説明

家畜用飼料

【課題】哺乳期あるいは離乳期の子牛のルーメンの発育を促し、早期離乳を図り更に感染症や下痢症を予防する家畜用飼料を提供する。
【解決手段】アルファ化したトウモロコシのフレーク状加工品を配合したことを特徴とする家畜用飼料。アルファ化したトウモロコシのフレーク状加工品の形状が、平均径が0.5cm以上3cm未満であり、厚さが0.3mm以上3mm未満であり、かつ錠剤用硬度計で測定した硬度が5kg/cm以上20kg/cm未満であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家畜用飼料に係り、更に詳しくは子牛のルーメン(第一胃)の発育を促し、かつ脂溶性ビタミンを有効に吸収させるとともに、コクシジウム感染症等の特有な腸管感染を緩和し、サルモネラ菌や大腸菌などの有害菌類の腸管内への定着を防止することを特徴とする天然原料配合の家畜用飼料を提供する。
【背景技術】
【0002】
従来、成牛の飼育用飼料としては、乾燥牧草や稲藁等の粗繊維質や植物粕類とともに蛋白質、脂肪、炭水化物等の栄養素を含み、無機質およびビタミン、更には必要に応じて抗生物質やホルモン剤、ステロイド剤等の成分を添加したものを挙げることができる。しかしながら、離乳期前の子牛にはこのような粗繊維質を中心とした飼料を与えることはできず、よって、哺乳期および離乳期前の子牛用の飼料としては、蛋白質、脂肪、炭水化物等の飼料効率の高い栄養素(可消化養分)の比率を多くしたスタータと称する離乳用濃厚飼料(例えば、特許文献1)をその前期に与え、後期には粗繊維質を含んだ子牛育成用飼料を与える。
【0003】
牛を子牛から、成牛まで正常に発育させ、食肉用あるいは乳牛用の牛まで育てるには、上記のスタータ、子牛育成用飼料および通常の飼料を効率よく与え、無駄なく吸収させることを行なうとともに、コクシジウム感染症等の特有な感染症を予防し、サルモネラ菌や大腸菌などの有害菌類の腸管内への定着や異常発酵による下痢症を防ぐことが肝要である。
【0004】
牛等の反芻動物は、重要な消化器官として、粗繊維質の発酵を行なうルーメン(第一胃)を有し、口より摂取された飼料はルーメンに入り、ルーメン中に存在する種々のバクテリアにより分解、醗酵され、揮発性脂肪酸に変換される(例えば、特許文献2)。ところが、ルーメンは哺乳期や離乳期の子牛では未発達であり、従ってこの時期の子牛には通常の粗繊維質を主体とした飼料を与えることができない。即ち、ルーメンが未発達な子牛には安価な粗繊維質の比率を多くすることはできず、比較的高価なスタータや子牛育成用飼料等をある一定時期与えねばならない。
【0005】
ルーメンの機能は、ルーメン中の繊毛(乳頭状突起)の発達に大きく左右され、これが十分に発達することにより、正常な機能を有するルーメンとなる。繊毛が発育することによりルーメンの表面積が増加し、ルーメン壁からの効率的な栄養素吸収が可能となる。つまり、このルーメンの発達が促進されれば高価なスタータや子牛育成用飼料を摂取しなければならない期間が短縮され、粗繊維質を主体とした安価な固形飼料への移行が早くなり、牧畜農家のコストダウンにつながることとなる。
【0006】
更に、哺乳期や離乳期の子牛はルーメン以外の他の消化管機能についても敏感であり、環境の変化によってストレスを起こし、例えば特許文献3に示されるような、ある種の寄生性原虫の感染によって起こるコクジシウム感染症を起こしたり、サルモネラ菌、大腸菌等の有害細菌による影響で体調に不調を来たしたりして、発育が不全となったり、死亡したりして牧畜農家に深刻な経済的打撃を与えることも多い。
【0007】
子牛のルーメン内の早期発達と、コクジシウム感染症の予防と、有害細菌等による子牛の発達遅延の解決が牧畜業界の永年にわたって求められていた解決すべき課題であり、しかもその解決を薬品ではなく飼料で行なうことが積年の課題であった。即ち、ルーメンの早期発達を促す成分および、コクジシウム感染症の予防や、有害細菌類の腸管内への定着を防止し体外への排出を行なう成分を飼料の中に配合しておくことにより、効率的な牛の成育を促進することができ、牧畜農家のコストを顕著に下げることができる。
【0008】
