説明

家族の成長記録コラム

【課題】 家族の身長や容姿等に関して、その成長の具体的な経緯を一見しただけで容易に把握することができる家族の成長記録コラムを提供する。
【解決手段】 柱(2)の側面、壁面(33)、或いは柱(2)の側面又は壁面(33)に取り付けられる板材(32)に、身長を表す目盛りとなるピン取付け穴(3)(3)…を上下方向に間隔を空けて列設し、それらピン取付け穴(3)(3)…に着脱自在に取り付けられるピン(4)に、写真(20)を保持するための写真保持体(6)を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、家族の身長等の成長記録を柱等に記録して、その成長の経緯を把握するための家族の成長記録コラムに関する。
【背景技術】
【0002】
家族の成長を記録する手段としては、一般的に、写真やビデオテープ等に映像を残したり、家族の身長を表す数値やグラフ等、又はその他の成長の様子を母子手帳等のノート類に記述したりすることが行われる。
【0003】
しかし、それら写真、ビデオテープ、母子手帳等は、家族の成長とともに増えていくため、それら写真等を収納する際に収納場所に困ったり、逆に、以前収納した写真等を探す際に収納場所が分からなくなったりすることがある。さらに、映像や記述として成長を記録するのは、幼い子供が自発的に行うのが困難であり、親にとっても、長年に亘って記録し続けるのは面倒であるため、子供が成長するにつれて疎かになりがちである。
【0004】
また、従来は、住宅の柱に傷を付けて身長の記録を残す習慣があり、これによれば、家族の成長を手軽に記録することができ、その記録のための収納にも困ることがなかったが、柱に傷を付けるのは意匠的に好ましくないため、現在ではあまり行われていない。
【0005】
これに対して、下記の特許文献1には、壁面に貼り付けられた板材に、多数のピン取付け穴が上下方向に沿って列設され、家族の身長の高さに位置するピン取付け穴にピンを差し込んで取り付けることで、その家族の身長を記録するようにした構成が記載されている。かかる構成によれば、取り付けたピンをそのまま残しておくことで、柱に傷を付ける場合のように室内の意匠性を損ねることなく、家族の成長の経緯を把握できるようになっている。
【0006】
しかも、特許文献1の構成では、ピンの先端に設けられた記録記載面に、身長を計測した計測年月日や年齢、名前等を記載できるようになっているため、成長の経緯をより詳しく把握できるようになっている。
【0007】
一方、下記の特許文献2,特許文献3及び特許文献4には、上下方向に沿った目盛りの横側に、写真を収容するための収容部が目盛りに沿って並設された構成が開示されている。かかる構成では、計測した家族の身長の高さ付近の収容部に、その計測を行った頃の本人の写真を収容することによって、写真を見るだけで計測時の本人の容姿等が分かるため、身長以外の成長過程を視覚的に把握しやすくなっている。
【0008】
【特許文献1】実開昭61−67704号公報
【特許文献2】実用新案登録第3085366号公報
【特許文献3】実用新案登録第3037185号公報
【特許文献4】実開平2−23510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記の特許文献1に記載された構成は、記録記載面に記載された記録に関して、文字を読まなければ内容を把握できず、計測時の本人の容姿等を一目で分かるようなものではなかった。
【0010】
他方、特許文献2、特許文献3及び特許文献4に記載された構成では、写真が収容される収容部が、上下方向においてある程度の幅に跨って設けられている。したがって、その収容部に写真を収容しても、その写真が収容された高さ位置は、計測した身長をある程度の高さ幅に亘って大まかに示すことしかできず、具体的な高さをピンポイントで指し示すことができないため、身長に関する具体的な成長過程について視覚的に把握しづらい欠点を有している。
【0011】
そこで、この発明は、上記のような不具合を解消して、家族の身長や容姿等に関して、その成長の具体的な経緯を一見しただけで容易に把握することができる家族の成長記録コラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、この発明における家族の成長記録コラムは、柱の側面、壁面、或いは柱の側面又は壁面に取り付けられる板材に、身長を表す目盛りとなるピン取付け穴が上下方向に間隔を空けて列設され、それらピン取付け穴に着脱自在に取り付けられるピンが、写真を保持するための写真保持体を備えていることを特徴とする。
【0013】
