説明

媒体取扱装置

【課題】通帳等の二つ折りの媒体の収納部を小型化する手段を提供する。
【解決手段】二つ折りの通帳を開いた状態で、かつ立位で収納する収納部16を備えた通帳ユニット1において、収納部16に、通帳を搬入する搬入口38が設けられた正面板31と、正面板31に媒体収納空間35を挟んで対向配置され、通帳の搬送方向に沿って設けられたコの字状断面形状の突条43を有する背面板33と、正面板31の裏側に配置された発光部41aおよび受光部41bに、背面板33の裏側に配置されたセンサプリズム41cを対向配置させて、媒体収納空間35に収納された通帳の存在を検出する収納媒体検出センサ41とを設け、突条43を、媒体収納空間35の縦折り通帳18の折り目18aを避けた位置に設けると共に、背面板33側に配置されるセンサプリズム41cを、突条43の裏側の凹部44に収容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金自動預払機等の自動取引装置に設けられ、通帳等の二つ折りの媒体を取扱う媒体取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
銀行や日本郵政株式会社のゆうちょ銀行等の金融機関の支店や郵便局、コンビニエンスストア等の店舗に設置された現金自動預払機は、顧客との間での取引処理を自動で行うために、取引選択画面や各種の入力画面等を表示する表示画面とタッチパネルとを有する操作表示部、顧客のキャッシュカード等の取引カードの磁気ストライプ等に記録されている口座番号等のカード情報を読み書きすると共に取引明細票を発行するカードユニット、顧客の通帳の磁気ストライプ等に記録されている口座番号等の通帳情報を読み書きすると共に取引内容等を通帳に記帳する通帳ユニット、紙幣の入出金を行う紙幣ユニット、硬貨の入出金を行う硬貨ユニット等が設けられている。
【0003】
このような現金自動預払機は、顧客の取引における操作性を向上させるために取引カードや通帳の挿入口、操作表示部、紙幣や硬貨の入出金口は前面側に集中して配置されるために各ユニットの小型化が求められており、特に通帳ユニットは取扱う通帳が他の取引カード等に較べて大型であるために小型化が望まれている。
従来の通帳を取扱う帳票取扱装置は、取忘れられた通帳を装置内に回収する場合に、通帳の折り目を搬送方向の直交方向として搬送路で搬送し、通帳の先端を通帳退避部に突っ込んでその折り目を折畳み用の空間に位置させ、その空間に配置されたゲートローラにより通帳の中央部を押圧して通帳を折畳み、折畳んだ状態の通帳を搬送路で搬送して取忘れ通帳の収納部に集積して回収している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平2−171265号公報(主に、第3頁右下欄9行−17行、第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、通帳を折畳んで収納部に集積しているため、通帳を折畳むための空間や通帳退避部、ゲートローラ等の各機構を要し、これらを設けるスペースを確保しなければならず、媒体取扱装置が大型化し、これが制約となって現金自動預払機の小型化を図ることが困難になるという問題がある。
また、通帳には印字方向の直交方向に折り目が設けられた通帳(縦折り通帳という。図6参照)や印字方向と平行に折り目が設けられた通帳(横折り通帳という。図7参照)といった各種の通帳が存在し、これらを同一機構で折畳み、整然と集積することは困難であるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、通帳等の二つ折りの媒体の収納部を小型化する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、二つ折りの媒体を開いた状態で、かつ立位で収納する収納部を備えた媒体取扱装置であって、前記収納部に、前記媒体を搬入する搬入口が設けられた正面板と、前記正面板に媒体収納空間を挟んで対向配置され、前記媒体の搬送方向に沿って設けられたコの字状断面形状の突条を有する背面板と、前記正面板と前記背面板とのそれぞれの前記媒体収納空間の反対側に対向配置された検出部材を有し、前記媒体収納空間に収納された媒体の存在を検出する収納媒体検出センサと、を設け、前記突条を、前記媒体収納空間に収納される、搬送方向に沿った折り目を有する媒体の前記折り目を避けた位置に設けると共に、前記背面板側に配置される前記検出部材を、前記突条の前記媒体収納空間の反対側に形成された凹部に収容したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
