説明

害虫抵抗性管理のためのCRY1CaおよびCRY1Faタンパク質の併用

本発明は、鱗翅目(lepidopteran)昆虫を防除するための方法および植物を含み、前記植物は、昆虫(複数可)による抵抗性の発達を遅延または抑制するため、Cry1Fa殺虫性タンパク質とCry1Ca殺虫性タンパク質とを組み合わせて含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
人間は、トウモロコシ(corn)を食料およびエネルギー用途のために栽培する。人間は、ダイズおよびワタ等、他にも多くの作物を栽培する。昆虫は、植物を食害することによりこのような人間の努力を台無しにする。害虫(insect pest)を防除する(control)ために毎年数十億ドルが費やされ、その被害のためにさらに数十億が失われている。合成有機化学薬品の殺虫剤は、害虫防除に用いられる主要な手段であったが、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)(Bt)由来の殺虫性タンパク質(insecticidal protein)等、生物殺虫剤(biological insecticide)は、いくつかの分野で重要な役割を果たしてきた。Bt殺虫性タンパク質遺伝子で形質転換することにより虫害抵抗性植物(insect-resistant plant)を作出する能力は、現代農業に革命をもたらし、殺虫性タンパク質およびその遺伝子の重要性および価値を高めた。
【0002】
現在までに登録および商品化に成功した虫害抵抗性トランスジェニック植物を作製するため、数種類のBtタンパク質が用いられてきた。これらとしては、トウモロコシにおけるCry1Ab、Cry1Ac、Cry1FおよびCry3Bb、ワタにおけるCry1AcおよびCry2AbならびにジャガイモにおけるCry3Aが挙げられる。
【0003】
これらのタンパク質を発現する市販の製品は、2種のタンパク質の殺虫スペクトルの組み合わせが望ましい場合(例えば、それぞれ鱗翅目(lepidopteran)有害生物(pest)およびルートワーム(rootworm)に対する抵抗性を付与するよう組み合わせた、トウモロコシにおけるCry1AbおよびCry3Bb)、あるいはタンパク質の独立的な作用により、感受性昆虫集団における抵抗性の発達を遅延させるためのツールとして有用となる場合(例えば、タバコバドワーム(tobacco budworm)の抵抗性管理を可能にするよう組み合わせた、ワタにおけるCry1AcおよびCry2Ab)を除き、単一のタンパク質を発現する。
【0004】
すなわち、この技術の急速かつ広範な採用をもたらした虫害抵抗性トランスジェニック植物の性質の一部はまた、有害生物集団が、これらの植物によって産生される殺虫性タンパク質に対する抵抗性を発達させ得るとの懸念も生じる。Btに基づく虫害抵抗性形質の有用性を保つための数通りの戦略が提案されてきたが、これには、緩衝帯(refuge)と組み合わせた高用量タンパク質の配置(deploying)や、異なる毒素と交互の配置またはその共配置(co-deployment)が挙げられる(McGaugheyら(1998)、「B.t. Resistance Management」Nature Biotechnol. 16:144〜146)。
【0005】
IRMスタック(stack)において用いるために選択されるタンパク質は、あるタンパク質に対して発達した抵抗性が第二のタンパク質に対する抵抗性を付与しないように、その殺虫効果を独立的に発揮する必要がある(すなわち、タンパク質同士に交差抵抗性がない)。例えば、「タンパク質A」に対する抵抗性のために選択された有害生物集団が、「タンパク質B」に対する感受性を有する場合、これは交差抵抗性がなく、タンパク質Aとタンパク質Bの組み合わせが、タンパク質A単独に対する抵抗性の遅延に有効であると結論することができる。
【0006】
抵抗性昆虫集団が存在しない場合、作用機構および交差抵抗性の可能性に関係すると思われる他の特徴に基づいて評価を行うことができる。交差抵抗性を示さない可能性のある殺虫性タンパク質の同定において、受容体を介した結合の有用性が示唆されている(van Mellaertら、1999)。このアプローチに固有の交差抵抗性欠如の主要な予測因子は、殺虫性タンパク質同士が、感受性昆虫種における受容体に関して競合しないことである。
【0007】
2種のBt毒素が同一受容体に関して競合する場合において、毒素の一方が該受容体と結合しなくなるように、従って昆虫に対し殺虫性ではなくなるように該受容体が該昆虫において突然変異すれば、昆虫が、第二の毒素(同一受容体に対し競合的に結合する)に対しても同様に抵抗性となる可能性がある。すなわち、昆虫は、両方のBt毒素に対し交差抵抗性であると考えられる。しかし、2種の毒素が2種の異なる受容体と結合する場合、これは、昆虫がこれら2種の毒素に対し同時に抵抗性とならないことの指標となり得る。
【0008】
Cry1Faは、ユーロピアンコーンボーラー(European corn borer)(ECB;オストリニア・ヌビラリス(Ostrinia nubilalis)(Hubner))やフォールアーミーワーム(fall armyworm)(FAW;スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda))等、多くの鱗翅目(lepidopteran)有害生物種の防除において有用であり、シュガーケーンボーラー(sugarcane borer)(SCB;ジアトラエア・サッカラリス(Diatraea saccharalis))に対し活性を有する。
【0009】
Cry1Faタンパク質は、イベントTC1507を含有するトウモロコシ植物において産生されると、FAW防除に関し業界最高の虫害抵抗性形質をもたらした。Cry1Faは、Herculex(登録商標)、SmartStax(商標)およびWideStrike(商標)製品内にさらに配置されている。
【0010】
受容体結合アッセイにおける検出のためのタンパク質標識に利用できる最も一般的な技法は、Cry1Faタンパク質の殺虫活性を不活性化するので、Cry1Faタンパク質を用いて(競合的または相同的)受容体結合試験を実行する能力は制限されている。
【0011】
追加的なCry毒素は、公式B.t.命名委員会(official B.t. nomenclature committee)(Crickmoreら;lifesci.sussex.ac.uk/home/Neil_Crickmore/Bt/)のウェブサイトに列挙されている。添付の付録Aを参照されたし。現在、ほぼ60種の「Cry」毒素(Cry1〜Cry59)主要グループと、追加的なCyt毒素およびVIP毒素等が存在する。各数字のグループの多くは、大文字のサブグループを有し、大文字のサブグループは、小文字のさらに下位のサブグループを有する(例えば、Cry1はA〜Lを有し、Cry1Aはa〜iを有する)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の簡単な要旨
本発明は、一部には、Cry1Faタンパク質の殺虫活性に対する抵抗性のために選択されたフォールアーミーワーム(スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda);FAW)集団が、Cry1Caタンパク質の殺虫活性に対する抵抗性を持たないという驚くべき発見に関する。当業者であれば本開示に鑑みて認識するであろうが、これら2種の殺虫性タンパク質またはその殺虫性部分を発現する植物は、これら殺虫性タンパク質のいずれか単独に対する抵抗性発達の遅延または抑制において有用となるであろう。
【0013】
本発明は、Cry1FaおよびCry1Caが、FAW由来(またはジアトラエア・サッカラリス(Diatraea saccharalis)(シュガーケーンボーラー;SCB)由来)の腸(gut)受容体との結合に関して互いに競合しないとの発見によっても支えられている。
【0014】
本発明はまた、一部には、Cry1FaおよびCry1C毒素を基本のペアとする3種(以上)の毒素の三重スタックまたは「ピラミッド(pyramid)」に関する。好ましいピラミッドの一型は、2種の有害生物、FAWおよびECB(ユーロピアンコーンボーラー;オストリニア・ヌビラリス(Ostrinia nubilalis))に対する非交差抵抗性活性をもたらす少なくとも2種のタンパク質、Cry1FaとCry1Caと、Cry1Ab等の1または複数の抗ECB毒素とを提供する。一部の好ましいピラミッド実施形態において、選択された毒素類は、FAWに対し3種の別個の作用機序を有する。好ましいピラミッドの組み合わせは、Cry1FaとCry1Caと、Vip3Ab、Cry1D、Cry1BeおよびCry1Eからなる群から選択される別の毒素/遺伝子とである。これら3種の毒素を産生する植物(およびその植物が植え付けられた地所(acreage))は、本発明の範囲内に含まれる。追加的な毒素/遺伝子が付け加えられてもよいが、これら特定の三重スタックは、本発明において、FAWに対する3種の作用機序を有利にかつ驚くほどに提供する。これは、緩衝帯地所(refuge acreage)の要件の縮小または除外に役立つ可能性がある。本発明はまた、一般に、単一の標的有害生物に対し互いに競合しない3種の殺虫性タンパク質(一部の好ましい実施形態においてCryタンパク質)の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】フォールアーミーワーム(FAW)およびCry1F抵抗性のフォールアーミーワーム(rFAW)の新生期幼虫にin vitroでチャレンジした(challanged)メイズ(maize)葉片の食害評定。pDAS5162による形質転換後に選択されたトランスジェニックT0植物は、抗体DIG152RPC1を用いたイムノブロットスクリーニングにより、DIG−109を産生しない植物(図中、左側)および検出可能レベルのDIG−109を有する植物(図中、中央)の2群に分けた。DIG−109陽性植物を発現レベルによってランク分けして並べた(左から右へ、最低から最高)。36系統のpDAS5162形質転換系統においてDSM2のHP解析を完了した。遺伝子1〜2コピーとして定義される単純な組込みイベントが、試料の95%において検出された。陽性および陰性対照植物から得られたバイオアッセイを図中右側に示す。
【図2】Cry1Faコア毒素、Cry1Caコア毒素および125I標識したCry1Caコア毒素による、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)BBMVとの結合に関する競合。
【発明を実施するための形態】
【0016】
配列の簡単な説明
配列番号1:Cry1Caコア/Cry1Abプロトキシン(protoxin)キメラタンパク質、1164aa(DIG−152)(pMYC2547バージョン)
配列番号2:第二のCry1Caコア/Cry1Abプロトキシンキメラタンパク質、1164aa(DIG−109)(メイズバージョン)
配列番号3:DIG−109をコードするメイズ最適化CDS、3492bp
配列番号4:Cry1Faコア毒素
配列番号5:Cry1Caコア毒素
【0017】
発明の詳細な説明
本明細書において報告されている通り、トランスジェニックトウモロコシおよび他の植物(例えば、ワタやダイズ)において産生されるCry1Ca毒素は、Cry1Fa活性に対する抵抗性を発達させたフォールアーミーワーム(FAW;スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda))の防除において非常に有効である。よって、本発明は、一部には、Cry1Fa抵抗性のフォールアーミーワームが、Cry1Caに対し感受性である(すなわち、交差抵抗性ではない)との驚くべき発見に関する。
【0018】
本発明はまた、一部には、Cry1Ca毒素が、植物(メイズ植物(maize)等)をCry1Fa抵抗性フォールアーミーワームによる損傷から保護するのに有効であるとの驚くべき発見に関する。この有害生物に関する考察については、例えば、Tabashnik、PNAS(2008)、105巻49号、19029〜19030を参照されたし。
【0019】
本発明は、トウモロコシおよびその他の経済的に重要な植物種をフォールアーミーワーム摂食に起因する損傷および収量減少から保護するための、あるいはCry1Faに対する抵抗性を発達させたフォールアーミーワーム集団に対するCry1Ca毒素の使用を含む。
【0020】
よって、本発明は、フォールアーミーワームによるCry1Faおよび/またはCry1Caに対する抵抗性の発達を抑制または緩和するためのIRMスタックを教示する。
【0021】
本発明は、Cry1Faコア毒素含有タンパク質およびCry1Caコア毒素含有タンパク質を産生する細胞を含む、鱗翅目(lepidopteran)有害生物を防除するための組成物を提供する。
【0022】
本発明は、Cry1Faコア毒素含有タンパク質およびCry1Caコア毒素含有タンパク質の両方を産生するよう形質転換した宿主(ここで、上記宿主は、微生物または植物細胞である)をさらに含む。対象ポリヌクレオチド(複数可)は、好ましくは、非バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)プロモーター制御下の(プロモーターに作動可能に連結した/を含む)遺伝的構築物内に置かれる。対象ポリヌクレオチドは、植物における発現を増強するためのコドン使用を含むことができる。
【0023】
さらに、本発明は、Cry1Faコア毒素含有タンパク質を含有しCry1Caコア毒素含有タンパク質をさらに含有する有効量の組成物と、有害生物または有害生物の環境を接触させるステップを含む、鱗翅目(lepidopteran)有害生物を防除する方法を提供することを目的とする。
【0024】
本発明は、その一実施形態において、Cry1Caコア毒素含有タンパク質をコードする植物発現可能遺伝子およびCry1Faコア毒素含有タンパク質をコードする植物発現可能遺伝子を含むメイズ植物(および他の植物、例えばワタおよびダイズ)ならびにこのような植物の種子を含む。
【0025】
本発明は、そのさらに別の一実施形態において、Cry1Caコア毒素含有タンパク質をコードする植物発現可能遺伝子およびCry1Faコア毒素含有タンパク質をコードする植物発現可能遺伝子が遺伝子移入された(introgress)メイズ植物(および他の植物、例えばワタおよびダイズ)ならびにこのような植物の種子を含む。
【0026】
(植物における可能性のあるバイオ殺虫剤(bioinsecticide)としてのCry1Cの総説に関しては、Avisarら、2009を参照されたし。)Avisar D, Eilenberg H, Keller M, Reznik N, Segal M, Sneh B, Zilberstein A (2009) The Bacillus thuringiensis delta-endotoxin Cry1C as a potential bioinsecticide in plants. Plant Science 176:315〜324。