また、前記写真保持体は、写真の全部又は一部を差し込んで収容するための差込収容部を備えている。
【0014】
さらに、前記差込収容部は、前記ピンの軸方向に直角な面方向に沿ったスリット状に形成されている。
【0015】
さらにまた、前記写真保持体は、前記差込収容部内に収容された写真の表面を前面側から透視可能にする写真透視部を備えている。
【0016】
具体的に、前記ピン取付け穴は、柱の側面に直接穿設されている。
【0017】
加えて前記ピン取付け穴は、上下方向に一定の間隔を空けた千鳥状に配置されている。
【発明の効果】
【0018】
この発明における家族の成長記録コラムは、身長を表す目盛りとなるピン取付け穴に取り付けられたピンによって、計測した家族の具体的な身長の高さをピンポイントで指し示すことができ、ピンの写真保持体で身長を計測した頃の本人の写真を保持することによって、計測時の本人の容姿を一目で把握することができるとともに、思い出が蘇って懐かしさを感じることもできる。すなわち、この発明の家族の成長記録コラムを用いて家族の成長を継続的に記録することで、家族の成長の具体的な経緯を一見しただけで容易に把握することができる。
【0019】
また、写真を保持したピンを、アート感覚で柱等に取り付けることができ、そのようにアート感覚で記録が残された家族の成長記録コラムは、部屋の中でのモニュメント的な役割を果たすことができる。
【0020】
さらに、写真保持体が、写真の全部又は一部を差し込んで収容するための差込収容部を備えているため、その差込収容部に写真全体を差し込んで収容したり、差込収容部に写真の下端部を差し込んで、その写真を下側から支持したりするだけで、写真を簡単に保持することができ、写真を記録として手軽に残すことができる。
【0021】
また、差込収容部は、ピンの軸方向に直角な面方向に沿ったスリット状に形成されているため、差込収容部に差し込んだ写真を、柱側面又は壁面に平行な状態で保持できる。したがって、そのように保持された写真を、柱側面又は壁面に正対した位置から良好に視認することができる。
【0022】
さらに、写真保持体が、差込収容部内に収容された写真の表面を前面側から透視可能にする写真透視部を備えているため、写真を、良好な視認性を確保した状態で差込収容部内に収容することができる。
【0023】
また、ピン取付け穴を柱の側面に直接穿設した場合は、ピン取付け穴を壁面等に取り付けた板材に穿設する場合に比べて、その板材の取付けの手間を省くことができるとともに、板材の取付けに伴う張り出し部分の発生を回避できるため、室内の意匠性が損なわれることもない。
【0024】
加えて、ピン取付け穴を、上下方向に一定の間隔を空けた千鳥状に配置することで、それぞれの列における上下のピン取付け穴間の間隔を広く確保することができる。したがって、取付け高さが近いピン同士が干渉するのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1乃至図3に示すように、この発明の一実施形態に係る家族の成長記録コラム(1)は、例えば木製の柱(2)の側面に、身長を表す目盛りとなるピン取付け穴(3)(3)…を上下方向に間隔を空けて列設することで形成され、それらのピン取付け穴(3)(3)…に、ピン(4)(4)…が着脱自在に取り付けられるようになっている。なお、柱(2)の表面には、必要に応じて任意の色に塗装する。
【0026】
ピン取付け穴(3)(3)…は、柱(2)の側面に直接穿設されている。また、ピン取付け穴(3)(3)…は、図2に示すように、上下方向に沿った2つの列に分かれて設けられている。
【0027】
それぞれの列において、ピン取付け穴(3)(3)…は上下方向に一定間隔L1を空けて設けられ、その間隔L1は例えば2cmとなっている。また、一方の列のピン取付け穴(3)(3)…と、他方の列のピン取付け穴(3)(3)…とは、上下方向において所定間隔L2だけずれるように設けられ、その間隔L2は例えば1cmとなっている。すなわち、全体として、ピン取付け穴(3)(3)…は、上下方向に一定間隔L2を空けた千鳥状に配置されている。
【0028】
なお、ピン取付け穴(3)(3)…は、必ずしも2列設ける必要はなく、1列又は3列以上設けるようにしても良い。また、取付け穴(3)(3)間の間隔L1及びL2の幅は、必ずしも上記の幅に限られないものとする。さらに、ピン取付け穴(3)(3)…に対応するようにして、ピン取付け穴(3)(3)…の高さを示す数値を、柱(2)の側面の適当な部分において上下方向に適当な間隔を空けて表示するようにしても良い。
【0029】
