説明

害虫及び真菌を防除する方法

1〜60質量%の感知できるほどに水溶性の殺虫活性成分又は殺真菌活性成分、又はそのような活性成分の組み合わせ、及び任意に1つ以上の他の殺虫活性成分又は殺真菌活性成分、0〜70質量%の少なくとも1つの不活性担体、0〜50質量%の1つ以上の有機添加剤又は無機添加剤、及び20〜80質量%の少なくとも1つの熱可塑性水不溶性ポリマーを含んでなり、全体で100質量%の1つ以上の融解物を調製し;その融解物の押し出し又は共押し出しを行い;そして、その押し出し物を造粒することにより得られる粒状組成物を、イネが生育される水性培地に適用することを含んで成る、イネ害虫及び/又は真菌病に対抗するための方法に関する。それは、そこでの使用のための制御放出組成物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、害虫及び真菌を防除する方法、より具体的には殺虫剤及び殺真菌剤の制御された放出によりイネの害虫及び病気に対抗する方法に関する。それは、その中での使用のための制御放出組成物にも関する。
【背景技術】
【0002】
活性成分を制御又は持続様式で環境中に放出する殺虫製剤(一般的に、制御放出又は持続放出製剤として知られている)は、良く知られている。農薬の制御放出は、農薬が土壌中又は植物上で十分に持続しない場合、又はそれが作物に対して植物毒性である場合、又は他の理由として、それが長期間利用可能であり若しくは放出されなければならない場合に必要とされ得る。
【0003】
制御放出粒状製剤を含む制御放出製剤、及びそれらの様々な調製方法に関する実質的な情報は存在する。これらの方法は、典型的には、農薬をポリマー物質でコーティングすること、又は農薬をポリマー物質中に組み込むことに関する。制御放出粒状製剤を調製するための1つの方法は、農薬活性成分及び熱可塑性ポリマーを含んで成る組成物の溶融押出、及び押出生成物の顆粒への切断を含む。このような方法は、例えば米国特許第6,541,425号に記載されている。
【0004】
イネの害虫及び病気に対抗するために農薬の制御放出粒状製剤を使用することも良く知られている。これは、通常、粒状製剤をイネを生育する水性培地に、典型的には田面水またはイネ苗箱に添加することにより行われる。いくつかのこれらのイネの農薬、例えば殺虫剤であるチアメトキサム及び殺真菌剤であるピロキロンは、感知できるほどに水溶性である。水性環境で制御放出顆粒として使用するための水溶性農薬を製剤化する場合、水不溶性農薬よりも、異なる考慮が適用される。
【0005】
以前は、水田及び苗箱において使用するイネの水溶性農薬の制御放出粒状製剤は、ポリマーにより農薬をマルチコーティングすることにより調製されてきた(例えば、WO99/44421及びWO02/05641を参照のこと)。このような方法は、複数のポリマーコーティングを適用する多くの段階を伴うため、複雑かつ高価である。チアメトキサム及びピロキロンの制御放出粒状製剤である、市販のイネの農薬DigitalCoratopActara(登録商標)(「DCA」)を製造するのに用いられる改良された方法においては、パン・コーティング法(pan−coating)技術が用いられる。DCAは優れた生物学的性能を提供するが、生産コストの減少が望まれている。
【発明の開示】
【0006】
水性培地での使用に適し、DCAに匹敵する生物学的性能を有する水溶性又は感知できるほどに水溶性の農薬の制御放出粒状製剤が、ホットメルト押出方法により調製され、これは生成物を乾燥することの必要性を回避し、それにより製造及びエネルギーコストを減らすことができることが見出された。
【0007】
このように、本発明によれば、
1〜60質量%の感知できるほどに水溶性の殺虫活性成分又は殺真菌活性成分、又はそのような活性成分の組み合わせ、及び任意に1つ以上の他の殺虫活性成分又は殺真菌活性成分、
0〜70質量%の少なくとも1つの不活性担体、
0〜50質量%の1つ以上の有機添加剤又は無機添加剤、及び
20〜80質量%の少なくとも1つの熱可塑性水不溶性ポリマー
を含んでなり、全体で100質量%の1つ以上の融解物を調製し;
