説明

媒体処理装置および自動取引システム

【課題】複数の金融機関の通帳の取扱を可能にすると共に媒体処理装置の奥行方向の長さを短くする手段を提供する。
【解決手段】通帳挿入口24から挿入された冊子状の通帳Tを、処理後に通帳挿入口24から排出する通帳プリンタ2に、通帳Tの通帳情報を処理する複数の磁気ヘッド28a、28bを有し、通帳挿入口24から挿入された通帳Tを取込み、その通帳Tを挿入方向の直交方向である上下方向に移送する移送部25と、移送部25から引渡された通帳の印字面に印字を行う印字部26と、移送部25から引渡された通帳Tのページ捲りを行うページ捲り部27と磁気ヘッド28を有する複数の通帳情報処理部29を設け、印字部26を移送部25の挿入方向の前方に配置し、ページ捲り部27および各通帳情報処理部29を印字部26の下方に直列に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通帳等の冊子状の媒体を取込み、その媒体に対する磁気ストライプの読み書き処理や所定の印字処理等を行う通帳プリンタ等の媒体処理装置および自動取引システムに関する。
【背景技術】
【0002】
銀行等の複数の金融機関との取引を可能にした従来の現金自動預払機、例えば、コンビニエンスストアに設置された現金自動預払機(いわゆるコンビニATM)は、当該現金自動預払機を中継センタを介して各金融機関のホストシステムと接続し、現金自動預払機に設けられた、複数の金融機関の取引カードの取扱を可能にしたカード取扱部によってそのカード情報を読取り、読取ったカード情報を基に当該取引カードの発行元の金融機関を特定して当該金融機関の取引メニュー画面を表示し、出金取引、入金取引、残高照会取引、振込取引の選択入力を受付け、当該金融機関との選択された取引の処理を中継センタを介して行っている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、媒体処理装置としての通帳プリンタは、通帳挿入部と印字部と搬送路の奥側を上方に湾曲させたページ捲り部とを通帳の奥行方向に直列に配置し、通帳挿入部から挿入された通帳の磁気ストライプに記録された通帳情報を読取り、印字部によって読取った通帳情報を基に所定の印字を行い、改ページが必要な場合はページ捲り部へ搬送してページ捲りを行っている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−290945号公報(段落0020−0028、第2−5図)
【特許文献2】特開昭64−9768号公報(明細書第2頁右上欄9行−右下欄13行、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の特許文献1のシステムにおいては、複数の金融機関との取引を可能にしたコンビニATM等の現金自動預払機においては、未記帳データの通帳記帳や通帳のみによる入金取引、取引内容等の通帳への記帳等を行うことができず、コンビニATMを利用する顧客の利便性が低下するという問題がある。これは、金融機関毎に通帳の磁気ストライプの形状、位置等の仕様が異なることと、コンビニエンスストアにおける現金自動預払機の設置スペース、特に奥行方向の長さに制限があることが、主な要因である。
【0006】
この場合に、特許文献2の通帳プリンタを各金融機関の通帳毎に設置すると、通帳挿入部と印字部とページ捲り部とが奥行方向に直列に配置されているため、奥行方向の長さが長くなって設置スペースが大きくなり、設置スペースが制限されるコンビニエンスストア等に設置することが困難になるという問題がある。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、複数の金融機関の通帳の取扱を可能にすると共に媒体処理装置の奥行方向の長さを短くする手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、媒体挿入口から挿入された冊子状の媒体を、処理後に前記媒体挿入口から排出する媒体処理装置において、前記媒体の媒体情報を処理する複数の媒体情報処理手段を有し、前記媒体挿入口から挿入された前記媒体を取込み、その媒体を挿入方向の直交方向である上下方向に移送する移送部と、前記移送部から引渡された前記媒体の印字面に印字を行う印字部と、前記移送部から引渡された前記媒体のページ捲りを行うページ捲り部とを備え、前記印字部を前記移送部の前記挿入方向の前方に配置し、前記ページ捲り部を前記印字部の下方に直列に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
これにより、本発明は、取引が可能な金融機関の複数種類の冊子状の媒体の取扱が可能になると共に媒体処理装置の奥行寸法を小さくして、媒体処理装置の設置スペースを少なくすることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の自動取引システムの構成を示すブロック図
【図2】実施例1の通帳プリンタの正面側から見た外観を示す説明図
【図3】図1の右側面側から見た外観を示す説明図
【図4】実施例1の通帳プリンタの側面側から見た概略構成を示す説明図
【図5】図3のA−A断面線に沿った上面側から見た断面を示す説明図
【図6】実施例1の通帳プリンタで取扱う各種通帳を示す説明図
【図7】実施例1の現金自動預払機の取引処理を示すフローチャート
【図8】実施例1の通帳プリンタの通帳処理を示すフローチャート
【図9】実施例2の通帳プリンタの構成を示すブロック図
【図10】実施例2の通帳プリンタの外観を示す説明図((a)は正面側、(b)は右側面側から見た説明図)
【図11】実施例2の通帳プリンタの側面側から見た概略構成を示す説明図
【図12】図11のB−B断面線に沿った上面側から見た断面を示す説明図
【図13】実施例2の通帳プリンタの通帳処理を示すフローチャート
【図14】実施例3の通帳プリンタの構成を示すブロック図
【図15】実施例3の通帳プリンタの側面側から見た概略構成を示す説明図
【図16】実施例3の通帳プリンタの通帳処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して本発明による媒体処理装置および自動取引システムの実施例について説明する。
【実施例1】
【0011】
本実施例の自動取引システムは、図1に示すように、銀行等の複数の金融機関との取引を可能にした自動取引装置としての現金自動預払機1と、複数種類の冊子状の媒体としての通帳Tの取扱を可能にした媒体処理装置としての通帳プリンタ2とをLAN(Local Area Network)等のネットワーク4により接続すると共に、現金自動預払機1を各金融機関のセンタ等に設置された上位装置としてのホストコンピュータ6と専用回線等の通信回線7を介して接続して構成される。
【0012】
本実施例の現金自動預払機1は、コンビニエンスストアに設置されたコンビニATMであって、取引が可能な複数の金融機関の取引カードのみを用いて顧客との取引を自動で行う機能を有している。
【0013】
本実施例の通帳プリンタ2は、現金自動預払機1で取引を行うことが可能な各金融機関の通帳Tの処理が可能なプリンタであって、各通帳Tに貼付された磁気ストライプSに磁気データとして記録されている当該通帳Tの発行元を示す金融機関名や顧客の口座の口座番号等の口座情報等の媒体情報としての通帳情報を読み書きする機能を有すると共に当該通帳Tに取引内容等を記帳する機能等を有しており、図2に示すように、ネットワーク4を介して通帳プリンタ2への各種の指令を送信する現金自動預払機1の側面に接して通帳挿入口24を正面側に向けて縦長に設置されている。
【0014】
これにより、本実施例の現金自動預払機1は、各金融機関の取引カードを用いた取引は現金自動預払機1自体で実行し、各金融機関の通帳Tを用いた取引は接続されている通帳プリンタ2によって取得した通帳情報等を用いて実行することができ、各金融機関の通帳Tのみを用いた入金取引(取引カードを用いない入金取引)や通帳記帳取引等の通帳取引や取引後の通帳Tへの取引内容等の記帳を含む各種の取引処理を実行することが可能になっている。
また、本実施例の通帳プリンタ2の奥行方向の長さは、図3に示すように、コンビニATMの奥行方向の長さと同等になっている。
【0015】
ホストコンピュータ6は、設置された金融機関における口座開設者である顧客の口座の店番号、口座番号、口座科目等の口座情報やその暗証番号、口座残高等の顧客情報を保有して当該金融機関における顧客の口座を管理する。
なお、図1においては、本実施例の現金自動預払機1が接続するホストコンピュータ6は一つとして図示したが、本実施例の通信回線7には、現金自動預払機1で取引が可能な複数の金融機関のホストコンピュータ6が接続されている。
【0016】
11は現金自動預払機1のATM制御部であり、通信部12によって通信回線7を介してホストコンピュータ6と、ネットワーク4を介して通帳プリンタ2と接続しており、現金自動預払機1内の各部および通帳プリンタ2を制御して通帳Tを用いた取引を含む取引処理等を実行する機能を有している。
13は現金自動預払機1の記憶部であり、ATM制御部11が実行するプログラムやそれに用いる各種のデータおよびATM制御部11による処理結果等が格納される。
【0017】
14は現金自動預払機1の表示部であり、LCD等の表示画面およびタッチパネル等を備えており、取引選択画面や各種の入力画面、顧客の処置を促す画面等を表示する機能を有すると共に、顧客が選択した取引の入力等を受付ける機能を有している。
【0018】
15は現金自動預払機1のキー入力部であり、テンキーや、金額の単位を入力するための「万」キー、「千」キー、「円」キー、入力の間違いを訂正するための「訂正」キー、出金金額等の入力終了を指示するための「確認」キー等の各種の入力キーを備えており、顧客の暗証番号や金額等の入力を受付ける機能を有している。
本実施例の入力手段は、表示部14のタッチパネルおよびキー入力部15により構成される。
【0019】
16はカード取扱部であり、カード挿入口16a(図2参照)から挿入された顧客のキャッシュカードやクレジットカード等の取引カードの磁気ストライプやICチップに記録されている取引カードの発行元を示す金融機関名や顧客の口座情報等のカード情報を読み書きする機能を有すると共に明細票等に取引内容等を印刷する機能等を有している。
【0020】
17は紙幣取扱部であり、入金取引時等に紙幣入出金口17a(図2参照)によって顧客が投入した紙幣を受入れ、これを鑑別および計数して収納庫に収納し、出金取引時等に収納庫から顧客に支払う紙幣を繰出し、これを計数して紙幣入出金口17aから排出して顧客に引渡す機能を有している。
【0021】
本実施例の通帳プリンタ2は、以下に示す構成を備えている。
21は通帳プリンタ2のプリンタ制御部であり、通信部22によってネットワーク4を介して現金自動預払機1と接続しており、現金自動預払機1からの指令を基に、通帳プリンタ2内の各部を制御して、ホストコンピュータ6とのデータ送受信、媒体の搬送、印字処理および通帳情報の読取りや書込み処理等の通帳処理を実行する機能を有している。
