説明

家具

【課題】
一部の交換部材を着脱可能とし、その交換部材を取り替えることにより、雰囲気を変えることができ、しかも全て同色にすることが可能な家具を提供する。
【解決手段】
一部の交換部材1を、大部分を占める他の構成部材2に対して着脱可能となし、交換部材として、少なくとも他の構成部材と同色あるいは同一素材で作製した標準部材と、該標準部材1Aとは異なる色あるいは異なる素材で作製したカラー部材1Bとを用意し、標準部材とカラー部材を選択的に取付ける。工場出荷時に前記交換部材を外した状態とし、展示場又は使用現場で標準部材とカラー部材を選択的に取付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、机や書棚、ワゴン等の家具に係わり、更に詳しくは特定の部品の色を変更可能な家具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、家具の特定の部品の色を変更可能なものは各種提供されている。例えば、特許文献1には、机の天板の上面両側に設ける隔壁を、側壁から取り外し可能に形成し、異なったカラーの隔壁を別途用意しておいて気分に応じて好みの隔壁を選択することにより、使用雰囲気を変えることができる点が記載されている。また、特許文献2には、キャビネットや机等の引出しにおいて、箱状の引出し本体の前側板に把手を備えた化粧前板を取り替え可能にビス止めすることにより、例えばキャビネットの引出しの色合いを単色カラーに統一したり、好みの色合いに色分けしたりすることが容易になる点が記載されている。
【0003】
しかし、これらの特許文献1,2記載のカラー部品は、家具の大部分を占める他の構成部分とは異なる色合いのものであり、仮に色合いが気に入らなくなったときに、家具の大部分を占める他の構成部分と同色にして単色の家具にすることができない。
【0004】
また、カラー部品を取り替えるものではないが、特許文献3には、机等に取付ける基台上面に、前後面を異なるカラー、材質等により構成した上部ボードが着脱自在に取付けられ、この上部ボードをリバーシブルとなした机等のフロントボードが記載されている。この特許文献3記載のものも上部ボードの前後面は、家具の大部分を占める他の構成部分と異なるカラー、材質になっているので、単色の家具にすることができない。
【特許文献1】実開平6−34530号公報
【特許文献2】特開平8−322661号公報
【特許文献3】特許第3720695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、一部の交換部材を着脱可能とし、その交換部材を取り替えることにより、雰囲気を変えることができ、しかも全て同色にすることが可能な家具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述の課題解決のために、一部の交換部材を、大部分を占める他の構成部材に対して着脱可能となし、前記交換部材として、少なくとも他の構成部材と同色あるいは同一素材で作製した標準部材と、該標準部材とは異なる色あるいは異なる素材で作製したカラー部材とを用意し、前記標準部材とカラー部材を選択的に取付けることを特徴とする家具を構成した(請求項1)。
【0007】
ここで、工場出荷時に前記交換部材を外した状態とし、展示場又は使用現場で前記標準部材とカラー部材を選択的に取付けることが好ましい(請求項2)。
【0008】
また、前記家具が下書棚と上書棚とに上下分離可能な書棚であり、前記交換部材が、前記下書棚と上書棚の両側板間に介在させるスペーサー部材である(請求項3)。
【0009】
また、前記家具がワゴン又はキャビネットであり、前記交換部材が引出しの前板の上縁
部に着脱可能に取付ける引手部材である(請求項4)。
【発明の効果】
【0010】
以上にしてなる請求項1に係る発明の家具は、一部の交換部材を、大部分を占める他の構成部材に対して着脱可能となし、前記交換部材として、少なくとも他の構成部材と同色あるいは同一素材で作製した標準部材と、該標準部材とは異なる色あるいは異なる素材で作製したカラー部材とを用意したので、交換部材として標準部材を選択することにより、全体が同色に統一され、落ち着いた雰囲気の家具となり、また交換部材としてカラー部材を選択することにより、ワンポイントのアクセントが効いたお洒落な雰囲気の家具にすることができる。ここで、カラー部材の色に飽きた場合に、他の構成部材と同色あるいは同一素材で作製した標準部材を選択できるので、商品購入時のためらいを緩和することができる。また、子供のときには交換部材としてカラー部材を選択して、楽しい雰囲気を作り出すことができ、大人になったときには交換部材として標準部材を選択して落ち着いた雰囲気を作り出すことができるのである。
