説明

定期券発行システム及び定期券発行システムに適用される携帯型情報端末

【課題】モバイルIC定期券に対する定期券発行システム及び該定期券発行システムに適用される携帯型情報端末を提供すること。
【解決手段】携帯型情報端末(10)を定期券として機能させたモバイルIC定期券の発行をおこなう定期券発行システムにおいて、前記携帯型情報端末とネットワークを介して接続され、定期券の購入情報を取得し、該購入情報に対応した予約番号を発行するサーバ(30)と、前記携帯型情報端末と通信可能に構成され、前記携帯型情報端末に記録された定期券情報の読み出し及び書き換えが可能なリーダ・ライタを備えた駅務機器(35)とを備え、前記携帯型情報端末又は情報端末(15)は、前記サーバに定期券購入情報を送信することによって定期券の発行予約を行い、前記駅務機器に設けられた前記リーダ・ライタを介して、前記定期券購入情報に基づいて前記携帯型情報端末に所定の事項を書き込むことによって定期券として機能させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイルIC定期券を使用して定期券購入の簡略化を図った定期券発行システム及び該定期券発行システムに適用される携帯型情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
定期券を容易に購入するための定期券発行システムが提案されている(特許文献1参照)。特許文献1によれば、定期券の発行要求を電話やパーソナルコンピュータで行い、発行された定期券を郵送や最寄の駅で受け取るようにしている。しかし、現在では、定期券の購入に際しては、係員による定期券窓口もしくは、自動定期券発行機にて所定の定期券条件を選択、必要事項の入力等を行い購入する。
【0003】
また、インターネット予約による定期券の発行はすでにサービスとして実施されているが、インターネット予約をしている場合でも、自動定期券発行機を使用して、予約番号を入力し、定期券を発行、金銭の授受を必ず行う必要がある。
このように、インターネット予約などで、購入を予定している定期券の内容を事前に登録し、予約番号を取得し、購入時に自動定期券発行機に予約番号を入力することで、Webサーバより予約内容がダウンロードされ、接客画面にて予約内容を確認し、購入金額を投入することで定期券を購入できるという仕組みはすでに存在している。しかしながら、定期券という媒体を購求者に手渡すということが必須動作となるため、定期券を発行できる係員型定期券発行機、もしくは自動定期券発行機で必ず定期券を購入しなければならない。
【0004】
また、新規に定期券を購入する場合には、窓口では申込書への必要事項を記入し、自動定期券発行機では氏名、電話番号、生年月日等をテンキー、カナキー等により入力しなければならないため、定期券を入手するまで3〜5分かかる。このため、窓口や自動定期券発行機では、繁忙期には待ち行列ができるほどの混雑があり、必ずしも購入時の手続きの煩わしさを解消するものではない。
【特許文献1】特開平6−274714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、従来の定期券は磁気定期券であるため、必ず駅等の定期券発売窓口または自動定期券発行機に出向いて定期券を購入しなければならない。しかし、今後、携帯電話などの携帯型情報端末を定期券(この携帯型情報端末を、本明細書では「モバイルIC定期券」と称する)として使用可能になると考えられる。
【0006】
本発明は、モバイルIC定期券に対する定期券発行システム及び該定期券発行システムに適用される携帯型情報端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の局面に係る発明は、ICカードや携帯電話などの携帯型情報端末に組み込まれ、該携帯型情報端末を定期券として機能させたモバイルIC定期券の発行をおこなう定期券発行システムにおいて、前記携帯型情報端末とネットワークを介して接続され、定期券の購入情報を取得し、該購入情報に対応した予約番号を発行するサーバと、前記携帯型情報端末と通信可能に構成され、前記携帯型情報端末に記録された定期券情報の読み出し及び書き換えが可能なリーダ・ライタを備えた駅務機器とを備え、前記携帯型情報端末又は情報端末は、前記サーバに定期券購入情報を送信することによって定期券の発行予約を行い、前記駅務機器に設けられた前記リーダ・ライタを介して、前記定期券購入情報に基づいて前記携帯型情報端末に所定の事項を書き込むことによって定期券として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、モバイルIC定期券に係るサービスでは定期券という専用の媒体を必要としなくなるために、磁気定期券のように必ずしも定期券発行機、自動定期券発行機で購入手続きを行う必要が無くなる。このため、定期券データをモバイルIC定期券に取り込める仕組みがあればよいので、乗車券券売機、精算機、チャージ機などに定期券データの送信処理の仕組みとリーダ・ライタを取り付ければ、駅にあるどの駅務機器でも定期券の購入が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る定期券発行システムの概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る定期券発行システムは、携帯型情報端末10と、パーソナルコンピュータ15とサーバ30とがネットワーク20を介して接続されている。また、サーバ30には自動定期券発行機35(実際には、「駅務機器」に組み込まれた定期券の発行動作を行う機能を実行することをいうが、説明の便宜上「自動定期券発行機」と称する)が例えば、TCP/IPにより通信可能に接続されている。
