説明

室内アンテナ

【課題】増幅回路を内蔵した室内アンテナにおいて、受信信号を増幅するか否かを切り換えることができるだけでなく、単独の増幅装置としても利用できるようにする。
【解決手段】室内アンテナの回路基板20には、増幅回路30と、パス回路40と、各回路30、40の入力側及び出力側に設けられた通過経路切換スイッチ44、46と、アンテナ素子2及び入力端子12からの受信信号の一方を選択的に増幅回路30に入力する入力経路切換スイッチ42とが設けられ、通過経路切換スイッチ44、46は、電源端子16に電源電圧が入力されているとき、切換回路50により増幅回路30側に切り換えられ、入力経路切換スイッチ42は、電源端子16に電源電圧が入力され、入力端子12が受信信号を入力可能であるとき、検出スイッチ22により入力端子12側に切り換えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信信号を増幅する増幅回路を内蔵した室内アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビ放送電波を受信するのに利用される室内アンテナには、アンテナ素子を支持して室内に設置するための支持部内に、アンテナ素子からの受信信号を増幅する増幅回路を設けたものが知られている。
【0003】
また、テレビ放送電波の電界強度が高い地域では、増幅回路は不要であるため、増幅回路を筐体内に収納した増幅部を支持部とは別体で構成し、受信信号の増幅が必要なときには、支持部に増幅部を装着し、受信信号の増幅が不要なときには、増幅部を支持部から取り外すことで、アンテナ素子からの受信信号を支持部に設けた出力端子から出力できるようにしたものも知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【0004】
ところで、室内アンテナは、室内に配置されるので、受信特性だけでなく、見栄えも重要であることから、アンテナ素子を見栄えのよいケースに収納したり、支持部の形状を変更する等、全体の見栄えがよくなるように、外観を考慮して設計される。
【0005】
しかし、特許文献1に記載のように、支持部に対し増幅部を着脱自在に構成すると、支持部から増幅部を取り外した際に、外観が大きく変化し、見栄えが悪くなることがあった。 また、特許文献1に記載のように、支持部に対し増幅部を着脱自在に構成すると、構成部品が増えるので、コストアップになるという問題もある。
【0006】
一方、室内に設置される増幅装置(所謂ブースタ)には、増幅回路とは別に、受信信号を通過させる通過回路を設け、切換スイッチを介して、増幅回路と通過回路との何れかを受信信号の通過経路として選択できるようにしたものが知られている(例えば、特許文献2等参照)。
【0007】
従って、支持部に増幅回路を内蔵した室内アンテナにおいても、この技術を適用して、アンテナ素子からの受信信号を増幅回路に通すか、或いは、通過回路に通すかを、切換スイッチを介して切り換えることができるようにすれば、支持部と増幅部とを別体で構成することなく、受信信号の出力レベルを所望レベルに設定できるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開昭61−166609号公報
【特許文献2】特開平6−326534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、室内アンテナにおいて受信信号の入力源はアンテナ素子であることから、室内アンテナには、受信信号を入力するための入力端子はなく、外部から受信信号を入力することはできなかった。
【0010】
このため、従来の室内アンテナは、アンテナ素子をケースに収納して、外観を置物のように見栄えよくしても、受信アンテナとしての機能しか得られず、室内用の増幅装置(ブースタ)として使用することはできなかった。
【0011】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、増幅回路を内蔵した室内アンテナにおいて、受信信号を増幅するか否かを切り換えることができるだけでなく、外部から入力された受信信号を増幅する増幅装置としても利用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の室内アンテナは、
アンテナ素子をケース内に収納してなるアンテナ部と、
前記アンテナ部を支持して室内に設置するための支持部と、
を備え、
前記支持部に、
