説明

家禽へのワクチン接種のための乾燥粉末組成物およびシステム

本発明は、有効量の家禽ワクチン薬剤および該家禽ワクチン薬剤用の支持量のキャリアを含む、吸入による家禽へのワクチン接種のための乾燥粉末組成物であって、該キャリアは、還元糖または非還元糖と生体適合性ポリマーとの組み合わせを含み、該乾燥粉末組成物は、2〜30μmの平均粒径および1.1〜4.0の粒径多分散性を有する粒子の形態である、乾燥粉末組成物を提供する。本発明はまた、該乾燥粉末組成物を生成するための方法および吸入による家禽のワクチン接種のためのシステムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、鳥類の疾患(例えば、ニューカッスル病およびトリインフルエンザであるがこれらに限定されない)に対して、家禽における防御反応の誘導に有用な家畜へのワクチン接種のための乾燥粉末組成物に関する。本発明はまた、これらの乾燥粉末組成物を使用することによって、吸入を介して家禽においてワクチン接種を行うためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
鳥類の感染症は、家禽生産に対して、ならびにおそらくは、感染した鳥類と直接的または間接的に接触し得る他の動物(特に哺乳動物)および人間の健康に対しての負の経済的影響のために、よく知られている。
【0003】
例えば、特定の鳥類の病原体(例えば、ニューカッスル病ウイルス(本明細書中、以後NDVと略す)、伝染性気管支炎ウイルス(IBV)、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDV)、シチメンチョウ鼻気管炎ウイルス(TRTV)、伝染性喉頭気管炎ウイルス(ILTV)、産卵低下症候群(EDS)ウイルス、トリ脳脊髄炎ウイルス、細網内皮症ウイルス、トリポックスウイルス、トリアデノウイルス、伝染性コリーザ、家禽チフス、家禽コレラ、トリインフルエンザ、マイコプラズマ・ガリセプチクム(Mycoplasma gallisepticum)、大腸菌、サルモネラ種(Salmonella spp)などであるがこれらに限定されない)は、感染した家禽から伝染し得る。
【0004】
より詳細には、ニューカッスル病は、家禽産業に多大な経済的損失をもたらし得る、広く地理的に分布している家禽のウイルス感染症である。NDVは、該疾患の病因物質であり、パラミクソウイルス属のプロトタイプウイルスである。トリパラミクソウイルスには、9つの血清型があり、APMV−1からAPMV−9と命名されている。ニューカッスル病は、様々なNDV株が、疾患の重症度において非常に重大な変異を誘発し得るという点で複雑である。感染は、吸入または経口摂取のいずれかによって起き得、そして感染型のウイルスが1羽のトリから別のトリへと伝染する。
【0005】
トリインフルエンザまたは「鳥インフルエンザ」は、通常は鳥類のみに感染するが、稀にブタに感染するインフルエンザAウイルスによって引き起こされる、動物の接触伝染病である。トリインフルエンザウイルスは、種特異的である傾向にあるが、種の壁を超えて、哺乳動物および人間に感染しうる。インフルエンザAウイルスは、16個のHサブタイプを有する。H5およびH7サブタイプのウイルスだけが、高病原型の疾患を引き起こすことが知られている。現在の鳥インフルエンザの世界的な流行に関与するH5N1ウイルスは、特に頑強であることが証明されており、現在、ヒトの健康に対して特に懸念されている。
【0006】
粗い液滴および微細な液滴を用い、それぞれスプレーおよびエアロゾルによるワクチン接種が、呼吸器のウイルス感染に対して家禽を保護するために通常使用される集団ワクチン接種技術である。スプレーおよびエアロゾルによるワクチン接種において噴霧化するための方法およびデバイスは、家禽へのワクチン接種に対して特に重要である。なぜなら、その噴霧化には、特別な必要条件(例えば、そのデバイスは、外部のエネルギー供給源を用いて操作しなければならない)があるからである。
【0007】
疾患の大流行を最適に予防するために、鳥類は、通常、生産者の規格または個々に適したプログラムに従って、生存中に多数回ワクチン接種される。いわゆる初接種(プライミング)は、通常、約2〜3週齢未満のニワトリにおいて行われる。通常、この初接種の後に、1回以上のいわゆる追加接種(ブースター)が行われる。
【0008】
いくつかの呼吸器系ウイルス、特にNDVを用いた家禽へのワクチン接種の約48時間後に、ワクチン接種反応が現れ得る。罹患家禽(例えば、ニワトリ)は、呼吸器系の症状、食欲不振、うつ、成長遅延および死亡率の上昇を示し得る。このワクチン接種反応は、二次的な大腸菌症(大腸菌感染)によってさらに複雑になりうる。これを予防するために、それらの鳥類に対してワクチン接種の36時間後に抗生物質による処置を施す(この処置は、有効であることがしばしば証明されている)。それにもかかわらず、抗生物質の使い過ぎまたは誤用によって、細菌抵抗性が誘導され得、それによって多耐性株がワクチン接種反応を悪化させるときは必ず適切な処置が妨害され得る。
【0009】
疾患の状況に応じて、低ビルレンス(レントジェニック(lentogenic))または中ビルレンス(メソジェニック(mesogenic))の生ウイルスが、通常、ニューカッスル病に対する家禽のワクチン接種に使用される。しかしながら、メソジェニックNDワクチンウイルスは、ブースターワクチン接種に対してのみ適している。しかしながら、レントジェニック群においても、ビルレンスにかなりの範囲がある。通常使用される生ワクチンには、レントジェニック株(例えば、V4、ヒッチナー(Hitchner)B1、Fおよびラ・ソタ(La Sota))およびメソジェニック株(例えば、H株、ムクテスワール(Mukteswar)、コイナロフ(Koinarov)およびロアキン(Roakin))が含まれる。
【0010】
生NDVワクチンの主な利点は、これらが安価な大量適用手法(例えば、スプレー、エアロゾルおよび飲料水への適用)によって投与され得るという点である。しかしながら先に述べたように、生ワクチンは、エアロゾルワクチン接種後に、特に下気道において重篤なワクチン接種反応を引き起こし得る。この欠点を最小限にするために、特に初接種用の薬剤として、極端に弱いウイルスを使用することが重要である。それにもかかわらず、通常使用される、弱い生NDV株のヒッチナーB1およびラ・ソタでさえも、中等度の呼吸器系ワクチン接種反応を引き起こし得る。ゆえに、予防接種される動物におけるワクチン接種反応を回避するが、その疾患に対する確かな免疫をもたらすような、NDVワクチン接種を改善することが当該分野における急務である。
【0011】
エアロゾル粒子が有効であるために、パラメータ(例えば、トリの種、その年齢、吸入粒子の大きさおよびワクチン接種後反応に対する感受性であるがこれらに限定されない)を考慮して、吸入した粒子が、鳥類の気道の特定領域に沈着されるべきであることが知られている。
【0012】
