説明

家屋の陸屋根における屋上庭園システム

【課題】家屋の陸屋根における屋上庭園システムに関し、家屋の陸屋根の屋上部分における防水機能を維持させつつ、さらに当該屋上部分における植栽部以外の部分を生活空間として有効に利用することができ、且つその生活空間の場として利用される部分と植栽部分との配置替え等を容易に行うことができる家屋の陸屋根における屋上庭園システムを提供することを課題とする。
【解決手段】家屋の陸屋根の上面に防水層を形成するとともに該防水層の上面に植栽部を形成した家屋の陸屋根の屋上庭園システムにおいて、前記植栽部は、前記防水層の上面の一部の領域に配置されているとともに、防水層の上面の他の領域には敷設板が敷設されて非植栽領域が形成され、前記植栽部は、植栽基盤の周囲に縁枠を設けて構成され、該縁枠及び植栽基盤が前記防水層の上面から離脱可能とされ、且つ前記敷設板が防水層の上面から離脱可能とされていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋の陸屋根における屋上庭園システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、都市部や郊外の居住区、特に交通至便な人工密集地域では地価高騰のために、購入する住宅の敷地面積や建坪が制限され、限られた建坪面積のなかでの庭園づくりや緑化は、住宅購入者にとっての願望でもある。
【0003】
一方、近年においては、都市部におけるヒートアイランド現象を緩和する等の観点から、都市緑化の要請が高まり、建築物の屋上の緑化を行う技術が開発され、普及しつつある。そして、このような屋上緑化を家屋の屋上部においても採用することができれば、上記のような住宅購入者の庭園づくりや緑化の願望が満たされることにもなる。
【0004】
そこで、このような屋上緑化の技術を一般家屋の屋上部に採用すべく、たとえば下記特許文献1及び特許文献2のような特許出願がなされている。
【0005】
特許文献1に係る発明は、特許文献1の請求項1等にも記載されているように、ほぼ平坦な屋上スラブを形成し、その屋上スラブに土止め用としての縁枠部を設け、スラブの床板と縁枠部の内側において防水層を設け、その防水層の上に人口土壌を造成した木造家屋の屋上植栽構造を提供するものである。
【0006】
また、特許文献2に係る発明は、当該特許文献2の請求項1等にも記載されているように、木造建築2階建の屋根を平な陸屋根にし、屋上に防水加工を施し、その防水加工を施した上面に植栽基盤を造成し、植物を植栽した木造建築の陸屋根及び屋上緑化の構築方法を提供するものである。
【0007】
すなわち、特許文献1や特許文献2に係る発明は、いずれも家屋の陸屋根の屋上部分において防水機能を具備させるともに、当該陸屋根の屋上部分に庭園を形成して、限られた建坪面積のなかでの庭園づくりという住宅購入者の願望を満たそうとするものである。
【0008】
しかし、特許文献1や特許文献2に記載された家屋の陸屋根の屋上植栽技術においては、植栽基盤を造成し植物を植栽して形成される植栽部分が、屋上部分のほぼ全域を占めて形成されていた。このため、陸屋根の屋上部を、緑化による庭園づくり以外の事項を目的として、住居における生活空間に有効に利用することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−69855号公報
【特許文献2】特開2005−113659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、家屋の陸屋根の屋上部分における防水機能を維持させつつ、さらに当該屋上部分における植栽部以外の部分を生活空間として有効に利用することができ、且つその生活空間の場として利用される部分と植栽部分との配置替え等を容易に行うことができる家屋の陸屋根における屋上庭園システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、家屋の陸屋根の上面に防水層を形成するとともに該防水層の上面に植栽部を形成した家屋の陸屋根の屋上庭園システムにおいて、前記植栽部は、前記防水層の上面の一部の領域に配置されているとともに、防水層の上面の他の領域には敷設板が敷設されて非植栽領域が形成され、前記植栽部は、植栽基盤の周囲に縁枠を設けて構成され、該縁枠及び植栽基盤が前記防水層の上面から離脱可能とされ、且つ前記敷設板が防水層の上面から離脱可能とされていることを特徴とする家屋の陸屋根の屋上庭園システムを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、上述のように、防水層の上面の他の領域に敷設板が敷設されて非植栽領域が形成されているので、そのような非植栽領域に、たとえば家具等を載置することができ、従って、このような非植栽領域を、屋上庭園以外の生活空間の場としても有効に利用することができるという効果がある。