23は通帳プリンタ2の記憶部であり、プリンタ制御部21が実行するプログラムやそれに用いる各種のデータおよびプリンタ制御部21による処理結果等が格納される。
【0022】
図4、図5において、24は媒体挿入口としての通帳挿入口であり、通帳プリンタ2の装置本体の正面(操作側の面のことをいう。図2参照)の上部に設けられた、通帳Tの挿入および排出を兼用で行う一つの開口であって、各金融機関との取引で用いられる通帳Tの中で最大の通帳Tが挿入可能な大きさを有している。
【0023】
24aは挿入センサであり、通帳挿入口24の下部に配置された光学式のセンサであって、媒体の挿入および排出を検出すると共に、挿入された媒体の挿入方向の長さを検出する機能を有している。
また、通帳挿入口24には、各種の通帳Tの幅(通帳Tの挿入方向に直交する方向、本実施例では綴じ目の方向(図6参照)の長さをいう。)を検出する機能を有する図示しない通帳幅検出センサや、通帳挿入口24を開閉する図示しないシャッタ等が設けられている。
【0024】
本実施例の通帳プリンタ2は、通帳挿入口24(図2参照)から印字面を垂直にして、おもて表紙側から挿入された通帳Tを取込んで通帳Tの挿入方向の直交方向(挿入直交方向または移送方向という。)である上下方向(垂直方向)に移送する移送部25、移送部25から引渡された通帳Tの印字面に印字を行う印字部26、通帳T等の冊子状媒体の改ページが必要となった場合にページ捲りを行うページ捲り部27、後述する各金融機関の通帳Tに貼付された各種の磁気ストライプSに記録された通帳情報を読み書きする媒体情報処理手段としての磁気ヘッド28を装備した3つの媒体情報処理部としての通帳情報処理部29等を備え、通帳挿入口24から挿入された通帳Tを移送部25で取込み、その通帳Tの種類に応じて移送部25により対応する通帳情報処理部29へ移送して通帳情報の読取処理を行い、通帳情報の読取後に、移送部25により印字部26へ移送して印字処理を行い、印字後の通帳Tを移送部25へ引渡して通帳挿入口24から排出するように構成されている。
【0025】
また、本実施例の印字部26は、通帳プリンタ2の上部に配置された通帳挿入口24と同等の高さに設けられ、ページ捲り部27および各通帳情報処理部29の各搬送路は、印字部26の、後述する印字搬送路36の搬送ガイド36a等のガイド面と同一面上となるように、その下方に並べて直列に配置されている。
このため、本実施例の共用搬送路31、印字搬送路36、捲り搬送路40、各処理搬送路45は、通帳Tの印字面を垂直にして搬送するように設置されている。
【0026】
本実施例の通帳プリンタ2が取扱う通帳Tは、図6に示すタイプ1〜タイプ6の6種類であり、各通帳Tの磁気ストライプSは、その形状、貼付位置、大きさ、通帳情報の記録方式等がそれぞれ異なっており、各通帳Tの裏表紙に貼付されている。
また、図6に示す各通帳Tは、おもて表紙および裏表紙側から見たもので反対側は印字面となる。また、通帳Tは図6に矢印で示す挿入方向、つまり綴じ目の直交方向へ印字面を垂直にして、おもて表紙側から挿入される。
【0027】
タイプ1〜タイプ4は、磁気ストライプSが通帳Tの挿入方向と平行になるよう貼付されたものであり、磁気ストライプSの貼付位置、太さ、長さ等が異なっている。
また、タイプ5、タイプ6は磁気ストライプSが媒体の挿入方向と直交するように貼付されたものであり、磁気ストライプSの貼付位置、太さ、長さ等が異なっている。
【0028】
移送部25は、図4、図5に示すように、通帳挿入口24から印字面を開いた状態(図6参照)で挿入された通帳Tを、開いた通帳Tの表裏の面を案内する一対の搬送ガイド31a、31b間の共用搬送路31内に取込んで、通帳Tの挿入直交方向に通帳Tを移送する機能を有し、無端の歯付ベルトとこれを駆動する歯付プーリ等からなる図示しない移送機構に取付けられており、通帳処理開始時においては、移送部25の共用搬送路31が通帳挿入口24と対向する位置(図4に実線で示す移送部25の位置、取込位置という。)に停止している。
【0029】
また、移送部25は、共用搬送路31がページ捲り部27および各通帳情報処理部29の各搬送路と対向する位置(通帳受渡位置という。)に、図示しない検知手段により位置決めされて停止可能に構成されており、取込位置から、図4に破線で示す最下部の通帳情報処理部29cの通帳受渡位置までの間を上下方向(垂直方向)、つまり図4に矢印で示すU方向またはL方向に往復移動する。
【0030】
33は搬送ローラであり、通帳Tを搬送する搬送フィードローラ33aと、搬送フィードローラ33aに通帳Tを押付ける搬送プレッシャローラ33bとで構成され(図5参照)、通帳挿入口24から挿入された通帳Tを搬送フィードローラ33aと搬送プレッシャローラ33bとで挟持して、挿入方向または排出方向、つまり図4に矢印で示すR方向またはF方向に搬送する搬送ローラである。
【0031】
また、本実施例においては、通帳挿入口24から挿入された各種の通帳Tは移送部25内に取込まれ、搬送ローラ33に挟持された状態で移送される。
搬送フィードローラ33aは、シャフトに複数の搬送フィードローラ33aが固定された構造となっており、搬送ガイド31a側に配置され、その外周面の一部がこの搬送ガイド31aのガイド面から突出している(図5参照)。
【0032】
搬送プレッシャローラ33bは、搬送ガイド31b側の搬送フィードローラ33aと1対1で対向する位置に設けられ、また移送部25に設けられた搬送プレッシャローラ33bは、搬送ガイド31bのガイド面から突出して通帳Tを搬送フィードローラ33aに押付ける位置から、搬送ガイド31bのガイド面から退避する位置まで移動する機構を備えている(図5参照)。
本実施例の移送部25には、搬送ローラ33は通帳Tの搬送方向に沿った方向に3つ、搬送方向の直交方向に2つ設けられている。
【0033】
34は共用基準面であり、図4に示すように、各種の通帳Tを搬送する際の基準となる面であって、搬送ガイド31aおよび搬送ガイド31bに直交して配置され、各種通帳Tの搬送基準として機能する。また、本実施例の共用基準面34は、移送部25が取込位置に停止しているときに、通帳挿入口24の開口の挿入直交方向の一の端面と面一になる位置に設けられている。
【0034】
28a、28bは移送部25内に配置された磁気ヘッドであり、通帳Tに貼付された磁気ストライプSに磁気データで記録された通帳情報の読取り、書込みを行う機能を有しており、本実施例では、磁気ヘッド28aが、図6に示すタイプ1の通帳Tに貼付された磁気ストライプSに対応する位置に配置され、磁気ヘッド28bが、タイプ2の通帳Tに貼付された磁気ストライプSに対応する位置に配置され、その移送部25における挿入方向の位置は、共用通路31に取込まれた通帳の表紙側に位置している。
【0035】
なお、移送部2には、上記の他に、通帳Tが共用搬送路31内に取込まれたことを検出する図示しない通帳検知センサや、共用搬送路31内に取込まれた通帳Tの一端を共用基準面34に突当てる図示しない幅寄せ機構等を有している。この通帳Tの幅寄せ機構としては、例えば、特開2000−281245号公報に開示されたものを用いることができる。
【0036】
上記の構成により、本実施例の移送部25は、挿入された通帳Tの取込み、幅寄せ、特定の通帳Tの磁気ストライプSの読取り、書込み、処理が終了した通帳Tを排出する機能等を備えており、移送部25の挿入方向の奥側に上下方向に配置された各部との間で、通帳Tの受渡しが可能となっている。
【0037】
印字部26は、通帳Tへの印字を行うための印字ヘッド26aとこれに対向して設けられたプラテン26bとインクリボンカセット26cとを備え(図5参照)、共用搬送路31の搬送ガイド31a、31bと同様の機能を有する一対の搬送ガイド36a、36b間の印字搬送路36により搬送された通帳Tに印字を行う機能を有しており、印字搬送路36を通帳挿入口24に対向させて装置本体の背面側の最上位に配置されている。
【0038】
また、本実施例の印字搬送路36には、共用搬送路31と同様の搬送ローラ33が、通帳Tの搬送方向に沿った方向に2つ、搬送方向の直交方向に2つ設けられており、各搬送ローラ33は、図5に示すように、印字搬送路36内で搬送プレッシャローラ33bが搬送フィードローラ33aを押圧した状態になっている。
【0039】
37はページセンサであり、読取対象となる通帳Tのページマークの位置が異なっても読取りが可能な構成となっており、例えば、特開2000−285280号公報に開示されたものを用いることができる。
【0040】
38は印字基準面であり、図4に示すように、印字する各種の通帳Tを搬送する際の基準となる面であって、搬送ガイド36aおよび搬送ガイド36bに直交して設けられている。また、印字基準面38は、取込位置に位置する移送部25の共用基準面34と面一になる位置に設けられている。
上記の構成により、本実施例の印字部26は、通帳Tへの印字、印字のための印字済み行の検出、および通帳Tのページ番号の読取り等の機能を備えている。
【0041】
ページ捲り部27は、図4に示すように、捲り搬送路40に配置された捲りローラ41とこれに対向するクランプローラ42とを備え、冊子状の通帳Tのページ捲り等を行うことが可能な構成になっている。このような構成としては、例えば、特開平10−086553号公報に開示されたような構造を用いることができる。また、捲りローラ41としては、例えば、特開2000−293735号公報の図3に開示されたものを用いることができる。
また、本実施例の捲り搬送路40には、共用搬送路31と同様の搬送ローラ33が、捲りローラ41の搬送方向の前後に各1つ、搬送方向の直交方向に2つ設けられている。
【0042】
通帳情報処理部29aは、通帳Tに貼付された磁気ストライプSに磁気データで記録された通帳情報の読取り、書込みを行う磁気ヘッド28c、28dを備え、共用搬送路31の搬送ガイド31a、31bと同様の機能を有する一対の搬送ガイド間の処理搬送路45aにより搬送され、共用搬送路31の磁気ヘッド28a、28bでは読取ることができなかった通帳Tの通帳情報を読取る機能を有している。本実施例では、磁気ヘッド28cが、図6に示すタイプ4の通帳Tに貼付された磁気ストライプSに対応する位置に配置され、磁気ヘッド28dが、タイプ3の通帳Tに貼付された磁気ストライプSに対応する位置に配置されている。
【0043】
また、本実施例の処理搬送路45aには、共用搬送路31と同様の搬送ローラ33が、通帳Tの搬送方向に沿った方向に2つ、搬送方向の直交方向に2つ設けられており、各搬送ローラ33は処理搬送路45a内で搬送プレッシャローラ33bが搬送フィードローラ33aを押圧した状態になっている。
【0044】
47aは処理基準面であり、通帳情報の読取等を行う通帳Tを搬送する際の基準となる面であって、前記一対の搬送ガイドに直交して設けられている。また、処理基準面47aは、通帳情報処理部29aの通帳受渡位置に停止した移送部25の共用基準面34と面一になる位置に設けられている。
【0045】
通帳情報処理部29bは、通帳Tに貼付された磁気ストライプSに磁気データで記録された通帳情報の読取り、書込みを行う磁気ヘッド28eを備え、共用搬送路31の搬送ガイド31a、31bと同様の機能を有する一対の搬送ガイド間の処理搬送路45bにより搬送され、共用搬送路31の磁気ヘッド28a、28b、通帳情報処理部29aの磁気ヘッド28c、28dでは読取ることができない、綴じ目と平行に貼付された磁気ストライプSを有する通帳Tの通帳情報を読取る機能を有している。