更に、他の栄養成分、たとえば脂溶性ビタミン類あるいはミネラルは比較的ルーメンや他の消化器官内で破壊されやすく、これらの成分が吸収される腸管に到達する前にかなりの部分が破壊されてしまいロスが多い。これらの成分をルーメンあるいは他の消化器官内で破壊されることのない形でスタータあるいは子牛育成用飼料に配合することも、子牛の正常な発育や肥育効率を向上させるための重要な課題である。
【特許文献1】特開平2006−320284号公報
【特許文献2】特開平2002−209529号公報
【特許文献3】特開平2003−238400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者等は、上述の問題点に鑑み、鋭意検討を行なった結果、このルーメン中の繊毛の発達は、発酵過程で生成する揮発性脂肪酸、主として酪酸やプロピオン酸により促進されることを見出した。従ってこの酪酸やプロピオン酸を生成しやすい成分を多く含む飼料をスタータとしてあるいは子牛育成用飼料として与えることによりルーメンの早期生育が可能となることを見出したのである。すなわち、消化器官内において揮発性脂肪酸の発生を促進するように加工された穀類を主体とする飼料をスタータあるいは子牛育成用飼料として与えることにより、子牛の早期離乳と発育促進を図ることができる。更に、保護微小球に包含されたビタミンA、D、Eおよびミネラルと、ステロイドサポゲニンと、マンノース及び乳糖を添加剤として配合することにより、栄養効率を上げ、子牛のコクシジウム症の腸管感染の緩和、サルモネラ菌、大腸菌の腸管内定着を防ぎ、子牛の死亡率も大幅に少なくすることが可能であることを見出し、本発明を完成させたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的は、アルファ化したトウモロコシのフレーク状加工品を配合した飼料にて達成される。上述のアルファ化したトウモロコシのフレーク状加工品の形状は、平均径が0.5cm以上3cm未満であり、厚さが0.3mm以上3mm未満であり、かつ錠剤用硬度計で測定した硬度が5kg/cm以上20kg/cm未満であることが好ましい。また、その配合比率は飼料全体に対する重量比で20%以上70%未満であることが好ましい。
【0011】
本発明に用いるアルファ化したトウモロコシのフレーク状加工品とは、トウモロコシを80℃以上の蒸気で30分ないしそれ以上の時間処理し澱粉をアルファ化し、ローラで扁平に圧延し、更にフレーク状に破砕したものである。このような特殊加工されアルファ化されたトウモロコシが、家畜用飼料に配合され、牛に摂取されると、ルーメン内でバクテリアにより分解、醗酵され、揮発性脂肪酸、特に酪酸あるいはプロピオン酸の産生を促進する。ここで産生された揮発性脂肪酸、就中、酪酸あるいはプロピオン酸はルーメン内の繊毛の発育に大きく寄与するので、特に離乳期の子牛にスタータあるいは子牛育成用飼料として与えられた場合、産生した揮発性脂肪酸が未発育の子牛のルーメンに作用し発育を促し、早期ルーメン形成を可能とする。
【0012】
上述のアルファ化したトウモロコシのフレーク状加工品は、その各片の平均径が0.5cm以上3cm未満であり、厚さが0.3mm以上3mm未満であり、かつその錠剤用硬度計(モンサント型硬度計)で測定した硬度が5kg/cm以上20kg/cm未満であることが好ましい。かかる形状および硬さを持ったトウモロコシ片は、飼料として与えられ、ルーメンに入ると、各片はルーメン壁をスクラッチ(引っ掻く)し、古くなった表皮の脱落を促し、繊毛の再生を促進し、ルーメン壁の肥厚化、繊毛の凝集を防止する。つまり、子牛のルーメンの早期成育を育成することができる。この形状および硬さは、前述のローラによる圧延条件、破砕条件により適宜加減できるものであり、更に分級等の工程により、形状を揃えてもよい。上述の形状および硬さの範囲を外れた場合には、その効果は十分ではない。本発明の家畜用飼料中のアルファ化したトウモロコシのフレーク状加工品の配合比率は重量比で20%以上70%未満であり、好ましくは40%以上55%未満である。これ以下であると、その効果は十分でなく、またそれを越えると過剰になり、その効果もそれ以上は向上しない。
【0013】
