説明

害虫防除システム

【課題】害虫防除システムにおいて、少なくとも1つの光源を用いて低コストな構成でありながら、虫誘引のために必要な照度を広範囲で得、補虫効率の向上を実現する。
【解決手段】害虫防除システム1は、誘引光源2と、虫を捕獲するための粘着シート8と、誘引光源2から照射される光を反射する反射板9と、誘引光源2及び反射板9が取り付けられる基台10とを備える。またシステム1は、基台10に対する反射板9の取り付け角度を調整する配光角度調整部13と、誘引光源2による光の照度を制御する照度制御部14とを備える。配光角度調整部13と照度制御部14とが互いに連動して光の照射対象に一定の照度を与えるように動作する。誘引光源2から照射された光は反射板9により照射方向が可変であり、かつ照射対象における光照度を一定に保持できるので、誘引光源2を複数設けなくとも、虫を粘着シート8へ誘引するのに必要な照度が広範囲に渡って得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、虫を誘引する誘引光源と、誘引光源により誘引された虫を捕獲するための捕獲部とを備えた害虫防除システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の害虫防除システムとして、誘引光源から照射される誘引光を被照射面に向けて反射する反射板を有し、誘引光源に対する反射板の向きを変えることで光の照射方向を可変にしたものが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実登3092394号公報
【特許文献2】特開平8−140549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の害虫防除システムでは、誘引光を広範囲に渡って照射することができるが、反射板による配光角度に応じて誘引光源の光出力を制御できないので、光の照射対象が離れるにつれて、そこでの照度は低くなる。そのため、虫を誘引する効果が低下して、虫を効率よく捕獲できないことがあった。このような問題に対し、誘引光源の設置台数を増加しようとすると、製造コストが高くなり、また、光の照射対象が誘引光源から近いときに照度が高くなり過ぎて、システム周辺の環境(例えば、人体、植物)に悪影響を及ぼす虞がある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、少なくとも1つの光源を用いて低コストな構成でありながら、虫誘引のために必要な照度を広範囲で得ることができ、補虫効率の向上を実現できる害虫防除システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の害虫防除システムは、虫を誘引する誘引光源と、前記誘引光源により誘引された虫を捕獲するための捕獲部とを備えた害虫防除システムにおいて、前記誘引光源から照射される光を被照射面に向けて反射する反射板と、前記誘引光源及び反射板が取り付けられる基台と、前記基台に対する反射板の取り付け角度を調整して光の照射方向を変える配光角度調整部と、前記誘引光源による光の照度を制御する照度制御部とを備え、前記配光角度調整部と照度制御部とが互いに連動して光の照射対象に一定の照度を与えるように動作し、前記捕獲部は、前記反射板又はその近傍に配置されることを特徴とする。
【0007】
この害虫防除システムにおいて、前記誘引光源による照射動作を任意の時間帯に行わせるタイマ部をさらに備えることが好ましい。
【0008】
この害虫防除システムにおいて、前記反射板は、前記基台に対して回動軸により回動自在に支持されており、前記配光角度調整部は、前記反射板を前記回動軸周りに回動させる駆動部と、この駆動部を制御する駆動制御部とを有することが好ましい。
【0009】
この害虫防除システムにおいて、前記反射板は少なくとも2つ設けられており、それぞれの反射面が外向きで、かつ互いに対となる方向に回動するように配置され、前記誘引光源はこれら反射板のそれぞれに対応して設置されていることが好ましい。
【0010】
この害虫防除システムにおいて、前記反射板からの反射光は、280〜380nm波長帯の放射エネルギー総和が他の波長範囲の放射エネルギよりも大きいことが好ましい。
【0011】
この害虫防除システムにおいて、前記反射板からの反射光は、400〜500nm波長帯の放射エネルギー総和が他の波長範囲の放射エネルギよりも大きいことが好ましい。
【0012】
この害虫防除システムにおいて、前記反射板からの反射光は、500〜600nm波長帯の放射エネルギー総和が他の波長範囲の放射エネルギよりも大きいことが好ましい。
