害虫防除剤
【課題】害虫の生息場所及び/又は害虫の侵入場所に室温で設置するだけで蚊などの害虫に対して速やかに効力を発揮する害虫防除剤を提供する。
【解決手段】式(1)
〔式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2はメチル基又は CH=CR21R22(式中、R21及びR22は独立して、水素原子又はメチル基を表す。)で示される基を表し、R3は水素原子、メチル基又はメトキシメチル基を表す。〕で示されるエステル化合物がポリオレフィン系樹脂に保持されてなる害虫防除剤であって、該ポリオレフィン系樹脂がカルボン酸エステル単量体単位を害虫防除剤全量に対して1〜10重量%含有する樹脂であることを特徴とする害虫防除剤。
【解決手段】式(1)
〔式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2はメチル基又は CH=CR21R22(式中、R21及びR22は独立して、水素原子又はメチル基を表す。)で示される基を表し、R3は水素原子、メチル基又はメトキシメチル基を表す。〕で示されるエステル化合物がポリオレフィン系樹脂に保持されてなる害虫防除剤であって、該ポリオレフィン系樹脂がカルボン酸エステル単量体単位を害虫防除剤全量に対して1〜10重量%含有する樹脂であることを特徴とする害虫防除剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、害虫防除剤、詳しくは害虫防除活性成分が樹脂に保持されてなる害虫防除剤に関する。
【背景技術】
【0002】
式(1)
〔式中、
R1は水素原子又はメチル基を表し、
R2はメチル基又は
CH=CR21R22
(式中、R21及びR22は独立して、水素原子又はメチル基を表す。)
で示される基を表し、
R3は水素原子、メチル基又はメトキシメチル基を表す。〕
で示されるエステル化合物が有害生物防除剤の有効成分として知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−63329号公報
【特許文献2】特開2001−11022号公報
【特許文献3】欧州特許公開第60617号明細書
【特許文献4】特開2001−302590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、式(1)で示されるエステル化合物を有効成分とし、害虫の生息場所及び/又は害虫の侵入場所に室温で設置するだけで蚊などの害虫に対して速やかに効力を発揮する害虫防除剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は式(1)で示されるエステル化合物を有効成分として含有する害虫防除剤について種々検討した結果、式(1)で示されるエステル化合物を特定のポリオレフィン系樹脂に保持させたものを、害虫の生息場所及び/又は害虫の侵入場所に室温で設置するだけで蚊などの害虫に対して速やかに防除効力を発揮し、さらにその防除効力が長期間持続することを見出し、本発明に至ったものである。
【0006】
即ち、本発明は以下のものである。
〔1〕 式(1)
〔式中、
R1は水素原子又はメチル基を表し、
R2はメチル基又は
CH=CR21R22
(式中、R21及びR22は独立して、水素原子又はメチル基を表す。)
で示される基を表し、
R3は水素原子、メチル基又はメトキシメチル基を表す。〕
で示されるエステル化合物がポリオレフィン系樹脂に保持されてなる害虫防除剤であって、該ポリオレフィン系樹脂がカルボン酸エステル単量体単位を害虫防除剤全量に対して1〜10重量%含有する樹脂であることを特徴とする害虫防除剤。
〔2〕 式(1)で示されるエステル化合物とカルボン酸エステル単量体単位との重量比が3:1〜1:3の範囲内である〔1〕記載の害虫防除剤。
〔3〕 式(1)で示されるエステル化合物が害虫防除剤全量に対して0.1〜20重量%含有されることを特徴とする〔1〕又は〔2〕記載の害虫防除剤。
〔4〕 ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂である〔1〕〜〔3〕いずれか1項記載の害虫防除剤。
〔5〕 カルボン酸エステル単量体が不飽和カルボン酸エステル又はカルボン酸ビニルエステルである〔1〕〜〔4〕いずれか1項記載の害虫防除剤。
〔6〕 カルボン酸エステル単量体がアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル又は酢酸ビニルである〔1〕〜〔4〕いずれか1項記載の害虫防除剤。
〔7〕 カルボン酸エステル単量体がメタクリル酸メチルである〔1〕〜〔4〕いずれか1項記載の害虫防除剤。
〔8〕 ポリオレフィン系樹脂がエチレン−メタクリル酸メチル共重合体を含有する樹脂である〔1〕〜〔3〕いずれか1項記載の害虫防除剤。
〔9〕 ポリオレフィン系樹脂がポリエチレンとエチレン−メタクリル酸メチル共重合体とのポリマーブレンドである〔1〕〜〔3〕いずれか1項記載の害虫防除剤。
〔10〕 式(1)で示されるエステル化合物において、
R1が水素原子であり、
R2が
CH=CR21R22
(式中、R21及びR22は独立して、水素原子又はメチル基を表す。)
で示される基であり、
R3が水素原子、メチル基又はメトキシメチル基である〔1〕〜〔9〕いずれか1項記載の害虫防除剤。
〔11〕 1個以上の開孔部を有し、該開孔部の合計での開孔率が50〜90%である〔1〕〜〔10〕いずれか1項記載の害虫防除剤。
〔12〕 害虫が蚊である〔1〕〜〔11〕いずれか1項記載の害虫防除剤。
〔13〕 〔1〕〜〔12〕いずれか1項記載の害虫防除剤を害虫の生息場所又は害虫の侵入場所に設置することを特徴とする害虫の防除方法。
〔14〕 害虫の生息場所又は害虫の侵入場所が、家屋の玄関、庭、居間、ベランダ、タンス内部、又はクロゼット内部である〔13〕記載の害虫の防除方法。
〔15〕 害虫の生息場所又は害虫の侵入場所が、家畜又はペットの生育場所である〔13〕記載の害虫の防除方法。
〔16〕 〔1〕〜〔12〕いずれか1項記載の害虫防除剤を温血動物の体表部に装着することを特徴とする害虫の防除方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の害虫防除剤は、害虫の生息場所及び/又は害虫の侵入場所に室温で放置するだけで蚊などの害虫に対して速やかに防除効力を発揮し、さらにその防除効力が長期間持続するものである。また本発明の害虫防除剤は、温血動物の体表部に装着することにより、該温血動物を害虫による加害行動、特に蚊などの吸血行動から保護するものでもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の害虫防除剤は、式(1)で示されるエステル化合物がポリオレフィン系樹脂に保持されてなる害虫防除剤であって、該ポリオレフィン系樹脂がカルボン酸エステル単量体単位を害虫防除剤全量に対して1〜10重量%含有する樹脂であることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に用いられる式(1)で示されるエステル化合物は、EP0060617号明細書、特開2000−63329号公報、特開2001−11022号公報、特開平7−17916号公報等に記載された化合物であり、例えば該公報に記載された方法で製造することができる。
式(1)で示されるエステル化合物には不斉炭素に基づく異性体が存在し、また炭素−炭素二重結合に基づく異性体が存在する場合があるが、本発明には活性な異性体のいずれをも使用することができる。
【0010】
式(1)で示されるエステル化合物としては、例えば2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 2,2,3−トリメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 1R−トランス−2,2,3−トリメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートが挙げられる。
【0011】
本発明の害虫防除剤においてポリオレフィン系樹脂は、カルボン酸エステル単量体単位を害虫防除剤全量に対して1〜10重量%含有するものである。なお、ポリオレフィン系樹脂とはオレフィン単量体を主なモノマー成分とする樹脂を意味する。
本発明におけるポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリエチレン系樹脂、及びポリプロピレン系樹脂が挙げられる。
【0012】
本発明においてカルボン酸エステル単量体とは、不飽和カルボン酸エステル又はカルボン酸ビニルエステルを意味する。
不飽和カルボン酸エステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸の低級アルキルエステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸の低級アルキルエステルが挙げられ、カルボン酸ビニルエステルとしては、例えば酢酸ビニル等の低級脂肪酸のビニルエステルが挙げられる。
【0013】
本発明に用いられるポリオレフィン系樹脂は、単独の共重合体からなるものであっても、2種以上の重合体及び/又は共重合体を混合したポリマーブレンドからなるものであってもよい。即ち、本発明に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、カルボン酸エステル単量体単位の適切な量を含有するポリオレフィン系共重合体そのものを用いることもでき、また、カルボン酸エステル単量体単位を多く含有するポリオレフィン系共重合体(ポリオレフィン系共重合体に対するカルボン酸エステル単量体単位の量が例えば10〜40重量%のもの)とオレフィンの単独重合体とを混合して適切なカルボン酸エステル単量体単位を含有するように調整したポリマーブレンドを用いることもできる。
【0014】
このようなカルボン酸エステル単量体単位を含有するポリオレフィン系共重合体としては、例えばカルボン酸エステル単量体単位を含有するポリエチレン系共重合体、及びカルボン酸エステル単量体単位を含有するポリプロピレン系共重合体が挙げられる。本発明において、ポリオレフィン系共重合体とは、オレフィン単量体を主なモノマー成分とし、他にカルボン酸エステル単量体をモノマー単位として含有する重合体である。
【0015】
カルボン酸エステル単量体単位を含有するポリエチレン系共重合体としては、例えばエチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、及びエチレン−メタクリル酸エチル共重合体が挙げられる。
カルボン酸エステル単量体単位を含有するポリプロピレン系共重合体としては、例えばプロピレン−アクリル酸メチル共重合体、プロピレン−アクリル酸エチル共重合体、プロピレン−アクリル酸ブチル共重合体、プロピレン−メタクリル酸メチル共重合体、及びプロピレン−メタクリル酸エチル共重合体が挙げられる。
【0016】
これらの重合体は、モノマーを公知のラジカル重合触媒やイオン重合触媒を用いて、公知の重合方法によって重合させることにより製造することができる。公知の触媒としては、例えば、過酸化物触媒、チグラー−ナッタ系触媒、メタロセン系触媒等が挙げられ、公知の重合方法としては、例えば、溶液重合法、スラリー重合法、高圧イオン重合法、高圧ラジカル重合法、及び気相重合法が挙げられる。
【0017】
本発明に用いられるポリオレフィン系樹脂がカルボン酸エステル単量体単位を多く含有するポリオレフィン系重合体とオレフィンの単独重合体とを混合して適切なカルボン酸エステル単量体単位を含有するように調整したポリマーブレンドである場合のポリマーブレンドとしては、例えばエチレン−アクリル酸メチルとポリエチレンとのポリマーブレンド、エチレン−アクリル酸エチルとポリエチレンとのポリマーブレンド、エチレン−メタクリル酸メチルとポリエチレンとのポリマーブレンド、及びエチレン−メタクリル酸エチルとポリエチレンとのポリマーブレンドが挙げられる。
【0018】
本発明の害虫防除剤には、式(1)で示されるエステル化合物が、式(1)で示されるエステル化合物とポリオレフィン系樹脂中のカルボン酸エステル単量体単位とが、重量比で通常3:1〜1:3、好ましくは2:1〜1:2の割合で含有される。
また、本発明の害虫防除剤に含有される式(1)で示されるエステル化合物の量は、本発明の害虫防除剤全量に対して、通常0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜7.0重量%の範囲内である。
【0019】
本発明の害虫防除剤には必要に応じて紫外線吸収剤が含有されている。
かかる紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸フェニル;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチル−ベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンズトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール化合物;2,4−ジ−tert−ブチルフェニル 3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート化合物が挙げられ、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物が好ましい。本発明の害虫防除剤にこれらの紫外線吸収剤を含有される場合、その含有量は通常本発明の害虫防除剤全量に対して通常0.005〜5重量%である。
【0020】
本発明の害虫防除剤には、さらに必要に応じて酸化防止剤、顔料等が含有されている。
かかる酸化防止剤としては、例えばブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ステアリル β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(TBMTBP)、及びトリフェニルホスファイトが挙げられる。
【0021】
本発明の害虫防除剤は、例えば式(1)で示されるエステル化合物と、所定量のカルボン酸エステル単量体単位を含有するポリオレフィン系樹脂とを混合・混練し、得られる混練物を熱可塑性樹脂に通常用いられる成形方法(例えば、押出成形、カレンダー成形、ブロー成形、真空成形、射出成形、回転成形等)により賦形することにより製造される。
また、本発明の害虫防除剤は、前記により賦形された成形体をスリット加工、スライス加工、ペレット加工等の二次加工により形状を変更されたものであってもよい。
【0022】
なお、式(1)で示されるエステル化合物と、所定量のカルボン酸エステル単量体単位を含有するポリオレフィン系樹脂とを混合・混練する工程には、式(1)で示されるエステル化合物、カルボン酸エステル単量体単位を多く含有するポリオレフィン系重合体、及びオレフィンの単独重合体を混合・混練する方法;式(1)で示されるエステル化合物及びカルボン酸エステル単量体単位を多く含有するポリオレフィン系重合体を混合・混練して得られる混練物と、オレフィン単独重合体とを混合・混練する方法も含まれる。
【0023】
このようにして製造される本発明の害虫防除剤の形状は、例えばフィルム状、シート状、板状、繊維状、網状、格子状及び粒状等が挙げられる。
【0024】