粗い噴霧を作るために使用される現在市販されている噴霧器は、より深い気道に沈着させるかなりの割合の粒子を生成する。すなわち、最適サイズ付近の粒径分布が広すぎる。この効果は、ブースターワクチン接種に対して望ましいが、若い鳥類においては有害なワクチン接種反応をもたらし得る。
【0013】
新しく生成された、空気で運ばれる液滴は、もとの大きさの約10%まで蒸発する。現在利用可能な噴霧手法を用いて生成されるとき、この現象は、適切なワクチン接種結果を妨害する。なぜなら、
−本来そうあるべきでないが、初接種の間に、かなりの割合のワクチン粒子が、鳥類のより深い気道に沈着し、それによって、高い発生率で呼吸器系のワクチン接種後反応が観察されると説明されるから、
−粒径分布が広く、制御されていないことが原因で、液滴から蒸発したほんの少しの割合の粒子が、追加ワクチン接種の間に下気道に吸入されるから、
である。
【0014】
不適切な液滴サイズ分布の次に、生成、再構成および噴霧化の間の不活性化に起因するワクチンウイルスの損失が、公知のスプレーおよびエアロゾルによるワクチン接種の効率が低い第2の主な理由である。第1に、通常、液体環境、例えば、特定病原体除去(SPF)卵の尿膜腔において増殖するワクチンウイルスは、貯蔵のために凍結乾燥される。ウイルスは、乾燥形態では、環境的な不活性化の要因の影響を受けにくく、また、安定化賦形剤が乾燥前に加えられ得るにもかかわらず、なおも生ワクチンの生成および貯蔵の間にウイルス濃度がいくらか低下する。ワクチンケーク(vaccine cake)は、噴霧化の前に再構成する必要があり、再構成に使用する水の中に微量の消毒薬が存在するとき、また、液体環境におけるウイルスの温度感度に起因して、ウイルス濃度は、さらに低下し得る。分散後にワクチン液滴が蒸発するとき、この不活性化はさらに増大する。スプレーおよびエアロゾルによるワクチン接種の間のワクチン濃度の大幅な低下によって、十分な免疫応答の誘発が危うくなり得る。さらに、現在の液体懸濁液中のワクチンは、安定性を著しく欠くという欠点を有する。
【0015】
AllanらのAvian Pathology(1980)9:153−162では、粒径が1〜4μmであるニワトリワクチン接種用のほぼ単分散のエアロゾルを作製するために一連のカラムに通すことによって曝露チャンバの前に乾燥され得る、湿ったエアロゾル粒子を、非常に高速の回転頂部(top spinning)の表面から生成するために、水に溶解したソルビトールを含むニューカッスル病ウイルス溶液の使用が教示されている。
【0016】
WO97/36578では、遺伝子治療用の薬剤と炭水化物などの賦形剤との実質的に均質な混合物を含む、噴霧乾燥された微小粒子が開示されており、その微小粒子の少なくとも90%は、1〜10μmの体積粒径中央値(volume median particle size)を有する。これらの微小粒子は、大きいサイズのキャリアとともに製剤化され得、得られた製剤は、乾燥粉末吸入器を用いて投与され得る。WO97/36578には、ワクチン接種、家畜への適用ならびに微小粒子サイズの多分散性についての記載がない。
【0017】
WO99/52550では、水不溶性タンパク質抗原を組み込むためのポリマー粒子ワクチン送達系が開示されており、該系は、生分解性ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)共重合体のエマルジョンから作製され、ここで、得られたポリマー粒子の平均直径は、体積サイズ分布によると0.05〜20μmである。図2は、平均直径が10μmである典型的な粒子のサイズ分散度を示している。WO99/52550には、鳥類のウイルスおよび噴霧化についての記載がなく、ワクチン送達系における糖類の存在を教示していない。
【0018】
米国特許第6,651,655号では、いかなる噴霧ガスも含まない、すなわち、吸息作動式(breath actuated)の乾燥粉末吸入器を使用して患者において免疫応答をもたらすための方法が開示されている。該乾燥粉末吸入器に充填されているワクチン製剤には、空気力学的粒径が50μm未満である乾燥粉末ワクチン粒子が含まれ、図1は、典型的な粉砕されたワクチン粉末の粒径分布を示している。深肺沈着のためにそのような小さい粒子を作製した時点で、微粉物質は、大きなラクトース粒子、すなわち約100μmであるか、または粉砕ワクチン粒子よりも約50倍大きい粒子と混合される。その構成原理に起因して、米国特許第6,651,655号に記載の乾燥粉末吸入器は、明らかに、家禽へのワクチン接種に適していない。
【0019】
WO2005/123131では、抗体またはワクチンを噴霧乾燥するための製剤が開示されており、それには、4〜10重量%の抗体またはワクチン抗原、0.1mM〜50mMの1つ以上のアミノ酸、0.5〜4重量%の糖および水が含まれる。使用される高圧噴霧装置に応じて、液滴は、0.5〜100μmの大きさの範囲の乾燥粉末粒子を生成する。WO2005/123131には、微小粒子サイズの多分散性についての記載がなく、アミノ酸と糖類の組み合わせ以外の製剤を考慮していない。
【0020】
MeszarosらのActa Veterinaria Hungaria(1992)40:121−127では、10μm未満のサイズの液滴をもたらすMasterdrop MD−2500装置を使用したエアロゾルワクチン接種による、ニューカッスル病に対する1〜10日齢のニワトリの免疫法が開示されている。この刊行物では、粒子を乾燥させる液滴蒸発を防止するために液滴安定剤が加えられており、また、液滴の平均サイズおよび多分散性について記載されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的は、これらの不利点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
発明の要旨
本明細書中に示される発明は、家畜へのワクチン接種、特に、プライミングとブースターの両方のワクチン接種に対して使用され得る家禽へのワクチン接種に有効な乾燥固体粉末組成物を提供することによって、簡便かつ安価な様式で現在の家禽へのワクチン接種技術の不利点を克服することができる。
【0023】
第1に、本発明は、家畜へのワクチン接種のための粉末組成物、特に、吸入による家禽へのワクチン接種のための乾燥粉末組成物に関し、該組成物は、有効量の家畜ワクチン、特に、1つ以上の微生物またはそれらの部分を含む家禽ワクチンおよび該家畜(特に家禽)ワクチンのための1つ以上のキャリアを含み、ここで、該粉末は、約2〜30μmの平均粒径および/または1.1〜4.0の粒径多分散性を有する粒子の形態である。有利なことに、該キャリアセットは、還元糖または非還元糖と生体適合性ポリマーとの組み合わせおよび必要に応じて他のキャリアを含む。第2に、本発明は、家禽においてワクチン接種を行うための方法およびシステムに関し、該方法は、該家禽の上に乾燥粉末ワクチン接種組成物を噴霧する工程を含み、特に、該乾燥粉末ワクチン接種組成物は、約2〜30μmの平均粒径および/または1.1〜4.0の粒径多分散性を有する粒子の形態である。第3に、本発明は、乾燥粉末剤形の製剤化において標準的な製造装置を用いて、簡便かつ安価な様式で上記の乾燥粉末家禽ワクチン接種組成物を生成するための方法およびプロセスに関する。