【0011】
請求項2によれば、工場出荷時に前記交換部材を外した状態としているので、展示場又は使用現場で前記標準部材とカラー部材を選択的に取付けることにより、好みに合った色合いの家具とすることができるとともに、商品説明者や使用者に交換部材を取り替えることができる構造を暗黙のうちに理解させることができる。
【0012】
請求項3によれば、家具が下書棚と上書棚とに上下分離可能な書棚の場合、その連結部分に介在させるスペーサー部材(交換部材)として、標準部材とカラー部材を用意しているので、標準部材を選択すれば従来と同様に側板が上下に一体となった一体感のある書棚とすることができ、カラー部材を選択すれば下書棚と上書棚とがカラー部材によって明確に分離されるのでインパクトのある外観の書棚とすることができる。
【0013】
請求項4によれば、家具がワゴン又はキャビネットであり、前記交換部材が引出しの前板の上縁部に着脱可能に取付ける引手部材であるので、標準部材を選択すれば従来と同様に前板と引手が一体となった一体感のあるワゴン又はキャビネットとすることができ、カラー部材を選択すれば引手部分の色が強調され、個々の引出しが明確に分離されて看取されるので、インパクトのある外観のワゴン又はキャビネットとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。図1は本発明を適用した家具の代表的な組合せ例を示し、図2〜図4は家具として書棚の実施形態を示し、図5〜図7は家具としてワゴンの実施形態を示し、図中符号Aは机、Bは書棚、Cはワゴンをそれぞれ示している。
【0015】
本発明に係る家具は、一部の交換部材1を、大部分を占める他の構成部分2に対して着脱可能となし、前記交換部材1として、少なくとも他の構成部材2と同色あるいは同一素材で作製した標準部材1Aと、該標準部材1Aとは異なる色あるいは異なる素材で作製したカラー部材1Bとを用意し、前記標準部材1Aとカラー部材1Bを選択的に取付けることを特徴している。ここで、工場出荷時に前記交換部材1を外した状態とし、展示場又は使用現場で前記標準部材1Aとカラー部材1Bを選択的に取付けるようにしている。
【0016】
本実施形態では、図1に示すように、机Aの後端に書棚Bの前面を密接して併設するとともに、机Aの天板3の下方空間にワゴンCを配置した組合せ家具を示している。これら机A、書棚B及びワゴンCは、全て木製である。そして、本発明における家具に対応するものは、前記書棚BとワゴンCである。
【0017】
先ず、前記机Aは、天板3の両側部を脚体4,4で支持した構造であり、前記天板3の両側下面に側面板5,5を該天板3の側端面と面一に固定し、前記側面板5,5を前記脚体4,4の内面に高さ調節可能に連結したものである。前記天板3の下面側で両側面板5,5の間に引出し6,6を設け、前記天板3の前縁と該引出し6の前板7の上縁とに約45度の角度に傾斜した面取り部8,9を形成し、両面取り部8,9は同一平面となっている。前記天板3に面取り部8を形成したことにより、該天板3の板厚を薄く見せることがきる。
【0018】
前記書棚Bは、図1〜図4に示すように、下書棚B1と上書棚B2とに上下分離可能な構造であり、下書棚B1の側板10と上書棚B2の側板11との間に前記交換部材1としてスペーサー部材12を介在させたのである。ここで、前記スペーサー部材12を介して下書棚B1と上書棚B2とを連結する構造は、図3及び図4に示すように、先ずスペーサー部材12の前後部に上下に貫通して形成した取付孔13,13に、上方からボルト14,14を挿通して下書棚B1の側板10の上端面に形成したオニメナット15,15に螺合して連結する。この際、前記側板10とスペーサー部材12との間に単又は複数のダボ16,…を嵌入して連結強度を高めている。次に、前記スペーサー部材12の上面両側部にピン17,17を螺合する等で突設し、該ピン17,17を前記上書棚B2の側板11の下端面に開口した係合穴18,18に挿入するとともに、前記側板11の下部の一側面で前記係合穴18にそれぞれ連結させて形成した円孔19に、回転締付具20を装着し、該回転締付具20を前記ピン17の頭部に係合した状態で回転させて引き付けて連結する。
【0019】
そして、前記交換部材1としてのスペーサー部材12には、側板10,11等と同色で、同一素材で形成した標準部材1Aと異なる色あるいは異なる素材で作製したカラー部材1Bを用意する。尚、前記上書棚B2の側板11の縁部には、前記机Aの面取り部8,9と同様な傾斜した面取り部21を形成し、該側板11の板厚を薄く見せている。
