説明

定着装置

【課題】ニップ板(ニップ部材)と加圧ローラ(バックアップ部材)との間のニップ状態を変化させることができ、装置の小型化を図ることができる定着装置を提供することを目的とする。
【解決手段】定着装置100は、筒状の定着フィルム110と、定着フィルム110の内側に配置された発熱体(ハロゲンランプ120)と、発熱体からの輻射熱を受けるニップ部材(ニップ板130)と、ニップ部材との間で定着フィルム110を挟むことで定着フィルム110との間にニップ部N1を形成するバックアップ部材(加圧ローラ150)と、発熱体とニップ部材とを一体的に支持する第1支持部材(ガイド部材170)と、ニップ部材がバックアップ部材に対して移動するように、第1支持部材を移動可能に支持する第2支持部材とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録シートに転写された現像剤像を熱定着する定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置に用いられる定着装置として、円筒状の定着フィルムと、定着フィルム内に配置されるヒータと、定着フィルムを介して加圧ローラとの間にニップ部を形成する加熱板(ニップ板)とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この定着装置では、ニップ板で支持された定着フィルムと加圧ローラとの間(ニップ部)で、用紙を搬送しつつ、用紙上の現像剤像を熱定着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−233886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のような定着装置では、普通紙や厚紙用紙などの厚さの異なる用紙を良好に熱定着するためや、ニップ部で詰まった用紙を取り出すためなどの目的で、ニップ部における圧力(以下、「ニップ圧」ともいう。)およびニップ部の幅(以下、ニップ幅ともいう)などのニップ部の状態(以下、「ニップ状態」ともいう。)を変化させることが望まれている。ニップ状態を変化させる構造としては、例えば、ニップ板のみを加圧ローラに対して進退させるような構造が考えられる。
【0005】
しかしながら、単にニップ板のみを加圧ローラに対して進退させる構造を採用する場合には、加圧ローラに対して動かないヒータにニップ板が接触しないように、ニップ板とヒータとの間のクリアランスを大きくする必要があり、装置が大型化するといった問題が考えられる。
【0006】
そこで、本発明は、ニップ板(ニップ部材)と加圧ローラ(バックアップ部材)との間のニップ状態を変化させることができるとともに、装置の小型化を図ることができる定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する本発明は、筒状の定着フィルムと、前記定着フィルムの内側に配置された発熱体と、前記定着フィルムの内面に摺接するように配置され、前記発熱体からの輻射熱を受けるニップ部材と、前記ニップ部材との間で前記定着フィルムを挟むことで前記定着フィルムとの間にニップ部を形成するバックアップ部材とを備えた定着装置であって、前記発熱体と前記ニップ部材とを一体的に支持する第1支持部材と、前記ニップ部材が前記バックアップ部材に対して移動するように、前記第1支持部材を移動可能に支持する第2支持部材とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、第1支持部材を第2支持部材に対して移動させることで、ニップ部材をバックアップ部材に対して移動させることができるので、ニップ状態を良好に変化させることができる。また、ニップ部材を発熱体とともに第1支持部材で一体的に支持するので、発熱体とニップ部材間のクリアランスを小さくすることができ、装置の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ニップ部材とバックアップ部材との間のニップ状態を変化させることができるとともに、装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る定着装置を備えたレーザプリンタの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る定着装置の概略構成を示す図である。
【図3】ハロゲンランプ、ニップ板、反射板およびステイの斜視図である。
【図4】ニップ板、反射板およびステイを搬送方向から見た図である。
【図5】ガイド部材を上側から見た斜視図(a)と、ステイを組み付けたガイド部材を下側から見た斜視図(b)と下面図(c)である。
【図6】定着装置を左側から見た側面図である。
【図7】定着装置を上斜め後方から見た斜視図である。
【図8】ニップ圧を解除した状態の定着装置を示す側面図である。
【図9】ニップ圧を変更するときのニップ板やハロゲンランプ等の関係を示す説明図(a),(b)である。
