説明

室内温度制御システム

【課題】室内の温度の均一化を図ることができる室内温度制御システムを提供する。
【解決手段】室内温度制御システム1は、室内10の壁面11に上下方向に複数並設されるヒータブロック20,20・・・で構成され、前記ヒータブロック毎の通電電流量を検知する複数の検知部4を有した壁パネルヒータと、前記室内に設置された空調機器3と、前記検知部が検知した前記ヒータブロック毎の各通電電流量が異なる場合に前記各通電電流量の差が所定値以下となるよう前記空調機器を制御する制御手段(8)とを備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の温度を制御する室内温度制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
室内をより快適な空間とするため、以下のような暖房システムが提案されている。
下記特許文献1には、室内に輻射熱を放出する輻射暖房装置と、温風を送出するエアコン(エア・コンディショナー)とを備えた暖房システムが開示されている。
これによれば、室内が一定の温度に暖まるまでは、エアコンと輻射暖房装置の両方を稼動する一方、一定の温度に暖まった後は、エアコンの稼動を停止させることができ、これにより、暖房の立ち上がりが早くしかも快適にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−109032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されるように近年は室内を快適な温度するために一台の空調機器だけで室内の温度制御をするのではなく、他の機器と組み合わせて温度制御を試みることがなされており、それが経済的且つ効率よく行われることが求められている。特に暖気は室内の上方に冷気は室内の下方に溜まり易く室内の温度分布はムラが生じ易いため、いかにして室内の温度を均一に保つかが問題となる。
【0005】
本発明は、かかる事由に鑑みて成されたものであり、室内の温度の均一化を図ることができる室内温度制御システム提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る室内温度制御システムは、室内の壁面に上下方向に複数並設されるヒータブロックで構成された壁パネルヒータと、前記室内に設置された空調機器と、前記ヒータブロック毎の通電電流量を検知する検知手段と、各通電電流が異なる場合に各通電電流量の差が所定値以下となるよう前記空調機器を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明において、制御手段は、前記各通電電流量から前記ヒータブロックの表面温度を算出し、各通電電流量の差が所定値以下になったら、前記空調機器をオフにするようにしてもよい。
また本発明において、前記壁パネルヒータは、横方向にも複数並設されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る室内温度制御システムによれば、室内の温度の均一化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る室内温度制御システムを採用した室内を説明するための概念図である。
【図2】同室内温度制御システムの制御装置のブロック図である。
【図3】同室内温度制御システムに用いられる壁パネルヒータの特性の一例を説明するためのグラフである。
【図4】同室内温度制御システムの動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明における実施の形態の一例について、図1〜図4に基づいて説明する。
本実施形態における室内温度制御システム1は、壁パネルヒータ2と、室内10に設置された空調機器3と、制御手段60とを備えている。
壁パネルヒータ2は、室内10の壁面11に上下方向に複数並設されるヒータブロック20,20・・・で構成され、ヒータブロック20,20・・・毎の通電電流量を検知する複数の検知部4を有している。制御手段(以下、制御部8)は、検知部4が検知したヒータブロック20,20・・・毎の各通電電流量が異なる場合にこれら各通電電流量の差が所定値以下となるよう空調機器3を制御する。
以下、詳しく説明する。
【0011】
室内10は、壁面11で仕切られておりその壁面11の上方には空調機器3が設置されている。空調機器3は、図例のようにエアコンであってもよいし、その他、サーキュレータ、扇風機などであってもよい。
また壁面11には壁パネルヒータ2が複数並設されており、壁パネルヒータ2は上下方向に複数並設されるヒータブロック20,20・・・で構成されている。ヒータブロック20とヒータブロック20との間は電気的に接続され、一枚の壁パネルヒータ2を構成している。