【0013】
この害虫防除システムにおいて、前記捕獲部は、透光性を有しており、前記誘引光源の照射光が当たる反射板の一部又は全面に設けられていることが好ましい。
【0014】
この害虫防除システムにおいて、前記誘引光源は、その光照射面が前記反射板に臨むように取り付けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の害虫防除システムによれば、誘引光源から照射された光は反射板により照射方向が可変であり、かつ照射対象における光照度を一定に保持できるので、誘引光源を複数設けなくとも、虫を捕獲部へ誘引するのに必要な照度を広範囲に渡って得ることができる。従って、光の照射対象がシステムから離れた位置にあっても十分な照度を確保することができ、虫を確実に捕獲できる。また、システム近傍の照度が高くなり過ぎることが無くなるので、システムが圃場などに設置された場合に、植物や人体に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は本発明の一実施形態に係る害虫防除システムの正面配置図、(b)はその平面配置図。
【図2】同システムの斜視図。
【図3】同システムの側断面図。
【図4】誘引光源の点灯/消灯タイムチャートの一例を示す図。
【図5】同点灯/消灯タイムチャートの他の例を示す図。
【図6】(a)は同システムの反射板が基台中心軸に対し広角状態での側断面図、(b)は同反射板が基台中心軸に対し狭角状態での側断面図、(c)は同システムに虫が捕獲された状態を示す側断面図。
【図7】(a)は同システムによる圃場への配光状態を示した、図6(a)に対応の平面図、(b)は同配光状態を示した、図6(b)に対応の平面図。
【図8】(a)は同システムの器具中心位置から照射領域までの水平距離の時間変化グラフ、(b)は誘引光源の光出力の時間変化グラフ、(c)は照射領域における最大照度の時間変化グラフ。
【図9】同システムに用いられる各種光源の分光スペクトルを示す図。
【図10】同システムに用いられる各種反射板の反射スペクトルを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係る害虫防除システムについて図面を参照して説明する。図1に示すように、害虫防除システム1は、虫を誘引する光を照射する誘引光源2を実装しており、誘引された虫を捕獲するものである。ここでは、害虫防除システム1が、光誘引捕獲器具として圃場3を覆う農業用ハウス4に複数設置されている。害虫防除システム1は、例えば、ハウス4の天井部分に吊下げ具5により吊下げられ、圃場3にその上方から光を照射する。害虫防除システム1の台数及び設置箇所は任意である。害虫防除システム1は、誘引光源2による照射動作を任意の時間帯に行わせるタイマ部6を備える。タイマ部6は、システム1とは独立した位置に設けられたボックス内に格納され、システム1の各々と電力線7により接続される。タイマ部6は、システム1と一体構成されてもよい。タイマ部6は、商用電源と接続され、誘引光源2を駆動するための電力供給を受けるようになっている。ここに、本システム1が防除対象とする虫は、圃場3の作物帯31に植栽された植物31aに危害を与える農業害虫であり、具体的には、アザミウマ類やコナジラミ類、ハモグリバエ類、アブラムシ類などの飛翔性昆虫である。
【0018】
図2、図3に示すように、害虫防除システム1は、誘引光源2と、虫を捕獲するための捕獲部である粘着シート8と、誘引光源2から照射される光を被照射面に向けて反射する2つの反射板9,9と、誘引光源2及び反射板9,9が取り付けられる基台10とを有する。以下の説明において、図示x方向をシステム1の左右方向とし、y方向をシステム1の前後方向とする。基台10は、誘引光源2の取り付け面を下面に有した略箱型状の外郭を成し、その左右両側には、反射板9,9を支持するための支持部11が下方に垂設されている。反射板9,9は基台10の前後方向両側に設けられており、それぞれの高さ方向の下側が回動軸12を軸装したヒンジ部となっており、回動軸12が両支持部11に両側から保持されることにより、基台10に対し回動自在とされている。
【0019】
粘着シート8は、透光性を有しており、誘引光源2からの誘引光が当たる反射板9,9の全面(反射面9a,9a)に固定具15により取り付けられ、反射板9,9と共に回動する。粘着シート8は、必ずしも反射板9,9の全面に設けられる必要はなく、少なくとも反射板9,9の一部に設けられればよい。粘着シート8は上記に限られず、虫が好む黄色又は青色に着色したシートに粘着層を形成したものであってもよい。また、反射板9,9に粘着剤を塗布して、それを捕獲部として用いてもよい。
