説明

室内改装費用見積システム

【課題】実際に居住している部屋の改修費用を容易に算出することができ、この部屋に設置する家具などのレイアウトなどもシミュレーションすることが可能な室内改装費用見積システムを提供する。
【解決手段】デジタルカメラCにより撮影された画像を元に部屋情報入力手段100を備える。カタログ情報の仕上げ材の中から選択した床材や壁材の各選択情報を入力する仕上情報入力手段200を備える。各情報に基づいた三次元見取り図20が端末画面1A上に表示される見取図表示手段300を備える。部屋情報、選択情報に基づいて室内改装費用を算出する見積算出手段500を備える。実寸比率の三次元見取り図20上で、シミュレーションしながら室内改装費用を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客が専門家の助けを借りずに内装の改修費用を算定することができる室内改装費用見積システムに係り、特に、模様替えの様子を部屋の実寸比率でシミュレーションしながら算定することが可能な室内改装費用見積システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の見積りシステムとして、特許文献1に記載の住宅プランニングシステムや、特許文献2の建築費見積方法が提案されている。
【0003】
特許文献1の住宅プランニングシステムでは、マルチメディアプレーヤーを利用して住宅建築の予算に応じて間取りを選択し、各間取りの詳細情報を入力することで、顧客の希望や条件に応じた住宅プランをテレビ画面に表示するシステムである。
【0004】
また、特許文献2の建築費見積方法には、コンピュータに記憶させてある部屋の種類から特定の種類を選択して各部屋の広さを入力することで、建築費用を算出する見積方法が記載されている。
【0005】
これらの各特許文献は、いずれも建築物のイメージをテレビ画面やモニターで確認しながら建築プランを検討し、建築費用を算定するものである。
【0006】
一方、特許文献3に、間取り図立体表示システムが記載されている。この表示システムでは、画面に表示された半畳単位のグリッドを塗りつぶして部屋の広さを選択し、予め用意されている部屋の種類から特定の部屋を選択すると、塗りつぶした部分が選択した部屋の表示に切り替わるようにすることで、間取りの作成作業が容易になるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−256045号公報
【特許文献2】特許第3366567号公報
【特許文献3】特許第3166514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のシステムでは、全体の予算額に基づいて部屋別の予算額を自動的に決定し、この予算額から予め用意されている間取り等を提示するシステムである。そのため、このシステムでは、予め用意されている間取りなどから画一的に費用を算出することは可能でも、実際に居住している部屋の実寸法に対応した改装費用を見積ることは困難であった。
【0009】
また、特許文献2の見積方法においても、予め記憶されている部屋の種類の中から居間や台所などの種類を選択し、選択した部屋に基づいて各部屋の建築費を算出する方法である。したがって、この見積方法によっても予め用意されている部屋の見積りに制限され、部屋の実寸法に対応した予算を算出することはできない。
【0010】
一方、特許文献3に記載されている間取り図立体表示システムでは、画面に表示されたグリッドを塗りつぶして部屋の広さを選択するシステムである。ところが、表示されるグリッドは、表示可能な最小単位が半畳単位の広さになるといった寸法上の制限があり、部屋の床や壁、窓等の実寸法に合せた表示をすることはできない。この結果、この間取り図立体表示システムにおいても部屋の実寸法に対応した改装には利用することができない。
【0011】
このように、従来の見積りシステムや間取り表示システムでは、実際に居住している部屋の現実的な改装見積りをサポートすることは困難であった。すなわち、現実の部屋は、たとえ床面積が同じであるとしても、床の形状や壁の高さなど、室内の寸法は部屋ごとに異なるものである。しかも、窓の数や大きさ、柱の位置などの条件が加わることで、室内状況はさらに変化する。そのため、従来のシステムの如く、予め用意されている間取りなどから概略費用を算出することは可能でも、現実の部屋の改装状況をシミュレーションすることは不可能であるばかりでなく、各部屋の実寸法に対応した見積りを算出することもできない。
