセットの挿入方向である。なお、図8において、支点47が設けられる範囲を破線で示している。
【0046】
用紙が収容された給紙カセット21の重量がWであり、給紙カセット21を挿入させる力がF1として、給紙カセット21がカセット収容部に挿入されると、摺動駒31cは、支点47で図中矢印A1が示す方向に回転し、突き当て面がカセットガイド29aの支持部292cの突き当て面45に当接し、また突出部42が支持部292cの遊嵌部43に遊嵌してその回転が規制された状態となり、給紙カセット21の底面と、給紙カセット21の底面との摩擦面である摺動面41とが面接触となる。
【0047】
このとき、給紙カセットの挿入方向における上流側の摺動駒31cの突出部42(φ3)の側面とカセットガイド29aの支持部292cの遊嵌部43(φ3.3)の側面との隙間C3は、例えば0.3mmであり、また摺動駒31cの係止部33と支持部292cの係合部との隙間C4は、例えば0.3mmである。
【0048】
このように、給紙カセット21がカセット収容部に挿入され、摺動駒31cの突き当て面がカセットガイド29aの支持部292cの突き当て面45に当接し、また突出部42が支持部292cの遊嵌部43に遊嵌してその回転が規制された状態では、摺動駒31cは、支点47で回転するとともに、突出部42の側面が給紙カセットの挿入方向であるカセットガイド29aの支持部292cの方向(図中矢印A1が示す右方向)に寄せられているため、摺動面41は水平に近い状態になる。これにより、給紙カセット21のカセット収納部への挿入が円滑になるようにしている。
【0049】
図9は第2の実施例におけるカセット収納部および給紙カセットの断面図(給紙カセットの抜き出し方向における側断面図)であり、給紙カセットをカセット収容部から抜き出したとき、および給紙カセットがカセット収容部に存在しないときの摺動駒の姿勢を示している。なお、図中矢印A2が示す方向が給紙カセットの抜き出し方向である。なお、図9において、支点47が設けられる範囲を破線で示している。
【0050】
給紙カセット21が矢印A2が示す方向にカセット収容部から抜き出されるとき、摺動駒31cは、給紙カセット21の底面の傾きに追従して支点47で図中矢印A2が示す方向に回転し、突き当て面がカセットガイド29aの支持部292cの突き当て面46に当接し、また突出部42が支持部292cの遊嵌部43に遊嵌してその回転が規制された状態となり、給紙カセット21の底面と、給紙カセット21の底面との摩擦面である摺動面41とが面接触となる。
【0051】
ここで、給紙カセット21を受け入れるカセット収容部29の内側の重力方向における高さHを給紙カセット21の高さhより大きく形成した場合における挿抜時においては、従来では操作者により加えられる外力により、給紙カセット21が図1(b)に示すように、カセット収容部29に対して傾斜する傾向があり、傾斜した状態で摺動駒31が、給紙カセット21の底面21aと摺動を繰り返すことで偏磨耗が発生する場合があるが、本実施例によれば、操作者により加えられる外力により、給紙カセット21が図1(b)に示すように、カセット収容部29に対して傾斜した場合であっても、摺動駒31cがその傾斜に追従して揺動するため、偏磨耗を低減することができる。
【0052】
また、給紙カセット21がカセット収容部から抜き出され、突き当て面がカセットガイド29aの支持部292cの突き当て面46に当接し、また突出部42が支持部292cの遊嵌部43に遊嵌してその回転が規制された状態では、摺動駒31cは、その支点47が重心位置に対して給紙カセットの抜き出し方向における上流側である図中右寄りに約1mmずらしているため、摺動面38は給紙カセットの抜き出し方向における下流側である図中左側に傾いた状態になる。これにより、給紙カセット21のカセット収納部への挿入が円滑になるようにしている。
【0053】
以上説明したように、第2の実施例では、第1の実施例の効果に加え、カセット収納部の摺動駒との突き当て面を、給紙カセットの挿抜方向に水平面(略水平面)に形成したことにより、カセット収納部の保持剛性を高くすることができるという効果が得られる。
また、摺動駒を左右対称の形状に形成したことにより、組立時のカセットガイドの支持部への誤挿入を防止することができ、さらに取り付け方向を180度回転させることで再度使用することができるという効果が得られる。
【0054】