【0046】
このため、磁気ヘッド28eは、図4に示す矢印方向、つまり通帳Tの搬送方向の直交方向へ移動可能に構成されている。このような移動可能な磁気ヘッド28としては、例えば、特開平6−180954号公報に開示されたものを用いることができる。
本実施例では、磁気ヘッド28eは、図6に示すタイプ5の通帳Tに貼付された磁気ストライプSに対応する位置に配置され、通帳Tが読取位置に停止したときに矢印方向に移動して通帳情報の読取り、書込みを行う。
【0047】
また、本実施例の処理搬送路45bには、共用搬送路31と同様の搬送ローラ33が、通帳Tの搬送方向に沿った方向に2つ、搬送方向の直交方向に2つ設けられており、各搬送ローラ33は処理搬送路45b内で搬送プレッシャローラ33bが搬送フィードローラ33aを押圧した状態になっている。
【0048】
47bは処理基準面であり、通帳情報の読取等を行う通帳Tを搬送する際の基準となる面であって、前記一対の搬送ガイドに直交して設けられている。また、処理基準面47bは、通帳情報処理部29bの通帳受渡位置に停止した移送部25の共用基準面34と面一になる位置に設けられている。
【0049】
通帳情報処理部29cは、通帳Tに貼付された磁気ストライプSに磁気データで記録された通帳情報の読取り、書込みを行う磁気ヘッド28fを備え、共用搬送路31の搬送ガイド31a、31bと同様の機能を有する一対の搬送ガイド間の処理搬送路45cにより搬送され、通帳情報処理部29bと同様に、綴じ目と平行に貼付された磁気ストライプSを有する通帳Tの通帳情報を読取る機能を有している。
このため、磁気ヘッド28fは、磁気ヘッド28eと同様に、図4に示す矢印方向、つまり通帳Tの搬送方向の直交方向へ移動可能に構成されている。
【0050】
本実施例では、磁気ヘッド28fは、図6に示すタイプ6の通帳Tに貼付された磁気ストライプSに対応する位置に配置され、通帳Tが読取位置に停止したときに矢印方向に移動して通帳情報の読取り、書込みを行う。
また、本実施例の処理搬送路45cには、共用搬送路31と同様の搬送ローラ33が、通帳Tの搬送方向に沿った方向に2つ、搬送方向の直交方向に2つ設けられており、各搬送ローラ33は処理搬送路45c内で搬送プレッシャローラ33bが搬送フィードローラ33aを押圧した状態になっている。
【0051】
47cは処理基準面であり、通帳情報の読取等を行う通帳Tを搬送する際の基準となる面であって、前記一対の搬送ガイドに直交して設けられている。また、処理基準面47cは、通帳情報処理部29cの通帳受渡位置に停止した移送部25の共用基準面34と面一になる位置に設けられている。
【0052】
なお、上記した各搬送ローラ33の搬送フィードローラ33aは、図示しない複数のモータ等の駆動手段により回転し、各ユニットの搬送路16内で通帳Tの搬送が可能なようになっており、移送部25、印字部26、ページ捲り部27、通帳情報処理部29a、29b、29cのそれぞれの搬送路において、通帳Tは印字面を垂直にして各搬送路内を搬送される。
【0053】
上記の各通帳情報処理部29は、図6に示す各通帳Tの磁気ストライプSの中で移送部25の磁気ヘッド28a、28bでは対応できない各種磁気ストライプSに対応するように移送部25の通帳情報処理機能を拡張するために設けたものであるので、通帳情報処理部29a、29b、29cの全てが必要な訳ではなく、取扱う通帳Tの磁気ストライプSの種類に応じて必要となる通帳情報処理部29のみが搭載できるようになっており、例えば、通帳情報処理部29aのみ搭載し、通帳情報処理部29b、29cは未搭載という構成も可能なようになっている。
【0054】
また、本実施例では、図6に示す各タイプの磁気ストライプSに対応するために移送部24および各通帳情報処理部29にそれぞれの磁気ストライプSに対応する磁気ヘッド28を搭載したが、前記各タイプ以外にも、磁気ストライプSの形状が異なるものや2箇所貼付されたもの等が存在する場合には、その磁気ストライプSに対応する磁気ヘッド28を搭載した通帳情報処理部29を配置すれば、前記各タイプ以外の磁気ストライプSに対応することが可能な通帳プリンタ2とすることができる。
【0055】
更に、上記した移送部25および各通帳情報処理部29に搭載する磁気ヘッド28a〜28dに対応する磁気ストライプSは、一例であって本実施例の配置に限定されるものではない。
【0056】
上記の現金自動預払機1の記憶部13には、顧客が選択した取引の入力を受付け、これを基にホストコンピュータ6と交信して顧客との取引処理を自動で行う機能等を有する通常の取引処理プログラムと、図7を用いて説明する本実施例の通帳プリンタ2と連携して各金融機関の通帳Tによる通帳取引等の取引処理を行う機能を有するアプリケーションプログラム等からなる業務処理実行プログラムが予め格納されており、ATM制御部11が実行する業務処理実行プログラムのステップにより本実施例の現金自動預払機1の各機能手段が形成される。
【0057】
また、記憶部13には、取引が可能な各金融機関の金融機関情報としての金融機関名に対応させて、その通帳Tの磁気ストライプSの記録方式やデータ構成、トラック数等の仕様、ページマークの位置や記述形式等の仕様等からなる仕様情報が予め格納され、カードおよび通帳Tの挿入を待っている所定の待ち時間である挿入待時間が予め設定されて格納されている。
【0058】
通帳プリンタ2の記憶部23には、現金自動預払機1からの指令により、通帳挿入口24から挿入された通帳Tに対する通帳情報の読取りや書込み、記帳等の図8を用いて説明する通帳処理を実行する機能等を有する通帳業務実行プログラムが予め格納されており、プリンタ制御部21が実行する通帳業務実行プログラムのステップにより本実施例の通帳プリンタ2の各機能手段が形成される。
【0059】
また、記憶部23には、取引が可能な各金融機関の金融機関名に対応させて、通帳Tの長さ、幅からなる形状情報、および当該通帳Tの磁気ストライプSを読取る磁気ヘッド28の搭載部位を記した搭載部位情報が予め格納され、通帳Tの挿入を待っている所定の待ち時間である挿入待時間が予め設定されて格納されている。本実施例では、この挿入待時間は現金自動預払機1の挿入待時間と同等の時間に設定されている。
【0060】
ホストコンピュータ6には、本実施例の現金自動預払機1と交信して、当該ホストコンピュータ6が設置された金融機関の顧客の本人認証や通帳Tの正当性確認、顧客の口座の入出金等を管理する機能を有する通常の勘定方管理プログラムが予めインストールされており、ホストコンピュータ6が実行する勘定方管理プログラムのステップにより本実施例のホストコンピュータ6の各機能手段が形成される。
【0061】
以下に、図7に示すフローチャートを用い、Sで示すステップに従って本実施例の現金自動預払機1の取引処理の処理動作について説明する。なお、本実施例の通帳プリンタ2による通帳処理の処理動作については図8を用いて後で詳述する。
【0062】
始業時等に現金自動預払機1へ電源が投入されると、現金自動預払機1の記憶部13に格納されている業務処理実行プログラムが自動的に起動され、現金自動預払機1のATM制御部11は、図示しない近接センサが顧客を検知するのを待つ来店待ち状態で待機し(図2参照)、近接センサが顧客を検知したときにステップS1へ移行する。
S1:顧客の来店を検知したATM制御部11は、表示部14の表示画面に取引選択画面を表示し、顧客は、取引選択画面から希望する取引の選択入力(タッチパネルを入力手段とした入力)を行う。
【0063】
この場合の取引選択画面には、紙幣のみによる取引が可能である旨と取引種別の取引選択ボタンの押下を促す旨の文言と出金取引のための「お引き出し」ボタンおよび入金取引のための「お預け入れ」ボタン、振込取引のための「お振り込み」ボタン、口座残高を照会する残高照会取引のための「残高照会」ボタン、通帳Tに未記帳の記帳データを印字する通帳記帳取引のための「通帳記帳」ボタン等の取引を選択するための取引選択ボタンが表示される。
【0064】
S2:顧客が選択した取引種別の選択入力を受付けたATM制御部11は、表示部14の表示画面に、取引種別に応じて、カード取扱部16のカード挿入口16aへの取引カードの挿入や通帳プリンタ2の通帳挿入口24への通帳Tの挿入を促す旨の文言等を表示した取引媒体挿入依頼画面を表示すると共に、通信部12によりネットワーク4を介して通帳プリンタ2(図8のステップSA1)へ、顧客との取引を開始した旨の取引開始通知を送信してステップS3へ移行する。
【0065】
S3:ATM制御部11は、顧客がカード挿入口16aから挿入した取引カードの検知を待って待機し、取引カードの挿入を検知したときにステップS4へ移行する。取引カードの挿入を検知しない場合はステップS5へ移行する。この場合に、取引カードの挿入検知に代えて「カードなし」ボタンを表示し、顧客が「カードなし」ボタンを選択しなかったときはステップS4へ移行し、「カードなし」ボタンを選択したときはステップS5へ移行するようにしてもよい。
【0066】
S4:顧客による取引カードの挿入を検知したATM制御部11は、カード取扱部16によって取引カードに記録されている発行元の金融機関名、口座番号等のカード情報を読取り、読取ったカード情報を記憶部13に保存してステップS5へ移行する。
【0067】
S5:ATM制御部11は、通帳プリンタ2(図8のステップSA4)からの通帳挿入通知の受信を待って待機し、通帳挿入通知を受信したときにステップS6へ移行する。通帳挿入通知を受信しない場合はステップS7へ移行する。この場合に、ステップS3と同様に、通帳の挿入検知に代えて「通帳なし」ボタンを表示し、顧客が「通帳なし」ボタンを選択しなかったときはステップS6へ移行し、「通帳なし」ボタンを選択したときはステップS7へ移行するようにしてもよい。
【0068】
S6:通帳挿入通知を受信したATM制御部11は、当該取引が通帳Tを用いる取引であることを認識し、記憶部13に通帳有情報を保存してステップS7へ移行する。
【0069】
S7:ATM制御部11は、記憶部13を確認し、カード情報および通帳有情報が保存されている場合、つまり取引カードおよび通帳Tの両方が挿入された場合は上記の待機を打切ってステップS9へ移行する。カード情報および通帳有情報のいずれか一方、または両方が保存されていない場合はステップS8へ移行する。なお、ステップS3で「カードなし」ボタンを表示した場合は、顧客が「カードなし」ボタンを選択し通帳有情報が保存されているとき、またはステップS5で「通帳なし」ボタンを表示した場合は、顧客が「通帳なし」ボタンを選択しカード情報が保存されているときに、上記の待機を打切ってステップS9へ移行し、顧客がいずれのボタンも選択せずカード情報および通帳有情報のいずれか一方、または両方が保存されていない場合はステップS8へ移行するようにする。
【0070】
S8:ATM制御部11は、その時計機能により、ステップS2において取引開始通知を送信したときからの経過時間を計測しながら、記憶部13に格納されている挿入待時間の経過を待って待機しており、取引カードまたは通帳Tが挿入されている場合であって、経過時間が挿入待時間以上のときはステップS9へ移行する。経過時間が挿入待時間未満の場合は、ステップS3、S5、S7、S8による待機を継続する。