その1つ又は複数の融解物の押し出し又は共押し出しを行い;そして、その押し出し物を造粒することにより得られる粒状組成物を、イネが生育される水性培地に適用することを含んで成る、イネ害虫及び/又は真菌病に対抗するための方法が提供される。
【0008】
本発明は、イネ害虫及び/真菌病に対抗する場合に使用される粒状組成物も含む。
【0009】
感知できるほどに水溶性の殺虫活性成分又は殺真菌活性成分により、周囲温度で少なくとも0.5g/lの水中での溶解性、及び2未満のn−オクタノールと水との間の分配係数、KowlogPを有する、イネの害虫又は病気の防除に適した任意の殺虫剤又は殺真菌剤を意味する。本発明の使用に適した殺虫剤の例は、殺虫剤であるチアメトキサム、イミダクロプリド、カルタップ塩酸塩、クロチアニジン、ジノテフラン、アセタミプリド及びニテンピラムである。適切な殺真菌剤の例は、ピロキロン、バリダマイシン、トリシクラゾール及びカスガマイシンである。しかし、本発明は特に、チアメトキサムを用いたイネ害虫の防除、及びピロキロンを用いたイネの病気の防除に関心がある。1つ又は両方の活性成分を含む粒状組成物は、害虫又は病気の防除、又はその両方に用いることができる。
【0010】
1つ以上の他の殺虫活性成分又は殺真菌活性成分は、本発明において用いられる組成物の中に存在することができ、水不溶性又は本質的に水不溶性の殺虫剤又は殺真菌剤、すなわち周囲温度で0.5g/l未満の水中での溶解性、及び2以上のn−オクタノールと水との間の分配係数、KowlogPを有する殺虫剤又は殺真菌剤を含む。含まれ得る他の殺虫剤の例は、スピノサド、フィプロニル、エトフェンプロックス、カルボスルファン、ジアジノン、チアクロプリド、プロパホス、ペルメトリン、ベンスルタップ及びベンフラカルブである。含まれ得る他の殺真菌剤の例は、イソプロチオロン、アゾキシストロビン、カルプロパミド、チフルザミド、チアジニル、プロベナゾール、ジクロシメト、フラメトピル、アシベンゾラルS−メチル及びオリサストロビンである。
【0011】
用いられる殺虫剤又は殺真菌剤の量又は殺虫剤及び殺真菌剤の組み合わせた量は、1〜60質量%、例えば5〜40質量%、適切には10〜35質量%、典型的には15〜25質量%であることができる。
【0012】
不活性担体は、通常、任意の他の成分と反応せず、水中で本質的に不溶性の固形担体であるだろう。適切には、それらは、天然の無機充てん剤、例えばカルシウム、マグネシウム、アルミニウム及びチタニウムの酸化物、水酸化物、ケイ酸塩、炭酸塩及び硫酸塩、例えばチョーク、石こう、ベントナイト、カオリン、ゼオライト、方解石、タルク、モントモリロナイト、アタパルジャイト、一般的な粘土鉱物、及び無機充てん剤の混合物である。特に適切な担体は、カオリン粉末の形態のケイ酸アルミニウムである。
【0013】
用いられる不活性担体の量は、0〜70質量%、例えば10〜70質量%、適切には15〜60質量%、典型的には20〜50質量%であることができる。
【0014】
1つ以上の有機又は無機添加物を用いて、本発明の組成物を調製することができる。このような添加剤としては、押出技術で用いられる通例の助剤、例えば潤滑剤、通常のワックス;活性成分の放出に影響を与える添加剤、例えば水溶性無機塩、例えば塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム及び硫酸カルシウム;活性成分を安定化する緩衝液、例えばクエン酸及びポリアスパラギン酸;及び、農薬製剤化技術において一般的に用いられるタイプの界面活性剤及び分散剤が挙げられ、これらは、非イオン性、陽イオン性及び/又は陰イオン性であることができ、優れた乳化特性、分散特性又は湿潤特性を有する。通常、ろう状の潤滑剤が含まれ、その例は、24〜34個の炭素原子を含むモンタン(montane)酸エステルのワックス酸混合物である。
【0015】
用いられる有機添加剤又は無機添加剤の量は、0〜50質量%、例えば1〜40質量%、典型的には5〜35質量%であることができる。押出潤滑剤のみが添加剤として存在する場合、これは通常1〜10質量%、典型的には約5質量%の量で用いられるだろう。
【0016】
