説明

学習支援システムおよびプログラム

【課題】ネットワークを用いた学習システムにおいて、ユーザどうしの相対的な位置づけが分かるようにする。また、学習進捗が遅いユーザや逆に速いユーザに対して、それぞれの学習の支援を行う。
【解決手段】ユーザ端末から送信されるユーザの学習結果を受信し、所定の記憶手段に格納してユーザごとに管理する個人学習履歴管理部121と、複数のユーザからなるユーザグループに関して、このユーザグループに属す各ユーザの学習結果を集計し、学習の進捗度と各進捗度にあるユーザの人数を対応付けた学習履歴データを生成する全ユーザ進捗状況管理部123と、ユーザグループに属す所定のユーザの学習結果と学習履歴データとに基づき、ユーザグループ内での所定のユーザにおける学習の進捗度の相対的な位置を示す相対位置データを生成する相対位置判定部124と、生成された相対位置データを所定のユーザのユーザ端末へ送信する通信制御部110とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータネットワーク(以下、ネットワーク)を用いて語学や資格試験などの学習を支援する学習支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介してパーソナルコンピュータなどの情報処理装置を接続して、語学や資格試験などの学習を支援するシステムが実現されている。ネットワークを利用したこの種のシステムでは、オンラインで教材を配信したり、サーバにおいて学習の進捗状況を管理したりすることができる。
【0003】
ネットワークを用いた学習システムの従来技術としては、例えば、ユーザの学習履歴情報を履歴統合データベースに格納し、学習履歴統合サーバが、ユーザ端末からの要求に応じて履歴統合データベースから該当するユーザの学習履歴情報を読み出して学習履歴統合閲覧画面データを生成し、ユーザ端末に送信して表示させるものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載される従来技術では、ユーザが複数の学習コンテンツを利用して学習している場合に、学習履歴をまとめて閲覧できるようにしている。
【0004】
また、ネットワークを用いた学習システムの他の従来技術として、学習者の能力を診断し、学習者の希望及び学習者の能力に応じて学習計画を立て、学習計画に従って学習者が操作する端末に学習教材を送り、かつ学習の進行状況及び学習者の希望に応じて学習計画を変更するものがある(例えば、特許文献2参照)。進捗状況の管理手段として、特許文献2には、学習者であるグループメンバー共有の掲示板(グループ掲示板)を設け、このグループ掲示板に各メンバーの進捗状況を表示することが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−010235号公報
【特許文献2】特開2002−297792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したネットワークを用いた学習システムでは、ネットワークを用いない従来の集合教育と異なり、各個人が単独で学習を進めるために、他の学習者と比較して学習の進みが早いのか、遅いのか、また自身の学習の進度が学習者全体に対してどれくらいの位置にあるのかといった、進捗状況の相対的な評価が難しかった。
【0007】
特許文献1に記載された従来技術は、学習者が複数の学習コンテンツを利用している場合に、学習履歴を閲覧する際の作業を軽減するものであるが、各学習者が、学習者全体の中での自身の進捗状況の相対的な位置づけを知ることはできない。
特許文献2に記載された従来技術では、上述したように、グループ掲示板において各メンバーの進捗状況を確認することができるが、メンバー全体に対する自身の進捗状況の相対的な位置づけをリアルタイムに知ることはできない。尚、特許文献2には、学習者の学習パターンモデルを他の学習者の学習履歴に基づいて、生成できることが、記載されている(特許文献2 0084段落)。しかし、その学習履歴は、過去の学習情報を元に作成されたものであり、現時点での各メンバーの進捗状況をリアルタイムに比較するものではない。
【0008】