これにより、本発明は、検出部材の両側の無駄空間を利用して突条を形成することが可能になり、媒体取扱装置の小型化を図ることができると共に、突条の両側に拡大された収納幅T2を有する媒体収納空間を形成することができ、縦折り媒体を収納する場合は、拡大された収納幅T2を利用して縦折り媒体の復元力による背面板および正面板との摩擦力を低減することが可能になり、横折れ媒体の場合は、その折り目を拡大された収納幅T2が形成された背面板と突条の角とに点接触させ、両方の開放端の角を正面板に点接触させて、横折り媒体の落下時の接触面積を大幅に減少させることが可能になり、開いた状態で収納される縦折り媒体および横折り媒体を容易に底板上へ落下させることができ、開いた状態の異種の媒体を同一機構で、同じ収納部に収納することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、図面を参照して本発明による媒体取扱装置の実施例について説明する。
【実施例】
【0009】
図1は実施例の通帳ユニットの側面を示す説明図、図2は実施例の取忘れ通帳の収納部の側面を示す説明図、図3は図2の矢印A方向から見た収納部を示す説明図、図4は図3のB−B断面線沿った断面を示す説明図、図5は実施例の通帳ユニットの取込搬送路の上面を示す説明図である。
なお、図3は正面板を除いた状態で示してある。
【0010】
図1において、1は媒体取扱装置としての通帳ユニットである。
2は通帳ユニット1の取込機構であり、媒体としての通帳を装置の内部に取込む部位であって、通帳を挿入するための媒体挿入口としての通帳挿入口3、通帳挿入口3を開閉するシャッタ4、挿入された通帳を幅寄せして搬送状態を整位する幅寄せ部5、通帳の磁気ストライプ等に記録されている口座番号や記帳最終頁とその最終行等の通帳情報を読み書きする磁気ヘッドを有する読取書込部6、通帳を搬送するための一対のローラを対向配置した複数の搬送ローラ7を有する取込搬送路8、および通帳挿入口3に開いた状態でセットされた通帳の幅(搬送方向と直交する方向の長さをいう。)を検出するための図示しない幅検出センサ、開いた状態で挿入された通帳の搬送方向の長さを検出する図示しない長さ検出センサ等が設けられており、シャッタ4、読取書込部6の磁気ヘッドはそれぞれ図示しない個別のモータで駆動され、その他の搬送ローラ7等の取込機構2の可動部材はモータ9により駆動される。
【0011】
10は通帳ユニット1の印字機構であり、取込機構2により開いた状態で受入れた通帳の頁をめくる頁めくり部11、めくられた頁の頁マークを読取る頁マーク読取部12、通帳に取引内容等を印字する印字ヘッド13aを有する印字部13、通帳を搬送するためのフィードローラ14a、プレスローラ14b(図2参照)を対向配置した複数の搬送ローラ14を有する印字搬送路15、取忘れられた取忘れ通帳を収納して回収する収納部16等が設けられており、印字部13の印字ヘッド13aは、図示しないモータにより駆動され、その他の搬送ローラ14のフィードローラ14a等の印字機構10の可動部材はモータ17により駆動される。
【0012】
また、取込搬送路8と印字搬送路15とは直線状に配置され、収納部16への印字搬送路15のみ鈍角で曲げられている。
本実施例の通帳ユニット1は、縦折り通帳18と横折り通帳19との2種類の通帳を、混在させて取扱うように構成されている。
縦折り通帳18は、図6に示すように、通帳記帳時の印字方向の中央に、印字方向の直交方向に沿って設けられた綴じ目を折り目18aとして二つ折りにされる冊子であって、折り目18aの方向に搬送され、搬送方向に沿った両端部が開放端18bとなる。
【0013】
横折り通帳19は、図7に示すように、通帳記帳時の印字方向の直交方向の中央に、印字方向に沿って設けられた綴じ目を折り目19aとして二つ折りにされる冊子であって、折り目19aの直交方向に搬送され、搬送方向の両端部が開放端19bとなる。
