説明

学務統合支援システム

【課題】 教育機関において多様化した学習制度と拡大化した学習範囲に対応すべく、効率的な学務運営を図ると同時に複雑化した履修規則のガイドラインを視覚的に明示して効果的な業務遂行を実現する。
【解決手段】 履修規則を格納した要項DB、学籍情報を格納した受講生DB、講義ごとの科目や開講日時などを格納した履修DB、このほか学務運営に必要な各種DBを中央処理装置に配置し、これらに学務業務に携わる関係者各位が特定の規則に従いネットワーク経由でアクセスすることで、リアルタイムに的確なサービスの提供を受ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は大学など教育機関の学務業務に於ける様々な機能条件を支援するシステムとプログラム、及びRFID技術による受講生の出席管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大学などの教育機関に於ける講義計画はほぼ毎年の様に変化しており、近年では教育機関の役割そのものが少子化などの社会情勢の激変の波に推され改革の途についた。これまで単項目であった科目は多種多様化し、また留学や編入、職業訓練の実施などに自由選択制度を採用する教育機関は人気を呈し巨大化し、一極集中的な様相を見せる一方、学務業務は複雑化の一途を辿り、運営管理上必要な情報が多数混在し、もはや個別化された学務業務、例えば、成績管理、出欠管理、履修管理、資格管理、申請管理、連絡管理、学籍管理、経理管理、受験管理、卒業管理などでは対応できないものとなりつつある。これら個別業務管理の例として、成績管理に特開2000−187686、出欠管理に特開平11−203270、特開2003−308396、履修管理に特開2003−345906、などに記載の方法がある。しかし、これらに記載の方法は多様化された学務業務に於ける連続性諸条件に対する配慮がなく様々な弊害を生ずる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明では統合環境下で学務業務全体を通じてしかなしえない連続性諸条件を中央処理装置に各種DBとして配置し、関連した情報同士を経路として認識させ利用者の要求により経路を構成することで、的確なリアルタイム情報を提供する。例えば、受講生個々の履修希望科目の選択では、その選択可能範囲は履修済みの科目の内容や成績、外部資格認定試験の合格状況などにより大きく変化する。これによって、場合によっては他に希望する履修科目を変更しなければならないパターンが多々発生する。また、履修希望科目を選択した後の出席認定条件にも選択した科目同士で個別に応変する制約があり、ただ単に出欠の確認だけでは終わらない学務的諸事情がある。付言すれば、出席記録は後に成績認定の判断基準として応用され、研修参加などによりこれも又応変する題材となる。さらに学務管理者にとって履修教科選択期間内に於ける履修希望状況は時々刻々と変化する中で、顧客サービスの観点から最大限の希望の応対に努力することとなり、希望者の定員越えなどにリアルタイムに応答することが課題となる。このように統合化された各種情報を利用者相互間で共有資産として活用可能とし効果的な運営を実現することが必要不可欠である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、学務業務を支援する中央処理装置を有する学務統合支援システムであって、当該中央処理装置は利用者端末装置及び出席確認用のRFカードリーダがネットワークを経由して接続され、学務業務に関係する情報を利用者端末装置を通じて相互共有する手段を有することを特徴としたものである。このとき利用者端末装置で共有する情報は設定と参照を繰り返し常に現状情報が更新され、その内容次第で更なる更新がなされることを合わせ持つ。また、出欠情報に関して教員などによる出欠確認業務の軽減と人為的誤りを防止すべく、受講生各々の持参するIDカードによりRFカードリーダにより読み込まれた情報をネットワーク経由で伝達し、教室情報、履修情報、学籍情報を分析して自動的に記録する機能を有する。さらに、受講者個別の請求及び支払い情報が履修情報、申請情報あるいは受験情報を基に自動生成され、経理上の料金過不足情報として集約可能な手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