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、ネットワークを用いた学習システムにおいて、同じ学習システムを使用するメンバーの中での個々のユーザどうしの位置づけが分かるようにすることにある。また、これにより学習進捗が遅いユーザや逆に速いユーザに対して、それぞれの学習の支援を行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成する本発明は、次のように構成されたシステム(サーバ)として実現される。このシステムは、ユーザ端末から送信されるユーザの学習結果を受信し、所定の記憶手段に格納してユーザごとに管理する学習履歴管理部と、複数のユーザからなるユーザグループに関して、このユーザグループに属す各ユーザの学習結果を集計し、学習の進捗度と各進捗度にあるユーザの人数を対応付けた学習履歴データを生成する進捗状況管理部と、ユーザグループに属す所定のユーザの学習結果と学習履歴データとに基づき、ユーザグループ内での所定のユーザにおける学習の進捗度の相対的な位置を示す相対位置データを生成する相対位置判定部と、生成された相対位置データを所定のユーザのユーザ端末へ送信する通信制御部とを備えることを特徴とする。
【0010】
このシステムにおいて、より詳しくは、進捗状況管理部は、学習履歴管理部がユーザグループに属す所定のユーザから学習結果を受信するたびに、受信された学習結果を加えて学習履歴データを更新する。そして、相対位置判定部は、更新された学習履歴データに基づいて相対位置データを更新する。さらに、通信制御部は、更新された相対位置データを所定のユーザのユーザ端末へ送信する。また、ユーザグループに属す所定のユーザのユーザ端末からのログインを受け付けた場合に、通信制御部は、その時点でのユーザの相対位置データを、ユーザ端末へ送信する。
【0011】
さらに好ましくは、上記のシステムにおいて、通常の学習カリキュラムとは別に用意された応用問題を学習の進捗度別に用意した応用問題データベースと、相対位置データに基づき、学習の進捗度がユーザグループの上位一定範囲内のユーザに対して、このユーザの学習の進捗度に対応する応用問題を応用問題データベースから取得して、通信制御部によりこのユーザのユーザ端末へ送信させる応用問題対応部とをさらに備える構成とすることができる。
【0012】
さらに好ましくは、上記のシステムにおいて、ユーザグループに属す各ユーザの学習結果に基づき、解答が一定以上の割合で誤りである問題を集めて間違い事例を作成して所定の記憶手段に格納しておき、相対位置データに基づき、学習の進捗度がユーザグループの下位一定範囲内のユーザに対して、このユーザが未学習の問題に関する間違い事例を記憶手段から読み出し、通信制御部によりこのユーザのユーザ端末へ送信させる間違い事例対応部をさらに備える構成とすることができる。
【0013】
また本発明は、コンピュータを制御して、上述した学習支援システムの各機能を発揮させるプログラムとして実現することができる。このプログラムは、磁気ディスクや光ディスク、半導体メモリ、その他の記録媒体に格納して配布したり、ネットワークを介して配信したりすることにより、提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように構成された本発明によれば、ネットワークを用いた学習システムにおいて、同じ学習システムを使用するメンバーの中での個々のユーザの位置づけが分かる。また、これにより学習進捗が遅いユーザや逆に速いユーザに対して、個別の学習支援を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態による学習システムの全体構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態のシステムは、ユーザ端末に教材を配信し、学習者の進捗を管理するホストサーバ装置100と、ネットワークを介してホストサーバ装置100に接続して教材や進捗状況の情報等を取得し学習者の学習を支援するユーザ端末装置200とを備える。ホストサーバ装置100およびユーザ端末装置200は、ワークステーションやパーソナルコンピュータ等のコンピュータにて実現される。
【0016】
図2は、ホストサーバ装置100やユーザ端末装置200を実現するのに好適なコンピュータの構成例を示した図である。
図2に示すように、コンピュータ300は、CPU301と入力装置302と出力装置303とネットワークインターフェース304と主記憶装置305と補助記憶装置306とを備え、それら装置がバス307に接続して構成されている。