本発明の組成物中で用いられる水溶性ポリマーは、熱可塑性的に、すなわち粘性融解物として処理されることができ、20℃の水において100mg/l未満の溶解性を有するポリマー又はポリマーの混合物である。このようなポリマーの例は、酢酸ポリビニル、エチレン酢酸ビニル共重合体、ワックス、例えばカルナバ・ワックス、エチルセルロース、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、プロピオン酸セルロース、ポリオレフィン、例えばポリプロピレン及びポリエチレン、ビニルピロリドン−スチレン共重合体、ポリ(ビニルピロリドン−1−エイコセン)、ポリ(ビニルピロリドン−1−ヘキサデセン)、テトラデシルアクリレート−アクリル酸共重合体、デンプンエステル、デンプンエーテル、ポリ−アクリルアミドドコシル、ポリ−アクリルアミドヘキサデシル、ポリ−アクリルアミドオクタデシル、ポリ−アクリル酸ブチルエステル、ポリ−アクリル酸ドコシルエステル、ポリ−アクリル酸ヘキサデシルエステル、ポリ−アクリル酸オクタデシルエステル、ポリアジピン酸(polyadipic)無水物、ポリ−7−アミノエナント酸N−メチル、ポリ−12−アミノラウリン酸N−メチル、ポリ−11−アミノウンデカン酸N−メチル、ポリ−アゼライン酸無水物、ポリ−1,3−ブタジエン(1,4−)−アルト−メタクリル酸メチル、ポリ−ブタジエン酸化物、ポリ−1,4−シクロへキシレン−ジメチレン・アゼラエート(azelaate)トランス、ポリ−1,4−シクロへキシレンジメチレンドデカンジオエート・トランス、ポリ−1,4−シクロへキシレンジメチレン・グルタレート・トランス、ポリ−1,4−シクロへキシレンジメチレン・オキシ−メチレンオキシド・トランス、ポリ−1,4−シクロへキシレンジメチレンピメリン酸塩・トランス、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンセバシン酸塩・トランス、ポリ−1,4−シクロへキシレンジメチレンスベリン酸塩・シス、ポリ−1,4−シクロヘキシリデンチオヘキサメチレン硫化物、ポリ−シクロプロピリジンジメチレン酸化物、ポリ−デカメチレン1,2−ジクロロ、ポリ−デカメチレン炭酸塩、ポリ−デカメチレン3,3−ジベンゾエート、ポリ−(デカメチレンジオキシ)−ジメキサメチレン酸化物、ポリ−デカメチレンジシロキサニレンジプロピオンアミド・テトラメチル、ポリ−デカメチレンジスルフィド、ポリ−デカメチレン・ジジチオエチレン・ジスルフィド、ポリ−デカメチレン・ジジチオヘキサメチレン・ジスルフィド、ポリ−デカメチレン・ジチオールアジペート、ポリ−デカメチレン・ジチオテトラメチレン・ジスルフィド、ポリ−デカメチレン・フラミド、ポリ−デカメチレン・グルタルアミド3−カルボキシル(二塩基酸)、ポリ−デカメチレン・イソフタル酸塩、ポリ−デカメチレン・マロン酸塩、ポリ−デカメチレン3,3’−メチレンジベンズアミド、ポリ−デカメチレン(メチレン−2,5−テトラヒドロフラン)−ジカルボキサミド、ポリ−デカメチレン・オキシジアセテート、ポリ−デカメチレン・オキシメチレン酸化物、ポリ−デカメチレンピメリン酸塩、ポリ−デカメチレンコハク酸塩d−1,2−ジヒドロキシ(二塩基酸)、ポリ−デカメチレン硫化物、ポリ−デカメチレン・チオジバレレート、ポリ−デカメチレン・チオヘキサメチレン硫化物、ポリ−ドデカメチレン1メチル、ポリ−ドデカンジオン酸(dodecandioic)無水物、ポリ−ドデシルビニルエーテル、ポリ−エイコサメチレンアジピン酸塩、ポリ−エイコサメチレンアジピン酸塩3メチル(二塩基酸)、ポリ−エイコサメチレン・アゼラエート(azelaate)、ポリ−エイコサメチレン・グルタレート, ポリ− エイコサメチレン・イソフタル酸塩、ポリ−エイコサメチレンマロン酸塩、ポリ−エイコサメチレンシュウ酸塩、ポリ−エイコサメチレンオキシ二酢酸塩、ポリ−エイコサメチレンフタル酸塩、ポリ−エイコサメチレンピメリン酸塩、ポリ−エイコサメチレンコハク酸塩、ポリ−エイコサメチレン・チオジバレレート、ポリエチレンp−(カルボキシフェノキシ)−酪酸塩、ポリ−エチレンp−(カルボキシフェノキシ)−カプロン