本発明になる家畜用飼料は、更に脂溶性ビタミン類を包含した保護微小球、ステロイドサポゲニン、ベタイン、マンノース、および乳糖のうち少なくとも1種を配合することが好ましい。上述の保護微小球は、脂溶性ビタミンであるビタミンA、DおよびEが成分として配合され、更に必要に応じてミネラル類を包含させることができる。上述の脂溶性ビタミンやミネラル類は、牛の正常な発育に必須のものであり、これらは腸管内で遊離し腸管上皮細胞で吸収される成分であるが、比較的ルーメン内で破壊され易い。よって、牛用の飼料中に配合され摂取されても、効率的に吸収され難いという問題点を有する。本発明においてはこの脂溶性ビタミンやミネラルを保護微小球に包含した形で配合することを特徴とする。
【0014】
本発明でいう保護微小球とは、いわゆるルーメンバイパス剤の一種であり、その製法、種類、形状等は特に限定を受けるものではないが、例えば、脂溶性ビタミン類等を保護剤である植物性硬化油等に包含せしめ、植物より抽出された澱粉を糊化剤として用い分散液とし、加熱糊化し、微小球状に造粒成型したものである。その微小球のサイズは平均径大略0.1mmないし5mmである。このような保護微小球は、ルーメン内では糊化剤が安定し基質を保護し、第4胃では糊化剤が溶解し、基質が溶解する。小腸部分では脂質部分が乳化され吸収される。即ち、保護微小球に内包された脂溶性ビタミンやミネラルはルーメンや他の消化器官で破壊されることなく、ほとんどが腸管上皮細胞で吸収される。そしてその好ましい配合比率は脂溶性ビタミンおよびミネラルの全体に対する重量比で0.001%ないし0.005%である。
【0015】
本発明になる家畜用飼料は、ステロイドサポゲニンを成分として配合することが好ましい。鶏等の家禽類、牛、豚等の家畜類、更には犬、猫等のペット類には、アイメリア種の寄生性原虫による感染によって起こる伝染病であるコクジシウム感染症がある。このコクシジウム感染症は被害の極めて大きい伝染性の感染症であり、これに感染した動物は、下痢や腸炎を起こし、衰弱や体重増加率の減退を起こし飼料変換効率の低下を来たすのみならず、症状が重い場合は斃死に至ることがある。本発明等は、ステロイドサポゲニンが牛のコクジシウム感染症の腸管感染を抑制する効果を有することに着目し、配合したことを特徴とする。この成分を配合することにより、コクジシウム感染症の感染が大幅に抑制されるとともに、例え感染してもその症状の発現は軽微になるという効果を生み出すことができる。ステロイドサポゲニンは、通常ヤマイモやユリ中に存在していて、それを分離して用いる。そしてその好ましい配合比率は全体に対する重量比で0.003%ないし0.005%である。
【0016】
また、本発明になる家畜用飼料は、ベタインを成分として配合することが好ましい。ベタインとは動植物界に広く存在する化合物であり、特に砂糖大根の糖蜜中に多量に含まれる成分である。このベタインには腸管上皮細胞の強度を増すという作用を有するため、これを飼料とともに摂取すると結果的に腸が強くなり、コクジシウム感染症に対しても抵抗力が強くなり、感染した場合もその症状の発現は軽微になるという効果を生み出すことができる。そしてその好ましい配合比率は全体に対する重量比で0.003%ないし0.005%である。
【0017】
更に、本発明になる家畜用飼料は、単糖類であるマンノースを成分として配合することが好ましい。このマンノースは有害細菌であるサルモネラ菌や大腸菌の腸管内の定着を抑制し、更に腸管内に定着したこれらの細菌類を体外に排出する効果を有する。従って、マンノースを配合した飼料を摂取させることにより、有害細菌であるサルモネラ菌や大腸菌の弊害による子牛の発育不全や遅延等の弊害を軽減することができる。マンノースは例えば、ヤシ油抽出粕を酵素処理することによって得られる多糖類であるマンナンから得ることができる。ヤシ油抽出粕とは、例えばココヤシの種子内の含脂部分を圧搾してヤシ油を絞った後の粕であり、これを酵素処理したものはマンナン系多糖類を多量に含有する。これを例えば加水分解することによって単糖類であるマンノースを得ることができる。そしてその好ましい配合比率は全体に対する重量比で0.01%ないし0.03%である。
【0018】