【0027】
昆虫受容体。 実施例に記載されている通り、放射標識したCry1Caコア毒素タンパク質を用いた競合的受容体結合試験は、Cry1Faコア毒素タンパク質が、Cry1Caが結合するFAW昆虫組織に存在する高親和性結合部位に関して競合しないことを示す。これらの結果は、Cry1FaおよびCry1Caタンパク質の組み合わせが、FAW集団においてCry1Faに対する抵抗性の発達(および同様に、Cry1Caに対する抵抗性の発達)を緩和するのに有効な手段であること、ならびに、両方のタンパク質を発現するトウモロコシ植物においてこの有害生物に対する抵抗性レベルを増加させる可能性があることを示す。
【0028】
よって、本明細書における上述および他に記したデータに部分的に基づくと、Cry1CaおよびCry1Faタンパク質の同時産生(スタッキング)は、FAWのための高用量IRMスタックの産生に用いることができると考えられる。昆虫防除スペクトルを拡大するために、他のタンパク質をこの組み合わせに加えてもよい。例えば、トウモロコシにおいて、Cry1Abの追加は、ユーロピアンコーンボーラー防除のためのIRMピラミッドを作成するであろう。
【0029】
別の配置オプションは、抵抗性の発達を緩和するために、Cry1Abタンパク質と組み合わせたCry1FaおよびCry1Caタンパク質の一方または両方を用いるものとなるであろう。よって、本発明の別の配置オプションは、Cry1Abタンパク質の配置が、抵抗性集団発生によりシュガーケーンボーラー防除において無効となる場合、作物栽培領域においてCry1FaおよびCry1Caタンパク質の一方または両方を用いるものとなるであろう。したがって、本発明に係る使用のための好ましい「三重スタック」または「ピラミッド」の組み合わせは、Cry1FとCry1CとCry1Abである。
【0030】
本発明はまた、一部には、Cry1FaおよびCry1C毒素を基本のペアとする3種(以上)の毒素の三重スタックまたは「ピラミッド」に関する。好ましいピラミッドの一型は、2種の有害生物 − FAWおよびECB(ユーロピアンコーンボーラー;オストリニア・ヌビラリス(Ostrinia nubilalis))に対し非交差抵抗性活性を付与する少なくとも2種のタンパク質を提供する。Cry1Fはどちらの昆虫に対しても活性を有するため、これは、Cry1FaとCry1Daと、Cry1Ab等の1または複数のECB毒素(米国特許出願公開第2008 0311096号明細書を参照)とである。他のECB毒素としては、Cry1Be(USSN61/284,290;2009年12月16日出願を参照)、Cry1I(USSN61/284,278;2009年12月16日出願を参照)、Cry2Aa(USSN61/284,278;2009年12月16日出願を参照)およびDIG−3(米国特許出願公開第2010 00269223号明細書を参照)が挙げられる。一部の好ましいピラミッド実施形態において、選択された毒素は、FAWに対し3種の別個の作用機序を有する。これらの好ましいピラミッドの組み合わせは、Cry1FaとCry1Caと、Vip3Ab、Cry1D(USSN61/284,252;2009年12月16日出願を参照)、Cry1BeおよびCry1E(USSN61/284,278;2009年12月16日出願を参照)からなる群から選択される別の毒素/遺伝子である。これら3種の毒素を産生する植物(およびこのような植物を植え付けた地所)は、本発明の範囲内に含まれる。追加的な毒素/遺伝子を付け加えてもよいが、これらの特定の三重スタックは、本発明において、FAWに対する3種の作用機序を有利かつ驚くほどにもたらすであろう。これは、緩衝帯地所に対する要件の縮小または除外に役立ち得る。よって、このように植え付けた10エーカーを超える圃場(field)は、本発明の範囲内に含まれる。
【0031】
他のVip3毒素は、例えば、添付の付録Aに列挙されている。これらのGENBANK番号を用いて、本明細書に開示または言及されている遺伝子およびタンパク質のいずれかの配列を得ることもできる。
【0032】
米国特許第5,188,960号明細書および米国特許第5,827,514号明細書は、本発明の実施における使用に適したCry1Faコア毒素含有タンパク質について記載する。米国特許第6,218,188号明細書は、本発明における使用に適したCry1Faコア毒素含有タンパク質をコードする、植物に最適化したDNA配列について記載する。
【0033】
本発明に記載されている毒素類の組み合わせは、鱗翅目(lepidopteran)有害生物の防除に用いることができる。成虫の鱗翅目(lepidopteran)、例えば蝶や蛾は主として花蜜を餌とし、授粉の重要なエフェクターである。ほぼ全ての鱗翅目(lepidopteran)の幼虫、すなわちイモムシは植物を餌とし、多くは深刻な有害生物である。イモムシは、植物の葉の上もしくは内側、根または茎を餌とし、植物から栄養を奪い、多くの場合植物の物理的支持構造を破壊する。さらに、イモムシは果実、織物ならびに貯蔵している穀物および小麦粉を餌とし、これら販売用の商品を台無しにし、あるいはそれらの価値を大幅に減少させる。本明細書において使用する場合、鱗翅目(lepidopteran)有害生物の言及は、幼生期を含む有害生物の様々なライフステージを意味する。
【0034】
本発明の一部のキメラ毒素は、Bt毒素の完全N末端コア毒素部分を含み、該コア毒素部分の末端を過ぎたある点において、タンパク質は異種プロトキシン配列へと移行する。N末端の殺虫活性を有するBt毒素の毒素部分は、「コア」毒素という。コア毒素セグメントから異種プロトキシンセグメントへの移行(transition)は、毒素/プロトキシン接合部(junction)付近において生じてもよいし、あるいは天然のプロトキシン部分(コア毒素部分を過ぎて延在する)が保持されて、異種プロトキシン部分への移行が下流で生じてもよい。
【0035】
一例として、本発明のキメラ毒素の一型は、Cry1Faの完全コア毒素部分(アミノ酸1〜601)および異種プロトキシン(アミノ酸602〜C末端)である。好ましい一実施形態において、プロトキシンを含むキメラ毒素部分は、Cry1Abタンパク質毒素に由来する。第二の例として、配列番号1に開示されている本発明の第二のキメラ毒素は、Cry1Caの完全コア毒素部分(アミノ酸1〜619)および異種プロトキシン(アミノ酸620〜C末端)を有する。好ましい一実施形態において、プロトキシンを含むキメラ毒素部分は、Cry1Abタンパク質毒素に由来する。
【0036】
当業者であれば、Bt毒素は、Cry1F等の特定のクラス内であっても、長さおよびコア毒素部分からプロトキシン部分への移行部の正確な位置がある程度変動し得ることを理解できるであろう。通常、Cry1CaおよびCry1Fa毒素は、約1150〜約1200アミノ酸の長さである。コア毒素部分からプロトキシン部分への移行は通常、全長毒素の約50%〜約60%の間において生じるであろう。本発明のキメラ毒素は、このN末端コア毒素部分の全体(full expanse)を含むであろう。よって、キメラ毒素は、Cry1Fa Bt毒素タンパク質全長の少なくとも約50%またはCry1Ca Bt毒素タンパク質全長の少なくとも約50%を含むであろう。これは通常、少なくとも約590アミノ酸となるであろう。プロトキシン部分に関しては、Cry1Abプロトキシン部分の全体は、コア毒素部分末端から分子のC末端へと延在する。
【0037】
遺伝子および毒素。 本発明において有用な遺伝子および毒素は、開示されている全長配列のみならず、本明細書において特に例示されている毒素の特徴的な殺有害生物活性(pesticidal activity)を保持するこれら配列の断片、変種、変異体および融合タンパク質も含む。本明細書において使用される場合、用語、遺伝子の「変種(variant)」または「変異種(variation)」は、同一毒素をコードする、あるいは殺有害生物活性を有する同等の毒素をコードするヌクレオチド配列を意味する。本明細書において使用される場合、用語「同等の毒素(equivalent toxin)」は、標的有害生物に対し、特許請求されている毒素と同一または本質的に同一の生物活性を有する毒素を意味する。
【0038】
本明細書において使用される場合、境界(boundary)は、「Revision of the Nomenclature for the Bacillus thuringiensis Pesticidal Crystal Proteins」N. Crickmore, D.R. Zeigler, J. Feitelson, E. Schnepf, J. Van Rie, D. Lereclus, J. Baum, and D.H. Dean. Microbiology and Molecular Biology Reviews (1998) 62巻:807〜813により、およそ95%(Cry1Faおよび1Ca)、78%(Cry1FおよびCry1C)ならびに45%(Cry1)の配列同一性を表す。これらカットオフは、コア毒素のみ(Cry1FおよびCry1C毒素のため)に適用することもできる。
【0039】
当業者であれば、活性毒素をコードする遺伝子を数通りの手段によって同定および獲得できることは明らかであろう。本明細書に例示されている特定の遺伝子または遺伝子部分は、培養物寄託機関(culture depository)に寄託されている分離株(isolate)から得ることができる。これらの遺伝子またはその部分もしくは変種は、合成により、例えば遺伝子合成装置を用いることにより構築することもできる。遺伝子の変異種は、点突然変異作製のための標準技法を用いて容易に構築することができる。また、これら遺伝子の断片は、市販のエキソヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼを用いて標準的手順に従って作製することができる。例えば、Bal31等の酵素または部位特異的突然変異誘発を用いて、これら遺伝子の末端からヌクレオチドを系統的に切り取ることができる。様々な制限酵素を用いて活性断片をコードする遺伝子を得ることもできる。プロテアーゼを用いて、これらタンパク質毒素の活性断片を直接的に得ることができる。
【0040】
例示した毒素の殺有害生物活性を保持する断片および同等物は、本発明の範囲内のものである。また、遺伝暗号の重複性のため、様々な異なるDNA配列が、本明細書に開示されているアミノ酸配列をコードし得る。同一または本質的に同一の毒素をコードするこのような代替的DNA配列の作製は、十分に当業者の技能範囲内である。このような変種DNA配列は、本発明の範囲内のものである。本明細書において使用される場合、「本質的に同一」な配列の言及は、殺有害生物活性に実質的な影響を及ぼさないアミノ酸の置換、欠失、付加または挿入を有する配列を意味する。殺有害生物活性を保持するタンパク質をコードする遺伝子の断片もまた、この定義に含まれる。
【0041】
本発明において有用な毒素をコードする遺伝子および遺伝子部分を同定するためのさらに別の方法は、オリゴヌクレオチドプローブの使用によるものである。このようなプローブは、検出可能なヌクレオチド配列である。このような配列は、適切な標識に基づいて検出されてもよいし、あるいは国際公開第93/16094号パンフレットに記載されている通り、蛍光が内在するように作製されてもよい。当該分野でよく知られていることに、2分子間に強固な結合を形成することによってプローブ分子と核酸試料がハイブリダイズする場合、プローブと試料が実質的な相同性を有すると合理的に仮定することができる。好ましくは、ハイブリダイゼーションは、例えば、Keller, G. H., M. M. Manak (1987) DNA Probes, Stockton Press、ニューヨーク州ニューヨーク、169〜170頁に記載されている通り、当該分野でよく知られた技法によりストリンジェントな条件下で行われる。塩濃度および温度の組み合わせを数例、以下に示す(ストリンジェンシー増加順):2×SSPEまたはSSC、室温;1×SSPEまたはSSC、42℃;0.1×SSPEまたはSSC、42℃;0.1×SSPEまたはSSC、65℃。プローブの検出は、ハイブリダイゼーションが生じたかどうかを公知の様式において決定するための手段を提供する。このようなプローブ解析は、本発明の毒素コード遺伝子を同定するための迅速な方法を提供する。本発明に係るプローブとして用いられるヌクレオチドセグメントは、DNA合成装置および標準的手順を用いて合成することができる。このようなヌクレオチド配列は、本発明の遺伝子を増幅するためのPCRプライマーとして用いることもできる。
【0042】
変種毒素。 本発明の特定の毒素は、本明細書において特に例示されている。これらの毒素は、本発明の毒素の単なる具体例であるため、本発明が、例示の毒素と同一または類似の殺有害生物活性(same or similar pesticidal activity)を有する変種または同等の毒素(および同等の毒素をコードするヌクレオチド配列)を含むことが容易に明らかであろう。同等の毒素は、例示の毒素とアミノ酸相同性を有するであろう。このアミノ酸相同性は通常、75%を超え、好ましくは90%を超え、最も好ましくは95%を超えるであろう。アミノ酸相同性は、生物活性の原因となる、あるいは生物活性に最終的に関与する三次元配置の決定に関係する毒素の決定的領域において最も高くなるであろう。この点において、アミノ酸の置換が、活性に決定的ではない領域に存在する場合、あるいは分子の三次元配置に影響を及ぼさない保存的アミノ酸置換である場合、特定のアミノ酸置換が許容され、これを予想することができる。例えば、アミノ酸は、次のクラス、非極性、無電荷極性、塩基性および酸性に分類することができる。あるクラスのアミノ酸が同じ種類の別のアミノ酸に交換される保存的置換は、置換が化合物の生物活性を実質的に変化させない限り、本発明の範囲内に収まる。表1は、各クラスに属するアミノ酸の具体例のリストを提示する。
【0043】
【表1】

【0044】
場合によっては、非保存的置換を行ってもよい。重要な要素としては、これらの置換が毒素の生物活性を顕著に損なってはならないことである。
【0045】
組換え宿主。 本発明の毒素をコードする遺伝子は、多種多様な微生物または植物宿主へと導入することができる。毒素遺伝子の発現は、殺有害生物剤(pesticide)の細胞内産生および維持を直接的または間接的にもたらす。接合伝達(conjugal transfer)および組換え伝達(recombinant transfer)を用いて、本発明の両方の毒素を発現するBt株を作製することができる。他の宿主生物を一方または両方の毒素遺伝子で形質転換し、続いて相乗効果の達成に用いることもできる。適切な微生物宿主、例えば、シュードモナス(Pseudomonas)属を用いることにより、微生物を有害生物の位置(situs)に適用することができ、そこで微生物が増殖し、摂取される(be ingested)。その結果、有害生物の防除がもたらされる。あるいは、毒素遺伝子を導入した微生物は、毒素の活性を延長し、細胞を安定化する条件下で処理することができる。その後、毒性活性を保持する処理細胞は、標的有害生物の環境に適用することができる。