【発明の効果】
【0024】
一態様において、本発明は、ワクチン溶液を再構成することなく、家禽の上に直接噴霧化するのに適した、家禽へのワクチン接種のための乾燥粉末組成物を提供し、ゆえに、家禽産業において現在実施されている、家禽の上に噴霧化する前のワクチン接種組成物の溶解に関連する、任意の再構成工程に固有のワクチン濃度の損失が克服され、そして、液滴が制御されずに乾燥するという重大なリスクが克服される。本発明のこの態様において、ワクチン溶液を事前に再構成することなく、乾燥粉末ワクチン接種組成物の噴霧化が、容易かつ効率的に分配され、吸入に適さない粒径をもたらし得る粒子凝集の著しいリスクを回避する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
発明の詳細な説明
本発明の第1の態様の最も関連性のある特徴は、
−家畜へのワクチン接種のための粉末組成物(好ましくは、吸入による家禽へのワクチン接種のための乾燥粉末組成物)中に、適当な量(好ましくは、支持量)の家畜ワクチン用の1つ以上のキャリアが存在することであって、該1つ以上のキャリアが、好ましくは、還元糖または非還元糖と生体適合性ポリマーとの組み合わせおよび必要に応じて他のタイプのキャリアを含むこと、および/または
−ワクチン接種粉末が、粒子(好ましくは、約2〜30μmの平均粒径を有する本質的に乾燥された粒子)の形態であること、および/または
−ワクチン接種粉末が、例えば、約1.1〜4.0の比較的狭い粒径多分散性を有すること、
である。
【0026】
乾燥ワクチン接種粉末の粒径に関するとき、用語「多分散性」とは、本明細書中で使用されるとき、別途記載されない限り、比d(84%)/d(50%)、すなわち、体積ベースの粒径分布の積算曲線上の84%に相当する直径を、体積ベースの粒径分布の積算曲線上の50%に相当する直径で除算したもののことをいう。
【0027】
有用なワクチン接種組成物は、本発明の目的を満たしながら、ワクチン接種される家禽のタイプ(種)および年齢に応じて、上で述べた重要なパラメータの特定の部分範囲を組み合わせることによって適切に選択され得る。この点において、家禽のタイプ(種)は、本発明の重大なパラメータではなく、そのタイプには、ニワトリだけでなく、家畜鳥類(例えば、シチメンチョウ、ガチョウ、キジ、子ガモなど)および愛玩鳥類もまた含まれ得る。例えば、約10〜30μm、好ましくは約15〜25μm、またはなおも良くはおよそ20μmの平均粒径を有する粉末組成物は、1日齢〜約3週齢のニワトリの1回目のワクチン接種に特に望ましい。他方で、約3〜9μm、例えば約3〜6μmまたはおよそ5μmの平均粒径を有する粉末ワクチン接種組成物は、家禽の追加(ブースター)ワクチン接種に対して好ましい。
【0028】
可能な限り小さい粒径多分散性は、本発明の乾燥粉末ワクチン接種組成物およびシステムの正確な制御における重要なパラメータであり、対応するワクチン接種方法が最終的に成功することにおける決定的なパラメータである。適当なワクチン接種効率は、すでに本発明の乾燥粉末組成物を使用して達成することができており、ここで、その粒径多分散性は、3.0より低く、好ましくは2.5より低く、なおもより好ましくは2.0より低い。粒径がより小さいときは多分散性制御を達成することがより困難であり、また、ワクチン接種効率と多分散性制御のコストとの適正なバランスが求められるので、多くの場合において、生成の再現性とコストとの相反する必要条件およびワクチン接種効率を考慮に入れて、少なくとも1.3、または少なくとも1.5、およびなおも少なくとも1.7であることが、乾燥粉末ワクチン接種組成物の粒径多分散性にとって十分であり得る。ゆえに、本発明の粉末組成物の粒径多分散性に適した作用範囲は、約1.3〜約3.0、好ましくは1.5〜2.5である。
【0029】
乾燥粉末組成物中に存在する1つ以上のキャリアの割合は、本発明の限定的な特徴ではなく、通常、本組成物の生成可能性に影響を与えない。この割合は、様々なパラメータ(例えば、キャリアの技術的な機能および数、それらの相互適合性、家畜(特に家禽)ワクチン薬剤のタイプおよび濃度、すなわち、微生物(またはそれらの部分)のタイプ、ならびに、必要に応じて、達成されるべき標的平均粒径(例えば、ワクチン接種される家禽のタイプおよび年齢に応じて)であるがこれらに限定されない)に応じて、当該分野における標準的な知識を用いて当業者によって選択され得る。該1つ以上のキャリアの割合は、0.1%〜99.999%という広い範囲、例えば、0.1%〜99.9%(例えば、該
乾燥粉末組成物の0.5%〜99.5重量%)または1%〜99%もしくは2%〜98%、例えば90%〜99.999重量%であり得る。その結果として、ワクチン接種薬剤の割合は、該乾燥粉末組成物の0.001%〜99.9重量%、例えば、0.001%〜10重量%の範囲であり得る。
【0030】
乾燥粉末組成物中に存在する該1つ以上のキャリアの種類および性質が、粉末形態においてワクチンの安定性および直接的な噴霧化の容易さに関与し、様々なパラメータ(例えば、各々個別のキャリアによって発揮される技術的機能、他のキャリアとの適合性(複数のキャリアの場合)およびコストの問題であるがこれらに限定されない)に応じて、当該分野における標準的な知識を用いて当業者によって選択され得るならば、それらは、本発明の限定的な特徴ではない。該1つ以上のキャリアは、好ましくは獣医学的に許容可能なグレードであり、適切には、
−還元糖(例えば、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、ソルボース、キシロース、リボース、ラクトース、マルトース、セロビオースなどであるがこれらに限定されない)、
−非還元糖(例えば、トレハロース、スクロースなどであるがこれらに限定されない)
−ポリオール(例えば、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリトリトール、イノシトールなどであるがこれらに限定されない)
−生体適合性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、脂肪族ポリエステル、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ乳酸−コ−グリコリド)、ポリカプロラクトン、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリアクリル酸、カラギナン、キトサン、セルロース誘導体、デキストラン、化学的に改変されたデキストラン、イヌリン、マルトデキストリン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、デンプンなどであるがこれらに限定されない)、
−タンパク質(例えば、アルブミン、粉乳血清、カゼインなどであるがこれらに限定されない)および
−脂質(例えば、DPPC、DSPCなどであるがこれらに限定されない)
からなる群から選択され得るが、これらに限定されない。
【0031】