本発明の害虫防除剤は、例えば害虫の生息場所及び/又は害虫の侵入場所等にそのまま設置することにより用いられる。本発明の害虫防除剤の使用量は、害虫を防除しようとする空間1m3あたりの式(1)で示されるエステル化合物の量で通常0.01〜30g、好ましくは0.1〜30gである。
本発明の害虫防除剤の設置方法としては、例えば床に置いたり、敷く方法、天井から吊り下げる方法、壁に貼り付ける方法が挙げられる。
本発明の害虫防除剤の設置場所において、本発明の害虫防除剤から有効成分である式(1)で示されるエステル化合物が徐々に揮散して害虫防除効力が発揮される。したがって本発明の害虫防除剤は、風通しの良い場所に設置すると、有効成分である式(1)で示されるエステル化合物の揮散効率が高くなり、より優れた害虫防除効力が発揮される。また、本発明の害虫防除剤は害虫の生息場所及び/又は害虫の侵入場所の相対的に風上側に設置することが好ましい。かかる害虫の生息場所及び侵入場所としては、例えば厩、牛舎、鶏舎、豚舎などの畜舎;犬小屋、ウサギ小屋などのペット小屋;工場や作業場における出入口、排気口、電灯などの周辺;ベランダ、玄関などの家屋の外部;クロゼット、タンス(和ダンス、洋ダンス)の内部、ファンシーケースなど衣類保管場所;寝室、居間、台所などの家屋内部;浄化槽内部;マンホールの蓋の下;キャンプ場や公園におけるテントの出入口、テント周辺、テント内部;バーベキュー、釣り、ハイキング、ガーデニング等の野外活動場所とその周辺部が挙げられる。式(1)で示されるエステル化合物の揮散効率の点からは、本発明の害虫防除剤は成形、穿孔等による1個以上の開孔部を有することが好ましい。本発明の害虫防除剤における開孔率は、該開孔部の合計で好ましくは50〜90%、より好ましくは60〜85%であり、製造効率の点からは前記の開孔率を有する網状又は格子状の成形体、あるいは該成形体の二次加工物であることが好ましい。
【0025】
本発明の害虫防除剤はまた、温血動物(イヌ、ネコ、ウサギ等のペット、馬、牛、鶏、豚等の家畜、及びヒトが挙げられる。)の体表部に直接又は着衣等の上から装着することにより、該温血動物を害虫による加害行動、特に蚊による吸血行動から保護することができる。装着方法としては、本発明の害虫防除剤と紐などを用いて腰から吊り下げる、適当な留め具等を用いて足首、手首、腕胴体などに巻きつける、切り抜き・縫製して衣服の形態として着衣させる方法などが挙げられる。これらの場合、本発明の害虫防除剤の使用量は、対象害虫や使用期間等により適宜選択されるものであるが、害虫による加害行動から保護しようとする温血動物の体表部1cm2あたり、通常0.001〜10mg、好ましくは0.01〜5mg、より好ましくは0.05〜2.5mgである。
【0026】
本発明の害虫防除剤の使用形態としては例えば下記のものが挙げられるが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
本発明の害虫防除剤が網状であるものとしては、式(1)で示されるエステル化合物と、所定量のカルボン酸エステル単量体単位を含有するポリオレフィン系樹脂との混合・混練物を押出成形し、所望の長さに切断して筒状体としたもの(図1参照)、及び該筒状体を切断してシート状としたもの(図2参照)等が挙げられる。格子状であるものとしては、射出成形により得られるもの(図7参照)等が挙げられる。
これらの形状に成形、加工された本発明の害虫防除剤はさらに任意の形態に加工することが可能であり、またこれらの本発明の害虫防除剤を例えばプラスティック、金属若しくは繊維(ポリエステル等)からなる目の粗い網状体により囲む(図13参照)ことも可能である。
図1に示される筒状体の本発明の害虫防除剤は、例えばそれに紐、吊り下げ具等を取り付けてベランダに設置する(図3参照)ことにより屋内への害虫の侵入を防ぐ、また洋ダンス、クロゼット等に設置する(図4参照)ことにより該洋ダンス若しくは該クロゼット等の内部に保存する衣類を害虫の被害から保護することに用いられる。
【0027】
図2で示されるシート状の本発明の害虫防除剤は、例えば1枚又は2枚以上を並べて幟として使用すること(図5参照)、さらには本発明の害虫防除剤の有効成分のである式(1)で示されるエステル化合物の蒸散と連動して顔料が揮散して有効期間満了を示すインジケータ機能を併せ持った顔料を含有することも可能である(図6参照)
【0028】
図7で示される格子状の本発明の害虫防除剤は、和ダンス、ファンシーケースに入れて該和ダンス若しくは該ファンシーケース等の内部に保存する衣類を害虫の被害から保護すること(図8参照)、またプラスチック若しくは金属性の容器に収納し(図9参照)、犬小屋、ウサギ小屋等に取付けて、必要に応じて本発明の害虫防除剤をケースから取り出して害虫防除成分を犬小屋、ウサギ小屋等の周辺に揮散可能にして犬小屋、ウサギ小屋等の内部への害虫の侵入を防ぐこと(図10参照)が可能である。
【0029】
図1又は図2に示される本発明の害虫防除剤及び図13に示される本発明の害虫防除剤を包囲した網状体は、適当な紐、吊り下げ具等を用いて犬小屋の入り口付近に吊るして犬小屋への害虫の侵入を防ぐこと(図11、図12及び図14参照)ができるが、牛舎、豚舎、鶏舎等の畜舎でも必要に応じて2個以上の本発明の害虫防除剤を出入口、窓、屋根等に適宜設置すること(図15参照)により、害虫の侵入を防除することができる。
【0030】
また本発明の害虫防除剤を適宜加工して、温血動物の体表部に施用することによっても使用することができる。ヒトの場合には、例えば腰からぶら下げる(図16参照)、腕や手首に巻きつける(図17参照)、足首に巻きつける(図18参照)ことにより使用することができる。またイヌ、ネコ等のペットの場合には、例えば図2で示されるシート状の本発明の害虫防除剤若しくは図7に示される格子状の本発明の害虫防除剤をバンダナ状に切り抜いてペットの首に巻きつける(図19参照)、または縫製加工して衣類の形態としてペットに着衣させる(図20参照)ことによって使用することができる。このように温血動物の体表部に施用するにあたっては直接或いは衣服等の上から装着することによって、温血動物を害虫による被害、特に蚊による吸血行動による被害を防除することができる。
【0031】
本発明の害虫防除剤は、例えば以下に示される害虫の防除に用いることができる。
半翅目害虫:ヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、セジロウンカ(Sogatella furcifera)等のウンカ類、ツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)、タイワンツマグロヨコバイ(Nephotettix virescens)等のヨコバイ類、アブラムシ類、カメムシ類、コナジラミ類、カイガラムシ類、グンバイムシ類、キジラミ類等;
鱗翅目害虫:ニカメイガ(Chilo suppressalis)、コブノメイガ(Cnaphalocrocis medinalis)、ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)等のメイガ類、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、アワヨトウ(Pseudaletia separata)、ヨトウガ(agrotis segetum)等のヨトウ類、モンシロチョウ(Pieris rapae)等のシロチョウ類、チャノコカクモンハマキ(Adoxophyes honmai)、リンゴコカクモンハマキ(Adoxophyes orana)等のハマキガ類、シンクイガ類(Carposinidae)、ハモグリガ類(Lyonetiidae)、ドクガ類(Lymantriidae)、ウワバ類(Autographa)、カブラヤガ(Agrotis segetum)及びタマナヤガ(Agrotis ipsolon)等のアグロティス属(Agrotis spp.)、ヘリコベルパ属(Helicoverpa spp.)、へリオティス属(Heliothis spp.)、コナガ(Plutella xylosttella)、イチモンジセセリ(Parnara guttata)、イガ(Tinea translucens)、コイガ(Tineola bisselliella)等;
【0032】
双翅目害虫:アカイエカ(Culex pipiens pallens)、コガタアカイエカ(Culex tritaeniorhynchus)、ネッタイイエカ(Culex quinquefasciatus)、チカイエカ(Culex pipens molestus)等のイエカ類、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)、ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)等のエーデス属、オオクロヤブカ(Armigeres subalbatus)等のアルミゲレス属、シナハマダラカ(Anopheles sinensis)、コガタハマダラカ(Anopheres minimus)、ガンビアハマダラカ(Anopheles gambiae)等のハマダラカ類、サシバエ類、ヌカカ類、ユスリカ類、イエバエ(Musca domestica)、オオイエバエ(Muscina stabulans)等のイエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、タネバエ(Delia platura)、ヒメイエバエ(Fannia canicularis)、タマネギバエ(Delia antiqua)等のハナバエ類、ミバエ類、ショウジョウバエ類、オオチョウバエ(Clogmia albipunctata)チョウバエ類、ブユ類、アブ類等;
【0033】
鞘翅目害虫:ウエスタンコーンルートワーム(Diabrotica virgifera virgifera)、サザンコーンルートワーム(Diabrotica undecimpunctata howardi)等のコーンルートワーム類、ドウガネブイブイ(Anomala cuprea)、ヒメコガネ(Anomala rufocuprea)等のコガネムシ類、コクゾウムシ(Sitophilus zeamais)、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、ワタミゾウムシ(Anthonomus grandis)、アズキゾウムシ(Callosobruchuys chienensis)等のゾウムシ類、チャイロコメノゴミムシダマシ(Tenebrio molitor)、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)等のゴミムシダマシ類、イネドロオイムシ(Oulema oryzae)、キスジノミハムシ(Phylltreta nemorum)、ウリハムシ(Aulacophora femoralis)等のハムシ類、シバンムシ類、ニジュウヤホシテントウ(Epilachna vigintioctopunctata)等のエピラクナ属(Epilachna spp.)、ヒラタキクイムシ類、ナガシンクイムシ類、カミキリムシ類、アオバアリガタハネカクシ(Paederus fuscipes)等;
網翅目害虫:チャバネゴキブリ(Blattella germanica)、クロゴキブリ(Periplaneta fuliginosa)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana)、トビイロゴキブリ(Periplaneta brunnea)、トウヨウゴキブリ(Blatta orientalis)等;
総翅目害虫:ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)、ハナアザミウマ(Thrips hawawiiensis)等;
膜翅目害虫:アリ類、スズメバチ類、アリガタバチ類、カブラハバチ(Athalia rosae)等のハバチ類等;
直翅目害虫:ケラ類、バッタ類等
隠翅目害虫:ヒトノミ(Pulex irritans)、ネコノミ(Ctenocephalides felis)等;
シラミ目害虫:ヒトジラミ(Pediculus humanus)、ケジラミ(Phthirus pubis)、ウシジラミ(Haematopinus eurysternus)等;
等翅目害虫:ヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus)、イエシロアリ(Coptotermes formosanus);
ダニ目害虫:コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)、ヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides ptrenyssnus)等のヒョウヒダニ類、ケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)、ムギコナダニ(Aleuroglyphus ovatus)等のコナダニ類、チリニクダニ(Glycyphagidae privatus)、イエニクダニ(Glycyphagidae domesticus)、サヤアシニクダニ(Glycyphagidae destructor)等のニクダニ類、クワガタツメダニ(Cheyletus malaccensis)、フトツメダニ(Cheyletus malaccesis)等のツメダニ類、ホコリダニ類、マルニクダニ類、イエササラダニ類、ハダニ類、イエダニ(Ornithonyssus bacoti)、トリサシダニ(Ornithonyssus sylvairum)、ワクモ(Dermanyssus gallinae)等のサシダニ類、フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)、クリイロコイタマダニ(Rhipicephalus sanguineus)、オウシマダニ(Boophilus microplus)等のマダニ類、ナミハダニ(Tetranychus urticae)、カンザワハダニ(Tetranychus kanzawai)、ミカンハダニ(Panonychus citri)、リンゴハダニ(Panonychus ulmi)等。
本発明の害虫防除剤は特に蚊(例えばアカイエカ、ネッタイイエカ、チカイエカ、コダカアカイエカ等のイエカ類、ヒトスジシマカ、ネッタイシマカ、オオクロヤブカ等のヤブカ類、シナハマダラカ、コガタハマダラカ、ガンビアハマダラカ等のハマダラカ類)などの吸血害虫の防除に有用である。
【実施例】
【0034】
次に、本発明を製造例、試験例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0035】
製造例1
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:25重量%、商品名:アクリフトWK307、住友化学株式会社製)28重量部及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
このペレット33重量部と直鎖状低密度ポリエチレン(エチレンの単独重合体)のペレット67重量部とを混合・混練して混練物を得た。
次いで、この混練物を射出成形機から金型を介して成形することにより、縦10.9cm。横7.9cm、厚み4.6mmでかつ縦5.6mm、横5.25mmの角穴が空いている格子状のメッシュシート(開孔率65%、図7参照)である成形体(以下、本発明防除剤(1)と記す。)を得た。
【0036】
製造例2