【0012】
そこで本発明は上述の課題を解消すべく創出されたもので、実際に居住している部屋の改修費用を容易に算出することができ、しかも、この部屋に設置する家具などのレイアウトなどもシミュレーションすることが可能な室内改装費用見積システムの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、部屋単位の改装費用を自動的に算出する室内改装見積システムであって、デジタルカメラCにより撮影された画像データに基づいて実寸比率の三次元見取り図20を構成し、該三次元見取り図20を三次元処理用モジュールが配信された端末1の端末画面1A上に表示するように設定された部屋情報入力手段100を備え、該端末画面1A上に表示された実寸比率の三次元見取り図20上で室内の改装をシミュレーションしながら改装費用を算出することにある。
【0014】
第2の手段の前記部屋情報入力手段100は、キャリブレーショングリッド34を撮影してデジタルカメラCの歪パラメータを確定する歪パラメータ確定工程110と、歪パラメータを測定したデジタルカメラCによって特定の方向からマーキングポイント32と共に室内を撮影する撮影工程120と、歪パラメータと室内を撮影した画像データとを端末1から部屋モデル作成サーバー5へ送信する送信工程130と、該部屋モデル作成サーバー5において、歪パラメータで誤差を補正した画像データに基づき室内の画像データを三次元データに変換する画像変換工程140と、部屋モデル作成サーバー5から前記端末1に三次元データをダウンロードして前記端末画面1A上に実寸比率の三次元見取り図20を表示する部屋モデル表示工程150と、を備えたことにある。
【0015】
第3の手段の前記室内改装見積システムは、該三次元処理用モジュールの中に記録されているカタログ情報の仕上げ材の中から選択した床材や壁材の各選択情報を入力する仕上情報入力手段200と、部屋情報入力手段100及び仕上情報入力手段200で入力された情報に基づいて改装パターンをシミュレーションした三次元見取り図20が端末画面1A上に表示される見取図表示手段300と、見取図表示手段300に表示された情報に基づいて室内改装費用を算出する見積算出手段500と、を備えたことにある。
【0016】
第4の手段は、前記室内改装見積システムにおいて、前記端末画面1Aに表示された家具や備品の各種カタログ情報から選択した物品が、前記三次元見取り図20上に実寸比率で表示されるカタログ表示手段400を備えたものである。
【0017】
第5の手段において、前記カタログ表示手段400は、前記三次元処理用モジュールに登録されている各種カタログ情報から選択した物品が、前記三次元見取り図20上に実寸比率で表示されるものである。
【0018】
第6の手段の前記カタログ表示手段400は、各種カタログ情報を登録したカタログ提供用サーバーにアクセスし、該各種カタログ情報から選択した物品が、前記三次元見取り図20上に実寸比率で表示されることにある。
【0019】
第7の手段は、前記カタログ表示手段400において、前記端末画面1A上に、カタログ表示手段400から選択した物品の配置位置を指定する位置入力画面50が表示され、該位置入力画面50の調整により前記三次元見取り図20上で物品の配置位置が移動するように構成されている。
【0020】
第8の手段において、前記三次元処理用モジュールは、見積もり機能を搭載したゲーム用3Dエンジンのビュワーが使用されていることを課題解消のための手段とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の請求項1の如く、簡易カメラCの画像を元にして部屋情報入力手段100により、端末画面1A上に表示された実寸比率の三次元見取り図20上で、改装パターンをシミュレーションしながら室内改装費用を算出するので、実際に居住している部屋の実寸法に基づいて改装費用を容易に算出することができる。
【0022】
請求項2のように、前記部屋情報入力手段100として、歪パラメータ確定工程110と、撮影工程120と、送信工程130と、画像変換工程140と、部屋モデル表示工程150と、を備えたことで、顧客のデジタルカメラCで写した室内の画像が実寸比率の三次元見取り図20として端末画面1A上に表示することができる。この結果、顧客の室内を端末画面1A上で簡単に表示することが可能になり、ゲーム感覚で実際に居住している部屋の改装費用を算出することが可能になった。
【0023】