しかしながら、驚いたことに、還元糖または非還元糖と生体適合性ポリマーとの組み合わせが、家禽へのワクチン接種の当該分野で公知の他のタイプの獣医学的に許容可能なキャリアよりも、粉末形態でのワクチンの安定性および直接的な噴霧化の容易さに関して優れた効果を有することが見出された。ゆえに、そのような組み合わせが、本発明の乾燥粉末組成物中に存在するキャリアの最も重要な部分を構成することが好ましい。特定の状況において、この特定の組み合わせのキャリアを本明細書の上記で特定した他のタイプのキャリア(例えば、ポリオール、脂質、タンパク質などであるがこれらに限定されない)で補完することが望ましい場合がある。本発明の乾燥粉末組成物において非還元糖をキャリアとして使用することは、通常、還元糖を使用するよりも好ましい。この好ましさはまた、非還元糖の割合が優勢である混合物を使用することによっても達成され得る。
【0032】
これらの1つ以上の好ましくは獣医学的に許容可能なキャリアは、単独で使用され得るか、または、好ましくは粉末特性を最適化するために任意の適当な割合で組み合わされて使用され得る。例えば、適当な安定化キャリアは、乾燥すると非晶質になる傾向があり、そして/または、水代替材料として作用する傾向があり、そして/または、カプセル化によって材料を保護する傾向があり、これらの性質は、乾燥粉末組成物の中に含まれている微生物(例えば、ウイルス)のもとの構造を保存することおよび長時間の粉末の安定性に寄与することを補助し得る。
【0033】
従来の生ワクチン、弱毒化ワクチンおよび不活性化ワクチンならびに組換えワクチン、サブユニットワクチン、ペプチドワクチンおよびDNAワクチンは、本発明の家畜へのワ
クチン接種(好ましくは家禽へのワクチン接種)のための粉末組成物中の家畜へのワクチン接種活性薬剤として適切に使用され得る。
【0034】
ワクチン薬剤(例えば、家畜へのワクチン接種のための粉末組成物に適切に組み込まれ得る弱毒ウイルス、特に、本発明の吸入による家禽へのワクチン接種のための乾燥粉末組成物)は、任意の公知の従来の方法によって得ることができる。簡潔には、感受性の培養基に関連ウイルスを接種し得、そのウイルスが所望の濃度に複製するまで増殖させた後、ウイルス含有材料を回収する。ウイルス複製を持続することができる任意の培養基は、本発明を実施するために適切に使用され得、それらとしては、主要な(鳥類の)培養細胞(例えば、ニワトリ胚線維芽細胞(CEF)またはニワトリ腎臓細胞(CK))または哺乳動物細胞株(例えば、VERO細胞株またはベビーハムスター腎臓(BHK)細胞株)が挙げられる。好ましくは、ウイルスを特定病原体除去(SPF)ニワトリ胚において増殖する。
【0035】
より詳細には、関連ウイルスが増殖され得る適当な培養基は、SPF孵化卵である。例えば、1個の卵あたり、少なくとも10胚感染用量50(本明細書中、EID50と略する)を含む0.2mlのNDV含有尿膜腔液を孵化卵に接種し得る。好ましくは、9〜12日齢の孵化卵に約10EID50で接種し、続いて2〜4日間37℃でインキュベートした後、好ましくは尿膜腔液を回収することによってNDウイルス産物を回収し得る。次いで、この尿膜腔液を2500gで約10分間遠心した後、上清をフィルター(100μm)で濾過し得る。
【0036】
本発明はまた、家畜へのワクチン接種のための上記の粉末組成物、特に、吸入による家禽へのワクチン接種のための乾燥粉末組成物を生成する方法に関し、該方法は、有効量の家畜(好ましくは家禽)へのワクチン接種活性薬剤と、適当量の、好ましくは支持量の、該家畜へのワクチン接種活性薬剤のための1つ以上のキャリア(好ましくは、還元糖または非還元糖と生体適合性ポリマーとの組み合わせ)との混合物を含む水性製剤を凍結乾燥する工程、ならびに、次いで、約2〜30μmの平均粒径および必要に応じて約1.1〜4.0の粒径多分散性を有する乾燥粒子の形態で該粉末組成物を提供するように該凍結乾燥工程の直接的な生成物を粉砕する工程を含む。後者のパラメータの部分範囲は、本明細書の上記に記載した通りである。
【0037】
さらに別の態様において、本発明は、家畜へのワクチン接種のための上記の乾燥粉末組成物、特に、吸入による家禽へのワクチン接種のための乾燥粉末組成物を生成する方法に関し、該方法は、約2μm〜約30μmの平均粒径および必要に応じて約1.1〜4.0の粒径多分散性を有する乾燥粒子の形態で該粉末組成物を提供するように、有効量の家畜ワクチンと、該家畜ワクチンのための支持量の1つ以上のキャリア(好ましくは、還元糖または非還元糖と生体適合性ポリマーとの組み合わせ)との混合物を含む液相を噴霧乾燥する工程を含む。本発明の生成方法、好ましくは、噴霧乾燥工程は、ある温度、すなわち、以下に説明するような約30℃〜約170℃の範囲または190℃の高さの吸込温度において実施され得る。当業者は、使用される噴霧乾燥装置のタイプおよび供給速度に応じて、噴霧乾燥温度が、噴霧乾燥デバイスの入口と出口とにおいてかなり異なり得ることを理解する。噴霧乾燥温度は、本発明のこの態様の限定的な特徴ではなく、従来の温度範囲は、約40℃〜約160℃である。本発明のこの態様において使用される噴霧乾燥装置は、本発明の重大な特徴ではなく、市販のまたは当該分野で標準的な任意のタイプであり得る。
【0038】
本発明の家畜へのワクチン接種乾燥粉末組成物は、その平均粒径および/または粒径多分散性の特徴を考慮して、鳥類にとって吸入可能であり、ゆえに、家禽、例えば、任意のタイプのキジ類の家禽の予防的または治療的な免疫化に効率的に使用され得、また、適当
な投与経路としては、該家禽の上に乾燥粉末ワクチン接種組成物を噴霧化することが挙げられるがこれらに限定されない。
【0039】
別の態様において、本発明は、ワクチン溶液の再構成なしに、家禽の上に直接噴霧化するためのシステムにおいて含まれるのに適した家禽へのワクチン接種のための乾燥粉末組成物を提供し、それにより、ワクチン濃度の損失および粒子凝集が回避される。本発明のこの態様は、本発明の先の態様の乾燥粉末組成物に限定されないが、ワクチン濃度の損失および粒子凝集の回避に対して同じ有益な効果を有する、家禽へのワクチン接種のための任意の乾燥粉末組成物にも使用され得る。
【0040】
本発明のさらなる態様は、ワクチン接種システム(例えば、家畜へのワクチン接種、好ましくは、上記の家禽へのワクチン接種のための乾燥粉末組成物を含む噴霧装置)に関する。より詳細には、本発明は、吸入によって家禽においてワクチン接種を行うためのシステムに関し、そのシステムは、
−1つ以上の家禽ワクチンを含む有効量の家禽ワクチンおよび該家禽ワクチンのための支持量の1つ以上のキャリアを含む乾燥粉末ワクチン接種組成物を含むチャンバであって、該乾燥粉末組成物が、2〜30μmの平均粒径および1.1〜4.0の粒径多分散性を有する粒子の形態である、チャンバおよび
−該家禽の上に乾燥粉末ワクチン接種組成物を噴霧するための手段
を備える。好ましくは、この装置は、ガスとともに該乾燥粉末組成物を家禽に向かって拍出するための手段を備える。好ましくは、該ガスは、空気である。本発明を効率的に実施するために、鳥類に吸入され得、気道に問題を引き起こし得る特別な噴霧ガスを使用する必要はない。