【0046】
Bt毒素遺伝子が、適切なベクターを介して微生物宿主に導入され、前記宿主が、生きた状態で環境に適用される場合、特定の宿主微生物を用いることが必要不可欠である。1以上の対象作物の「植物圏(phytosphere)」(葉面(phylloplane)、葉圏(phyllosphere)、根圏および/または根面(rhizoplane))に生息することが知られている微生物宿主が選択される。これらの微生物は、特定の環境(作物および他の昆虫生息地)中で野生型微生物と首尾よく競合でき、ポリペプチド型殺有害生物剤を発現する遺伝子の安定的な維持および発現をもたらし、望ましくは、殺有害生物剤の環境による分解および不活性化からの保護の改善をもたらすよう選択される。
【0047】
多数の微生物は、多種多様な重要作物の葉面(植物の葉の表面)および/または根圏(植物の根の周囲の土壌)に生息することが知られている。これらの微生物は、細菌、藻類および真菌を含む。細菌、例えばシュードモナス(Pseudomonas)属、エルウィニア(Erwinia)属、セラチア(Serratia)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、キサントモナス(Xanthomonas)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、リゾビウム(Rhizobium)属、ロドシュードモナス(Rhodopseudomonas)属、メチロフィリウス(Methylophilius)属、アグロバクテナム(Agrobactenum)、アセトバクター(Acetobacter)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属, アルスロバクター(Arthrobacter)属, アゾトバクター(Azotobacter)属、ロイコノストック(Leuconostoc)属およびアルカリゲネス(Alcaligenes)属;真菌、特に酵母、例えばサッカロマイセス(Saccharomyces)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、クリベロマイセス(Kluyveromyces)属、スポロボロマイセス(Sporobolomyces)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属およびアウレオバシジウム(Aureobasidium)属等の微生物がとりわけ重要である。シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum)、アグロバクテニウム・ツメファシエンス(Agrobactenium tumefaciens)、ロドシュードモナス・スフェロイデス(Rhodopseudomonas spheroides)、キサントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestris)、リゾビウム・メリオティ(Rhizobium melioti)、アルカリゲネス・エントロファス(Alcaligenes entrophus)およびアゾトバクター・ビンランジー(Azotobacter vinlandii)等の植物圏細菌種;ならびにロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra)、R.グルチニス(R. glutinis)、R.マリナ(R. marina)、R.アウランティアカ(R. aurantiaca)、クリプトコッカス・アルビダス(Cryptococcus albidus)、C.ジフルエンス(C. diffluens)、C.ロウレンティ(C. laurentii)、サッカロマイセス・ロゼイ(Saccharomyces rosei)、S.プレトリエンシス(S. pretoriensis)、S.セレビシエ(S. cerevisiae)、スポロボロマイセス・ロゼウス(Sporobolomyces roseus)、S.オドルス(S. odorus)、クリベロマイセス・ベロナエ(Kluyveromyces veronae)およびアウレオバシジウム・ポルランス(Aureobasidium pollulans)等の植物圏酵母種がとりわけ重要である。色素性微生物(pigmented microorganism)がとりわけ重要である。
【0048】
遺伝子の安定的な維持および発現を可能にする条件下で、毒素をコードするBt遺伝子を微生物宿主に導入するための多種多様な方法を用いることができる。これらの方法は、当業者によく知られており、例えば、本明細書において参照により援用する米国特許第5135867号明細書に記載されている。
【0049】
細胞の処理。 Bt毒素を発現するバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)または組換え細胞は、毒素活性を延長し、細胞を安定化するよう処理することができる。生成された殺有害生物剤マイクロカプセルは、安定化された細胞構造内にBt毒素(単数または複数)を含み、マイクロカプセルが標的有害生物の環境に置かれたときに毒素を保護する。適切な宿主細胞は、原核生物または真核生物のいずれかを含むことができるが、通常、哺乳動物等、高等生物に対し毒性の物質を産生しない細胞に限定されている。しかし、毒性物質が不安定である、あるいは適用レベルが哺乳動物宿主に対するあらゆる毒性の可能性を回避できる程十分に低い場合、高等生物に対し毒性の物質を産生する生物を用いることができる。宿主として、原核生物および真菌等の下等真核生物がとりわけ重要であろう。
【0050】
細胞は、通常はインタクトであり、場合によっては胞子を用いてもよいが、処理される場合は胞子型ではなくむしろ実質的に増殖型である。
【0051】
微生物細胞、例えば、B.t.毒素遺伝子(単数または複数)を含有する微生物の処理は、その技法が毒素の性質に悪影響を及ぼさず、細胞の毒素保護能力を減少させない限りにおいて、化学的または物理的手段により、あるいは化学的および/または物理的手段の組み合わせにより行うことができる。化学試薬の例として、ハロゲン化剤、具体的には原子番号17〜80のハロゲンが挙げられる。より具体的には、ヨウ素を穏和な条件下、十分な時間を用いて、所望の結果を得ることができる。他の適切な技法として、グルタルアルデヒド等のアルデヒド;塩化ゼフィラン(zephiran chloride)および塩化セチルピリジニウム(cetylpyridinium chloride)等の抗感染薬;イソプロピルおよびエタノール等のアルコール;ルゴールヨウ素液(Lugol iodine)、ブアン固定液、様々な酸およびヘリー(Helly)固定液等の様々な組織学的固定液(Humason, Gretchen L., Animal Tissue Techniques, W. H. Freeman and Company, 1967を参照);または細胞が宿主環境へと投与される場合、細胞において産生される毒素の活性を保存および延長する物理的(熱)因子および化学薬品(physical (heat) and chemical agents)の組み合わせによる処理が挙げられる。物理的手段の例として、ガンマ線およびX線等の短波長放射線、凍結、UV照射、凍結乾燥その他が挙げられる。微生物細胞処理のための方法は、本明細書において参照により援用する米国特許第4,695,455号および第4,695,462号明細書に開示されている。
【0052】
細胞は、一般に、環境条件に対する抵抗性を増強させる、増強された構造上の安定性を有するであろう。殺有害生物剤がプロ型(proform)である場合、細胞処理方法は、標的有害生物病原体による殺有害生物剤のプロ型から成熟型へのプロセシングを阻害しないように選択するべきである。例えば、ホルムアルデヒドは、タンパク質を架橋するため、ポリペプチド型殺有害生物剤のプロ型のプロセシングを阻害し得る。処理方法は、毒素のバイオアベイラビリティまたは生物活性の少なくとも実質的な部分を保持すべきである。
【0053】
産生目的の宿主細胞選択におけるとりわけ重要な特徴は、B.t.遺伝子(単数または複数)の宿主への導入し易さ、発現系の利用可能性、発現効率、宿主における殺有害生物剤の安定性および補助的遺伝能力の存在(presence of auxiliary genetic capability)を含む。殺有害生物剤マイクロカプセルとして用いるための重要な特徴は、厚い細胞壁、色素沈着および細胞内パッケージングまたは封入体形成;水性環境における生存;哺乳動物毒性の欠如;有害生物が摂取するための誘引性;毒素を損うことのない殺傷および固定の容易さ(ease of killing and fixing without damage to the toxin);その他等、殺有害生物剤のための保護的な性質を含む。他の検討事項は、製剤および取り扱いの容易さ、経済的側面、保存安定性その他を含む。
【0054】
細胞の増殖。 B.t.殺虫性遺伝子(単数または複数)を含有する細胞性宿主は、DNA構築物が選択優位性を与える任意の好都合な栄養培地中で増殖させることができ、実質的全細胞または全細胞がB.t.遺伝子を保持するような選択培地を提供する。続いて、これらの細胞を従来の手法に従って収集することができる。あるいは、細胞を収集前に処理することができる。
【0055】
本発明の毒素を産生するB.t.細胞は、標準技術の培地および発酵技法を用いて培養することができる。発酵サイクルが完了し次第、細菌は、先ず、当該分野でよく知られた手段によりB.t.胞子および結晶を発酵ブロスから分離することにより収集することができる。回収されたB.t.胞子および結晶は、界面活性剤、分散剤、不活性担体ならびに取り扱いおよび特定の標的有害生物への適用を容易にする他の成分の添加により、可湿性粉末、原液(liquid concentrate)、顆粒または他の製剤へと処方することができる。これらの製剤および適用手順は全て当該分野でよく知られている。
【0056】
製剤。 誘引物質ならびにB.t.分離株の胞子、結晶および毒素を含有する処方された餌用顆粒、または本明細書に開示されているB.t.分離株から得ることができる遺伝子を含む組換え微生物は、土壌に適用することができる。処方された産物は、種子コーティングとして、あるいは作物サイクルのより後期において根の処理または全草(total plant)処理として適用することもできる。B.t.細胞による植物および土壌の処理は、無機ミネラル(フィロケイ酸塩、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩その他)または植物材料(粉末化したトウモロコシの穂軸、籾殻、クルミの殻その他)等、様々な不活性材料と混合することにより可湿性粉末、顆粒または粉塵(dust)として利用することもできる。製剤は、展着剤接着剤アジュバント(spreader-sticker adjuvant)、安定化剤、他の殺有害生物添加剤または界面活性剤を含むことができる。液体製剤は、水性ベースであっても非水性であってもよく、泡、ジェル、懸濁液、乳剤(emulsifiable concentrate)その他として利用することができる。成分は、レオロジー剤、界面活性剤、乳化剤、分散剤またはポリマーを含むことができる。
【0057】
当業者であれば理解できるように、殺有害生物濃度は、特定の製剤の性質、特に濃縮液であるか直接用いるかに依存して大きく変動し得る。殺有害生物剤は、少なくとも1重量%存在し、100重量%であってもよい。乾燥製剤は、約1〜95重量%の殺有害生物剤を有するが、液体製剤は一般に、液相における約1〜60重量%の固体となる。製剤は一般に、約10〜約10細胞/mgを有する。これらの製剤は、1ヘクタール当り約50mg(液体または乾燥)から1kg以上で投与される。
【0058】
製剤は、噴霧(spraying)、散布(dusting)、撒布(sprinkling)その他により鱗翅目(lepidopteran)有害生物の環境、例えば、葉または土壌に適用することができる。
【0059】
植物の形質転換。 本発明の殺虫性タンパク質の産生のための好ましい組換え宿主は、形質転換植物である。本明細書に開示されている通り、Bt毒素タンパク質をコードする遺伝子は、当該分野でよく知られた様々な技法を用いて植物細胞へと挿入することができる。例えば、大腸菌(Escherichia coli)における複製システムおよび形質転換細胞の選択を可能にするマーカーを含む多数のクローニングベクターが、外来遺伝子の高等植物への挿入の準備に利用できる。ベクターは、例えば、pBR322、pUCシリーズ、M13mpシリーズ、pACYC184をとりわけ含む。したがって、Bt毒素タンパク質をコードする配列を有するDNA断片は、ベクターの適切な制限部位に挿入することができる。その結果生じたプラスミドを大腸菌(E. coli)の形質転換に用いる。大腸菌(E. coli)細胞を適切な栄養培地中で培養し、続いて収集し溶解する。プラスミドを回収する。解析方法として一般に、配列解析、制限酵素解析(restriction analysis)、電気泳動その他の生化学的・分子生物学的方法が行われる。各操作の後、用いたDNA配列を切断し、次のDNA配列と連結することができる。各プラスミド配列は、同一または他のプラスミドにクローニングすることができる。所望の遺伝子の植物への挿入方法に応じて、他のDNA配列が必要となり得る。例えば、TiまたはRiプラスミドが植物細胞の形質転換に用いられる場合、TiまたはRiプラスミドT−DNAの少なくとも右側境界(right border)、多くの場合右および左側境界は、挿入される遺伝子のフランキング領域として連結している必要がある。植物細胞の形質転換のためのT−DNAの使用は、集中的に研究されてきており、欧州特許第120516号明細書、Lee and Gelvin(2008)、Hoekema(1985)、Fraleyら(1986)およびAnら(1985)に十分に記載されており、当該分野において十分に確立されている。
【0060】
挿入DNAは、一旦植物ゲノムに組み込まれると、比較的安定的になる。形質転換ベクターは通常、とりわけビアラホス、カナマイシン、G418、ブレオマイシンまたはハイグロマイシン等、殺生物剤または抗生物質に対する抵抗性を形質転換植物細胞に付与する選択可能なマーカーを含有する。したがって、個々に用いたマーカーは、挿入DNAを含有しない細胞よりも形質転換細胞の選択を可能にする。
【0061】