【0013】
また敷設板は、防水層の上面に離脱可能に敷設され、且つ植栽部の縁枠及び植栽基盤が防水層の上面に離脱可能とされているので、植栽部が配置された一部の領域と、敷設板が敷設されて構成された非植栽領域との配置位置の変更も容易に行うことができる。従って、家屋の陸屋根の屋上部における生活空間としてのレイアウトの変更等を、居住者の希望に応じて任意に行うことができるという効果がある。
【0014】
また、植栽部を構成する植栽基盤や縁枠が防水層の上面から離脱可能であるとともに、非植栽領域を構成する敷設板が防水層の上面から離脱可能であるため、たとえば防水層の改修工事を行う場合に、防水層の上面から敷設板や植栽部を離脱させて一時的に除去させることが可能となり、それによって防水層の改修工事を容易に行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施形態の家屋の陸屋根部における屋上庭園システムの概略平面図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】図1のB−B線断面図。
【図4】他実施形態の家屋の陸屋根部における屋上庭園システムの概略平面図。
【図5】図4のC−C線断面図。
【図6】他実施形態の家屋の陸屋根部における屋上庭園システムの概略平面図。
【図7】図6のコンテナ部分の拡大断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、上述のように、家屋の陸屋根の上面に防水層を形成するとともに該防水層の上面に植栽部を形成した家屋の陸屋根の屋上庭園システムにおいて、前記植栽部は、前記防水層の上面の一部の領域に配置されているとともに、防水層の上面の他の領域には敷設板が敷設されて非植栽領域が形成され、前記植栽部は、植栽基盤の周囲に縁枠を設けて構成され、該縁枠及び植栽基盤が前記防水層の上面から離脱可能とされて該縁枠及び植栽基盤からなる植栽部の配置位置を変更可能とし、且つ前記敷設板が防水層の上面から離脱可能とされて前記非植栽領域の配置位置を変更可能としたものである。
【0017】
防水層は、たとえば繊維強化プラスチックからなる素材のものを陸屋根の上部に具備させることによって形成することができる。より具体的には、家屋の陸屋根の下地(たとえば合板の2枚張り等)の上に、繊維強化プラスチックを塗装することによって、防水層を形成することができる。また、このような繊維強化プラスチックに代えて改質アスファルトシートのようなものを用いることもできる。さらに金属製の構成部材で防水層を形成することもできる。ちなみに、かかる合板の2枚張りからなる下地を有する陸屋根の防水構造は、木造家屋の陸屋根に適用されるものである。
【0018】
さらに、敷設板としては、たとえばタイルやデッキパネルのようなものを用いることができ、多数の敷設板を、植栽部以外の領域に敷設することで、その敷設板が敷設された部分に非植栽領域が形成される。従って、その非植栽領域に、たとえば家具等を載置して生活空間の場として利用することができる。このような敷設板は、たとえば両面が接着面となる接着テープのようなものを介して、防水層の上面に着脱自在に貼着することができる。尚、このような接着テープを用いる場合であって、接着テープの接着力により、そのままでは敷設板の離脱が困難となるような場合、たとえばアルコ−ル等の溶剤を離脱助剤として用いることで、敷設板の離脱を容易に行うことができる。
【0019】
さらに植栽部は、植栽基盤と、該植栽基盤の周囲を包囲する縁枠とで構成される。植栽基盤は、たとえば植栽マットで構成することができ、このような植栽マットで構成された植栽基盤上に、たとえば芝が植設される。植栽マットとしては、たとえばポリウレタンからなるものを用いることができる。また縁枠としては、たとえばレンガ、コンクリートブロック、プラスチック板、金属板等を用いることができる。さらに、コンテナ、鉢、その他の容器類等に植栽基盤を収容して植栽部とすることもできる。この場合には、コンテナ、鉢、容器類等の側面部分が縁枠として構成されることとなる。すなわち、本発明における縁枠には、単独で枠を構成する部材の他、容器類の側面部分のようなものも含むことを意味する。
【0020】