受信信号を外部から入力するための入力端子と、
受信信号を外部に出力するための出力端子と、
受信信号を増幅する増幅回路と、
受信信号を通過させる通過回路と、
受信信号を、前記増幅回路を介して前記出力端子に出力させるか、前記通過回路を介して前記出力端子に出力させるかを切り換える通過経路切換手段と、
前記通過経路切換手段により、前記受信信号を前記出力端子に出力させる通過経路として前記増幅回路が選択されているとき、当該増幅回路に入力される受信信号を、前記アンテナ素子からの受信信号と前記入力端子に入力された受信信号との何れかに切り換える入力経路切換手段と、
を設けたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の室内アンテナにおいて、
前記支持部には、前記増幅回路駆動用の電源電圧を入力するための電源端子が設けられており、
前記通過経路切換手段は、前記電源端子に電源電圧が入力されているとき、該電源電圧の供給を受けて、前記受信信号を、前記増幅回路を介して前記出力端子に出力させ、前記電源端子に電源電圧が入力されていないときには、前記受信信号を、前記通過回路を介して前記出力端子に出力させることを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の室内アンテナにおいて、 前記入力端子は、前記支持部に対し、前記支持部から突出して外部から受信信号を入力可能な突出位置と、前記支持部内に収納されて外部から受信信号を入力できない待避位置とに変位可能に設けられ、前記支持部には、前記入力端子の位置を検出する位置検出手段が設けられており、
前記入力経路切換手段は、前記電源端子に電源電圧が入力されているとき、前記位置検出手段により検出された前記入力端子の位置が前記突出位置であれば、前記入力端子に入力された受信信号を前記増幅回路へ入力し、前記位置検出手段により検出された前記入力端子の位置が前記待避位置であれば、前記アンテナ素子からの受信信号を前記増幅回路へ入力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の室内アンテナにおいては、支持部に受信信号を入・出力するための入力端子及び出力端子と、受信信号を増幅する増幅回路と、受信信号を通過させる通過回路とが設けられている。
【0016】
そして、本発明の室内アンテナによれば、通過経路切換手段により、受信信号を、増幅回路を介して出力端子に出力させるか、通過回路を介して出力端子に出力させるかを切り換えることができる。
【0017】
また、この通過経路切換手段により、受信信号を出力端子に出力させる通過経路として増幅回路が選択されているときには、入力経路切換手段により、その増幅回路に入力される受信信号を、アンテナ素子からの受信信号と、入力端子に入力された受信信号との何れかに切り換えることができる。
【0018】
よって、本発明の室内アンテナによれば、アンテナ素子からの受信信号を増幅することなく出力端子から出力させるアンテナ装置としての機能と、アンテナ素子からの受信信号を増幅して出力端子から出力させる増幅器付きアンテナ装置としての機能と、外部から入力された受信信号を増幅して出力端子から出力させる増幅装置としての機能との、3つの機能を実現することができ、使用者は、その3つの機能の中から所望の機能を選択して室内アンテナを利用することができる。
【0019】
ここで、通過経路切換手段及び入力経路切換手段は、使用者が手動操作で経路を切り換えることのできる機械的な操作スイッチにて構成してもよいが、請求項2、請求項3に記載のように、増幅回路への電源供給の有無、或いは、入力端子の使用状態に連動して、経路を切り換えるように構成してもよい。
【0020】
すなわち、請求項2に記載の室内アンテナにおいて、通過経路切換手段は、電源端子に電源電圧が入力されているときに、その電源電圧の供給を受けて、受信信号を、増幅回路を介して出力端子に出力させるように構成されており、電源端子に電源電圧が入力されていないときには、受信信号を、通過回路を介して出力端子に出力させる。
【0021】
従って、請求項2に記載の室内アンテナによれば、電源端子に電源電圧が供給されない通常時には、受信信号の通過経路として通過回路が選択され、増幅回路を動作させるために、使用者が電源端子に電源電圧を供給すれば、受信信号の通過経路として、自動で増幅回路が選択されることになる。
【0022】