DNAを植物宿主細胞に挿入するために多数の技法を利用できる。これらの技法は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)またはアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)を形質転換の媒体(transformation agent)として用いたT−DNAによる形質転換、融合、インジェクション、遺伝子銃(biolistics)(微粒子銃)またはエレクトロポレーションと、他の可能な方法を含む。アグロバクテリウム細菌(Agrobacteria)が形質転換に用いられる場合、挿入されるDNAは、特殊なプラスミド、すなわち中間型ベクター(intermediate vector)またはバイナリーベクターのいずれかにクローニングする必要がある。中間型ベクターは、T−DNA内の配列と相同的な配列による相同組換えによりTiまたはRiプラスミドに組込むことができる。TiまたはRiプラスミドは、T−DNAの伝達に必要とされるvir領域も含む。中間型ベクターは、アグロバクテリウム細菌において自己複製できない。中間型ベクターは、ヘルパープラスミド(接合(conjugation))によりアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)に伝達することができる。バイナリーベクターは、大腸菌(E. coli)とアグロバクテリウム細菌の両方において自己複製できる。これは、右側および左側のT−DNA境界領域によって画定される選択マーカー遺伝子およびリンカーまたはポリリンカーを含む。これは、アグロバクテリウム細菌へと直接的に形質転換することができる(Holstersら、1978)。宿主細胞として用いるアグロバクテリウム(Agrobacterium)属は、vir領域を有するプラスミドを含む必要がある。vir領域は、T−DNAの植物細胞への伝達に必要である。追加的なT−DNAを含有してよい。このように形質転換された細菌は、植物細胞の形質転換に用いられる。植物外植片は、DNAの植物細胞への伝達のためにアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)またはアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)と共に有利に培養することができる。次に、選択用の抗生物質または殺生物剤を含有し得る適切な培地において、感染した植物材料(例えば、葉片、茎のセグメント、根、さらにはプロトプラストまたは懸濁培養細胞)から植物体全体(whole plant)を再生させることができる。次に、このようにして得られた植物を挿入DNAの存在に関して試験することができる。インジェクションおよびエレクトロポレーションの場合、プラスミドに関して特段の定めはない。例えばpUC派生体等、通常のプラスミドを用いることが可能である。
【0062】
形質転換細胞は、通常の様式で植物内において増殖する。これは、生殖細胞を形成し、形質転換された形質(複数可)を子孫植物に伝達することができる。このような植物は、通常の様式で育成し、同一の形質転換された遺伝要素または他の遺伝要素を有する植物と交雑することができる。その結果生じたハイブリッド個体は、対応する表現型上の性質を有する。
【0063】
本発明の好ましい一実施形態において、植物は、コドン使用が植物に最適化された遺伝子で形質転換される。例えば、本明細書において参照により援用する米国特許第5380831号明細書を参照されたし。本明細書において数例の切断型毒素が例示されているが、Bt技術分野においてよく知られていることに、130kDa型(全長)毒素は、コア毒素であるN末端側半分およびプロトキシン「テール部(tail)」であるC末端側半分を有する。よって、適切な「テール部」は、本発明の切断型/コア毒素と共に用いることができる。例えば、米国特許第6218188号明細書および米国特許第6673990号明細書を参照されたし。さらに、植物において用いるための合成Bt遺伝子を作製するための方法は、当該分野において公知である(Stewart and Burgin、2007)。好ましい形質転換植物の非限定的な一例として、Cry1Faタンパク質をコードする植物発現可能遺伝子を含み、Cry1Caタンパク質をコードする第二の植物発現可能遺伝子をさらに含む稔性を有するメイズ植物が挙げられる。
【0064】
Cry1FaおよびCry1Caにより決定される形質(複数可)の自殖(inbred)メイズ系統への伝達(または遺伝子移入(introgression))は、反復(recurrent)選択育種、例えば戻し交雑により達成することができる。この場合、先ず、所望の反復親を、Cry1FおよびCry1Cにより決定される形質の適切な遺伝子(複数可)を有するドナー自殖系(非反復親)と交雑する。次に、この交雑の子孫を反復親と戻し交配し、続いてその結果生じた子孫において、非反復親から伝達される所望の形質(複数可)を選択する。所望の形質(複数可)を選択しつつ反復親と戻し交雑してから3世代、好ましくは4世代、より好ましくは5世代以上の後、子孫は、伝達された形質(複数可)を制御する遺伝子座に関してヘテロ接合型となるが、他の遺伝子に関しては大部分またはほぼ全てが反復親と同様のものとなる(例えば、Poehlman & Sleper (1995) Breeding Field Crops、第4版、172〜175; Fehr (1987) Principles of Cultivar Development、1巻: Theory and Technique、360〜376を参照)。
【0065】
害虫抵抗性管理(Insect Resistance Management)(IRM)戦略。例えば、Roushらは、殺虫性トランスジェニック作物の管理のための、「ピラミッド化(pyramiding)」または「スタッキング」とも称される2毒素戦略について概要を述べる(The Royal Society、Phil. Trans. R. Soc. Lond. B. (1998) 353、1777〜1786)。
【0066】
米国環境保護局(the United States Environmental Protection Agency)は、そのウェブサイト(epa.gov/oppbppd1/biopesticides/pips/bt_corn_refuge_2006.htm)において、標的有害生物に対し活性を有する単一のBtタンパク質を産生するトランスジェニック作物と共に用いるための、非トランスジェニック(すなわち、非B.t.)緩衝帯(非Bt作物/トウモロコシの区画またはブロック)を設置するための次の要件を公開する。
【0067】
「コーンボーラーから保護されたBt(Cry1AbまたはCry1F)トウモロコシ製品のための特定の構造化された要件は次の通りである:
構造化された緩衝帯:コーンベルトにおける非鱗翅目(lepidopteran)Btトウモロコシ緩衝帯、20%
コットンベルトにおける非鱗翅目(lepidopteran)Bt緩衝帯、50%
ブロック
内部(すなわち、Bt圃場内)
外部(すなわち、任意交配を最大限に高めるための、Bt圃場の1/2マイル(可能であれば1/4マイル)以内にある別の圃場)
圃場内帯状地(strip)
帯状地は、幼虫移動の効果を低減するために少なくとも4列幅(rows wide)(好ましくは6列)である必要がある」
【0068】
さらに、全米トウモロコシ生産者協会(National Corn Growers Association)も、そのウェブサイト:
(ncga.com/insect-resistance-management-fact-sheet-bt-corn)
において、緩衝帯要件に関する同様の指針、例えば次の事項を提示する。
「コーンボーラーIRMの要件:
− 緩衝帯ハイブリッドをトウモロコシ畑の少なくとも20%に植えること
− ワタ生産区域において、緩衝帯は50%でなければならない
− 緩衝帯ハイブリッドの1/2マイル以内に植えなければならない
− 緩衝帯はBt圃場内に帯状地として配置する(plant)ことができる;緩衝帯帯状地は、少なくとも4列幅でなければならない
− 標的昆虫に対して経済的閾値(economic threshold)に達した場合のみ、緩衝帯を従来の殺有害生物剤で処理してよい
− Btベースの噴霧可能な殺虫剤は、緩衝帯トウモロコシに用いることができない
− Btトウモロコシの農場毎に適切な緩衝帯を配置しなければならない」
【0069】
Roushらによって記述された通り(例えば、1780および1784頁右段)、それぞれ標的有害生物に対して有効であり、交差抵抗性がほとんどないまたは全くない2種の異なるタンパク質のスタッキングまたはピラミッド化は、より小規模の緩衝帯の使用を可能にする。Roushは、成功したスタックにおける10%未満の緩衝帯の緩衝帯サイズは、単一(非ピラミッド化)形質における約50%の緩衝帯に匹敵する抵抗性管理をもたらし得ることを示唆する。現在利用できるピラミッド化したBtトウモロコシ製品に対し、米国環境保護局は、単一形質の製品(概して20%)よりも有意に少ない(概して5%)非Btトウモロコシの構造化された緩衝帯の植え付けを要求する。
【0070】
Roushら(上記参照)および米国特許第6,551,962号明細書にさらに記載されている通り、圃場における様々な幾何学的植え付けパターン(geometric planting pattern)(上述)や種子同梱袋(in-bag seed mixture)等、緩衝帯のIRM効果を提供する様々な方法が存在する。
【0071】
上述のパーセンテージまたは類似の緩衝帯比率は、対象の二重もしくは三重スタックまたはピラミッドに用いることができる。単一の標的有害生物に対し3種の作用機序を備える三重スタックに関して、目標はゼロ緩衝帯(または例えば5%未満の緩衝帯)である。これは、商業的地所、例えば10エーカーを超えるものに特に当てはまる。
【0072】
本明細書に参照または引用されているあらゆる特許、特許出願、仮出願および刊行物は、本明細書に明示されている教示と不一致とならない範囲まで、その全体が参照により援用される。
【0073】
次に、本発明の実施のための手順を説明する実施例を示す。これらの実施例は、限定的なものとして解釈するべきではない。他に断りがなければ、あらゆるパーセンテージは重量で表し、あらゆる溶媒混合物の割合は容量で表す。あらゆる温度はセ氏で表す。
【0074】
特に示唆または暗示されていなければ、「a」、「an」および「the」との用語は、本明細書において「少なくとも1個」を示す。
【実施例1】
【0075】
キメラCry1Caコア毒素およびCry1Abプロトキシンの設計
キメラ毒素。 別のCry毒素のプロトキシンセグメントと融合したあるCry毒素のコア毒素ドメインを利用するキメラタンパク質は、例えば、米国特許第5593881号明細書および米国特許第5932209号明細書において以前に報告された。Cry1Ca3デルタエンドトキシンタンパク質配列は、CryIC(b)という旧い用語でGenBank受託番号AAA22343として寄託されている。
【0076】
本発明のCry1Caキメラタンパク質変種は、コア毒素セグメントの末端を過ぎたある点で異種デルタエンドトキシンプロトキシンセグメントと融合した、Cry1Ca3殺虫性毒素に由来するN末端コア毒素セグメントを含むキメラ毒素を含む。コア毒素から異種プロトキシンセグメントへの移行は、天然のコア毒素/プロトキシン接合部付近において生じても、あるいは天然のプロトキシン部分(コア毒素セグメントを過ぎて延在する)が保持されて、異種プロトキシンへの移行が下流で生じてもよい。変種様式において、コア毒素およびプロトキシンセグメントは、その元となる天然の毒素のアミノ酸配列を正確に含んでいてもよいし、あるいは互いが融合したときにセグメントの生物学的機能を減少させずに増強できるようなアミノ酸の付加、欠失または置換を含んでいてもよい。
【0077】
例えば、本発明のキメラ毒素は、Cry1Ca3に由来するコア毒素セグメントと、異種プロトキシンとを含む。本発明の好ましい一実施形態において、Cry1Ca3に由来するコア毒素セグメント(619アミノ酸)は、Cry1Abデルタ−エンドトキシンに由来するプロトキシンセグメントを含む異種セグメント(545アミノ酸)と融合される。本明細書においてDIG−152というキメラタンパク質の1164アミノ酸配列は、配列番号1として開示されている。本発明の第二の好ましい実施形態は、Cry1Caコア毒素セグメント(619アミノ酸)が、Cry1Abに由来する第二の545アミノ酸プロトキシンセグメントと連結したキメラタンパク質を含む。DIG−109という第二のキメラタンパク質の1164アミノ酸配列は、配列番号2(メイズ最適化バージョン)として開示されている。Cry1Caコア毒素変種およびCry1Abに由来するプロトキシンを含む他のキメラ融合体が、本発明の範囲内のものであることを理解されたし。
【0078】
DIG−152およびDIG−109キメラタンパク質が、配列の単一のポジション(アミノ酸620、Cry1Caコア毒素セグメントをCry1Abプロトキシンセグメントと連結する部分)のみ異なり、互いに本質的に機能的に同等であることに留意されたい。
【実施例2】
【0079】
キメラCry1Caコア/Cry1Abプロトキシンタンパク質をコードする発現プラスミドの構築およびシュードモナス(Pseudomonas)属における発現
全長DIG−152キメラタンパク質(配列番号1に開示)を産生するよう設計されたシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)(Pf)発現構築物pMYC2547の構築において、標準クローニング法(例えば、Sambrookら(1989)およびAusubelら(1995)ならびにそれらの最新情報に記載)を用いた。米国特許第5169760号明細書に開示されている改変型lacオペロンを挿入されたシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)株MB214(株MB101の派生体;P.フルオレッセンス(P. fluorescens)次亜種(biovar)I)において、タンパク質産生を行った。基礎クローニング戦略は、その結果プラスミドpKK223−3(PL Pharmacia、ウィスコンシン州ミルウォーキー)由来のPtacプロモーターおよびrrnBT1T2ターミネーターの発現制御下にDNA断片が置かれるような、DIG−152をコードするDNA断片のプラスミドベクターへのサブクローニングを必要とした。このようなプラスミドの一型をpMYC2547と命名し、このプラスミドを有するMB214分離株をDpf108と命名した。
【0080】
シェイカーフラスコ(Shake Flask)における増殖および発現解析。 特性評価および昆虫バイオアッセイのためのDIG−152タンパク質の産生は、シェイカーフラスコで増殖したP.フルオレッセンス(P. fluorescens)株Dpf108により達成した。米国特許第5527883号明細書に以前に記載された通り、Ptacプロモーター駆動によるDIG−152タンパク質産生を行った。微生物学的操作の詳細は、参照により本明細書において援用するSquiresら(2004)、米国特許出願第20060008877号明細書、米国特許出願第20080193974号明細書および米国特許出願第20080058262号明細書に見出すことができる。24時間、30°における最初のインキュベーションを振盪しつつ行った後、イソプロピル−β−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)の添加により発現を誘導した。誘導時および誘導後の様々な時点で培養物を試料採取した。600nmの光学密度(OD600)により細胞密度を測定した。
