説明

定電流電源装置

【課題】三端子レギュレータを用いた断続する負荷において、応答遅れによる歪およびオーバーシュートのような過度現象を大幅に軽減した定電流電源装置を提供することを目的とする。
【解決手段】三端子レギュレータを用いた定電流電源装置において、三端子レギュレータ1の入力端子INと出力端子OUT間に出力応答補正回路2を設けたことを特徴とする。また、出力応答補正回路2にコンデンサCを用いることや、コンデンサCを主とし、抵抗R、ダイオードD、スイッチング素子Qのいずれかを含んで組み合わせ、および、全てを含む組み合わせとしたことを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定電流電源装置の回路技術に関する

【背景技術】
【0002】
従来、三端子レギュレータを図1のように接続すると定電流素子として用いることが知られている(特許文献1、2)。
図1にその回路図を示す。図1に示すように、直流電源Vinに三端子レギュレータ1の入力端子INを接続し、その出力端子OUTと出力Vout間に抵抗Rsを接続する。そして、出力Voutから帰還電圧を三端子レギュレータ1のGND端子(またはADJ端子とも言う)に接続する。この回路によると、出力電流Io=Vref/Rsとなる。ここで、Vrefは三端子レギュレータに内蔵されている基準電圧である。
【0003】
【特許文献1】特開平10−261485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような構成の定電流電源を用いて出力Vout側の負荷を断続させると三端子レギュレータ1の応答が負荷の断続に追従できず、図2に示すように、負荷電流Ioのオンオフタイミングによって、断続の立ち上がり部分が、応答遅れによる歪およびオーバーシュートxのような過度現象を生じ、定電流として作動しない時間が発生する。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、三端子レギュレータを用いた断続する負荷において、応答遅れによる歪およびオーバーシュートのような過度現象を大幅に軽減した定電流電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、三端子レギュレータを用いた定電流電源装置において、三端子レギュレータの入力端子と出力端子間に出力応答補正回路を設けたことを特徴とするものである。また、出力応答補正回路にコンデンサを用いることや、コンデンサを主とし、抵抗、ダイオード、スイッチング素子のいずれかを含んで組み合わせ、および、全てを含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
この構成によれば、出力応答補正回路を設ける簡単な構成で電源電圧の立ち上がり時における応答遅れによるタイミングズレの過度現象を大幅に軽減することができ、断続負荷における定電流出力を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0009】
図3は、本発明の三端子レギュレータを用いた定電流電源装置の回路図を示す。
図3に示すように、本発明の定電流電源装置は、図1に示す回路図に出力応答補正回路2を三端子レギュレータ1の入力端子INと出力端子OUT間に設けたものである。
【0010】
図3の定電流電源装置において、負荷を断続するさせたとき、例えば、負荷にLEDを用いて間欠点灯させたとき、三端子レギュレータ1の入力端子INと出力端子OUT間に出力応答補正回路2を付加することにより、負荷のオンオフタイミングである断続負荷の断続時間に呼応した電力を供給でき、図5に示すように応答遅れのない、タイミングズレによる過度現象のない負荷電流Ioを出力することができる。
【0011】
そして、図4(a)は出力応答補正回路としてコンデンサのみの用いた回路である。
コンデンサCを用いることにより、断続する負荷電流を吸収すると共に、コンデンサに蓄えられたエネルギーを三端子レギュレータ1の未応答時間に供給することにより、図5に示す負荷電流Ioのように応答遅れによる歪およびオーバーシュートのような過度現象を大幅に軽減した出力となる。なお、各社三端子レギュレータの特性によって異なるが、コンデンサの容量はおおよそ0.1μF程度がよい。
【0012】
図4(b)〜(c)は、出力応答補正回路として用いることのできる主な組み合わせ例を示す。これらは、出力電流と入力電圧の関係から、また、各社三端子レギュレータの特性から、回路における最適な応答スピードに対応する組み合わせの回路を示したものであり、適宜選定して用いる。
【0013】
図4(b)は、入力端子INと出力端子OUT間に、コンデンサCと抵抗Rを直列接続したものである。コンデンサCと抵抗Rの位置関係は特にない。
図4(c)は、入力端子INと出力端子OUT間に、コンデンサC1に抵抗RとコンデンサC2の並列回路を直列に接続したものである。
図4(d)は、入力端子INと出力端子OUT間に、入力端子INにコンデンサCの一端を接続し、他端を抵抗RとダイオードDの並列回路を直列に接続し出力端子に接続したものであり、ダイオードDのカソード側を出力端子OUTに接続する。
図4(e)は、入力端子INと出力端子OUT間に、コンデンサCとダイオードDの並列回路に抵抗Rを直列に接続したものである。なお、ダイオードDのカソードは出力端子OUTに接続する。
図4(f)は、入力端子INにトランジスタQのコレクタを接続し、エミッタを出力端子OUTに接続する。そして、トランジスタQのコレクターとベース間にコンデンサCと抵抗R1の直列回路を接続し、ベースとエミッタ間に抵抗R2を接続したものである。
図4(g)は、入力端子INにトランジスタQのコレクタを接続し、エミッタを出力端子OUTに接続する。そして、トランジスタQのコレクターとベース間にコンデンサCとダイオードDの並列回路を接続し、ベースとエミッタ間に抵抗Rを接続したものである。なお、ダイオードDのカソードは入力端子INに接続する。
【0014】
以上のように、本実施形態では、三端子レギュレータの入力端子と出力端子との間にコンデンサから成る出力応答補正回路を設けるという簡単な構成で、図5に示すような、断続する負荷のオンオフタイミングに対し、応答遅れによる歪およびオーバーシュートとなる過度現象を大幅に軽減した負荷電流を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来の三端子レギュレータを用いた定電流回路
【図2】図1の定電流回路を用いた断続負荷の負荷電流
【図3】本発明の三端子レギュレータを用いた定電流電源装置
【図4】出力応答補正回路の実施例(a)〜(g)
【図5】本発明の定電流電源装置を用いた一実施例における断続負荷の負荷電流
【符号の説明】
【0016】
1 三端子レギュレータ
2 出力応答補正回路
C コンデンサ
R 抵抗
D ダイオード
Q スイッチング素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三端子レギュレータを用いた定電流電源装置において、三端子レギュレータの入力端子と出力端子間に出力応答補正回路を設けたことを特徴とする定電流電源装置。
【請求項2】
前記出力応答補正回路にコンデンサを用いたことを特徴とする請求項1記載の定電流電源装置。
【請求項3】
前記出力応答補正回路はコンデンサを主とし、抵抗、ダイオード、スイッチング素子のいずれかを含んで組み合わせ、および、全てを含む組み合わせとしたことを特徴とする請求項1記載の定電流電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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