【図10】ニップ幅を変更するときのニップ板やハロゲンランプ等の関係を示す説明図(a),(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、本発明の実施形態に係る定着装置100を備えたレーザプリンタ1(画像形成装置)の概略構成について説明した後、定着装置100の詳細な構成について説明する。
【0012】
<レーザプリンタの概略構成>
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体筐体2内に、記録シートの一例としての用紙Pを供給する給紙部3と、露光装置4と、用紙P上にトナー像(現像剤像)を転写するプロセスカートリッジ5と、用紙P上のトナー像を熱定着する定着装置100とを主に備えている。
【0013】
なお、以下の説明において、方向は、レーザプリンタを使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0014】
給紙部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、用紙Pを収容する給紙トレイ31と、用紙Pの前側を持ち上げる用紙押圧板32と、給紙ローラ33と、給紙パット34と、紙粉取りローラ35,36と、レジストローラ37とを主に備えている。給紙トレイ31内の用紙Pは、用紙押圧板32によって給紙ローラ33に寄せられ、給紙ローラ33と給紙パット34によって1枚ずつ分離され、紙粉取りローラ35,36およびレジストローラ37を通ってプロセスカートリッジ5に向けて搬送される。
【0015】
露光装置4は、本体筐体2内の上部に配置され、レーザ発光部(図示せず)と、回転駆動するポリゴンミラー41と、レンズ42,43と、反射鏡44,45,46とを主に備えている。露光装置4では、レーザ発光部から出射される画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)が、ポリゴンミラー41、レンズ42、反射鏡44,45、レンズ43、反射鏡46の順に反射または通過して、感光体ドラム61の表面で高速走査される。
【0016】
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に配置され、本体筐体2に設けられたフロントカバー21を開いたときにできる開口から本体筐体2に対して着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスカートリッジ5は、ドラムユニット6と、現像ユニット7とから構成されている。
【0017】
ドラムユニット6は、感光体ドラム61と、帯電器62と、転写ローラ63とを主に備えている。また、現像ユニット7は、ドラムユニット6に対して着脱可能に装着される構成となっており、現像ローラ71と、供給ローラ72と、層厚規制ブレード73と、トナー(現像剤)を収容するトナー収容部74とを主に備えている。
【0018】
プロセスカートリッジ5では、感光体ドラム61の表面が、帯電器62により一様に帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部74内のトナーは、供給ローラ72を介して現像ローラ71に供給され、現像ローラ71と層厚規制ブレード73の間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ71上に担持される。
【0019】
現像ローラ71上に担持されたトナーは、現像ローラ71から感光体ドラム61上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム61上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム61と転写ローラ63の間を用紙Pが搬送されることで感光体ドラム61上のトナー像が用紙P上に転写される。
【0020】
定着装置100は、プロセスカートリッジ5の後方に設けられている。用紙P上に転写されたトナー像(トナー)は、定着装置100を通過することで用紙P上に熱定着される。トナー像が熱定着された用紙Pは、搬送ローラ23,24によって排紙トレイ22上に排出される。
【0021】
<定着装置の詳細構成>
図2に示すように、定着装置100は、定着フィルム110と、発熱体の一例としてのハロゲンランプ120と、ニップ部材の一例としてのニップ板130と、反射板140と、バックアップ部材の一例としての加圧ローラ150と、ステイ160とを主に備えている。
【0022】
定着フィルム110は、耐熱性と可撓性を有する無端状(筒状)のフィルムであり、その両端部が後述する規制部材(第1支持部材)の一例としてのガイド部材170により回転が案内されている。
【0023】
ハロゲンランプ120は、ニップ板130および定着フィルム110を加熱することで用紙P上のトナーを加熱する公知の発熱体であり、定着フィルム110の内側において定着フィルム110およびニップ板130の内面から所定の間隔をあけて配置されている。
【0024】
ニップ板130は、ハロゲンランプ120からの輻射熱を受ける板状の部材であり、筒状の定着フィルム110の内面に摺接するように配置されている。そして、このニップ板130は、ハロゲンランプ120から受けた輻射熱を定着フィルム110を介して用紙P上のトナーに伝達する。