酸塩、ポリエチレンp−(カルボキシフェノキシ)−ヘプタン酸塩、ポリ−エチレンp−(カルボキシフェノキシ)−ウンデカノエート、ポリ−エチレンp−(カルボキシフェノキシ)−吉草酸塩、ポリ−エチレン2−2’−ジベンゾアートメチル(ジオール)、ポリ−(エチレンジオキシ)−ジエチレン2−2’−ジベンゾアート、ポリ−(エチレンジオキシ)−ジエチレン3−3’−ジベンゾアート、ポリ−(エチレンジオキシ)−ジエチレン・イソフタル酸塩、ポリ−(エチレンジオキシ)−ジエチレンセバシン酸塩及びポリ−(エチレンジオキシ)−ジエチレンテレフタル酸塩及びこれらの任意のポリマーの混合物である。適切には、水不溶性ポリマーは、ポリ酢酸ビニル又はエチレン酢酸ビニル共重合体又はこれらのポリマーの混合物である。
【0017】
用いられる水不溶性ポリマーの全量は、20〜80質量%、例えば25〜75質量%、典型的には30〜60質量%である。
【0018】
本発明の粒状組成物の調製の際に用いられる成分の量は、特定された範囲内で変わり、組成物の必要とされる有効性及び所望される放出速度並びに融解物の加工性に依存するだろう。唯一の条件は、製剤が熱可塑性的に加工可能であることである。
【0019】
都合の良いことに、本発明の粒状組成物は以下のようにして得られる。第一の段階において、活性成分及び不活性担体は、必要であれば、別々に又は一緒に粉砕される。活性成分、担体及び他の成分は、それらが押し出し機のスクリュー内に供給されるホッパーへと導入され、ここで、1つ以上、例えば3つの加熱領域において熱が適用される。加熱とスクリュー圧の下で、いくつかの又は全ての製剤の成分は、軟らかくなり融解する。ホットメルトは、その後、金型に通され、長いストランドへと押し出され、これは、空気又は水(又は両方)により冷却された後、機械的に顆粒へと切断される。融解物の形成においては、ポリマーが融解することだけが必要であることが認識されるだろう。活性成分は、押し出し機が加熱される温度及び活性成分の融点に依存して、融解し又は融解しないかもしれない。活性成分が融解しない場合は、それは溶融ポリマーにより分配されるだろう。チアメトキサム(融点が約139℃)の場合、押し出し機は100℃未満に保持される;ポリマーが融解するのに十分熱く、チアメトキサムの分解が回避されるように十分冷たい。このように、本発明の1つの実施態様において、殺虫活性成分又は殺真菌活性成分または両方の活性成分の組み合わせは、固体として1つ又は複数の融解物中に存在する(すなわち、活性成分それ自体は、溶融形態ではない)。
【0020】
典型的には、押し出し機中の滞留時間は1〜5分であり(組成物に依存する)、1.2〜4.8kg/時の押し出し量を与える。融解物が押し出される金型の大きさは、例えば0.5、1.0、1.5又は2.0mmの直径である。
【0021】
本発明の1つの目的は、マルチコーティング工程の必要性を回避することにより、顆粒の製造を単純化することであるが、押し出し後にコーティングを適用することにより、押し出された顆粒の放出速度をさらに制御することが可能である。適切なコーティングとしては、ポリマー及びワックスが挙げられる(例えば、PVAラテックス)。
【0022】
任意に、本発明の顆粒を1つ以上の微粉化(dusting)剤を用いて微粉化し、個々の顆粒が互いに貼り付くのを防ぐ;微粉化剤は顆粒の表面に接着し、非接着外部表面は、各顆粒により近接する顆粒に対して与えられる。適切な微粉化剤としては、タルク及びヒュームド・シリカ(例えば、Aerosil 200)が挙げられる。
【0023】
微粉化段階は、本発明の全ての顆粒について、それらが押し出しの後に加えられたコーティングを有するか否かに関わらず用いることができる。
【0024】
適切には、顆粒の直径は、0.5mm〜2.0mmの範囲、より適切には0.7〜1.3mmの範囲である。
【0025】
顆粒の長さは、適切には0.5mm〜6mmの範囲である。
【0026】
ストランドの代わりの形状を用いることにより、放出速度を更に制御することができる。
【0027】