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:18重量%、商品名:アクリフトWH303、住友化学株式会社製)18重量部、及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート2重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
このペレット20重量部と直鎖状低密度ポリエチレン(エチレンの単独重合体)のペレット80重量部とを混合・混練して混練物を得た。
次いで、この混練物を押出機からネット成形用異形ダイスを介して押出すことにより、一辺が約5mmの略ひし形の網(網を形成するフィラメントの直径は約0.83mm、開孔率70%)が直径約7cmの円筒状となった成形体を得た。この成形体を長さ20cmに切断して本発明の害虫防除剤(以下、本発明防除剤(2)と記す。)を得た。
【0037】
製造例3
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:10重量%、商品名:アクリフトWD301、住友化学株式会社製)95重量部及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
次いで、このペレットを練って得た練物を押出成形機からネット成形用異形ダイスを介して押出すことにより、一辺が約5mmの略ひし形の網(網を形成するフィラメントの直径は約0.83mm、開孔率70%)が直径約7cmの円筒状となった成形体を得た。この成形体を長さ10cmに切断して本発明の害虫防除剤(以下、本発明防除剤(3)と記す。)を得た。
【0038】
製造例4
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:25重量%、商品名:アクリフトWK307、住友化学株式会社製)28重量部及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
このペレット33重量部と直鎖状低密度ポリエチレン(エチレンの単独重合体)のペレット67重量部とを混合・混練して混練物を得た。
次いで、この混練物を押出成形機からネット成形用異形ダイスを介して押出し、延伸することにより、一辺が約5mmの略ひし形の網(網を形成するフィラメントの直径は約0.83mm、開孔率82%)で直径約7cmの円筒状となった成形体を得た。この成形体を長さ20cmに切断して本発明の害虫防除剤(図1参照、以下、本発明防除剤(4)と記す。)を得た。
【0039】
製造例5
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:18重量%、商品名:アクリフトWH303、住友化学株式会社製)45重量部及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
このペレット50重量部と直鎖状低密度ポリエチレン(エチレンの単独重合体)のペレット50重量部とを混合・混練して混練物を得た。
次いで、この混練物を押出成形機からネット成形用異形ダイスを介して押出し、延伸することにより、一辺が約5mmの略ひし形の網(網を形成するフィラメントの直径は約0.83mm、開孔率82%)で直径約7cmの円筒状となった成形体を得た。この成形体を長さ20cmに切断して本発明の害虫防除剤(図1参照、以下、本発明防除剤(5)と記す。)を得た。
【0040】
製造例6
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:25重量%、商品名:アクリフトWK307、住友化学株式会社製)28重量部及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
このペレット33重量部と直鎖状低密度ポリエチレン(エチレンの単独重合体)のペレット67重量部とを混合・混練して混練物を得た。
次いで、この混練物を押出成形機からネット成形用異形ダイスを介して押出すことにより、一辺が約2.5mmの略ひし形の網(網を形成するフィラメントの直径は約0.5mm、開孔率64%)が直径約16cmの円筒状となった成形体を得た。この成形体を横24cm、縦40cmのメッシュシート状(図2参照)に切断して本発明の害虫防除剤(以下、本発明防除剤(6)と記す。)を得た。
【0041】
製造例7
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:18重量%、商品名:アクリフトWH303、住友化学株式会社製)18重量部及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート2重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
このペレット20重量部と直鎖状低密度ポリエチレン(エチレンの単独重合体)のペレット8kgとを混合・混練して混練物を得た。
次いで、この混練物を押出成形機からネット成形用異形ダイスを介して押出すことにより、一辺が約2.5mmの略ひし形の網(網を形成するフィラメントの直径は約0.5mm、開孔率64%)が直径約16cmの円筒状となった成形体を得た。この成形体を長さ20cmに切断して本発明の害虫防除剤(図1参照、以下、本発明防除剤(7)と記す。)を得た。
【0042】
製造例8
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:10重量%、商品名:アクリフトWD301、住友化学株式会社製)95g及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5gを160℃で10分間溶融混練して、100gの混練物を得た。
この混練物42gを150mm×150mm×2mmの型枠に入れて150℃で2分間静置した後、同温にて50kg/cm2で1分間、次いで100kg/cm2で1分間加圧した後、冷却した。得られた成形体を型枠から外して150mm×75mm×2mmに切断して本発明の害虫防除剤(以下、本発明防除剤(8)と記す。)を得た。
【0043】
製造例9
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:10重量%、商品名:アクリフトWD301、住友化学株式会社製)95g及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5gを160℃で10分間溶融混練して、100gの混練物を得た。
この混練物42gを150mm×150mm×2mmの型枠に入れて150℃で2分間静置した後、同温にて50kg/cm2で1分間、次いで100kg/cm2で1分間加圧した後、冷却した。得られた成形体を型枠から外して150mm×75mm×2mmに切断して本発明の害虫防除剤(以下、本発明防除剤(9)と記す。)を得た。
【0044】
製造例10
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:25重量%、商品名:アクリフトWK307、住友化学株式会社製)28重量部及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
このペレット33重量部と直鎖状低密度ポリエチレン(エチレンの単独重合体)のペレット67重量部とを混合・混練して混練物を得た。
次いで、この混練物を押出成形機からネット成形用異形ダイスを介して押出すことにより、一辺が約2.5mmの略ひし形の網(網を形成するフィラメントの直径は約0.5mm、開孔率64%)が直径約7cmの円筒状となった成形体を得て、これを切断することにより、幅23cmの反物状ネットを得た。この成形体を横23cm、縦23cmの正方形のメッシュシート状に切断後、4つの直角2等辺三角形(短辺15cm、長辺23cm)に切断して本発明の害虫防除剤(以下、本発明防除剤(10)と記す。)を得た。
【0045】
参考例1
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:25重量%、商品名:アクリフトWK307、住友化学株式会社製)95重量部及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
次いで、このペレットを練って得られた練物を押出成形機からネット成形用異形ダイスを介して押出すことにより、一辺が約5mmの略ひし形の網(網を形成するフィラメントの直径は約0.83mm、開孔率70%)が直径約7cmの円筒状となった成形体を得た。この成形体を長さ10cmに切断して害虫防除剤(以下、比較防除剤(1)と記す。)を得た。
【0046】
参考例2
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:25重量%、商品名:アクリフトWK307、住友化学株式会社製)95重量部及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
次いで、このペレットを練って得られた練物を押出成形機からネット成形用異形ダイスを介して押出すことにより、一辺が約5mmの略ひし形の網(網を形成するフィラメントの直径は約0.83mm、開孔率82%)が直径約7cmの円筒状となった成形体を得た。この成形体を長さ20cmに切断して害虫防除剤(以下、比較防除剤(2)と記す。)を得た。
【0047】
参考例3
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:20重量%、商品名:アクリフトWH202、住友化学株式会社製)95g及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5gを160℃で10分間溶融混練して、100gの混練物を得た。
この混練物42gを150mm×150mm×2mmの型枠に入れて150℃で2分間静置した後、同温にて50kg/cm2で1分間、次いで100kg/cm2で1分間加圧した後、冷却した。得られた成形体を型枠から外して150mm×75mm×2mmに切断して害虫防除剤(以下、比較防除剤(3)と記す。)を得た。
【0048】
参考例4
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:20重量%、商品名:アクリフトWH202、住友化学株式会社製)95g及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5gを160℃で10分間溶融混練して、100gの混練物を得た。
この混練物42gを150mm×150mm×2mmの型枠に入れて150℃で2分間静置した後、同温にて50kg/cm2で1分間、次いで100kg/cm2で1分間加圧した後、冷却した。得られた成形体を型枠から外して150mm×75mm×2mmに切断して害虫防除剤(以下、比較防除剤(4)と記す。)を得た。
【0049】
試験例1
本発明防除剤(2)を、約5.8m3(底面:1.8m×1.8m、高さ1.8m)の試験室内の中央部天井から縦に吊り下げた。この際に本発明防除剤(2)の下端は床から約156cmであった。本発明防除剤(2)を室内に吊り下げてから1時間経過後、雌のヒトスジシマカ成虫50頭を試験室内に放った。さらに、10分後に試験室内でノックダウンしている供試虫の数を数えたところ、43頭がノックダウンしていた。
【0050】
試験例2
本発明防除剤(3)及び比較防除剤(1)を、各々約0.34m3(底面:0.7m×0.7m、高さ0.7m)の試験室内の中央部天井から縦に吊り下げた。この際に本発明防除剤(3)及び比較防除剤(1)の下端は床から約58cmであった。本発明防除剤(3)及び比較防除剤(1)を各々室内に吊り下げるとほぼ同時に雌のアカイエカ成虫20頭を試験室内に放った。さらに、30分後に各々の試験室内でノックダウンしている供試虫の数を数えた。
結果を〔表1〕に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
試験例3
本発明防除剤(1)、(4)、(6)及び比較防除剤(2)を、各々約0.34m3(底面:0.7m×0.7m、高さ0.7m)の試験室内の中央部天井から縦に吊り下げた。本発明防除剤(1)、(4)、(6)及び比較防除剤(2)を各々室内に吊り下げるとほぼ同時に雌のアカイエカ成虫20頭を試験室内に放った。さらに、30分後に各々の試験室内でノックダウンしている供試虫の数を数えた。
結果を〔表2〕に示す。
【0053】
【表2】
【0054】
試験例4
本発明防除剤(4)を、約5.8m3(底面:1.8m×1.8m、高さ1.8m)の試験室内の中央部天井から縦に吊り下げた。この際に本発明防除剤(4)の下端は床から約100cmであった。本発明防除剤(4)を室内に吊り下げてから5分間経過後、雌のヒトスジシマカ成虫50頭を試験室内に放った。さらに、10分後に試験室内でノックダウンしている供試虫の数を数えたところ、43頭がノックダウンしていた。
【0055】
試験例5
本発明防除剤(6)を、約28m3(底面:3.0m×4.0m、高さ2.3m)の試験室内の中央部天井から縦に吊り下げた。この際に本発明防除剤(6)の下端は床から約120cmであった。本発明防除剤(6)を室内に吊り下げてから5分間経過後、雌のヒトスジシマカ成虫50頭を試験室内に放った。さらに、10分後に試験室内でノックダウンしている供試虫の数を数えたところ、48頭がノックダウンしていた。
【0056】
試験例6
本発明防除剤(4)1個を、気温25〜35℃の庭(約12m2)の木の枝に設置し、夕刻1時間程度のガーデニング作業を行ったところ、本発明防除剤(4)を設置後1ヶ月間はガーデニング作業者が蚊に吸血されることは全くなかった。
【0057】
試験例7
本発明防除剤(4)1個を、ベランダ(気温25〜35℃)に配置されている物干し竿に設置した(図3(a)参照)。該ベランダにおいて洗濯物を干す及び取り込む作業を行ったが、本発明防除剤(4)を設置後1ヶ月間は作業者が蚊等に吸血されることは無かった。その後、本発明防除剤(4)を取り外して同様の作業を行った場合には、作業者には蚊等による吸血痕が確認された。
【0058】
試験例8
本発明防除剤(4)を約3.4m3(底面:1.5m×1.5m、高さ1.5m)の蚊帳の天井から吊るし、その蚊帳の中央にビーグル犬の入った金属製ケージ(1辺70cm)を置いた。蚊帳内に雌のヒトスジシマカ成虫50頭を放ち、6時間後に試験室内でノックダウンしている供試虫の数および吸血している虫数を数えたところ、35頭がノックダウンしており、吸血しているヒトスジシマカは認められなかった。一方、本発明防除剤(4)を設置しない蚊帳内で同様の実験を行うと、ノックダウンしている供試虫は観察されず、また26頭のヒトスジシマカが吸血していることが確認できた。
【0059】
試験例9
本発明防除剤(4)に紐と取り付け具をつけたものを、図11(左図)のように屋外の犬小屋に設置し、ビーグル犬を飼育した。その結果、設置後1ヶ月間は犬が蚊などによって吸血された形跡は確認されなかった。
【0060】
試験例10
本発明防除剤(6)を約3.4m3(底面:1.5m×1.5m、高さ1.5m)の蚊帳の天井から吊るし、その蚊帳の中央にビーグル犬の入った金属製ケージ(1辺70cm)を置く。蚊帳内に雌のヒトスジシマカ成虫50頭を放ち、6時間後に試験室内でノックダウンしている供試虫の数および吸血している虫数を数えることにより、本発明防除剤(6)が充分な防除効果を示すことが確認できる。
【0061】
試験例11
本発明防除剤(6)に紐と取り付け具をつけたものを、図11(左図)のように屋外の犬小屋に設置し、ビーグル犬を飼育した。その結果、設置後2週間は犬が蚊などによって吸血された形跡は確認されなかった。