以上のように本発明によれば、密接に関連した情報同士を組み合わせて考慮することにより連続性諸条件をクリアした的確な情報がリアルタイムに提供されると同時に、矛盾又は誤り条件をその都度発見し排除することが可能である。学務業務を総合的に支援することでこのような課題を克服し、また、連続性諸情報の一環である出欠情報も、RFカードリーダを採用することによりこれまで教員によってまちまちであった出席確認が一元化され教員及び受講生相互の業務効率化に大きく貢献している。同時に、RFカードリーダによる出席確認は教員の目前で次々に実施されるためわざわざ特別な不正防止手段を設けなくとも、IDカードの写真と持参者を教員がその場で確認できるので不正防止にも役立つ結果となった。今後さらに複雑化するであろう学務業務に、連続性諸情報の有効活用は不可欠であり統合環境下に於ける業務運営が結果的に効率的な学務業務の支援につながる。
【0006】
さらにネットワークアクセス方式を取り入れているため利用者はインターネットなどを介して学外からも業務が遂行できるようになった。このことは同時に職場のボーダレス化を意味しており、働く環境にも影響を及ぼす画期的な解決手段を提供することができる。
【0007】
言及すれば中央処理装置により各種DBを管理することで、必要な情報だけをスポット的に利用することとなり、ITシステムに於ける個人情報の漏洩管理にも一石を投じる結果となった。つまり、パーソナルコンピュータは技術の進歩と共に装置の小型化と高性能化はますます進み、小型で高性能なノートパソコンなどに貴重な個人情報がほとんど無尽蔵に記録可能な状況にある中、このノートパソコンが盗難に遭う危険性がる。セキュリティーの観点から、貴重な個人情報などがあちらこちらのコンピュータに存在することは望ましくない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は本発明の学務統合支援システムの構成図である。利用者端末装置及び出席確認用のRFカードリーダとがネットワークを介して中央処理装置に接続されている。中央処理装置は学務業務に関係する情報を記録するDB部と、それらDBを解析するプログラム部で構成されている。
【0009】
図2がこの内のDB部のデータ関連図である。学務業務に関係する各種情報がそれぞれ連動するように結びついている様子を示しており、この結びつきを経路と呼ぶ。また、それぞれの情報は複数の異なるブロック情報から構成されておりこれをレコードと呼ぶ。
【0010】
図3は、中央処理装置のプログラム部の動作を説明するプログラム構成図である。利用者は入力インターフェイス部を介して要求を発し、その要求はコマンド解析部で分類されて次の処理に要求を引き渡す。分類された利用者の要求に従い経路解析部にて前述図2に示す経路のもつ意味を解析することで、個別に単独で存在するレコードを連結し、連結情報として新たな情報を生成する。これを出力インターフェイス部を介し利用者に還元することが可能となる。
【0011】
また、プログラムには出欠インターフェイス部が用意されており、図4で示すRFカードリーダで読み込まれた受講生のIDがSS無線電波で中央処理装置に接続されたネットワークに伝達されこの出欠インターフェイス部を介して自動的に前記経路を解析しレコードが記録される。RFカードリーダ装置は通常1教室に1つ、教壇上に設置されることを想定している。教員により読み取り可能状態に設定されたRFカードリーダ上に受講生が個々のIDカードをかざすことで出欠の記録とされる。
【0012】
図5は、本発明で利用可能なサービス機能の一覧である。大別して事務員の部、受講生の部、教員の部、生協の部がある。事務員の部には、キャンパス設定、学部学科設定、年次期間設定、欠席理由設定、休講理由設定、教科設定、免許教科設定、時限設定、曜日設定、シラバス設定、カリキュラム設定、高校区分設定、高校コード設定、入試制度設定、選択科目設定、専攻学科設定、願書受付管理、受験料管理、受験者管理、入学金管理、新入生管理、受講料管理、受講生管理、経理管理、欠席管理、休講管理、連絡管理、寄付金管理、卒業生管理の機能がある。受講生の部には教科選択、修得情報確認、教科書注文、講義確認、質問管理、登録情報変更の機能がある。教員の部には出席管理、欠席管理、質問対応、成績管理、休講申請、連絡申請の機能がある。生協の部には教科書受注管理の機能がある。