このため、使用者は、電源端子に電源電圧を供給するか否かを切り換えるだけで、受信信号を増幅させるか否かを切り換えることができ、手動で操作スイッチを切り換えるようにした場合に比べて、使い勝手を向上できる。
【0023】
次に、請求項3に記載の室内アンテナにおいては、入力端子が、支持部に対し、受信信号を入力可能な突出位置と、受信信号を入力できない待避位置と、に変位可能に設けられており、支持部には、入力端子の位置を検出する位置検出手段が設けられている。
【0024】
そして、入力経路切換手段は、電源端子に電源電圧が入力されているとき(換言すれば、通過経路切換手段により、受信信号の通過経路として増幅回路が選択されているとき)、位置検出手段により検出された入力端子の位置が突出位置であれば、入力端子に入力された受信信号を増幅回路へ入力し、逆に、位置検出手段により検出された入力端子の位置が待避位置であれば、アンテナ素子からの受信信号を増幅回路へ入力する。
【0025】
従って、請求項3に記載の室内アンテナによれば、入力端子が突出位置にあって外部から入力端子に受信信号を入力可能なときには、その入力端子に入力された受信信号が、増幅回路を介して出力端子から出力させる受信信号として選択され、入力端子が待避位置にあって入力端子に受信信号を入力できないときには、アンテナ素子からの受信信号が、増幅回路を介して出力端子から出力させる受信信号として選択されることになる。
【0026】
このため、使用者は、入力端子の位置を変化させるだけで、増幅回路を介して出力端子から出力させる受信信号を、入力端子から入力される受信信号と、アンテナ素子からの受信信号との何れかに切り換えることができ、この切り換えを手動で行うようにした場合に比べて、使い勝手を向上できる。
【0027】
また、請求項3に記載の室内アンテナによれば、入力端子から受信信号を入力する必要がないときには、入力端子を支持部内に収納しておくことができるので、入力端子が不要なときに、入力端子が支持部から突出されて、邪魔になるようなことはなく、しかも、不要な入力端子が突出されないので、室内アンテナの見栄えをよくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施形態の室内アンテナの外観を表し、(a)は右側面図、(b)は背面図である。
【図2】図1(b)に示すA−A線断面図である。
【図3】支持部に設けられた入力端子の位置変化を説明する説明図である。
【図4】支持部に収納された回路基板の回路構成を表すブロック図である。
【図5】図5に示す回路構成の変形例1を表すブロック図である。
【図6】図5に示す回路構成の変形例2を表すブロック図である。
【図7】図5に示す回路構成の変形例3を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1に示すように、本実施形態の室内アンテナ1は、室内の机や棚の上に載置できるように、円盤状に形成された中空の支持部4と、支持部4内に設けられたアンテナ端子6(図2参照)に給電部が固定されることにより、支持部4内の回路基板20と電気的に接続されると共に支持部4に支持されるアンテナ素子2(図4参照)と、支持部4の上にアンテナ素子2を覆うように固定されて、アンテナ素子2を保護する保護ケース8と、を備える。
【0030】
ここで、アンテナ素子2は、UHF帯のテレビ放送電波を受信するためのものであり、例えば、ループアンテナにて構成される。また、保護ケース8は、電波を透過可能な合成樹脂にて形成されている。
【0031】
なお、保護ケース8は、図1では球形状になっているが、この形状は、室内アンテナ1を置物のように見栄えよくするために、任意のキャラクタ形状にすることもできるし、彫刻が施された美術品のように形成することもできる。また、保護ケース8の表面に、絵や図柄を形成することもできる。
【0032】
次に、支持部4は円盤形状であるが、図2に示すように、外周の一部は直線状になっており、その直線部分の両端には入力端子12及び出力端子14が設けられている。また、これら各端子12,14の間には、電源電圧(直流電圧)を外部から供給するための電源端子16が設けられている。
【0033】
また、入力端子12及び出力端子14は、支持部4の底面から回路基板20を囲むように立設された壁部10に固定されている。
この壁部10は、合成樹脂にて支持部4と一体形成されており、回路基板20は、電源端子16と共にシールド用の金属ケース18内に収納した状態で、壁部10の内側に固定されている。
【0034】