【0041】
本発明のなおもさらなる態様は、家禽においてワクチン接種を行うための方法に関し、該方法は、該家禽の上に、上記のような乾燥粉末組成物を噴霧する工程を含む。このワクチン接種工程が、2〜3週齢前の家禽における初接種(プライミング)であるとき、該乾燥粉末組成物は、好ましくは約10〜30μm、より好ましくは約15〜25μm、またはなおも良くはおよそ20μmの平均粒径を有する粒子の形態である。このワクチン接種が、2〜3週齢を超える家禽における追加接種(ブースター)であるとき、該乾燥粉末組成物は、好ましくは、約3〜9μm、より好ましくはおよそ5μmの平均粒径を有する粒子の形態である。
【0042】
「家畜(特に家禽)へのワクチン接種組成物」とは、本明細書中で使用されるとき、動物、特に鳥類に有効量が投与されるとき、疾病から該動物を保護する免疫応答を惹起する少なくとも1つのタンパク質またはそのフラグメントを含む組成物のことをいう。本発明のワクチン接種組成物において使用するために、その家畜活性薬剤は、生の、弱毒化、不活性化または組換えの、微生物(例えば、ウイルス、細菌、マイコプラズマまたはクラミドフィラ(chlamydophyla)であるがこれらに限定されない)を適切に含み得る。
【0043】
特に適当なワクチンは、例えば、
−ウイルス(例えば、パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)(例えば、ニューカッスル病ウイルス、ニューモウイルス属(Pneumoviruses))、オルソミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)(例えば、インフルエンザウイルス)、コロナウイルス科(Coronaviridae)(例えば、伝染性気管支炎ウイルス、シチメンチョウコロナウイルス、シチメンチョウトロウイルス)、ピコルナウイルス科(Picornaviridae)(例えば、トリ脳脊髄炎ウイルス、アヒル肝炎ウイルス、シチメンチョウ肝炎ウイルス)、レオウイルス科(Reoviridae)(例えば、ロタウイルス)、ビルナウイルス科(Birnaviridae)(例
えば、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス)、レトロウイルス科(Retroviridae)(例えば、トリ白血病/肉腫ウイルス)、アストロウイルス科(Astroviridae)、パルボウイルス科(Parvoviridae)(例えば、ガチョウパルボウイルス)、アデノウイルス科(Adenoviridae)、ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)(例えば、伝染性喉頭気管炎ウイルス、マレック病ウイルス)、ポックスウイルス科(Pox viridae)、ヘパドナウイルス科(Hepadnaviridae)(例えば、アヒル肝炎ウイルス、シチメンチョウ肝炎ウイルス)、サーコウイルス科(Circoviridae)、パポバウイルス科(Papovaviridae)(例えば、ガチョウ出血性ポリオーマウイルス)、カリシウイルス科(Caliciviridae)、トガウイルス科(Togaviridae)、アルテリウイルス科(Arteriviridae)、フラビウイルス科(Flaviviridae)、ブンヤウイルス科(Bunyaviridae)、ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)、フィロウイルス科(Filoviridae)、アレナウイルス科(Arenaviridae)であるがこれらに限定されない)、
−細菌(例えば、サルモネラ属(Salmonella)、カンピロバクター属(Campylobacter)、大腸菌、パスツレラ属(Pasteurella)(家禽コレラ)、リエメレラ・アナチペスチファー(Rimerella anatipestifer)、オルニトバクテリウム・リノトラキエレ(Ornithobacterium rhinotracheale)、ヘモフィルス・パラガリナルム(Hemophilus paragallinarum)、ボルデテラ・アビウム(Bordetella avium)(シチメンチョウコリーザ)、マイコプラズマ属(Mycoplasma)(特にマイコプラズマ・ガリセプチクム)、クロストリジウム属(Clostridia)、ブドウ球菌属(Staphylococcus)、連鎖球菌属(Streptococcus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、スピロヘータ属(Spirochetes)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)およびクラミドフィラ属(Chlamydophila)(オウム病、鳥類病)であるがこれらに限定されない)、
−真菌(例えば、アスペルギルス属(Aspergillus)などであるがこれらに限定されない)および
−寄生生物(例えば:線形動物(Nematodes)、鉤頭虫類(Acanthocephalans)、球虫類(Coccidia)、クリプトスポリジウム属(Cryptosporidium)およびコクロソマ・アナチス(Cochlosoma anatis)であるがこれらに限定されない)
由来の、生の、弱毒のまたは不活化された、微生物および組換えワクチン、サブユニットワクチン、ペプチドワクチンならびにDNAワクチンである。
【0044】
本発明の特定の有用な実施形態の例示として、以下のニューカッスル病ウイルス株を使用し得る:
−レントジェニックワクチン(例えば、ヒッチナー−B、ラ・ソタ、クローン30、V4、NDW、I2およびFであるがこれらに限定されない)および
−メソジェニックワクチン(例えば、ロアキン、ルクテスワール(Lukteswar)およびコマロフ(Komarov)であるがこれらに限定されない)。
【0045】
本発明の特定の有用な実施形態の別の例示として、以下のトリインフルエンザ株を使用し得る:H5N1アジア株。
【0046】
本発明によれば、免疫化は、家禽による本発明の乾燥粉末組成物の吸入によって達成される。例えば、選択された平均粒径および/または選択されたキャリアの組み合わせ、ならびに/または必要に応じて選択された粒径多分散性を有する乾燥粉末組成物群に、ニワトリを曝露する。免疫の持続時間は、選択されるワクチン接種プログラムに依存し得る。
ワクチン接種プログラムに影響を及ぼす最も重要な考慮すべき事柄の1つは、若いニワトリにおける先天性免疫のレベルであり、これは、農場ごと、バッチごとおよび個別のニワトリごとにかなり多様であり得る。このため、いくつかのストラテジーの1つ以上を以下のとおり使用してもよい。その鳥類のほとんどが、感受性であるとき、それらには2〜4週齢までワクチン接種しないか、または粗い噴霧を適用することによって、1日齢の鳥類をワクチン接種する。次いで、3〜4週間後に再度ワクチン接種を行う。
【0047】