本構成において、携帯型情報端末10またはパーソナルコンピュータ15からネットワーク20を介して、サーバ30に対して定期券の発行予約を行い、サーバ30から送信された定期券発行予約情報に基づいて、自動定期券発行機35から定期券を発行するように構成されている。なお、自動定期券発行機35は、定期券発行のための専用の機器であってもよいし、係員型定期券発行機、自動定期券発行機、乗車券券売機、精算機、カード発売機、ICチャージ機等の駅務機器の一部であって、携帯型情報端末10との通信が可能であれば良い。この場合において、モバイルIC定期券とは、例えば携帯型情報端末10を定期券として使用した場合の定期券や、現在非接触型のICカードによる定期券などをいうものとする。
【0010】
図2から図9を参照して、上記の構成における実際の定期券の予約から購入までの動作を説明する。図2は、予約時の動作の流れを示すフローチャートである。また、図3は、携帯型情報端末としての携帯電話(以下の実施形態においては、携帯型情報端末として携帯電話を例にとって説明する)から予約する場合の流れを示す図であり、図4は、パーソナルコンピュータから予約する場合の流れを示す図である。
【0011】
まず、携帯型情報端末10(以下。「携帯電話」と称する)又はパーソナルコンピュータ15(以下、区別する必要のない場合には単に「端末10」と称する)からサーバ30にアクセスし、端末10の表示装置(例えば、液体表示装置など)に予約入力画面31(32)を表示させる。これは、例えば、サーバ30を運営している事業者のホームページをアクセスして、当該ホームページで提供されている定期券購入のインターネット予約サービスを利用することにより表示される。そして、端末10の入力装置(キーボード等)により、予約入力画面31(32)内の所定の部分に、定期券の購入に必要な情報を入力する(ステップA1)。ここで、予約入力画面31(32)では、例えば、発着駅、経由、通用期間、通用開始日、氏名、生年月日、性別、電話番号など定期券購入の発行条件と予約番号を受け取るためのメールアドレスを入力する。
【0012】
定期券の購入に必要な情報を端末10から入力すると、当該内容を端末10の送信機能により、サーバ30に送信する(ステップA2)。サーバ30が端末10から送信された情報を受信すると、定期券の購入に必要な情報が全て記載されていることを確認した後に、定期券の予約番号を発行して、当該予約番号を端末10に送信する(ステップA3)。ここで、予約番号には、例えば、「1234567890」等の数字のみの番号が付されるが、英文字を含むような番号であっても構わない。また、サーバ30からの予約番号は、上記のステップA1で入力したメールアドレスが割り当てられた端末10に送信されるものとするが、モバイルIC定期券として使用される携帯型情報端末(この場合では、携帯電話)に送信することが好ましい。従って、以下の説明においては、予約番号が携帯電話10に送信されたものとして説明する。
【0013】
例えば、図3に示す例では、携帯電話10から定期券購入情報を送信して、予約番号を携帯電話10で受信するようになっているが、図4に示す例ではパーソナルコンピュータ15から定期券購入情報を送信して、予約番号を携帯電話10で受信するようになっている。この場合において、パーソナルコンピュータ15から定期券購入情報を送信して、予約番号をパーソナルコンピュータ15で受信する場合には、受信した予約番号をモバイルIC定期券として使用される携帯電話10に予約番号情報を送信しておく必要がある。なお、上記の送受信の処理においては、情報の暗号化処理になどにより、セキュリティは確保されているものとする。
【0014】
予約番号を携帯電話10で受信した場合における、予約番号の登録処理について説明する。図5は、登録処理の流れを示すフローチャートであり、図6は、予約番号が携帯電話10に登録される様子を示す図である。なお、説明の便宜上、予約番号の登録は、利用者が使用可能なメモリ領域であればどの部分にも登録可能であるが、携帯電話10の住所録に行われるものとする。
【0015】
まず、携帯電話10の住所録を起動すると(ステップB1)、図6に示すような住所録用アプリケーションが起動して、例えば、「名前」、「電話番号」、「Eメールアドレス」などを入力するための画面11が表示される。そして、予約番号を画面11の例えば「電話番号」の欄に登録する(ステップB2)。これにより、駅等で実際に定期券を購入する場合に、自動定期券発行機35に対して無線通信(例えばBluetooth、赤外線等)で予約番号を送信する場合に、予約番号が登録された住所録データを送信することで、駅務機器に予約番号を送信できるようになる。
【0016】
以上の操作は、定期券の発行のための予備操作であって、以下、実際に定期券の発行処理を図7から図9を参照して説明する。図7は、定期券の発行の流れを示すフローチャートである。図8は、予約番号の自動定期券発行機35への送信から予約内容の確認画面の表示までの図であり、図9は、携帯電話10への定期券情報の書き込み(定期券の発行)を示す図である。
【0017】
まず、駅に設置されている自動定期券発行機35のところに行き(ステップC1)、自動定期券発行機35のディスプレイ35aに表示された、例えば「モバイルIC定期券購入」ボタンを選択する(ステップC2)。この場合において、モバイルIC定期券は、定期券の機械的な発行動作がなく、電子的にモバイルIC定期券として使用する携帯電話10と情報通信ができればよいので、基本的に全ての駅務機器で定期券発行が可能になるので、利用者は、空いている駅務機器のところに行って、モバイルIC定期券を購入することになる。
【0018】