【0017】
CPU301は、プログラムを実行することにより、各装置の制御、各種の演算を行う装置である。入力装置302は、キーボードやマウスなど情報を入力する装置である。
出力装置303は、情報をディスプレイに表示する表示装置と、情報を印刷出力するプリンタなど、情報を出力する装置である。ネットワークインターフェース304は、ネットワークを介してなされるデータの入出力を制御する装置である。
主記憶装置305は、CPU301がプログラムを実行するために、データやプログラムを一時的に記憶する装置である。補助記憶装置306は、データやプログラムを記憶する装置である。補助記憶装置306に記憶されているプログラムは、主記憶装置305にロードされて、CPU301によって実行される。バス307は、主記憶装置305と、主記憶装置305以外の各装置との間でデータ転送を行う伝送路である。
【0018】
図3は、ホストサーバ装置100の機能構成を示した図である。
図3に示すように、本実施形態のホストサーバ装置100は、通信制御部110、学習情報管理部120、データ格納部130を備えて構成される。
【0019】
通信制御部110は、例えば図2に示したコンピュータ300のCPU301とネットワークインターフェース304と主記憶装置305で実現され、ユーザ端末装置200からの接続要求に対して応答を行う。そして、ユーザ端末装置200から教材の要求を受信し、ユーザ端末装置200より依頼のあった教材をユーザ端末装置200に送信する。また、ユーザ端末装置200より学習結果を受信し、学習情報管理部120で処理された学習履歴情報をユーザ端末装置200へ送信する。
【0020】
学習情報管理部120は、例えば図2に示したコンピュータ300のCPU301と主記憶装置305で実現され、ユーザ端末装置200から送信された学習結果を基に進捗管理に関するデータの作成及び更新を行う。
図3に示すように、学習情報管理部120は、個々のユーザの学習に関する情報を管理する個人学習履歴管理部121と、個々のユーザの学習進捗度を管理する個人進捗状況管理部122とを備える。また、個々のユーザの進捗度からユーザ全体の進捗度の情報を作成して管理する全ユーザ進捗状況管理部123と、ユーザ全体の中での個々のユーザの相対的な進捗状況を把握する相対位置判定部124とを備える。さらに、相対位置判定部124による判断結果に基づいて進捗度の早いユーザへの対応を行う応用問題対応部125と、進捗度の遅いユーザへの対応を行う間違い事例対応部126とを備える。
【0021】
データ格納部130は、例えば図2に示したコンピュータ300の補助記憶装置306で実現される。
データ格納部130は、各ユーザの学習計画書を保管する学習計画データベース(DB)131と、各ユーザが使用する教材を保管する教材データベース(DB)132と、各ユーザの学習結果を保管する学習結果データベース(DB)133とを備える。また、個々のユーザの進捗状況に関する情報やユーザ全体の進捗状況に関する情報を保管する学習履歴データベース(DB)134とを備える。さらにまた、通常の学習カリキュラムとは別に用意された応用問題を保管する応用問題データベース(DB)135と、後述する間違い事例を保管する間違い事例データベース(DB)136とを備える。
【0022】
学習情報管理部120の個人学習履歴管理部121は、ユーザから学習計画書を受信して学習計画データベース131に保管する。学習計画書は、例えば、教材の種類やページ数と学習日程等を記載項目とした学習計画書のフォーマットをユーザに送信し、自身の進捗目標を記入して返送してもらうことにより、取得することができる。
また、個人学習履歴管理部121は、ユーザから教材の送信依頼を受信すると、依頼された教材を教材データベース132より読み出して、この教材の送信依頼を送信したユーザに送信する。
さらに、個人学習履歴管理部121は、ユーザから学習結果が提出されると、学習結果データベース133に格納してユーザごとに管理する。この学習結果データベース133に保管されるデータは、ユーザから学習結果が提出されるごとに更新されることとなる。
【0023】