【0062】
試験例12
本発明防除剤(1)を、約5.8m3(底面:1.8m×1.8m、高さ1.8m)の試験室内の中央部天井から縦に吊り下げた。この際に本発明防除剤(1)の下端は床から約156cmであった。本発明防除剤(1)を室内に吊り下げてから5分間経過後、雌のヒトスジシマカ成虫50頭を試験室内に放った。さらに、60分後に試験室内でノックダウンしている供試虫の数を数えたところ、35頭がノックダウンしていた。
【0063】
試験例13
本発明防除剤(1)をビーグル犬の入った金属製ケージ(1辺70cm)の外側に装着し、これを約3.4m3(底面:1.5m×1.5m、高さ1.5m)の蚊帳中央に設置し、蚊帳内に雌のヒトスジシマカ成虫50頭を放った。6時間後に試験室内でノックダウンしている供試虫の数および吸血している虫数を数えたところ、25頭がノックダウンしており、1頭のヒトスジシマカが吸血しているのみであった。一方、本発明防除剤(1)を設置しない蚊帳で同様の実験を行うと、ノックダウンしている虫は観察されず、また26頭の蚊が吸血していることが確認できた。
【0064】
試験例14
衣装箱(縦725mm×横427mm×高さ158mm)内の二箇所に本発明防除剤(6)を置き、この衣装箱を25±2℃の室内に放置する。本発明防除剤(6)を置いてから1週間後にコイガの卵10〜15個を入れた綿繊維の布(厚さ0.2mm)でできた袋(大きさ4.5cm×4.5cm)を、本発明防除剤(6)のそばに1個ずつおいて1週間放置する。その後、コイガ卵を入れた袋を開封し、生存数と死亡数とを数えることにより本発明防除剤(6)が防除効果を示すことを確認できる。
【0065】
試験例15
衣装箱(縦725mm×横427mm×高さ158mm)内の二箇所に本発明防除剤(1)を置き、この衣装箱を25±2℃の室内に放置する。本発明防除剤(1)を置いてから1週間後にコイガの卵10〜15個を入れた綿繊維の布(厚さ0.2mm)でできた袋(大きさ4.5cm×4.5cm)を、本発明防除剤(1)のそばに1個ずつおいて1週間放置する。その後、コイガ卵を入れた袋を開封し、生存数と死亡数とを数えることにより本発明防除剤(1)が防除効果を示すことを確認できる。
【0066】
試験例16
本発明防除剤(4)の円筒形内部に両腕の肌を露出した被験者の右腕を通し、手首付近の肌の露出部に装着し、屋外(気温30℃程度)にて1時間、犬の散歩をした後、被験者の蚊等による吸血痕の有無を調査する。一方、本発明防除剤を装着せず、前記とほぼ同様の気候条件下で1時間犬の散歩をした後、被験者の蚊等による吸血痕の有無を調査する。その結果、本発明防除剤(4)が防除効果を示すことを確認できる。
【0067】
試験例17
本発明防除剤(4)を縦10cm、横9cmに切断して、犬のリード線の犬の首輪との接続部から30cm以内の部分に装着し、屋外(気温30℃程度)にて1時間、その犬を散歩させた後、犬の蚊等による吸血痕の有無を調査する。一方、本発明防除剤を装着せず、前記とほぼ同様の気候条件下で1時間、犬を散歩させた後、その犬の蚊等による吸血痕の有無を調査する。その結果、本発明防除剤(4)が防除効果を示すことを確認できる。
【0068】
試験例18
本発明防除剤(6)を縦10cm、横24cmに切断して、両腕の肌を露出した被験者の右手首に巻きつけることにより装着し、屋外(気温30℃程度)にて1時間、犬の散歩をした後、被験者の蚊等による吸血痕の有無を調査する。一方、本発明防除剤を装着せず、前記とほぼ同様の気候条件下で1時間犬の散歩をした後、被験者の蚊等による吸血痕の有無を調査する。その結果、本発明防除剤(6)が防除効果を示すことを確認できる。
【0069】
試験例19
本発明防除剤(8)、(9)、比較防除剤(3)及び(4)を、各々約0.34m3(底面:0.7m×0.7m、高さ0.7m)の試験室内の中央部天井から縦に吊り下げた。本発明防除剤(8)、(9)、比較防除剤(3)及び(4)を各々室内に吊り下げるとほぼ同時に雌のアカイエカ成虫10頭を試験室内に放った。さらに、30分後に各々の試験室内でノックダウンしている供試虫の数を数えた。
結果を〔表3〕に示す。
【0070】
【表3】
【0071】
試験例20
本発明防除剤(10)を市販の犬用バンダナに取り付け、これをビーグル犬の首に捲いた。屋外に約3.4m3(底面:1.5m×1.5m、高さ1.5m)の蚊帳を設置し、その蚊帳の中央に前記のバンダナを捲きつけたビーグル犬の入った金属製ケージ(1辺70cm)を置いた。蚊帳内に雌のアカイエカ雌成虫100頭を放ち、16時間後に蚊帳内でノックダウンしている供試虫の数及び吸血している虫数を数えたところ、5頭がノックダウンしており、吸血しているアカイエカ雌成虫は認められなかった。一方、本発明防除剤(10)が取り付けられたバンダナを捲きつけていないビーグル犬で同様の試験を行うと、ノックダウンしている供試虫は観察されず、また71頭のアカイエカ雌成虫が吸血していることが確認できた。
本発明防除剤(10)が取り付けられたバンダナを捲いてから1ヶ月経過したビーグル犬で上記と同様の試験を行ったところ、蚊帳内で12頭のアカイエカ雌成虫がノックダウンしており、3頭の吸血しているアカイエカ雌成虫が確認された。一方、本発明防除剤(10)が取り付けられたバンダナを捲きつけていないビーグル犬で同様の試験を行ったところ64頭の吸血しているアカイエカ雌成虫が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】ネット成形用異形ダイスにより押出成形することによって製造された筒型の本発明の害虫防除剤の一態様を示す斜視図である。
【0073】
【図2】図1に示される本発明の害虫防除剤を切断することにより得られるシート状の本発明の害虫防除剤の一態様を示す上面図である。
【0074】
【図3】図1又は図2に示される本発明の害虫防除剤のベランダでの設置方法の(a)物干し竿に吊り具を用いて設置した一態様を示す正面図と、(b)物干し竿に直接設置した一態様を示す正面図である。
【0075】
【図4】本発明の害虫防除剤の洋ダンス又はクローゼットでの設置方法の一態様を示す斜視図である。
【0076】
【図5】図2に示される本発明の害虫防除剤を幟の形態で設置して使用する一態様を示す正面図である。本発明の害虫防除剤を1枚のみ用いることも可能であるが、同一又は相異なるシート状の本発明の害虫防除剤を2枚以上並べて設置することも可能である。
【0077】
【図6】図2に示される本発明の害虫防除剤を幟の形態で設置して使用する別の一態様を示す正面図である。本発明の害虫防除剤を1枚又は2枚以上設置するとともに、常温で揮散性を有する顔料を担持させてなる樹脂を用いることにより、本発明の害虫防除剤からの害虫防除活性成分の消失時間にあわせて顔料を揮散させ樹脂が退色するように顔料を配合させることにより本発明の害虫防除剤の有効期間を示すインジケータ機能を付与することができる。
【0078】
【図7】射出成形により製造された格子状の本発明の害虫防除剤の一態様を示す上面図である。
【0079】
【図8】図2又は図7に示される本発明の害虫防除剤の和ダンス若しくはファンシーケースの引出し内での設置の一態様を示す斜視図である。
【0080】
【図9】図7に示される格子状の本発明の害虫防除剤をケースに収納した場合(左図)と、該ケースに収納された本発明の害虫防除剤を引き出した場合(右図)との一態様を示す正面図である。使用しない場合にはケースに収納して害虫防除成分の無駄な消失を抑制することができる。
【0081】
【図10】図9に示されるケースに収納された本発明の害虫防除剤の犬小屋での設置の一例を示す斜視図である。犬小屋の入口付近に例えばケースが嵌め合せ可能な形態をした部位を有することにより、本発明の害虫防除剤をケースごと取付け、害虫の発生状況に合わせて適宜、本発明の害虫防除剤をケースから引き出すことにより、犬小屋内部への害虫の侵入を防除することができる。
【0082】
【図11】本発明の害虫防除剤の犬小屋での設置の一態様を示す斜視図である。図1に示される筒状の形態の本発明の害虫防除剤を吊り下げる(左図)、図2に示されるシート状の形態の本発明の害虫防除剤を吊り下げる(右図)ことにより犬小屋内部への害虫の侵入を防除することができる。
【0083】
【図12】本発明の害虫防除剤の犬小屋での設置の一態様を示す斜視図である。図1に示される筒状の形態の本発明の害虫防除剤にロープ等に吊り下げ可能なように保持させて、ロープを犬小屋の入り口付近にとりつけて吊り下げる(左図)、図2に示されるシート状の形態の本発明の害虫防除剤を吊り下げる(右図)ことにより犬小屋内部への害虫の侵入を防除することができる。
【0084】
【図13】本発明の害虫防除剤を例えばプラスティック、金属若しくは繊維(ポリエステル等)からなる目の粗い網状体により囲った構造体の一態様を示す正面図である
【0085】
【図14】本発明の害虫防除剤の犬小屋での設置の一態様を示す斜視図である。柵に吊り下げて設置することにより、柵により区切られた空間への害虫の侵入を防除することができる。
【0086】
【図15】本発明の害虫防除剤の畜舎での設置の一態様を示す斜視図である。畜舎の屋根付近設定することにより害虫の畜舎内への侵入を防除することができる。
【0087】
【図16】ヒトを害虫による加害行動から守るために、腰に本発明の害虫防除剤を装着する一態様を示す正面図である。
【0088】
【図17】ヒトを害虫による加害行動から守るために、手首に本発明の害虫防除剤を装着する一態様を示す正面図である。
【0089】
【図18】ヒトを害虫による加害行動から守るために、本発明の害虫防除剤を設置する一態様を示す正面図である。
【0090】
【図19】図2に示されるシート状の本発明の害虫防除剤を切り抜いてバンダナ状にした一態様を示す正面図である(上図)。必要に応じて留め具等を用いてイヌ、ネコ等に装着した一態様を示す正面図である(下図)。
【0091】
【図20】図2に示されるシート状の本発明の害虫防除剤を切り抜き、縫製加工してなるイヌ用の衣服をイヌに着衣させた一態様を示す正面図である。
【0092】
【図21】本発明の害虫防除剤をやじろべえの部材として用いた一態様を示す正面図(左図)と、モビールの部材として用いた一態様を示す正面図(右図)である。
【0093】
【図22】本発明の害虫防除剤をスリッパの甲部分の部材とした一態様を示す側面図である。
【0094】
【図23】本発明の害虫防除剤を植木鉢の外周部に取り付けた一態様を示す斜視図(左図)と、別の一態様を示す斜視図(右図)である。植木鉢の形態に合わせて本発明の害虫防除剤を筒状体に成形・加工し、その筒状体内部に植木鉢を嵌め込む形態であってもよく、また本発明の害虫防除剤をベルト状に成形・加工し、植木鉢の外周部に巻き付け、必要に応じて適当な部材により係止させることで取り付ける形態であってもよく、その取り付け方法は適宜変更することができる。また植木鉢のみならず、プランター等の任意の栽培容器において使用することができる。
【0095】
【図24】本発明の害虫防除剤を短冊状に加工して風鈴に取り付けた一態様を示す正面図である。本発明の害虫防除剤の形態は、文字や絵を模った空隙を有するシート状に成形・加工を施す等適宜変更することができる。
【0096】
【図25】本発明の害虫防除剤をキーホルダーの部材とした一態様を示す斜視図(左図)と、別の一態様を示す斜視図(右図)である。
【図26】本発明の害虫防除剤に収納部材、及びフック等の固定部材を取り付けて簾とした一態様を示す正面図である。使用時はフック等の固定部材によりカーテンレール、物干し竿、ポール等に取り付けた上で、本発明の害虫防除剤を展開して使用し(図中左側)、使用時以外は収納部材により収納する(図中右側)。収納部材はその内部に本発明の害虫防除剤を巻き取って収納するものであってもよく、その外部に本発明の害虫防除剤を巻きつけるものであってもよい。
【0097】
【図27】図7に示される格子状の本発明の害虫防除剤の吊り下げ用での使用形態の一例を示す正面図である。物干し竿やポール等に取り付け可能なフック状の吊り下げ具と本発明の害虫防除剤とは適当な取り付け部材により連結され、交換可能な形態であってもよく、また本発明の害虫防除剤がフック状の一部分を有する一体成形体の形態であってもよい。
【0098】
【図28】本発明の害虫防除剤を窓、ドアなどの固相面への貼付用での使用形態の一例を示す斜視図((a)図)とその反対側からの斜視図((b)図)、及び別の一例を示す斜視図((c)図)、並びにこれらを窓に貼付した場面の一例を示す正面図((d)図)である。(b)図の黒色表面部は粘着性の材質からなり、固相面への貼付、取り外しが容易である。また、吸盤等の部材を用いることにより、固相面に吸着して使用することもできる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、害虫防除剤、詳しくは害虫防除活性成分が樹脂に保持されてなる害虫防除剤に関する。
【背景技術】
【0002】
式(1)
〔式中、
R1は水素原子又はメチル基を表し、
R2はメチル基又は
CH=CR21R22
(式中、R21及びR22は独立して、水素原子又はメチル基を表す。)
で示される基を表し、
R3は水素原子、メチル基又はメトキシメチル基を表す。〕
で示されるエステル化合物が有害生物防除剤の有効成分として知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−63329号公報
【特許文献2】特開2001−11022号公報
【特許文献3】欧州特許公開第60617号明細書
【特許文献4】特開2001−302590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、式(1)で示されるエステル化合物を有効成分とし、害虫の生息場所及び/又は害虫の侵入場所に室温で設置するだけで蚊などの害虫に対して速やかに効力を発揮する害虫防除剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は式(1)で示されるエステル化合物を有効成分として含有する害虫防除剤について種々検討した結果、式(1)で示されるエステル化合物を特定のポリオレフィン系樹脂に保持させたものを、害虫の生息場所及び/又は害虫の侵入場所に室温で設置するだけで蚊などの害虫に対して速やかに防除効力を発揮し、さらにその防除効力が長期間持続することを見出し、本発明に至ったものである。
【0006】
即ち、本発明は以下のものである。
〔1〕 式(1)
〔式中、
R1は水素原子又はメチル基を表し、
R2はメチル基又は
CH=CR21R22
(式中、R21及びR22は独立して、水素原子又はメチル基を表す。)
で示される基を表し、
R3は水素原子、メチル基又はメトキシメチル基を表す。〕
で示されるエステル化合物がポリオレフィン系樹脂に保持されてなる害虫防除剤であって、該ポリオレフィン系樹脂がカルボン酸エステル単量体単位を害虫防除剤全量に対して1〜10重量%含有する樹脂であることを特徴とする害虫防除剤。
〔2〕 式(1)で示されるエステル化合物とカルボン酸エステル単量体単位との重量比が3:1〜1:3の範囲内である〔1〕記載の害虫防除剤。
〔3〕 式(1)で示されるエステル化合物が害虫防除剤全量に対して0.1〜20重量%含有されることを特徴とする〔1〕又は〔2〕記載の害虫防除剤。
〔4〕 ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂である〔1〕〜〔3〕いずれか1項記載の害虫防除剤。