なお、挿入待時間を経過しても、取引カードおよび通帳Tの両方が挿入されていない場合は、ATM制御部11は、選択された取引種別の取引処理を終了させて取引を打切り、来店待ち状態で待機する。
【0071】
S9:ATM制御部11は、記憶部13を確認し、通帳有情報が保存されている場合、つまり通帳Tが通帳プリンタ2に挿入されており、通帳Tへの記帳データの印字が必要な取引の場合はステップS10へ移行する。通帳有情報が保存されていない場合、つまり取引カードのみを用いる入金取引、出金取引、振込取引等であって、通帳Tへの取引内容の記帳が不要な取引の場合はステップS16へ移行する。
【0072】
S10:顧客が選択した取引種別が通帳Tを用いる取引であると認識したATM制御部11は、記憶部13にカード情報が保存されている場合は、記憶部13に保存されているカード情報から金融機関情報としての金融機関名を読取って、ステップS12へ移行する。カード情報が保存されていない場合はステップS11へ移行する。
【0073】
S11:カード情報が保存されていないことを認識したATM制御部11は、通帳プリンタ2に挿入された通帳Tの発行元の金融機関情報としての金融機関名を取得するために、表示部14の表示画面に、挿入した通帳Tの金融機関名の入力を促す文言や金融機関名を選択するための先頭文字の平仮名表記からなる選択ボタン等を表示した金融機関名入力画面を表示し、顧客は、タッチパネルによって持参した通帳Tの金融機関名を選択等により入力する。
【0074】
S12:通帳プリンタ2に挿入された通帳Tの金融機関名を取得したATM制御部11は、その金融機関名を基に記憶部13から当該金融機関名の仕様情報を読出し、通帳情報やページマークの読取、印字済み行の検出を指示する旨に当該金融機関名とその通帳Tの仕様情報等を添付した通帳情報等読取指令を生成し、これを通帳プリンタ2(図8のステップSA5)へ送信してステップS13へ移行する。
【0075】
S13:通帳情報等読取指令の送信後に、通帳プリンタ2(図8のステップSA7)からの通帳情報やページマークの読取結果、印字済み行の検出結果の受信を待って待機していたATM制御部11は、通帳情報等を受信したときに受信した通帳情報等を記憶部13に保存してステップS14へ移行する。
S14:通帳情報等を受信したATM制御部11は、顧客が選択した取引種別が通帳記帳取引である場合はステップS15へ移行する。顧客が選択した取引が通帳記帳取引以外の場合、つまり通帳Tのみを用いた入金取引を含む他の取引の場合はステップS16へ移行する。
【0076】
S15:顧客が選択した取引が通帳記帳取引であることを認識したATM制御部11は、通信部12によって、取得した通帳情報またはカード情報から読取った金融機関名や口座番号等を基に、通信回線7を介して、当該金融機関名の金融機関のホストコンピュータ6と交信し、通帳プリンタ2に挿入された通帳Tに記帳する未記帳の記帳データを取得してステップS18へ移行する。
【0077】
この場合のホストコンピュータ6との交信処理は以下のように行われる。すなわち、ATM制御部11は、ステップS13で受信した通帳Tの磁気ストライプSに記録された通帳情報の口座番号等の読取結果と、ページマークの読取結果、印字済み行の検出結果を、通信回線7を介してホストコンピュータ6へ送信し、ホストコンピュータ6は、受信したページマークの読取結果、印字済み行の検出結果および口座番号等を基に当該通帳Tの正当性を確認し、その確認結果が正当である場合は、当該口座の前回記帳から今回の取引までの未記帳データを正当性の確認結果と共に現金自動預払機1へ送信する。
【0078】
なお、正当性の確認結果が、不当である場合は、その旨が現金自動預払機1へ通知され、ATM制御部11は通帳Tが不当である旨を表示部14の表示画面に表示して通帳プリンタ2へ通帳排出指令を送信し、通帳プリンタ2のプリンタ制御部21は、取込んだ通帳Tを通帳挿入口24から排出して顧客に返却する。
【0079】
S16:顧客が選択した取引種別が通帳Tのみを用いた入金取引、取引カードのみを用いた取引、通帳Tおよび取引カードの両方を用いた取引、つまり通帳記帳取引以外の取引であると認識したATM制御部11は、顧客が選択した前記取引種別の取引処理を通常通りに実行する。この場合の顧客の取引先である金融機関のホストコンピュータ6との交信処理を含む処理作動は、通常の場合と同様であるのでその説明を省略する。なお、通帳Tに対する正当性の確認は、上記と同様に行われる。
そして、ATM制御部11は、顧客の取引先である金融機関における顧客が選択した前記取引種別の処理動作を終えると、ステップS17へ移行する。
【0080】
S17:顧客が選択した前記取引種別の処理動作を終えたATM制御部11は、記憶部13に通帳有情報が保存されている場合、つまり通帳プリンタ2に挿入された通帳Tに取引内容等の記帳データを印字することが必要な場合はステップS18へ移行する。記憶部13に通帳有情報が保存されていない場合、つまり通帳プリンタ2に通帳Tが挿入されていない場合はステップS20へ移行する。
【0081】
S18:通帳Tへの記帳データの印字が必要と認識したATM制御部11は、ステップS15で取得した未記帳の記帳データ、またはステップS16においてホストコンピュータ6との交信により取得した、前回記帳から今回の取引までの未記帳の記帳データが存在する場合はその記帳データと今回の取引内容等の記帳データを記帳情報として、通帳プリンタ2(図8のステップSA8)へ送信してステップS19へ移行する。
【0082】
S19:記帳情報の送信後に、通帳プリンタ2(図8のステップSA13)からの記帳終了通知の受信を待って待機していたATM制御部11は、記帳終了通知を受信したときにステップS20へ移行する。記帳終了通知を受信しない場合は前記の待機を継続する。
【0083】
S20:ATM制御部11は、紙幣取扱部17の紙幣入出金口17aに集積した紙幣の排出、カード取扱部16に挿入された取引カードの排出、明細票の発行等の選択された取引種別における取引終了処理を実行し、顧客による排出物の受取りを確認して選択された取引の取引処理を終了させ、来店待ち状態で待機する。
この場合に、通帳プリンタ2に挿入された通帳Tは、通帳挿入口24から排出される(図8のステップSA14)。
このようにして、本実施例の現金自動預払機1による取引処理が実行される。
【0084】
以下に、図8に示すフローチャートを用い、SAで示すステップに従って本実施例の通帳プリンタ2による通帳処理の処理動作について説明する。
本実施例の通帳プリンタ2に電源が投入されると、通帳プリンタ2のプリンタ制御部21は通帳業務実行プログラムにより各部を初期状態として待機する。本実施例の初期状態は、通帳挿入口24のシャッタは閉鎖状態、移送部25は取込位置で停止、移送部25の搬送ローラ33の搬送プレッシャローラ33bは共用搬送路31から退避した状態になっている。
【0085】
SA1:プリンタ制御部21は、通信部22によって、現金自動預払機1(図7のステップS2)からネットワーク4を介して送信された取引開始通知の受信を待って待機しており、取引開始通知を受信したときに通帳挿入口24のシャッタを開放してステップSA2へ移行する。このシャッタの開放により、通帳挿入口24への通帳Tの挿入が可能になる。
【0086】
SA2:通帳挿入口24のシャッタを開放したプリンタ制御部21は、挿入センサ24aが通帳挿入口24から印字面を垂直にして、おもて表紙側から挿入される通帳Tの挿入方向の先端を検出するのを待って待機し、挿入センサ24aが通帳Tの先端を検出したときに前記の待機を打切ってステップSA4へ移行する。挿入センサ24aが通帳Tの先端を検出しない場合はステップSA3へ移行する。
【0087】
SA3:プリンタ制御部21は、その時計機能により、ステップSA1においてシャッタを開放したときからの経過時間を計測しながら、記憶部23に格納されている挿入待時間の経過を待って待機しており、経過時間が挿入待時間未満の場合は、ステップSA2、SA3による待機を継続する。経過時間が挿入待時間以上の場合は、通帳挿入口24のシャッタを閉鎖して今回の通帳処理を終了させ、ステップSA1へ戻って現金自動預払機1からの取引開始通知の受信を待って待機する。
【0088】
SA4:挿入された通帳Tの先端を検出したプリンタ制御部21は、移送部25の全ての搬送プレッシャローラ33bを搬送フィードローラ33aに押付け、図示しない駆動手段により搬送フィードローラ33aを回転させて、通帳Tを移送部25の共用搬送路31内に取込んで通帳挿入口24のシャッタを閉鎖し、図示しない幅寄せ機構により取込んだ通帳Tの下端を共用基準面34に当接させて幅寄せし、搬送ローラ33で幅寄せした通帳Tを挟持した状態で移送部25を取込位置で待機させる。
【0089】
この通帳挿入口24から共通搬送路31内への搬送のとき、プリンタ制御部21は、通帳挿入口24の挿入センサ24aおよび図示しない通帳幅検出センサにより、挿入された通帳Tの長さおよび幅等を測定し、記憶部23に格納されている形状情報と比較して取扱い可能であるか否かを確認し、取扱い可能と確認された場合は、通帳Tが挿入された旨の通帳挿入通知を、現金自動預払機1(図7のステップ5)へ送信してステップSA5へ移行する。
なお、取扱い不能の通帳Tが挿入された場合は、その旨を現金自動預払機1へ通知すると共に、通帳挿入口24から当該通帳Tを排出して顧客に返却する。
【0090】
SA5:挿入された通帳Tの取込後に、現金自動預払機1(図7のステップS12)からの通帳情報等読取指令の受信を待って待機していたプリンタ制御部21は、通帳情報等読取指令を受信したときに、通帳情報等読取指令に添付された金融機関名、仕様情報等を記憶部23に保存してステップSA6へ移行する。通帳情報等読取指令を受信しない場合は前記の待機を継続する。
【0091】
SA6:通帳情報等読取指令を受信したプリンタ制御部21は、通帳情報等の読取処理を行う。
すなわち、プリンタ制御部21は、通帳情報等読取指令の金融機関情報としての金融機関名を基に、記憶部23の搭載部位情報から当該金融機関の通帳Tの磁気ストライプ2の通帳情報を読取る磁気ヘッド28の搭載部位を読出して、当該通帳Tの通帳情報を読取る磁気ヘッド28の搭載部位を特定する。
【0092】
そして、特定した搭載部位が、移送部25の場合、つまり移送部25内に搭載された磁気ヘッド28a(図6のタイプ1の通帳T)または磁気ヘッド28b(タイプ2)による通帳情報の読取を行う場合は、プリンタ制御部21は、取込位置で待機している移送部25の搬送ローラ33によって取込んだ通帳Tを印字部26の方向(R方向)へ搬送して、取込位置と同じ高さに設けられている印字部26の搬送ローラ33に引渡す。
【0093】
このとき、プリンタ制御部21は、通帳情報等読取指令の仕様情報を基に、取込んだ通帳のおもて表紙側に位置している磁気ヘッド28aまたは28bにより共通搬送路31内をR方向に搬送されている通帳Tの磁気ストライプSから通帳情報を読取ると共に、印字部26の搬送ローラ33により印字搬送路36内をR方向に搬送されている通帳Tの印字面から、ページセンサ37によってページマークの読取および印字済み行の検出を行い、当該通帳Tを印字位置まで搬送して停止させる。
