説明

媒体発行機

【課題】貨幣の補充にともなう本体の停止により、利用者に対するサービスを低下させることがない媒体発行機を提供する。
【解決手段】券売機1は、硬貨スタッカ、および紙幣スタッカに収納しているいずれかの金種の貨幣が、予め定めた枚数以下になると、その旨を貨幣補充要求として出力する(s1〜s4)。券売機1は、硬貨補充トレー20、または紙幣補充トレー21がセットされると、利用者検知処理を開始する(s5)。券売機1は、エリアA内に利用者がいないと判定し、且つ、s9でエリアB内に本体に接近してくる、利用者の可能性がある人もいないと判定すると、本体を取扱停止状態にし(s10)、補充処理を実行する(s11)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、貨幣の投入を受け付け、乗車券(キップ、定期券等)等の媒体を発行する媒体発行機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キップ、定期券等の乗車券を発行する券売機は、利用者が投入した貨幣(紙幣や硬貨)の価値以下の乗車券の選択を受け付ける。券売機は、選択された価値の乗車券を発行するとともに、投入された貨幣の価値と、発行した乗車券の価値との差額を、釣り銭として放出する。券売機は、金種別に分けて貨幣を収納する貨幣収納部を有し、投入された貨幣や、釣り銭として放出する貨幣をこの貨幣収納部に収納している。
【0003】
券売機は、乗車券の発行時に、利用者に対して釣り銭を放出することから、いずれかの金種の貨幣が放出過多によって、釣り銭切れの状態になるのを防止する必要がある。券売機は、釣り銭切れの状態になると、その金種の貨幣が補充されるまで、乗車券の発行を停止する。すなわち、釣り銭切れの状態になると、券売機の稼働率を低下させてしまう。
【0004】
このため、従来は、駅係員が釣り銭切れが発生する前に、貨幣の補充を行っていた。具体的には、いずれかの金種の貨幣の収納量が一定量以下になると、駅係員が乗車券を購入する利用者がいないタイミングを見計らって、乗車券の発行を停止し、貨幣の補充を行っていた。したがって、駅係員の作業負荷を低減する面から、貨幣の補充を自動的に行う構成が望まれている。
【0005】
また、特許文献1は、金融機関の店舗に設置される現金自動預け払い機(所謂、ATM)ではあるが、一定時間連続して利用者がいなければ、出金取引で放出する紙幣をスタッカに補充する補充処理を自動的に開始する構成を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−230514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の構成は、赤外センサにより、利用者を検知する構成であったため、接近してきている利用者を検知することができずに、補充処理を開始することがある。この場合、利用者が装置本体の利用位置に達したときには、装置本体が取扱停止状態に移行している。したがって、利用者は、取扱状態に復帰するまで待つか、他の装置に移動することになる。すなわち、利用者に対するサービスを低下させるという問題があった。
【0008】
この発明の目的は、貨幣の補充にともなう本体の停止により、利用者に対するサービスを低下させることがない媒体発行機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の媒体発行機は、上述の課題を解決し、その目的を達するために、以下のように構成している。
【0010】
貨幣収納部は、本体に投入された貨幣(硬貨や紙幣)を金種別に分けて収納する。媒体発行部は、本体に投入された貨幣の価値以下の媒体を発行する。貨幣放出部は、本体に投入された貨幣の価値と、媒体発行部が発行した媒体の価値と、の差額に相当する価値の貨幣、すなわち釣り銭、を貨幣収納部から繰り出して放出する。したがって、いずれかの金種の貨幣が放出過多(投入枚数よりも、放出枚数が極端に多くなること。)によって、釣り銭切れの状態になることがある。
【0011】
利用者検知部は、本体正面側を撮像している撮像画像を処理し、本体付近にいる利用者、および本体に接近してきている利用者を検知する。利用者の接近は、例えば、時間的に連続する複数フレームの撮像画像を処理し、撮像されている人と、本体と、の距離変化や、移動ベクトル等を検知し、この距離変化や移動ベクトルに基づいて、撮像されている人が接近してくる利用者であるかどうかを検知すればよい。また、その利用者の顔の向きや、視線の方向等も加えて、撮像されている人が接近してくる利用者であるかどうかを検知するようにしてもよい。
【0012】