〔5〕 カルボン酸エステル単量体が不飽和カルボン酸エステル又はカルボン酸ビニルエステルである〔1〕〜〔4〕いずれか1項記載の害虫防除剤。
〔6〕 カルボン酸エステル単量体がアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル又は酢酸ビニルである〔1〕〜〔4〕いずれか1項記載の害虫防除剤。
〔7〕 カルボン酸エステル単量体がメタクリル酸メチルである〔1〕〜〔4〕いずれか1項記載の害虫防除剤。
〔8〕 ポリオレフィン系樹脂がエチレン−メタクリル酸メチル共重合体を含有する樹脂である〔1〕〜〔3〕いずれか1項記載の害虫防除剤。
〔9〕 ポリオレフィン系樹脂がポリエチレンとエチレン−メタクリル酸メチル共重合体とのポリマーブレンドである〔1〕〜〔3〕いずれか1項記載の害虫防除剤。
〔10〕 式(1)で示されるエステル化合物において、
R1が水素原子であり、
R2が
CH=CR21R22
(式中、R21及びR22は独立して、水素原子又はメチル基を表す。)
で示される基であり、
R3が水素原子、メチル基又はメトキシメチル基である〔1〕〜〔9〕いずれか1項記載の害虫防除剤。
〔11〕 1個以上の開孔部を有し、該開孔部の合計での開孔率が50〜90%である〔1〕〜〔10〕いずれか1項記載の害虫防除剤。
〔12〕 害虫が蚊である〔1〕〜〔11〕いずれか1項記載の害虫防除剤。
〔13〕 〔1〕〜〔12〕いずれか1項記載の害虫防除剤を害虫の生息場所又は害虫の侵入場所に設置することを特徴とする害虫の防除方法。
〔14〕 害虫の生息場所又は害虫の侵入場所が、家屋の玄関、庭、居間、ベランダ、タンス内部、又はクロゼット内部である〔13〕記載の害虫の防除方法。
〔15〕 害虫の生息場所又は害虫の侵入場所が、家畜又はペットの生育場所である〔13〕記載の害虫の防除方法。
〔16〕 〔1〕〜〔12〕いずれか1項記載の害虫防除剤を温血動物の体表部に装着することを特徴とする害虫の防除方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の害虫防除剤は、害虫の生息場所及び/又は害虫の侵入場所に室温で放置するだけで蚊などの害虫に対して速やかに防除効力を発揮し、さらにその防除効力が長期間持続するものである。また本発明の害虫防除剤は、温血動物の体表部に装着することにより、該温血動物を害虫による加害行動、特に蚊などの吸血行動から保護するものでもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の害虫防除剤は、式(1)で示されるエステル化合物がポリオレフィン系樹脂に保持されてなる害虫防除剤であって、該ポリオレフィン系樹脂がカルボン酸エステル単量体単位を害虫防除剤全量に対して1〜10重量%含有する樹脂であることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に用いられる式(1)で示されるエステル化合物は、EP0060617号明細書、特開2000−63329号公報、特開2001−11022号公報、特開平7−17916号公報等に記載された化合物であり、例えば該公報に記載された方法で製造することができる。
式(1)で示されるエステル化合物には不斉炭素に基づく異性体が存在し、また炭素−炭素二重結合に基づく異性体が存在する場合があるが、本発明には活性な異性体のいずれをも使用することができる。
【0010】
式(1)で示されるエステル化合物としては、例えば2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 2,2,3−トリメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 1R−トランス−2,2,3−トリメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートが挙げられる。
【0011】
本発明の害虫防除剤においてポリオレフィン系樹脂は、カルボン酸エステル単量体単位を害虫防除剤全量に対して1〜10重量%含有するものである。なお、ポリオレフィン系樹脂とはオレフィン単量体を主なモノマー成分とする樹脂を意味する。
本発明におけるポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリエチレン系樹脂、及びポリプロピレン系樹脂が挙げられる。
【0012】
本発明においてカルボン酸エステル単量体とは、不飽和カルボン酸エステル又はカルボン酸ビニルエステルを意味する。
不飽和カルボン酸エステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸の低級アルキルエステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸の低級アルキルエステルが挙げられ、カルボン酸ビニルエステルとしては、例えば酢酸ビニル等の低級脂肪酸のビニルエステルが挙げられる。
【0013】
本発明に用いられるポリオレフィン系樹脂は、単独の共重合体からなるものであっても、2種以上の重合体及び/又は共重合体を混合したポリマーブレンドからなるものであってもよい。即ち、本発明に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、カルボン酸エステル単量体単位の適切な量を含有するポリオレフィン系共重合体そのものを用いることもでき、また、カルボン酸エステル単量体単位を多く含有するポリオレフィン系共重合体(ポリオレフィン系共重合体に対するカルボン酸エステル単量体単位の量が例えば10〜40重量%のもの)とオレフィンの単独重合体とを混合して適切なカルボン酸エステル単量体単位を含有するように調整したポリマーブレンドを用いることもできる。
【0014】
このようなカルボン酸エステル単量体単位を含有するポリオレフィン系共重合体としては、例えばカルボン酸エステル単量体単位を含有するポリエチレン系共重合体、及びカルボン酸エステル単量体単位を含有するポリプロピレン系共重合体が挙げられる。本発明において、ポリオレフィン系共重合体とは、オレフィン単量体を主なモノマー成分とし、他にカルボン酸エステル単量体をモノマー単位として含有する重合体である。
【0015】
カルボン酸エステル単量体単位を含有するポリエチレン系共重合体としては、例えばエチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、及びエチレン−メタクリル酸エチル共重合体が挙げられる。
カルボン酸エステル単量体単位を含有するポリプロピレン系共重合体としては、例えばプロピレン−アクリル酸メチル共重合体、プロピレン−アクリル酸エチル共重合体、プロピレン−アクリル酸ブチル共重合体、プロピレン−メタクリル酸メチル共重合体、及びプロピレン−メタクリル酸エチル共重合体が挙げられる。
【0016】
これらの重合体は、モノマーを公知のラジカル重合触媒やイオン重合触媒を用いて、公知の重合方法によって重合させることにより製造することができる。公知の触媒としては、例えば、過酸化物触媒、チグラー−ナッタ系触媒、メタロセン系触媒等が挙げられ、公知の重合方法としては、例えば、溶液重合法、スラリー重合法、高圧イオン重合法、高圧ラジカル重合法、及び気相重合法が挙げられる。
【0017】
本発明に用いられるポリオレフィン系樹脂がカルボン酸エステル単量体単位を多く含有するポリオレフィン系重合体とオレフィンの単独重合体とを混合して適切なカルボン酸エステル単量体単位を含有するように調整したポリマーブレンドである場合のポリマーブレンドとしては、例えばエチレン−アクリル酸メチルとポリエチレンとのポリマーブレンド、エチレン−アクリル酸エチルとポリエチレンとのポリマーブレンド、エチレン−メタクリル酸メチルとポリエチレンとのポリマーブレンド、及びエチレン−メタクリル酸エチルとポリエチレンとのポリマーブレンドが挙げられる。
【0018】
本発明の害虫防除剤には、式(1)で示されるエステル化合物が、式(1)で示されるエステル化合物とポリオレフィン系樹脂中のカルボン酸エステル単量体単位とが、重量比で通常3:1〜1:3、好ましくは2:1〜1:2の割合で含有される。
また、本発明の害虫防除剤に含有される式(1)で示されるエステル化合物の量は、本発明の害虫防除剤全量に対して、通常0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜7.0重量%の範囲内である。
【0019】
本発明の害虫防除剤には必要に応じて紫外線吸収剤が含有されている。
かかる紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸フェニル;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチル−ベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンズトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール化合物;2,4−ジ−tert−ブチルフェニル 3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート化合物が挙げられ、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物が好ましい。本発明の害虫防除剤にこれらの紫外線吸収剤を含有される場合、その含有量は通常本発明の害虫防除剤全量に対して通常0.005〜5重量%である。
【0020】
本発明の害虫防除剤には、さらに必要に応じて酸化防止剤、顔料等が含有されている。
かかる酸化防止剤としては、例えばブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ステアリル β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(TBMTBP)、及びトリフェニルホスファイトが挙げられる。
【0021】
本発明の害虫防除剤は、例えば式(1)で示されるエステル化合物と、所定量のカルボン酸エステル単量体単位を含有するポリオレフィン系樹脂とを混合・混練し、得られる混練物を熱可塑性樹脂に通常用いられる成形方法(例えば、押出成形、カレンダー成形、ブロー成形、真空成形、射出成形、回転成形等)により賦形することにより製造される。
また、本発明の害虫防除剤は、前記により賦形された成形体をスリット加工、スライス加工、ペレット加工等の二次加工により形状を変更されたものであってもよい。
【0022】
なお、式(1)で示されるエステル化合物と、所定量のカルボン酸エステル単量体単位を含有するポリオレフィン系樹脂とを混合・混練する工程には、式(1)で示されるエステル化合物、カルボン酸エステル単量体単位を多く含有するポリオレフィン系重合体、及びオレフィンの単独重合体を混合・混練する方法;式(1)で示されるエステル化合物及びカルボン酸エステル単量体単位を多く含有するポリオレフィン系重合体を混合・混練して得られる混練物と、オレフィン単独重合体とを混合・混練する方法も含まれる。
【0023】
このようにして製造される本発明の害虫防除剤の形状は、例えばフィルム状、シート状、板状、繊維状、網状、格子状及び粒状等が挙げられる。
【0024】
本発明の害虫防除剤は、例えば害虫の生息場所及び/又は害虫の侵入場所等にそのまま設置することにより用いられる。本発明の害虫防除剤の使用量は、害虫を防除しようとする空間1m3あたりの式(1)で示されるエステル化合物の量で通常0.01〜30g、好ましくは0.1〜30gである。
本発明の害虫防除剤の設置方法としては、例えば床に置いたり、敷く方法、天井から吊り下げる方法、壁に貼り付ける方法が挙げられる。
本発明の害虫防除剤の設置場所において、本発明の害虫防除剤から有効成分である式(1)で示されるエステル化合物が徐々に揮散して害虫防除効力が発揮される。したがって本発明の害虫防除剤は、風通しの良い場所に設置すると、有効成分である式(1)で示されるエステル化合物の揮散効率が高くなり、より優れた害虫防除効力が発揮される。また、本発明の害虫防除剤は害虫の生息場所及び/又は害虫の侵入場所の相対的に風上側に設置することが好ましい。かかる害虫の生息場所及び侵入場所としては、例えば厩、牛舎、鶏舎、豚舎などの畜舎;犬小屋、ウサギ小屋などのペット小屋;工場や作業場における出入口、排気口、電灯などの周辺;ベランダ、玄関などの家屋の外部;クロゼット、タンス(和ダンス、洋ダンス)の内部、ファンシーケースなど衣類保管場所;寝室、居間、台所などの家屋内部;浄化槽内部;マンホールの蓋の下;キャンプ場や公園におけるテントの出入口、テント周辺、テント内部;バーベキュー、釣り、ハイキング、ガーデニング等の野外活動場所とその周辺部が挙げられる。式(1)で示されるエステル化合物の揮散効率の点からは、本発明の害虫防除剤は成形、穿孔等による1個以上の開孔部を有することが好ましい。本発明の害虫防除剤における開孔率は、該開孔部の合計で好ましくは50〜90%、より好ましくは60〜85%であり、製造効率の点からは前記の開孔率を有する網状又は格子状の成形体、あるいは該成形体の二次加工物であることが好ましい。
【0025】
本発明の害虫防除剤はまた、温血動物(イヌ、ネコ、ウサギ等のペット、馬、牛、鶏、豚等の家畜、及びヒトが挙げられる。)の体表部に直接又は着衣等の上から装着することにより、該温血動物を害虫による加害行動、特に蚊による吸血行動から保護することができる。装着方法としては、本発明の害虫防除剤と紐などを用いて腰から吊り下げる、適当な留め具等を用いて足首、手首、腕胴体などに巻きつける、切り抜き・縫製して衣服の形態として着衣させる方法などが挙げられる。これらの場合、本発明の害虫防除剤の使用量は、対象害虫や使用期間等により適宜選択されるものであるが、害虫による加害行動から保護しようとする温血動物の体表部1cm2あたり、通常0.001〜10mg、好ましくは0.01〜5mg、より好ましくは0.05〜2.5mgである。
【0026】
本発明の害虫防除剤の使用形態としては例えば下記のものが挙げられるが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
本発明の害虫防除剤が網状であるものとしては、式(1)で示されるエステル化合物と、所定量のカルボン酸エステル単量体単位を含有するポリオレフィン系樹脂との混合・混練物を押出成形し、所望の長さに切断して筒状体としたもの(図1参照)、及び該筒状体を切断してシート状としたもの(図2参照)等が挙げられる。格子状であるものとしては、射出成形により得られるもの(図7参照)等が挙げられる。
これらの形状に成形、加工された本発明の害虫防除剤はさらに任意の形態に加工することが可能であり、またこれらの本発明の害虫防除剤を例えばプラスティック、金属若しくは繊維(ポリエステル等)からなる目の粗い網状体により囲む(図13参照)ことも可能である。
図1に示される筒状体の本発明の害虫防除剤は、例えばそれに紐、吊り下げ具等を取り付けてベランダに設置する(図3参照)ことにより屋内への害虫の侵入を防ぐ、また洋ダンス、クロゼット等に設置する(図4参照)ことにより該洋ダンス若しくは該クロゼット等の内部に保存する衣類を害虫の被害から保護することに用いられる。
【0027】
図2で示されるシート状の本発明の害虫防除剤は、例えば1枚又は2枚以上を並べて幟として使用すること(図5参照)、さらには本発明の害虫防除剤の有効成分のである式(1)で示されるエステル化合物の蒸散と連動して顔料が揮散して有効期間満了を示すインジケータ機能を併せ持った顔料を含有することも可能である(図6参照)