【0013】
以下、前記各機能の標準動作を時系列に説明する。まず初期導入設定として学務を担当する事務局がキャンパス、年次期間、欠席理由、休講理由、開講教科、免許教科、時限、曜日など教育機関の諸事情に合わせた利用環境を登録する。
【0014】
次に、新年次に採用される新年次履修要項(シラバス)に従い各学部学科の必須教科、選択教科、自由選択教科、年次取得単位、修得順番、修得組合などの条件を設定し、更に教室や時間割などのカリキュラムを受講者に対して開放する。
【0015】
ここで受講者は所属する学部学科に於いてすでに修得済みの教科や資格などを検証して履修可能なカリキュラムだけを、年次時間割表として曜日、時限、教室ごとに区切られた区画表形式で確認することができる。ここで提供される年次時間割表から受講者の都合により履修したい教科を選択する。この時シラバスの年次取得条件や修得順番、修得組合など各条件を照合し、選択された教科が履修対象として適切かどうかを案内する。
【0016】
こうして組み立てられる履修予定は、同時に履修予定表として取得見込の単位数と必須枠、選択枠、自由枠ごとに修得済み単位数を考慮した必要最低単位数とが比較参照できるので、計画を立てる上で履修漏れなどのチェックを行う。
【0017】
一方、受講者個々の履修予定はその場で事務局側に伝達されて教室ごとの定員越え、定員割れの状況を区画表形式で確認する。その内容次第では、予定していた開講教室を変更する作業を区画表上で操作する。これにより受講者は予定が変更になったことを認識しこれに従うか否かを前記履修予定に反映する。
【0018】
以上で事務局、受講生による履修予定が確定した。次にこの履修予定に準じて参加する講義において教員が実施する業務を説明する。受講生は希望講義に出席する場合、教壇に設置されたRFカードリーダ(出席確認装置)にRFカードをかざして当日の出席情報を記録する。記録された情報は即座に教員操作による出席画面上で受講生のプロフィールと共に詳細が表示される。
【0019】
ここで作成された出席情報は教員により常に変更設定が可能な状態で、例えばカード忘れの場合や事務局から提出される公認欠席申請により出席情報を再設定する。この出席情報は後に成績評価で集計されることとなる。
【0020】
教員は開講教科、受講生ごとにレポートの提出や質問、成績評価に対応するために個別の詳細を確認する。この中で受講生がオンライン提出したレポートを確認し、質問に応対し、成績評価を設定する。
【0021】
順番が前後するが、教員の業務として前述の公認欠席と質疑応答に関する管理業務があるが、これらはいづれも担当教員に対する要求として一覧表で管理されていてそれぞれの要求から前述の出席詳細、成績詳細に連結されている。
【0022】
次に受講生の資格取得などに対する単位認定につてであるが、これらは証明書を事務局に提出することで資格認定評価を受講生の成績詳細に設定する。同時にこの内容は担当教員の成績詳細表に表示され適切な成績評価を事務局が教員に促す。また事務局は遅刻証明書などを受理することで、同様に公認欠席扱いとして教員に伝達する。一方教員側では詳細な成績情報を基に卒業と進級を検討する。
【0023】
このように事務局、教員、受講生の情報の三角関係を各項目ごとに取り扱うが、この他に生協との関連性を説明する。前述の受講生による履修希望設定で最終的に確定した履修予定により参加講義に必要な教科書などを生協に一括注文できる。注文の方法は履修予定により必要な教材一覧が作成されて、これに要否を設定することで行う。この内容は即座に生協の購買部などに伝達されてこれもまた注文表として一覧提示される。
【0024】
この時、支払条件や引取り方法などの詳細も設定できる。これにより支払い内容は経理情報として事務局に伝達される。また、事務局では受講料などの請求と支払い情報を管理しており未払い料金などの追跡調査が定期的に実施する。同時に受講者個別の取引内容を管理する。
【0025】
次に受験関連の業務について説明する。受験生は願書を提出するところから始まり提出を受けた事務局はその内容を登録する。すると、登録された情報により受験料の請求業務が実施できる。ここで事務局は支払い案内を作成し、支払いのあった受験生にその支払い明細を記録してゆく。支払い記録を基に受験資格者の一覧が作成され、受験資格者に対し受験番号の付与など受験票の交付処理をする。