20は払込ユニットであり、通帳ユニット1の印字部13を共用するために、通帳ユニット1に隣接して併設された、払込先の口座番号や払込金額等が記入された払込書等の単票を取扱うユニットであって、払込書を挿入するための払込書挿入口21、挿入された払込書の記入事項等を読取るスキャナ部22、払込取引の終了後に印字部13で取引日時や取引店舗等の必要事項が印刷された取引済みの払込書を収納する払込書収納庫23、24、および払込書を搬送するための一対のローラを対向配置した複数の搬送ローラ25を有する払込書搬送路26等が設けられており、払込書搬送路26の払込書挿入口21の反対側の端部は、頁マーク読取部12と印字部13との間で印字搬送路15に接続している。
【0014】
また、印字搬送路15および払込書搬送路26の各分岐部には、通帳や払込書の搬送方向を切替える切替ブレード27a〜27dが設けられている。
本実施例の通帳ユニット1および払込ユニット20は、図示しない本体装置としての現金自動預払機に上下に並べて装着されている。
本実施例の取忘れ通帳の収納部16は、図2〜図4に示すように、正面板31、2枚の側板32(図3、図4参照)、正面板31に対向配置された背面板33、および底板34からなる上方が開放された筐体であって、正面板31と、2枚の側板32と、背面板33と、底板34とで囲まれた媒体収納空間35に、二つ折りの通帳を開いた状態で、かつ立位で収納する収納部である。
【0015】
このような開いた状態の通帳は、最も厚い通帳を開いた状態で搬送することが可能な所定の隙間を介して対向配置された一対のガイド板37a、37bに案内されながら、フィードローラ14aとプレスローラ14bとの間に挟持されて搬送され、正面板31に設けられた搬入口38から媒体収納空間35に搬入される。
なお、以下の説明においては、搬入口38に最も近接した位置に設けられたフィードローラ14aとプレスローラ14bとで構成される搬送ローラ14を、特に搬入口ローラ39という。
【0016】
41は収納媒体検出センサであり、媒体収納空間35に収納された媒体である通帳の存在を検出する光学式のセンサであって、正面板31の媒体収納空間35の反対側(以下、正面板31等の媒体収納空間35の反対側を裏側という。)に上下に並べて配置された検出部材としての発光部41aおよび受光部41bと、背面板33の裏側に、発光部41aおよび受光部41bにそれぞれ対向配置された検出部材としての2つのセンサプリズム41cとを用いて、発光部41aから照射された光を2つのセンサプリズム41cでそれぞれ全反射して受光部41bに入射するように構成されており、発光部41aとセンサプリズム41cとの間の光軸および/もしくはセンサプリズム41cと受光部41bとの間の光軸を通帳が遮断したことによって、媒体収納空間35内の通帳の存在を検出する機能を有している。
【0017】
43は突条であり、図4に示すように、背面板33に通帳の搬送方向に沿って設けられたコの字状断面形状を有する突出部であって、その裏側に形成された凹部44に、背面板33の裏側に配置される検出部材、本実施例では2つのセンサプリズム41cが収容されている。
このような突条43は、図8に示すように、縦折り通帳18の折れ目18aを避けた位置に配置され、その両側の背面板33の媒体収納空間35側に、それぞれ凹部45が形成される。
【0018】
これにより、センサプリズム41cの両側の無駄空間を有効に利用して、通常の収納幅T1より拡大された収納幅T2を有する媒体収納空間35が形成され、縦折り通帳18が収納される場合には、その折れ目18aと開放端18bとが、凹部45の底面を形成する背面板33と正面板31とに接触し、拡大された収納幅T2を利用して、縦折り通帳18の復元力による背面板33および正面板31との摩擦力を低減することができ、開いた状態で収納される縦折り通帳18の底板34への落下性を向上させることができる。
【0019】
図5において、50は基準面であり、通帳ユニット1の取込搬送路8の搬送方向に沿った一の側方に設けられた側方ガイド52の通帳に接する側の面である。
53は幅寄せ部5の幅寄せガイドであり、基準面50に対向配置され、基準面50の方向に往復移動可能に構成されており、取込搬送路8を搬送される通帳を基準面50に押付けて通帳の搬送状態を、図5に2点差線で示す縦折り通帳18のように整位する機能を有している。