【0020】
また、害虫防除システム1は、基台10に対する反射板9,9の取り付け角度を調整して光の照射方向を変える配光角度調整部13と、誘引光源2による光の照度を制御する照度制御部14とを有する。配光角度調整部13と照度制御部14とは、互いに連動して光の照射対象に一定の照度を与えるように動作する。
【0021】
誘引光源2は、例えば、波長帯280〜380nm(紫外領域)に主波長を持つ光源により構成される。誘引光源2は、上記に限られず、波長帯400〜500nm(青色)に主波長を持つ光源、波長帯500〜600nm(黄色)に主波長を持つ光源、又はこれらの波長成分を含む白色光源であっても構わない。白色光源を用いる場合には、例えば、青色光源と黄色光源とを組み合わせたものを用いることもできる。また、青色光や黄色光を照射する場合には、白色光源にその照射光の分光特性を調整する可変フィルタに設けて、特定の波長帯の光を取り出すようにしてもよい。誘引光源2は、両反射板9,9のそれぞれに対応して設置され、ここでは、ライン状に配列された複数の電球型ランプが反射板9,9の前後に取り付られた形となっている。誘引光源2は、電球型ランプを用いる構成に限れらず、例えば、2つの直管型ランプが各反射板9,9に対向するように配置されればよい。ここに、基台10の下面は、誘引光源2の光照射面が反射板9,9に臨むように、基台10内側に向けて傾斜している。誘引光源2に用いるランプ種としては、例えば、蛍光ランプやLED、HIDランプなどが挙げられる。
【0022】
反射板9,9は、それぞれの反射面9a,9aが外向きで、かつ互いに対となる方向に回動するように配置される。反射板9,9は、誘引光源2の照射光を高効率で反射するように形成され、例えば、アルマイト処理や蒸着めっき処理、又は研磨加工等が施されたアルミニウムにより形成される。誘引光源2に主波長が280〜380nm波長帯の光源を用いた場合、反射板9,9からの反射光は280〜380nm波長帯の放射エネルギー総和が他の波長範囲の放射エネルギよりも大きくなり、反射板9,9に夜行性害虫を効果的に誘引することが可能となる。誘引光源2に主波長が400〜500nm波長帯の光源を用いた場合、反射板9,9からの反射光は、400〜500nm波長帯の放射エネルギー総和が他の波長範囲の放射エネルギよりも大きくなり、夜行性害虫に併せて昼行性害虫も誘引することが可能となる。誘引光源2に主波長が500〜600nm波長帯の光源を用いた場合、反射板9,9からの反射光は、500〜600nm波長帯の放射エネルギー総和が他の波長範囲の放射エネルギよりも大きいものとなり、昼行性害虫を効果的に誘引することが可能となる。
【0023】
配光角度調整部13は、反射板9,9を回動軸12周りに回動させる駆動部16と、駆動部16を制御する駆動制御部17とを有する。駆動部16は、各反射板9,9の上端に繋がれたワイヤ18と、このワイヤ18を巻き取るためのモータ19で構成される。このような構成により、モータ19が回転してワイヤ18を巻き取ったり戻したりすると、反射板9,9の各々が回動軸12を中心として互いに反対方向に揺動して反射板9,9の誘引光源2に対する向きが変わり、反射板9,9からの反射光は配光角度が変化する。駆動制御部17は、モータ19の正転と逆転を所定の時間間隔で繰り返し行うことにより、反射板9,9の角度方向を連続的に変化させる。駆動制御部17は、照度制御部14と共に、基台10内部に設けられたボックスに格納される。
【0024】
照度制御部14は、配光角度調整部13の動作と連動して照度制御を行うが、具体的には、配光角度調整部13により配光角度が変更されたときに、被照射面の照度が所定値で一定に保持されるように誘引光源2の光出力を調整する。誘引光源2の光出力調整は、例えば、被照射面の照度をセンサにより測定し、この測定値を元に行うものであってもよいし、また、配光角度に応じて誘引光源2から被照射面までの距離を予め算出しておき、この距離データを元に行うものであってもよい。照度制御部14は、タイマ部6(図1)と接続され、誘引光源2の照射動作時に上記制御を行う。
【0025】