個人進捗状況管理部122は、個々のユーザの学習計画書と実際の学習結果の提出状況とに基づいて、ユーザ自身の学習計画書に対する進捗度を表した個人学習履歴データを作成し、ユーザごとに学習履歴データベース134に保管する。具体的には、個人進捗状況管理部122は、所定のユーザから学習結果が提出されると、学習計画データベース131から該当するユーザの学習計画書の情報を読み出す。そして、学習計画書に記載されている日程および学習結果の提出日と共に、これらを比較して学習計画書に対する進捗度を評価した評価値を、個人学習履歴データとしてユーザごとに管理する。この個人学習履歴データは、各ユーザから学習結果が提出されるたびに更新される。また、個人進捗状況管理部122は、個人学習履歴データを更新した場合、更新された個人学習履歴データを該当するユーザへ送信する。
【0024】
全ユーザ進捗状況管理部123は、学習結果データベース133に蓄積されている個々のユーザの学習結果の受信履歴を集計して、ユーザ全体の進捗状況を表した全ユーザ学習履歴データを作成し、学習履歴データベース134に保管する。全ユーザ学習履歴データにおいて、ユーザ全体の進捗状況は、例えば、教材のレベルや問題によって学習の進捗度を表す場合、特定の教材あるいは問題とそこまで学習が済んだユーザの人数とを対応付けた情報として表される。そして、教材や問題の種類等で特定される学習の進度ごとに学習履歴データベース134に格納される。この全ユーザ学習履歴データは、所定のユーザから最初の学習結果が提出された際に作成され、各ユーザから学習結果が提出されるたびに更新される。
【0025】
相対位置判定部124は、学習結果データベース133に蓄積されている個々のユーザの学習結果の受信履歴と全ユーザ進捗状況管理部123により作成された全ユーザ学習履歴データとに基づいて、特定のユーザに関する相対位置データを作成し、ユーザごとに学習履歴データベース134に保管する。また、作成した相対位置データを、該当する特定のユーザに送信する。相対位置データとは、ユーザ全体に対する特定のユーザの学習の進捗度の相対的な位置づけを表すデータである。また、相対位置判定部124は、特定のユーザに関する相対位置データに基づいて、その特定のユーザの学習の進捗度が全ユーザに対して早い(進んでいる)か、遅い(遅れている)かの判定を行う。
【0026】
図4は、相対位置判定部124により作成される相対位置データの例を示す図である。
図4に示す相対位置データは、横軸に学習の進度を示し、縦軸に人数を示したグラフで表現されている。図示のグラフにおいて、山形の曲線は、学習が所定の進度まで進んだユーザの人数を表している。この情報は、全ユーザ進捗状況管理部123により作成された全ユーザ学習履歴データの内容に相当する。また、図において、特定のユーザ(A)の学習の進捗度が矢印で示されている。このように、本実施形態では、各ユーザの学習結果の情報からユーザ全体の学習の進捗状況を集計し、その中での個々のユーザの相対的な位置を判断することができる。これにより、得られた相対位置データを用いて、各ユーザの学習支援に役立てることができる。
【0027】
本実施形態では、例えば、特定のユーザが、全体の進捗度に対して上位一定範囲(例えば20%)に含まれる場合は、その特定のユーザの学習の進捗度が早いと判断する。そして、後述する応用問題対応部125による対応処理を実施する。反対に、特定のユーザが、全体の進捗度に対して下位一定範囲(例えば20%)に含まれる場合は、その特定のユーザの学習の進捗度が遅いと判断する。そして、後述する間違い事例対応部126による対応処理を実施する。なお、応用問題対応部125や間違い事例対応部126による対応処理を実施する基準(すなわち、特定のユーザが全体の進捗度に対してどの程度の進捗状況にある場合に対応処理を実施するか)については、任意に設定することができる。
【0028】
実際の動作においては、例えば、特定のユーザから相対位置データの取得要求を受信した場合に、そのユーザに関する相対位置データを作成する。全ユーザ学習履歴データと各ユーザの学習結果の情報とに基づいて、予め全てのユーザの相対位置データを作成しておくことも可能であるが、個々のユーザから新しい学習結果が提出されるたびに、全ユーザ学習履歴データが更新され、各ユーザの相対位置データも変化するので、具体的な要求に応じて個別に作成することが好ましい。
【0029】