また、入力端子12及び出力端子14は、それぞれ、F型プラグを使って同軸ケーブルを接続できるように、一端が、F型コネクタを構成するコネクタ部12a、14aとして形成されており、他端が、コネクタ部12a、14aに対しL字状に折り曲げられて、壁部10において互いに対向する部位に固定されている。
【0035】
そして、出力端子14は、コネクタ部14aを支持部4から突出させた状態で、壁部10に固定され、壁部10内部で回路基板20に接続されている。
これに対し、入力端子12は、図3(a)に示すように、コネクタ部12aを支持部4内に収納した待避位置と、図3(c)に示すように、コネクタ部12aを支持部4から突出させた突出位置との間で変位できるように、壁部10に対し回動自在に固定されている。
【0036】
また、図3(b)に示すように、支持部4には、入力端子12を待避位置から突出位置或いはその逆方向へと変位させる際に、入力端子12を通過させるための開口部4aが形成されており、その開口部4aには、入力端子12が待避位置或いは突出位置にあるときに開口部4aを閉じるための蓋体5が、開閉自在に設けられている。
【0037】
また、支持部4内の壁部10には、入力端子12が待避位置にあるとき、入力端子12のコネクタ部12aが操作部22aに当接されてオン状態となり、入力端子12が突出位置にあるとき、操作部22aが開放されてオフ状態となるマイクロスイッチ(以下、検出スイッチという)22が設けられている。
【0038】
なお、この検出スイッチ22は、本発明の位置検出手段に相当するものであり、この検出スイッチ22の端子は、壁部10内で回路基板20に接続されている。
次に、回路基板20には、図4に示すように、アンテナ素子2若しくは入力端子12から入力される受信信号を増幅するための増幅回路30と、受信信号をそのまま通過させるためのパス回路(本発明の通過回路に相当)40と、これら各回路30、40の入力側及び出力側にそれぞれ設けられ、受信信号の通過経路として増幅回路30及びパス回路40の何れか一方を選択するための一対の通過経路切換スイッチ44、46と、アンテナ素子2からの受信信号と入力端子12に入力された受信信号との何れか一方を増幅回路30に入力するための入力経路切換スイッチ42が設けられている。
【0039】
なお、増幅回路30は、増幅対象となるUHF帯の受信信号(テレビ放送信号)を選択的に通過させるハイパスフィルタ(HPF)32及びローパスフィルタ(LPF)34と、これら両フィルタ32,34を通過した受信信号を増幅する増幅部36とから構成されており、増幅部36には、電源端子16から入力される電源電圧が供給される。
【0040】
また、入力端子12から入力経路切換スイッチ42に至る受信信号の入力経路、及び、通過経路切換スイッチ46から出力端子14に至る受信信号の出力経路には、それぞれ、避雷器としてのSPD(サージ保護デバイス:Surge Protective Device )47,48が設けられている。
【0041】
次に、通過経路切換スイッチ44,46及び入力経路切換スイッチ42は、それぞれ、本発明の通過経路切換手段及び入力経路切換手段に相当するものであり、使用者が手動操作で信号経路を切り換えることができる操作スイッチにて構成することもできるが、本実施形態では、通電・非通電により信号経路を切換可能な高周波スイッチにて構成されている。
【0042】
そして、通過経路切換スイッチ44,46は、非通電時には、受信信号の通過経路としてパス回路40を選択し、通電時には、受信信号の通過経路として増幅回路30を選択するように設定されている。
【0043】
このため、回路基板20には、これら各経路切換スイッチ44、46を駆動する回路として、電源端子16に入力される電源電圧を受けて、通電用の駆動信号を出力する切換回路50が設けられている。
【0044】
従って、通過経路切換スイッチ44,46は、電源端子16に電源電圧が入力されていないとき(換言すれば、増幅回路30が動作しないとき)には、受信信号の通過経路としてパス回路40を選択し、電源端子16に電源電圧が入力されているとき(換言すれば、増幅回路30が動作しているとき)には、受信信号の通過経路として増幅回路30を選択することになる。
【0045】
また、入力経路切換スイッチ42は、非通電時には、アンテナ素子2からの受信信号を通過させ、通電時には、入力端子12に入力された受信信号を通過させるように設定されている。
【0046】
そして、この入力経路切換スイッチ42には、電源端子16に入力される電源電圧が、入力端子12の位置に応じてオン・オフ状態が切り換えられる検出スイッチ22を介して印加される。