この場合、縁枠を防水層の上面に離脱可能に設置し、植栽基盤を防水層の上面に離脱可能に設置することで、植栽部の全体が防水層の上面から離脱可能となる。この場合、縁枠は、たとえば両面が接着面となる接着テープのようなものを介して、防水層の上面に着脱自在に貼着することができる。この場合にも、アルコ−ル等の溶剤を離脱助剤として用いることで、縁枠の離脱を容易に行うことができる。
【0021】
また、植栽マットは、たとえば防水層の上面に載置される。単に防水層の上面に載置するだけであっても、植栽マットを防水層の上面から離脱できることはいうまでもない。すなわち、本発明において、「防水層の上面から離脱可能」とは、防水層の上面に着脱自在に取り付けられている場合の他、単に防水層の上面に載置されているような場合も含む。上記敷設板や縁枠も、上記のような接着テープで接着せずに、単に防水層の上面に載置するだけであってもよい。
さらに、敷設板、縁枠、植栽基盤は、防水層の上面に離脱可能に直接載置等によって設けられている必要はなく、他の部材、たとえば合成樹脂製のトップコート層、シート層、排水や嵩上げを目的とした架台層等を介して間接的に防水層の上面に設けられていてもよい。
【0022】
さらに、植栽基盤としては土壌を用いることもでき、土壌としては人工土壌、天然土壌のいずれを用いることも可能である。このような土壌を用いる場合には、たとえばシート上に土壌を載置するとともに、その土壌を載置したシートの周縁部に、土留めとして機能する縁枠を設けて植栽部とすることができる。
さらに、植栽基盤に植栽する植物の種類も特に限定されるものではなく、たとえば日本芝、西洋芝等の芝草類、キヅタ、スイカヅラ、ヘデラ等のツル植物、イワヒバ、クサソテツ等のシダ類、アジュガ、タマリュウ、リュウノヒゲ等の地被草本類、スギゴケ、ハイゴケ等のコケ類等を用いることができ、また、これら芝草類、ツル植物、シダ類、地被草本類、コケ類等のいわゆる地被植物のみならず、地被植物以外の一般の草本類を用いることも可能である。また、苗木や低木等の木本類を用いることも可能である。さらには、上記のような真正の植物以外に、たとえば人工芝等の人工植物を用いることも可能である。
【0023】
以下、本発明のより具体的な実施形態について図面に従って説明する。
(実施形態1)
本実施形態においては、陸屋根の上面に防水層(図示せず)が形成されているとともに、該防水層の上面の一部の領域に、図1に示すように植栽部1が配置され、該植栽部1が配置された領域以外の他の領域に、同図に示すように、多数の敷設板2が敷設されている。
【0024】
敷設板2が敷設された領域は、前記植栽部1を介して両側に隔てられた大小2箇所の非植栽領域3として形成されている。面積の小さい非植栽領域3には、図1及び図3に示すようにプランター5が載置されているが、面積の大きい非植栽領域3には、図1に示すように何も載置されていない。ただし、この面積の大きい非植栽領域3には、たとえば家具等を載置して、生活空間の場として有効に利用することができる。
【0025】
植栽部1は、上述のように植栽基盤と縁枠とで構成され、本実施形態においては、図2に示すように、植栽基盤として植栽マット6が用いられている。そして、植栽マット6上には芝7が植設されている。
【0026】
また縁枠8は、植栽マット6の周囲を包囲するように設けられている。この枠体8は、図2に示すように、両面が接着面となる接着テープ(図示せず)を介して脱着自在に防水層10の上面に貼着されている。縁枠8は、たとえばレンガ等で構成することができる。
【0027】
このようにして、縁枠8は、接着テープを介して着脱自在に防水層10の上面に貼着されている。一方、芝7を植設した植栽マット6は、単に防水層10の上面に載置されている。そして、縁枠8を防水層10の上面から取り外すことによって、縁枠8及び植栽マット6からなる植栽部1の全体が、防水層10の上面から離脱しうることとなる。
【0028】
植栽マット6上には、植栽部1の手入れ等の作業をする際の歩行部分として、複数の飛び石11が配置されている。この飛び石11は、たとえばタイルで構成することができる。
【0029】
また、上記非植栽領域3を形成している多数の敷設板2は、両面が接着面となる接着テープ(図示せず)によって着脱自在に防水層10の上面に貼着されている。また、多数の敷設板2は、相互に隣接する部分において、たとえば連結具によって連結することができる。この場合、多数の敷設板2のすべてが防水層10の上面に貼着されている必要は必ずしもなく、一部の敷設板2が部分的に貼着されていてもよい。多数の敷設板2が相互に隣接する部分において連結されることで、敷設板2の相互間の位置ずれが好適に防止されるのである。