請求項3の如く、三次元処理用モジュールの中に記録されているカタログ情報の仕上げ材の中から選択した床材や壁材の各選択情報を入力する仕上情報入力手段200と、部屋情報入力手段100及び仕上情報入力手段200で入力された情報に基づいて改装パターンをシミュレーションした三次元見取り図20が端末画面1A上に表示される見取図表示手段300と、見取図表示手段300に表示された情報に基づいて室内改装費用を算出する見積算出手段500と、を備えたことにより、自己の部屋のシミュレーションを簡単に実現し、そして、これにより顧客にとってリアリティあるシミュレーションをすることに成功した。
【0024】
請求項4乃至6のカタログ表示手段400により、登録されている家具や備品の各種カタログ情報から選択した物品が、前記三次元見取り図20上に実寸比率で表示されるので、リアルな三次元見取り図20の中で、希望の家具や備品を選択することができるものである。
【0025】
請求項6のカタログ表示手段400では、例えば家具メーカー等のホームページに登録されている各種カタログ情報から選択することが可能になる。
【0026】
請求項7のカタログ表示手段400により、位置入力画面50のスライダーボタン51をスライド調整することで配置位置が壁面からの距離若しくは床面からの高さで示す数値で表示されると共に、該数値の変更に伴って前記三次元見取り図20上で物品の配置位置が移動するので、室内で使用する家具や備品を設置した状態を具体的に把握することが可能になる。
【0027】
請求項8の如く、三次元見取り図20は、ゲーム用3Dエンジンにて描写され、該ゲームエンジン用ビュワーをダウンロードした端末1の端末画面1Aに表示するものであるから、この三次元見取り図20は、例えば3Dキャドを使用した三次元画像に比べて処理を高速化することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明システムの一実施例を示す概略図である。
【図2】本発明システムの処理手順を示すブロック図である。
【図3】本発明システムの処理手順を示すフロー図である。
【図4】本発明の端末画面の一実施例を示す正面図である。
【図5】本発明の選択画面を示す正面図である。
【図6】本発明の部屋情報入力手段を示すブロック図である。
【図7】本発明の歪パラメータ確定工程を示すブロック図である。
【図8】本発明のキャリブレーショングリッドを示す正面図である。
【図9】カメラCの歪パラメータの確定状況を示す正面図である。
【図10】カメラの歪パラメータを補正した状況を示す正面図である。
【図11】顧客の端末画面に表示したキャリブレーショングリッドを撮影する手順を示す正面図である。
【図12】(イ)、(ロ)は、キャリブレーショングリッドを撮影する方向を示す正面図である。
【図13】本発明の人工マーキングポイントとしてA4用紙を使用した実施例の正面図である。
【図14】本発明の人工マーキングポイントとしてCD袋を使用した実施例の正面図である。
【図15】顧客が室内を撮影する手順を示す概略図である。
【図16】(イ)、(ロ)は、顧客が室内を撮影する注意点を示す概略図である。
【図17】人工マーキングポイントを使用して室内を撮影した一例を示す斜視図である。
【図18】人工マーキングポイントを使用して室内を撮影した他の例を示す斜視図である。
【図19】本発明の家具・備品選択画面を示す正面図である。
【図20】本発明の家具等の位置入力画面を示す正面図である。
【図21】本発明の三次元見取り図における家具等の位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の室内改装費用見積システムによると、実際に居住している部屋の実寸法に基づく改修費用を容易に算出することができ、しかも、この部屋に設置する家具などのレイアウトなどもシミュレーションすることが可能になるなどといった目的を実現した。
【実施例】
【0030】
以下、本発明の一実施例を説明する。本発明システムは、部屋単位の改装費用を自動的に算出するシステムであり、端末画面1Aに表示された実寸比率の三次元見取り図20上で、改装パターンをシミュレーションしながら室内改装費用を算出するものである(図4参照)。
【0031】
図1は、本発明システムの構成を示す概略図である。同図において、符号1は顧客が操作するコンピュータの端末であり、この端末1からインターネット網2を介してホームページサーバー3にアクセスし、このホームページサーバー3は、顧客の会員番号やパスワードなどの会員情報を処理する。その後、自動見積サーバー4や部屋モデル作成サーバー5を介して端末1に見積り額や見積りに必要な三次元処理用モジュールや、LCD平面グリッド点の描画プログラムをダウンロードする。