ピン(4)は、図3に示すように、ピン取付け穴(3)(3)…に差し込まれるピン本体(5)と、そのピン本体(5)の一端側において写真を保持するための写真保持体(6)とからなる。このピン(4)としては、例えば合成樹脂製のものが用いられるが、必ずしもこれに限られるものではない。
【0030】
ピン本体(5)は、例えば丸棒状に形成されており、そのピン本体(5)の径は、ピン取付け穴(3)(3)…の径と比べて同等か又はやや小径となっている。
【0031】
写真保持体(6)は、この写真保持体(6)によって保持した写真の後面側に配置される後面部(11)と、その後面部(11)の前面側に接合された透明の写真透視部(12)と、写真の全部又は一部を差し込んで収容するための差込収容部(13)とからなる。
【0032】
後面部(11)は、ピン(4)の軸方向に直角な面方向に沿った例えば円盤状に形成されており、後面部(11)の一方の面の略中央にピン本体(5)の一端が接合されている。後面部(11)全体は、任意の色に着色され、これによりピン(4)の意匠性が高められるようになっているが、必ずしも着色しなくても良いものとする。
【0033】
写真透視部(12)は、後面部(11)と略同径の円盤状に形成され、後面部(11)に比べて薄肉に形成されている。写真透視部(12)は、その後面側において部分的に張り出した接合部(15)を備えており、この接合部(15)において後面部(11)に接合されている。そして、写真透視部(12)における接合部(15)以外の部分と、後面部(11)との間に形成された隙間が、上記の差込収容部(13)となっている。なお、接合部(15)は、必ずしも写真透視部(12)に設けなくとも良く、後面部(11)の前面側に設けるようにしても良い。
【0034】
このようにして、後面部(11)と写真透視部(12)とは、写真透視部(12)が前面側となるようにピン(4)の軸方向に重ねられた状態で互いに接合され、それら後面部(11)と写真透視部(12)との境界部分において、差込収容部(13)が、ピン(4)の軸方向に直角な面方向に沿ったスリット状に形成されている。
【0035】
差込収容部(13)は、ピン(4)の軸方向において、写真の厚みと同程度の幅を有している。そして、差込収容部(13)の下側に接合部(15)が配置された状態において、例えば円形となるように小さく切り取った写真(20)を差込収容部(13)に差し込むと、その写真(20)は、接合部(15)によって下側から支持されるとともに、後面部(11)と写真透視部(12)とによって挟み込まれるような状態で、差込収容部(13)内に収容される。
【0036】
なお、写真保持体(6)においては、上記のように小さく切り取った写真(20)だけでなく、差込収容部(13)に収まらないような大きさの写真を保持することもでき、その場合は、その写真の下端部のみを、上記と同様にして差込収容部(13)に収容することで、その写真を落下しないように保持することができる。
【0037】
差込収容部(13)内に収容された写真(20)の前面側には、写真透視部(12)が配置されているため、写真(20)の表面を前面側から透視できるようになっている。なお、写真透視部(12)としては、差込収容部(13)内に収容された写真(20)の表面を前面側から透視可能にするものであれば、必ずしも透明でなくとも良く、例えば、半透明のものを用いたり、場合によっては、開口部を備えた枠状のものを用いても良く、その場合、差込収容部(13)内の写真(20)の表面は、その周縁部のみが写真透視部の枠部分に収められて、そのように収められた周縁部以外の部分が写真透視部の開口部から透視可能となる。
【0038】
以上の構成からなる家族の成長記録コラム(1)を用いて家族の成長を記録する際は、その家族の身長を計測して、その身長の高さに最も近い高さに位置するピン取付け穴(3)にピン(4)を差し込んで取り付るとともに、そのピン(4)の差込収容部(13)に、身長計測時になるべく近い時期に撮影した本人の写真(20)を差し込んで収容する。
【0039】
このとき、写真(20)は、必要に応じて、差込収容部(13)に収容する前に予め適当な形状となるように切り取っておく。また、写真(20)の表面には、計測年月日、年齢、名前等の所望事項を記載しておいても良い。
【0040】
このように、ピン取付け穴(3)にピン(4)を差し込んで、そのピン(4)の差込収容部(13)に写真(20)を差し込むだけで、家族の成長過程を簡単に記録することができるため、小さな子供でも、楽しみながら自分の成長を記録することができる。
【0041】
そして、このような記録を長期に亘って継続することで、身長が伸びるのに伴って容姿が変化する様子が一目で分かるため、成長の経緯を容易に把握することができる。
【0042】
