説明

安全スイッチ

スイッチは、第1と第2の固定された電気接点と、第1と第2の電源接点と、ハンドル部と、非導電位置と導電位置との間で同時に軸方向に移動可能な2つの可動の導体とを備え、前記導電位置において、1つの導体が前記第1の固定された電気接点及び前記第1の電源接点と接触し、他方の導体が前記第2の固定された電気接点及び前記第2の電源接点と接触しており、ハンドル部を回転方向及び軸方向の両方に移動させることは、前記可動の導体を非導電位置と導電位置の間で移動させ、スイッチを動作させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチに関し、特に、電源を電気回路に接続するのに適した安全スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
多くのアプリケーションでは、電源を電気回路から切り離すことができるように安全スイッチを組み込むことが重要である。これは、バッテリなどの電源が有人の車両又はその一部に対して高電圧又は高電流電圧を与える場合にオペレータを保護するために特に重要であり得る。
【0003】
多くの安全スイッチは、特許文献1及び特許文献2に開示されるように既知である。典型的には、上記のスイッチは、電気回路を開閉するために単一のコネクタを移動させる。前記回路が一度切り離されると、バッテリは取り除かれ、前記回路は安全に調整され又は維持され得る。
【0004】
【特許文献1】US6,686,552号
【特許文献2】US5,864,106号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、電気的に接続するために2つの導電部品を用いたスイッチを提供する。したがって、スイッチは、‘オフ’の位置にあるとき、電気回路は、2点で遮断されている。これは、よりコンパクトなスイッチを導く。なお、2つを断線するスイッチは、典型的には、電源が両極板において電気回路から切断され得るようにより安全である。したがって、電気回路は、電源から完全に絶縁される。これは、電気回路が動作するときにオペレータが電気ショックを受ける可能性を顕著に低減させる。これは、高電圧又は高電流の状況では非常に重要であり得る。このタイプの二重切断はまた、例えば、電気的な格子電圧及びバックアップバッテリなどの2つの電源又は2つの並列の電源を同時に切断するのに用いられ得る。更なる実施形態では、前記スイッチは、2つの別個の電気回路を同時に切断するのに用いられ得る。
【0006】
したがって、本発明は、スイッチであって、
第1と第2の固定された電気接点と、
第1と第2の電源接点と、
ハンドル部と、
非導電位置と導電位置の間で同時に軸方向に移動可能な2つの可動の導体(mobile conductors)とを備え、
前記導電位置において、1つの導体は前記第1の固定された電気接点及び前記第1の電源接点と接触し、他方の導体は前記第2の固定された電気接点及び前記第2の電源接点に接触しており、
前記ハンドル部を回転及び軸方向の両方の移動させることは、前記可動の導体を非伝導位置と導電位置の間で移動させ、スイッチを駆動することを特徴とするスイッチを提供する。
【0007】
前記可動の導体は、非導電位置にあるとき、固定された電気接点から電源接点への導電経路は存在しない。
【0008】
本発明はまた、本発明のスイッチを備えた移動式の電源を提供する。
【0009】
一般に、電源は、バッテリ、固定され又は移動式の燃料電池又は発電機などの電気グリッド又は内蔵の電源であり得る。
【0010】
本発明の一実施形態では、前記2つの可動の導体は、単一の駆動軸又はロッド上に位置しており、互いに絶縁されている。本発明の好ましい実施形態では、前記可動の導体は、2つのロッド又はその一部に位置しており、共に接続されている。前記スイッチは、典型的には、バイポーラスイッチである。しかしながら、更なる実施形態では、前記スイッチは多極的であり得る。例えば、前記スイッチは、3つの固定された電気接点、3つの電源接点及び3つの可能の導体が存在する場合に三極であり得る。
【0011】
スイッチの導電部分は、一般には、金属で作られている。好ましい金属は、スチール、銅及び金である。高導電率の銅は、特に望ましい。可動のコネクタに対しては、可動の導体が導電位置にあるときに良好な電気的な接続が達成されることを確実にするために形成される導体を用いることが望ましい。好ましい材料は、押し付けられたときに軸上にスライドすることができる線路接点を形成するねじりバネの列を備えた金属部品である。上記のねじりバネ導体の特に好ましい材料は、金又は銀でメッキされた銅及びベリリウムの合金である。ねじりバネ製品は、これらの導体として用いるのに適当であり得るMultilamTMが売られている。