【0020】
55は走行監視センサであり、取込搬送路8を搬送される通帳の通過を監視する光学式のセンサであって、取込搬送路8の幅方向(搬送方向と直交する方向をいう。)の中央部等に設けられて、取込搬送路8を搬送される通帳を確実に検出できるように構成されている。
56は寄せ検知センサであり、取込搬送路8の基準面50側の側縁部に設けられた光学式のセンサであって、取込搬送路8を搬送される通帳の幅方向の側端部の通過を検出する機能を有している。
【0021】
この寄せ検知センサ56の取付位置は、搬送される通帳が、縦折り通帳18の場合に、基準面50からの距離Lが、図8に示す収納部16に収納された縦折り通帳18の折れ目18aと、突条43の折れ目18a側の側面との間の距離K未満となるように設定されている。
これにより、収納部16に収納された縦折り通帳18の折れ目18aが、突条43に乗り上げることが防止され、縦折り通帳18の折り目18aを、拡大された収納幅T2の間に収納することを保証することができる。
【0022】
以下に、図9ないし図13を用いて、本実施例の通帳ユニット1の作動について説明する。
なお、以下に示す作動は、通帳ユニット1の図示しない制御部が、図示しない記憶部に格納されているプログラムによって、上記した各部を制御して実行するものである。
また、以下においては、通帳として縦折り通帳18(以下、単に通帳18という。)が用いられる場合について説明する。
【0023】
操作者が、開いた状態の通帳18を通帳挿入口3にセットすると、制御部は幅検出センサによって通帳18の幅を判定し、通帳18の幅を正常と判定した場合は、図9に示すように、通帳挿入口3のシャッタ4を開作動させ、通帳18の幅を異常と判定した場合はシャッタ4を閉じたままとする。
通帳18の幅を正常と判定した制御部は、図10に示すように、取込機構2のモータ9によって取込搬送路8の搬送ローラ7を回転させ、通帳18を通帳情報読取位置まで搬送して停止させ、長さ検出センサによって通帳18の長さを判定し、通帳18の長さを正常と判定した場合は、シャッタ4を閉作動させ、通帳18の長さを正常と異常した場合は、搬送ローラ7を逆転させて通帳18を操作者へ返却し、返却後にシャッタ4を閉作動させる。
【0024】
通帳18の長さを正常と判定した制御部は、モータ9により幅寄せ部5の幅寄せガイド53を駆動して通帳18を基準面50に押付け、寄せ検知センサ56によって通帳18が幅寄せされたか否かを判定し、寄せ検知センサ56が通帳18を検知しない場合はリトライし、それでも幅寄せできない場合は、シャッタ4を開作動させ、搬送ローラ7を逆転させて通帳18を操作者へ返却し、返却後にシャッタ4を閉作動させる。
【0025】
通帳18が幅寄せされ、基準面50によって搬送状態が整位されたことを判定した制御部は、モータ9により磁気ヘッドを移動させて通帳18の磁気ストライプに記録された通帳情報を読取り、正常に読取った場合は正常通帳と判定し、裏返しや左右逆または通帳情報読取不可の場合は、搬送ローラ7を逆転させて通帳18を通帳挿入口3まで搬送し、シャッタ4を開作動させ、搬送ローラ7を逆転させて通帳18を操作者へ返却し、返却後にシャッタ4を閉作動させる。
【0026】
通帳18を正常通帳と判定した制御部は、読取った通帳情報の口座番号等を本体装置としての現金自動預払機の図示しない主制御部へ送信すると共に、図11に示すように、取込機構2のモータ9および印字機構10のモータ17によって取込搬送路8の搬送ローラ7および印字搬送路15の搬送ローラ14を回転させ、通帳18を頁マーク読取位置まで搬送して停止させ、頁マーク読取部12によって通帳18に印刷されている頁マークを読取り、読取った頁が通帳情報の記帳最終頁と一致していれば正常と判定し、不一致または頁マーク読取不可の場合は、搬送ローラ14、搬送ローラ7を逆転させて通帳18を通帳挿入口3まで搬送し、シャッタ4を開作動させ、搬送ローラ7を逆転させて通帳18を操作者へ返却し、返却後にシャッタ4を閉作動させる。
【0027】
読取った頁マークを正常と判定した制御部は、図12に示すように、モータ17によって搬送ローラ14を回転させ、通帳18を印字位置まで搬送し、図示しない位置決めセンサによって位置決めして停止させ、現金自動預払機の主制御部からの印字データを受信すると、モータ17により印字部13の印字ヘッド13aを搬送方向の直交方向に移動させながら受信した印字データを通帳18に印字する。