貨幣補充部は、利用者検知部が本体付近にいる利用者、および本体に接近してきている利用者を検知していないときに、貨幣収納部に対して、補充貨幣収納部に収納されている貨幣を補充する。言い換えれば、貨幣補充部は、利用者検知部が本体付近にいる利用者、または本体に接近してきている利用者を検知しているとき、貨幣収納部に対して、補充貨幣収納部に収納されている貨幣の補充を行わない。補充貨幣収納部は、貨幣を収納できる構造であればよく、トレー形状であってもよいし、カセット形状であってもよいし、その他の形状であってもよい。
【0013】
したがって、利用者に対するサービスを低下させることなく、貨幣の補充にともなう本体の停止が行える。
【0014】
また、同じコーナに複数台の媒体発行機が設置されている環境では、全ての媒体発行機が貨幣の補充のために、本体を停止させた状態になるのを防止するのが好ましい。例えば、本体周辺に位置する他の媒体発行機(すなわち同じコーナに設置されている1、または複数の媒体発行機)が貨幣補充部による貨幣の補充動作を実行しているかどうかを検知する状態検知部を設けるとともに、この状態検知部が検知している、貨幣の補充動作を実行していない他の媒体発行機の台数が所定台数以下であるときに、貨幣補充部による前記貨幣収納部に対する貨幣の補充を制限する補充動作制限部を設けてもよい。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、本体付近にいる利用者、および本体に接近してきている利用者がいないときに、貨幣の補充を行うことができる。また、貨幣の補充にともなう本体の停止が、利用者に対するサービスを低下させるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】券売機の主要部の構成を示すブロック図である。
【図2】券売機の外観を示す斜視図である。
【図3】券売機を示す概略図である。
【図4】キップ売り場における券売機の設置例を示す概略図である。
【図5】利用者の検知方法を説明する図である。
【図6】券売機の動作を示すフローチャートである。
【図7】別の券売機の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態である券売機について説明する。
【0018】
図1は、この券売機の主要部の構成を示すブロック図である。図2は、この券売機の外観を示す斜視図である。券売機1は、制御部2と、表示部3と、操作部4と、乗車券発行部5と、硬貨処理部6と、紙幣処理部7と、カメラ8と、画像処理部9と、通信部10と、を備えている。券売機1は、駅の乗車券売り場に設置され、利用者に対してキップや定期券等の乗車券を販売する。制御部2は、券売機1本体各部の動作を制御する。表示部3は、本体正面に設けた表示器3aにおける画面表示を制御する。表示部3は、利用者に対して、操作案内画面等を表示器3aに表示する。
【0019】
操作部4は、表示器3aの画面上に貼付したタッチパネル4aや、テンキーを有するキー操作部4b等の入力デバイスを有し、この入力デバイスにおける利用者の入力操作を検知する。
【0020】
乗車券発行部5は、利用者が選択した区間のキップを本体正面に設けた発券口5aに放出する。また、乗車券発行部5は、入金(所謂、チャージ)するプリペイドカード(以下、単にカードと言う。)を受け付け、そのカードに対してカードデータの読み取りや、カードデータの更新(書き込み)を行うカード処理部を有している。本体正面には、カードの挿入や放出を行うカード挿入/放出口5bが設けられている。
【0021】
硬貨処理部6は、本体正面に設けた硬貨投入口6aにおいて、利用者が投入した硬貨(乗車券の発券にかかる取引金額の精算に用いる硬貨)を受け付ける。また、本体正面に設けた硬貨放出口から利用者に対する硬貨(釣り銭硬貨)の放出を行う。硬貨放出口から放出された硬貨は、硬貨受皿6bに溜まる。硬貨処理部6は、本体正面に設けた硬貨投入口6aにおいて投入された硬貨や、硬貨放出口から放出する硬貨について、金種や真偽や識別する硬貨識別部(不図示)を有している。また、本体内部には、硬貨を金種別に分けて収納する硬貨スタッカ(不図示)が設けられている。硬貨処理部6は、投入された硬貨を該当する金種の硬貨スタッカに収納する。また、硬貨処理部6は、この硬貨スタッカから、利用者に対して放出する釣り銭硬貨を繰り出す。
【0022】
紙幣処理部7は、乗車券の発券にかかる取引金額の精算に用いる紙幣を受け付けるとともに、利用者に対して釣り銭紙幣の放出を行う。本体正面には、紙幣の挿入や放出を行う紙幣挿入/放出口7aが設けられている。紙幣処理部7は、本体正面に設けた紙幣挿入/放出口7aにおいて利用者が挿入した紙幣や、利用者に対して放出する釣り銭紙幣について、金種や真偽や識別する紙幣識別部(不図示)を有している。また、本体内部には、紙幣を金種別に分けて収納する紙幣スタッカ(不図示)が設けられている。紙幣処理部7は、投入された紙幣を紙幣搬送路に沿って搬送し、該当する金種の紙幣スタッカに収納する。また、紙幣処理部7は、この紙幣スタッカから、利用者に対して放出する釣り銭紙幣を繰り出し、紙幣搬送路に沿って搬送し、紙幣挿入/放出口7aから放出する。