【0032】
自動見積サーバー4は、ホームページサーバー3が正規の顧客として確認した端末1に三次元処理用モジュールを配信し、端末画面1Aに三次元見取り図20を表示する。この三次元処理用モジュールは、見積もり機能を搭載したゲーム用3Dエンジンのビュワーが使用されている。このゲーム用3Dエンジンとして、例えばUnity Technologies 社のUnity-3D(登録商標)と称する市販のゲーム開発用ソフトを使用することで、見積もり機能を搭載したビュワーを作成できる。本発明では、このビュワーを三次元処理用モジュールとして利用するものである。
【0033】
自動見積サーバー4からダウンロードした三次元処理用モジュールで、端末画面1Aに実寸比率の三次元見取り図20を表示し、改装パターンをシミュレーションする。端末画面1Aには、三次元見取り図20のほか、選択画面10や寸法入力画面30、間口入力画面40、位置入力画面50が同時に、あるいは選択的に表示される。
【0034】
この三次元処理用モジュールには、床、壁、仕上げ材や照明器具、家具等の室内に配置する物品に関する各種カタログ情報が保存されており、三次元処理用モジュールを読み込んだ端末1は、スタンドアロンで何回でも見積りを行うことができる。更に、この三次元処理用モジュールは、デジタルカメラCで撮影された室内画像に基づいて三次元見取り図20を表示する。すなわち、この三次元見取り図20は顧客の部屋が実寸比率で表示されるので、改装シミュレーションを、顧客の部屋の間取りや家具等の配置状態に基づいて極めてリアルに行うことができるシステムである。
【0035】
このような本発明システムの基本的な処理手段は、部屋情報入力手段100、仕上情報入力手段200、見取図表示手段300、カタログ表示手段400、見積算出手段500、にて行われる(図2参照)。
【0036】
部屋情報入力手段100は、端末画面1A上の三次元見取り図20で表示する部屋の間取りや寸法を、顧客がデジタルカメラCで撮影した室内の画像データに基づいて、改装しようとする現実の部屋の間取りや実寸比率に変換して表示する手段である。
【0037】
この部屋情報入力手段100では、カメラCの画像データから三次元空間での物体の幾何情報を計算し、物体を立て直し認識するといったカメラキャリブレーションの手法を採用する。そのため、部屋情報入力手段100には、歪パラメータ確定工程110と、撮影工程120と、送信工程130と、画像変換工程140と、部屋モデル表示工程150と、を備えている(図6参照)。
【0038】
歪パラメータ確定工程110は、顧客が使用するデジタルカメラCのレンズの歪を取り除くために必要な工程で、キャリブレーショングリッド34を撮影することで、撮影に使用したカメラC画像の歪パラメータを確定する。キャリブレーショングリッド34を撮影するには、コンピュータの端末画面1Aにキャリブレーショングリッド34を表示し、この端末画面1Aを撮影する(図7参照)。
【0039】
このキャリブレーショングリッド34は、部屋モデル作成サーバー5からダウンロードしたLCD平面グリッド点の描画プログラムで表示する(図8参照)。このとき、端末画面1Aが液晶画面ではない、あるいは画面サイズが小さいなど、キャリブレーショングリッド34の撮影に適さない場合は、予めキャリブレーショングリッド34を印刷した用紙を撮影してもカメラCの歪パラメータを確定することができる。
【0040】
そして、デジタルカメラCでキャリブレーショングリッド34を撮影すると、歪誤差の分布は図9のようになっている。そこで撮影したこの画像データからこの歪パラメータを計算して誤差を修正すると図10のようなカメラ映像の誤差分布に補正される。カメラCはデジタルカメラを使用し、コンパクトカメラや携帯カメラなどでもよい。
【0041】
キャリブレーショングリッド34の撮影では回転撮影の方式、すなわち多方向の撮影ポイント33から撮影することで、できるだけ多くの歪誤差を修正することができる(図11参照)。より詳しくは、正面、上下、左右の合計5方向から2枚ずつ撮影することで、歪パラメータを正確に計測することができる(図12(イ)参照)。このとき、カメラCは時計周りに90度回転させて2枚ずつ撮影する必要がある。また、これら四つの位置から撮影する角度は、キャリブレーショングリッド34が表示された端末画面1Aに対して45度の角度とする(同図(ロ)参照)。