【0094】
このようにして、移送部25の磁気ヘッド28aまたは28bによるタイプ1またはタイプ2の通帳Tの通帳情報の読取、並びに印字部26のページセンサ37によるページマークの読取および印字済み行の検出が行われる。
【0095】
通帳情報を読取る磁気ヘッド28の搭載部位が、通帳情報処理部29aの場合、つまり通帳情報処理部29a内に搭載された磁気ヘッド28c(図6のタイプ4の通帳T)または磁気ヘッド28d(タイプ3)による通帳情報の読取を行う場合は、プリンタ制御部21は、取込位置で待機している当該通帳Tを取込んだ移送部25をL方向へ移動させて通帳情報処理部29aとの通帳受渡位置に停止させ、移送部25の搬送ローラ33によって取込んだ通帳Tを通帳情報処理部29aの方向(R方向)へ搬送して、通帳情報処理部29aの処理搬送路45aの搬送ローラ33へ引渡し、通帳情報等読取指令の仕様情報を基に、磁気ヘッド28cまたは28dにより処理搬送路45a内をR方向に搬送されている通帳Tの磁気ストライプSから通帳情報を読取る。
【0096】
そして、通帳情報を読取った通帳Tを通帳情報処理部29aから、移送部25の共用搬送路31内へ搬送して通帳Tを移送部25へ引渡し、その移送部25を取込位置へ移動させて停止させ、移送部25内の通帳Tを印字部26へ引渡して印字位置に停止させる。
この印字部26の印字搬送路36による通帳TのR方向への搬送中に、プリンタ制御部21は、通帳Tの印字面から、上記と同様にしてページセンサ37によるページマークの読取および印字済み行の検出を行う。
【0097】
通帳情報を読取る磁気ヘッド28の搭載部位が、通帳情報処理部29bの場合、つまり通帳情報処理部29b内に搭載された磁気ヘッド28e(図6のタイプ5の通帳T)による通帳情報の読取を行う場合は、プリンタ制御部21は、取込位置で待機している当該通帳Tを取込んだ移送部25を、通帳情報処理部29bとの通帳受渡位置へ移動させて停止させ、上記通帳情報処理部29aの場合と同様にして、取込んだ通帳Tを移送部25から通帳情報処理部29bの処理搬送路45bへ引渡し、通帳Tを処理搬送路45bの通帳情報読取位置に停止させ、通帳情報等読取指令の仕様情報を基に、磁気ヘッド28eを搬送方向の直交方向に移動させ、その磁気ヘッド28eの移動中に通帳Tの磁気ストライプSから通帳情報を読取る。その後の印字部26のページセンサ37によるページマークの読取等の処理動作は、上記通帳情報処理部29aの場合と同様である。
【0098】
また、通帳情報を読取る磁気ヘッド28の搭載部位が、通帳情報処理部29cの場合は、通帳情報処理部29bの場合と同様であるので、その説明を省略する。
SA7:通帳プリンタ2に挿入された通帳Tの通帳情報の読取等を終えたプリンタ制御部21は、通帳Tの通帳情報の読取結果、ページマークの読取結果および印字済み行の検出結果を、現金自動預払機1(図7のステップS13)へ送信してステップSA8へ移行する。
【0099】
SA8:通帳情報等の送信後に、現金自動預払機1(図7のステップS18)からの記帳情報の受信を待って待機していたプリンタ制御部21は、記帳情報を受信したときにステップSA9へ移行する。記帳情報を受信しない場合は前記の待機を継続する。
SA9:記帳情報を受信したプリンタ制御部21は、受信した記帳情報を基に、印字部26の印字ヘッド26aによって印字位置に停止している通帳Tの印字面への未記帳の記帳データまたは取引内容等の記帳データの印字を行う印字処理を実行する。
【0100】
SA10:プリンタ制御部21は、ステップSA9による通帳Tへの印字処理との並行処理により、通帳Tの当該ページにおける印字可能範囲の終了を監視しており、未印字の記帳データが残っており、かつ印字可能範囲が終了した場合はページ捲りが必要と判定してステップSA11へ移行する。未印字の記帳データが残っており、かつ印字可能範囲が残っている場合はステップSA12へ移行する。
【0101】
SA11:通帳Tのページ捲りが必要と判定したプリンタ制御部21は、通帳Tを搬送ローラ33により印字部26からF方向に搬送して取込位置に停止している移送部25へ引渡し、移送部25をL方向へ移動させてページ捲り部27との通帳受渡位置に停止させ、当該通帳Tを搬送ローラ33によりR方向に搬送して共用搬送路31から捲り搬送路40の搬送ローラ33へ引渡し、ページ捲り部27によって通帳Tのページ捲りを行う。この場合のページ捲りの動作については、特開平10−86553や特開2000−293735等に開示されている動作と同様であり、本発明には直接関係しないため説明は省略する。
【0102】
そして、ページ捲りが終了すると、プリンタ制御部21は、ページ捲りを終えた通帳Tを、F方向に搬送してページ捲り部27からその位置に停止している移送部25へ引渡し、移送部25をU方向へ移動させて取込位置に停止させ、印字部26の印字搬送路36に引渡し、ページセンサ24によりページマークの読取りを行って正しいページが聞かれたか否かを確認し、正しいページが開かれていた場合は、当該通帳Tを印字位置まで搬送して未印字の記帳データの印字を行いながらステップSA12へ移行する。
なお、正しいページが開かれていなかった場合は、正しいページになるように、上記と同様にして捲り直し(リトライ)を行う。
【0103】
SA12:プリンタ制御部21は、ステップSA9による通帳Tへの印字処理との並行処理により、印字処理の終了を監視しており、印字処理が終了した場合はステップSA13へ移行する。印字処理が終了していない場合は、ステップSA9へ戻って、ステップSA10、SA12による監視を継続しながら印字処理を継続する。
SA13:印字処理の終了を認識したプリンタ制御部21は、現金自動預払機1(図7のステップS19)へ記帳を終了した旨の記帳終了通知を送信してステップSA12へ移行する。
【0104】
なお、通帳Tを発行した金融機関によっては、通帳Tの磁気ストライプSの通帳情報の更新処理を行う場合があるが、この場合は、ステップSA6で説明した磁気ストライプSからの通帳情報の読取処理の処理動作と同様にして、記憶部23に保存されている通帳情報等読取指令に添付された金融機関名、仕様情報等を基に、磁気ストライプSへの通帳情報の更新内容の書込処理を行い、通帳情報処理部29により書込処理を行った場合は、移送部25を当該通帳情報処理部29から移動させて取込位置に停止させたときに、記帳終了通知を送信するようにするとよい。
【0105】
SA14:記帳終了通知の送信と並行してプリンタ制御部21は、記帳を終えた通帳Tを、搬送ローラ33により印字部26から取込位置に停止している移送部25へ引渡して通帳挿入口24のシャッタを開放し、移送部25の搬送ローラ33により排出方向(F方向)へ搬送して挿入センサ24aが通帳Tの排出方向の先端を検出し所定の距離搬送した後に搬送ローラ33を停止して通帳挿入口24から通帳Tを排出し、挿入センサ24aによって顧客による通帳Tの受取りを確認してシャッタを閉鎖し、今回の通帳処理を終了させ、ステップSA1へ戻って現金自動預払機1からの取引開始通知の受信を待って待機する。
【0106】
このようにして、本実施例の通帳プリンタ2による各金融機関の通帳Tを処理する通帳処理の処理動作が行われる。
上記のように、本実施例では、取引が可能な各金融機関の通帳Tを、印字面を垂直にして通帳プリンタ2へ挿入し、当該通帳の磁気ストライプSの読取、ページマークの読取、通帳Tへの記帳、ページ捲り等の各処理を通帳プリンタ2の上下方向(垂直方向)に重ねて配置した各部によって行うようにしたので、通帳プリンタ2の奥行寸法および水平方向の幅寸法を小さくして、通帳プリンタ2の設置スペースを少なくすることができる。
【0107】
これにより、コンビニエンスストア等の設置スペースに制限がある店舗でも、複数の金融機関の通帳Tを用いた取引処理を可能にした現金自動預払機1を設置することができ、コンビニATM等を利用する顧客の利便性を向上させることができる。
また、本実施例では、通帳プリンタ2の移送部25に2つの磁気ヘッド28a、28bを搭載したので、拡張する通帳情報処理部29の数を減少させて、通帳プリンタ2の簡素化を図ることができる。
【0108】
更に、本実施例では、移送部25の磁気ヘッド28a、28bを、取込んだ通帳Tのおもて表紙側に配置したので、通帳挿入口25にシャッタを設けた場合であっても、通帳Tの移送部25から印字部26への搬送時および印字部26から移送部25への搬送時に、裏表紙に貼付された磁気ストライプSに対する通帳情報の読取り、書込みを容易に行うことができる。
【0109】
更に、本実施例では、移送部2の共用搬送路31の搬送ガイド31a、31bのガイド面が、垂直方向に配置されているので、通帳Tを移送部25に取込んだ後に、搬送ローラ33による挟持を解除すれば、落下する通帳Tの下端を自重により共用基準面34に当接させて幅寄せすることができ、幅寄せ機構を省略することが可能になる。
【0110】
なお、本実施例では、通帳挿入口24にシャッタを設けた場合を例に説明したが、シャッタを設けない場合には、通帳プリンタ2が、現金自動預払機1からの取引開始通知を受信していない状態(待機時等)で、通帳Tが挿入された場合は、通帳プリンタ2から現金自動預払機1へ通帳挿入通知を送信し、現金自動預払機1が取引の選択を誘導する、通帳プリンタ2に対して通帳Tの返却を指令する等、予め設定された所定の動作を行うようにするとよい。
【0111】
また、本実施例では、通帳プリンタ2を現金自動預払機1の側面に配置するとして説明したが、側面以外の場所に設置するようにしてもよい。
また、本実施例の通帳プリンタ2を現金自動預払機1内に組込むようにしてもよい。このようにすれば、現金自動預払機1の奥行寸法を小さくして現金自動預払機1の小型化を測ることができる。
【0112】
以上説明したように、本実施例では、通帳の磁気ストライプSに記録された通帳情報を処理する2つの磁気ヘッドを有し、通帳挿入口から印字面を垂直にして挿入された、取引が可能な金融機関の複数種類の通帳Tを取込むと共に当該通帳Tを処理後に通帳挿入口から排出する機能を有し、取込んだ通帳Tを挿入方向の直交方向である上下方向に移送する移送部と、移送部から引渡された通帳Tの印字面に印字を行う印字部と、移送部から引渡された通帳Tのページ捲りを行うページ捲り部と、移送部から引渡された通帳Tの通帳情報を処理する少なくとも一つの磁気ヘッドを有する少なくとも一つの通帳情報処理部とを備え、その印字部を移送部の通帳Tの挿入方向の前方に配置し、ページ捲り部と通帳情報処理部とを印字部の下方に並べて直列に配置した通帳プリンタと、取引が可能な各金融機関のホストコンピュータに接続し取引カードのみを用いて顧客との取引を行う現金自動預払機とを接続して自動取引システムを構成したので、奥行寸法および水平方向の幅寸法を小さくして設置スペースを少なくした通帳プリンタを現金自動預払機の側面等に配置することができ、設置スペースに制限がある店舗であっても、複数の金融機関の通帳Tを用いた取引処理を可能にした現金自動預払機を設置することができ、当該店舗を利用する顧客の利便性を向上させることができる。