応用問題対応部125は、相対位置判定部124が所定のユーザに関して進捗度が早いと判定した場合に、そのユーザの進捗度に応じた応用問題を応用問題データベース135から読み出し、そのユーザへ送信する。学習の進捗度が早いユーザに対して適当な応用問題を提供することにより、単に学習を進めるだけでなく、そのユーザの学力に見合ったボリュームで学習の支援を行うことが可能となる。
【0030】
間違い事例対応部126は、各ユーザから提出された学習結果に基づいて間違い事例を作成し、間違い事例データベース136に保管しておく。そして、相対位置判定部124が所定のユーザに関して進捗度が遅いと判定した場合に、そのユーザが未学習の問題に関する間違い事例を間違い事例データベース136から読み出し、そのユーザへ送信する。間違い事例とは、既に提出された学習結果において、多くのユーザが間違えた問題を集めたものである。具体的には、例えば、全体の70%のユーザが学習結果を提出した問題であって、そのうちの60%のユーザが間違えた問題を間違い事例として抽出する。なお、これらの割合は任意に設定できることは言うまでもない。
【0031】
次に、ユーザ端末装置200について説明する。
図5は、ユーザ端末装置200の機能構成を示した図である。
図5に示すように、本実施形態のシステムで用いられるユーザ端末装置200は、通信制御部210、学習支援部220、進捗状況提示部230を備えて構成される。
【0032】
通信制御部210は、例えば図2に示したコンピュータ300のCPU301とネットワークインターフェース304と主記憶装置305で実現され、ホストサーバ装置100からの様々な接続要求に対して応答を行う。そして、ホストサーバ装置100から学習計画書のフォーマットを受信し、項目を記入済みの学習計画書を送信したり、教材を受信し、学習結果を送信したりする。また、個人学習履歴データや相対位置データ等の各種情報をホストサーバ装置100から受信する。
【0033】
学習支援部220は、例えば図2に示したコンピュータ300のCPU301と主記憶装置305で実現され、ホストサーバ装置100から送信された教材や添削結果などを受信して出力し、各ユーザが学習を進める上での支援を行う。
図5に示すように、学習支援部220は、学習計画書作成部221と、教材処理部222と、学習結果処理部223とを備え、例えば図2の入力装置302を用いたユーザによる操作にしたがって、後述する各種の処理を実行する。
【0034】
学習計画書作成部221は、通信制御部210を介してホストサーバ装置100から受信した学習計画書のフォーマットをディスプレイ表示し、記載項目への入力を促す。そして、完成した学習計画書を、通信制御部210を介してホストサーバ装置100へ送信する。
教材処理部222は、通信制御部210を介してホストサーバ装置100から受信した教材を、例えば図2に示した補助記憶装置306等の記憶手段に格納すると共に、ディスプレイ表示したりプリントアウトしたりする。また、教材処理部222は、ユーザの学習の進捗度が早い場合にホストサーバ装置100から送られる応用問題や、反対にユーザの学習の進捗度が遅い場合にホストサーバ装置100から送られる間違い事例に関しても、これらを受信して記憶手段に格納し、必要に応じてディスプレイ表示したりプリントアウトしたりする。
学習結果処理部223は、教材処理部222で取得した教材を基にユーザが学習を進め、入力された問題に対する解答等の学習結果データを、通信制御部210を介してホストサーバ装置100に送信する。また、学習結果データとして送られた問題の解答が採点、添削されて返却される場合には、返却された添削結果をディスプレイ表示する。
【0035】
進捗状況提示部230は、例えば図2に示したコンピュータ300のCPU301と主記憶装置305で実現され、ホストサーバ装置100から送信された個人学習履歴データや相対位置データを受信して出力する。
図5に示すように、進捗状況提示部230は、個人学習履歴表示部231と、全ユーザ学習履歴表示部232と、相対位置データ表示部233とを備える。
【0036】
個人学習履歴表示部231は、ホストサーバ装置100から受信した個人学習履歴データに基づきユーザ個人の学習の進捗状況を表す画面(例えば、学習結果提出日と進捗度の評価値を対応付けた表等)を生成し表示する。
全ユーザ学習履歴表示部232は、ホストサーバ装置100から受信した全ユーザ学習履歴データに基づき、全ユーザの学習の進捗状況を表す画面(例えば、図4に示したグラフ等)を生成し表示する。