【0025】
このニップ板130は、後述するスチール製のステイ160より熱伝導率が大きい、例えば、アルミニウム板などを断面視略U形状に折り曲げることで形成されている。より詳細に、ニップ板130は、断面視において、前後方向(用紙Pの搬送方向)に沿うように延びるベース部131と、上方(加圧ローラ150からニップ板130に向かう方向)に向けて折り曲げられた折曲部132とを主に有している。なお、本実施形態では、ベース部131の剛性を上げるためやニップ板130の端縁による定着フィルム110の削れ防止のためにベース部131の前後方向の両端縁から折り曲げられる折曲部132を形成したが、これに限定されず、折曲部132は形成しなくてもよい。
【0026】
ベース部131は、前後方向における中央部131Aが両端部131Bよりも当該ベース部131の面直方向にずれるように、詳しくは、加圧ローラ150側に向けて凸となるように屈曲形成されている。具体的に、ベース部131は、両端部131Bよりも中央部131Aが下方にオフセットされたようなハット形状に折り曲げ形成されている。
【0027】
なお、ベース部131の内面(上面)には、黒色の塗装を施したり、熱吸収部材を設けたりしてもよい。これによれば、ハロゲンランプ120からの輻射熱を効率良く吸収することができる。
【0028】
図3に示すように、ニップ板130は、ベース部131の右端部から平板状に延びる挿入部133と、ベース部131の左端部に形成された係合部134とをさらに有している。係合部134は、側面視U形状に形成されており、上に向けて折り曲げて形成された側壁部134Aには係合孔134Bが設けられている。
【0029】
図2に示すように、反射板140は、ハロゲンランプ120からの輻射熱(主に前後方向や上方向に向けて放射された輻射熱)をニップ板130(ベース部131の内面)に向けて反射する部材であり、定着フィルム110の内側においてハロゲンランプ120を取り囲むように、ハロゲンランプ120から所定の間隔をあけて配置されている。
【0030】
このような反射板140によってハロゲンランプ120からの輻射熱をニップ板130に集めることで、ハロゲンランプ120からの輻射熱を効率良く利用することができ、ニップ板130および定着フィルム110を速やかに加熱することができる。
【0031】
反射板140は、赤外線および遠赤外線の反射率が大きい、例えば、アルミニウム板などを断面視略U形状に湾曲させて形成されている。より詳細に、反射板140は、湾曲形状(断面視略U形状)をなす反射部141と、反射部141の両端部から前後方向外側に沿って延びるフランジ部142とを主に有している。なお、熱反射率を高めるため、反射板140は、鏡面仕上げを施したアルミニウム板などを用いて形成してもよい。
【0032】
図3に示すように、反射板140の左右方向(用紙Pの幅方向)の両端部にはフランジ状の係止部143が合計4つ形成されている(3つのみ図示)。係止部143は、フランジ部142より上方に位置し、図4に示すように、ニップ板130、反射板140およびステイ160が組み立てられたときに、後述するステイ160の複数の接触部163を挟む(左右方向において最も外側の接触部163Aと隣接する)ように配置される。
【0033】
これにより、定着装置100が駆動したときの振動などで反射板140が左右に動こうとしても、係止部143が接触部163Aに当接することで、反射板140の左右方向の位置が規制される。その結果、反射板140の左右方向における位置ずれを抑制することができる。
【0034】
図2に示すように、加圧ローラ150は、ニップ板130との間で定着フィルム110を挟むことで定着フィルム110との間にニップ部N1を形成する部材であり、ニップ板130の下方に配置されている。
【0035】
この加圧ローラ150は、本体筐体2内に設けられた図示しないモータから駆動力が伝達されて回転駆動するように構成されており、回転駆動することで定着フィルム110(または用紙P)との摩擦力により定着フィルム110を従動回転させる。
【0036】
トナー像が転写された用紙Pは、加圧ローラ150と加熱された定着フィルム110の間(ニップ部N1)を搬送されることでトナー像(トナー)が熱定着されることとなる。
【0037】
ステイ160は、前後方向におけるニップ板130(ベース部131)の両端部131Bを反射板140のフランジ部142を介して支持することでニップ板130の剛性を確保する部材である。ステイ160は、反射板140(反射部141)の外面形状に沿った形状(断面視略U形状)を有して反射板140を覆うように配置されている。このようなステイ160は、比較的剛性が大きい、例えば、鋼板などを断面視略U形状に折り曲げることで形成されている。
【0038】
ステイ160の前壁161および後壁162の下端には、図3に示すように、略櫛歯状をなすように形成された複数の接触部163が設けられている。
【0039】