【0023】
カメラ8は、本体正面側を撮像する向きに取り付けている。カメラ8は、対象物を複数の異なる方向(ここでは、2方向)から同時に撮像する所謂ステレオカメラである。画像処理部9は、カメラ8で撮像した撮像画像を処理し、本体正面で待っている利用者や、本体に接近してくる利用者を検知する。また、画像処理部9は、カメラ8で撮像した視差のある2つの撮像画像により、撮像されている人までの距離を検出する。画像処理部9が実行する処理の詳細については後述する。通信部10は、上位装置(不図示)や、同じコーナに設置されている券売機1との間における通信を制御する。
【0024】
また、この券売機1は、図3に示すように、背面に硬貨スタッカや、紙幣スタッカに補充する貨幣(硬貨や紙幣)を収納した硬貨補充トレー20や、紙幣補充トレー21を装着することができる。この硬貨補充トレー20や、紙幣補充トレー21が、この発明で言う補充貨幣収納部に相当する。上述した硬貨処理部6は、硬貨補充トレー20に収納されている硬貨を繰り出し、硬貨識別部で識別して、該当する金種の硬貨スタッカに収納する。同様に、紙幣処理部7は、紙幣補充トレー21に収納されている紙幣を繰り出し、紙幣識別部で識別し、該当する金種の紙幣スタッカに収納する。駅係員は、券売機1に対して貨幣の補充が必要になったときに、補充する金種の貨幣を収納した硬貨補充トレー20、または紙幣補充トレー21を当該券売機1にセットする。
【0025】
なお、硬貨補充トレー20や、紙幣補充トレー21は、トレー形状ではなく、カセット形状のものであってもよい。
【0026】
また、本体背面には、紙幣スタッカに収納されている紙幣を放出する放出口(不図示)が設けられている。この放出口は、紙幣を挟んで保持する2つのローラを有している。紙幣処理部7は、いずれかの紙幣スタッカにおいて、紙幣の収納量が一定量を超えたときに、その紙幣スタッカから適当な量の紙幣を放出口に搬送し、2つのローラで挟んで保持する。駅係員が、この2つのローラが挟持している紙幣を抜き取る。
【0027】
次に、画像処理部9の処理について詳細に説明する。一般的な駅では、図4に示すように、複数の券売機1をキップ売り場に並べて設置している。また、キップ売り場は、比較的改札口に近い場所に設けられている。このため、カメラ8が撮像した本体正面側の撮像画像には、券売機1でキップ等の乗車券を購入するために、本体正面付近にいる利用者や、本体に接近してくる利用者だけでなく、駅構内に入場する人、駅構内から出場してきた人、待ち合わせ等で立ち止まっている人も撮像される。画像処理部9は、時間的に連続する複数フレームの撮像画像を処理し、撮像されている人が利用者であるか、利用者でないか(通行人等であるか)を判定する。
【0028】
具体的には、画像処理部9は、図5に示すように、券売機1本体正面から1m程度の範囲のエリアA内にいる人、および券売機1本体正面から数m(4〜5m)程度範囲のエリアBにいる人について、その人が利用者であるか、利用者でないかを判定する。エリアBの外側にいる人は、その時点においては、画像処理部9で利用者であるとも、利用者でないとも判定されない、判定対象外人物である。
【0029】
上述したように、ここではカメラ8がステレオカメラであるので、画像処理部9は、カメラ8が略同じタイミングで撮像した視差のある2つの撮像画像を処理することによって、券売機1と、撮像されている人との距離を検出できる。したがって、撮像されている人毎に、その人がエリアA内,エリアB内、またはエリアBの外側のいずれに位置しているのか検出できる。
【0030】
なお、ここではカメラ8としてステレオカメラを用いて、撮像されている人までの距離が検出できる構成としているが、例えば撮像画像における顔の大きさを用いて、その人までの距離を推定する構成としてもよい。この場合、カメラ8として単眼のカメラを用いることができ、コストダウンや、画像処理部9の処理負荷が低減できる。
【0031】
エリアA内にいる人については、画像処理部9は、撮像画像を処理し、顔の向き、または視線の向きを検知する。例えば、複数フレームの撮像画像について、顔の向き、または視線の向きを検知し、この人の顔の向き、または視線の向きを多数決によって決定する。また、時間的に連続する複数フレームの撮像画像について、顔の向き、または視線の向きを検知し、予め定めた閾値以上の時間、向いていた方向を、この人の顔の向き、または視線の向きとしてもよい。画像処理部9は、顔、または視線が券売機1本体正面に向いている人を、利用者と判定する。一方、画像処理部9は、顔、または視線が券売機1本体正面に向いていない人を、通行人(利用者でない)と判定する。