壁面11には、コントローラ6が設けられており、このコントローラ6は空調機器3及び壁パネルヒータ2,2のオンオフ操作や温度設定等を制御する制御手段60を備えている。制御手段60は壁パネルヒータ2及び空調機器3に接続されており、壁パネルヒータ2の制御部8からの制御信号を空調機器3の制御部(不図示)に送出する統合コントローラの役割を担っている。
【0012】
図例で示す壁パネルヒータ2は、特に限定するものではないが、壁面11に取り付け易い面状ヒータが望ましい。例えば、壁パネルヒータ2を構成するヒータブロック20,20・・・としては、PTC(Positive Temperature Coefficient 正温度係数)の特性を利用したPTCヒータが好適に用いられる。
PTCヒータは、温度が低い部分は電流が大量に流れ、温度が高い部分には電流が流れにくくなるPTC特性を利用したヒータで、これによれば、別途温度センサ等を設けることなく、簡易な回路構成で自己温度に反応して通電電流量を自動制御する。従って、PTCヒータを用いれば、PTC特性による自己発熱制御により、温度ムラを解消できるとともに過昇温に対して安全で、且つ省電力で効率よく暖めを行うことができる。
以下では、ヒータブロック20,20・・・としてPTCヒータを採用した例について説明する。
【0013】
図2に示すように壁パネルヒータ2は、複数のヒータブロック20,20・・・で構成され、それらを制御する制御ユニット5を備えている。
制御ユニット5は、ヒータブロック20,20・・・毎に設けられた検知部4と、同じくヒータブロック20,20・・・毎に設けられたヒータオンオフ回路7と、これらを制御する制御部8とを備えている。
検知部4は電流値検出回路で構成され、この検知部4によってヒータブロック20,20・・・の通電電流量、すなわち抵抗値を測定する。ヒータオンオフ回路7は制御部8によって制御されヒータブロック20をオンオフする。
【0014】
図3には、ヒータブロック20,20・・・に用いられるPTCヒータの発熱特性の一例をグラフで示している。
ヒータブロック20,20・・・は、その表面温度により通電電流量が変動し、このグラフより温度が低い程と発熱量が多く、温度が高い程と発熱量が低いことがわかる(例えば10℃の場合、発熱量はおよそ680W、40℃の場合、発熱量はおよそ380W)。
ヒータブロック20,20・・・はこのように温度が高くなるとともに発熱量が低くなる特性を有しているので、通電電流量によって予め発熱量が規定されている。
これにより、検知部4で通電電流量を検知すれば、そのときのヒータブロック20の表面温度を特定することができる。
【0015】
制御部8は、検知部4での測定結果に基づいて、壁パネルヒータ2の表面温度を算出し、温度分布の情報を得て空調機器3のオンオフの判断を行う。空調機器3のオンオフの判断は、ある所定値を設定して行う。
例えば制御部8によって複数算出された表面温度の最大値と最小値をピックアップしてその差がある所定値以上であれば、室内10の温度にムラがあるとして空調機器3をオンにするにしてもよい。この場合、上述の差が所定値以下、すなわちヒータブロック20,20・・・の各通電電流量がほぼ一定になれば、室内10の温度は均一であるとして空調機器3をオフする。また隣り合うヒータブロック20同士の表面温度の差を算出してその最大差が所定値以上か否かによって空調機器3のオンオフ制御をするようにしてもよい。
【0016】
ここで制御部8での制御動作は上述に限定されず、例えば上下方向に並設されたヒータブロック20,20・・・の最上方に設置されたヒータブロック20と、最下方に設置されたヒータブロック20の表面温度を比較するようにしてもよい。
これによれば、暖気は室内の上方に冷気は室内の下方に溜まり易いため、最上方に設置されたヒータブロック20と最下方に設置されたヒータブロック20との間の表面温度の差が少なければ室内10の温度ムラが少ないと考えることができる。すなわち、最上方に設置されたヒータブロック20と最下方に設置されたヒータブロック20との表面温度の差がある所定値以上の場合は、室内10の上方空間と下方空間との間に温度ムラがあるとして、空調機器3をオンにする。一方、最上方に設置されたヒータブロック20と最下方に設置されたヒータブロック20との表面温度の差がある所定値以下の場合は、室内10の温度ムラが少ないとして、空調機器3をオフにする。
【0017】
また図例のように壁パネルヒータ2が壁面11の横方向に複数並設されている場合は、壁パネルヒータ2毎の表面温度を比較して所定値以上か否かを判断するようにしてもよい。
この場合は壁パネルヒータ2の複数のヒータブロック20,20・・・の表面温度の平均値を算出し、他の壁パネルヒータ2の平均値の差から判断する。
例えば同じ室内10であっても、窓や出入り口の近くの温度と空調機器3付近の温度とでは、温度ムラがあることが考えられる。そこで、壁面11の横方向に複数並設置された壁パネルヒータ2毎の表面温度を比較して、その差がある所定値以上の場合は、室内10の各所によって温度ムラがあるとして空調機器3をオンにする。一方、上述の差がある所定値以下の場合は温度ムラがないとして空調機器3をオフにする。