また、ステイ160の前壁161および後壁162の右端部には、下方に向けて延び、さらに左方へ向けて延びる略L形状の係止部165が設けられている。さらに、ステイ160の左端には、上壁166から左方に向けて延び、側面視略U形状に折り曲げられた保持部167が設けられている。保持部167の各側壁部167Aの内面には、内側に向けて突出する係合ボス167B(一方のみ図示)が設けられている。
【0040】
図2および図3に示すように、ステイ160の前壁161および後壁162の内面の左右方向両端部には、内側に向けて突出する当接ボス168が合計4つ設けられている。この当接ボス168は、前後方向において反射板140(反射部141)に当接する。これにより、定着装置100が駆動したときの振動などで反射板140が前後に動こうとしても、当接ボス168に当接することで、反射板140の前後方向の位置が規制される。その結果、反射板140の前後方向における位置ずれを抑制することができる。
【0041】
また、ステイ160の左右両端の上部には、左右方向外側に突出する被支持部169が形成され、この被支持部169は、後述するガイド部材170に支持されるようになっている。
【0042】
以上説明したステイ160に、反射板140とニップ板130を組み付ける場合、まず、ステイ160に反射板140を嵌め込むようにして取り付ける。ステイ160の前壁161および後壁162の内面には当接ボス168が設けられているので、この当接ボス168が反射板140に当接することで、反射板140はステイ160に仮保持される。
【0043】
その後、図4に示すように、ニップ板130の挿入部133をステイ160の係止部165の間に挿入してベース部131(両端部131B)を各係止部165に係合させ、次いで、ニップ板130の係合部134(係合孔134B)とステイ160の保持部167(係合ボス167B)とを係合させる。
【0044】
これにより、ニップ板130は、ベース部131の両端部131Bが係止部165に支持され、係合部134が保持部167に保持されることで、ステイ160に保持される。また、反射板140は、フランジ部142がニップ板130とステイ160に挟まれた状態で、ステイ160に保持される。
【0045】
これにより、定着装置100が駆動したときの振動などで反射板140が上下に動こうとしても、フランジ部142がニップ板130とステイ160とに挟まれていることで、反射板140の上下方向の位置が規制される。その結果、反射板140の上下方向における位置ずれを抑制することができ、ニップ板130に対する反射板140の位置を固定することができる。
【0046】
そして、ニップ板130および反射板140を保持するステイ160と、ハロゲンランプ120は、図5(a)に示すガイド部材170に直接固定されている。すなわち、ガイド部材170は、ニップ板130、反射板140、ステイ160およびハロゲンランプ120を一体的に支持している。
【0047】
ガイド部材170は、樹脂などの絶縁性の材料で形成され、定着フィルム110の両端側に1つずつ配置されて、主に定着フィルム110の左右方向(軸方向)への移動を規制している。具体的に、ガイド部材170は、定着フィルム110の左右方向への移動を規制する規制面171と、定着フィルム110の径方向内側への変形を抑えるための抑制部172と、ステイ160の両端部を保持するための保持凹部173とを主に備えている。
【0048】
抑制部172は、規制面171から左右方向内側に突出するリブであり、開口を下に向けたC字状に形成されている。そして、この抑制部172は、定着フィルム110内に入り込むことで径方向内側への変形を抑えている。また、抑制部172の下側を向いた開口は、ステイ160を保持凹部173に挿入させるための逃げ部となっている。
【0049】
保持凹部173は、下方に開口するとともに左右方向内側に貫通する溝であり、当該保持凹部173を形成する壁のうち前後方向で対向する一対の側壁174には、図5(b),(c)に示すように、一対の係合突起174Aが形成されている。各係合突起174Aは、保持凹部173の底面173A(図5(a)参照)から離れた位置から内側に突出するように形成されている。
【0050】
そして、図5(b)に示すように、保持凹部173の底面173Aと一対の係合突起174Aの間に、ステイ160の被支持部169を差し込むと、被支持部169の上下方向への動きが保持凹部173の底面173Aと一対の係合突起174Aとで規制される。これにより、ガイド部材170に対するステイ160の上下方向における位置ずれを抑制することができる。
【0051】
また、一対の係合突起174Aの左右方向内側の面174Bは、ステイ160の左右方向外側の端縁160Aが当接するようになっている。これにより、定着装置100が駆動したときの振動などでステイ160が左右に動こうとしても、係合突起174Aがステイ160に当接することで、ステイ160の左右方向の位置が規制される。その結果、ガイド部材170に対するステイ160の左右方向における位置ずれを抑制することができる。
【0052】
さらに、ステイ160は、保持凹部173の一対の側壁174間で前後に挟み込まれることで、前後方向における位置ずれが抑制されている。以上のように、ガイド部材170にステイ160が支持されることで、ニップ板130がステイ160を介してガイド部材170に一体的に支持される。