タイマ部6は、例えば、誘引光源2の点灯開始時刻と点灯終了時刻を日毎に設定/記憶できるもので構成される。タイマ部6に設定する時間帯(誘引光源2を動作させる時間帯)は、自然光が少なくなる時間帯が好ましい。これは、自然光には誘虫波長成分が含まれており、自然光が多い日中には、システム1内に入射した自然光が反射板9,9で反射され、その反射光がシステム1周辺(圃場3)に配光されることになるので、誘引光源2を点灯させなくとも、虫を誘引できるためである。具体的なタイマ部6への設定時間としては、例えば、図4に示すように、点灯開始時刻を日の入り時刻(18時00分)の1時間前(17時00分)に設定し、誘引光源2の点灯終了時刻を日の出時刻(6時00分)の1時間後(7時00分)に設定するとよい。また、図5に示すように、点灯開始時刻を24時00分に、点灯終了時刻を日の出時刻(6時00分)の1時間後(7時00分)に設定してもよい。このように自然光が圃場3に照射されなくなる時間帯に誘引光源2から光照射を行うようにすれば、無駄な電力消費を抑えながら、日中を通じて害虫を捕獲することが可能となる。
【0026】
上記のように構成された害虫防除システム1が、配光角度調整部13及び照度制御部14によって被照射面の照度が配光角度に応じて制御される動作を図6、図7を用いて説明する。ここでは、タイマ部6に設定された点灯開始時刻になり、誘引光源2による照射動作が行われているものとする。図6(a)に示すように、システム1の反射板9,9の基台中心軸Mに対する傾きθが大きいとき、誘引光源2の照射光は、透光性の粘着シート8を透過し反射板9,9で低角度で反射されるので、反射光の配光角度が下向きになる。そのため、図7(a)に示すように、圃場3への光の照射領域Aがシステム1から近い位置となり、すなわち、システム1の器具中心と照射領域中心との水平距離Cが小さいものとなる。このとき、誘引光源2の光出力は、照射領域Aの照度が所定値になるように照度制御部14により調整される。
【0027】
そして、反射板9,9が配光角度調整部13により回動され、図6(b)に示すように、反射板9,9の基台中心軸Mに対する傾きθが小さくなるにつれて、誘引光源2の照射光は、反射板9,9で高角度で反射されて、反射光の配光角度が水平方向に近づくようになる。そのため、図7(b)に示すように、圃場3への光の照射領域はシステム1から離れた位置となり、すなわち、システム1の器具中心と照射領域中心との水平距離Cが大きくなる。一方、誘引光源2の光出力は、傾きθが小さくなるつれて大きくなるので、照射領域Bでの照度は、図7(a)の照射領域Aの照度と等しくなる。このような状態から反射板9,9の基台中心軸Mに対する傾きθが大きくなると、誘引光源2の光出力は次第に減少する。このような配光角度制御と照度制御が繰り替えし行われる。そして、図6(c)に示すように、反射板9,9からの誘引光により虫が粘着シート8に誘引されると、粘着シート8で捕獲される。
【0028】
次に、システム1の器具中心と照射領域中心との水平距離C、誘引光源2の光出力L、照射領域での照度の時間変化グラフを図8に示す。ここでは、誘引光源2の点灯開始時刻が17時00分に設定され、誘引光源2の点灯終了時刻が7時00分に設定されていてものとする(図4と同じ)。図8(a)に示すように、水平距離Cは、誘引光源2の点灯時には、最小値Cmin(光の照射領域がシステム1に最も近い状態)と最大値Cmax(光の照射領域がシステム1から最も離れた状態)の間で連続的に変化を繰り返す。水平距離Cの時間的変化度合い(照射領域の移動速度)は、分速10cm〜50cm程度に設定されることが望ましい。図8(b)に示すように、誘引光源の光出力Lは、水平距離Cが大きくなるにつれて減少し、水平距離が小さくなるにつれて増加するので、図8(c)に示すように、照射領域での最大照度は一定に保持される。照射領域での最大照度は、最大面照度で10〜100lxの範囲内で一定にされることが望ましい。
【0029】
このように本実施形態に係る害虫防除システム1によれば、誘引光源2から照射された光は反射板9,9により照射方向が可変であり、かつ照射対象における光照度を一定に保持できるので、誘引光源を複数設けなくとも、虫を粘着シート8へ誘引するのに必要な照度を広範囲に渡って得ることができる。従って、光の照射対象がシステム1から離れた位置であっても十分な照度を確保することができ、虫を確実に捕獲できる。また、システム1近傍の照度が高くなり過ぎることが無くなるので、システム1が圃場などに設置された場合に、植物や人体に悪影響を及ぼすことを防止できる。また、誘引光源2の照射光を2つの反射板9,9により外向きに広範囲に配光することができるので、虫をより広範囲に渡って誘引でき、捕虫効果が高まる。
【0030】
ここに、本システム1では、反射板9,9からの反射光は、誘虫性の高い特定の波長帯での放射エネルギー総和が大きいものとされるが、このような反射光の分光特性を得る場合、誘引光源2の分光スペクトルと反射板9,9の反射スペクトルの組み合わせとして、下表1に示すパターン1〜9を用いてもよい。
【0031】
【表1】

【0032】