相対位置データ表示部233は、ホストサーバ装置100から受信した相対位置データに基づき、全ユーザの学習の進捗状況に対するユーザ自身の相対位置を表す画面(例えば、図4に示したグラフ等)を生成し表示する。
これらの情報は、学習結果を提出したとき等、所定のタイミングでホストサーバ装置100から送信される他、進捗状況提示部230からホストサーバ装置100へ取得要求を送信して取得することもできる。
【0037】
次に、本実施形態のシステムの動作について説明する。
図6は、特定のユーザが本実施形態のシステムで学習する場合にホストサーバ装置100とユーザ端末装置200との間で行われるデータ交換の全体的な流れを示す図である。
なお、事前の動作として、このユーザからは、既に学習計画書が提出され、ホストサーバ装置100に保管されているものとする。また、同じ学習カリキュラムで学習するユーザが複数おり、全ユーザ学習履歴データも既に作成されて学習履歴データベース134に保管されているものとする。
【0038】
図6に示すように、まず、ユーザによる操作にしたがって、ユーザ端末装置200の通信制御部210は、ホストサーバ装置100の通信制御部110にネットワークの接続要求をする(ステップA1)。この接続要求を受信したホストサーバ装置100の通信制御部110は、ユーザ端末装置200の通信制御部210にネットワークの接続応答をする(ステップB1)。
【0039】
次に、ユーザ端末装置200の教材処理部222は、ホストサーバ装置100の個人学習履歴管理部121へ学習教材のダウンロード要求をする(ステップA2)。このダウンロード要求を受信したホストサーバ装置100の個人学習履歴管理部121は、ユーザ端末装置200の教材処理部222にネットワークの接続応答をする(ステップB2)。そして、要求のあった学習教材を教材データベース132から抽出し、ユーザ端末装置200の教材処理部222に送信する(ステップB3)。
【0040】
ユーザは、以上のようにしてホストサーバ装置100から取得した教材を用いて学習を行う。そして、ユーザ端末装置200を操作して、学習の済んだ教材や問題、その解答等の情報を入力する。学習結果処理部223は、これらの入力情報を受け付けて保持する(ステップA3)。この後、ユーザにより学習結果を提出するための操作が行われると、学習結果処理部223は、保持している学習結果をホストサーバ装置100へ送信する(ステップA4)。
【0041】
学習結果を受信したホストサーバ装置100では、個人学習履歴管理部121が、受信された学習結果の情報にしたがって、学習結果データベース133に格納されている、このユーザの学習結果のデータを更新する(ステップB4)。そして、個人進捗状況管理部122が、受信された学習結果に基づいて、学習履歴データベース134に格納されている、このユーザの個人学習履歴データを更新する(ステップB5)。
【0042】
一方、このユーザの学習履歴が更新されることにより、全ユーザ学習履歴データも更新が必要となる。そこで、全ユーザ進捗状況管理部123が、学習履歴データベース134に保管されている全ユーザ学習履歴データを読み出し、受信された学習結果を加えて更新して、学習履歴データベース134に格納する(ステップB6)。また、全ユーザ学習履歴データが変化することにより、このユーザの学習進捗度におけるユーザ全体での相対位置も変化する。したがって、相対位置判定部124が、改めて、全ユーザ学習履歴データおよび学習結果に基づいて、このユーザの相対位置データを作成し、学習履歴データベース134に格納する(ステップB7)。
【0043】
この後、ホストサーバ装置100は、個人進捗状況管理部122により更新された個人学習履歴データ、全ユーザ進捗状況管理部123により更新された全ユーザ学習履歴データ、相対位置判定部124により新たに作成された相対位置データを、ユーザ端末装置200に送信する(ステップB8)。
【0044】
以上の動作例では、所定のユーザ端末装置200から学習結果が提出された場合に、各種進捗状況に関するデータが更新され、更新された相対位置データが学習結果を提出したユーザ端末装置200へ送信されることとした。この他、ユーザ端末装置200からホストサーバ装置100へ、個人学習履歴データや全ユーザ学習履歴データ、相対位置データ等を個別に指定して要求することにより、各々の最新の状態のデータを取得することもできる。この場合、ホストサーバ装置100の個人進捗状況管理部122、全ユーザ進捗状況管理部123、相対位置判定部124が、それぞれ要求された情報を学習履歴データベース134から読み出して、ユーザ端末装置200へ返送する。