【0042】
次に、撮影工程120は、歪パラメータを測定したデジタルカメラCによって改装しようとする現実の部屋の間取りを撮影する工程である。この撮影工程120では、マーキングポイント32と共に特定の方向から室内を撮影することが重要である。
【0043】
このマーキングポイント32は、予め寸法が決められたマークを使用する(図13及び図14参照)。このマーキングポイント32を所望する部屋の壁等に貼って撮影すると、このマークの寸法から相対的に室内の他の寸法が解析されることになる(図17及び図18参照)。このマーキングポイント32として、標準A4用紙(図13)やCD袋(図14)を使用することができる。すなわち、標準A4用紙は210×297mm、CD袋は125×125mmとして寸法が標準化され、既知寸法になっている。そこで、これらの寸法が明らかなマーキングポイント32を壁面等に設置することで、これらの寸法に基づいて室内の各寸法を算出することが可能になる。このとき、マーキングポイント32の外形が明確に写るように四隅を目立つ色で塗りつぶす。四隅を塗りつぶす範囲は各30〜50mmほどが望ましい(図13及び図14参照)。
【0044】
そして、このマーキングポイント32を、室内の所定の位置に貼り付けたり置いたりして設置する。マーキングポイント32は、壁30、扉31、窓、部屋の高さ、家具33、あるいは二つの特徴のある二点間の距離などが測定できるように設置する(図17及び図18参照)。そして、ひとつのマーキングポイント32に対して45度以下、15度以上の二方向以内で撮影した複数の写真を一組とする(図15参照)。このとき、デジタルカメラCの高さは一定とし、撮影時の視野が集約する複数方向から撮影する(図16参照)。
【0045】
次に、送信工程130は、撮影工程120により得られた撮影画像及び歪パラメータを送信画面1Aから部屋モデル作成サーバー5へ送信する工程である(図1参照)。すなわち、顧客が撮影した室内の画像データと、キャリブレーショングリッド34を撮影した歪パラメータとを部屋モデル作成サーバー5へ送信すると、該部屋モデル作成サーバー5において、画像変換工程140が行われる。
【0046】
この画像変換工程140は、室内の画像データに基づき、カメラキャリブレーションの手法で特定範囲の3次元計測を行い、解析された3Dモデルデータから立体画像データに変換するものであり、基本的に3次元モデル処理ソフトを使って作成するものである。すなわち、撮影対象に対して少し角度を変えて撮った2方向からの写真画像を、同一画面上に表示させて、一方のポイント(画像解像度dpiに依存した点で、たとえば、ドア枠の右上隅)とそれと同じと思われる他方の写真上のポイントを指示する。プログラム上ではこの2点間は同一点と認識する。この指示点の作業を繰り返し、形ができるように増やしていく。この点群と角度の違う撮影画像、更にはキャリブレーションから得られたレンズ特性値を利用して、写真測定理論に基づく計算式により3次元点計算し、その3次元点をキャドプログラム上に表示させる。更に、線分を定義し(ワイヤーフレームモデル)、面を定義すると(サーフェイスモデル)、3次元形状が表現できる。ここで、撮影した写真からそれぞれの部位(例えば、壁)の模様を電子画像として切り出し、該当面に貼り付け(マッピング)、調整して(レンダリング)、実物に近似させて3次元モデルを完成させるものである。
【0047】
部屋モデル表示工程150は、部屋モデル作成サーバー5から顧客の端末1に三次元データをダウンロードしてこの端末画面1A上に実寸比率の三次元見取り図20を表示する工程である。この工程により、部屋モデル作成サーバー5が変換した立体画像データを三次元処理用モジュールに取り込み、利用者がシミュレーションを所望する部屋の間取りを立体画像として端末画面1A上に表示する(図4及び図14乃至図17参照)。このように表示されることで、改装シミュレーションを、顧客の部屋の間取りや家具等の配置状態に基づいて極めてリアルに行うことができる。
【0048】
また、図示していないが、例えば家具メーカー等のホームページに登録されている各種カタログ情報を登録したカタログ提供用サーバーに端末1からアクセスし、家具メーカー等の各種カタログ情報から選択した物品が、前記三次元見取り図20上に実寸比率で表示されるように構成することも可能である。
【0049】