【0081】
シェイカーフラスコ試料の細胞分画およびSDS−PAGE解析。 各試料採取時点において、試料の細胞密度をOD600=20となるよう調整し、1mLアリコートを14000×gで5分間遠心分離した。細胞ペレットを−80°で凍結した。EasyLyse(商標)細菌タンパク質抽出溶液(EPICENTRE(登録商標)Biotechnologies、ウィスコンシン州マディソン)を用いて、凍結したシェイカーフラスコ細胞ペレット試料から得られた可溶性および不溶性画分を作製した。各細胞ペレットを1mLのEasyLyse(商標)溶液に再懸濁し、さらに溶解バッファー中に1:4希釈し、振盪しつつ室温で30分間インキュベートした。ライセートを14,000rpmで20分間、4°にて遠心分離し、上清を可溶性画分として回収した。次に、ペレット(不溶性画分)を等容量のリン酸緩衝食塩水(PBS;11.9mM NaHPO、137mM NaCl、2.7mM KCl、pH7.4)に再懸濁した。
【0082】
β−メルカプトエタノールを含有する2×レムリ(Laemmli)サンプルバッファー(Sambrookら、上記参照)と1:1で試料を混合し、Criterion XT Bis−Tris12%ゲル(Bio−Rad Inc.、カリフォルニア州ハーキュリーズ)にローディングする前に5分間煮沸した。推奨されるXT MOPSバッファー中で電気泳動を行った。メーカー(Bio−Rad)のプロトコールに従ってバイオセーフ(Bio-Safe)クーマシー染色によりゲルを染色し、Alpha Innotechイメージングシステム(カリフォルニア州サンリアンドロ)を用いて撮像した。
【0083】
封入体調製。 SDS−PAGEおよびMALDI−MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析)によって立証されたように不溶性Bt殺虫性タンパク質を産生するP.フルオレッセンス(P. fluorescens)発酵由来の細胞において、DIG−152タンパク質封入体(IB)調製を行った。37°のウォーターバスにおいてP.フルオレッセンス(P. fluorescens)発酵ペレットを解凍した。細胞を25%w/vとなるよう溶解バッファー[50mM Tris、pH7.5、200mM NaCl、20mM EDTA二ナトリウム塩(エチレンジアミン四酢酸)、1%Triton X−100および5mMジチオスレイトール(DTT);5mL/Lの細菌プロテアーゼ阻害剤カクテル(カタログ#P8465;Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイス)を使用直前に添加]に再懸濁した。最低設定の手持ち式ホモジナイザー(Tissue Tearor、BioSpec Products、Inc.、オクラホマ州バートルズビル)を用いて細胞を懸濁した。リゾチーム(Sigma L7651を25mg、ニワトリ卵白製)を金属スパチュラで混合することによって細胞懸濁液に添加し、懸濁液を室温で1時間インキュベートした。懸濁液を氷上で15分間冷却し、次にBranson Sonifier250(1分間セッション、50%デューティサイクル、30%出力を2回)を用いて超音波処理した。細胞の溶解を顕微鏡でチェックした。さらに25mgのリゾチームを必要に応じて添加し、インキュベーションおよび超音波処理を繰り返した。顕微鏡により細胞溶解を確認した後、ライセートを11,500×gで25分間(4°)遠心分離してIBペレットを形成し、上清を廃棄した。IBペレットを100mLの溶解バッファーに再懸濁し、上述通り手持ち式撹拌機によりホモジナイズして遠心分離した。上清が無色となり、IBペレットが堅固で色がオフホワイトとなるまで、再懸濁(50mLの溶解バッファー中に)、ホモジナイズ、超音波処理および遠心分離によりIBペレットを繰り返し洗浄した。最後の洗浄において、2mM EDTAを含有する滅菌濾過(0.22μm)した蒸留水中にIBペレットを再懸濁し、遠心分離した。2mM EDTAを含有する滅菌濾過した蒸留水中に最後のペレットを再懸濁し、1mLアリコートとして−80°で保存した。
【0084】
IBペレットの1mLアリコートを解凍し、滅菌濾過した蒸留水で1:20希釈することによって、IB標本におけるタンパク質のSDS−PAGE解析および定量化を行った。次に、希釈した試料を4×還元性サンプルバッファー[250mM Tris、pH6.8、40%グリセロール(v/v)、0.4%ブロモフェノールブルー(w/v)、8%SDS(w/v)および8%β−メルカプトエタノール(v/v)]において煮沸し、Novex(登録商標)4〜20%Tris−グリシン、12+2ウエルゲル(Invitrogen)にローディングし、1×Tris/グリシン/SDSバッファー(BioRad)で泳動した。60分間200ボルトにてゲルを泳動し、続いてクーマシーブルー(45%メタノール、10%酢酸中の50%G−250/50%R−250)で染色し、蒸留水中の7%酢酸、5%メタノールで脱染した(destain)。標準曲線を作成するための同一ゲルで泳動したウシ血清アルブミン(BSA)標準試料に対してバンドの濃度測定値を比較することによって、標的バンドの定量化を行った。
【0085】
封入体の可溶化。 PfクローンDPf108から得られた6mLのDIG−152封入体懸濁液を、エッペンドルフモデル5415C微量遠心管(microfuge)(およそ14,000×g)の最高設定で遠心分離し、封入物をペレット化した。保存バッファー上清を除去し、50mLコニカルチューブにおいて25mLの100mM炭酸ナトリウムバッファー、pH11と交換した。ピペットを用いて封入物を再懸濁し、ボルテックス攪拌して完全に混合した。穏やかな揺動プラットフォーム上にチューブを4°で一晩置き、標的タンパク質を抽出した。抽出物を30,000×gで30分間4°にて遠心分離し、その結果得られた上清を、Amicon Ultra−15再生セルロース遠心分離フィルター装置(30,000分子量カットオフ;Millipore)を用いて5倍に濃縮した。次に、使い捨てPD−10カラム(GE Healthcare、ニュージャージー州ピスカタウェイ)を用いて、サンプルバッファーを10mM CAPS[3−(シクロヘキサミノ(cyclohexamino))1−プロパンスルホン酸]pH10に交換した。
【0086】
封入体タンパク質の可溶化およびトリプシン活性化。 場合によっては、PfクローンDPf108から得られたDIG−152封入体懸濁液を最高設定のエッペンドルフモデル5415C微量遠心管(およそ14,000×g)で遠心分離して、封入物をペレット化した。保存バッファー上清を除去し、100mM CAPS、pH11と交換して、およそ50mg/mLのタンパク質濃度を得た。チューブを室温で3時間揺動して、タンパク質を完全に可溶化した。5%〜10%(w:w、IB粉末の初期重量に基づく)に相当する量のトリプシンを添加し、一晩4°で揺動しつつインキュベーションすることにより、あるいは90〜120分間室温で揺動することにより消化を達成した。10,000×gで15分間遠心分離することにより不溶性物質を除去し、上清をMonoQ陰イオン交換カラム(10mm×10cm)にアプライした。25カラム容量にわたる0%〜100%1M NaCl勾配により、活性化DIG−152タンパク質を溶出した(SDS−PAGEにより決定、下を参照)。活性化タンパク質を含有する画分をプールし、必要であれば上述通りにAmicon Ultra−15再生セルロース遠心分離フィルター装置を用いて10mL未満に濃縮した。次に、100mM NaCl、10%グリセロール、0.5%Tween−20および1mM EDTAを含有するバッファーにおいて、材料をSuperdex200カラム(16mm×60cm)に通した。SDS−PAGE解析により、活性化(酵素により切断)タンパク質が、65〜70mLで溶出することが決定された。活性化タンパク質を含有する画分をプールし、上述通り遠心分離濃縮器を用いて濃縮した。
【0087】
ゲル電気泳動。 還元剤として5mM DTTを含有するNuPAGE(登録商標)LDSサンプルバッファー(Invitrogen)中に1:50希釈し、95°で4分間加熱することによって、濃縮したタンパク質標本を電気泳動用に調製した。0.2μgから2μg/レーン範囲の5種のBSA標準(標準曲線作成用)と並行して、4〜12%NuPAGE(登録商標)ゲルの2回複製したレーンに試料をローディングした。追跡用色素がゲル底辺に到達するまで、MOPS SDSランニングバッファー(Invitrogen)を用いて200Vの電圧を印加した。45%メタノール、10%酢酸中の0.2%クーマシーブルーG−250でゲルを染色し、先ず45%メタノール、10%酢酸で短時間、次にバックグラウンドが消えるまでの時間、7%酢酸、5%メタノールで脱染した。脱染後、BioRad Fluor−S MultiImagerによりゲルを走査した。この機器のQuantity Oneソフトウェアv.4.5.2を用いて、染色されたタンパク質バンドからバックグラウンドを差し引いた量を得て、原液(stock solurion)におけるキメラDIG−152タンパク質濃度の算出に用いるBSA標準曲線を作成した。
【実施例3】
【0088】
シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)において産生されたDIG−152タンパク質の殺虫活性
フォールアーミーワーム(FAW、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(J.E.Smith))の幼虫およびCry1F抵抗性FAW(rFAW)の幼虫においてDIG−152タンパク質の殺虫活性を立証した。
【0089】
試料調製およびバイオアッセイ。 透析またはPD−10カラム等、交換法により、封入体標本(天然の全長タンパク質またはトリプシン活性化したタンパク質)を10mM CAPS、pH10バッファーに移した。次に、10mM CAPS、pH10で試料を適切に希釈し、全バイオアッセイは、このバッファーからなる対照処理を含み、これは死亡率または成長阻害のバックグラウンドチェックとして役立てた。
【0090】
BSAを用いたゲル電気泳動によりゲル濃度測定用の標準曲線を作成して、バイオアッセイバッファーにおけるタンパク質濃度を評価し、上述通りBioRadイメージングシステムを用いて測定した。クーマシーブルーに基づく染色によりゲルマトリックスにおけるタンパク質を染色し、読み取り前に脱染した。
【0091】
人工昆虫飼料で飼育した新生期の鱗翅目(lepidopteran)幼虫を用いて実行したバイオアッセイにおける殺虫活性に関し、精製タンパク質を試験した。民間の昆虫飼育会社(commercial insectary)(Benzon Research Inc.、ペンシルベニア州カーライル)によって維持されたコロニーから得られた卵からFAWの幼虫を孵化した。非売(non-commercial)のコロニー(Dow AgroSciences、インディアナ州インディアナポリス)から収集した卵からrFAWの幼虫を孵化した。
【0092】
昆虫バイオアッセイ用に特別に設計された128ウエルプラスチックトレイにおいて(C−D International、ニュージャージー州ピットマン)バイオアッセイを行った。各ウエルには、1.0mLの複数種鱗翅目(Lepidoptera)用飼料(Southland Products、アーカンソー州レイクビレッジ)が入れられた。各ウエルの飼料表面1.5cm上に40μLのタンパク質試料アリコートをピペットで移した(すなわち26.7μL/cm)。ウエルの表面面積1平方センチメートル当りのDIG−152タンパク質の量(ng)として飼料濃度を算出した。飼料表面上の液体が蒸発する、あるいは飼料中に吸収されるまで、処理したトレイをドラフト内に保持した。
【0093】
孵化(eclosion)の数時間以内に、湿らせたラクダの毛のブラシで個々の幼虫を持ち上げ、処理した飼料上にウエル当り幼虫一匹を置いた。次に、ガス交換できるよう通気した透明プラスチックの粘着シート(C−D International)で虫の入ったウエルを密封した。管理された環境条件下[28°、およそ40%相対湿度(RH)、16時間:8時間(明:暗)]でバイオアッセイトレイを5日間保持し、その後、各タンパク質試料に曝露された昆虫全数、死んだ昆虫の数および生存昆虫の重量を記録した。処理毎にパーセント死亡率およびパーセント成長阻害を算出した。次の通りパーセント成長阻害(GI)を算出した:
%GI=[1−(TWIT/TNIT)/(TWIBC/TNIBC)]×100
(式中、TWITは処理における昆虫総重量(Total Weight of Insects in the Treatment)であり、
TNITは処理における昆虫全数(Total Number of Insects in the Treatment)であり、
TWIBCはバックグラウンドチェック(バッファー対照)における昆虫総重量(Total Weight of Insects in the Background Check)であり、
TNIBCはバックグラウンドチェック(バッファー対照)における昆虫全数(Total Number of Insects in the Background Check)である)
【0094】
GI50を、%GI値が50である飼料中のキメラDIG−152タンパク質濃度として決定した。LC50(50%致死濃度)を、試験昆虫の50%が死滅した飼料中のDIG−152タンパク質の濃度として記録した。JMPソフトウェア(SAS、ノースカロライナ州ケーリー)を用いて統計解析(一元配置分散分析(One-way ANOVA))を行った。
【0095】
表2は、フォールアーミーワーム昆虫幼虫におけるDIG−152タンパク質の摂取バイオアッセイの結果を提示する。
【0096】
【表2】

【0097】
本発明のDIG−152タンパク質の特色は、DIG−152タンパク質の摂取後にフォールアーミーワーム(スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda))新生期幼虫の成長が阻害されることである。さらに、Cry1Faによる中毒症に対し抵抗性を有するフォールアーミーワーム幼虫は、DIG−152活性に対し野生型フォールアーミーワーム幼虫と同様の感受性を有する。これらCry1Fa抵抗性昆虫のCry1Caに対する感受性の意義は、上により詳細に記載されている。
【実施例4】
【0098】
DIG−109タンパク質をコードするメイズコドン最適化配列の設計
植物分子生物学分野の当業者であれば、複数のDNA配列が、単一のアミノ酸配列をコードするよう設計できることを理解するであろう。対象タンパク質のコード領域の発現を増加させる一般的な手段は、そのコドン組成が、遺伝子を発現させる予定の宿主の全体的なコドン組成と類似するような仕方でコード領域を仕立てることである。合成遺伝子の設計および産生に関する指針は、例えば、国際公開第1997/13402号パンフレットおよび米国特許第5380831号明細書に見出すことができる。
