説明

家具における背面パネルの取付構造

【課題】背面パネルを、上下の取付位置変更可能に容易に取付けうるようにする。
【解決手段】左右の支柱3における互いに対向する内側面に、前面に多数の係止孔17が列設された補助支柱14を設け、この両補助支柱14の係止孔17に、背面パネル5の裏面の左右両側端に後向き突設した係止フック11を、着脱可能に係合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書架や物品陳列棚等の家具における背面パネルの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の家具においては、前面に多数の係止孔が列設された左右1対の支柱の上下の端部同士を横連結杆により連結し、両支柱の前面の係止孔を利用して、棚板等を、上下位置変更可能として取付けているのが一般的である。
【0003】
また、棚板等に載置した物品が後方に移動して落下するのを防止したり、目隠し等をするために、左右の支柱と横連結杆とにより囲まれた枠内に、背面パネルを取付けたものもある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−261378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されているものにおいて、背面パネルは、左右の支柱間に横架した上下複数の横杆(横架材)の両側端に係止フックを設け、この係止フックに、背面パネルの両側部の後面に設けた係止孔を係止させて取付けているため、背面パネルの上下方向の取付位置を変更したり、上下寸法の異なる背面パネルを複数取付けたりする際には、その都度、横杆を支柱の係止孔より取外して、その上下位置を変更する必要があり、その作業が面倒である。
【0005】
また、背面パネルが不要となって取外した際には、複数の横杆がむき出しとなって見栄えが悪くなるため、それも取外す必要があり、取外した横杆の置き場所や処置に困ることとなる。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、単体又は複数の背面パネルを、上下の取付位置変更可能に容易に取付けうるとともに、背面パネルを取外しても、見栄えが損なわれることのないようにした、家具における背面パネルの取付構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) 左右1対の支柱と、それらの上下の端部同士を連結する横連結杆とにより囲まれた空間内に、背面パネルを取付けてなる家具における背面パネルの取付構造であって、前記左右の支柱における互いに対向する内側面に、前面に多数の係止孔が列設された補助支柱を設け、この両補助支柱の係止孔に、前記背面パネルの裏面の左右両側端に後向きに突設した係止フックを、着脱可能に係合させる。
【0008】
(2) 上記(1)項において、補助支柱の前後寸法を支柱のそれよりも小寸とし、補助支柱を支柱の前面より後方に位置させて取付けることにより、支柱の内側面と補助支柱の前面とにより段部を形成し、この段部に、背面パネルの側端部を嵌め込むようにして取付ける。
【0009】
(3) 上記(1)または(2)項において、後面にも多数の係止孔を列設した補助支柱を、支柱の内側面の前後方向中央部に設ける。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、左右の補助支柱の係止孔に、背面パネルの左右両側部裏面の係止フックを係合させるだけで、背面パネルを、左右の支柱と上下の横連結杆により囲まれた空間内に簡単に取付けることができる。
また、係止孔を選択して使用するだけで、上下寸法の異なる背面パネルや複数に分割された背面パネル等を、上下方向の取付位置を変更可能として容易に取付けることもできる。
さらに、補助支柱は、支柱の内側面に、それと実質的に一体をなして設けられているので、背面パネルを取外したとしても、見栄えが損なわれることはない。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、背面パネルが両支柱の前面より突出しないか、突出量を小さくしうるので、見栄えがよくなるとともに、背面パネルの左右位置を両支柱の内側面により位置決めして簡単に取付けることができる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、左右の補助支柱の後面にも、背面パネルを嵌め込むようにして取付けることができるので、左右の支柱の後面側も、書架や物品陳列棚等として使用しうるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明が適用された家具、すなわち例えば図書館等において使用されるテーブル付き書架の斜視図である。
【0014】
書架(1)は、下端に前方(以下、図1の斜め左手前を前として説明する)を向くベース脚(2)が固着された左右1対の支柱(3)(3)と、両支柱(3)の上下両端の対向面同士を連結している横連結杆(4)(4)と、左右の支柱(3)と上下の横連結杆(4)とにより囲まれた枠状空間に取付けられた複数、例えば上下3枚の背面パネル(5)とを備えている。
【0015】
左右の支柱(3)の前面と後面の中央には、図2及び図3にも示すように、縦長のスリット状の多数の係止孔(6)が、上下方向に所定間隔おきに列設されている。左右の支柱(3)の前面には、左右両端に上向きの側板(7a)(7a)を有する棚板(7)(7)が、側板(7a)の後端に突設された下向鉤状の係合爪(図示略)を、両支柱(3)の係止孔(6)に嵌合して係止することにより、上下位置変更可能として取付けられている。