【実施例2】
【0113】
以下に、図9ないし図13を用いて本実施例の通帳プリンタについて説明する。なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例の通帳プリンタ2には、図9、図10に示すように、表示部51およびキー入力部52を備え、プリンタ制御部21は通信部22によってホストコンピュータ6と直接交信可能に接続されている。これにより、本実施例の通帳プリンタ2は、独立して設置することが可能となり、単独での通帳Tの通帳記帳取引が可能となる。
【0114】
また、本実施例の通帳プリンタ2は、図10(a)に示すように、通帳挿入口24から印字面を水平にして、おもて表紙側から挿入するように構成され、移送部25、印字部26、ページ捲り部27、各通帳情報処理部29の構成は上記実施例1と同様であるが、図11、図12に示すように、共用搬送路31、印字搬送路36、捲り搬送路40、各処理搬送路45は、通帳Tの印字面を水平にして搬送するように設置されている。
【0115】
通帳プリンタ2の表示部51は、LCD等の表示画面等を備えており、取引案内画面や金融機関名入力画面、入力結果等を表示する機能を有している。
通帳プリンタ2のキー入力部52は、テンキーや各種の入力を行うための入力キーを備えており、顧客による選択入力や指示入力等を受付ける機能を有している。
本実施例の入力手段はキー入力部52により構成される。なお、入力手段を表示部51に設けたタッチパネルとして、キー入力部52を省略するようにしてもよい。
【0116】
上記の構成により、本実施例の通帳プリンタ2は、キー入力部52で選択入力された金融機関情報としての金融機関名を基に、通帳挿入口24から印字面を水平にして、おもて表紙側から挿入された通帳Tを取込んで挿入方向の直交方向である上下方向(垂直方向)に移送する移送部25、移送部25から引渡された通帳Tの印字面に印字を行う印字部26、通帳T等の冊子状媒体の改ページが必要となった場合にページ捲りを行うページ捲り部27、各金融機関の通帳Tに貼付された各種の磁気ストライプSに対応する磁気ヘッド28を装備した3つの通帳情報処理部29等を備え、通帳挿入口24から挿入された通帳Tを移送部25で取込み、その通帳Tの種類(本実施例では、図6に示すタイプ1〜6の6種類)に応じて移送部25により対応する通帳情報処理部29へ移送して通帳情報の読取処理を行い、通帳情報の読取後に、移送部25により印字部26へ移送して印字処理を行い、印字後の通帳Tを移送部25へ引渡して通帳挿入口24から排出するように構成されており、金融機関のATMコーナや無人ブース等に、通帳挿入口24を正面側に向けて設置されている。
【0117】
また、本実施例の印字部26は、図11に示すように、通帳プリンタ2の上部に配置された通帳挿入口24と同等の高さに設けられ、ページ捲り部27および各通帳情報処理部29の各搬送路は、印字部26の印字搬送路36の搬送ガイド36a等のガイド面と平行となるように、その下方に並べて直列に配置されている。
【0118】
本実施例の通帳プリンタ2の記憶部23には、入力された金融機関名を基に、通帳挿入口24から挿入された通帳Tに対する通帳情報の読取や書込、記帳等の図13を用いて説明する通帳処理を実行する機能等を有する通帳業務実行プログラムが予め格納されており、プリンタ制御部21が実行する通帳業務実行プログラムのステップにより本実施例の通帳プリンタ2の各機能手段が形成される。
【0119】
また、記憶部23には、上記実施例1では現金自動預払機1の記憶部23に格納されていた、取引が可能な各金融機関の金融機関名に対応させて、その通帳Tの磁気ストライプSの仕様、ページマークの仕様等からなる仕様情報が予め格納される他、上記実施例1の記憶部23と同様の、磁気ヘッド28の搭載部位情報が予め格納され、通帳Tの挿入待時間が予め設定されて格納されている。
【0120】
本実施例のホストコンピュータ6には、本実施例の通帳プリンタ2と交信して、当該ホストコンピュータ6が設置された金融機関の顧客の本人認証や通帳Tの正当性確認、顧客の口座の入出金等を管理する機能を有する通常の勘定方管理プログラムが予めインストールされており、ホストコンピュータ6が実行する勘定方管理プログラムのステップにより本実施例のホストコンピュータ6の各機能手段が形成される。
【0121】
以下に、図13に示すフローチャートを用い、SBで示すステップに従って本実施例の通帳プリンタ2による通帳処理の処理動作について説明する。
本実施例の通帳プリンタ2に電源が投入されると、通帳プリンタ21は、通帳業務実行プログラムにより、各部を初期状態として、表示部51の表示画面に、取扱い可能な金融機関名の通帳Tを用いた通帳記帳取引が可能である旨の文言と取引開始の操作方法等を表示した取引案内画面を表示して待機する。本実施例の初期状態は、上記実施例1の場合と同様に、通帳挿入口24のシャッタは閉鎖状態、移送部25は取込位置で停止、移送部25の搬送ローラ33の搬送プレッシャローラ33bは共用搬送路31から退避した状態になっている。
【0122】
SB1:顧客が表示部51に表示された取引開始の操作方法に従って、キー入力部52の「取引開始」キーを押下すると、この押下を待って待機していたプリンタ制御部21は、表示部51の表示画面に、取扱い可能な金融機関名とそれを選択するために番号等を表示した金融機関名入力画面を表示し、顧客は、キー入力部52のテンキーによって持参した通帳Tの金融機関名の番号に相当する数字を入力する。
【0123】
SB2:入力された数字により金融機関情報としての金融機関名を認識したプリンタ制御部21は、その金融機関名を基に記憶部23から当該金融機関名の仕様情報を読出して記憶部23に保存し、通帳挿入口24のシャッタを開放してステップSB3へ移行する。
【0124】
SB3:通帳挿入口24のシャッタを開放したプリンタ制御部21は、挿入センサ24aが通帳挿入口24から印字面を水平にして、おもて表紙側から挿入される通帳Tの挿入方向の先端を検出するのを待って待機し、挿入センサ24aが通帳Tの先端を検出したときに前記の待機を打切ってステップSB5へ移行する。挿入センサ24aが通帳Tの先端を検出しない場合はステップSB4へ移行する。
【0125】
SB4:プリンタ制御部21は、その時計機能により、ステップSB2においてシャッタを開放したときからの経過時間を計測しながら、記憶部23に格納されている挿入待時間の経過を待って待機しており、経過時間が挿入待時間未満の場合は、ステップSB3、SB4による待機を継続する。経過時間が挿入待時間以上の場合は、通帳挿入口24のシャッタを閉鎖して、今回の通帳処理を終了させ、ステップSB1へ戻って取引案内画面を表示しながら「取引開始」キーの押下を待って待機する。
【0126】
SB5:挿入された通帳Tの先端を検出したプリンタ制御部21は、上記実施例1のステップSA4と同様にして、取込んだ通帳Tを幅寄せし、搬送ローラ33で幅寄せした通帳Tを挟持した状態で移送部25を取込位置で待機させる。
【0127】
この通帳挿入口24から共通搬送路31内への搬送のとき、プリンタ制御部21は、上記実施例1のステップSA4と同様にして、挿入された通帳Tの長さおよび幅等を測定し、記憶部23に格納されている形状情報と比較して取扱い可能であるか否かを確認し、取扱い可能と確認された場合は、ステップSB6へ移行する。
なお、取扱い不能の通帳Tが挿入された場合は、通帳挿入口24から当該通帳Tを排出して顧客に返却する。
【0128】
SB6:挿入された通帳Tを取込んだプリンタ制御部21は、入力された金融機関名を基に、記憶部23の搭載部位情報から当該通帳Tの磁気ストライプ2の通帳情報を読取る磁気ヘッド28の搭載部位を読出して、当該通帳Tの通帳情報を読取る磁気ヘッド28の搭載部位を特定し、上記実施例1のステップSA6と同様にして、当該通帳Tの通帳情報の読取処理を行い、印字部26のページセンサ37により当該通帳Tの印字面からのページマークの読取および印字済み行の検出後に、印字位置まで搬送して停止させる。
このとき、プリンタ制御部21は、読取った通帳情報を記憶部23に保存する。
【0129】
SB7:通帳プリンタ2に挿入された通帳Tの通帳情報の読取等を終えたプリンタ制御部21は、通信部22によって、読取った通帳情報の金融機関名や口座番号等を基に、通信回線7を介して、当該金融機関のホストコンピュータ6と交信し、通帳プリンタ2に挿入された通帳Tに記帳する未記帳の記帳データを取得し、これを記帳情報として記憶部23に保存してステップSB8へ移行する。
この場合のホストコンピュータ6における通帳Tの正当性確認等の交信処理の処理動作は、上記実施例1のステップS15と同様であるので、その説明を省略する。
【0130】
SB8:記帳情報を取得したプリンタ制御部21は、取得した記帳情報を基に、印字部26の印字ヘッド26aによって印字位置に停止している通帳Tの印字面への未記帳の記帳データの印字を行う印字処理を実行する。
【0131】
SB9:プリンタ制御部21は、ステップSB8による通帳Tへの印字処理との並行処理により、通帳Tの当該ページにおける印字可能範囲の終了を監視しており、未印字の記帳データが残っており、かつ印字可能範囲が終了した場合はページ捲りが必要と判定してステップSB10へ移行する。未印字の記帳データが残っており、かつ印字可能範囲が残っている場合はステップSB11へ移行する。
【0132】
SB10:通帳Tのページ捲りが必要と判定したプリンタ制御部21は、上記実施例1のステップSA11と同様にして、通帳Tのページ捲りを実行し、ステップSB11へ移行する。
SB11:プリンタ制御部21は、ステップSB8による通帳Tへの印字処理との並行処理により、印字処理の終了を監視しており、印字処理が終了した場合はステップSB12へ移行する。印字処理が終了していない場合は、ステップSB8へ戻って、ステップSB9、SB11による監視を継続しながら、印字処理を継続する。
【0133】
SB12:印字処理の終了を認識したプリンタ制御部21は、記帳を終えた通帳Tを、搬送ローラ33により印字部26から取込位置に停止している移送部25へ引渡して通帳挿入口24のシャッタを開放し、移送部25の搬送ローラ33により排出方向(F方向)へ搬送して挿入センサ24aが通帳Tの排出方向の先端を検出し所定の距離搬送した後に搬送ローラ33を停止して通帳挿入口24から通帳Tを排出し、挿入センサ24aによって顧客による通帳Tの受取りを確認してシャッタを閉鎖し、今回の通帳処理を終了させ、ステップSB1へ戻って取引案内画面を表示しながら「取引開始」キーの押下を待って待機する。
【0134】
なお、通帳Tを発行した金融機関によっては、通帳Tの磁気ストライプSの通帳情報の更新処理を行う場合があるが、この場合は、ステップSB6で説明した磁気ストライプSからの通帳情報の読取処理の処理動作と同様にして、記憶部23に保存した通帳情報の金融機関名、仕様情報等を基に、磁気ストライプSへの通帳情報の更新内容の書込処理を行い、通帳情報処理部29により書込処理を行った場合は、移送部25を当該通帳情報処理部29から移動させて取込位置に停止させたときに、上記ステップSB12の処理動作を行うようにするとよい。
【0135】