【0047】
従って、入力経路切換スイッチ42は、入力端子12が受信信号を入力可能な突出位置に配置され、且つ、電源端子16に電源電圧が入力されているときに、通電状態となって、入力端子12に入力された受信信号を、通過経路切換スイッチ44を介して増幅回路30側に通過させることになり、入力端子12が受信信号を入力できない待避位置に配置されているときには、非通電状態となって、アンテナ素子2からの受信信号を、通過経路切換スイッチ44を介して増幅回路30若しくはパス回路40側に通過させることになる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態の室内アンテナ1によれば、上記各経路切換スイッチ42〜46による経路切換によって、アンテナ素子2からの受信信号を増幅することなく出力端子14から出力させるアンテナ装置としての機能と、アンテナ素子2からの受信信号を増幅して出力端子14から出力させる増幅器付きアンテナ装置としての機能と、外部から入力された受信信号を増幅して出力端子14から出力させる増幅装置としての機能との、3つの機能を実現することができる。
【0049】
また、本実施形態では、上記各経路切換スイッチ42〜46を、通電・非通電により受信信号の通過経路を切換可能な高周波スイッチにより構成し、電源端子16に電源電圧が供給されているときに、切換回路50若しくは検出スイッチ22を介して、通過経路切換スイッチ44,46若しくは入力経路切換スイッチ42へ通電することにより、信号経路を切り換えるようにされている。
【0050】
このため、使用者は、電源端子16に増幅回路30駆動用の電源電圧を供給するだけで、受信信号の通過経路をパス回路40から増幅回路30へ自動で切り換えることができる。
【0051】
また、使用者は、外部から受信信号を入力するために入力端子12の位置を、待避位置から突出位置に変更するだけで、電源端子16への電源電圧入力時(換言すれば、増幅回路30の動作時)に増幅回路30に入力される受信信号を、入力端子12から入力される受信信号に設定することができる。
【0052】
よって、本実施形態の室内アンテナ1によれば、当該室内アンテナ1の動作モードを上述した3つの動作モード(アンテナ装置、増幅器付きアンテナ装置、増幅装置)の何れかに設定する際に、上記各経路切換スイッチ42〜46を切り換えるための特別な操作を行う必要がなく、使い勝手を向上できる。
【0053】
また、本実施形態の室内アンテナ1によれば、入力端子12から受信信号を入力する必要がないときには、入力端子12の位置を待避位置にして蓋体5を閉じておくことで、入力端子12を支持部4内に収納して、コネクタ部12aを外から隠すことができる。
【0054】
このため、入力端子12が不要なときに、入力端子12が支持部4から突出されて、邪魔になるようなことはなく、しかも、室内アンテナ1の見栄えをよくすることができる。
なお、本実施形態では、増幅回路30に代えて受信信号を通過させる通過回路として、受信信号をそのまま通過させるパス回路40を設けるものとして説明したが、通過回路として、可変減衰器を備えた減衰回路を設けるようにしてもよい。そして、このようにすれば、受信信号を所望の減衰量にて減衰させて通過させることができ、出力端子14から出力される受信信号の信号レベルをより適正レベルに設定できる。
【0055】
また、増幅回路30についても、同様に可変減衰器を設けることで、増幅回路30の利得を調整できるようにしてもよいし、AGC回路を設けて、出力レベルを一定レベルに自動制御するようにしてもよい。
【0056】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて、種々の態様をとることができる。
そこで次に、本発明の他の実施態様として、3つの変形例について説明する。
(変形例1)
上記実施形態では、通過経路切換手段として、高周波スイッチからなる通過経路切換スイッチ44、46を用いるものとして説明したが、図5に示すように、通過経路切換スイッチ44、46に代えて、それぞれ、切換回路50からの通電・非通電によりカットオフ周波数を切換可能なローパスフィルタ(以下、可変LPFという)52a、52bとハイパスフィルタ(以下、可変HPFという)54a、54bとからなるフィルタ回路を設けるようにしてもよい。
【0057】