【0016】
書架(1)の下部には、テーブル(8)が、その天板(9)の前端の両側部下面を支持脚(10)(10)により床面に支持するとともに、天板(9)の左右の後端を、図示しないブラケットの係合爪を両支柱(3)の係止孔(6)に係合させることにより、前方に突出するようにして取付けられている。
【0017】
上記各背面パネル(5)は、図2及び図3にも示すように、左右の支柱(3)の対向面間の寸法とほぼ等しい幅の縦長方形をなすパンチングプレートの上下左右の両側縁を、内向きL字状断面をなすように後方に折曲したものよりなっている。
【0018】
背面パネル(5)の裏面における上下両端部の左右両側部には(同一構造に付き、左上部のみ図示する)、下向き鉤状をなす上下2個の係止フック(11)(11)が側端より後向きに連設された取付片(12)が、スポット溶接により固着されている。
上下の係止フック(11)は、背面パネル(5)の内向折曲片(5a)に形成された縦長の方形孔(13)を貫通して後向きに突出している。
【0019】
左右の支柱(3)における互いに対向する内側面の前後方向の中央部には、前後寸法が支柱(3)のそれよりも小寸とされた補助支柱(14)(14)が、支柱(3)の外方より補助支柱(14)に挿通した上下複数のボルト(15)と、その突出端部に螺合したナット(16)とにより固着されている。
【0020】
両補助支柱(14)の前面と後面の中央には、上記係止フック(11)が係合可能な縦長スリット状の係止孔(17)が、上下方向に所定間隔おきに多数列設されている。
【0021】
各背面パネル(5)は、その上下左右の係止フック(11)を、左右の補助支柱(14)における前面の任意の係止孔(17)に係合させることにより、支柱(3)の内側面と補助支柱(14)の前面により形成された段部に嵌め込まれるように位置決めされて、左右の支柱(3)と上下の横連結杆(4)とにより囲まれる枠状空間に取付けられている。
【0022】
このように、上記実施形態の背面パネルの取付構造によると、左右の支柱(3)の対向面に補助支柱(14)を設け、その前面の係止孔(17)に、背面パネル(5)の裏面の係止フック(11)を係合させるだけで、背面パネル(5)を着脱可能として簡単に取付けることができる。
【0023】
しかも、上下寸法の異なる複数の背面パネル(5)を組合わせて取付けたり、上下の取付位置を変更したりする際でも、補助支柱(14)の係止孔(17)を適宜に選択するだけで容易に取付けることができる。
【0024】
背面パネル(5)を取外しても、補助支柱(14)は、支柱(3)の内側面に、それと実質的に一体的に取付けられているため、見栄えが損なわれることはない。
【0025】
上記実施形態のように、補助支柱(14)を、左右の支柱(3)の前後方向中央部に設けると、両補助支柱(14)の後面にも背面パネル(5)を、両支柱(3)間に嵌め込むようにして体裁よく取付けることができるため、両支柱(3)の後面にも、テーブル付き書架等を形成することができる。
【0026】
なお、上記実施形態では、補助支柱(14)を上下に長寸のものとしたが、背面パネル(5)の上下寸法に対応して、短寸としたり、上下に複数に分割して取付けたりしてもよい。
また、書架等を左右方向に連続して設置する際には、支柱(3)の外側面にも補助支柱(14)を設けて、隣接する支柱(3)間に背面パネルを取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明が適用された書架の斜視図である。
【図2】同じく、補助支柱への背面パネルの取付要領を示す要部の拡大斜視図である。
【図3】背面パネルの取付部の拡大横断平面図である。
【符号の説明】
【0028】
(1)書架
(2)ベース脚
(3)支柱
(4)横連結杆
(5)背面パネル
(5a)内向折曲片
(6)係止孔
(7)棚板
(7a)側板
(8)テーブル
(9)天板
(10)支持脚
(11)係止フック
(12)取付片
(13)方形孔
(14)補助支柱
(15)ボルト
(16)ナット
(17)係止孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右1対の支柱と、それらの上下の端部同士を連結する横連結杆とにより囲まれた空間内に、背面パネルを取付けてなる家具における背面パネルの取付構造であって、前記左右の支柱における互いに対向する内側面に、前面に多数の係止孔が列設された補助支柱を設け、この両補助支柱の係止孔に、前記背面パネルの裏面の左右両側端に後向きに突設した係止フックを、着脱可能に係合させたことを特徴とする家具における背面パネルの取付構造。
【請求項2】
補助支柱の前後寸法を支柱のそれよりも小寸とし、補助支柱を支柱の前面より後方に位置させて取付けることにより、支柱の内側面と補助支柱の前面とにより段部を形成し、この段部に、背面パネルの側端部を嵌め込むようにして取付けてなる請求項1記載の家具における背面パネルの取付構造。
【請求項3】
後面にも多数の係止孔を列設した補助支柱を、支柱の内側面の前後方向中央部に設けてなる請求項1または2記載の家具における背面パネルの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−129994(P2006−129994A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−320740(P2004−320740)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】