【0053】
また、ガイド部材170の左右方向外側には、ハロゲンランプ120を固定するための固定部175が左右方向外側に突出するように形成されている。固定部175の下面には、ボルトB(図6参照)を捩じ込むための取付穴175Aが形成されている。そして、図6に示すように、固定部175の下面に、ハロゲンランプ120の端部にある板状の端子121がボルトBによって直接固定される。
【0054】
また、ガイド部材170の上面には、略後方(後述するカム部186側)に適宜屈曲しながら延びる支持板176が固定されている。そして、支持板176と、定着フレーム180の上部に固定された上フレーム181との間には、支持板176およびガイド部材170を常時下方(加圧ローラ150側)に付勢するコイルスプリングSが設けられている。これにより、印字制御時においてニップ板130と加圧ローラ150との間に、好適なニップ圧がかかるようになっている。
【0055】
そして、ニップ板130等やハロゲンランプ120を一体的に支持するガイド部材170は、第2支持部材の一例としての定着フレーム180に上下に移動可能に支持されている。
【0056】
具体的に、定着フレーム180の左右の側壁には、加圧ローラ150を軸受190を介して支持する軸支溝182と、ガイド部材170を上下に移動可能に支持する支持溝183が形成されている。
【0057】
また、定着フレーム180の左右の側壁には、ガイド部材170を上下動させるための操作レバー184が回動可能に設けられている。具体的に、操作レバー184は、図7に示すように、その一端が定着フレーム180の左右の側壁に貫通する回動軸185に一体に固定されている。
【0058】
また、回動軸185の左右両端には、径方向外側に突出するカム部186が一体に固定されている。そのため、操作レバー184を回動させて左右のカム部186で左右の支持板176を上方に押圧すると、図8に示すように、左右のガイド部材170がコイルスプリングSの付勢力に抗して上昇する。また、この状態から操作レバー184を元の位置に戻すと、図6に示すように、カム部186が左右の支持板176から外れて、コイルスプリングSの付勢力により左右のガイド部材170が下降する。
【0059】
そして、このように定着フレーム180に対してガイド部材170を上下動させると、図9(a),(b)に示すように、ガイド部材170に一体的に固定されたニップ板130およびハロゲンランプ120が、定着フレーム180に支持された加圧ローラ150に対して上下に移動する。これにより、ニップ板130とハロゲンランプ120との間のクリアランスを変えることなく、ニップ圧の変更を行うことが可能となっている。
【0060】
以上によれば、本実施形態において以下のような作用効果を得ることができる。
ガイド部材170を定着フレーム180に対して移動させることで、ニップ板130を加圧ローラ150に対して移動させることができるので、ニップ圧を良好に変化させることができる。また、ニップ板130をハロゲンランプ120とともにガイド部材170で一体的に支持するので、ニップ板130とハロゲンランプ120間のクリアランスを小さくすることができ、装置の小型化を図ることができる。
【0061】
ガイド部材170および加圧ローラ150をともに1つの定着フレーム180で支持しているので、ガイド部材170および加圧ローラ150を別々の部材で支持して、これらの部材を接合させる構造に比べ、構造をシンプルにすることができる。
【0062】
反射板140およびステイ160をガイド部材170で一体的に支持したので、ニップ板130、ハロゲンランプ120、反射板140およびステイ160の各部材間のクリアランスを小さくすることができ、更なる小型化を図ることができる。また、反射板140等を小さくすることで、熱容量が下がるので、ニップ板130を迅速に加熱して、定着制御を迅速に開始することができる。
【0063】
ガイド部材170が絶縁性の材料で形成されることで、ガイド部材170にハロゲンランプ120の端子121を直接固定することができるので、例えば絶縁性の部材を介して端子を導電性のガイド部材に設ける構造に比べ、構造をシンプルにすることができる。
【0064】
本体筐体2に対して固定した定着フレーム180で加圧ローラ150を支持することで、加圧ローラ150を本体筐体2に対して前後上下に移動不能に構成したので、本体筐体2に設けた図示せぬ駆動源から加圧ローラ150に駆動力を伝達させるための機構をシンプルに構成することができる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0066】
前記実施形態では、ニップ板130を加圧ローラ150から完全に離間させる形態、すなわちニップ部で詰まった用紙Pを取り除くためにニップ圧をゼロに近い値に変更する形態を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図10(a),(b)に示すように、普通紙や厚紙などの用紙種に応じてニップ圧を大きな値から小さな値に変更するために、ニップ幅を通常の幅(N1)からそれよりも狭い幅(N2)に変更する形態に本発明を適用してもよい。また、ニップ板の位置が、通常のニップ幅(N1)となる位置、これよりも狭いニップ幅(N2)となる位置、当該ニップ板が加圧ローラから完全に離間する位置の3段階に切り替わるように構成されていてもよい。さらに、ニップ幅が3段階以上で切り替わるように、ニップ板が細かく段階的に移動可能となっていてもよい。