【0030】
本実施形態においては、上述のように陸屋根の上面に防水層10を形成し、該防水層10の上面の一部の領域に植栽部1を形成するとともに、該植栽部1以外の領域に多数の敷設板2を敷設して非植栽領域3を2箇所に形成したため、そのうちの1箇所の非植栽領域3には、プランター5を載置する領域として利用することができ、他の1箇所の非植栽領域3には、図示しないが、たとえば家具を載置する領域として利用することができる。
【0031】
また、両面が接着面となる接着テープを介して敷設板2が防水層10の上面に脱着自在に貼着されているので、敷設板2は防水層10の上面から容易に取り外すことができる。また縁枠8も、同様に、両面が接着面となる接着テープによって防水層10の上面に着脱自在に貼着され、防水層10の上面から容易に取り外すことができる。
【0032】
従って、縁枠8を防水層10から離脱させるとともに芝7を植設した植栽マット6を防水層10から離脱させて、植栽部1の全体を屋上部分の任意の位置に移動させ、敷設板2を防水層10から取り外して任意の位置に移動させることができるので、植栽マット6及び縁枠8で構成される植栽部1、及び敷設板2で構成される非植栽領域3の、家屋の陸屋根の屋上部における配置位置を任意に変更することができる。よって、陸屋根の屋上部分におけるレイアウトの変更等も容易に行うことができるのである。
【0033】
また、防水層10の改修工事を行う場合、敷設板2や縁枠8を防水層10の上面から取り外して離脱させ、植栽マット6も防水層10の上面から離脱させることができるので、防水層10の改修工事も容易に行うことができる。
【0034】
(実施形態2)
本実施形態においては、図4に示すように、2箇所に非植栽領域3が形成されている。非植栽領域3には、ともに多数の敷設板2が敷設されている。敷設板2が、両面が接着面となる接着テープ(図示せず)を介して防水層の上面に着脱自在に貼着されている点は、実施形態1と同様である。植栽部1は、他方の非植栽領域3の内側に配置されている。
【0035】
本実施形態においては、植栽部1は、コンクリートブロックからなる縁枠8と、人工土壌16からなる植栽基盤とで構成されている。人工土壌16は、図5に示すように、シート17上に載置され、その人工土壌16を載置したシート17の周縁部を包囲するように縁枠8が設けられている。これによって人工土壌16は縁枠8内に収容される状態となり、縁枠8は人工土壌16の土留めとして機能することとなる。縁枠8は、図示しないが、隣接する敷設板2と連結具のようなもので固定されている。防水層10の上面に直接取り付けられておらず、単に載置されているだけである。また、シート17が防水層10の上面に載置されており、そのシート17上に人工土壌16が載置されている。
【0036】
本実施形態において植栽部1の全体を移動させる場合には、人工土壌を予め除去し、縁枠8と、該縁枠8に隣接する敷設板2との連結を解除することによって、縁枠8を防水層10の上面から離脱させることができる。シート17は防水層10の上面からそのまま離脱させることができる。従って、離脱した縁枠8とシート17とは屋上部分の所望の位置に移動させることができ、植栽部1の全体を屋上部分の所望の位置に配置することができる。
【0037】
一方、敷設板2も防水層10から取り外して任意の位置に移動させることができるので、敷設板2によって構成される非植栽領域3を、屋上部分の所望の位置に移動させて配置することができる。この際、植栽部1と非植栽領域とは、相互に隣接するような屋上部の所望の位置に移動させて配置される。相互に隣接するように配置することによって、非植栽領域を構成する敷設板2と、植栽部1を構成する縁枠8とを連結具等によって連結することができる。このようにして、植栽部1と非植栽領域との配置位置を定めることができる。
【0038】
植栽部1の配置位置を定める際には縁枠8の配置位置が先ず定められ、その縁枠8で包囲される位置にシート17を載置し、さらにそのシート17上に人工土壌16を載置する。この場合も、新たに配置された縁枠8が、人工土壌16の土留めとして機能する。
【0039】
一方の非植栽領域3には、図4に示すように、テーブル14及び椅子15が載置されており、さらにテーブル14上には、図示しないが、調理器具等を載置することができる。従って、植栽部1で野菜等を植栽し、生育した野菜を調理器具で調理することができ、家屋の陸屋根において会食、バーベキュー等を行うことができ、生活空間として有効に利用することができる。