また、兄弟姉妹又は親子等の成長を、1つの成長記録コラム(1)に記録した場合は、兄弟姉妹間や親子間等で成長の経緯を比較することができる。その場合は、ピン(4)の後面部(11)の色、又は、ピン(4)を取り付けるピン取付け穴(3)(3)…の列を使い分けることによって、容易に比較できるようになる。
【0043】
さらに、この実施形態における家族の成長記録コラム(1)では、木製の柱(2)を用いているため、好きな色に塗装しやすく、意匠の自由度が高くなっている。したがって、柱(2)を目立つ色に塗装した場合は、家族の成長記録コラム(1)を部屋のアクセントとすることができ、柱(2)を壁の色に合わせた色に塗装した場合は、部屋と一体感のある家族の成長記録コラム(1)を形成することができる。
【0044】
すなわち、家族の成長記録コラム(1)を継続して使用することで、家族が成長していく実感と驚きを、部屋の柱(2)にアートとして残すことができ、その成長記録コラム(1)を、家族のモニュメント的な存在とすることができる。
【0045】
図4は、この発明の別の実施形態に係る家族の成長記録コラム(31)を示している。この実施形態においては、細長状の板材(32)の表面に、この板材(32)の長さ方向に間隔を空けて上記と同様にピン取付け穴(3)(3)…が列設されており、その板材(32)を、上下方向に沿うようにして部屋の壁面(33)に取り付けることで、家族の成長記録コラム(31)を形成している。なお、板材(32)は、必ずしも壁面(33)に取り付けなくても良く、柱(2)の側面に取り付けるようにしても良い。
【0046】
このように、ピン取付け穴(3)(3)…は、必ずしも柱(2)の側面に直接穿設する必要はなく、壁面(33)又は柱(2)側面に取り付けられる板材(32)に穿設するようにしても良く、場合によっては、壁面(33)に直接穿設するようにしても良い。
【0047】
なお、図4に示す実施形態におけるその他の構成及び効果は、図1乃至図3に示す上記実施形態と同様であり、図4において、図1乃至図3に示す実施形態と同様の機能を有する部材については同符号を付してある。
【0048】
この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正及び変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】この発明の一実施形態に係る家族の成長記録コラムを示す斜視図である。
【図2】同じくその正面図である。
【図3】同じくその部分拡大斜視図である。
【図4】別の実施形態に係る家族の成長記録コラムを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
(1)(31) 家族の成長記録コラム
(2) 柱
(3) ピン取付け穴
(4) ピン
(5) ピン本体
(6) 写真保持体
(12) 写真透視部
(13) 差込収容部
(20) 写真
(32) 板材
(33) 壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱の側面、壁面、或いは柱の側面又は壁面に取り付けられる板材に、身長を表す目盛りとなるピン取付け穴が上下方向に間隔を空けて列設され、それらピン取付け穴に着脱自在に取り付けられるピンが、写真を保持するための写真保持体を備えていることを特徴とする家族の成長記録コラム。
【請求項2】
前記写真保持体は、写真の全部又は一部を差し込んで収容するための差込収容部を備えている請求項1記載の家族の成長記録コラム。
【請求項3】
前記差込収容部は、前記ピンの軸方向に直角な面方向に沿ったスリット状に形成されている請求項2記載の家族の成長記録コラム。
【請求項4】
前記写真保持体は、前記差込収容部内に収容された写真の表面を前面側から透視可能にする写真透視部を備えている請求項2又は3記載の家族の成長記録コラム。
【請求項5】
前記ピン取付け穴は、柱の側面に直接穿設されている請求項1乃至4のいずれかに記載の家族の成長記録コラム。
【請求項6】
前記ピン取付け穴は、上下方向に一定の間隔を空けた千鳥状に配置されている請求項1乃至5のいずれかに記載の家族の成長記録コラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−141780(P2006−141780A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−337326(P2004−337326)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【Fターム(参考)】