【0099】
トランスジェニック単子葉植物においてDIG−109キメラ殺虫性タンパク質を産生するよう、メイズコドンバイアスを有するDNA配列を設計して合成した。GenBank(ワールドワイドウェブ:ncbi.nlm.nih.gov)に寄託された配列から得た706種のタンパク質コード配列から、メイズ(Zea mays L.)のコドン使用表(codon usage table)を算出した。該アミノ酸の全コドン使用の約10%未満を用いた重複性コドンを全て省略した後、加重平均メイズコドンセットを算出した。次式を用いて各コドンの加重平均表示を算出した:
C1の加重平均%=1/(%C1+%C2+%C3+その他)×%C1×100
(式中、C1は問題のコドンであり、%C2、%C3、その他は、残りの同義コドンの平均%使用値を表す)
【0100】
配列番号2の1164アミノ酸DIG−109タンパク質をコードするメイズコドン最適化DNA配列を得るため、その結果得られるDNA配列が、メイズ最適化コドンバイアス表の全体的なコドン組成を有するように、Cry1Caコア毒素セグメントをコードする天然のcry1Ca DNA配列に対してコドン置換を行った。同様の様式において、その結果生じるDNA配列が、メイズに最適化したコドンバイアス表の全体的なコドン組成を有するように、Cry1Abプロトキシンセグメントをコードする天然のcry1Ab DNA配列に対してコドン置換を行った。植物細胞においてコード領域のRNA安定性、転写または翻訳に干渉し得る望ましくない制限酵素認識部位、潜在的な植物イントロンスプライス部位、A/TまたはC/G残基の長い配列(long run)および他のモチーフを排除するよう、配列に対するさらなる緻密化を行った。所望の制限酵素認識部位を導入するよう、また長い内部オープンリーディングフレーム(+1以外のフレーム)を排除するよう、他の変更を行った。およそのところメイズに偏向したコドン組成(maize-biased codon composition)を保持する制約下で、これらの変更を全て行った。完全メイズコドン最適化配列(DIG−109タンパク質をコードする)を配列番号3として開示する。民間業者(DNA2.0、カリフォルニア州メンロパーク)によりDNA断片の合成を行った。
【実施例5】
【0101】
DIG−109タンパク質をコードする植物発現可能遺伝子を含有する植物形質転換ベクターの構築
アグロバクテリウム(Agrobacterium)スーパーバイナリーシステム(日本たばこ産業、日本、東京)は、単子葉植物宿主の形質転換に簡便に用いられる。スーパーバイナリーシステムは、多重クローニング部位によって隔てられた右側T−DNA境界反復(RB)および左側T−DNA境界反復(LB)の配列を含有するpSB11シャトルベクタープラスミドを利用する。標準DNAクローニング法によりpSB11の派生体(pDAB7691という)を調製した。プラスミドpDAB7691は、メイズユビキチン1プロモーターと関連イントロン1(米国特許第5510474号明細書)およびメイズPer5 3’非翻訳領域(3’UTR)(米国特許第7179902号明細書)による転写調節下において、メイズに最適化したDIG−109コード配列(CDS;すなわち、配列番号3)を含有する。さらに、pDAB7691は、イネアクチン1プロモーターと関連イントロン1(米国特許第5641876号明細書)およびメイズリパーゼ3’UTR(米国特許第7179902号明細書)による転写調節下において、Dow AgroSciences DSM2 CDS(国際公開第2008/070845(A2)号パンフレット)を含む植物選択可能マーカー遺伝子を含有する。pDAB7691 T−領域の構成要素の物理的配置を次に簡便に例示する:
RB>メイズUbi1プロモーター:DIG−109 CDS:メイズPer5 3’UTR>イネAct1プロモーター:DSM2 CDS:メイズLip 3’UTR>LB
【0102】
標準DNAクローニング法によりpSB11の第二の派生体(pDAB100276という)を調製した。プラスミドpDAB100276は、メイズユビキチン1プロモーターと関連イントロン1およびメイズPer5 3’UTRによる転写調節下において、メイズに最適化したDIG−109コード配列(CDS;すなわち、配列番号3)を含有する。さらに、pDAB100276は、メイズユビキチン1プロモーターと関連イントロン1およびメイズリパーゼ3’UTRによる転写調節下において、Dow AgroSciences AAD1 CDS(米国特許出願第20090093366号明細書)を含む植物選択可能マーカー遺伝子を含有する。pDAB100276 T−領域の構成要素の物理的配置を次に簡便に例示する:
RB>メイズUbi1プロモーター:DIG−109 CDS:メイズ Per5 3’UTR>メイズUbi1プロモーター:AAD−1 CDS:メイズLip 3’UTR>LB
【0103】
アグロバクテリウム(Agrobacterium)形質転換の準備を行うため、プラスミドpDAB7691またはプラスミドpDAB100276を有する大腸菌(Escherichia coli)クローニング株DH5αの細胞を、スペクチノマイシン(100μg/mL)を含有するLB寒天培地(g/L:Bactoトリプトン、10;Bacto酵母エキス、5;NaCl、10;寒天、15)上に37°で一晩増殖させた。接合動員(conjugal mobilizing)プラスミドpRK2013を含有する株DH5α細胞を、カナマイシン(50μg/mL)を含有するLB寒天上に増殖させた。インキュベーション後、プレートを4°に置き、プラスミドpSB1を含有するアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)株LBA4404の準備が整うのを待った。
【実施例6】
【0104】
スーパーバイナリーベクター作製のためのアグロバクテリウム(Agrobacterium)形質転換
プラスミドpSB1を含有するアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)株LBA4404を利用するアグロバクテリウム(Agrobacterium)スーパーバイナリーシステムは、単子葉植物宿主の形質転換に簡便に用いられる。スーパーバイナリーベクターを構築し検証するための手順は、pSB1の操作マニュアル(日本たばこ産業)に記載されている通り十分に確立されている。標準微生物学的および分子生物学的方法を用いて、プラスミドpSB1およびpDAB7691を含む同時組み込み体(cointegrant)プラスミドであるスーパーバイナリープラスミドpDAS5162ならびにプラスミドpSB1およびpDAB100276を含む同時組み込み体プラスミドであるスーパーバイナリープラスミドpDAS5848を作製し検証した。
【実施例7】
【0105】
メイズ植物におけるDIG−109タンパク質の産生
アグロバクテリウム(Agrobacterium)を介したメイズの形質転換。 95%Metro−Mix360無土壌成長培地(Sun Gro Horticulture、ワシントン州ベルビュー)および5%埴壌土(clay/loam soil)の混合物の入った5ガロンポットに、Hi−II F1交雑種(Armstrongら、1991)から得た種子を播いた。高圧ナトリウムおよびメタルハライドランプの組み合わせを用いた16時間明期:8時間暗期の光周期の温室で植物を育成した。管理された同胞受粉(sib-pollination)を行って、形質転換用の未成熟F2胚を得た。受粉およそ8〜10日後、未成熟胚が1.0mm〜2.0mmの間のサイズになったときにメイズ雌穂を収集した。
【0106】
感染および共培養。 メイズ雌穂の外皮を剥き(dehusk)、液体石鹸でこすり洗い、20%の市販漂白剤(5%次亜塩素酸ナトリウム含)に約20分間浸漬し、続いて滅菌水で3回リンスすることによって表面殺菌した。ループ1または2掻きの細菌[100mg/Lスペクチノマイシン、10mg/Lテトラサイクリンおよび250mg/Lストレプトマイシンを含有するYEP固体培地(g/L:Bacto酵母エキス、10;Bactoペプトン、10;NaCl、5;寒天、15)上で2〜3日間28°で増殖]を、100μMアセトシリンゴンを含有する液体感染培地[LS基本培地(Linsmaier and Skoog、1965)、N6ビタミン(Chuら、1975)、1.5mg/L 2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)、68.5g/Lショ糖、36.0g/Lグルコース、6mM L−プロリン、pH5.2]5mLに移すことにより、DIG−109タンパク質をコードする遺伝子およびDSM2植物選択可能マーカー遺伝子を含有するスーパーバイナリーベクターであるpDAS5162を含有するアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)細胞の懸濁液を調製した。
【0107】
あるいは、上述通りに増殖させたループ1または2掻きの細菌を、100〜200μMアセトシリンゴンを含有する液体感染培地5mLに移すことにより、DIG−109タンパク質をコードする遺伝子およびAAD−1植物選択可能マーカー遺伝子を有するスーパーバイナリーベクターであるpDAS5848を含有するアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)細胞の懸濁液を調製した。
【0108】
いずれの場合においても、均一な懸濁液が得られるまで溶液をボルテックス攪拌し、紫色フィルターによるKlett−Summerson比色計を用いて最終密度が200Klett単位になるよう(pDAS5162形質転換用)、あるいは550nmにおいて1.2の光学密度になるよう(pDAS5848形質転換用)濃度を調整した。2mLの感染培地の入った微量遠心チューブ内に未成熟胚を直接単離した。培地を除去し、1mLのアグロバクテリウム(Agrobacterium)溶液と交換し、アグロバクテリウム(Agrobacterium)/胚溶液を5〜10分間室温でインキュベートした。次に、100μMアセトシリンゴンを含有する(pDAS5162形質転換体用)、あるいは100〜200μMアセトシリンゴンを含有する(pDAS5848形質転換体用)共培養培地[LS基本培地、N6ビタミン、1.5mg/L 2,4−D、30.0g/Lショ糖、6mM L−プロリン、0.85mg/L AgNO3、2.8g/Lジェランガム(PhytoTechnology Laboratories、カンザス州レネックサ)、pH5.8]へと胚を移し、3〜4日間20°暗所で共培養した。
【0109】
共培養後、MS塩およびビタミン、6mM L−プロリン、100mg/Lミオイノシトール、500mg/L MES、30g/Lショ糖、1.5mg/L 2,4−D、0.85mg/L AgN0、250mg/Lセフォタキシム、2.8g/Lジェランガム、pH5.8を含有する静置(resting)培地に胚を移した。およそ7日後、3mg/Lビアラホス(pDAS5162形質転換体用)を補給したあるいは100nMハロキシホップを補給した(pDAS5848形質転換体用)(選択培地)同じ培地へと胚を移した。およそ8週間後に形質転換した分離株を同定し、再生および解析のため、2週間間隔で新鮮な選択培地へと移すことによって大きく増やした。
【0110】
再生および種子生産。 再生のため、3mg/Lビアラホスを補給した(pDAS5162形質転換体用)あるいは100nMハロキシホップを補給した(pDAS5848形質転換体用)「28」誘導培地(MS塩およびビタミン、30g/Lショ糖、5mg/Lベンジルアミノプリン、0.25mg/L 2,4−D、250mg/Lセフォタキシム、2.5g/Lジェランガム、pH5.7)へと培養物を移した。インキュベーションを微光条件(14μEm−2−1)下で1週間、続いて強光条件(およそ89μEm−2−1)下で1週間行った。その後「36」再生培地(植物成長調節物質を欠く以外は誘導培地と同一)へと組織を移した。小植物は、丈が3〜5cmになったときにSHGA培地[(Schenk and Hildebrandt (1972) salts and vitamins; PhytoTechnologies Labr.)、1.0g/Lミオイノシトール、10g/Lショ糖および2.0g/Lジェランガム、pH5.8]を含有するガラス培養管へと移し、シュートおよび根をさらに成長および発達させた。植物を先に記載したものと同じ土壌混合物に移植し、温室内で開花するまで育成した。種子生産のための管理された受粉を行った。
【0111】
メイズ形質転換分野の当業者であれば、他の植物発現可能選択可能マーカー遺伝子(例えば、除草剤耐性遺伝子)を用いる場合、メイズ形質転換および形質転換植物の選択のために他の方法を利用できることを理解するであろう。
【実施例8】
【0112】
DIG−109タンパク質を産生するメイズ植物の生化学的解析および昆虫バイオアッセイ
トランスジェニックメイズ植物におけるDIG−109タンパク質の産生を、若い植物体(T0世代)の葉から抽出したタンパク質において調査した。ディープウエル96クラスターチューブボックス(Costar Cat#3957)の試料チューブ内に直径6mmのメイズリーフディスクを2枚置き、解析の日まで−80°で凍結した。解析時に、2個の4.5mm亜鉛コーティングしたDaisy(商標)BBを、PBS(リン酸緩衝食塩水;Fisher Cat#BP665−1)プラス0.05%Tween20から構成される200μLの抽出バッファーと共に各(凍結)チューブに加えた。各チューブの蓋をし、ボックスを最大設定のビーズミル(Kleco(商標)4−96粉砕機;Garcia Manufacturing、カリフォルニア州バイセリア)内に3分間置いた。微粉砕した試料を5分間、2,500×gで遠心分離し、可溶性タンパク質を含有する上清をイムノアッセイに用いた。
【0113】
抽出したメイズ葉タンパク質のイムノブロット解析は、DIG152RPC1ポリクローナル抗体(トリプシン活性化Cry1Caコア毒素タンパク質で免疫化したウサギから調製)が、非トランスジェニック植物体の葉から抽出されたタンパク質と交差反応しないことを明らかにした。pDAS5162で形質転換した植物の抽出物において、DIG152PRC1抗体により数個のタンパク質種が検出された。
【0114】
pDAS5162による形質転換によってメイズに導入された導入遺伝子は、全長DIG−109タンパク質をコードするが、メイズ細胞内のタンパク質分解活性により、新生タンパク質が、大量の安定的でより小さい分子量の分子種にプロセシングされることは明らかである。
【0115】