【0012】
固定された電気接点は、典型的には、典型的には固体絶縁体の絶縁材料によって電源接点から分離されている。
【0013】
スイッチの部品を絶縁する好ましい材料は、ガラス補強されたエポキシ樹脂である。しかしながら、スイッチの動作状況に耐え得る任意の絶縁体が用いられ得る。スイッチは、典型的には、ガラス補強されたエポキシ樹脂からも好ましくは作られる絶縁ケーシングに収容される。
【0014】
固定された電気接点は、その他の電気回路に接続するためにプラグ又はソケットを備え得る。本発明の好ましい実施形態では、電気接触はソケットを含んでいる。典型的には、スイッチは、本発明のスイッチを含む電源の動作部分であり、電源接点は電源内に収容される。しかしながら、一実施形態では、スイッチは、例えばケーブルによって電源の接点に対して外側に接続される。上記の実施形態では、スイッチの電源接点は、電源に対する接続のためのコネクタを含んでいる。
【0015】
ハンドル部は、電気回路からオペレータを絶縁するための絶縁部分を含んでいる。好ましい実施形態では、ハンドル部は、導体が導電位置にあるときに固定された電気接点をカバーするように形づくられている。ハンドル部の回転及び軸上の運動は、非導電位置から導電位置に可動の導体を移動させるのに必要とされる。典型的には、同様のハンドル部の動きは、可動の導体を非導電位置に戻すためには反対に発生する。
【0016】
ハンドル部は、例えばコイル状バネなどのバネを用いて非導電位置又は導電位置にバイアスされ得る。
【0017】
ハンドル部は、回転可能な接続部を介して導体に接続される。これは、ハンドル部が可動の導体及びそれらの支持部に対して相対的に回転するようにする。例えば、回転する接続部は、可動の導体が非導電位置にあるときにハンドル部の回転を可能にするだけのために構成してもよい。ハンドル部がまた固定された電気接点をカバーするように形作られるならば、この機構の組み合わせは、電源が電気回路から切断されるときに固定された電気接点に対してアクセスするだけである。
【0018】
ハンドル部は、非導電位置及び導電位置の間で可動の導体を移動させるために回転及び軸方向の運動をうける。例えば、導体が非導電位置にあるとき、ハンドル部は、典型的には回転し、その後、可動の導体を導電位置に移動させるために軸方向に運動する。導体を切り離すためには、同様の動きが反対になされる。ハンドル部の回転及び軸方向の両方の運動を用いることによって、ハンドル部は、誤動作し得なくなる。ハンドル部の回転運動及び軸方向の運動の組み合わせはまた、1又は複数の‘安全位置’をその機構に組み込むことを可能にする。‘安全’位置は、自動ロック式であり、スイッチは、‘安全’位置から誤って動くことがないようにする。しがたって、ハンドル部が最終の安全位置を通過するまで、ハンドル部は、非導電位置に向かってバイアスされる。これは、前記機構におけるバネを用いて達成され得る。
【0019】
ハンドル部は、典型的には、ハンドル部を取り囲むケーシングのチャンネルに配置される例えばハンドル部のシャフトにおけるノブ又はピンを組み込む。少なくとも一部分がハンドル部のシャフトに平行であり、少なくとも一部分がシャフトの周囲をたどるチャンネルを提供することによって、ハンドル部は、軸方向及び回転方向の両方に移動するように強制される。チャンネルの形状に依存して、ハンドル部は、様々な組み合わせの軸方向及び回転方向の運動を経ることを必要とされる。
【0020】
更なる安全のために、ハンドル部は、可動の導体が非導電位置と導電位置の間で移動するときに回転方向及び回転軸方向の運動をも経るように可動の導体に接続され得る。したがって、可動の導体が非導電位置にあるとき、それらは軸上に変位され、また回転方向にも接点とのアライメントが悪くなる。
【0021】
ハンドル部はまた、更なる安全のための機械式のスクリューロックを備えていてもよい。スクリューロックは、‘オン’の位置又は‘オフ’の位置又は両位置において動作可能であるように適合される。スクリューロックが係合する位置にハンドル部があれば、これは、スクリューロックが最初に破滅しない限りハンドル部が移動しないようにする。これは、例えばショック又は振動によるハンドル部の不測の運動を阻止するのに有用である。
【0022】
ハンドル部は、手動で動作してもよいし、例えばモータなどによって遠隔操作できるようになっていてもよい。
【0023】