仕上情報入力手段200は、記憶装置の中に記録されているカタログ情報の中から、床材や壁材の仕上げ材等を選択する。これらの選択は、前述した選択画面10の床材選択項目13、壁材選択項目14を操作して選択する(図5参照)。この仕上情報入力手段200で選択した仕上材は、見取図表示手段300によって三次元見取り図20に反映される。
【0050】
見取図表示手段300は、部屋情報入力手段100及び仕上情報入力手段200で入力された情報に基づいて、三次元見取り図20を選択した条件で表示する。したがって、仕上情報入力手段200で仕上材を次々変更すると、三次元見取り図20の床材や壁材も選択した仕上材に次々変更されるので、仕上材の選択が極めて容易に行えるものである。
【0051】
カタログ表示手段400は、記憶装置に登録されている家具や備品の各種カタログ情報から選択した物品を、前記三次元見取り図20上に実寸比率で表示する手段である。家具等の選択は、選択画面10の入力選択項目12から、家具・備品選択画面60を選出する(図19参照)。図示の家具・備品選択画面60は、家具選択ボタン61と備品選択ボタン62を備えたものである。そして、この家具・備品選択画面60によって登録されている家具や備品を選択すると、選択した家具等が三次元見取り図20上に配置されるものである(図21参照)。
【0052】
更に、選択画面10で位置入力画面50を選択し、この位置入力画面50で表示された家具等の配置位置を設定する(図20参照)。図示の位置入力画面50は、スライダーボタン状の入力表示を示しており、位置(X)を入力するXボタン51と、位置(Y)を入力するYボタン52と、位置(Z)を入力するZボタン53とを操作することにより、家具等の配置位置を壁面からの距離若しくは床面からの高さで示す数値で表示する。そして、この数値の変更に伴って前記三次元見取り図20上で物品の配置位置が移動する(図21参照)。さらに、家具・備品を回転せしめる回転ボタン54と、家具・備品を三次元見取り図20から削除する削除ボタン55を備えている。
【0053】
見積算出手段500は、部屋情報入力手段100の部屋情報と、仕上情報入力手段200の仕上材情報とに基づいて室内改装費用を算出する手段である。このとき、新規に購入する家具等の購入費用も追加することができる。この場合、カタログ表示手段400にて、新規に購入する家具等を、各種カタログ情報から選択して三次元見取り図20上に実寸比率で表示することができる(図21参照)。
【0054】
以上の本発明システムを使用する手順は、次のとおりである(図3参照)。まず、所定の会員登録をホームページサーバー3が認証すると、自動見積サーバー4から顧客の端末1に三次元処理用モジュールがダウンロードされると共に、部屋モデル作成サーバー5からLCD平面グリッド点の描画プログラムがダウンロードされ、この端末画面1Aに、キャリブレーショングリッド34を表示する。端末画面1Aの画面サイズが小さいなど、キャリブレーショングリッド34の表示に適さない場合は、キャリブレーショングリッド34を紙に印刷してもよい。
【0055】
そして、前記部屋情報入力手段100で顧客が撮影した室内を実寸比率で三次元見取り図20に表示する。
【0056】
更に、選択画面10から床材選択項目13と壁材選択項目14から仕上材を確定する。これらの選択が終了すると、端末画面1Aに指定された部屋の三次元見取り図20が表示される(エリアB)。
【0057】
続いて選択画面10の部屋選択項目11から家具・備品選択画面60を呼び出し、家具等を選択した後、位置入力画面50で家具等の位置を調整する。前記部屋モデルの仕上げ材等に家具等の価格を加算して見積りが算定され、算定結果がファイルとして入手され、書類としてプリントアウトすることもできる。
【0058】
尚、本発明は、図示例に限定されるものではなく、本発明の各構成は本発明の要旨を変更しない範囲において自由に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
サーバー発明によると、三次元見取り図20は、ホームページサーバー3から端末1に保存されたゲーム用3Dエンジンの三次元処理用モジュールにて描写されるので、見積り終了後も、三次元見取り図20内で仮想ペットを飼ったり、今後購入を予定している物品の配置シミュレーションなどを行ったりすることが可能である。また、ゲーム用3Dエンジンに適応したゲーム機用のコントローラーを用いてゲーム感覚で三次元見取り図20を操作しながら改装費用を算出することも可能である。
【符号の説明】
【0060】
C カメラC
1 端末
1A 端末画面1A
2 インターネット網
3 ホームページサーバ