フォールアーミーワーム(FAW、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(J.E. Smith))の新生期幼虫およびCry1F抵抗性FAW(rFAW)幼虫を用いて、pDAS5162構築物で形質転換し、独立的に単離したトランスジェニックメイズ植物体から収集した葉の昆虫毒性をin vitroで試験した。民間の昆虫飼育会社(Benzon)からFAW卵を入手し、rFAW卵は、非売の集団(Dow AgroSciences)から得た。植物体を実験室から温室に移植してからおよそ2週間後に、温室で育成したT0植物体から葉セグメント試料を昆虫バイオアッセイ用に採取した。各植物体から2枚の葉片(それぞれおよそ1平方インチ)を、32ウエルトレイ(CD International)の別個のウエルの約3mLの凝固した2%寒天の上に置いた。複数種鱗翅目(lepidopteran)用飼料(Southland Products)上で卵を孵化し、24時間齢未満のときに新生期の幼虫を選択した。ラクダの毛の絵筆を用いて葉セグメント当りおよそ10匹の幼虫を各ウエル内に慎重に置いた。虫の入ったトレイをトレイ付属の穿孔処理した蓋で密封し、続いて28°、40%RH、16時間明期:8時間暗期で3日間保持した。試験の終わりに各葉片のパーセント損傷(%DAM)を記録した。損傷評点を平均化し、どの植物体において各種試験昆虫による損傷が最も少ないかの決定に用いた。全昆虫に対し、試験を数回複製して行った。
【0116】
JMP統計ソフトウェア(SAS、ノースカロライナ州ケーリー)を用いて昆虫の種類毎の各植物体の%DAMスコアを平均化し、データを解析した。「XによるYの適合」モデルを一元配置分散分析解析に用いた。必要に応じてテューキー・クレーマー平均離隔(means separation)を用いて、処理毎の平均%DAMスコア間の有意差を解析した。ほぼ同齢の対照植物から得られた%DAMスコアとの比較を行った。Cry1Fa B.t.毒素を生成する市販のHerculex I(商標)ハイブリッドの種子から陽性対照植物を育成した。陰性対照(すなわち非形質転換植物)をHi IIおよびB104系統ならびにHerculex I(商標)Isoline(Herculex I(商標)ハイブリッドの非Cry含有親)によって表した。
【0117】
図1は、このような昆虫バイオアッセイ試験において得られた結果をまとめる。トランスジェニック葉におけるDIG−109産生と%DAM評点との間に正の相関があるということは、驚くべき知見である。FAWに関し、F=35.3;d.f.=1,33;P<0.0001;r=0.52であり、rFAWに関し、F=25.3;d.f.=1,33;P<0.0001;r=0.43である。Cry1Fa B.t.毒素による中毒症に対し抵抗性を有するフォールアーミーワーム幼虫であっても、DIG−109 B.t.毒素により摂食抑制されることは、さらに驚くべき新しい知見である。
【0118】
メイズの他の害虫を同様の様式で試験できることが理解できる。これらの有害生物として、アグロミザ・パルビコルニス(Agromyza parvicornis)(コーンブロットリーフマイナー(corn blot leafminer))、アグロチス・イプシロン(Agrotis ipsilon)(タマナヤガ(black cutworm))、アンチカルシア・ゲマタリス(Anticarsia gemmatalis)(ベルベットビーンキャタピラー(velvetbean caterpillar))、ジアトレア・グランジオセラ(Diatraea grandiosella)(サウスウェスタンコーンボーラー(southwestern corn borer))、ジアトラエア・サッカラリス(Diatraea saccharalis)(シュガーケーンボーラー)、モロコシマダラメイガ(Elasmopalpus lignosellus)(レサーコーンストークボーラー(lesser cornstalk borer))、アメリカタバコガ(Helicoverpa zea)(コーンイヤーワーム(corn earworm))、ニセアメリカタバコガ(Heliothis virescens)(タバコバドワーム)、オストリニア・ヌビラリス(Ostrinia nubilalis)(ユーロピアンコーンボーラー)、Cry1F抵抗性O.ヌビラリス(O. nubilalis)、プルテラ・キシロステラ(Plutella xylostella)(コナガ(diamondback moth))、Cry1−抵抗性P.キシロステラ(P. xylostella)、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)(ビートアワヨトウ(beet armyworm))およびイラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)(キャベツルーパー(cabbage looper))が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0119】
pDAS5848で形質転換したトランスジェニックメイズ植物(T0世代)も昆虫バイオアッセイおよび免疫解析により調査した。市販のCry1C ELISA検出キット(Envirologix(商標)、マサチューセッツ州ポートランド;Cat#AP007)を用いて葉抽出物におけるDIG−109タンパク質量を定量化し、検出されたDIG−109タンパク質レベルを百万分の一(ppm;1ppmは、抽出物における全可溶性タンパク質1mg当り1ngのDIG−109タンパク質を表す)として表示した。
【0120】
FAWおよびrFAWによる食害を次の通り分類する。0=損傷なしまたは針穴状の摂食マーク数個、1=25%〜50%の葉が食害、2=葉の大部分が消費または葉は残されていない。保護された植物は、損傷スコアが0.67以下の植物である。
【0121】
表3におけるデータは、in vitroバイオアッセイにおいて、T0植物におけるELISAにより検出されたDIG−109タンパク質種の存在とフォールアーミーワーム幼虫によって行われる食害の制御との間に正の相関があることを示す。最高検出レベルのDIG−109タンパク質を有する植物(植物体5848−005.4)は、最低値の葉食害スコアを有した。190〜230ppmの範囲のより低レベルの検出可能DIG−109タンパク質を有する植物体から得られた葉も、平均損傷スコア1.7および1.8を有する陰性対照植物(すなわち、非形質転換対照B104およびHi II)から得られた葉に観察されるものよりも食害が少なかった。調査した全pDAS5848葉において、検出された主要なDIG−109タンパク質種は、およそのサイズが60kDaおよび55kDaのペプチドダブレットを含んでいた。
【0122】
【表3】

【0123】
よって、本発明の特色は、DIG−109タンパク質がメイズ植物において産生されると、植物にフォールアーミーワーム幼虫およびCry1F抵抗性フォールアーミーワーム幼虫による食害に対する抵抗性を付与することである。
【実施例9】
【0124】
スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)の単離された刷子縁膜小胞を用いたCry1FaおよびCry1Caコア毒素タンパク質の競合的結合実験
次の実施例は、昆虫腸組織における推定受容体に対するCry1コア毒素タンパク質の競合結合を評価する。125I標識したCry1Caコア毒素タンパク質が、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(フォールアーミーワーム)から調製した刷子縁膜小胞(BBMV)と高い親和性で結合すること、および、Cry1Faコア毒素タンパク質が、この結合と競合しないことが示される。
【0125】
Cryタンパク質の精製。 実施例2に記載されている通り、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)発現株においてCry1Caコア毒素およびCry1Abプロトキシンを含むキメラタンパク質をコードする遺伝子を発現させた。同様の様式において、PfシステムにおいてCry1Faコア毒素(603アミノ酸)およびCry1Abプロトキシン(545アミノ酸)を含むキメラタンパク質をコードする遺伝子を発現させた。実施例2の方法によりタンパク質を精製し、全長タンパク質から活性化コア毒素を生成するためのトリプシン消化を行い、実施例2の方法により生成物を精製した。トリプシンによりプロセシングされた(活性化コア毒素)タンパク質の標本は、>95%純度であり、SDS−PAGEにより実験的に決定した通りおよそ65kDaの分子量を有していた。
【0126】
例えば、Sambrookら(1989)およびAusubelら(1995)ならびにそれらの最新情報に教示されている通り、タンパク質定量化およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動の標準方法を用いた。
【0127】
可溶化BBMVの調製および分画。 終齢スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)幼虫を一晩絶食させ、続いて氷上で15分間冷やした後に解剖した。外皮に付着した後腸を後に残し、中腸組織を体腔から取り出した。サプライヤーの推奨通りに希釈したプロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma−Aldrich P−2714)を補給した9×容量の氷冷ホモジナイズバッファー(300mMマンニトール、5mM EGTA、17mM Tris塩基、pH7.5)中に中腸を置いた。ガラス組織ホモジナイザーを15往復して組織をホモジナイズした。Wolfersberger(1993)のMgCl沈殿法によりBBMVを調製した。すなわち、等容量の300mMマンニトール中の24mM MgCl溶液を中腸ホモジネートと混合し、5分間攪拌し、氷上に15分間静置した。溶液を2,500×gで15分間、4°にて遠心分離した。上清を取り分け、ペレットを元の容量の0.5×希釈したホモジナイズバッファーに懸濁し、再度遠心分離した。2種の上清を組み合わせ、27,000×gで30分間、4°にて遠心分離してBBMV画分を生成した。タンパク質濃度が約3mg/mLとなるようペレットをBBMV保存バッファー(10mM HEPES、130mM KCl、10%グリセロール、pH7.4)に懸濁した。標準物質としてウシ血清アルブミン(BSA)を用いてタンパク質濃度を決定した。試料の凍結前に、QuantiChrom(商標)DALP−250アルカリホスファターゼアッセイキット(Gentaur Molecular Products、ベルギー、カンペンホウト)を用い、メーカーの説明書に従ってアルカリホスファターゼ決定(BBMV画分のマーカー酵素)を行った。この酵素の特異的活性は、通常、出発時の中腸ホモジネート画分に見られるものと比べて7倍増加した。BBMVを250μL試料にアリコート分注し、液体窒素中で瞬時に凍結し、−80°で保存した。
【0128】
電気泳動。 還元性(すなわち、5%β−メルカプトエタノール、BME中)かつ変性(すなわち、2%SDSの存在下5分間90°で加熱)条件下で、SDS−PAGEによるタンパク質の解析を行った。4%〜20%Tris−グリシンポリアクリルアミドゲル(BioRad;カリフォルニア州ハーキュリーズ)のウエルにタンパク質をローディングし、200ボルト、60分間で分離した。クーマシーブリリアントブルーR−250(BioRad)で1時間染色することによりタンパク質バンドを検出し、7%酢酸中の5%メタノール溶液で脱染した。BioRad Fluro−S Multi Imager(商標)を用いてゲルを撮像して(image)、解析した。ゲルの1ウエルにローディングしたBenchMark(商標)タンパク質ラダー(Life Technologies、メリーランド州ロックビル)試料において観察される公知の分子量のタンパク質の移動度と比較することにより、タンパク質バンドの相対分子量を決定した。
【0129】
Cry1Caコア毒素タンパク質のヨウ素化。 精製したCry1Caコア毒素タンパク質を、Pierceヨウ素化ビーズ(Thermo Fisher Scientific、イリノイ州ロックフォード)を用いてヨウ素化した。すなわち、2種のヨウ素化ビーズを500μLのPBS(20mMリン酸ナトリウム、0.15M NaCl、pH7.5)で2回洗浄し、100μLのPBSと共に1.5mL遠心分離チューブ内に入れた。0.5mCiの125I標識したヨウ化ナトリウムを添加し、成分を5分間、室温で反応させ、続いて1μgのCry1Caコア毒素タンパク質を溶液に添加し、さらに3〜5分間反応させた。溶液をヨウ素化ビーズからピペットで採取し、50mM CAPS、pH10.0、1mM DTT(ジチオスレイトール)、1mM EDTAおよび5%グリセロールで平衡化したZeba(商標)スピンカラム(Invitrogen)にアプライすることにより反応を終結した。ヨウ素化ビーズを10μLのPBSで2回洗浄し、洗浄溶液もZeba(商標)脱塩カラムにアプライした。1,000×gで2分間遠心分離することにより、スピンカラムを通して放射性溶液を溶出した。次に125I放射標識したCry1Caコア毒素タンパク質を、50mM CAPS、pH10.0、1mM DTT、1mM EDTAおよび5%グリセロールに対して透析した。
【0130】
イメージング。 SDS−PAGEおよびホスホロイメージング(phosphorimaging)により、ヨウ素化Cry1Caコア毒素タンパク質の放射性純度を決定した。すなわち、BioRadゲル乾燥装置を用いて、メーカーの説明書に従ってSDS−PAGEゲルを乾燥させた。ゲルをMylarフィルム(12μm厚)にラップし、Molecular Dynamicsストレージホスホロスクリーン(storage phosphor screen)(35cm×43cm)に1時間曝露することにより、乾燥ゲルを撮像した。Molecular Dynamics Storm820ホスホロイメージャー(phosphorimager)を用いてプレートを現像し、ImageQuant(商標)ソフトウェアを用いて画像を解析した。
【実施例10】
【0131】
125I標識Cry1コア毒素タンパク質とスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)由来のBBMVとの結合
125I放射標識Cry1Acコア毒素タンパク質を用いて飽和曲線を作成し、Cry1CaおよびCry1Faコア毒素タンパク質による結合アッセイにおいて用いるためのBBMVタンパク質の最適量を決定した。0.5nMの125I放射標識Cry1Acコア毒素タンパク質を結合バッファー(8mM NaHPO、2mM KHPO、150mM NaCl、0.1%BSA、pH7.4)中で1時間28°で、0μg/mLから500μg/mL(総容量0.5mL)範囲のBBMVタンパク質量とインキュベートした。150μLの反応混合物を3重で別個の1.5mL遠心分離チューブに試料採取し、試料を14,000×gで8分間、室温にて遠心分離することにより、BBMVタンパク質と結合した125I標識Cry1Acコア毒素タンパク質を非結合画分から分離した。上清を穏やかに除去し、ペレットを氷冷した結合バッファーで3回洗浄した。ペレットを含有する遠心分離チューブの底を切り取り、13×75mmガラス培養チューブ内に置き、試料をそれぞれガンマカウンターにおいて5分間計数した。得られたCPM(1分間当りの計数)マイナスバックグラウンドCPM(BBMVタンパク質なしの反応)をBBMVタンパク質濃度に対してプロットした。同様に他の結果に応じて、結合アッセイにおいて用いるためのBBMVタンパク質の最適濃度を150μg/mLと決定した。