【0040】
植栽部1や非植栽領域の配置位置を変更する場合には、非植栽領域3を構成する敷設板2を防水層の上面から離脱させることで、非植栽領域3を、屋上部における所望の位置に移動させて配置することができる。また、上記のように縁枠8、人工土壌16、シート17を防水層の上面から離脱させることで屋上部における所望の位置に移動させて植栽部1として再配置することができる。従って、本実施形態においても、屋上部におけるレイアウトの変更等を容易に行うことができる。
【0041】
防水層の改修工事を行う場合にも、非植栽領域3を構成する敷設板2を防水層の上面から離脱させるとともに、縁枠8、人工土壌16、シート17等を防水層の上面から離脱させることで、防水層の改修工事を容易に行うことができる。
【0042】
(実施形態3)
本実施形態においては、図6に示すように、陸屋根の屋上部分の略中央に2種類の植栽部1a、1bが配置されているとともに、その植栽部1a、1bの両側2箇所に、非植栽領域3が配置されている。一方の非植栽領域3には机14と椅子15が載置され、他方の非植栽領域3にはベンチ18が載置されている。本実施形態においても、2つの非植栽領域は、敷設板2で構成されている。そして、この敷設板2は、両面が接着面となる接着テープによって防水層に着脱自在に貼着されている。
【0043】
植栽部1aは、実施形態1と同様に、芝7が植設された植栽マット6からなる植栽基盤の周囲に縁枠8が設けることによって構成されたものを用いている。
【0044】
また植栽部1bは、図7に示すように、コンテナ19内に人工土壌16を収容し、その人工土壌16に樹木20の根鉢21を埋設することによって構成されている。本実施形態では、コンテナ19の側板が、縁枠8として構成されている。本実施形態で用いる樹木は、苗木等のいわゆる小樹木であり、根鉢21や人工土壌16をコンテナ19内に収容したままの状態で運搬して屋上部の任意の位置に移動することができるものである。
【0045】
尚、植栽部1bは、コンテナ19の側板である縁枠8を、連結具等によって敷設板2に連結して配置すべき位置を位置決めすることができ、植栽部1bを移動させる場合には、その連結を解除することによって、根鉢21や人工土壌16をコンテナ19内に収容したままの状態で移動することができる。
【0046】
従って、根鉢21、人工土壌16、縁枠8を含むコンテナ19等からなる植栽部1bを屋上部の所望の位置に移動させることができるとともに、芝7が植設された植栽マット6や縁枠8からなる植栽基盤1aは、縁枠8を防水層10の上面から取り外すことによって屋上部の所望の位置に移動させることができ、さらに2つの非植栽領域3を構成する敷設板2を、防水層10の上面から取り外すことによって非植栽領域を屋上部の所望の位置に移動させることができるので、本実施形態においても、屋上部におけるレイアウトの変更等を容易に行うことができる。
【0047】
また、防水層の改修工事を行う場合にも、敷設板2を防水層の上面から離脱させるとともに、2種の植栽部1a、1bを防水層の上面から離脱させることで、防水層の改修工事を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0048】
1 植栽部
2 敷設板
3 非植栽領域
8 縁枠
10 防水層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家屋の陸屋根の上面に防水層を形成するとともに該防水層の上面に植栽部を形成した家屋の陸屋根の屋上庭園システムにおいて、前記植栽部は、前記防水層の上面の一部の領域に配置されているとともに、防水層の上面の他の領域には敷設板が敷設されて非植栽領域が形成され、前記植栽部は、植栽基盤の周囲に縁枠を設けて構成され、該縁枠及び植栽基盤が前記防水層の上面から離脱可能とされ、且つ前記敷設板が防水層の上面から離脱可能とされていることを特徴とする家屋の陸屋根の屋上庭園システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−161263(P2012−161263A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23016(P2011−23016)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 刊行物名:添付の書面:+1LIVINGカタログ 発行年月日:平成22年8月23日
【出願人】(000221775)東邦レオ株式会社 (35)
【Fターム(参考)】