【0032】
また、画像処理部9は、顔、または視線が予め定めた一定時間以上、券売機1本体正面に向いていた人を、利用者と判定する構成としてもよい。この場合には、画像処理部9は、顔、または視線が券売機1本体正面に向いていた時間が一定時間未満であった人を、通行人(利用者でない)と判定する。上述の閾値時間と、一定時間と、は同じ時間であってもよいし、異なる時間であってもよい。
【0033】
なお、顔の向きは、撮像画像における目、鼻、口等の顔部品の位置関係から検出できる。また、視線の向きは、撮像画像における白目と黒目との位置関係から検出できる。また、画像処理部9は、券売機1本体に対する、その人の位置も加えて、顔、または視線が券売機1本体正面に向いているかどうかを判定する。
【0034】
次に、エリアB内にいる人については、複数フレームの撮像画像を用いて、その人と、券売機1本体との距離変化を検出し、その人が券売機1本体に近づいてきているかどうかを判定する。また、エリアB内にいる人について、移動ベクトルを検出し、この移動ベクトルの向きによって、この人が券売機1本体に近づいてきているかどうかを判定してもよいし、これらを組み合わせて判定してもよい。画像処理部9は、券売機1本体に接近してくる人を利用者の可能性有と判定し、券売機1本体に接近してこない人を立ち止まっている人、または通行人と判定する。利用者の可能性有と判定した人については、この人が最終的にエリアA内に進入したときに、利用者であるのか、利用者でないのかを判定する。
【0035】
また、顔の向きや視線の向きも加えて、上述の利用者の可能性がある人かどうかにかかる判定を行うようにしてもよい。
【0036】
次に、この券売機1の動作について説明する。図6は、券売機の動作を示すフローチャートである。券売機1は、券売要求があれば、券売処理を行う(s1、s2)。券売要求は、利用者による硬貨や紙幣の投入、またはカードの挿入により検知する。s2にかかる券売処理は、公知の券売機と同様に、キップの発行や、挿入されたカードに対するチャージ等にかかる処理である。ここでは、詳細な説明を省略する。
【0037】
また、券売機1は、硬貨スタッカ、および紙幣スタッカに収納しているいずれかの金種の貨幣が、予め定めた枚数以下になったかどうか(貨幣の補充の要否)を監視している(s3)。券売機1は、s3で硬貨スタッカ、および紙幣スタッカに収納しているいずれかの金種の貨幣が、予め定めた枚数以下になったことを検知すると、その旨を貨幣補充要求として出力する(s4)。このs4にかかる貨幣補充要求は、駅係員に通知できればよい。言い換えれば、利用者等が分かるように通知する必要はない。このため、この貨幣補充要求については、本体背面に設けた補充ランプの点灯等で通知する構成であってもよいし、表示器3aに駅係員が分かる何らかの表示を行ってもよい。
【0038】
駅係員は、券売機1が貨幣補充要求を出力すると、その券売機1に対して、補充する金種の貨幣を収納した硬貨補充トレー20、または紙幣補充トレー21をセットする。
【0039】
券売機1は、硬貨補充トレー20、または紙幣補充トレー21がセットされると、利用者検知処理を開始する(s5)。s5にかかる利用者検知処理は、画像処理部9が上述した処理で、エリアA内にいる利用者の有無を検知するとともに、エリアB内にいる利用者の可能性有りの人を検知する処理である。券売機1は、エリアA内に利用者がいると判定すると(s6)、その利用者による券売要求の有無を判定する(s7)。
【0040】
券売機1は、券売要求があれば、券売処理を実行し(s8)、s6に戻る。一方、券売要求がなければ、s8にかかる券売処理を行うことなく、s6に戻る。これにより、エリアA内にいる人を、誤って利用者であると判定しても、その人をいつまでも利用者であると判定しつづけることがない。
【0041】
また、券売機1は、s5でエリアA内に利用者がいないと判定すると、エリアB内に本体に接近してくる、利用者の可能性が有る人の有無を判定する(s9)。券売機1は、s9でエリアB内に本体に接近してくる人を、利用者の可能性がある人と判定する。券売機は、利用者の可能性がある人がいると判定すると、s6に戻り、上述した処理を繰り返す。この人は、エリアA内に入った後に、最終的に利用者であるかどうか判定される。また、この人がエリアA内に入ることなく、エリアB内から出た場合や、エリアB内で立ち止まった場合等には、速やかに、この人を利用者の可能性がある人ではないと判定できる。
【0042】