【0026】
こうして入試を実施した後は合格者を設定することでこれら合格者に対し合格通知を発行すると共に入学金の支払いを促す。ここで支払いのあった合格者にその支払い明細を記録してゆく。支払い記録を基に入学資格者の一覧が作成され、入学資格者の情報が新入生管理により学籍情報として移行される。
【0027】
卒業生に関する追跡業務は、前述同様、卒業資格者が卒業生情報として移行され履修内容を保存すると共に卒業後の就職先や就学状況などを記録する。これにより、卒業生の動向調査などを実施する。
【0028】
以上のよう一連の操作をネットワークを経由したオンラインにてすべての業務を遂行するものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明によるシステム構成図である。
【図2】本発明による中央処理装置内のデータ関連図である。
【図3】本発明による中央処理装置内のプログラム構成図である。
【図4】本発明による出席管理用のRFカードリーダ構成図である。
【図5】本発明による提供サービス機能一覧である。
【符号の説明】
【0030】
101・・中央処理装置、102・・補助処理装置、103・・RFカードリーダ装置、104・・VPNネットワーク、105・・WWWネットワーク、106・・LANネットワーク、201・・教員、202・・事務員、203・・生協、204・・図書館、205・・受験生、206・・受講生、207・・卒業生、301・・入力インターフェイス部、302・・利用者判別部、303・・出席インターフェイス部、304・・コマンド解析部、305・・情報登録部、306・・経路解析部、307・・出力インターフェイス部、401・・RFカード、402・・RFカードリーダ装置、403・・SS無線LAN。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
学校など教育機関に於ける学務業務を支援する中央処理装置を有する学務支援システムで、当該中央処理装置は学校関係者各位の使用する利用者端末装置がネットワークを介して接続され、学務業務に関係する履修情報、出欠情報、成績情報、資格情報、学籍情報、申請情報、連絡情報、経理情報、受験情報をこれら情報相互間の関連性規則に従い利用者同士で共有することを特徴とする学務統合支援システム。
【請求項2】
前記学務業務に関係する各種情報は、利用者端末装置によりネットワーク経由で設定変更及び参照が繰り返され、常に現時点での最新情報を共有することを特徴とする学務統合支援システム。
【請求項3】
前記学務業務に関係する履修情報は、学務管理者が設定した就業過程条件に従い受講生がその内容を参照し、受講生各々の希望により選択決定された内容を個人個人の履修要望情報として、誤り及び矛盾を排除した的確な情報とし中央処理装置に反映することを特徴とする学務統合支援システム。
【請求項4】
前記学務業務に関係する出欠情報は、前記履修情報を基に担当教員により設定、変更が可能な状態とし、通常は教室(教壇)ごとに設置されたRFカードリーダにより読み込まれた受講生IDが、ネットワークを経由して中央処理装置に伝達される事で日時、キャンパス、教室、受講生IDを判別し、自動的に記録される事を特徴とする学務統合支援システム。
【請求項5】
前記学務業務に関係する成績情報は、前記出欠情報を基に担当教員又は学務管理者による設定変更が可能な状態とし進級、卒業、履修過程に於ける連続性諸条件により、受講生又は担当教員又は学務管理者が必要情報を参照可能な事を特徴とする学務統合支援システム。
【請求項6】
前記学務業務に関係する経理情報は、前記履修情報、申請情報あるいは受験情報を基に受講生各々の請求及び支払いの明細に於いて学務管理者及び生協関係者により設定と参照が可能なことを特徴とする学務統合支援システム。
【請求項7】
前記中央処理装置は学務業務に関係する情報に、利用者相互がネットワークを経由して参照と設定が可能な手段を有することを特徴とするプログラムを記録した請求項1至6いづれか1記載の学務統合支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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