このようにして、本実施例の通帳プリンタ2による各金融機関の通帳Tに未記帳の記帳データを印字する通帳処理の処理動作が行われる。
上記のように、本実施例では、取引が可能な各金融機関の通帳Tを、印字面を水平にして通帳プリンタ2へ挿入し、当該通帳の磁気ストライプSの読取、ページマークの読取、通帳Tへの記帳、ページ捲り等の各処理を通帳プリンタ2の上下方向(垂直方向)に重ねて配置した各部によって行うようにしたので、通帳プリンタ2の奥行寸法を小さくして、通帳プリンタ2の設置スペースを少なくすることができる。
【0136】
また、通帳プリンタ2が表示部51とキー入力部52を備え、プリンタ制御部21が通信部22により現金自動預払機1を介さずにホストコンピュータ6に直接接続できるため、通帳プリンタ2は、独立して設置が可能となり単独での処理が可能となる。
これにより、現金自動預払機1が設置されていない場所でも、複数の金融機関の磁気ストライプSに対応して各通帳Tの処理ができるため、顧客の利便性を向上させることができる。
【0137】
また、顧客が通常の現金自動預払機1で通帳記帳取引を行う場合、未記帳の記帳データが多いと処理時間がかかるが、通常の現金自動預払機1が1台しか設置されない郵便局等のような小型店舗に本実施例の通帳プリンタ2を設置することで、通帳Tの記帳のみの顧客の待ち時間を減少させることができる。
【0138】
更に、複数の金融機関の磁気ストライプSに対応して各通帳Tの処理ができるため、例えば金融機関の本支店以外で、代理店業務を受託している業者の店舗等の場合に、1箇所の代理店で複数の金融機関の業務を受託して取扱うことができ、顧客の利便性が更に向上するという効果も得られる。
【0139】
更に、本実施例では、通帳プリンタ2の移送部25に2つの磁気ヘッド28a、28bを搭載したので、拡張する通帳情報処理部29の数を減少させて、通帳プリンタ2の簡素化を図ることができる。
【0140】
更に、本実施例では、移送部25の磁気ヘッド28a、28bを、取込んだ通帳Tのおもて表紙側に配置したので、通帳挿入口25にシャッタを設けた場合であっても、通帳Tの移送部25から印字部26への搬送時および印字部26から移送部25への搬送時に、裏表紙に貼付された磁気ストライプSに対する通帳情報の読取り、書込みを容易に行うことができる。
【0141】
以上説明したように、本実施例では、通帳挿入口から挿入された通帳Tを、処理後に通帳挿入口から排出する通帳プリンタに、通帳の磁気ストライプSに記録された通帳情報を処理する2つの磁気ヘッドを有し、通帳挿入口から挿入された通帳Tを取込み、その通帳を挿入方向の直交方向である上下方向に移送する移送部と、移送部から引渡された通帳Tの印字面に印字を行う印字部と、移送部から引渡された通帳Tのページ捲りを行うページ捲り部と、移送部から引渡された通帳Tの通帳情報を処理する少なくとも一つの磁気ヘッドを有する少なくとも一つの通帳情報処理部とを設け、その印字部を移送部の通帳Tの挿入方向の前方に配置し、ページ捲り部と通帳情報処理部とを印字部の下方に並べて直列に配置したので、取引が可能な金融機関の複数種類の通帳Tの取扱が可能になると共に通帳プリンタの奥行寸法を小さくして、通帳プリンタの設置スペースを少なくすることができる。
【実施例3】
【0142】
以下に、図14ないし図16を用いて本実施例の通帳プリンタについて説明する。なお、上記実施例2と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例の通帳プリンタ2には、図14、図15に示すように、実施例2の通帳情報処理部29cに替えて新媒体収納部としての新通帳収納部55が、印字部26の下方に並べて直列に配置されている。
【0143】
新通帳収納部55は、図15に示すように、図示しない駆動手段により回転して通帳Tを通帳搬送路56へ繰出す繰出ローラ57および搬送ローラ33等を備えており、新通帳収納部55との通帳受渡位置に停止した移送部25へ、新たに発行する通帳T(新通帳という。新通帳の発行前に用いていた通帳Tを旧通帳という。)を搬送する機能を有している。
【0144】
また、新通帳収納部55内には、閉じた状態の複数冊の新通帳が斜めに重ねて収納されており、その最上位の新通帳は図示しないスプリング等により繰出ローラ57に所定の荷重で押付けられている。
このような新通帳収納部55の構成としては、例えば、特開2001−43427公報に開示された構成を用いることができる。
これにより、本実施例の通帳プリンタ2は、新通帳の発行処理が可能となる。
【0145】
本実施例の通帳プリンタ2の記憶部23には、入力された金融機関名を基に、通帳挿入口24から挿入された通帳Tに対する通帳情報の読取や書込、記帳、新通帳の発行等の図16を用いて説明する通帳処理を実行する機能等を有する通帳業務実行プログラムが予め格納されており、プリンタ制御部21が実行する通帳業務実行プログラムのステップにより本実施例の通帳プリンタ2の各機能手段が形成される。
【0146】
また、記憶部23には、上記実施例2と同様の、取引が可能な各金融機関の通帳Tの磁気ストライプSの仕様、ページマークの仕様等からなる仕様情報が予め格納される他、上記実施例1の記憶部23と同様の、各金融機関の通帳Tの形状情報、磁気ヘッド28の搭載部位情報が予め格納され、通帳Tの挿入待時間が予め設定されて格納されている。
更に、記憶部23には、各金融機関の通帳のおもて表紙および/もしくは見返しに印字する店番号や口座番号等の必要事項の印字位置および字体とそのポイント数等からなる表紙印字情報が、金融機関名に対応させて予め格納されている。
【0147】
本実施例のホストコンピュータ6には、本実施例の通帳プリンタ2と交信して、当該ホストコンピュータ6が設置された金融機関の顧客の本人認証や通帳Tの正当性確認、顧客の口座の入出金等を管理する機能を有する通常の勘定方管理プログラムが予めインストールされており、ホストコンピュータ6が実行する勘定方管理プログラムのステップにより本実施例のホストコンピュータ6の各機能手段が形成される。
【0148】
以下に、図16に示すフローチャートを用い、SCで示すステップに従って本実施例の通帳プリンタ2による通帳処理の処理動作について説明する。
本実施例のステップSC1〜SC10の処理動作は、上記実施例2のステップSB1〜SB10の処理動作と同様であるので、その説明を省略する。
【0149】
SC11:プリンタ制御部21は、ステップSC8による通帳Tへの印字処理との並行処理により、通帳Tの最終ページにおける印字可能範囲の終了を監視しており、未印字の記帳データが残っており、かつ最終ページの印字可能範囲が終了した場合は継続使用する新通帳の発行が必要と判定してステップSC12へ移行する。未印字の記帳データが残っており、かつ印字可能範囲が残っている場合はステップSC13へ移行する。
【0150】
SC12:継続使用する新通帳の発行が必要と判定したプリンタ制御部21は、新通帳の発行処理を実行し、実行後にステップSC13へ移行する。
すなわち、プリンタ制御部21は、最終ページにおける印字可能範囲が終了した旧通帳を一時的に退避させるために、当該旧通帳を印字部26から移送部25へ引渡し、移送部25を移動させて、当該旧通帳をいずれかの通帳情報処理部29内へ移送して、当該旧通帳を一次退避させる。
【0151】
旧通帳を一次退避させたプリンタ制御部21は、移送部25を新通帳収納部55との通帳受渡位置へ移動させて停止させ、新通帳収納部55から図示しない駆動手段により繰出ローラ57を回転させて繰出した新通帳を、搬送ローラ33により移送部25内へ搬送し、新通帳を取込んだ移送部25をU方向に移動させて取込位置に停止させる。
【0152】
新通帳を取込んだ移送部25を取込位置に停止させたプリンタ制御部21は、当該旧通帳の金融機関情報としての金融機関名を基に記憶部23から新通帳への表紙印字情報を読出し、新通帳を印字部26内へ搬送して表紙印字位置に停止させ、ステップSC6において記憶部23に保存した旧通帳の通帳情報を基に、新通帳のおもて表紙への必要事項の印字を行う。
【0153】
この場合に見返しへの印字が必要な場合は、プリンタ制御部21は、おもて表紙への印字を終えた新通帳を移送部25によりページ捲り部27へ移送して新通帳のおもて表紙を捲り、移送部25により見返しを開いた状態の新通帳を再び印字部26へ移送して、見返しへの必要事項の印字を行う。
【0154】
新通帳のおもて表紙等への印字を終えたプリンタ制御部21は、新通帳を移送部25によりページ捲り部27へ移送して新通帳の最初の記帳ページを開き、これを移送部25により印字部25へ移送し、ページセンサ24によりページマークの読取りを行って正しいページが聞かれたか否かを確認し、正しいページが開かれていた場合は、当該新通帳を印字位置まで搬送して残っている未印字の記帳データの印字を行いながらステップSC13へ移行する。
なお、正しいページが開かれていなかった場合は、正しいページになるように、上記と同様にして捲り直し(リトライ)を行う。
【0155】
SC13:プリンタ制御部21は、ステップSC8による通帳Tへの印字処理との並行処理により、印字処理の終了を監視しており、印字処理が終了した場合はステップSC14へ移行する。印字処理が終了していない場合は、ステップSC8へ戻って、ステップSC9、SC11、SC13による監視を継続しながら、新通帳または通帳Tへの印字処理を継続する。
【0156】
SC14:新通帳または通帳Tへの印字処理を終えたプリンタ制御部21は、新通帳を発行した場合はステップSC16へ移行する。新通帳を発行しなかった場合、つまり通帳Tへの印字処理を終えた場合はステップSC15へ移行する。
【0157】
SC15:通帳Tへの印字処理の終了を認識したプリンタ制御部21は、上記実施例2のステップSB12と同様にして、記帳を終えた通帳Tを通帳挿入口24から排出し、顧客による通帳Tの受取りを確認してシャッタを閉鎖し、今回の通帳処理を終了させ、ステップSC1へ戻って取引案内画面を表示しながら「取引開始」キーの押下を待って待機する。
【0158】
SC16:新通帳への印字処理の終了を認識したプリンタ制御部21は、上記ステップSC12において一時退避させた旧通帳を保持している通帳情報処理部29へ移送部25を移動させて、その通帳受渡位置に停止させ、当該通帳情報処理部29から使用を終えた旧通帳を移送部25へ引渡し、その移送部25を取込位置へ移動させて停止させ、上記実施例2のステップSB12と同様にして、旧通帳を通帳挿入口24から排出し、顧客による旧通帳の受取りを確認してステップSC17へ移行する。
【0159】
SC17:旧通帳を顧客に返却したプリンタ制御部21は、記帳を終えた新通帳を、印字部26から移送部25へ引渡し、これを上記ステップSC6で特定した磁気ヘッド28の搭載部位(移送部25またはいずれかの通帳情報処理部29)へ移送し、その磁気ヘッド28により記憶部23に保存した旧通帳の通帳情報を新通帳の磁気ストライプSに書込む(更新内容の書込が必要な場合は同時に書込む。)。
【0160】