いくつかの場合において、球状顆粒又は円盤形状の顆粒を調製することができる;これらは、近接する顆粒上に存在し得る任意のコーティングに損傷を与え得る鋭い端を有さないという利点を有する。更に、特定の顆粒形状[例えば、球状顆粒]は、特にコーティングが顆粒に適用される場合に、球状顆粒が全体的に均一なコーティングを可能にするため、一貫した放出速度を可能にする。
【0028】
押し出しの後に、様々な切断技術を用いて顆粒を得ることができ、例えば水中切断技術が挙げられる。これは、例えば球状顆粒を得るのに用いることができる。
【0029】
1つ以上の活性成分が本発明の組成物中に存在する場合、それらは同一の融解物中で混合されることがき、又はそれらは別々の融解物中で処理することができ、これらは、別々に共押し出し又は別々に押し出しを行うことができ、押し出された顆粒は混合されて、組み合わされた組成物を形成する。共押し出しの利点は、1つの活性成分製剤を別のものの中に含ませることができ、これは、活性成分の放出速度に更なるバリエーションを与える。別々の融解物中の1つ以上の活性成分を処理することは、他の成分が特定の活性成分に適合するように変化するという利点も有する。例えば、異なるポリマーを異なる活性成分に対して用いて、異なる放出速度を有する顆粒を提供することができる。同様に、異なる形状及び大きさの顆粒を用いて、異なる放出速度を有する顆粒を提供することができる。異なる放出速度プロファイルを有する顆粒は、農業従事者が1つ以上の活性成分を含む1つの製品を利用することができるように、1つのパックで一緒に販売することができる。ここで、異なる活性成分は、異なる時期に放出される。
【0030】
選択された殺虫剤又は殺真菌剤に依存して、本発明の方法は、幅広いイネの害虫及び病気に対抗するのに用いることができる。例えば、それは、昆虫害虫、例えばカメムシ(ヘミプテラ(Hemiptera)目)、シロアリ(イソプテラ(Isoptera)目)、イネミズゾウムシ(リソルホプトラス・オリゾフィラス(Lissorhoptrus oryzophilus);コレオプテラ(Coleoptera)目)、レピドプテラス(lepidopterous)ファミリーであるノクツイダエ(Noctuidae)及びピラリダエ(Pyralidae)のステム・ボーラー(stem borer)、ヨコバイ(シカデリダエ(Cicadellidae)ファミリー)及びトビイロウンカ(デルファシダエ(Delphacidae)ファミリー)に対抗するのに用いることができ、そしてイネの病気、例えば真菌であるマグナポルタエ・グリセア(Magnaporthae grisea)により引き起こされるイモチ病(ピリクラリア・グリセア(Pyricularia grisea)及びピリクラリア・オリザエ(Pyricularia oryzae)としても知られている)、真菌であるコキオボラス・ミヤベアナス(Cochiobolus miyabeanus)により引き起こされる褐斑病(ビポラリス・オリザエ(Bipolaris oryzae)及び以前はヘルミントスポリウム・オリザエ(Helminthosporium oryzae)としても知られている)、真菌であるタナテホラス・カカメリス(Thanatephorus cucumeris)により引き起こされる紋枯病(リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)としての知られている)、真菌であるピレノカエタ・オリザエ(Pyrenochaeta oryzae)により引き起こされるイネ葉しょう腐敗病、真菌であるガエウマノミセス・グラミニス(Gaeumannomyces graminis)種グラミニス(graminis)により引き起こされる黒い葉鞘の腐敗及び真菌であるスクレロチム・オリザエ(Sclerotium oryzae)(マグナポリテ・サルビニ(Magnaporthe salvinii))により引き起こされる葉柄の腐敗に対抗するのに用いることができる。
【0031】
本発明を以下の実施例により説明するが、これに限定されるものではない。
【実施例】
【0032】
実施例1
以下の成分を一緒に混合し、得られた混合物をスクリュー供給機により、従来のホットメルト押し出し機中にホッパーを介して供給した。