【0020】
前記ワゴンCは、図1、図5〜図7に示すように、箱型の前面開放した本体22の内部に多段に引出し23,23を設けるとともに、下端に複数のキャスター24,…を設け、移動可能としたものである。そして、前記引出し23の前板25の上縁に前記交換部材1として引手部材26を着脱可能に設けている。ここで、前記前板25は前記本体22の前面板27を貫通したネジ28,28で螺着している。そして、前記前板25の上縁に前記引手部材26を着脱可能に取付ける構造は、前記同様にピン17と回転締付具20を用いる。つまり、前記引手部材26の下面両側部に、ピン17,17を螺合する等で突設し、該ピン17,17を前記前板25の上端面に開口した係合穴29,29に挿入するとともに、前記前板25の上部背面で前記係合穴29にそれぞれ連結させて形成した円孔30に、回転締付具20を装着し、該回転締付具20を前記ピン17の頭部に係合した状態で回転させて引き付けて連結する。この際、前記前板25と引手部材26との間に単又は複数のダボ16,…を嵌入して連結強度を高めている。
【0021】
前記引手部材26は、中央部に前方へ突出した膨出部31を有し、該膨出部31の下面に指を掛ける凹部32を形成したものである。そして、前記交換部材1としての引手部材26には、前板25や本体22と同色で、同一素材で形成した標準部材1Aと異なる色あるいは異なる素材で作製したカラー部材1Bを用意する。
【0022】
本実施形態では、前記交換部材1として全てカラー部材1Bで示している。尚、カラー部材1Bは、複数の色のものを用意することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の家具の実施形態を示し、机と書棚とワゴンを組合せた態様の斜視図である。
【図2】書棚の全体斜視図である。
【図3】書棚の要部の分解斜視図である。
【図4】下書棚と上書棚の連結部を示し、(a)は下書棚の側板の上端にスペーサー部材を連結する構造を示す部分縦断面図、(b)は上書棚の側板の下端にスペーサー部材を連結する構造を示す部分縦断面図である。
【図5】ワゴンの全体斜視図である。
【図6】ワゴンの要部の分解斜視図である。
【図7】ワゴンの引出しの前板と引手部材の連結構造を示す部分縦断面図である。
【符号の説明】
【0024】
A 机、 B 書棚、
B1 下書棚、 B2 上書棚、
C ワゴン、
1 交換部材、 1A 標準部材、
1B カラー部材、 2 構成部材、
3 天板、 4 脚体、
5 側面板、 6 引出し、
7 前板、 8 面取り部、
9 面取り部、 10 側板、
11 側板、 12 スペーサー部材(交換部材)、
13 取付孔、 14 ボルト、
15 オニメナット、 16 ダボ、
17 ピン、 18 係合穴、
19 円孔、 20 回転締付具、
21 面取り部、 22 本体、
23 引出し、 24 キャスター、
25 前板、 26 引手部材(交換部材)、
27 前面板、 28 ネジ、
29 係合穴、 30 円孔、
31 膨出部、 32 凹部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部の交換部材を、大部分を占める他の構成部材に対して着脱可能となし、前記交換部材として、少なくとも他の構成部材と同色あるいは同一素材で作製した標準部材と、該標準部材とは異なる色あるいは異なる素材で作製したカラー部材とを用意し、前記標準部材とカラー部材を選択的に取付けることを特徴とする家具。
【請求項2】
工場出荷時に前記交換部材を外した状態とし、展示場又は使用現場で前記標準部材とカラー部材を選択的に取付ける請求項1記載の家具。
【請求項3】
前記家具が下書棚と上書棚とに上下分離可能な書棚であり、前記交換部材が、前記下書棚と上書棚の両側板間に介在させるスペーサー部材である請求項1又は2記載の家具。
【請求項4】
前記家具がワゴン又はキャビネットであり、前記交換部材が引出しの前板の上縁部に着脱可能に取付ける引手部材である請求項1又は2記載の家具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−301975(P2008−301975A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−151038(P2007−151038)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】