このスイッチは、車両の一部又は全体が移動式の電源によって動力を与えられている場合に特に車両において用いるのに適している。本スイッチは、高電圧電源又は高電流を生成する電源と共に用い入られ得る。例えば、電源は、少なくとも10V、好ましくは少なくとも100V、好ましくは少なくとも200V、好ましくは少なくとも400V、最も好ましくは少なくとも500Vの電圧を生成し得る。高電流電源は、少なくとも10A、好ましくは少なくとも100A、好ましくは少なくとも200A、好ましくは少なくとも400A、最も好ましくは少なくとも500Aの電流を生成し得る。本発明の好ましい実施形態では、電源はバッテリである。高導電率の銅の導体及び接点は、特に高電流のアプリケーションに対しては望ましい。例えば好ましくは金でメッキされた高導電率の銅のねじりバネの導体など、低い抵抗の可動の導体を用いて電気的に接続することもまた望ましい。
【0024】
本スイッチはまた、例えば、宇宙空間において又は低い圧力の状況において用いられる車両の動力部に用いられるときなどの低い圧力で用いられ得る。電気的な接続がなされるまで、デッド・フェース(dead-faced)である、すなわち、反対の極性の接点間に経路の線が見えないスイッチ構成は、上記の状況において特に適当である。スイッチの導電部はまた、電気的な接触がなされるところを除いて全ての点で絶縁体の層で覆われていてもよい。なお、2つの電気的接続の利用は、接続が破壊されるときに異極間の距離を増大させて、特に低圧力の状況でギャップを横切る電圧降伏の可能性を低減させ得る。低圧力又は真空に対するスイッチは、典型的には、導体間のアークの発生の可能性を最小化するために後退角を有するコーナー(swept back corners)を用いて設計される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
ここで、本発明は、例を通して、図面を参照して説明される。
【0026】
図1は、電源接点2、4及び固定された電気接点6、8を有する本発明に係るスイッチを示している。固定された電気接点6、8は、その他の電気回路に接続するプラグ14、16を接続するソケット26、28を組み込んでいる。ソケット26、28及びプラグ14、16は、スイッチの逆の接続が生じないようにするために異なる大きさを有する。電源接点2、4及び固定された電気接点6、8は、接点に対する電気的接続が必要とされない場合に絶縁体21、23、25でコーティングされる。
【0027】
可動の接点20、22は、絶縁材料で作られたロッド24に配置される。図1において、可動の接点20、22は、非導電位置に示されている。ロッド24は、絶縁材料で作られたハンドル部18に接続されている。使用時には、ハンドル部18は、回転され、その後、電源接点2、4に向けてオペレータによって軸方向に移動させられ、可動の導体20、22は、導体22が固定された接点8及び電源接点4と接触する位置に移動する。導体20は、それが固定された電気接点6及び電源接点2と接触する同等な位置に移動する。図1は、回転されているが軸方向の移動前のハンドル部を示す。一度、可動の導体が導電位置に達すると、ハンドル部18は、プラグ14、16をカバーし、電力が接続される間にそれらが切断されないようにする。
【0028】
図2は、図1のラインX−Xに沿ってロッド24及びその隣接する導体6、8を通る断面図を示している。可動の導体20及び22は、ロッドの一部を形成し、絶縁体24によって互いに絶縁されている。固体ガラス補強されたエポキシ樹脂は、絶縁体の好ましい材料である。可動の導体20、22は、(概略的に図示される)ねじりバネ27によって導体6、8と電気的な接触をする。絶縁体13は、導体6、8を互いに絶縁する。
【0029】
図1の本発明の更なる実施形態では、ハンドル部18をロッド24に接続する機構は、ロッド24がハンドル部を用いて90度回転するようになっている。したがって、初期の非導電位置において、可動の導体20、22は、導体6、8と接触していない。ハンドル部18が回転されると、可動の導体20、22は、固定された電気接点6、8と接触するようになる。これは、更に非導電位置になる。その後、ハンドル部が電源接点2、4に軸方向にロッド24を移動するのに用いられると、可動の導体はまた、電源接点2、4と接触するようになり、電気的接続がなされる。
【0030】
図3は、電源接点30、32及び固定された電気接点42、44を有する本発明に係るスイッチを示している。電源接点30、32は、絶縁体35、33によって固定された電気接点42、44から絶縁されている。電源接点30、32は、電源に接続するためのソケット60、62が提供されている。2つのソケットは、冗長性を提供するために各々の接点上に提供される。これは、宇宙空間で用いられることになるスイッチには特に必要とされる。固定された電気接点42、44は、その他の電気回路に接続するプラグ50及び52を接続するソケット46、48に電気的に接続される。ソケット46、48及びプラグ50、52は、電源の逆の接続が生じないようにするために異なる大きさを有する。固定された電気接点42、44は、絶縁体58によって包囲されている。(図示されていない)代替的な実施形態では、固定された電気接点は、絶縁体の層でコーティングされている。絶縁体は、そのスイッチ内でのアークの発生を阻止する。