【0028】
通帳18への印字を終えた制御部は、搬送ローラ14を逆転させ、通帳18を頁マーク読取位置まで搬送し、頁マーク読取部12によって印字された記帳最終頁とその最終行を読取り、その読取後に搬送ローラ14および搬送ローラ7を逆転させて通帳18を通帳情報読取位置まで搬送し、磁気ヘッドを移動させて読取った記帳最終頁とその最終行等の書込データを磁気ストライプに書込み、その書込後に、図13に示すように、シャッタ4を開作動させ、搬送ローラ7を逆転させて記帳済みの通帳18を通帳挿入口3に最も近接した搬送ローラ7に挟持させて停止させ、操作者への通帳18の返却確認後にシャッタ4を閉作動させる。
【0029】
この記帳済みの通帳18の返却時に、操作者が通帳18を取忘れた場合の取忘れ通帳の収納処理の作動について、図14に示すフローチャートを用い、Sで示すステップに従って説明する。
S1、制御部は、その時計機能によって、図13に示す記帳済みの通帳18を通帳挿入口3に最も近接した搬送ローラ7に挟持させて停止させたときからの経過時間を計測しながら待機しており、経過時間が所定の待ち時間である受取待ち時間を経過したときに、ステップS2へ移行する。経過時間が受取待ち時間以内の場合は前記の待機を継続する。
【0030】
S2、経過時間が受取待ち時間を経過したことを判定した制御部は、取込機構2のモータ9によって取込搬送路8の搬送ローラ7を回転させ、開いたままの通帳18を取込機構2内に取込んでシャッタ4を閉作動させると共に、印字機構10のモータ17によって切替ブレード27aを図13において時計方向に回転させ、印字搬送路15の搬送方向を収納部16の方向に切替える。
【0031】
S3、搬送方向を切替えた制御部は、取込搬送路8の搬送ローラ7を回転させて通帳18を搬送しながら、走行監視センサ55が通帳18の先端を検知するのを待って待機し、走行監視センサ55が通帳18の先端を検知したときにステップS3へ移行する。走行監視センサ55が通帳18の先端を検知しない場合は前記の待機を継続する。
S4、走行監視センサ55により通帳18の先端を検知した制御部は、搬送ローラ7を回転させて、通帳18を走行監視センサ55から所定の距離搬送し、通帳18を図15に示す取込搬送路8の幅寄せ位置、つまり寄せ検知センサ56を通帳18の先端部で覆うことが可能な位置へ搬送して停止させる。
【0032】
S5、幅寄せ位置へ通帳18を搬送した制御部は、寄せ検知センサ56が通帳18を検知したか否かを判定し、寄せ検知センサ56が通帳18を検知した場合は、通帳18が正常な搬送状態に整位されていると判定してステップS7へ移行する。
寄せ検知センサ56が通帳18を検知しない場合は、幅寄せが必要と判定してステップS6へ移行する。
【0033】
S6、通帳18の幅寄せが必要と判定した制御部は、モータ9により幅寄せ部5の幅寄せガイド53を駆動して、通帳18を基準面50の方向に押付ける。
その後に制御部は、ステップS5へ戻り、寄せ検知センサ56によって通帳18が幅寄せされたか否かを再判定し、寄せ検知センサ56が通帳18を検知した場合はステップS7へ移行する。
【0034】
寄せ検知センサ56が通帳18を検知しない場合は、ステップS6による幅寄せ動作を寄せ検知センサ56が通帳18を検知するまで繰返す。
この幅寄せ動作を行うことによって、通帳18の折れ目18aを収納部16の凹部45に確実に位置させることができ、開いた状態の通帳18を収納部16に容易に収納することができる。
【0035】
S7、通帳18が正常な搬送状態に整位されていると判定した制御部は、取込機構2のモータ9および印字機構10のモータ17によって取込搬送路8の搬送ローラ7および印字搬送路15の搬送ローラ14を回転させ、通帳18を印字搬送路15により頁めくり部11、頁マーク読取部12、印字部13を通過させて、切替ブレード27aによって収納部16の方向へ搬送し、図16に示すように、通帳18を搬入口ローラ39のフィードローラ14a、プレスローラ14bに挟持させた状態で、その先端を凹部45の底面を形成している背面板33に当接させて上方向に向きを転向させ、通帳18の折り目18aを背面板33に案内させながら搬入口ローラ39によるフィード力が無くなるまで、つまりフィードローラ14a、プレスローラ14bによる挟持が解除されるまで搬送する。