噴霧乾燥によって、噴霧乾燥工程の後に適当な平均粒径および/または適当な粒径多分散性の分散性乾燥粉末粒子を粉砕する必要なく、それらを直接送達することができる。このプロセスでは、液体のウイルス懸濁液を、高い温度の乾燥気体媒質(例えば、空気であるがこれらに限定されない)中に噴霧化することによって、適当な平均粒径および適当な粒径分布の乾燥微粒子の形態に迅速に転換する。大きな空気−水界面積を作り出し、迅速に水を蒸発させ、ほんの数秒で乾燥が完了する。乾燥の初期段階の間に、液滴表面が、100%の相対湿度で残存する場合、表面温度は、上記の高い空気温度よりもかなり低い湿球温度で維持される。ウイルス自体は、高温に曝露されず、このことは、得られる粉末製剤の所望の安定性に寄与する。水を蒸発させるとき、固体のウイルス含有粒子の周りの空気は、水分の取り込みに起因してすでに冷却されている。不安定な材料の安定性のために通常使用されるキャリア(例えば、好ましくは、還元糖または非還元糖と生体適合性ポリマーとの組み合わせ、および必要に応じてポリオール、タンパク質もしくは脂質またはそれらの混合物)を本明細書の上で述べたように任意の適当な割合で使用することによって、ウイルスの変性も回避され得る。
【0048】
特別で通常高額な生成条件および/または貯蔵条件が提供されない限り、粉末組成物の完全な乾燥を長時間達成または維持することが容易にできないことは、当業者に周知である。ゆえに、用語「乾燥」とは、本明細書中で使用されるとき、水分が完全に無くなるストリンジェントな条件のことをいうわけではない。すべての標準的な産業的予防措置のもとで、市販の装置を用いて適切に行う場合、本明細書の上記の噴霧乾燥および凍結乾燥による生成方法は、生成時に約4重量%を超えない、好ましくは、約3重量%を超えない、より好ましくは約2重量%を超えない、含水量の粉末組成物を再現性よく達成することができる。そのようなレベルの粉末ワクチン接種組成物の残留水分含有量は、本発明のワクチン接種システムに該粉末を含めるため、および本発明のワクチン接種方法を実施するために十分受け入れられる。実際に使用する前に都合よく保存される(すなわち、貯蔵室における過剰な貯蔵温度および/または過剰な湿度を回避する)場合、そのような乾燥粉末ワクチン接種組成物の含水量は、長時間著しく増加しない(特に、貯蔵の12週間後に約6重量%を超えない)。
【0049】
典型的には、本発明の家畜へのワクチン接種粉末組成物は、動物1頭あたり約10〜10のEID50の用量、好ましくは、約10〜10のEID50の範囲の用量で投与され得る。
【0050】
本発明を、実際の特定の実施形態に関して以下の実施例において説明するが、本発明は、その実施例に限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【実施例1】
【0051】
実施例1−噴霧乾燥による乾燥粉末ワクチン接種組成物の調製
キャリアとして4重量%トレハロースおよび1重量%ポリビニルピロリドンならびにニューカッスル病ウイルス(2.1012のEID50/グラム固体)を含む水溶液を、Mobile Minor噴霧乾燥器を使用することによって噴霧乾燥した。1mmの2流体ノズルを1バールの噴霧空気圧で操作した。吸込温度を160℃に設定し、それによって、26ml/分の供給速度とともに70℃の吹き出し温度がもたらされた。
【0052】
得られた粉末を、
−カールフィッシャー滴定を用いて、含水量および水吸収について
−示差走査熱量測定を用いて熱力学的特性について、および
−レーザー散乱を使用して粒径分布について(図1を参照のこと)(使用される装置は、Mastersizer Sロングベンチバージョン(Malvern製)である)
評価した。
【0053】
生成した直後の得られた粉末の含水量は、3.1重量%であり、シリカを含む蓋で密閉されたガラスバイアル内において22℃、42%相対湿度で貯蔵した1週間後に5.9重量%に上昇した。得られた材料は、ガラス転移温度が65℃の完全な非晶質であった。図1に示すように、乾燥粉末の粒径多分散性(本明細書の上記で定義したように)は、1.8であり、平均粒径は、6μmであった。
【0054】
乾燥させた直後に、粉末のアリコートをSPF卵に接種し、インキュベーション後、血球凝集試験を用いて尿膜腔液中のウイルス含有量を測定した。これによって、噴霧乾燥粉末の1グラムあたり2.1011のEID50が保持され得ることが示された。
【実施例2】
【0055】
実施例2−微細な乾燥粉末ワクチンおよび液体ワクチンの噴霧化後の、空気中のウイルス濃度の比較評価
3.8重量%の含水量および家禽の追加接種(すなわち、下気道へ沈着)に適した粒径を有する微細な乾燥ワクチン接種粉末を、1mmの2流体ノズル(吸込温度160℃、吹き出し温度70℃、供給速度25ml/分、乾燥ガス速度80kg/時、噴霧空気圧2バール)を備えたMobile Minorパイロットプラント乾燥器を使用することによって水溶液から本発明に従って調製した。供給溶液1mlあたり10のEID50クローン30ワクチンウイルスが加えられた蒸留水中に、3%(w/w)トレハロース二水和物、1%(w/w)ポリビニルピロリドン(PVP)、1%(w/w)ウシ血清アルブミン(BSA)を含む供給溶液を噴霧乾燥に供した。
【0056】
比較目的で、市販のクローン30ワクチンを5mlの蒸留水中に再構成し、そのうちの30μlを、微細なエアロゾル追加接種ワクチンの実験的適用に使用されることが多いWalther Pilot I噴霧ヘッドを用いて噴霧化用に、さらに5mlに希釈した。
【0057】
本発明の乾燥粉末ワクチンの粒径分布および噴霧された比較液体ワクチンの液滴サイズ分布(ノズルレベルで)をレーザー回折によって測定した。結果を図2に示し、ここで、曲線(1)は、本発明の微細なトレハロース−PVP−BSA乾燥粉末ワクチンに関し、曲線(2)は、微細な比較液体エアロゾルに関する。本発明の乾燥粉末ワクチン接種組成物の粒径多分散性は、2.0であり、その平均粒径は、7μmであった。比較液体エアロゾルの平均液滴サイズは、24μmであった。
【0058】
1gの粉末ワクチンおよび5mlの希釈液体ワクチンを1.3mの隔離器(28℃および40%RH)内に噴霧し、そして噴霧化の直後に、空気サンプルをゼラチンフィルター上に採取することにより、空気中におけるウイルス濃度を評価した(10日齢の孵化卵におけるインキュベーションおよびその後の血球凝集アッセイ)。
【0059】
結果を図3に示し、ここで、用語「ウイルスの噴霧用量」とは、ウイルスが沈降によって空気から消失しないか、または噴霧プロセスによって不活性化されない場合に空気中に存在するはずのウイルスの理論的用量を表し、ここで、柱(1)は、微細なトレハロース
−PVP−BSA乾燥粉末ワクチンに関し、柱(2)は、噴霧された微細な比較液体ワクチンに関する。これらの結果は、噴霧化の直後に粉末ワクチンにおいて空気中の高いウイルス濃度が得られたこと、および、その濃度が理論的な噴霧濃度よりもわずかに低いだけであった(106.5から106.1への低下)ことを示している。しかしながら、微細な液体ワクチンの噴霧化の後に、ウイルス力価の大幅な低下が生じ(107.4から103.4未満に)、これは上で述べた気候条件におけるワクチン液滴の蒸発に起因する。
【実施例3】
【0060】