【0045】
また、教材のダウンロード要求を行う場合など、学習結果の提出とは関係なくユーザ端末装置200がホストサーバ装置100にログインした際に、相対位置判定部124が、その時点での相対位置データを学習履歴データベース134から読み出して送信するようにしても良い。このようにすれば、ユーザは、ホストサーバ装置100へログインするたびに、その時点での自身の学習の進捗状況について、他のユーザに対する相対的な位置を知ることができ、学習意欲を刺激することができる。
【0046】
なお、本実施形態では、同じ学習カリキュラムで学習する全てのユーザを対象として、所定のユーザの相対位置データを作成することとした。しかしながら、母体となるユーザの集合は、必ずしも同じ学習カリキュラムで学習する全てのユーザでなくても良く、任意のユーザグループ(集団)を設定し、その中での相対位置データを作成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施形態による学習システムの全体構成を示す図である。
【図2】本実施形態におけるホストサーバ装置やユーザ端末装置を実現するのに好適なコンピュータの構成例を示した図である。
【図3】本実施形態のホストサーバ装置の機能構成を示した図である。
【図4】本実施形態の相対位置判定部により作成される相対位置データの例を示す図である。
【図5】本実施形態におけるユーザ端末装置の機能構成を示した図である。
【図6】特定のユーザが本実施形態のシステムで学習する場合にホストサーバ装置とユーザ端末装置との間で行われるデータ交換の全体的な流れを示す図である。
【符号の説明】
【0048】
100…ホストサーバ装置、110、210…通信制御部、120…学習情報管理部、121…個人学習履歴管理部、122…個人進捗状況管理部、123…全ユーザ進捗状況管理部、124…相対位置判定部、125…応用問題対応部、126…間違い事例対応部、130…データ格納部、131…学習計画データベース(DB)、132…教材データベース(DB)、133…学習結果データベース(DB)、134…学習履歴データベース(DB)、135…応用問題データベース(DB)、136…間違い事例データベース(DB)、200…ユーザ端末装置、220…学習支援部、221…学習計画書作成部、222…教材処理部、223…学習結果処理部、230…進捗状況提示部、231…個人学習履歴表示部、232…全ユーザ学習履歴表示部、233…相対位置データ表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末から送信されるユーザの学習結果を受信し、所定の記憶手段に格納してユーザごとに管理する学習履歴管理部と、
複数のユーザからなるユーザグループに関して、当該ユーザグループに属す各ユーザの学習結果を集計し、学習の進捗度と当該進捗度にあるユーザの人数を対応付けた学習履歴データを生成し、当該学習の進捗度ごとに所定の記憶手段に格納する進捗状況管理部と、
前記ユーザグループに属す所定のユーザの学習結果と前記学習履歴データとに基づき、当該ユーザグループ内での当該所定のユーザにおける学習の進捗度の相対的な位置を示す相対位置データを生成し、ユーザごとに所定の記憶手段に格納する相対位置判定部と、
前記相対位置データを前記記憶手段から読み出し、前記所定のユーザのユーザ端末へ送信する通信制御部と
を備えることを特徴とする学習支援システム。
【請求項2】
前記進捗状況管理部は、前記学習履歴管理部が前記ユーザグループに属す所定のユーザから学習結果を受信するたびに、受信された当該学習結果を加えて前記学習履歴データを更新し、
前記相対位置判定部は、更新された前記学習履歴データに基づいて前記相対位置データを更新し、
前記通信制御部は、更新された前記相対位置データを前記所定のユーザのユーザ端末へ送信することを特徴とする請求項1に記載の学習支援システム。
【請求項3】
前記ユーザグループに属す所定のユーザのユーザ端末からのログインを受け付けた場合に、前記通信制御部は、その時点での当該ユーザの前記相対位置データを、当該ユーザ端末へ送信することを特徴とする請求項1に記載の学習支援システム。