【0036】
そして、通帳18が搬入口38から媒体収納空間35に放出されると、通帳18はその復元力によって、折り目18aを背面板33に、開放端18bを正面板31に接触させながら自重により落下して底板34上に集積される。
このとき、本実施例の収納部16は、図8に示すように、縦折り通帳18の折り目18aが、拡大された収納幅T2を形成する凹部45に位置しているので、縦折り通帳18の復元力による背面板33および正面板31との摩擦力が低減されており、開いた状態で収納された縦折り通帳18を容易に底板34上へ落下させることができる。
【0037】
また、収納媒体検出センサ41により、収納部16における通帳18の存在が検出される。
以上は、縦折り通帳18の場合を例に説明したが、横折り通帳19の場合も同様である。
この場合に横折り通帳19の収納部16への収納は、横折り通帳19が搬入口38から媒体収納空間35に放出されると、図18に示すように、横折り通帳19はその復元力によって、折り目19aを突条43に、開放端19bを正面板31に接触させながら自重により落下していく。
【0038】
このとき、横折り通帳19は、図19に示すように、折り目19aが拡大された収納幅T2を形成する凹部45の底面と突条43の角とに点接触し、両方の開放端19bの角が正面板31に点接触するので、横折り通帳19の折り目19aや開放端19bが、背面板33や正面板31に全長に渡って線接触することはなく、落下時の接触面積を大幅に減少させて開いた状態で収納された横折り通帳19を容易に底板34上へ落下させることができる。
【0039】
このように、本実施例では、同一機構を用いて、縦折り通帳18および横折り通帳19を同じ収納部16に、容易に収納することができる。
また、本実施例の取忘れ通帳の収納部16は、開いた状態の通帳を立位で収納するので、通帳挿入口3から直線で配置した搬送路を鈍角に曲げるだけで収納部16に収納することができ、1枚の紙に較べて曲げ搬送が難しい通帳の搬送および収納を容易に行うことができると共に、簡素な構成で取忘れ通帳の収納部16へ通帳を搬送することができ、通帳ユニット1の小型化を図ることができる。
【0040】
更に、本実施例では、センサプリズム41cの両側の無駄空間を有効に利用して、突条43の両側に拡大された収納幅T2を有する媒体収納空間35を形成するので、通帳を立位で収納する収納部16の小型化を図ることができる。
なお、本実施例では、突条43の裏側の凹部44に、検出部材としてのセンサプリズム41cを収容するとして説明したが、検出部材としての発光部41aまたは受光部41bを凹部44に収容して、発光部41aと受光部41bとを直接対向配置するようにしてもよい。
【0041】
また、本実施例では、通帳の幅寄せの要否を寄せ検知センサ56を用いて判定するとして説明したが、搬送方向の直交方向に走行監視センサ55を所定の間隔を開けて2つ並べて配置しておき、これらの走行監視センサ55が通帳の先端を検出する時間差によって、通帳のスキューの有無を判定し、スキュー有の場合に幅寄せ部5によって通帳を基準面50に幅寄せするようにしてもよい。
【0042】
以上説明したように、本実施例では、取忘れ通帳の収納部の背面板に、縦折り通帳の折り目を避けて突条を設け、その突条の裏側の凹部にセンサプリズムを収容するようにしたことによって、センサプリズムの両側の無駄空間を利用して突条を形成することが可能になり、通帳ユニットの小型化を図ることができると共に、突条の両側に拡大された収納幅T2を有する媒体収納空間を形成することができ、縦折り通帳を収納する場合は、拡大された収納幅T2を利用して縦折り通帳の復元力による背面板および正面板との摩擦力を低減することが可能になり、横折れ通帳の場合は、その折り目を拡大された収納幅T2が形成された背面板と突条の角とに点接触させ、両方の開放端の角を正面板に点接触させて、横折り通帳の落下時の接触面積を大幅に減少させることが可能になり、開いた状態で収納される縦折り通帳および横折り通帳を容易に底板上へ落下させることができ、開いた状態の異種の通帳を同一機構で、同じ収納部に立位で収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施例の通帳ユニットの側面を示す説明図