実施例3−7μmの平均粒径を有する乾燥粉末ワクチン接種組成物を用いたニワトリの免疫化
実施例2において生成し、特徴付けた微細な乾燥ワクチン接種粉末を、1.3mの容積の隔離器内に収容した4週齢の特定病原体除去ブロイラーニワトリ(すなわちNCD抗体を有しない)に投与した。1群は、微細な乾燥粉末ワクチンを投与され、1群は、ワクチン接種されていないブランクコントロールとして使用した。
【0061】
ワクチン接種の2および4週間後の血液サンプルを採取し、血球凝集阻害(HI)アッセイによってNCDウイルスに対する抗体について評価した。結果を図4に示し、ここで、柱(1)は、微細なトレハロース−PVP−BSA粉末に関する。本発明の乾燥粉末組成物は、レントジェニックNCDワクチン1回の適用後に、通常得られる2〜2というHI力価よりも高いHI力価で、ワクチン接種の2週間後に十分な免疫応答をもたらす。反復測定ANOVAデザインによる統計解析は、ワクチン接種の2〜4週間後の力価の有意な増加を示した。
【実施例4】
【0062】
実施例4−粗い乾燥粉末ワクチン接種組成物を用いたニワトリの免疫化
3.3重量%の含水量および初接種(すなわち、上気道における沈着)に適した粒径を有する粗い乾燥ワクチン接種粉末を、実施例2と同じ水性供給溶液からであるが、30μmの圧力作動式ノズル(吸込温度90℃、吹き出し温度70℃、供給速度30ml/分、乾燥ガス流速25kg/時、液滴生成周波数50kHz)を備えた噴霧乾燥器を使用して調製した。
【0063】
粒径分布を、実施例2(レーザー回折)と同じ方法および装置によって評価し、結果を図2に示し、ここで、曲線(3)は、粗いトレハロース−PVP−BSA乾燥粉末ワクチンに関する。粒径多分散性は、1.2であり、平均粒径は、29μmであった。
【0064】
このワクチンを、1.3mの容積の隔離器内に収容した4週齢の特定病原体除去ブロイラーニワトリ(すなわち、NCD抗体を有しない)に投与した。1群は、粗い乾燥粉末ワクチンを投与され、1群は、ワクチン接種されていないブランクコントロールとして使用した。
【0065】
ワクチン接種の2および4週間後の血液サンプルを採取し、血球凝集阻害(HI)アッセイによってNCDウイルスに対する抗体について評価した。結果を図4に示し、ここで、柱(3)は、粗いトレハロース−PVP−BSA粉末に関する。本発明の乾燥粉末組成物は、レントジェニックNCDワクチン1回の適用後に、通常得られる2〜2というHI力価の範囲内のHI力価で、ワクチン接種の2週間後に十分な免疫応答をもたらす。反復測定ANOVAデザインによる統計解析は、ワクチン接種の2〜4週間後の力価の有意な増加を示した。実施例3の微細なトレハロース−PVP−BSA粉末と比べて、有意に低い免疫応答は、ワクチンの沈着部位の違い(すなわち、粗い粉末については上気道、微細な粉末については下気道)に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は、各画分(左の目盛り)と累積的な画分(右の目盛り)の両方に対する体積パーセンテージでの、本発明の家畜へのワクチン接種のための典型的な乾燥粉末組成物の粒径の分布(単位:ミクロン)を示している。
【図2】図2は、レーザー回折技術を用いて測定したときの、従来技術の噴霧された液体ワクチンの累積的な液滴のサイズ分布と比べて、本発明の噴霧された乾燥粉末ワクチンの累積的な粒径の分布を示している。
【図3】図3は、従来技術の噴霧された微細な液体ワクチンと比べて、本発明の噴霧された微細な乾燥粉末ワクチンのEID50/m空気として表されるウイルス濃度を示している。
【図4】図4は、噴霧型乾燥粉末ワクチンを用いたワクチン接種の2および4週間後に得られた平均血球凝集阻害(HI)血清力価を示している。エラーバーは、標準偏差を表している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の家禽ワクチン薬剤および前記家禽ワクチン薬剤用の支持量のキャリアを含む、吸入による家禽へのワクチン接種のための乾燥粉末組成物であって、前記キャリアは、還元糖または非還元糖と生体適合性ポリマーとの組み合わせを含み、前記乾燥粉末組成物は、2〜30μmの平均粒径および1.1〜4.0の粒径多分散性を有する粒子の形態である、乾燥粉末組成物。
【請求項2】
ワクチン薬剤が、ウイルス、細菌、真菌、寄生生物およびそれらの部分からなる群から選択される、請求項1に記載の家禽へのワクチン接種のための乾燥粉末組成物。
【請求項3】
ウイルスが、パラミクソウイルス科、ニューカッスル病ウイルス、ニューモウイルス属、オルソミクソウイルス科、インフルエンザウイルス、コロナウイルス科、伝染性気管支炎ウイルス、シチメンチョウコロナウイルス、シチメンチョウトロウイルス、ピコルナウイルス科、トリ脳脊髄炎ウイルス、アヒル肝炎ウイルス、シチメンチョウ肝炎ウイルス、レオウイルス科、ロタウイルス、ビルナウイルス科、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス、レトロウイルス科、トリ白血病/肉腫ウイルス、アストロウイルス科、パルボウイルス科、ガチョウパルボウイルス、アデノウイルス科、ヘルペスウイルス科、伝染性喉頭気管炎ウイルス、マレック病ウイルス、ポックスウイルス科、ヘパドナウイルス科、アヒル肝炎ウイルス、シチメンチョウ肝炎ウイルス、サーコウイルス科、パポバウイルス科、ガチョウ出血性ポリオーマウイルス、カリシウイルス科、トガウイルス科、アルテリウイルス科、フラビウイルス科、ブンヤウイルス科、ラブドウイルス科、フィロウイルス科、アレナウイルス科からなる群から選択される、請求項2に記載の家禽へのワクチン接種のための乾燥粉末組成物。
【請求項4】
前記キャリアの割合が、前記乾燥粉末組成物の90重量%〜99.999重量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の家禽へのワクチン接種のための乾燥粉末組成物。
【請求項5】
前記乾燥粉末が、10〜30μmの平均粒径を有する粒子の形態である、請求項1〜4のいずれかに記載の家禽へのワクチン接種のための乾燥粉末組成物。
【請求項6】
前記乾燥粉末が、3〜9μmの平均粒径を有する粒子の形態である、請求項1〜4のいずれかに記載の家禽へのワクチン接種のための乾燥粉末組成物。
【請求項7】
前記還元糖が、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、ソルボース、キシロース、リボース、ラクトース、マルトース、セロビオースおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれかに記載の家禽へのワクチン接種のための乾燥粉末組成物。
【請求項8】
前記非還元糖が、トレハロース、スクロースおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれかに記載の家禽へのワクチン接種のための乾燥粉末組成物。
【請求項9】