券売機1は、s9でエリアB内に本体に接近してくる、利用者の可能性がある人もいないと判定すると、本体を取扱停止状態に移行し(s10)、補充処理を実行する(s11)。s11にかかる補充処理は、セットされている硬貨補充トレー20、または紙幣補充トレー21に収納されている貨幣を繰り出し、識別部で金種を識別し、該当する金種の硬貨スタッカ、または紙幣スタッカに収納する処理である。
【0043】
券売機1は、s11にかかる補充処理が完了すると、本体を取扱状態に復帰させる(s12)。また、券売機1は、s5で開始した利用者検知処理を終了し(s13)、s1に戻る。
【0044】
このように、この券売機1は、利用者や、接近してくる人(利用者の可能性がある人)がいないときに、貨幣の補充を行う。したがって、貨幣の補充にともなう本体の停止によって、利用者に対するサービスを低下させるのを防止できる。
【0045】
また、利用者検知処理については常時実行する構成としてもよいが、ここでは、貨幣の補充が必要な状態である期間だけ実行する構成としたので、本体の処理負荷が低減できる。
【0046】
また、図7に示すように、券売機1は、自機以外に、取扱状態の券売機1が所定台数以上(例えば、1台以上や2台以上)であるかどうかを判定するステップ(s20)を、s9とs10との間に挿入し、所定台数以上なければ、s6に戻る構成としてもよい。このようにすれば、同じキップ売り場に設置されている複数台の券売機1が、同時に補充処理を実行し、取扱中の券売機1の台数不足により、利用者の待ち行列が長くなるのを抑えられ、利用者の対するサービスの低下を一層抑えることができる。
【符号の説明】
【0047】
1…券売機
2…制御部
3…表示部
3a…表示器
4…操作部
4a…タッチパネル
4b…キー操作部
5…乗車券発行部
5a…発券口
5b…放出口
6…硬貨処理部
6a…硬貨投入口
6b…硬貨受皿
7…紙幣処理部
7a…放出口
8…カメラ
9…画像処理部
10…通信部
20…硬貨補充トレー
21…紙幣補充トレー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に投入された貨幣を金種別に分けて収納する貨幣収納部と、
本体に投入された貨幣の価値以下の媒体を発行する媒体発行部と、
本体に投入された貨幣の価値と、前記媒体発行部が発行した媒体の価値と、の差額に相当する価値の貨幣を前記貨幣収納部から繰り出して放出する貨幣放出部と、を備えた媒体発行機において、
本体正面側を撮像している撮像画像を処理し、本体付近にいる利用者、および本体に接近してきている利用者を検知する利用者検知部と、
前記利用者検知部が本体付近にいる利用者、および本体に接近してきている利用者をともに検知していないときに、補充貨幣収納部に収納されている貨幣を前記貨幣収納部に補充する貨幣補充部と、を備えた媒体発行機。
【請求項2】
前記利用者検知部は、時間的に連続する複数フレームの撮像画像を処理し、本体に接近してきている利用者を検知する、請求項1に記載の媒体発行機。
【請求項3】
前記利用者検知部は、時間的に連続する複数フレームの撮像画像を処理し、撮像されている人と、本体と、の距離変化を検知し、この距離変化に基づいて、本体に接近してきている利用者を検知する、請求項2に記載の媒体発行機。
【請求項4】
前記利用者検知部は、本体正面側を撮像している撮像画像を処理し、この撮像画像に撮像されている人の顔の向きを検出し、ここで検出した顔の向きを用いて、この人が本体付近にいる利用者であるかどうかを判定する、請求項1〜3のいずれかに記載の媒体発行機。
【請求項5】
前記利用者検知部は、本体正面側を撮像している撮像画像を処理し、この撮像画像に撮像されている人の視線の向きを検出し、ここで検出した視線の向きを用いて、この人が本体付近にいる利用者であるかどうかを判定する、請求項1〜4のいずれかに記載の媒体発行機。
【請求項6】
本体周辺に位置する、他の媒体発行機が前記貨幣補充部による貨幣の補充動作を実行しているかどうかを検知する状態検知部と、
前記状態検知部が検知している、貨幣の補充動作を実行していない他の媒体発行機の台数が所定台数未満であるときに、前記貨幣補充部に対して、前記補充貨幣収納部に収納されている貨幣を前記貨幣収納部に補充する処理を制限する補充動作制限部と、を備えた請求項1〜5のいずれかに記載の媒体発行機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−118835(P2011−118835A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277857(P2009−277857)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】