4 自動見積サーバー
5 部屋モデル作成サーバー
10 選択画面
11 部屋選択項目
12 入力選択項目
13 床材選択項目
14 壁材選択項目
20 三次元見取り図
30 壁
31 扉
32 マーキングポイント
33 家具
34 キャリブレーショングリッド
50 位置入力画面
51 Xボタン
52 Yボタン
53 Zボタン
54 回転ボタン
55 削除ボタン
60 家具・備品選択画面
61 家具選択ボタン
62 備品選択ボタン
100 部屋情報入力手段
110 歪パラメータ確定工程
120 撮影工程
130 送信工程
140 画像変換工程
150 部屋モデル表示工程
200 仕上情報入力手段
300 見取図表示手段
400 カタログ表示手段
500 見積算出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋単位の改装費用を自動的に算出する室内改装見積システムであって、デジタルカメラにより撮影された画像データに基づいて実寸比率の三次元見取り図を構成し、該三次元見取り図を三次元処理用モジュールが配信された端末の端末画面上に表示するように設定された部屋情報入力手段を備え、該端末画面上に表示された実寸比率の三次元見取り図上で室内の改装をシミュレーションしながら改装費用を算出することを特徴とする室内改装費用見積システム。
【請求項2】
前記部屋情報入力手段は、キャリブレーショングリッドを撮影してデジタルカメラの歪パラメータを確定する歪パラメータ確定工程と、歪パラメータを測定したデジタルカメラによって特定の方向からマーキングポイントと共に室内を撮影する撮影工程と、歪パラメータと室内を撮影した画像データとを端末から部屋モデル作成サーバーへ送信する送信工程と、該部屋モデル作成サーバーにおいて、歪パラメータで誤差を補正した画像データに基づき室内の画像データを三次元データに変換する画像変換工程と、部屋モデル作成サーバーから前記端末に三次元データをダウンロードして前記端末画面上に実寸比率の三次元見取り図を表示する部屋モデル表示工程と、を備えた請求項1記載の室内改装費用見積システム。
【請求項3】
前記室内改装見積システムは、該三次元処理用モジュールの中に記録されているカタログ情報の仕上げ材の中から選択した床材や壁材の各選択情報を入力する仕上情報入力手段と、部屋情報入力手段及び仕上情報入力手段で入力された情報に基づいて改装パターンをシミュレーションした三次元見取り図が端末画面上に表示される見取図表示手段と、見取図表示手段に表示された情報に基づいて室内改装費用を算出する見積算出手段と、を備えた請求項1又は2記載の室内改装費用見積システム。
【請求項4】
前記室内改装見積システムにおいて、前記端末画面に表示された家具や備品の各種カタログ情報から選択した物品が、前記三次元見取り図上に実寸比率で表示されるカタログ表示手段を備えた請求項1乃至3いずれか記載の室内改装費用見積システム。
【請求項5】
前記カタログ表示手段は、前記三次元処理用モジュールに登録されている各種カタログ情報から選択した物品が、前記三次元見取り図上に実寸比率で表示される請求項4記載の室内改装費用見積システム。
【請求項6】
前記カタログ表示手段は、各種カタログ情報を登録したカタログ提供用サーバーにアクセスし、該各種カタログ情報から選択した物品が、前記三次元見取り図上に実寸比率で表示される請求項4記載の室内改装費用見積システム。
【請求項7】
前記カタログ表示手段において、前記端末画面上に、カタログ表示手段から選択した物品の配置位置を指定する位置入力画面が表示され、該位置入力画面の調整により前記三次元見取り図上で物品の配置位置が移動するように構成された請求項4乃至6いずれか記載の室内改装費用見積システム。
【請求項8】
前記三次元処理用モジュールは、見積もり機能を搭載したゲーム用3Dエンジンのビュワーが使用される請求項1乃至7いずれか記載の室内改装費用見積システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−39650(P2011−39650A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184469(P2009−184469)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年7月28日 日本経済新聞社発行の「日経産業新聞」に発表
【出願人】(507151799)株式会社JM (3)
【Fターム(参考)】