前記生体適合性ポリマーが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストラン、化学的に改変されたデキストラン、脂肪族ポリエステル、ポリアクリル酸、カラギナン、キトサン、セルロース誘導体、イヌリン、マルトデキストリン、ポリデキストロース、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリメタクリレート、デンプンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜8のいずれかに記載の家禽へのワクチン接種のための乾燥粉末組成物。
【請求項10】
前記キャリアの組み合わせにおける、前記生体適合性ポリマーと前記還元糖または非還元糖との重量比が、1/1〜1/8である、請求項1〜9のいずれかに記載の家禽へのワクチン接種のための乾燥粉末組成物。
【請求項11】
前記キャリアが、1つ以上のタンパク質および/またはポリオールをさらに含む、請求項1〜10のいずれかに記載の家禽へのワクチン接種のための乾燥粉末組成物。
【請求項12】
前記乾燥粉末組成物の含水量が、生成時に4重量%を超えない、請求項1〜11のいずれかに記載の家禽へのワクチン接種のための乾燥粉末組成物。
【請求項13】
乾燥粉末ワクチン接種組成物を生成する方法であって、前記方法は、ワクチン薬剤、液体キャリア、および還元糖または非還元糖と生体適合性ポリマーとの組み合わせを含む支持量の固体キャリアの混合物を含む液相を噴霧乾燥することにより、前記乾燥粉末ワクチン接種組成物が2〜30μmの平均粒径を有する粒子の形態で提供される工程を含む、方法。
【請求項14】
ワクチン薬剤が、ウイルス、細菌、真菌、寄生生物およびそれらの部分からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ウイルスが、パラミクソウイルス科、ニューカッスル病ウイルス、ニューモウイルス属、オルソミクソウイルス科、インフルエンザウイルス、コロナウイルス科、伝染性気管支炎ウイルス、シチメンチョウコロナウイルス、シチメンチョウトロウイルス、ピコルナウイルス科、トリ脳脊髄炎ウイルス、アヒル肝炎ウイルス、シチメンチョウ肝炎ウイルス、レオウイルス科、ロタウイルス、ビルナウイルス科、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス、レトロウイルス科、トリ白血病/肉腫ウイルス、アストロウイルス科、パルボウイルス科、ガチョウパルボウイルス、アデノウイルス科、ヘルペスウイルス科、伝染性喉頭気管炎ウイルス、マレック病ウイルス、ポックスウイルス科、ヘパドナウイルス科、アヒル肝炎ウイルス、シチメンチョウ肝炎ウイルス、サーコウイルス科、パポバウイルス科、ガチョウ出血性ポリオーマウイルス、カリシウイルス科、トガウイルス科、アルテリウイルス科、フラビウイルス科、ブンヤウイルス科、ラブドウイルス科、フィロウイルス科、アレナウイルス科からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
噴霧乾燥が、30℃〜190℃の範囲の吸込温度において実施される、請求項13〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
噴霧乾燥が、1.1〜4.0の粒径多分散性を有する乾燥粉末組成物の提供に適した噴霧乾燥装置において実施される、請求項13〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
吸入によって家禽においてワクチン接種を行うためのシステムであって、
−ワクチン薬剤を含む有効量の家禽ワクチンおよび前記家禽ワクチン用の支持量の1つ以上のキャリアを含む乾燥粉末ワクチン接種組成物を含むチャンバであって、前記乾燥粉末組成物が、2〜30μmの平均粒径および1.1〜4.0の粒径多分散性を有する粒子の形態である、チャンバおよび
−前記家禽の上に乾燥粉末ワクチン接種組成物を噴霧するための手段
を備える、システム。
【請求項19】
ワクチン薬剤が、ウイルス、細菌、真菌、寄生生物およびそれらの部分からなる群から選択される、請求項18に記載の家禽においてワクチン接種を行うためのシステム。
【請求項20】
ウイルスが、パラミクソウイルス科、ニューカッスル病ウイルス、ニューモウイルス属
、オルソミクソウイルス科、インフルエンザウイルス、コロナウイルス科、伝染性気管支炎ウイルス、シチメンチョウコロナウイルス、シチメンチョウトロウイルス、ピコルナウイルス科、トリ脳脊髄炎ウイルス、アヒル肝炎ウイルス、シチメンチョウ肝炎ウイルス、レオウイルス科、ロタウイルス、ビルナウイルス科、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス、レトロウイルス科、トリ白血病/肉腫ウイルス、アストロウイルス科、パルボウイルス科、ガチョウパルボウイルス、アデノウイルス科、ヘルペスウイルス科、伝染性喉頭気管炎ウイルス、マレック病ウイルス、ポックスウイルス科、ヘパドナウイルス科、アヒル肝炎ウイルス、シチメンチョウ肝炎ウイルス、サーコウイルス科、パポバウイルス科、ガチョウ出血性ポリオーマウイルス、カリシウイルス科、トガウイルス科、アルテリウイルス科、フラビウイルス科、ブンヤウイルス科、ラブドウイルス科、フィロウイルス科、アレナウイルス科からなる群から選択される、請求項19に記載の家禽においてワクチン接種を行うためのシステム。
【請求項21】
前記乾燥粉末組成物の含水量が4重量%を超えない、請求項18〜20のいずれかに記載の家禽においてワクチン接種を行うためのシステム。
【請求項22】
前記1つ以上のキャリアが、還元糖、非還元糖、生体適合性ポリマー、タンパク質およびポリオールからなる群から選択される、請求項18〜21のいずれかに記載の家禽においてワクチン接種を行うためのシステム。
【請求項23】
前記1つ以上のキャリアが、還元糖または非還元糖と生体適合性ポリマーとの組み合わせを含む、請求項18〜22のいずれかに記載の家禽においてワクチン接種を行うためのシステム。
【請求項24】
前記組み合わせにおける、前記生体適合性ポリマーと前記還元糖または非還元糖との重量比が、1/1〜1/8である、請求項23に記載の家禽においてワクチン接種を行うためのシステム。
【請求項25】
前記1つ以上のキャリアの割合が、前記乾燥粉末組成物の90重量%〜99.999重量%である、請求項18〜24のいずれかに記載の家禽においてワクチン接種を行うためのシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−529558(P2009−529558A)
【公表日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558721(P2008−558721)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際出願番号】PCT/EP2007/002284
【国際公開番号】WO2007/104562
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(500454046)
【Fターム(参考)】