更にまた、本発明になる家畜用飼料は、乳糖を成分として配合することが好ましい。乳糖は飼料とともに牛に摂取され、ルーメンに入ると、バクテリアにより分解、醗酵され、揮発性脂肪酸の一種である酪酸を多く産生する。前述の通り、酪酸はルーメン内の繊毛の発育を促進する作用を有する。従って、乳糖を配合した飼料を離乳期の子牛にスタータあるいは子牛育成用飼料として与えると、子牛の発育促進、早期離乳を実現することができる。そしてその好ましい配合比率は全体に対する重量比で0.02%ないし0.04%である。
【0019】
本発明になる家畜用飼料は、さらに必要に応じて、穀類、植物粕類、澱粉類、糖質、食塩、骨粉、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等よりなる塩類、抗生物質、ホルモン剤、甘味料、嗜好性を高めるための物質等一般的な牛用飼料に用いられる成分を任意成分として配合することができる。
【0020】
本発明になる家畜用飼料は、そのままで他の成分と混合することなくスタータとして用いることができる。また、これに乾燥牧草や稲藁等の粗繊維質、更には植物粕類等を加えることによって、離乳期の子牛育成用飼料として用いることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明になる家畜用飼料を、スタータあるいは子牛育成用飼料として哺乳期あるいは離乳期の子牛に与えることにより、子牛のルーメン形成を促進し、高価な育成用飼料から安価な固形飼料への移行の時期を早め、また感染症や下痢症による子牛の死亡率を低くし、更に子牛の発育不全や発育遅延といった問題点を解決することができる。即ち、牧畜農家にとって多大な経済的効果をもたらすものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係る家畜用飼料について以下に詳細に述べる。上述の通り、本発明の飼料は離乳期の子牛のスタータあるいは子牛育成用飼料として用いられる飼料であり、その肝要は、次に示される通りである。即ち、アルファ化したトウモロコシのフレーク状加工品を必須成分として配合し、それに脂溶性ビタミン類およびミネラルを包含した保護微小球、ステロイドサポゲニン、ベタイン、マンノースおよび乳糖を添加物として配合したものである。
【0023】
本発明においては、飼料としてはその成分を天然物あるいはその由来品を使用するという観点から、ステロイドサポゲニンはヤマイモから抽出したものを用いた。また、ベタインは特に砂糖大根の糖蜜中に多量に含まれる成分であるので、本発明においては砂糖大根から抽出し、精製したベタインを用いた。更に、マンノースとしては、ヤシ油抽出粕を酵素処理することによって得られたマンナン系多糖類を単糖類に加工したものを使用した。ヤシ油抽出粕とはココヤシの種子内の含脂部分を圧搾してヤシ油を絞った後の粕であり、これを酵素処理したものはマンナン系多糖類を多量に含有する。
【0024】
そして、これらの成分は、それぞれ、離乳期の子牛のルーメンの発達促進、脂溶性ビタミンの効率的吸収、コクジシウム症の感染防止と症状の軽減と抑制、あるいは有害細菌の腸管内の定着の抑制と体外排出の促進といった優れた作用を有するものである。そしてその具体的内容は以下に示す実施例によって明らかにされる。
【実施例】
【0025】
以下に示す成分を用い、本発明の家畜用飼料を準備した。
[アルファ化したトウモロコシのフレーク状加工品]
通常の飼料として用いられるトウモロコシを約90℃の蒸気で60分間処理し澱粉をアルファ化し、ローラで扁平に圧延し、更にフレーク状に破砕した。平均径1.5cm、平均厚さ1.2mm、モンサント型錠剤用硬度計で測定した硬度が12Kg/cmのフレーク状の加工品を得た。
[保護微小球]
ビタミンA、D、Eおよびミネラルを硬化植物油中に含有せしめ、コーンスターチの分散液中に溶解し、糊化温度以上に加熱糊化し、微小球状に造粒したものを用いた。
[ステロイドサポゲニン]
ヤマイモから抽出分離したものを用いた。
[ベタイン]
砂糖大根の糖蜜から抽出し、分離したものを用いた。
[マンノース]
ヤシ油抽出粕を酵素処理して得たマンナン系多糖類を単糖化したものを用いた。
[乳糖]
通常の市販品を用いた。