【請求項4】
通常の学習カリキュラムとは別に用意された応用問題を学習の進捗度別に用意した応用問題データベースと、
前記相対位置判定部により生成された前記相対位置データに基づき、学習の進捗度が前記ユーザグループの上位一定範囲内のユーザに対して、当該ユーザの学習の進捗度に対応する前記応用問題を前記応用問題データベースから取得して、前記通信制御部により当該ユーザのユーザ端末へ送信させる応用問題対応部と
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の学習支援システム。
【請求項5】
前記ユーザグループに属す各ユーザの学習結果に基づき、解答が一定以上の割合で誤りである問題を集めて間違い事例を作成して所定の記憶手段に格納しておき、前記相対位置判定部により生成された前記相対位置データに基づき、学習の進捗度が前記ユーザグループの下位一定範囲内のユーザに対して、当該ユーザが未学習の問題に関する前記間違い事例を前記記憶手段から読み出し、前記通信制御部により当該ユーザのユーザ端末へ送信させる間違い事例対応部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の学習支援システム。
【請求項6】
コンピュータに、
ユーザ端末から送信されるユーザの学習結果を取得し、所定の記憶手段に格納してユーザごとに管理する機能と、
複数のユーザからなるユーザグループに関して、当該ユーザグループに属す各ユーザの学習結果を集計し、学習の進捗度と当該進捗度にあるユーザの人数を対応付けた学習履歴データを生成し、当該学習の進捗度ごとに所定の記憶手段に格納する機能と、
前記ユーザグループに属す所定のユーザの学習結果と前記学習履歴データとに基づき、当該ユーザグループ内での当該所定のユーザにおける学習の進捗度の相対的な位置を示す相対位置データを生成し、ユーザごとに所定の記憶手段に格納する機能と、
前記相対位置データを前記記憶手段から読み出し、前記所定のユーザのユーザ端末へ送信する機能とを実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
前記学習履歴データを生成する機能では、前記ユーザグループに属す所定のユーザのユーザ端末から学習結果を受信するたびに、受信された当該学習結果を加えて前記学習履歴データを更新し、
前記相対位置データを生成する機能では、更新された前記学習履歴データに基づいて前記相対位置データを更新し、
前記データを送信する機能では、更新された前記相対位置データを前記所定のユーザのユーザ端末へ送信することを特徴とする請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記データを送信する機能では、前記ユーザグループに属す所定のユーザのユーザ端末からのログインを受け付けた場合に、その時点での当該ユーザの前記相対位置データを、当該ユーザ端末へ送信することを特徴とする請求項6に記載のプログラム。
【請求項9】
前記相対位置データに基づき、学習の進捗度が前記ユーザグループの上位一定範囲内のユーザに対して、通常の学習カリキュラムとは別に用意された応用問題を学習の進捗度別に用意した応用問題データベースから、当該ユーザの学習の進捗度に対応する応用問題を取得し、当該ユーザのユーザ端末へ送信する機能を、前記コンピュータにさらに実現させることを特徴とする請求項6に記載のプログラム。
【請求項10】
前記ユーザグループに属す各ユーザの学習結果に基づき、解答が一定以上の割合で誤りである問題を集めて間違い事例を作成して所定の記憶手段に格納しておき、前記相対位置データに基づき、学習の進捗度が前記ユーザグループの下位一定範囲内のユーザに対して、当該ユーザが未学習の問題に関する前記間違い事例を前記記憶手段から読み出し、当該ユーザのユーザ端末へ送信する機能を、前記コンピュータにさらに実現させることを特徴とする請求項6に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−192958(P2007−192958A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−9449(P2006−9449)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】