【図2】実施例の取忘れ通帳の収納部の側面を示す説明図
【図3】図2の矢印A方向から見た収納部を示す説明図
【図4】図3のB−B断面線沿った断面を示す説明図
【図5】実施例の通帳ユニットの取込搬送路の上面を示す説明図
【図6】実施例の縦折り通帳の外観を示す説明図
【図7】実施例の横折り通帳の外観を示す説明図
【図8】実施例の収納部の寸法関係を示す説明図
【図9】実施例の通帳ユニットの通帳挿入口へ通帳のセット状態を示す説明図
【図10】実施例の通帳ユニットの通帳情報読取位置における作動を示す説明図
【図11】実施例の通帳ユニットの頁マーク読取位置における作動を示す説明図
【図12】実施例の通帳ユニットの印字位置における作動を示す説明図
【図13】実施例の通帳ユニットの記帳済み通帳の返却状態を示す説明図
【図14】実施例の取忘れ通帳の収納処理を示すフローチャート
【図15】実施例の取忘れ通帳の幅寄せ動作を示す説明図
【図16】実施例の縦折り通帳の収納動作を示す説明図
【図17】実施例の縦折り通帳の収納状態を示す説明図
【図18】実施例の横折り通帳の収納動作の側面を示す説明図
【図19】実施例の横折り通帳の収納動作の上面を示す説明図
【符号の説明】
【0044】
1 通帳ユニット
2 取込機構
3 通帳挿入口
4 シャッタ
5 幅寄せ部
6 読取書込部
7、14、25 搬送ローラ
8 取込搬送路
9、17 モータ
10 印字機構
11 頁めくり部
12 頁マーク読取部
13 印字部
13a 印字ヘッド
14a フィードローラ
14b プレスローラ
15 印字搬送路
16 収納部
18 縦折り通帳(通帳)
18a、19a 折り目
18b、19b 開放端
19 横折り通帳
20 払込ユニット
21 払込書挿入口
22 スキャナ部
23、24 払込書収納庫
26 払込書搬送路
27a〜27d 切替ブレード
31 正面板
32 側板
33 背面板
34 底板
35 媒体収納空間
37a、37b ガイド板
38 搬入口
39 搬入口ローラ
41 収納媒体検出センサ
41a 発光部
41b 受光部
41c センサプリズム
43 突条
44、45 凹部
50 基準面
52 側方ガイド
53 幅寄せガイド
55 走行監視センサ
56 寄せ検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つ折りの媒体を開いた状態で、かつ立位で収納する収納部を備えた媒体取扱装置であって、
前記収納部に、
前記媒体を搬入する搬入口が設けられた正面板と、
前記正面板に媒体収納空間を挟んで対向配置され、前記媒体の搬送方向に沿って設けられたコの字状断面形状の突条を有する背面板と、
前記正面板と前記背面板とのそれぞれの前記媒体収納空間の反対側に対向配置された検出部材を有し、前記媒体収納空間に収納された媒体の存在を検出する収納媒体検出センサと、を設け、
前記突条を、前記媒体収納空間に収納される、搬送方向に沿った折り目を有する媒体の前記折り目を避けた位置に設けると共に、前記背面板側に配置される前記検出部材を、前記突条の前記媒体収納空間の反対側に形成された凹部に収容したことを特徴とする媒体取扱装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記収納部の搬入口に前記媒体を搬送する搬送路を備え、
前記搬送路の、前記媒体の搬送方向に沿った一の側方に基準面を設けると共に、前記基準面側の側縁部に、前記搬送路を搬送される媒体の側端部の通過を検出する寄せ検知センサを設け、
前記寄せ検知センサが、前記媒体の通過を検出しないときに、当該媒体を前記基準面に押付けて搬送状態を整位することを特徴とする媒体取扱装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2010−122983(P2010−122983A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297091(P2008−297091)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】