つまり、パス回路40の入力側と出力側には、それぞれ、通電時にカットオフ周波数が300MHzとなり、非通電時にカットオフ周波数が770MHzとなる可変LPF52a、52bを設け、増幅回路30の入力側と出力側には、それぞれ、通電時にカットオフ周波数が470MHzとなり、非通電時にカットオフ周波数が900MHzとなる可変HPF54a、54bを設けるのである。
【0058】
そして、本変形例の構成によれば、電源端子16に電源電圧が供給されて増幅回路30が動作しているときには、可変LPF52a、52b及び可変HPF54a、54bが切換回路50を介して通電されて、可変LPF52a、52bが受信信号(UHF帯のテレビ放送信号:周波数470MHz〜770MHz)の通過を阻止し、可変HPF54a、54bが受信信号を通過させる。
【0059】
また、電源端子16に電源電圧が供給されず、増幅回路30が動作を停止しているときには、可変LPF52a、52b及び可変HPF54a、54bが非通電状態となるので、可変LPF52a、52bが受信信号を通過させ、可変HPF54a、54bが受信信号の通過を阻止する。
【0060】
よって、本変形例のように、通過経路切換手段を、通電・非通電によりカットオフ周波数を切換可能なフィルタ回路(可変LPF52a、52b及び可変HPF54a、54b)を用いて構成しても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0061】
なお、通電・非通電によりカットオフ周波数を切換可能なフィルタ回路としては、PINダイオードや半導体スイッチ等、通電・非通電により高周波信号の通過・遮断を切換可能な半導体素子を備え、その半導体素子への通電・非通電の切り換えによりフィルタ特性を変更可能なフィルタ回路が知られている。
【0062】
従って、本変形例の可変LPF52a、52b及び可変HPF54a、54bについても、この種のフィルタ回路を用いて構成すればよい。そして、この種のフィルタ回路は、周知であるため、本変形例では、可変LPF52a、52b及び可変HPF54a、54bの具体的構成については説明を省略する。
(変形例2)
変形例1では、パス回路40の入力側及び出力側に可変LPF52a、52bを設け、増幅回路30の入力側及び出力側に可変HPF54a、54bを設けることで、受信信号の通過経路を、これら各フィルタ回路を用いてパス回路40及び増幅回路30の何れかに切り換えるものとして説明したが、例えば、図6に示すように、パス回路40の入力側に可変LPF52aを設け、増幅回路30の入力側には、通電・非通電により高周波信号の通過・遮断を切換可能な半導体素子からなる通過経路切換スイッチ56を設け、パス回路40及び増幅回路30の出力側には、上記実施形態と同様の通過経路切換スイッチ46を設けるようにしてもよい。
【0063】
そして、このようにしても、電源端子16に電源電圧が供給されていなければ、アンテナ素子2からの受信信号が、パス回路40及び出力端子14を介して外部に出力され、電源端子16に電源電圧が供給されていれば、検出スイッチ22がオン状態であるとき(換言すれば入力端子12が待避位置にあるとき)、アンテナ素子2からの受信信号が増幅回路30及び出力端子14を介して外部に出力され、検出スイッチ22がオフ状態であるとき(換言すれば入力端子12が突出位置にあるとき)、入力端子12からの受信信号が増幅回路30及び出力端子14を介して外部に出力される。
【0064】
従って、本変形例2においても、上記実施形態や変形例1と同様の効果を得ることができる。
(変形例3)
次に、パス回路40は、アンテナ素子2からの受信信号を通過させることができればよく、入力端子12に入力された受信信号を通過させる必要はないことから、図7に示すように、パス回路40には、アンテナ素子2からの受信信号がそのまま入力されるようにし、その出力側に通過経路切換スイッチ46を設けるようにしてもよい。
【0065】
そしてこの場合、電源端子16に電源電圧が入力されているときに、アンテナ素子2からの受信信号と、入力端子12からの受信信号との何れかを増幅回路30に入力すればよいので、図4に示した入力経路切換スイッチ42と通過経路切換スイッチ44とに代えて、アンテナ素子2からの受信信号と入力端子12からの受信信号との一方を選択的に増幅回路30に入力可能な入力経路切換スイッチ58を設けるようにしてもよい。
【0066】