なお、第1の実施例および第2の実施例では、画像形成装置をプリンタとして説明したが、それに限られることなく、複写機、ファクシミリ装置、複合機(MFP)等としても良い。また、媒体カセット収容装置をプリンタのカセット収容部として説明したが、それに限られるものでなく、複写機、ファクシミリ装置、複合機(MFP)等のカセット収容部としても良い。
【符号の説明】
【0055】
1 画像形成装置
10 用紙
20 帯電装置
21 給紙カセット
22 給紙装置
23 現像装置
24 露光装置
25 感光ドラム
26 転写装置
27 定着装置
28 スタッカ
29 カセット収納部
29a、29b カセットガイド
30 補助板金
31、31a、31b、31c 摺動駒
32 突起部
33 係止部
34、35、36、37、40、44、45、46 突き当て面
36a、47 支点
38、41 摺動面
42 突出部
43 遊嵌部
292a 支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙カセットを着脱可能に収納する媒体カセット収納装置において、
挿抜される給紙カセットを案内する案内部材と、
前記案内部材に、前記給紙カセットの挿抜方向に揺動可能に配設され、前記給紙カセットの底面と摺接する摺動面が形成された摺動駒とを備えたことを特徴とする媒体カセット収納装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体カセット収納装置において、
前記案内部材は、前記摺動駒との前記給紙カセットの挿抜方向の間に間隙を保持し、嵌め合わされた前記摺動駒を支持する収納部を有し、
前記摺動駒は、前記収納部の前記給紙カセットの挿抜方向の側部に当接する二つの当接部と、前記二つの当接部の間に、前記収納部の底面と当接する突出部とを有し、前記突出部を支点として前記給紙カセットの挿抜方向に揺動可能に形成されていることを特徴とする媒体カセット収納装置。
【請求項3】
請求項1に記載の媒体カセット収納装置において、
前記案内部材は、前記摺動駒との前記給紙カセットの挿抜方向の間に間隙を保持して嵌め合わされた前記摺動駒を支持し、前記摺動駒の前記給紙カセットの挿抜方向の側部に当接する二つの当接部が形成された収納部を有し、
前記二つの当接部の間に、前記摺動駒を前記給紙カセットの挿抜方向に揺動可能に支持する支点が形成されていることを特徴とする媒体カセット収納装置。
【請求項4】
請求項3に記載の媒体カセット収納装置において、
前記摺動駒は、前記給紙カセットの挿抜方向の側面がT字状に形成され、前記摺動面に直交する方向に突出する突出部を有し、
前記収納部は、略水平に配置され、前記摺動駒を支持する第1の面と、第1の面との間に稜線を形成し、前記摺動駒の突出部が遊嵌する遊嵌部が形成された第2の面とを有し、
前記二つの当接部は、前記給紙カセットの挿抜方向の前記遊嵌部の側部であり、前記稜線は、前記給紙カセットの挿入方向における前記二つの当接部の中点と、下流側の当接部との間に配置されていることを特徴とする媒体カセット収納装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の媒体カセット収納装置において、
前記摺動駒は、前記給紙カセットが抜かれた状態で、前記摺動面が前記給紙カセットの挿入口側が低くなる方向に傾斜して保持されていることを特徴とする媒体カセット収納装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の媒体カセット収納装置において、
前記摺動駒は、前記給紙カセットの挿抜方向の垂直面について対称に形成されていることを特徴とする媒体カセット収納装置。
【請求項7】
給紙カセットを着脱可能に収納する画像形成装置において、
挿抜される給紙カセットを案内する案内部材と、
前記案内部材に、前記給紙カセットの挿抜方向に揺動可能に配設され、前記給紙カセットの底面と摺接する摺動面が形成された摺動駒とを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−43739(P2013−43739A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181732(P2011−181732)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】