【0026】
以下の配合比で飼料を調製した。
アルファ化したトウモロコシのフレーク状加工品:50wt%
保護微小球ビタミン:0.003wt%
ステロイドサポゲニン:0.004wt%
ベタイン:0.004wt%
マンノース:0.02wt%
乳糖:0.03wt%
その他(小麦、燕麦、大豆粕、糖質、炭酸カルシウム等):残分
【0027】
上述の組成の飼料を実施例用の家畜用飼料(スタータ)とした。また、アルファ化したトウモロコシのフレーク状加工品の代わりに未加工の全粒トウモロコシを配合し、保護微小球ビタミン、ステロイドサポゲニン、ベタイン、マンノース、乳糖を添加しない以外は同じ成分で配合して飼料を調製し、比較例用の家畜用飼料(スタータ)とした。
【0028】
[実施例、比較例]
ホルスタイン種の子牛10頭ずつの群に、上記実施例用および比較例用のスタータを与え、適宜ルーメンカニューレを挿入し、ルーメン液を採取し揮発性脂肪酸の濃度をチェックした。出産後しばらくは液体飼料(代用乳)の影響が大きく、両群に差は認められなかったが、週齢を重ねるにつれ、本発明のスタータを与えた群の揮発性脂肪酸に差が現れ、比較例のスタータを与えた群に比較して揮発性脂肪酸濃度、特にプロピオン酸濃度が上昇する傾向が観察された。また、ルーメン内繊毛の発達においても両群に明らかな格差が認められた。
【0029】
また、観察期間中での両群の子牛の健康状態を継続的に観察したが、本発明実施例のスタータを与えた群には異常が認められなかったが、比較例のスタータを与えた群では、うち2頭が下痢症あるいは軟便の症状を起こしたが斃死に至ることはなかった。
【産業上の利用可能性】
【0030】
上述の通り、本発明の家畜用飼料によれば、哺乳期、離乳期の子牛にこの飼料を与えることにより、ルーメン中での揮発性脂肪酸、特にルーメンの早期生育に必要な酪酸、プロピオン酸の産生が促進され、子牛のルーメンの早期生育、即ち、牛の早期成育に寄与することができる。更に、コクジシウム感染症や、有害細菌による感染症等も効果的に予防することができ、牛の死亡率の減少に大きく寄与し、食肉用牛あるいは乳牛の育成を対象とした牧畜農家に対し、資すること極めて大である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルファ化したトウモロコシのフレーク状加工品を配合したことを特徴とする家畜用飼料。
【請求項2】
アルファ化したトウモロコシのフレーク状加工品の形状が、平均径が0.5cm以上3cm未満であり、厚さが0.3mm以上3mm未満であり、かつ錠剤用硬度計で測定した硬度が5kg/cm以上20kg/cm未満であることを特徴とする請求項1に記載の家畜用飼料。
【請求項3】
アルファ化したトウモロコシのフレーク状加工品の配合比率が飼料全体に対する重量比で20%以上70%未満であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の家畜用飼料。
【請求項4】
脂溶性ビタミン類を包含した保護微小球、ステロイドサポゲニン、ベタイン、マンノース、および乳糖のうちいずれか1種またはそれ以上を添加物として含有することを特徴とする請求項1ないし請求項3いずれかに記載の家畜用飼料。
【請求項5】
保護微小球が脂質と澱粉類と脂溶性ビタミン類を加熱糊化し微小球状に造粒成型したものであることを特徴とする請求項4に記載の家畜用飼料。
【請求項6】
脂溶性ビタミン類がビタミンA、DおよびEのうちいずれか1種またはそれ以上であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の家畜用飼料。
【請求項7】
保護微小球が更にミネラルを含有することを特徴とする請求項5に記載の家畜用飼料。

【公開番号】特開2008−306931(P2008−306931A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−154627(P2007−154627)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(592177100)株式会社オールインワン (1)
【Fターム(参考)】