そして、この入力経路切換スイッチ58は、入力経路切換手段としての機能だけでなく、通過経路切換手段としての機能を持たせる必要があるため、切換回路50から電源電圧が供給されていないとき(非通電時)には、図7に記載のように信号経路を形成しない開放状態となり、切換回路50から電源電圧が供給されているとき(通電時)には、検出スイッチ22の状態に応じて、増幅回路30の入力端子をアンテナ素子2側、若しくは、入力端子12側に選択的に切り換えるように構成すればよい。
【0067】
つまり、入力経路切換スイッチ58を、入力経路切換スイッチ58に切換回路50から電源電圧が供給されているとき、検出スイッチ22がオン状態(換言すれば、入力端子12が待避位置)であれば、アンテナ素子2からの受信信号を増幅回路30に入力し、検出スイッチ22がオフ状態(換言すれば、入力端子12が突出位置)であれば、入力端子12からの受信信号を増幅回路30に入力するよう、構成するのである。
【0068】
そして、このようにしても、電源端子16に電源電圧が供給されていなければ、アンテナ素子2からの受信信号が、パス回路40及び出力端子14を介して外部に出力され、電源端子16に電源電圧が供給されていれば、入力端子12が待避位置にあるとき、アンテナ素子2からの受信信号が増幅回路30及び出力端子14を介して外部に出力され、入力端子12が突出位置にあるとき、入力端子12からの受信信号が増幅回路30及び出力端子14を介して外部に出力されることになるため、本変形例3においても、上記実施形態や変形例1、2と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0069】
1…室内アンテナ、2…アンテナ素子、4…支持部、4a…開口部、5…蓋体、6…アンテナ端子、8…保護ケース、10…壁部、12…入力端子、12a…コネクタ部、14…出力端子、14a…コネクタ部、16…電源端子、20…回路基板、22…検出スイッチ、22a…操作部、30…増幅回路、32…HPF(ハイパスフィルタ)、34…LPF(ローパスフィルタ)36…増幅部、40…パス回路、42…入力経路切換スイッチ、44,46…通過経路切換スイッチ、50…切換回路、52a,52b…可変LPF(ローパスフィルタ)、54a,54b…可変HPF(ハイパスフィルタ)、56…通過経路切換スイッチ、58…入力経路切換スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ素子をケース内に収納してなるアンテナ部と、
前記アンテナ部を支持して室内に設置するための支持部と、
を備え、
前記支持部に、
受信信号を外部から入力するための入力端子と、
受信信号を外部に出力するための出力端子と、
受信信号を増幅する増幅回路と、
受信信号を通過させる通過回路と、
受信信号を、前記増幅回路を介して前記出力端子に出力させるか、前記通過回路を介して前記出力端子に出力させるかを切り換える通過経路切換手段と、
前記通過経路切換手段により、前記受信信号を前記出力端子に出力させる通過経路として前記増幅回路が選択されているとき、当該増幅回路に入力される受信信号を、前記アンテナ素子からの受信信号と前記入力端子に入力された受信信号との何れかに切り換える入力経路切換手段と、
を設けたことを特徴とする室内アンテナ。
【請求項2】
前記支持部には、前記増幅回路駆動用の電源電圧を入力するための電源端子が設けられており、
前記通過経路切換手段は、前記電源端子に電源電圧が入力されているとき、該電源電圧の供給を受けて、前記受信信号を、前記増幅回路を介して前記出力端子に出力させ、前記電源端子に電源電圧が入力されていないときには、前記受信信号を、前記通過回路を介して前記出力端子に出力させることを特徴とする請求項1に記載の室内アンテナ。
【請求項3】
前記入力端子は、前記支持部に対し、前記支持部から突出して外部から受信信号を入力可能な突出位置と、前記支持部内に収納されて外部から受信信号を入力できない待避位置とに変位可能に設けられ、前記支持部には、前記入力端子の位置を検出する位置検出手段が設けられており、
前記入力経路切換手段は、前記電源端子に電源電圧が入力されているとき、前記位置検出手段により検出された前記入力端子の位置が前記突出位置であれば、前記入力端子に入力された受信信号を前記増幅回路へ入力し、前記位置検出手段により検出された前記入力端子の位置が前記待避位置であれば、前記アンテナ素子からの受信信号を前記増幅回路へ入力することを特徴とする請求項2に記載の室内アンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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