【0028】
図7で示される格子状の本発明の害虫防除剤は、和ダンス、ファンシーケースに入れて該和ダンス若しくは該ファンシーケース等の内部に保存する衣類を害虫の被害から保護すること(図8参照)、またプラスチック若しくは金属性の容器に収納し(図9参照)、犬小屋、ウサギ小屋等に取付けて、必要に応じて本発明の害虫防除剤をケースから取り出して害虫防除成分を犬小屋、ウサギ小屋等の周辺に揮散可能にして犬小屋、ウサギ小屋等の内部への害虫の侵入を防ぐこと(図10参照)が可能である。
【0029】
図1又は図2に示される本発明の害虫防除剤及び図13に示される本発明の害虫防除剤を包囲した網状体は、適当な紐、吊り下げ具等を用いて犬小屋の入り口付近に吊るして犬小屋への害虫の侵入を防ぐこと(図11、図12及び図14参照)ができるが、牛舎、豚舎、鶏舎等の畜舎でも必要に応じて2個以上の本発明の害虫防除剤を出入口、窓、屋根等に適宜設置すること(図15参照)により、害虫の侵入を防除することができる。
【0030】
また本発明の害虫防除剤を適宜加工して、温血動物の体表部に施用することによっても使用することができる。ヒトの場合には、例えば腰からぶら下げる(図16参照)、腕や手首に巻きつける(図17参照)、足首に巻きつける(図18参照)ことにより使用することができる。またイヌ、ネコ等のペットの場合には、例えば図2で示されるシート状の本発明の害虫防除剤若しくは図7に示される格子状の本発明の害虫防除剤をバンダナ状に切り抜いてペットの首に巻きつける(図19参照)、または縫製加工して衣類の形態としてペットに着衣させる(図20参照)ことによって使用することができる。このように温血動物の体表部に施用するにあたっては直接或いは衣服等の上から装着することによって、温血動物を害虫による被害、特に蚊による吸血行動による被害を防除することができる。
【0031】
本発明の害虫防除剤は、例えば以下に示される害虫の防除に用いることができる。
半翅目害虫:ヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、セジロウンカ(Sogatella furcifera)等のウンカ類、ツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)、タイワンツマグロヨコバイ(Nephotettix virescens)等のヨコバイ類、アブラムシ類、カメムシ類、コナジラミ類、カイガラムシ類、グンバイムシ類、キジラミ類等;
鱗翅目害虫:ニカメイガ(Chilo suppressalis)、コブノメイガ(Cnaphalocrocis medinalis)、ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)等のメイガ類、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、アワヨトウ(Pseudaletia separata)、ヨトウガ(agrotis segetum)等のヨトウ類、モンシロチョウ(Pieris rapae)等のシロチョウ類、チャノコカクモンハマキ(Adoxophyes honmai)、リンゴコカクモンハマキ(Adoxophyes orana)等のハマキガ類、シンクイガ類(Carposinidae)、ハモグリガ類(Lyonetiidae)、ドクガ類(Lymantriidae)、ウワバ類(Autographa)、カブラヤガ(Agrotis segetum)及びタマナヤガ(Agrotis ipsolon)等のアグロティス属(Agrotis spp.)、ヘリコベルパ属(Helicoverpa spp.)、へリオティス属(Heliothis spp.)、コナガ(Plutella xylosttella)、イチモンジセセリ(Parnara guttata)、イガ(Tinea translucens)、コイガ(Tineola bisselliella)等;
【0032】
双翅目害虫:アカイエカ(Culex pipiens pallens)、コガタアカイエカ(Culex tritaeniorhynchus)、ネッタイイエカ(Culex quinquefasciatus)、チカイエカ(Culex pipens molestus)等のイエカ類、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)、ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)等のエーデス属、オオクロヤブカ(Armigeres subalbatus)等のアルミゲレス属、シナハマダラカ(Anopheles sinensis)、コガタハマダラカ(Anopheres minimus)、ガンビアハマダラカ(Anopheles gambiae)等のハマダラカ類、サシバエ類、ヌカカ類、ユスリカ類、イエバエ(Musca domestica)、オオイエバエ(Muscina stabulans)等のイエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、タネバエ(Delia platura)、ヒメイエバエ(Fannia canicularis)、タマネギバエ(Delia antiqua)等のハナバエ類、ミバエ類、ショウジョウバエ類、オオチョウバエ(Clogmia albipunctata)チョウバエ類、ブユ類、アブ類等;
【0033】
鞘翅目害虫:ウエスタンコーンルートワーム(Diabrotica virgifera virgifera)、サザンコーンルートワーム(Diabrotica undecimpunctata howardi)等のコーンルートワーム類、ドウガネブイブイ(Anomala cuprea)、ヒメコガネ(Anomala rufocuprea)等のコガネムシ類、コクゾウムシ(Sitophilus zeamais)、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、ワタミゾウムシ(Anthonomus grandis)、アズキゾウムシ(Callosobruchuys chienensis)等のゾウムシ類、チャイロコメノゴミムシダマシ(Tenebrio molitor)、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)等のゴミムシダマシ類、イネドロオイムシ(Oulema oryzae)、キスジノミハムシ(Phylltreta nemorum)、ウリハムシ(Aulacophora femoralis)等のハムシ類、シバンムシ類、ニジュウヤホシテントウ(Epilachna vigintioctopunctata)等のエピラクナ属(Epilachna spp.)、ヒラタキクイムシ類、ナガシンクイムシ類、カミキリムシ類、アオバアリガタハネカクシ(Paederus fuscipes)等;
網翅目害虫:チャバネゴキブリ(Blattella germanica)、クロゴキブリ(Periplaneta fuliginosa)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana)、トビイロゴキブリ(Periplaneta brunnea)、トウヨウゴキブリ(Blatta orientalis)等;
総翅目害虫:ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)、ハナアザミウマ(Thrips hawawiiensis)等;
膜翅目害虫:アリ類、スズメバチ類、アリガタバチ類、カブラハバチ(Athalia rosae)等のハバチ類等;
直翅目害虫:ケラ類、バッタ類等
隠翅目害虫:ヒトノミ(Pulex irritans)、ネコノミ(Ctenocephalides felis)等;
シラミ目害虫:ヒトジラミ(Pediculus humanus)、ケジラミ(Phthirus pubis)、ウシジラミ(Haematopinus eurysternus)等;
等翅目害虫:ヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus)、イエシロアリ(Coptotermes formosanus);
ダニ目害虫:コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)、ヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides ptrenyssnus)等のヒョウヒダニ類、ケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)、ムギコナダニ(Aleuroglyphus ovatus)等のコナダニ類、チリニクダニ(Glycyphagidae privatus)、イエニクダニ(Glycyphagidae domesticus)、サヤアシニクダニ(Glycyphagidae destructor)等のニクダニ類、クワガタツメダニ(Cheyletus malaccensis)、フトツメダニ(Cheyletus malaccesis)等のツメダニ類、ホコリダニ類、マルニクダニ類、イエササラダニ類、ハダニ類、イエダニ(Ornithonyssus bacoti)、トリサシダニ(Ornithonyssus sylvairum)、ワクモ(Dermanyssus gallinae)等のサシダニ類、フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)、クリイロコイタマダニ(Rhipicephalus sanguineus)、オウシマダニ(Boophilus microplus)等のマダニ類、ナミハダニ(Tetranychus urticae)、カンザワハダニ(Tetranychus kanzawai)、ミカンハダニ(Panonychus citri)、リンゴハダニ(Panonychus ulmi)等。
本発明の害虫防除剤は特に蚊(例えばアカイエカ、ネッタイイエカ、チカイエカ、コダカアカイエカ等のイエカ類、ヒトスジシマカ、ネッタイシマカ、オオクロヤブカ等のヤブカ類、シナハマダラカ、コガタハマダラカ、ガンビアハマダラカ等のハマダラカ類)などの吸血害虫の防除に有用である。
【実施例】
【0034】
次に、本発明を製造例、試験例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0035】
製造例1
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:25重量%、商品名:アクリフトWK307、住友化学株式会社製)28重量部及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
このペレット33重量部と直鎖状低密度ポリエチレン(エチレンの単独重合体)のペレット67重量部とを混合・混練して混練物を得た。
次いで、この混練物を射出成形機から金型を介して成形することにより、縦10.9cm。横7.9cm、厚み4.6mmでかつ縦5.6mm、横5.25mmの角穴が空いている格子状のメッシュシート(開孔率65%、図7参照)である成形体(以下、本発明防除剤(1)と記す。)を得た。
【0036】
製造例2
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:18重量%、商品名:アクリフトWH303、住友化学株式会社製)18重量部、及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート2重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
このペレット20重量部と直鎖状低密度ポリエチレン(エチレンの単独重合体)のペレット80重量部とを混合・混練して混練物を得た。
次いで、この混練物を押出機からネット成形用異形ダイスを介して押出すことにより、一辺が約5mmの略ひし形の網(網を形成するフィラメントの直径は約0.83mm、開孔率70%)が直径約7cmの円筒状となった成形体を得た。この成形体を長さ20cmに切断して本発明の害虫防除剤(以下、本発明防除剤(2)と記す。)を得た。
【0037】
製造例3
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:10重量%、商品名:アクリフトWD301、住友化学株式会社製)95重量部及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
次いで、このペレットを練って得た練物を押出成形機からネット成形用異形ダイスを介して押出すことにより、一辺が約5mmの略ひし形の網(網を形成するフィラメントの直径は約0.83mm、開孔率70%)が直径約7cmの円筒状となった成形体を得た。この成形体を長さ10cmに切断して本発明の害虫防除剤(以下、本発明防除剤(3)と記す。)を得た。
【0038】
製造例4
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:25重量%、商品名:アクリフトWK307、住友化学株式会社製)28重量部及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
このペレット33重量部と直鎖状低密度ポリエチレン(エチレンの単独重合体)のペレット67重量部とを混合・混練して混練物を得た。
次いで、この混練物を押出成形機からネット成形用異形ダイスを介して押出し、延伸することにより、一辺が約5mmの略ひし形の網(網を形成するフィラメントの直径は約0.83mm、開孔率82%)で直径約7cmの円筒状となった成形体を得た。この成形体を長さ20cmに切断して本発明の害虫防除剤(図1参照、以下、本発明防除剤(4)と記す。)を得た。
【0039】
製造例5
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:18重量%、商品名:アクリフトWH303、住友化学株式会社製)45重量部及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
このペレット50重量部と直鎖状低密度ポリエチレン(エチレンの単独重合体)のペレット50重量部とを混合・混練して混練物を得た。
次いで、この混練物を押出成形機からネット成形用異形ダイスを介して押出し、延伸することにより、一辺が約5mmの略ひし形の網(網を形成するフィラメントの直径は約0.83mm、開孔率82%)で直径約7cmの円筒状となった成形体を得た。この成形体を長さ20cmに切断して本発明の害虫防除剤(図1参照、以下、本発明防除剤(5)と記す。)を得た。
【0040】
製造例6
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:25重量%、商品名:アクリフトWK307、住友化学株式会社製)28重量部及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
このペレット33重量部と直鎖状低密度ポリエチレン(エチレンの単独重合体)のペレット67重量部とを混合・混練して混練物を得た。
次いで、この混練物を押出成形機からネット成形用異形ダイスを介して押出すことにより、一辺が約2.5mmの略ひし形の網(網を形成するフィラメントの直径は約0.5mm、開孔率64%)が直径約16cmの円筒状となった成形体を得た。この成形体を横24cm、縦40cmのメッシュシート状(図2参照)に切断して本発明の害虫防除剤(以下、本発明防除剤(6)と記す。)を得た。