【0033】
【表1】

【0034】
この混合物を、押し出し機加熱領域の温度の適切な調節(100℃未満)によりポリマー軟化点まで加熱し、金型を通して押し出してスパゲティ様ストランドを形成し、空冷により機械的切断機により顆粒へと切断した。
【0035】
実施例2
以下の成分を一緒に混合して、実施例1に記載のように顆粒を形成した。
【0036】
【表2】

【0037】
実施例3
以下の成分を一緒に混合して、実施例1に記載のように顆粒を形成した。
【0038】
【表3】

【0039】
実施例4
以下の成分を一緒に混合して、実施例1に記載のように顆粒を形成した。
【0040】
【表4】

【0041】
実施例5
以下の成分を一緒に混合して、実施例1に記載のように顆粒を形成した。
【0042】
【表5】

【0043】
実施例6
以下の成分を一緒に混合して、実施例1に記載のように顆粒を形成した。
【0044】
【表6】

【0045】
実施例7
2つの別のロットの顆粒を、以下の成分から実施例1に記載の方法により調製して、その後一緒に混合した。
【0046】
【表7】

【0047】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1〜60質量%の感知できるほどに水溶性の殺虫活性成分又は殺真菌活性成分、又はそのような活性成分の組み合わせ、及び任意に1つ以上の他の殺虫活性成分又は殺真菌活性成分、
0〜70質量%の少なくとも1つの不活性担体、
0〜50質量%の1つ以上の有機添加剤又は無機添加剤、及び
20〜80質量%の少なくとも1つの熱可塑性水不溶性ポリマー
を含んでなり、全体で100質量%の1つ以上の融解物を調製し;
その1つ又は複数の融解物の押し出し又は共押し出しを行い;そして、その押し出し物を造粒することにより得られる粒状組成物を、イネが生育される水性培地に適用することを含んで成る、イネ害虫及び/又は真菌病に対抗するための方法。
【請求項2】
融解物を調製する際に使用される殺虫活性成分又は殺真菌活性成分が、殺虫剤チアメトキサムである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
融解物を調製する際に使用される殺虫活性成分又は殺真菌活性成分が、殺真菌剤ピロキロンである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
1つ又は複数の融解物を調製する際に使用される殺虫活性成分及び殺真菌活性成分の組み合わせが、チアメトキサム及びピロキロンである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
不活性担体がケイ酸アルミニウムである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
有機添加剤又は無機添加剤がろう状の潤滑剤である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
水不溶性ポリマーが、酢酸ポリビニル又は酢酸エチレンビニル共重合体又はこれらのポリマーの混合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
殺虫活性成分又は殺真菌活性成分又は両方が、固体として1つ又は複数の融解物中に存在する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1に記載のイネの害虫及び/又は真菌病に対抗する際に使用される粒状組成物。

【公表番号】特表2009−511518(P2009−511518A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534902(P2008−534902)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【国際出願番号】PCT/EP2006/009590
【国際公開番号】WO2007/042185
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】