説明

媒体処理装置

【課題】小型で省スペースの媒体処理装置を提供する。
【解決手段】通帳12が受け入れられる挿入口14を有する装置本体13に通帳12に対して磁気ストライプ19のリード・ライトを施す磁気ストライプリード・ライト部16の近傍に通帳12を移動させる搬送ローラ15a、15bを備え、磁気ストライプリード・ライト部16を固定し、通帳12を移動させながら磁気ストライプ19のリード・ライトを行う媒体処理装置11を前提とする。搬送方向の通帳12の全長より挿入口14から磁気ストライプリード・ライト部16との間隔を短く設定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関で取り扱う通帳等の媒体に有する磁気データの処理を行う媒体処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、郵便局や銀行等の金融機関に設置され磁気ストライプを有する通帳等の媒体を処理する媒体処理装置は、窓口付近の局員・行員の処理が可能な場所、例えば、窓口カウンタの上や、カウンタ付近の台の上に設置される。また、利用者対面処理と後方一括処理を兼用する場合も窓口付近に置かれることが多い。このために小型かつ占有面積の小さな媒体処理装置が要望されている。
【0003】
また、積立集金票の後処理で一括処理することがある。この後処理の場合には連続処理するためにホッパが装着されている。(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−194109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した媒体処理装置は、装置本体内で媒体の磁気ストライプに記録されている磁気データを磁気ヘッドで読み取り又は書き込む処理を行う構成になっている。このために、装置本体が大型かつ占有面積が大きくなるという問題がある。
【0005】
また、ホッパを装置本体に取り付けた場合には、さらに設置場所が大きくなるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上述した課題を解決し、小型で省スペースの媒体処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る媒体処理装置は前記課題を解決したものであって、次のようなものである、すなわち、媒体が受け入れられる挿入口を有する装置本体と、この装置本体に前記媒体に対して磁気処理を施す磁気処理手段とを備え、前記磁気処理手段で前記媒体の磁気処理を行う媒体処理装置において、前記媒体の全長より前記挿入口から前記磁気処理手段を短い間隔に設定したことを特徴とする。また磁気処理手段は固定され、媒体を搬送させ磁気ストライプの磁気処理を施すようになっている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、小型で設置面積の少ない媒体処理装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0010】
(第1実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態に係る媒体処理装置11の概略側断面図である。同図に示すように、この媒体処理装置11は、媒体としての通帳12の磁気ストライプの処理を行う。媒体処理装置11は、装置本体13に設けられ利用者からの通帳12の投入を受け入れる挿入口14と、この挿入口14より挿入された通帳12の自動取り込みを行う搬送手段として機能する挿入口14に最も近い一対の搬送ローラ15a,15bと、通帳12の磁気ストライプに対してデータをリード・ライトする磁気処理手段として機能する磁気ストライプリード・ライト部16と、通帳12全体のイメージを読み込むOCRスキャナ17と、通帳12への印字を行う印字部18と、搬送路に配設された多数の搬送ローラ15cから15hとを備えている。
【0011】
図1に示すように、装置本体13内に設置された磁気ストライプリード・ライト部16と挿入口14との間隔をL1と定義する。
【0012】
図2に本実施の形態に係る媒体処理装置11で処理可能な媒体としての通帳12の一例を示す。同図に示すように通帳12の表裏面の搬送方向の先端側に磁気ストライプ19が設けられている。この通帳12の搬送方向の全長をL2と定義する。
【0013】
本実施の形態では、磁気ストライプリード・ライト部16と挿入口14との間隔L1と通帳12の搬送方向の全長をL2との関係を、L1<L2と設定している。すなわち、磁気ストライプリード・ライト部16と挿入口14との間隔L1を通帳12の搬送方向の全長をL2よりも短く設定している。
【0014】
図3は、媒体処理装置11の制御機構の構成を示すブロック図である。制御部20は、媒体処理装置11の全体の制御を行うものである。すなわち、制御部20には、各種の搬送モータ21等を駆動するためのモータドライバ回路22、媒体搬走路上に配設された光学センサ23の駆動を行うセンサドライバ回路24、印字部18の印字ヘッド25を駆動する印字ドライバ回路26、OCRスキャナ17、そして磁気ストライプリード・ライト部16の磁気ヘッド27を駆動する磁気ヘッドドライバ回路28および第2実施の形態において構成される媒体供給手段として機能するホッパ29を駆動するホッパドライブ回路30などが制御対象として接続されている。
【0015】
次に、この実施の形態の帳票処理装置11による通帳12による処理の流れを説明する。利用者によって挿入口14より通帳12が挿入されると、搬送ローラ15a,15bが駆動され、通帳12は装置本体13内部へ自動で取り込まれる。取り込まれた通帳12は、磁気ストライプリード・ライト部16による通帳12の先端側の磁気ストライプ19の読み込みが行われる。このとき、通帳12の後端側は装置本体13の外部に突出している。さらに、搬送されOCRスキャナ17による通帳12の見開き面全体のイメージの読み込みが行われる。
【0016】
通帳12の磁気ストライプ19から正常に情報を読み取ることができたなら、その読み取った顧客の口座、最終取引日、口座残額、そして新たに取引内容を記帳すべきページ番号などの情報に基づいて処理が行われる。
【0017】