【0041】
製造例7
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:18重量%、商品名:アクリフトWH303、住友化学株式会社製)18重量部及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート2重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
このペレット20重量部と直鎖状低密度ポリエチレン(エチレンの単独重合体)のペレット8kgとを混合・混練して混練物を得た。
次いで、この混練物を押出成形機からネット成形用異形ダイスを介して押出すことにより、一辺が約2.5mmの略ひし形の網(網を形成するフィラメントの直径は約0.5mm、開孔率64%)が直径約16cmの円筒状となった成形体を得た。この成形体を長さ20cmに切断して本発明の害虫防除剤(図1参照、以下、本発明防除剤(7)と記す。)を得た。
【0042】
製造例8
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:10重量%、商品名:アクリフトWD301、住友化学株式会社製)95g及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5gを160℃で10分間溶融混練して、100gの混練物を得た。
この混練物42gを150mm×150mm×2mmの型枠に入れて150℃で2分間静置した後、同温にて50kg/cm2で1分間、次いで100kg/cm2で1分間加圧した後、冷却した。得られた成形体を型枠から外して150mm×75mm×2mmに切断して本発明の害虫防除剤(以下、本発明防除剤(8)と記す。)を得た。
【0043】
製造例9
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:10重量%、商品名:アクリフトWD301、住友化学株式会社製)95g及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5gを160℃で10分間溶融混練して、100gの混練物を得た。
この混練物42gを150mm×150mm×2mmの型枠に入れて150℃で2分間静置した後、同温にて50kg/cm2で1分間、次いで100kg/cm2で1分間加圧した後、冷却した。得られた成形体を型枠から外して150mm×75mm×2mmに切断して本発明の害虫防除剤(以下、本発明防除剤(9)と記す。)を得た。
【0044】
製造例10
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:25重量%、商品名:アクリフトWK307、住友化学株式会社製)28重量部及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
このペレット33重量部と直鎖状低密度ポリエチレン(エチレンの単独重合体)のペレット67重量部とを混合・混練して混練物を得た。
次いで、この混練物を押出成形機からネット成形用異形ダイスを介して押出すことにより、一辺が約2.5mmの略ひし形の網(網を形成するフィラメントの直径は約0.5mm、開孔率64%)が直径約7cmの円筒状となった成形体を得て、これを切断することにより、幅23cmの反物状ネットを得た。この成形体を横23cm、縦23cmの正方形のメッシュシート状に切断後、4つの直角2等辺三角形(短辺15cm、長辺23cm)に切断して本発明の害虫防除剤(以下、本発明防除剤(10)と記す。)を得た。
【0045】
参考例1
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:25重量%、商品名:アクリフトWK307、住友化学株式会社製)95重量部及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
次いで、このペレットを練って得られた練物を押出成形機からネット成形用異形ダイスを介して押出すことにより、一辺が約5mmの略ひし形の網(網を形成するフィラメントの直径は約0.83mm、開孔率70%)が直径約7cmの円筒状となった成形体を得た。この成形体を長さ10cmに切断して害虫防除剤(以下、比較防除剤(1)と記す。)を得た。
【0046】
参考例2
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:25重量%、商品名:アクリフトWK307、住友化学株式会社製)95重量部及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
次いで、このペレットを練って得られた練物を押出成形機からネット成形用異形ダイスを介して押出すことにより、一辺が約5mmの略ひし形の網(網を形成するフィラメントの直径は約0.83mm、開孔率82%)が直径約7cmの円筒状となった成形体を得た。この成形体を長さ20cmに切断して害虫防除剤(以下、比較防除剤(2)と記す。)を得た。
【0047】
参考例3
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:20重量%、商品名:アクリフトWH202、住友化学株式会社製)95g及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5gを160℃で10分間溶融混練して、100gの混練物を得た。
この混練物42gを150mm×150mm×2mmの型枠に入れて150℃で2分間静置した後、同温にて50kg/cm2で1分間、次いで100kg/cm2で1分間加圧した後、冷却した。得られた成形体を型枠から外して150mm×75mm×2mmに切断して害虫防除剤(以下、比較防除剤(3)と記す。)を得た。
【0048】
参考例4
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:20重量%、商品名:アクリフトWH202、住友化学株式会社製)95g及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5gを160℃で10分間溶融混練して、100gの混練物を得た。
この混練物42gを150mm×150mm×2mmの型枠に入れて150℃で2分間静置した後、同温にて50kg/cm2で1分間、次いで100kg/cm2で1分間加圧した後、冷却した。得られた成形体を型枠から外して150mm×75mm×2mmに切断して害虫防除剤(以下、比較防除剤(4)と記す。)を得た。
【0049】
試験例1
本発明防除剤(2)を、約5.8m3(底面:1.8m×1.8m、高さ1.8m)の試験室内の中央部天井から縦に吊り下げた。この際に本発明防除剤(2)の下端は床から約156cmであった。本発明防除剤(2)を室内に吊り下げてから1時間経過後、雌のヒトスジシマカ成虫50頭を試験室内に放った。さらに、10分後に試験室内でノックダウンしている供試虫の数を数えたところ、43頭がノックダウンしていた。
【0050】
試験例2
本発明防除剤(3)及び比較防除剤(1)を、各々約0.34m3(底面:0.7m×0.7m、高さ0.7m)の試験室内の中央部天井から縦に吊り下げた。この際に本発明防除剤(3)及び比較防除剤(1)の下端は床から約58cmであった。本発明防除剤(3)及び比較防除剤(1)を各々室内に吊り下げるとほぼ同時に雌のアカイエカ成虫20頭を試験室内に放った。さらに、30分後に各々の試験室内でノックダウンしている供試虫の数を数えた。
結果を〔表1〕に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
試験例3
本発明防除剤(1)、(4)、(6)及び比較防除剤(2)を、各々約0.34m3(底面:0.7m×0.7m、高さ0.7m)の試験室内の中央部天井から縦に吊り下げた。本発明防除剤(1)、(4)、(6)及び比較防除剤(2)を各々室内に吊り下げるとほぼ同時に雌のアカイエカ成虫20頭を試験室内に放った。さらに、30分後に各々の試験室内でノックダウンしている供試虫の数を数えた。
結果を〔表2〕に示す。
【0053】
【表2】
【0054】
試験例4
本発明防除剤(4)を、約5.8m3(底面:1.8m×1.8m、高さ1.8m)の試験室内の中央部天井から縦に吊り下げた。この際に本発明防除剤(4)の下端は床から約100cmであった。本発明防除剤(4)を室内に吊り下げてから5分間経過後、雌のヒトスジシマカ成虫50頭を試験室内に放った。さらに、10分後に試験室内でノックダウンしている供試虫の数を数えたところ、43頭がノックダウンしていた。
【0055】
試験例5
本発明防除剤(6)を、約28m3(底面:3.0m×4.0m、高さ2.3m)の試験室内の中央部天井から縦に吊り下げた。この際に本発明防除剤(6)の下端は床から約120cmであった。本発明防除剤(6)を室内に吊り下げてから5分間経過後、雌のヒトスジシマカ成虫50頭を試験室内に放った。さらに、10分後に試験室内でノックダウンしている供試虫の数を数えたところ、48頭がノックダウンしていた。
【0056】
試験例6
本発明防除剤(4)1個を、気温25〜35℃の庭(約12m2)の木の枝に設置し、夕刻1時間程度のガーデニング作業を行ったところ、本発明防除剤(4)を設置後1ヶ月間はガーデニング作業者が蚊に吸血されることは全くなかった。
【0057】
試験例7
本発明防除剤(4)1個を、ベランダ(気温25〜35℃)に配置されている物干し竿に設置した(図3(a)参照)。該ベランダにおいて洗濯物を干す及び取り込む作業を行ったが、本発明防除剤(4)を設置後1ヶ月間は作業者が蚊等に吸血されることは無かった。その後、本発明防除剤(4)を取り外して同様の作業を行った場合には、作業者には蚊等による吸血痕が確認された。
【0058】
試験例8
本発明防除剤(4)を約3.4m3(底面:1.5m×1.5m、高さ1.5m)の蚊帳の天井から吊るし、その蚊帳の中央にビーグル犬の入った金属製ケージ(1辺70cm)を置いた。蚊帳内に雌のヒトスジシマカ成虫50頭を放ち、6時間後に試験室内でノックダウンしている供試虫の数および吸血している虫数を数えたところ、35頭がノックダウンしており、吸血しているヒトスジシマカは認められなかった。一方、本発明防除剤(4)を設置しない蚊帳内で同様の実験を行うと、ノックダウンしている供試虫は観察されず、また26頭のヒトスジシマカが吸血していることが確認できた。
【0059】
試験例9
本発明防除剤(4)に紐と取り付け具をつけたものを、図11(左図)のように屋外の犬小屋に設置し、ビーグル犬を飼育した。その結果、設置後1ヶ月間は犬が蚊などによって吸血された形跡は確認されなかった。
【0060】
試験例10
本発明防除剤(6)を約3.4m3(底面:1.5m×1.5m、高さ1.5m)の蚊帳の天井から吊るし、その蚊帳の中央にビーグル犬の入った金属製ケージ(1辺70cm)を置く。蚊帳内に雌のヒトスジシマカ成虫50頭を放ち、6時間後に試験室内でノックダウンしている供試虫の数および吸血している虫数を数えることにより、本発明防除剤(6)が充分な防除効果を示すことが確認できる。
【0061】
試験例11
本発明防除剤(6)に紐と取り付け具をつけたものを、図11(左図)のように屋外の犬小屋に設置し、ビーグル犬を飼育した。その結果、設置後2週間は犬が蚊などによって吸血された形跡は確認されなかった。
【0062】
試験例12
本発明防除剤(1)を、約5.8m3(底面:1.8m×1.8m、高さ1.8m)の試験室内の中央部天井から縦に吊り下げた。この際に本発明防除剤(1)の下端は床から約156cmであった。本発明防除剤(1)を室内に吊り下げてから5分間経過後、雌のヒトスジシマカ成虫50頭を試験室内に放った。さらに、60分後に試験室内でノックダウンしている供試虫の数を数えたところ、35頭がノックダウンしていた。
【0063】
試験例13
本発明防除剤(1)をビーグル犬の入った金属製ケージ(1辺70cm)の外側に装着し、これを約3.4m3(底面:1.5m×1.5m、高さ1.5m)の蚊帳中央に設置し、蚊帳内に雌のヒトスジシマカ成虫50頭を放った。6時間後に試験室内でノックダウンしている供試虫の数および吸血している虫数を数えたところ、25頭がノックダウンしており、1頭のヒトスジシマカが吸血しているのみであった。一方、本発明防除剤(1)を設置しない蚊帳で同様の実験を行うと、ノックダウンしている虫は観察されず、また26頭の蚊が吸血していることが確認できた。
【0064】
試験例14
衣装箱(縦725mm×横427mm×高さ158mm)内の二箇所に本発明防除剤(6)を置き、この衣装箱を25±2℃の室内に放置する。本発明防除剤(6)を置いてから1週間後にコイガの卵10〜15個を入れた綿繊維の布(厚さ0.2mm)でできた袋(大きさ4.5cm×4.5cm)を、本発明防除剤(6)のそばに1個ずつおいて1週間放置する。その後、コイガ卵を入れた袋を開封し、生存数と死亡数とを数えることにより本発明防除剤(6)が防除効果を示すことを確認できる。
【0065】
試験例15
衣装箱(縦725mm×横427mm×高さ158mm)内の二箇所に本発明防除剤(1)を置き、この衣装箱を25±2℃の室内に放置する。本発明防除剤(1)を置いてから1週間後にコイガの卵10〜15個を入れた綿繊維の布(厚さ0.2mm)でできた袋(大きさ4.5cm×4.5cm)を、本発明防除剤(1)のそばに1個ずつおいて1週間放置する。その後、コイガ卵を入れた袋を開封し、生存数と死亡数とを数えることにより本発明防除剤(1)が防除効果を示すことを確認できる。
【0066】
試験例16
本発明防除剤(4)の円筒形内部に両腕の肌を露出した被験者の右腕を通し、手首付近の肌の露出部に装着し、屋外(気温30℃程度)にて1時間、犬の散歩をした後、被験者の蚊等による吸血痕の有無を調査する。一方、本発明防除剤を装着せず、前記とほぼ同様の気候条件下で1時間犬の散歩をした後、被験者の蚊等による吸血痕の有無を調査する。その結果、本発明防除剤(4)が防除効果を示すことを確認できる。
【0067】
試験例17
本発明防除剤(4)を縦10cm、横9cmに切断して、犬のリード線の犬の首輪との接続部から30cm以内の部分に装着し、屋外(気温30℃程度)にて1時間、その犬を散歩させた後、犬の蚊等による吸血痕の有無を調査する。一方、本発明防除剤を装着せず、前記とほぼ同様の気候条件下で1時間、犬を散歩させた後、その犬の蚊等による吸血痕の有無を調査する。その結果、本発明防除剤(4)が防除効果を示すことを確認できる。
【0068】
試験例18
本発明防除剤(6)を縦10cm、横24cmに切断して、両腕の肌を露出した被験者の右手首に巻きつけることにより装着し、屋外(気温30℃程度)にて1時間、犬の散歩をした後、被験者の蚊等による吸血痕の有無を調査する。一方、本発明防除剤を装着せず、前記とほぼ同様の気候条件下で1時間犬の散歩をした後、被験者の蚊等による吸血痕の有無を調査する。その結果、本発明防除剤(6)が防除効果を示すことを確認できる。
【0069】
試験例19
本発明防除剤(8)、(9)、比較防除剤(3)及び(4)を、各々約0.34m3(底面:0.7m×0.7m、高さ0.7m)の試験室内の中央部天井から縦に吊り下げた。本発明防除剤(8)、(9)、比較防除剤(3)及び(4)を各々室内に吊り下げるとほぼ同時に雌のアカイエカ成虫10頭を試験室内に放った。さらに、30分後に各々の試験室内でノックダウンしている供試虫の数を数えた。
結果を〔表3〕に示す。
【0070】
【表3】
【0071】
試験例20