【0031】
可動の接点34、36は、絶縁材料で作られた2つのロッド38、40上に配置される。ロッド38、40は、固体絶縁体43によって互いに絶縁されている。図3では、可動の接点34、36は、導電位置に示されている。ロッド38、40は、絶縁材料で作られたハンドル部54に接続される。使用時には、ハンドル部54は、オペレータによって軸方向に、すなわち、図3について垂直方向に移動させられ、その後、回転される。ハンドル部が十分に上昇されているとき、固定された接点42、44と電源接点30、32との間の電気的接触は切られる。ハンドル部は、回転可能な接続部41を介してロッド38、40に接続される。これは、ハンドル部54がロッド38、40に相対的に回転されることを可能にする。例えば、回転接続は、可動の導体が非導電位置にあるときにハンドル部の回転を許容するためだけに、したがって、スイッチが‘オフ’であるときにプラグ50、52に対するアクセスを許容するためだけに構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明のスイッチの断面図を示している。
【図2】図1のラインX−Xに沿ったロッド24及び隣接した導体6、8の断面図を示している。
【図3】本発明のスイッチの断面図を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1と第2の固定された電気接点と、
第1と第2の電源接点と、
ハンドル部と、
非導電位置と導電位置の間で同時に軸方向に移動可能な2つの可動の導体とを備えたスイッチであって、
前記導電位置において、1つの導体が前記第1の固定された電気接点及び前記第1の電源接点と接触し、
他方の導体が前記第2の固定された電気接点及び前記第2の電源接点と接触しており、
ハンドル部を回転方向及び軸方向の両方に移動させることは、前記可動の導体を非導電位置と導電位置の間で移動させ、スイッチを動作させることを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
前記スイッチは、さらに、2つのロッドを備えており、1つの可動の導体は、各々のロッドに配置される請求項1に記載のスイッチ。
【請求項3】
前記可動の導体は、ねじりバネを備えている請求項1又は2に記載のスイッチ。
【請求項4】
前記ハンドル部は、前記可動の導体が導電位置にあるときに固定された電気接点を覆う上記請求項のいずれか1つに記載のスイッチ。
【請求項5】
手動操作用に適応されている上記請求項のいずれか1つに記載のスイッチ。
【請求項6】
複数の固定された電気接点と、
複数の電源接点と、
ハンドル部と、
非導電位置と導電位置との間で同時に軸方向に移動可能な複数の可動の導体とを備えた多極スイッチであって、
前記導電位置において、各々の可動の導体は、固定された電気接点及び電源接点に接触し、
ハンドル部を回転方向及び軸方向の両方に移動させることは、前記可動の導体を非導電位置と導電位置の間で移動させ、スイッチを動作させることを特徴とする多極スイッチ。
【請求項7】
上記請求項のいずれか1つに記載のスイッチを備えた電源。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか1つに記載のスイッチを備えたバッテリ。
【請求項9】
電気回路における請求項1から6のいずれか1つに記載のスイッチの使用。
【請求項10】
真空における請求項9に記載のスイッチの使用。
【請求項11】
電気回路における請求項7に記載の電源の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−512835(P2008−512835A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530778(P2007−530778)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【国際出願番号】PCT/GB2005/050142
【国際公開番号】WO2006/027625
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(506050031)エイビーエスエル パワー ソリューションズ リミテッド (3)
【Fターム(参考)】