パターン1〜3では、反射光の分光特性を、280〜380nm波長帯の放射エネルギー総和が他の波長範囲の放射エネルギよりも大きくするための組合せ例を示しており、いずれの場合であっても、夜行性害虫に対する誘引効果が高くなる。パターン4〜6では、反射光の分光特性を、400〜500nm波長帯の放射エネルギー総和が他の波長範囲の放射エネルギよりも大きくするための組合せ例を示しており、いずれの場合であっても、夜行性害虫及び昼行性害虫に対する誘引効果が高くなる。パターン7〜9では、反射光の分光特性を、500〜600nm波長帯の放射エネルギー総和が他の波長範囲の放射エネルギよりも大きくするための組合せ例を示しており、いずれの場合であっても、昼行性害虫に対する誘引効果が高くなる。なお、参考として、パターン1〜9に示される各種光源の分光スペクトル例を図9に示し、反射板9,9の反射スペクトル例を図10に示す。
【0033】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、捕獲部は粘着式のものに限られず、例えば、虫を電撃により補殺する電撃格子や、虫を気流により吸引する吸引装置で構成されていてもよく、この場合、反射板9,9の近傍に配置されればよい。
【符号の説明】
【0034】
1 害虫防除システム
2 誘引光源
6 タイマ部
8 粘着シート(捕獲部)
9 反射板
9a 反射面
10 基台
13 配光角度調整部
14 照度制御部
16 駆動部
17 駆動制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
虫を誘引する誘引光源と、前記誘引光源により誘引された虫を捕獲するための捕獲部とを備えた害虫防除システムにおいて、
前記誘引光源から照射される光を被照射面に向けて反射する反射板と、
前記誘引光源及び反射板が取り付けられる基台と、
前記基台に対する反射板の取り付け角度を調整して光の照射方向を変える配光角度調整部と、
前記誘引光源による光の照度を制御する照度制御部とを備え、
前記配光角度調整部と照度制御部とが互いに連動して光の照射対象に一定の照度を与えるように動作し、
前記捕獲部は、前記反射板又はその近傍に配置されることを特徴とする害虫防除システム。
【請求項2】
前記誘引光源による照射動作を任意の時間帯に行わせるタイマ部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の害虫防除システム。
【請求項3】
前記反射板は、前記基台に対して回動軸により回動自在に支持されており、
前記配光角度調整部は、前記反射板を前記回動軸周りに回動させる駆動部と、この駆動部を制御する駆動制御部とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の害虫防除システム。
【請求項4】
前記反射板は少なくとも2つ設けられており、それぞれの反射面が外向きで、かつ互いに対となる方向に回動するように配置され、前記誘引光源はこれら反射板のそれぞれに対応して設置されていることを特徴とする請求項3に記載の害虫防除システム。
【請求項5】
前記反射板からの反射光は、280〜380nm波長帯の放射エネルギー総和が他の波長範囲の放射エネルギよりも大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の害虫防除システム。
【請求項6】
前記反射板からの反射光は、400〜500nm波長帯の放射エネルギー総和が他の波長範囲の放射エネルギよりも大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の害虫防除システム。
【請求項7】
前記反射板からの反射光は、500〜600nm波長帯の放射エネルギー総和が他の波長範囲の放射エネルギよりも大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の害虫防除システム。
【請求項8】
前記捕獲部は、透光性を有しており、前記誘引光源の照射光が当たる反射板の一部又は全面に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の害虫防除システム。
【請求項9】
前記誘引光源は、その光照射面が前記反射板に臨むように取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の害虫防除システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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