これによれば、室内10のより広い範囲において温度分布を検知することができ、室内10全体の温度の均一化実現を図ることができる。
【0018】
図4は室内温度制御システム1の動作の一例を説明するためのフローチャートであり、ここでは壁パネルヒータ2をオンにしてからオフにするまでの基本動作を示している。なお、このとき空調機器3の主電源はオンとなっており、コントローラ6の制御手段60によって空調動作が制御され、いつでもオンオフ自在な状態となっている。
壁パネルヒータ2がオンになると、検知部4はヒータブロック20,20・・・毎の通電電流量(抵抗値)を測定する(S100)。検知部4の検知結果に基づいて制御部5で表面温度を算出する(S101)。そしてヒータブロック20,20・・・毎に所定値以上の差があると制御部5が判断した場合(S102)、空調機器3のオンオフを制御するコントローラ6の制御手段60に信号を送り、制御手段60は空調機器3の空調動作をオンにする(S103)。
その後も通電電流量の測定及び表面温度の算出を繰り返し(S100・S101)、制御部5が所定値以上の差がなくなったと判断した場合、制御手段60に信号を送り、制御手段60は空調機器3の空調動作をオフにする(S104)。
ここでは、ヒータブロック20,20・・・毎の表面温度から所定値以上の差があるか否かを判断し空調機器3を制御する動作例について説明したが、これに限定されず、上述のように壁パネルヒータ2毎に所定値以上の差があるか否かを判断するようにしてもよい。
【0019】
以上によれば、壁パネルヒータ2を使用して室内10の温度分布を把握し空調機器3の動作制御を行うので、室内10の温度ムラをなくし、室温の均一化を図ることができる。これにより、空調機器3によって暖めすぎまたは冷やしすぎといった無駄がなくなり、経済的且つ効率よく快適な室内空間を実現できる。
またこの室内温度制御システム1は、例えば通常、壁パネルヒータ2を使用しない夏季においても、空調機器3のオンにする際に壁パネルヒータ2もオンにして、通電電流量を測定し室温分布を検知し空調機器3のオンオフ制御を行うようにすることもできる。
これによれば、空調機器3に温度センサが付加され温度調整機能を備えていても、室内10全体の温度分布や温度ムラまでは把握できないところ、壁パネルヒータ2を用いてより一層無駄な稼動を防いで効率よく空調機器3を使用することができる。
さらに上述のようにヒータブロック20としてPTCヒータを用いた場合は、自己温度に反応して通電電流値を自動制御して温度ムラを解消することができるので、PTCヒータの自動制御に加え、空調機器3の制御を行うことにより、より早く効率よく温度ムラを解消することができる。
【0020】
以上、本実施形態に係る室内温度制御システム1の構成、制御部8を備えた制御ユニット5、コントローラ6等は図例に限定されず、例えば室内10もリビングや寝室に限定されず、トイレ、洗面所などのあらゆる部屋に適用できる。また壁パネルヒータ2の構成、形状等も図例に限定されず、薄型で省スペース空間に設置されるものであることが望ましい。さらに空調機器3は上述に挙げたものの他、室内10の壁面11や天井に設けられ冷暖房機能やサーキュレーション機能が付加された機能パネルであってもよい。
【符号の説明】
【0021】
1 室内温度制御システム
10 室内
11 壁面
2 壁パネルヒータ
20 ヒータブロック
3 空調機器
4 検知部
8 制御手段(制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の壁面に上下方向に複数並設されるヒータブロックで構成され、前記ヒータブロック毎の通電電流量を検知する複数の検知部を有した壁パネルヒータと、前記室内に設置された空調機器と、前記検知部が検知した前記ヒータブロック毎の各通電電流量が異なる場合に前記各通電電流量の差が所定値以下となるよう前記空調機器を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする室内温度制御システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御手段は、前記各通電電流量から前記ヒータブロックの表面温度を算出し、前記各通電電流量の差が所定値以下になったら、前記空調機器をオフにすることを特徴する室内温度制御システム。
【請求項3】
前記請求項1又は請求項2において、
前記壁パネルヒータは、横方向に複数並設されることを特徴とする室内温度制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−67988(P2012−67988A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214833(P2010−214833)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】