【0067】
前記実施形態では、ニップ板130をガイド部材170にステイ160を介して間接的に支持させたが、本発明はこれに限定されず、ニップ板をガイド部材に直接固定してもよい。また、ハロゲンランプ120をガイド部材170に他の部材を介して間接的に支持させてもよい。
【0068】
前記実施形態では、ガイド部材170を上下方向(ニップ板と加圧ローラが対向する方向)に移動させたが、本発明はこれに限定されず、例えば用紙搬送方向に移動させてもよい。
【0069】
前記実施形態では、第2支持部材である定着フレーム180が第1支持部材であるガイド部材170を移動可能に直接支持しているが、本発明はこれに限定されず、第2支持部材が他の部材を介して第1支持部材を間接的に支持するように構成されていてもよい。
【0070】
前記実施形態では、反射板140やステイ160を設けたが、本発明はこれに限定されず、反射板やステイを適宜設けない構成としてもよい。
前記実施形態では、発熱体としてハロゲンランプ120(ハロゲンヒータ)を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、赤外線ヒータやカーボンヒータなどであってもよい。
【0071】
前記実施形態では、バックアップ部材として加圧ローラ150を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ベルト状の加圧部材などであってもよい。
【0072】
前記実施形態では、記録シートとして、普通紙やはがきなどの用紙Pを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、OHPシートなどであってもよい。
【0073】
前記実施形態では、本発明の定着装置を備えた画像形成装置として、レーザプリンタ1を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、LEDによって露光を行うLEDプリンタであってもよいし、プリンタ以外の複写機や複合機などであってもよい。また、前記実施形態では、モノクロ画像を形成する画像形成装置を例示したが、これに限定されず、カラー画像を形成する画像形成装置であってもよい。
【符号の説明】
【0074】
100 定着装置
110 定着フィルム
120 ハロゲンランプ
121 端子
130 ニップ板
140 反射板
150 加圧ローラ
160 ステイ
170 ガイド部材
180 定着フレーム
N1 ニップ部
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の定着フィルムと、
前記定着フィルムの内側に配置された発熱体と、
前記定着フィルムの内面に摺接するように配置され、前記発熱体からの輻射熱を受けるニップ部材と、
前記ニップ部材との間で前記定着フィルムを挟むことで前記定着フィルムとの間にニップ部を形成するバックアップ部材とを備えた定着装置であって、
前記発熱体と前記ニップ部材とを一体的に支持する第1支持部材と、
前記ニップ部材が前記バックアップ部材に対して移動するように、前記第1支持部材を移動可能に支持する第2支持部材とを備えたことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記第2支持部材は、前記バックアップ部材を支持していることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記発熱体からの輻射熱を前記ニップ部材に向けて反射する反射板と、
記録シートの搬送方向における前記ニップ部材の両端部を支持するステイとを備え、
前記反射板および前記ステイが、前記第1支持部材に一体的に支持されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記第1支持部材は、前記定着フィルムの両端側に配置され、前記定着フィルムの軸方向への移動を規制する絶縁性の規制部材であり、
前記発熱体は、前記第1支持部材に直接固定されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の定着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−194590(P2012−194590A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−157266(P2012−157266)
【出願日】平成24年7月13日(2012.7.13)
【分割の表示】特願2009−297130(P2009−297130)の分割
【原出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】