SC18:新通帳への通帳情報の書込みを終えたプリンタ制御部21は、当該磁気ヘッド28の搭載部位から当該新通帳を移送部25へ引渡し、その移送部25を取込位置へ移動させて停止させ(当該磁気ヘッド28の搭載部位が移送部であって、取込位置に停止している場合を含む。)、上記実施例2のステップSB12と同様にして、新通帳を通帳挿入口24から排出し、顧客による旧通帳の受取りを確認してシャッタを閉鎖し、今回の通帳処理を終了させ、ステップSC1へ戻って取引案内画面を表示しながら「取引開始」キーの押下を待って待機する。
【0161】
上記のように、本実施例では、複数の金融機関の通帳Tの磁気ストライプSに対応して新通帳の発行処理ができるので、金融機関の合併等に伴い、複数の金融機関の通帳Tを統合して、統一した新通帳への仕様変更が発生し、顧客が所有する通帳Tを新通帳に切替える必要が生じた場合等において、本実施例の通帳プリンタ2を用いれば、新通帳の発行のために金融機関の窓口に出向く必要がなくなり、顧客の利便性を向上させることができると共に、金融機関の窓口における大量の新通帳の発行業務を行う必要がなくなり、窓口業務の業務効率を向上させることができる。
【0162】
なお、本実施例では新通帳収納部55が一つの場合を例に説明したが、新通帳収納部55を複数設けて、取引が可能な各金融機関の新通帳を発行するようにしてもよい。
また、本実施例では、新通帳のおもて表紙等に印字するときの表紙印字情報は、通帳プリンタ2の記憶部23に格納しておくとして説明したが、新通帳の発行処理のときにホストコンピュータ6と交信して表紙印字情報を取得するようにしてもよい。
【0163】
なお、本実施例では、通帳プリンタ2の各搬送路を水平方向となるように配置するとして説明したが、上記実施例1と同様に通帳プリンタ2の各搬送路を垂直方向となるように配置してもよい。このようにすれば、本実施例の通帳プリンタ2の水平方向の幅を小さくすることが可能になる。
【0164】
以上説明したように、本実施例では、上記実施例2と同様の効果に加えて、複数の金融機関の通帳Tの磁気ストライプSに対する処理が可能な通帳プリンタに、印字部の下方に直列に配置した、収納した新通帳を繰出す新通帳収納部を設けたので、旧通帳の最終ページの印字可能範囲が終了した場合においても、継続使用する新通帳を発行することができ、顧客の利便性を向上させることができると共に、金融機関の窓口における新通帳の発行業務を行う必要がなくなり、窓口業務の業務効率を向上させることができる。
【0165】
なお、上記実施例2または実施例3においては、通帳プリンタ2に表示部51とキー入力部52を設けてホストコンピュータ6との直接交信を可能とし、通帳記帳取引を単独で行うとして説明したが、表示部51とキー入力部52を省略して、上記実施例1と同様に、現金自動預払機1に接続するようにし、現金自動預払機1からの指令によって、各通帳Tを取扱う通帳処理を行うようにしてもよい。このようにすれば、コンビニエンスストア等の設置スペースに制限がある店舗であっても、複数の金融機関の通帳Tを用いた取引処理を可能にした現金自動預払機1を設置することができ、コンビニATM等を利用する顧客の利便性を向上させることができる。
【0166】
また、上記実施例1の通帳プリンタ2に、上記実施例2または実施例3と同様に、表示部51とキー入力部52を設けてホストコンピュータ6との直接交信を可能とし、通帳記帳取引を単独で行うようにしてもよい。このようにすれば、上記実施例2または実施例3と同様の効果に加えて、水平方向の幅寸法を小さくして通帳プリンタ2の設置スペースを更に少なくすることができる。
【0167】
更に、上記各実施例においては、通帳プリンタを現金自動預払機と接続するとして説明したが、金融機関の窓口に設置された窓口端末に接続するようにしてもよい。このようにすれば、金融機関の窓口業務において、他の金融機関の通帳Tを取扱うことが可能になる。
更に、上記各実施例においては、ページセンサは印字部に配置するとして説明したが、移送部等に配置するようにしてもよい。
【0168】
更に、上記各実施例においては、移送部25の磁気ヘッド28a、28bおよび通帳情報処理部29aの磁気ヘッド29c、29dは、通帳Tの搬送中に磁気ストライプSに記録された通帳情報の読取り、書込みを行う固定式の磁気ヘッド28であるとして説明したが、特開平6−180954号公報に開示された磁気ヘッド28のように磁気ヘッド28を移動させて、通帳情報の読取り、書込みを行う移動式の磁気ヘッド28であってもよい。
【0169】
更に、上記各実施例においては、現金自動預払機または通帳プリンタと、各金融機関のホストコンピュータとを直接接続するとして説明したが、中継センタを介して接続するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0170】
1 現金自動預払機
2 通帳プリンタ
4 ネットワーク
6 ホストコンピュータ
7 通信回線
11 ATM制御部
12、22 通信部
13、23 記憶部
14、51 表示部
15、52 キー入力部
16 カード取扱部
17 紙幣取扱部
21 プリンタ制御部
24 通帳挿入口
24a 挿入センサ
25 移送部
26 印字部
26a 印字ヘッド
26b プラテン
26c インクリボンカセット
27 ページ捲り部
28、28a〜28f 磁気ヘッド
29、29a〜29c 通帳情報処理部
31 共用搬送路
31a、31b、36a、36b 搬送ガイド
33 搬送ローラ
33a 搬送フィードローラ
33b 搬送プレッシャローラ
34 共用基準面
36 印字搬送路
37 ページセンサ
38 印字基準面
40 捲り搬送路
41 捲りローラ
42 クランプローラ
45、45a〜45c 処理搬送路
45a〜45c 処理基準面
55 新通帳収納部
56 通帳搬送路
57 繰出ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体挿入口から挿入された冊子状の媒体を、処理後に前記媒体挿入口から排出する媒体処理装置において、
前記媒体の媒体情報を処理する複数の媒体情報処理手段を有し、前記媒体挿入口から挿入された前記媒体を取込み、その媒体を挿入方向の直交方向である上下方向に移送する移送部と、
前記移送部から引渡された前記媒体の印字面に印字を行う印字部と、
前記移送部から引渡された前記媒体のページ捲りを行うページ捲り部とを備え、
前記印字部を前記移送部の前記挿入方向の前方に配置し、前記ページ捲り部を前記印字部の下方に直列に配置したことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体処理装置において、
前記移送部から引渡された前記媒体の媒体情報を処理する、少なくとも一つの媒体情報処理手段を有する媒体情報処理部を設け、
少なくとも一つの前記媒体情報処理部を、前記印字部の下方に直列に配置したことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の媒体処理装置において、
前記媒体の印字面を垂直にして前記媒体挿入口へ挿入することを特徴とする媒体処理装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の媒体処理装置において、
前記媒体の印字面を水平にして前記媒体挿入口へ挿入することを特徴とする媒体処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の媒体処理装置において、
収納した新媒体を繰出す新媒体収納部を設け、
少なくとも一つの前記新媒体収納部を、前記印字部の下方に直列に配置したことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の媒体処理装置において、
前記複数種類の冊子状の媒体が、取引が可能な各金融機関の通帳であることを特徴とする媒体処理装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項を引用する請求項6に記載の媒体処理装置と、前記各金融機関の上位装置と接続し取引カードのみを用いて顧客との取引を行う自動取引装置と、を接続した自動取引システムにおいて、
前記自動取引装置は、
顧客が選択した通帳を用いた取引を含む取引種別の入力を受付ける手段と、
前記取引の選択種別を受付けたときに、取引開始通知を前記媒体処理装置へ送信する手段と、
前記媒体処理装置から通帳挿入通知を受信する手段と、
前記通帳挿入通知を受信した場合であって、前記取引カードのカード情報を読取っていないときに、挿入された当該通帳の発行元の金融機関の金融機関情報の入力を受付ける手段と、
挿入された通帳の前記金融機関情報を、前記媒体処理装置へ送信する手段と、
前記媒体処理装置から当該通帳の通帳情報を受信する手段と、
前記受信した通帳情報を基に、前記上位装置と交信して未記帳の記帳データを取得する手段と、
前記通帳挿入通知を受信した場合であって、前記選択された取引の取引処理中に、前記上位装置と交信して当該取引の取引内容を含む記帳データを取得する手段と、
前記未記帳の記帳データまたは前記取引内容を含む記帳データを記帳情報として、前記媒体処理装置へ送信する手段と、
前記記帳情報の送信後に、前記媒体処理装置から記帳終了通知を受信する手段と、
前記記帳終了通知を受信したときに、前記選択された取引種別の取引終了処理を行う手段と、
を備え、
前記媒体処理装置は、
前記自動取引装置から前記取引開始通知を受信したときに、前記媒体挿入口への通帳の挿入を可能にする手段と、
前記媒体挿入口への通帳の挿入を検出したときに、前記通帳挿入通知を前記自動取引装置へ送信すると共に当該通帳を前記移送部内に取込む手段と、
前記自動取引装置から前記金融機関情報を受信したときに、前記金融機関情報を基に特定した前記媒体情報処理手段によって、当該通帳の通帳情報を読取る手段と、
前記読取った通帳情報を前記自動取引装置へ送信する手段と、
前記自動取引装置から前記記帳情報を受信したときに、前記印字部によって当該通帳の印字面に前記記帳情報の記帳データを印字する印字処理を行う手段と、
前記記帳データの印字中に、当該通帳のページ捲りが必要になった場合は、前記移送部によって当該通帳を前記ページ捲り部へ移送して当該通帳のページ捲りを行う手段と、
当該通帳への印字処理が終了したときに、前記記帳終了通知を前記自動取引装置へ送信すると共に、前記移送部によって記帳を終えた当該通帳を前記媒体挿入口から排出する手段と、を備えることを特徴とする自動取引システム。
【請求項8】
請求項7に記載の自動取引システムにおいて、
前記媒体処理装置に、前記印字部の下方に直列に配置した、収納した新通帳を繰出す新媒体収納部を設け、
前記媒体処理装置は、
前記記帳データの印字中に、新通帳の発行が必要になった場合は、前記新媒体収納部から繰出した新通帳を、前記移送部によって前記印字部および前記金融機関情報を基に特定した前記媒体情報処理手段へ移送して、当該新通帳の発行処理を行う手段を備えることを特徴とする自動取引システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−248122(P2012−248122A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121068(P2011−121068)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】