【実施例11】
【0132】
コア毒素タンパク質Cry1CaおよびCry1Faを用いたS.フルギペルダ(S. frugiperda)由来BBMVとの競合的結合アッセイ
150μg/mL BBMVタンパク質および0.5nMの125I放射標識Cry1Caコア毒素タンパク質を用いて、相同および異種競合結合アッセイを行った。反応混合物に添加した競合的非放射標識Cry1Faコア毒素タンパク質の濃度、0.045nMから1000nM範囲を、放射性Cry1Caコア毒素タンパク質と同時に添加し、真の結合競合を確定した。インキュベーションを1時間28°で行い、BBMVと結合(特異的結合)した125I標識Cry1Caコア毒素タンパク質量を上の記載通りに測定した。非特異的結合は、1,000nMの非放射標識Cry1Caコア毒素タンパク質の存在下において得られた計数によって表される。100パーセントの合計結合は、競合相手であるCry1Faコア毒素タンパク質が全く存在しない場合の結合の量であると考えられた。
【0133】
125I標識Cry1Caコア毒素タンパク質を用いた受容体結合アッセイは、Cry1Faコア毒素タンパク質が、この放射標識リガンドをそのS.フルギペルダ(S. frugiperda)由来BBMVにおける結合部位から置き換える能力を決定した。結果(図2)は、300nM(放射性結合リガンドの濃度の600倍)もの高濃度のCry1Faコア毒素タンパク質が、結合した125I標識Cry1Caコア毒素タンパク質をその受容体タンパク質(複数可)から置き換えないことを示す。予想通り、非標識Cry1Caコア毒素タンパク質は、放射標識Cry1Caコア毒素タンパク質をその結合タンパク質(複数可)から置き換えることができ、5nMで50%の置き代わりが起こるS字形用量反応曲線を示す。
【0134】
よって、Cry1Caコア毒素タンパク質が、S.フルギペルダ(S. frugiperda)BBMVにおけるCry1Faコア毒素タンパク質と結合しない結合部位と相互作用することが示唆される。
【0135】
図2を参照されたし。Cry1Faコア毒素、Cry1Caコア毒素および125I標識Cry1Caコア毒素による、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)BBMVとの結合に関する競合。
【実施例12】
【0136】
Cry1Caコア毒素タンパク質およびビオチン標識Cry1Faコア毒素タンパク質のジアトラエア・サッカラリス(Diatraea saccharalis)BBMVに対する競合的結合
次の実施例は、Cry1コア毒素タンパク質と昆虫腸組織における推定受容体との競合結合を評価する。ビオチン標識Cry1Faコア毒素タンパク質が、ジアトラエア・サッカラリス(Diatraea saccharalis)(シュガーケーンボーラー)から調製される刷子縁膜小胞(BBMV)と高親和性で結合すること、および、Cry1Caコア毒素タンパク質が、この結合と競合しないことが示される。
【0137】
可溶化BBMVの調製および分画。 終齢D.サッカラリス(D. saccharalis)幼虫を一晩絶食させ、続いて氷上で15分間冷やした後に解剖した。実施例10に開示されている方法に従ってBBMV標本を作製した。
【0138】
Cry1Faタンパク質のヨウ素化は、昆虫摂食バイオアッセイにおいてタンパク質を不活性化するため、125I標識Cry1Faコア毒素タンパク質を用いた競合結合アッセイの結果は、生物学的関連性が限定的となる可能性がある。対照的に、ビオチン化Cry1Faコア毒素タンパク質は、昆虫に対するその毒性を保持することが見出された。さらに、非ビオチン化(競合)Cryコア毒素タンパク質の存在下における、この(ビオチン化)タンパク質と受容体との相互作用を測定することが可能である。このような競合実験は、BBMVタンパク質を電気泳動し、試料全体をPVDF(ポリビニリデンフルオライド)膜に転写した後に、ビオチン標識Cry1Faコア毒素タンパク質と、D.サッカラリス(D. saccharalis)BBMVにおける受容体との結合を検出することができる。西洋ワサビペルオキシダーゼとコンジュゲートしたアビジンを増強化学発光試薬と組み合わせて用いて、ビオチン標識Cry1Faコア毒素タンパク質を視覚化した。
【0139】
Pierce EZ−Link(登録商標)スルホ−NHS−LCビオチン化キット(Thermo Fisher Scientific)を用いて、Cry1Faコア毒素タンパク質をビオチンで標識した。すなわち、40μLのスルホ−NHS−LC−ビオチン(10mg/mLジメチルスルホキシド)を、0.1Mリン酸ナトリウムバッファー、pH7.2中のCry1Faコア毒素タンパク質(2.0mg/mL)500μLに添加した。反応液を4°で一晩インキュベートし、続いてZeba(商標)脱塩カラムを用いて未反応のスルホ−NHS−LC−ビオチンを除去した。Pierce HABA−アビジン置き換えアッセイ(Thermo Fisher Scientific)をメーカーの記載通りに用いて、Cry1Faコア毒素タンパク質へのビオチン取り込みを測定した。
【0140】
500倍過剰の非標識Cry1FaまたはCry1Caコア毒素タンパク質の存在下または不在下において、ビオチン標識Cry1Faコア毒素タンパク質(2.5nM)をD.サッカラリス(D. saccharalis)から調製した0.2mgのBBMVと[総容量1.0mL]1時間28°でインキュベートした。16,000×g、10分間の遠心分離により非結合ビオチン標識Cry1Faコア毒素タンパク質を除去し、その結果得られたペレットを氷冷した結合バッファーで3回洗浄した。ペレットを15μLの4×レムリサンプルバッファーに懸濁し、ボルテックス攪拌し、超音波処理して完全可溶化を確実にし、90°で3分間加熱した。全試料を4%〜20%Trisグリシンゲルにローディングし、SDS−PAGEにより分離し、サプライヤーの説明書(BioRad)が推奨する通りにPVDF膜上に電気的に転写した。1,000ngのCry1Faコア毒素タンパク質およびCry1Caコア毒素タンパク質も、陰性対照としてゲルで泳動した。1:15,000希釈したアビジンコンジュゲート西洋ワサビペルオキシダーゼと、SuperSignal(登録商標)West Pico Peroxide溶液とLuminal Enhancer溶液(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号1859674および1859675)の1:1混合液を用いた増強化学発光により、ビオチン標識Cry1Faコア毒素タンパク質を視覚化した。Quantity One v.4.5.2ソフトウェアを備えるBiorad Fluor−S MultiImagerを用いてバンドを記録した。
【0141】
結果は、D.サッカラリス(D. saccharalis)BBMVにおける受容体と結合したビオチン標識Cry1Faコア毒素タンパク質の検出を立証し、500倍過剰濃度の非ビオチン化Cry1Faコア毒素タンパク質が、結合したビオチン化Cry1Faコア毒素タンパク質をその受容体(複数可)から完全に置き換えることをさらに示した。対照的に、500倍過剰濃度のCry1Caコア毒素タンパク質は、結合したビオチン化Cry1Faコア毒素タンパク質を置き換えることができず、この結果は、Cry1Caコア毒素タンパク質が、D.サッカラリス(D. saccharalis)BBMVにおけるCry1Faコア毒素タンパク質結合部位(複数可)と競合しないことを示唆した。よって、S.フルギペルダ(S. frugiperda)のBBMVにより得られた結果と同じく、Cry1Faコア毒素タンパク質とCry1Caコア毒素タンパク質が、D.サッカラリス(D. saccharalis)BBMVにおける別個の結合部位と結合することが示唆される。
【0142】
(参考文献)
【表4】



【0143】
【表5】














【特許請求の範囲】
【請求項1】
Cry1C殺虫性タンパク質をコードするDNAおよびCry1F殺虫性タンパク質をコードするDNAを含むトランスジェニック植物。
【請求項2】
請求項1に記載の植物の種子。
【請求項3】
Cry1C殺虫性タンパク質をコードするDNAおよびCry1F殺虫性タンパク質をコードするDNAが、前記植物に遺伝子移入された、請求項1に記載の植物。
【請求項4】
請求項3に記載の植物の種子。
【請求項5】
非Bt緩衝帯植物および請求項1に記載の複数の植物を含む植物の圃場であって、前記緩衝帯植物は前記圃場の全ての作物植物の40%未満を構成する、圃場。
【請求項6】
前記緩衝帯植物が前記圃場の全ての作物植物の30%未満を構成する、請求項5に記載の植物の圃場。
【請求項7】
前記緩衝帯植物が前記圃場の全ての作物植物の20%未満を構成する、請求項5に記載の植物の圃場。
【請求項8】
前記緩衝帯植物が前記圃場の全ての作物植物の10%未満を構成する、請求項5に記載の植物の圃場。
【請求項9】
前記緩衝帯植物が前記圃場の全ての作物植物の5%未満を構成する、請求項5に記載の植物の圃場。
【請求項10】
前記緩衝帯植物がブロックまたは帯状地にある、請求項5に記載の植物の圃場。
【請求項11】
非Bt緩衝帯植物からの緩衝帯種子および請求項4に記載の複数の種子を含む種子の混合物であって、前記緩衝帯種子は前記混合物の全ての種子の40%未満を構成する、種子の混合物。
【請求項12】
前記緩衝帯種子が前記混合物の全ての種子の30%未満を構成する、請求項11に記載の種子の混合物。
【請求項13】
前記緩衝帯種子が前記混合物の全ての種子の20%未満を構成する、請求項11に記載の種子の混合物。
【請求項14】
前記緩衝帯種子が前記混合物の全ての種子の10%未満を構成する、請求項11に記載の種子の混合物。
【請求項15】
前記緩衝帯種子が前記混合物の全ての種子の5%未満を構成する、請求項11に記載の種子の混合物。
【請求項16】
昆虫によるCry毒素への抵抗性の発達を管理する方法であって、種子を播いて請求項5に記載の植物の圃場を作製するステップを含む、前記方法。
【請求項17】
Cry1Abコア毒素含有タンパク質をコードするDNAをさらに含む、請求項1に記載のトランスジェニック植物。
【請求項18】
非Bt緩衝帯植物および請求項17に記載の複数のトランスジェニック植物を含む植物の圃場であって、前記緩衝帯植物は前記圃場の全ての作物植物の約20%未満を構成する、圃場。
【請求項19】
請求項17に記載の複数の植物を含む植物の圃場であって、約10%未満の緩衝帯植物を含む圃場。
【請求項20】
昆虫によるCry毒素への抵抗性の発達を管理する方法であって、種子を播いて請求項19に記載の植物の圃場を作製するステップを含む、前記方法。
【請求項21】
Cry1Fコア毒素含有タンパク質およびCry1Cコア毒素含有タンパク質の両方の有効量を発現する細胞を含む、鱗翅目(lepidopteran)有害生物を防除するための組成物。
【請求項22】
Cry1Fコア毒素含有タンパク質およびCry1Cコア毒素含有タンパク質の両方を発現するように形質転換された宿主を含む請求項21に記載の組成物であって、前記宿主が、微生物または植物細胞である、組成物。
【請求項23】
鱗翅目(lepidopteran)有害生物を防除する方法であって、前記有害生物または前記有害生物の環境に、有効量の請求項21に記載の組成物を提示する(presenting)ステップを含む、前記方法。
【請求項24】
同じ標的昆虫に対して殺虫性である3つの殺虫性Cryタンパク質を生成するトランスジェニック植物であって、前記昆虫は前記Cryタンパク質のいずれか1つへの抵抗性を発達させる能力を有し、各前記Cryタンパク質は前記標的昆虫の異なる腸受容体に結合する、トランスジェニック植物。
【請求項25】
前記昆虫がフォールアーミーワームである、請求項24に記載の植物。
【請求項26】
Cry1Faタンパク質とCry1Caタンパク質と、Vip3A、Cry1D、Cry1BeおよびCry1Eタンパク質からなる群から選択される第三のタンパク質とを生成するトランスジェニック植物。
【請求項27】
昆虫によるCry毒素への抵抗性の発達を管理する方法であって、種子を播いて請求項26に記載の植物の圃場を作製するステップを含む、前記方法。
【請求項28】
非Bt緩衝帯植物および請求項26に記載の複数の植物を含む植物の圃場であって、前記緩衝帯植物は前記圃場の全ての作物植物の約10%未満を構成する、圃場。
【請求項29】
約5%未満の緩衝帯植物を含む、請求項28に記載の圃場。
【請求項30】
昆虫によるCry毒素への抵抗性の発達を管理する方法であって、種子を播いて請求項28または29に記載の植物の圃場を作製するステップを含む、前記方法。
【請求項31】
非Bt緩衝帯植物からの緩衝帯種子および請求項26に記載の植物からの複数の種子を含む種子の混合物であって、前記緩衝帯種子は前記混合物の全ての種子の10%未満を構成する、種子の混合物。
【請求項32】
前記植物が10エーカーよりも多くを占める、請求項5、18および28のいずれかに記載の圃場。
【請求項33】
前記植物がトウモロコシ、ダイズおよびワタからなる群から選択される、請求項1、2、17、24および26のいずれかに記載の植物。
【請求項34】
前記植物がメイズ植物である、請求項1、2、17、24および26のいずれかに記載の植物。
【請求項35】
請求項1、2、17、24、26、33および34のいずれかに記載の植物の植物細胞であって、前記植物細胞が、前記Cry1C殺虫性タンパク質をコードする前記DNAと、前記Cry1F殺虫性タンパク質をコードする前記DNAとを含み、前記Cry1F殺虫性タンパク質が、配列番号4と少なくとも99%同一であり、前記Cry1C殺虫性タンパク質が、配列番号5と少なくとも99%同一である、植物細胞。
【請求項36】
前記Cry1F殺虫性タンパク質が配列番号4を含み、前記Cry1C殺虫性タンパク質が配列番号5を含む、請求項1、2、17、24、26、33および34のいずれかに記載の植物。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−514769(P2013−514769A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544840(P2012−544840)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/060817
【国際公開番号】WO2011/075588
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(501035309)ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー (197)
【Fターム(参考)】