ステップC2において、「モバイルIC定期券購入」ボタンを選択すると、ディスプレイに「予約番号送信」が表示されるので(ステップC3)、事前に携帯電話10に登録した予約番号を、無線通信(例えばBluetooth、赤外線等)で自動定期券発行機35に送信する(ステップC4)。すると、自動定期券発行機35はサーバ30に予約番号を送信して、当該予約番号に対応する予約内容をサーバ30から取得し、ディスプレイ上に予約内容を表示する(ステップC5)。利用者は表示された予約内容を確認して、内容に誤りがあるかどうか確認し(ステップC6)、誤りがある場合には(ステップC6のN)係員の窓口へ行く。ステップC6において、誤りがない場合には、画面36−1の確認ボタンを押す(ステップC7)。
【0019】
すると、携帯電話10に定期券データを書き込むために、画面36−2に示すような「ICカード読み取り部に携帯電話をタッチしてください」の表示が出るので(ステップC8)、携帯電話10をリーダ・ライタ35bにタッチする(ステップC9)。携帯電話10への定期券データの書き込みが正常に終了すると(ステップC10のY)、画面36−3に示すような購入金額と決済完了が表示される(ステップC11)で、定期券の購入処理が終了する。
【0020】
上記のように、本発明によれば、モバイルIC定期券に係るサービスでは定期券という専用の媒体を必要としなくなるために、磁気定期券のように必ずしも定期券発行機、自動定期券発行機で購入手続きを行う必要が無くなる。このため、定期券データをモバイルIC定期券に取り込める仕組みがあればよいので、乗車券券売機、精算機、チャージ機などに定期券データの送信処理の仕組みとリーダ・ライタ35bを取り付ければ、駅にあるどの駅務機器でも定期券の購入が可能となる。
【0021】
また、購入する定期券の条件入力は、インターネット予約画面から、好きな時間に登録することができる。予約番号を無線通信によりモバイルIC定期券から駅務機器に送信し、その情報から予約した内容の定期券を購入できる。更に、定期券が発行できる機器でなくても発行できるため、駅で空いている機器を見つけて定期券を購入できる。
【0022】
本発明は、上記各実施の形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記各実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。
【0023】
また、例えば各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る定期券発行システムの概略構成を示すブロック図。
【図2】予約時の動作の流れを示すフローチャート。
【図3】携帯型情報端末としての携帯電話から予約する場合の流れを示す図。
【図4】パーソナルコンピュータから予約する場合の流れを示す図。
【図5】登録処理の流れを示すフローチャート。
【図6】予約番号が携帯電話に登録される様子を示す図。
【図7】定期券の発行の流れを示すフローチャート。
【図8】予約番号の自動定期券発行機35への送信から予約内容の確認画面の表示までの図。
【図9】携帯電話10への定期券情報の書き込み(定期券の発行)を示す図。
【符号の説明】
【0025】
10…携帯型情報端末(端末、携帯電話)
15…パーソナルコンピュータ
20…ネットワーク
30…サーバ
35…自動定期券発行機
35a…ディスプレイ
35b…リーダ・ライタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICカードや携帯電話などの携帯型情報端末に組み込まれ、該携帯型情報端末を定期券として機能させたモバイルIC定期券の発行をおこなう定期券発行システムにおいて、
前記携帯型情報端末とネットワークを介して接続され、定期券の購入情報を取得し、該購入情報に対応した予約番号を発行するサーバと、
前記携帯型情報端末と通信可能に構成され、前記携帯型情報端末に記録された定期券情報の読み出し及び書き換えが可能なリーダ・ライタを備えた駅務機器とを備え、
前記携帯型情報端末又は情報端末は、前記サーバに定期券購入情報を送信することによって定期券の発行予約を行い、
前記駅務機器に設けられた前記リーダ・ライタを介して、前記定期券購入情報に基づいて前記携帯型情報端末に所定の事項を書き込むことによって定期券として機能させることを特徴とする定期券発行システム。
【請求項2】
請求項1に記載の定期券発行システムにおいて、前記発行予約は、前記サーバからの予約番号通知メールで行われることを特徴とする定期券発行システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の定期券発行システムにおいて、前記携帯型情報端末と前記リーダ・ライタとの通信は無線方式で行われることを特徴とする定期券発行システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の定期券発行システムにおいて、前記駅務機器は、係員型定期券発行機、自動定期券発行機、乗車券券売機、精算機、カード発売機、ICチャージ機のいずれかを含むことを特徴とする定期券発行システム。
【請求項5】
ICカードや携帯電話などの携帯型情報端末に組み込まれ、該携帯型情報端末を定期券として機能させたモバイルIC定期券の発行をおこなう定期券発行機器に適用される携帯型情報端末おいて、
前記定期券発行機器に備えられたリーダ・ライタと無線通信を行うことによって、定期券情報を獲得する手段を備えたことを特徴とする携帯型情報端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−87015(P2007−87015A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−273926(P2005−273926)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】