また、制御部20は、通帳12の見開き面のイメージから先頭空白行を検出し、この検出した先頭空白行に印字部18による取引結果の記帳を実行させる。記帳後、通帳12は磁気ストライプリード・ライト部16によるリード・ライト位置に戻され、ここで磁気ストライプ19の情報が最新内容に書き換えられる。この書き換え動作においても通帳12の後端側は装置本体13の外部に突出した状態で処理される。通帳12を書き換えた後、挿入口14へ返却される。
【0018】
このように、通帳12の磁気ストタイプリード・ライト中に、通帳12の後端側を装置本体13から外部に突出した状態で行える構成にした。これにより、媒体処理装置11の磁気ストライプリード・ライト部16と挿入口14との間隔L1を通帳12の搬送方向の全長L2より短く設定したことにより設置スペースが有効に使えることが可能になった。
【0019】
(第2実施の形態)
図4は、図1の媒体処理装置11に媒体供給手段を取り付けた概略側断面図である。同図に示すように、媒体供給手段としてのホッパ29が挿入口14に連結され、かつ装置本体13に着脱可能に装着できるようになっている。ホッパ29を装着することにより通帳12の連続処理が実行できる。
【0020】
ホッパ29は、ホッパケース31に図示しないモータに連結した繰り出しローラ32が設けられている。この繰り出しローラ32の上に通帳載置部33がある。この通帳載置部33に繰り出しローラ32と押さえ板34とで挟持されて複数枚の通帳12が積み重ねて収納されている。
【0021】
また、通帳12の読み取り、書き換えによる移動に対し、繰り出しローラ32を通帳12が移動する上方に通帳載置部33に形成したことで、繰り出しローラ32の下方に通帳12の退避空間部35が形成される。なお、ホッパ29は、通帳12を完全に包囲するものでなくオペレータが触れにくい形状であればよい。
【0022】
いま、制御部20からの指令でホッパ29の繰り出しローラ32が連結した図示しないモータを挿入口14方向に回転起動させ、繰り出しローラ32を図示しないモータにより挿入口14方向に回転させると、通帳12の最下層の1枚が繰り出され、通帳12は搬送ローラ15a,15bにより搬送される。さらに、通帳12の読み取り、書き換え処理が行われると図示しない通帳排出口から通帳12が返却される。
【0023】
また、繰り出しローラ32の下方に通帳12の退避空間部35が形成されたことで、通帳12がホッパ29の方に突出したときに通帳載置部33に載置されている通帳12に突き当たることがない。したがって、ホッパ29の搬送方向の長さを小さくすることができる。これにより、媒体処理装置11は、装置本体13にホッパ29を取り付けても通帳12の搬送方向が短くなるので小型にできる。
【0024】
また、ホッパ29を装置本体13に着脱可能に装着することにより、オペレータが通帳12に触れた結果、通帳12の斜行することを防止できる。
【0025】
また、媒体処理装置11の大きさを変化することができる。ホッパ29を使用しないときにはホッパ29を取り外せば媒体処理装置11における通帳12の搬送方向の全長を小型化することができ、かつテーブル上に載置することにより、スペースを有効に利用することができる。
【0026】
以上説明したように本発明によれば、請求項1と請求項2では、装置が小さくできて空いたスペースが有効に利用できる。請求項3と請求項4では、ホッパ29を使用するとき設置面積に関係なくスペースを有効に使用できる。また、通帳12の磁気ストライプ19に対しリード・ライト中にオペレータが通帳12に触れことがないので、通帳12の損傷を防止できる。
【0027】
以上説明したように、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、実施の段階ではその趣旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能であるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る第1の実施形態を示す媒体処理装置の概略側断面図。
【図2】本発明に係る実施形態を示す媒体処理装置において媒体として使用する通帳を説明する図。
【図3】本発明に係る実施形態を示す媒体処理装置のブロック図。
【図4】本発明に係る第2の実施形態を示す媒体処理装置の概略側断面図。
【符号の説明】
【0029】
11…媒体処理装置、12…通帳(媒体)、13…装置本体、14…挿入口、15a、15b…搬送ローラ(搬送手段)、16…磁気ストライプリード・ライト部、19…磁気ストライプ、20…制御部、29…ホッパ(媒体供給手段)、35…退避空間部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体が受け入れられる挿入口を有する装置本体と、この装置本体に前記媒体に対して磁気処理を施す磁気処理手段とを備え、前記磁気処理手段で前記媒体の磁気処理を行う媒体処理装置において、前記媒体の全長より前記挿入口から前記磁気処理手段の間隔を短く設定したことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
媒体が受け入れられる挿入口を有する装置本体と、この装置本体に前記媒体に対して磁気処理を施す磁気処理手段と、この磁気処理手段の近傍に前記媒体を搬送させる搬送手段とを備え、前記磁気処理手段を固定し、前記媒体を移動させながら磁気処理を行う媒体処理装置において、搬送方向の前記媒体の全長より前記挿入口から前記磁気処理手段の間隔を短く設定したことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項3】
前記挿入口と連通する位置の前記装置本体に、媒体供給手段を取り付け可能にした
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記媒体供給手段に前記媒体が移動する退避空間部を設けたことを特徴とする請求項3に記載の媒体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−163594(P2006−163594A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−351486(P2004−351486)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】