本発明防除剤(10)を市販の犬用バンダナに取り付け、これをビーグル犬の首に捲いた。屋外に約3.4m3(底面:1.5m×1.5m、高さ1.5m)の蚊帳を設置し、その蚊帳の中央に前記のバンダナを捲きつけたビーグル犬の入った金属製ケージ(1辺70cm)を置いた。蚊帳内に雌のアカイエカ雌成虫100頭を放ち、16時間後に蚊帳内でノックダウンしている供試虫の数及び吸血している虫数を数えたところ、5頭がノックダウンしており、吸血しているアカイエカ雌成虫は認められなかった。一方、本発明防除剤(10)が取り付けられたバンダナを捲きつけていないビーグル犬で同様の試験を行うと、ノックダウンしている供試虫は観察されず、また71頭のアカイエカ雌成虫が吸血していることが確認できた。
本発明防除剤(10)が取り付けられたバンダナを捲いてから1ヶ月経過したビーグル犬で上記と同様の試験を行ったところ、蚊帳内で12頭のアカイエカ雌成虫がノックダウンしており、3頭の吸血しているアカイエカ雌成虫が確認された。一方、本発明防除剤(10)が取り付けられたバンダナを捲きつけていないビーグル犬で同様の試験を行ったところ64頭の吸血しているアカイエカ雌成虫が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】ネット成形用異形ダイスにより押出成形することによって製造された筒型の本発明の害虫防除剤の一態様を示す斜視図である。
【0073】
【図2】図1に示される本発明の害虫防除剤を切断することにより得られるシート状の本発明の害虫防除剤の一態様を示す上面図である。
【0074】
【図3】図1又は図2に示される本発明の害虫防除剤のベランダでの設置方法の(a)物干し竿に吊り具を用いて設置した一態様を示す正面図と、(b)物干し竿に直接設置した一態様を示す正面図である。
【0075】
【図4】本発明の害虫防除剤の洋ダンス又はクローゼットでの設置方法の一態様を示す斜視図である。
【0076】
【図5】図2に示される本発明の害虫防除剤を幟の形態で設置して使用する一態様を示す正面図である。本発明の害虫防除剤を1枚のみ用いることも可能であるが、同一又は相異なるシート状の本発明の害虫防除剤を2枚以上並べて設置することも可能である。
【0077】
【図6】図2に示される本発明の害虫防除剤を幟の形態で設置して使用する別の一態様を示す正面図である。本発明の害虫防除剤を1枚又は2枚以上設置するとともに、常温で揮散性を有する顔料を担持させてなる樹脂を用いることにより、本発明の害虫防除剤からの害虫防除活性成分の消失時間にあわせて顔料を揮散させ樹脂が退色するように顔料を配合させることにより本発明の害虫防除剤の有効期間を示すインジケータ機能を付与することができる。
【0078】
【図7】射出成形により製造された格子状の本発明の害虫防除剤の一態様を示す上面図である。
【0079】
【図8】図2又は図7に示される本発明の害虫防除剤の和ダンス若しくはファンシーケースの引出し内での設置の一態様を示す斜視図である。
【0080】
【図9】図7に示される格子状の本発明の害虫防除剤をケースに収納した場合(左図)と、該ケースに収納された本発明の害虫防除剤を引き出した場合(右図)との一態様を示す正面図である。使用しない場合にはケースに収納して害虫防除成分の無駄な消失を抑制することができる。
【0081】
【図10】図9に示されるケースに収納された本発明の害虫防除剤の犬小屋での設置の一例を示す斜視図である。犬小屋の入口付近に例えばケースが嵌め合せ可能な形態をした部位を有することにより、本発明の害虫防除剤をケースごと取付け、害虫の発生状況に合わせて適宜、本発明の害虫防除剤をケースから引き出すことにより、犬小屋内部への害虫の侵入を防除することができる。
【0082】
【図11】本発明の害虫防除剤の犬小屋での設置の一態様を示す斜視図である。図1に示される筒状の形態の本発明の害虫防除剤を吊り下げる(左図)、図2に示されるシート状の形態の本発明の害虫防除剤を吊り下げる(右図)ことにより犬小屋内部への害虫の侵入を防除することができる。
【0083】
【図12】本発明の害虫防除剤の犬小屋での設置の一態様を示す斜視図である。図1に示される筒状の形態の本発明の害虫防除剤にロープ等に吊り下げ可能なように保持させて、ロープを犬小屋の入り口付近にとりつけて吊り下げる(左図)、図2に示されるシート状の形態の本発明の害虫防除剤を吊り下げる(右図)ことにより犬小屋内部への害虫の侵入を防除することができる。
【0084】
【図13】本発明の害虫防除剤を例えばプラスティック、金属若しくは繊維(ポリエステル等)からなる目の粗い網状体により囲った構造体の一態様を示す正面図である
【0085】
【図14】本発明の害虫防除剤の犬小屋での設置の一態様を示す斜視図である。柵に吊り下げて設置することにより、柵により区切られた空間への害虫の侵入を防除することができる。
【0086】
【図15】本発明の害虫防除剤の畜舎での設置の一態様を示す斜視図である。畜舎の屋根付近設定することにより害虫の畜舎内への侵入を防除することができる。
【0087】
【図16】ヒトを害虫による加害行動から守るために、腰に本発明の害虫防除剤を装着する一態様を示す正面図である。
【0088】
【図17】ヒトを害虫による加害行動から守るために、手首に本発明の害虫防除剤を装着する一態様を示す正面図である。
【0089】
【図18】ヒトを害虫による加害行動から守るために、本発明の害虫防除剤を設置する一態様を示す正面図である。
【0090】
【図19】図2に示されるシート状の本発明の害虫防除剤を切り抜いてバンダナ状にした一態様を示す正面図である(上図)。必要に応じて留め具等を用いてイヌ、ネコ等に装着した一態様を示す正面図である(下図)。
【0091】
【図20】図2に示されるシート状の本発明の害虫防除剤を切り抜き、縫製加工してなるイヌ用の衣服をイヌに着衣させた一態様を示す正面図である。
【0092】
【図21】本発明の害虫防除剤をやじろべえの部材として用いた一態様を示す正面図(左図)と、モビールの部材として用いた一態様を示す正面図(右図)である。
【0093】
【図22】本発明の害虫防除剤をスリッパの甲部分の部材とした一態様を示す側面図である。
【0094】
【図23】本発明の害虫防除剤を植木鉢の外周部に取り付けた一態様を示す斜視図(左図)と、別の一態様を示す斜視図(右図)である。植木鉢の形態に合わせて本発明の害虫防除剤を筒状体に成形・加工し、その筒状体内部に植木鉢を嵌め込む形態であってもよく、また本発明の害虫防除剤をベルト状に成形・加工し、植木鉢の外周部に巻き付け、必要に応じて適当な部材により係止させることで取り付ける形態であってもよく、その取り付け方法は適宜変更することができる。また植木鉢のみならず、プランター等の任意の栽培容器において使用することができる。
【0095】
【図24】本発明の害虫防除剤を短冊状に加工して風鈴に取り付けた一態様を示す正面図である。本発明の害虫防除剤の形態は、文字や絵を模った空隙を有するシート状に成形・加工を施す等適宜変更することができる。
【0096】
【図25】本発明の害虫防除剤をキーホルダーの部材とした一態様を示す斜視図(左図)と、別の一態様を示す斜視図(右図)である。
【図26】本発明の害虫防除剤に収納部材、及びフック等の固定部材を取り付けて簾とした一態様を示す正面図である。使用時はフック等の固定部材によりカーテンレール、物干し竿、ポール等に取り付けた上で、本発明の害虫防除剤を展開して使用し(図中左側)、使用時以外は収納部材により収納する(図中右側)。収納部材はその内部に本発明の害虫防除剤を巻き取って収納するものであってもよく、その外部に本発明の害虫防除剤を巻きつけるものであってもよい。
【0097】
【図27】図7に示される格子状の本発明の害虫防除剤の吊り下げ用での使用形態の一例を示す正面図である。物干し竿やポール等に取り付け可能なフック状の吊り下げ具と本発明の害虫防除剤とは適当な取り付け部材により連結され、交換可能な形態であってもよく、また本発明の害虫防除剤がフック状の一部分を有する一体成形体の形態であってもよい。
【0098】
【図28】本発明の害虫防除剤を窓、ドアなどの固相面への貼付用での使用形態の一例を示す斜視図((a)図)とその反対側からの斜視図((b)図)、及び別の一例を示す斜視図((c)図)、並びにこれらを窓に貼付した場面の一例を示す正面図((d)図)である。(b)図の黒色表面部は粘着性の材質からなり、固相面への貼付、取り外しが容易である。また、吸盤等の部材を用いることにより、固相面に吸着して使用することもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
〔式中、
R1は水素原子又はメチル基を表し、
R2はメチル基又は
CH=CR21R22
(式中、R21及びR22は独立して、水素原子又はメチル基を表す。)
で示される基を表し、
R3は水素原子、メチル基又はメトキシメチル基を表す。〕
で示されるエステル化合物がポリオレフィン系樹脂に保持されてなる害虫防除剤であって、該ポリオレフィン系樹脂がカルボン酸エステル単量体単位を害虫防除剤全量に対して1〜10重量%含有する樹脂であることを特徴とする害虫防除剤。
【請求項2】
式(1)で示されるエステル化合物とカルボン酸エステル単量体単位との重量比が3:1〜1:3の範囲内である請求項1記載の害虫防除剤。
【請求項3】
式(1)で示されるエステル化合物が害虫防除剤全量に対して0.1〜20重量%含有されることを特徴とする請求項1又は2記載の害虫防除剤。
【請求項4】
ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂である請求項1〜3いずれか1項記載の害虫防除剤。
【請求項5】
カルボン酸エステル単量体が不飽和カルボン酸エステル又はカルボン酸ビニルエステルである請求項1〜4いずれか1項記載の害虫防除剤。
【請求項6】
カルボン酸エステル単量体がアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル又は酢酸ビニルである請求項1〜4いずれか1項記載の害虫防除剤。
【請求項7】
カルボン酸エステル単量体がメタクリル酸メチルである請求項1〜4いずれか1項記載の害虫防除剤。
【請求項8】
ポリオレフィン系樹脂がエチレン−メタクリル酸メチル共重合体を含有する樹脂である請求項1〜3いずれか1項記載の害虫防除剤。
【請求項9】
ポリオレフィン系樹脂がポリエチレンとエチレン−メタクリル酸メチル共重合体とのポリマーブレンドである請求項1〜3いずれか1項記載の害虫防除剤。
【請求項10】
式(1)で示されるエステル化合物において、
R1が水素原子であり、
R2が
CH=CR21R22
(式中、R21及びR22は独立して、水素原子又はメチル基を表す。)
で示される基であり、
R3が水素原子、メチル基又はメトキシメチル基である請求項1〜9いずれか1項記載の害虫防除剤。
【請求項11】
1個以上の開孔部を有し、該開孔部の合計での開孔率が50〜90%である請求項1〜10いずれか1項記載の害虫防除剤。
【請求項12】
害虫が蚊である請求項1〜11いずれか1項記載の害虫防除剤。
【請求項13】
請求項1〜12いずれか1項記載の害虫防除剤を害虫の生息場所又は害虫の侵入場所に設置することを特徴とする害虫の防除方法。
【請求項14】
害虫の生息場所又は害虫の侵入場所が、家屋の玄関、庭、居間、ベランダ、タンス内部、又はクロゼット内部である請求項13記載の害虫の防除方法。
【請求項15】
害虫の生息場所又は害虫の侵入場所が、家畜又はペットの生育場所である請求項13記載の害虫の防除方法。
【請求項16】
請求項1〜12いずれか1項記載の害虫防除剤を温血動物の体表部に装着することを特徴とする害虫の防除方法。
【請求項1】
式(1)
〔式中、
R1は水素原子又はメチル基を表し、
R2はメチル基又は
CH=CR21R22
(式中、R21及びR22は独立して、水素原子又はメチル基を表す。)
で示される基を表し、
R3は水素原子、メチル基又はメトキシメチル基を表す。〕
で示されるエステル化合物がポリオレフィン系樹脂に保持されてなる害虫防除剤であって、該ポリオレフィン系樹脂がカルボン酸エステル単量体単位を害虫防除剤全量に対して1〜10重量%含有する樹脂であることを特徴とする害虫防除剤。
【請求項2】
式(1)で示されるエステル化合物とカルボン酸エステル単量体単位との重量比が3:1〜1:3の範囲内である請求項1記載の害虫防除剤。
【請求項3】
式(1)で示されるエステル化合物が害虫防除剤全量に対して0.1〜20重量%含有されることを特徴とする請求項1又は2記載の害虫防除剤。
【請求項4】
ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂である請求項1〜3いずれか1項記載の害虫防除剤。
【請求項5】
カルボン酸エステル単量体が不飽和カルボン酸エステル又はカルボン酸ビニルエステルである請求項1〜4いずれか1項記載の害虫防除剤。
【請求項6】
カルボン酸エステル単量体がアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル又は酢酸ビニルである請求項1〜4いずれか1項記載の害虫防除剤。
【請求項7】
カルボン酸エステル単量体がメタクリル酸メチルである請求項1〜4いずれか1項記載の害虫防除剤。
【請求項8】
ポリオレフィン系樹脂がエチレン−メタクリル酸メチル共重合体を含有する樹脂である請求項1〜3いずれか1項記載の害虫防除剤。
【請求項9】
ポリオレフィン系樹脂がポリエチレンとエチレン−メタクリル酸メチル共重合体とのポリマーブレンドである請求項1〜3いずれか1項記載の害虫防除剤。
【請求項10】
式(1)で示されるエステル化合物において、
R1が水素原子であり、
R2が
CH=CR21R22
(式中、R21及びR22は独立して、水素原子又はメチル基を表す。)
で示される基であり、
R3が水素原子、メチル基又はメトキシメチル基である請求項1〜9いずれか1項記載の害虫防除剤。
【請求項11】
1個以上の開孔部を有し、該開孔部の合計での開孔率が50〜90%である請求項1〜10いずれか1項記載の害虫防除剤。
【請求項12】
害虫が蚊である請求項1〜11いずれか1項記載の害虫防除剤。
【請求項13】
請求項1〜12いずれか1項記載の害虫防除剤を害虫の生息場所又は害虫の侵入場所に設置することを特徴とする害虫の防除方法。
【請求項14】
害虫の生息場所又は害虫の侵入場所が、家屋の玄関、庭、居間、ベランダ、タンス内部、又はクロゼット内部である請求項13記載の害虫の防除方法。
【請求項15】
害虫の生息場所又は害虫の侵入場所が、家畜又はペットの生育場所である請求項13記載の害虫の防除方法。
【請求項16】
請求項1〜12いずれか1項記載の害虫防除剤を温血動物の体表部に装着することを特徴とする害虫の防除方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2006−348014(P2006−348014A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−261861(P2005−261861)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(390000527)住化ライフテク株式会社 (54)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(390000527)住化ライフテク株式会社 (54)
【Fターム(参考)】
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